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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】排泄物処理方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20220502BHJP
   A47K 11/04 20060101ALI20220502BHJP
   A61G 9/02 20060101ALN20220502BHJP
   A61G 9/00 20060101ALN20220502BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
A47K11/04
A61G9/02
A61G9/00 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018564568
(86)(22)【出願日】2018-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2018001876
(87)【国際公開番号】W WO2018139424
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2017010928
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515016684
【氏名又は名称】株式会社プロモート
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良彦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-054771(JP,A)
【文献】特開2012-036681(JP,A)
【文献】特開2009-243053(JP,A)
【文献】特開2016-137205(JP,A)
【文献】実開昭55-059786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/02
A47K 11/04
A61G 9/02
A61G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を開き、前記汚水タンク19の排水弁46を閉じる工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口45から前記汚水タンク19内の空気を吸引し、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管から汚水を吸引して貯留する工程と、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を閉じ、前記汚水タンク19の排水弁46を開く工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口に圧搾空気を圧入して貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程と
からなることを特徴とする排泄物処理方法。
【請求項2】
貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程の前に、前記汚水タンク19内で固形物を粉砕する工程を付加してなることを特徴とする請求項1記載の排泄物処理方法。
【請求項3】
汚水タンク19と、
この汚水タンク19に設けられ、前記汚水タンク19に連結された汚水の配管との吸引口を開閉する吸引弁44と、
前記汚水タンク19に設けられ、貯留した汚水を外部へ排出する排水弁46と、
前記汚水タンク19に設けられ、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管との吸引口から汚水を吸引するたに空気を吸引し、前記排水弁46から貯留した汚水を外部へ排出するために圧搾空気を圧入する空気入出口45と、
この空気入出口45に連結され、前記汚水タンク19に空気の吸引と圧搾空気の圧入を行うサクションモーター20と
からなることを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項4】
前記汚水タンク19にこの汚水タンク19内で固形物を粉砕する汚物粉砕部43を設けたことを特徴とする請求項3記載の排泄物処理装置。
【請求項5】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44aと、この吸引口44aを開閉するスライダー123とを有することを特徴とする請求項3又は4記載の排泄物処理装置。
【請求項6】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、この吸引口44bを開閉するスライダー123とを有することを特徴とする請求項3又は4記載の排泄物処理装置。
【請求項7】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44aと、差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、これらの吸引口44aと吸引口44bを選択的に開閉するスライダー123とを有することを特徴とする請求項3又は4記載の排泄物処理装置。
【請求項8】
椅子型便器9の便槽12には、小便センサー56と大便センサー57を具備したことを特徴とする請求項5記載の排泄物処理装置。
【請求項9】
前記吸引弁44は、左右に揺動するモーター軸121aを有する切換モーター121と、前記モーター軸121aに結合された切換アーム122の先端に設けたスライダー支持板124と、このスライダー支持板124に弾性軸126を介して指示され、前記吸引口44aと吸引口44bの両方の閉鎖と前記吸引口44aと吸引口44bの選択的な開閉をするスライダー123と、前記弾性軸126を、抑え板127を介在して前記スライダー123を前記吸引口44aと吸引口44b押圧する押圧ローラー129とを有することを特徴とする請求項5,6又は7記載の排泄物処理装置。
【請求項10】
前記椅子型便器9の便槽12に接続され、1回洗浄分の洗浄水を貯留する増圧タンク22と、この増圧タンク22内の洗浄水を便槽12の洗浄水噴出口17に送り出すために前記増圧タンク22に空気圧を送るサクションモーター20とからなることを特徴とする請求項5記載の排泄物処理装置。
【請求項11】
増圧タンク22は、外容器62の内部に、軟質の洗浄水袋33を設け、この洗浄水袋33の入り口側を、水ポンプ27を介して洗浄水タンク18に連結し、前記洗浄水袋33の出口側を、前記便槽12の洗浄水噴出口17に連結し、前記外容器62を、前記洗浄水袋33を圧縮して洗浄水を圧送するための圧搾空気を送るサクションモーター20に連結したことを特徴とする請求項10記載の排泄物処理装置。
【請求項12】
洗浄水袋33は、独立した複数個に分割し、これらの複数個の洗浄水袋33を便槽12の異なる洗浄水噴射口17に連結したことを特徴とする請求項11記載の排泄物処理装置。
【請求項13】
1台のサクションモーター20と、このサクションモーター20の空気吸引口と空気吐出口とに臨ませてA、AB、Bの3モードに切換える切換え弁53を設け、この切換え弁53のAモードでは、前記空気吸引口と汚水タンク19とを結合して椅子型便器9と差し込み型便座100から汚水タンク19への汚水の吸引をし、ABモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して増圧タンク22と差し込み型便座100への送風をし、Bモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して汚水タンク19へ圧送し、外部への汚水の圧送の機能を果たすように構成したことを特徴とする請求項7記載の排泄物処理装置。
【請求項14】
椅子型便器9の便槽12の便座縁13に、左右に、細長い吸臭孔99を設け、この吸臭孔99に臨ませた外側に、吸引箱119を取り付け、これらの吸引箱119を吸引ホース120により消臭ファン60を介して消臭フィルター21に連結したことを特徴とする請求項5記載の排泄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の近くに移動して椅子型便器として利用できるとともに、寝たきりの利用者の股間にセットして差し込み便座としても利用可能な排泄物処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から利用者の近くに移動して椅子型便器として利用設置可能な種々のポータブルトイレが知られている。
特許文献1には、便鉢の洗浄水が少なくて済むことを目的としたポータブルトイレが記載されている。
このポータブルトイレは、移動可能な稼動ベースと、この稼動ベースに設置された便鉢と、この便鉢の下側に配置されたバケットと、前記便鉢の上側に配置された便座と、前記便鉢に鉢洗浄水を供給する手段とを有し、前記便鉢洗浄水供給手段は、前記便鉢の後部に配置され、便鉢内部に向かって水をスプレーするスプレーノズルを備え、タンク内の水は、配管、ポンプ、三方切替え弁、配管、を介してスプレーノズルへ供給し、また、タンク内の水は、この三方切替え弁から分岐した配管、ヒータを介して温水とされ、温水洗浄ノズルへ供給する。便座に着座して用便を行った後、温水洗浄ノズルによって臀部を乾燥させる。その後、スプレーノズルから水をスプレーし、便鉢の洗浄を行う。スプレーノズルから水をスプレーして便鉢を洗浄するため、水の使用量が少なく、バケットの洗浄やタンクへの注水回数が少なくて済む、としている。
【0003】
特許文献2には、上部の便鉢部と下部の汚物貯留槽とを有する汚物ポットであって、便鉢部の下端部の蓋体で閉鎖するに際し、シールを確実にして臭気の漏れを防止するものが記載されている。
この目的を達成するため、汚物ポットに上部の便鉢部と、容器状を成す下部の汚物貯留槽と、便鉢部の下端部の開口を閉鎖する蓋体とを設ける。そして開口の内周面には、テーパ形状の雌嵌合面を形成するとともに、蓋体には雌嵌合面に嵌合する雄嵌合面を形成してそれらを嵌合させるようになし、且蓋体の雄嵌合面は開口の雌嵌合面のテーパ角度よりきつい急角度の面となすように構成されている。
【0004】
また、特許文献3には、寝たきりの利用者の股間にセットして差し込み便座として利用可能な排泄物処理装置が記載されている。
この排泄物処理装置は、寝たきりの利用者の股間部に、差し込み便座をあてがい、おむつで差し込み便座を覆い、この差し込み便座に排泄した排泄物を排泄物処理装置本体の汚水タンクに吸引し、汚水タンクが満水になると、排泄物処理装置本体から切り離して下水管に連結された便器まで運搬して流し込むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-45307号公報
【文献】特開2002-200005号公報
【文献】特許第5254498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される装置は、排泄後は、臀部と鉢部をスプレーノズルで洗浄するが、排泄物は、便鉢の下に設置したバケットに収納し、蓋をするだけであるため、臭いが外部に発散するのを抑制することができないという問題があった。
特許文献2に示される装置は、汚物ポットを構成する便鉢部と、その下部の汚物貯留槽との開口をテーパ形状の雌雄嵌合面の蓋体で蓋をすることが記載されているが、排便中の臭いの発散を抑えることができないという問題があった。
特許文献3に示される装置は、差し込み便座に排泄した排泄物を排泄物処理装置本体の汚水タンクに吸引するので、差し込み便座からの臭気の漏れはほとんどないが、汚水タンクが満水になると、排泄物処理装置本体から切り離して下水管に連結された便器まで運搬して流し込むものである。
このため、引用文献1、2及び3に示すものでは、いずれも排泄物がバケットや汚水タンク内に満杯になると、そのバケットを下水管に連結された便器まで運搬し、下水に流し込み、そのバケットを洗浄しなければならないという辛い作業があった。
【0007】
本発明の第1の目的は、汚水タンクが満杯になると、排泄物処理装置本体からの圧搾空気により、下水管に直接圧送排出することを可能にしたものを提供するものである。
本発明の第2の目的は、椅子型便器として利用できるとともに、股間にセットして差し込み便座としても利用可能な排泄物処理装置を提供することである。
本発明のさらにその他の目的は、明細書と図面の記載から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による排泄物処理方法は、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を開き、前記汚水タンク19の排水弁46を閉じる工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口45から前記汚水タンク19内の空気を吸引し、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管から汚水を吸引して貯留する工程と、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を閉じ、前記汚水タンク19の排水弁46を開く工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口に圧搾空気を圧入して貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程と
からなることを特徴とする。
【0009】
貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程の前に、前記汚水タンク19内で固形物を粉砕する工程を付加してなることを特徴とする。
【0010】
本発明による排泄物処理装置は、
汚水タンク19と、
この汚水タンク19に設けられ、前記汚水タンク19に連結された汚水の配管との吸引口を開閉する吸引弁44と、
前記汚水タンク19に設けられ、貯留した汚水を外部へ排出する排水弁46と、
前記汚水タンク19に設けられ、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管との吸引口から汚水を吸引するたに空気を吸引し、前記排水弁46から貯留した汚水を外部へ排出するために圧搾空気を圧入する空気入出口45と、
この空気入出口45に連結され、前記汚水タンク19に空気の吸引と圧搾空気の圧入を行うサクションモーター20と
からなることを特徴とする。
【0011】
前記汚水タンク19にこの汚水タンク19内で固形物を粉砕する汚物粉砕部43を設けたことを特徴とする。
【0012】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44aと、この吸引口44aを開閉するスライダー123とを有することを特徴とする。
【0013】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、この吸引口44bを開閉するスライダー123とを有することを特徴とする。
【0014】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44aと、差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、これらの吸引口44aと吸引口44bを選択的に開閉するスライダー123とを有することを特徴とする。
【0015】
椅子型便器9の便槽12には、小便センサー56と大便センサー57を具備したことを特徴とする。
【0016】
前記吸引弁44は、左右に揺動するモーター軸121aを有する切換モーター121と、前記モーター軸121aに結合された切換アーム122の先端に設けたスライダー支持板124と、このスライダー支持板124に弾性軸126を介して指示され、前記吸引口44aと吸引口44bの両方の閉鎖と前記吸引口44aと吸引口44bの選択的な開閉をするスライダー123と、前記弾性軸126を、抑え板127を介在して前記スライダー123を前記吸引口44aと吸引口44b押圧する押圧ローラー129とを有することを特徴とする。
【0017】
前記椅子型便器9の便槽12に接続され、1回洗浄分の洗浄水を貯留する増圧タンク22と、この増圧タンク22内の洗浄水を便槽12の洗浄水噴出口17に送り出すために前記増圧タンク22に空気圧を送るサクションモーター20とからなることを特徴とする。
【0018】
増圧タンク22は、外容器62の内部に、軟質の洗浄水袋33を設け、この洗浄水袋33の入り口側を、水ポンプ27を介して洗浄水タンク18に連結し、前記洗浄水袋33の出口側を、前記便槽12の洗浄水噴出口17に連結し、前記外容器62を、前記洗浄水袋33を圧縮して洗浄水を圧送するための圧搾空気を送るサクションモーター20に連結したことを特徴とする。
【0019】
洗浄水袋33は、独立した複数個に分割し、これらの複数個の洗浄水袋33を便槽12の異なる洗浄水噴射口17に連結したことを特徴とする。
【0020】
1台のサクションモーター20と、このサクションモーター20の空気吸引口と空気吐出口とに臨ませてA、AB、Bの3モードに切換える切換え弁53を設け、この切換え弁53のAモードでは、前記空気吸引口と汚水タンク19とを結合して椅子型便器9と差し込み型便座100から汚水タンク19への汚水の吸引をし、ABモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して増圧タンク22と差し込み型便座100への送風をし、Bモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して汚水タンク19へ圧送し、外部への汚水の圧送の機能を果たすように構成したことを特徴とする。
【0021】
椅子型便器9の便槽12の便座縁13に、左右に、細長い吸臭孔99を設け、この吸臭孔99に臨ませた外側に、吸引箱119を取り付け、これらの吸引箱119を吸引ホース120により消臭ファン60を介して前記消臭フィルター21に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を開き、前記汚水タンク19の排水弁46を閉じる工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口45から前記汚水タンク19内の空気を吸引し、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管から汚水を吸引して貯留する工程と、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を閉じ、前記汚水タンク19の排水弁46を開く工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口に圧搾空気を圧入して貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程と
からなることを特徴とする排泄物処理方法
としたので、汚物を貯留した汚水タンクに直接手を触れることなく、外部へ排出することができる。また、手を触れないので衛生の面でも優れている。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、
貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程の前に、前記汚水タンク19内で固形物を粉砕する工程を付加したので、汚水タンク内の汚物や汚水を確実にがぅぶへ排出できる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、
汚水タンク19と、
この汚水タンク19に設けられ、前記汚水タンク19に連結された汚水の配管との吸引口を開閉する吸引弁44と、
前記汚水タンク19に設けられ、貯留した汚水を外部へ排出する排水弁46と、
前記汚水タンク19に設けられ、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管との吸引口から汚水を吸引するたに空気を吸引し、前記排水弁46から貯留した汚水を外部へ排出するために圧搾空気を圧入する空気入出口45と、
この空気入出口45に連結され、前記汚水タンク19に空気の吸引と圧搾空気の圧入を行うサクションモーター20と
からなるので、汚水タンクから臭いを外部に漏らすことなく、かつ、廃棄処理をせずに汚物処理をすることができる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、
前記汚水タンク19にこの汚水タンク19内で固形物を粉砕する汚物粉砕部43を設けたので、汚水タンクから外部へ排便を確実に流し込むことができる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44aと、この吸引口44aを開閉するスライダー123とを有するので、汚水タンク19に椅子型便器9を連結して汚水の処理を自動的に行うことができる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、この吸引口44bを開閉するスライダー123とを有するので、汚水タンク19に差し込み型便座100を連結して汚水の処理を自動的に行うことができる。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44aと、差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、これらの吸引口44aと吸引口44bを選択的に開閉するスライダー123とを有するので、要介護の利用者でも昼間の間は、介護者の手助けがあれば、椅子型便器で排便、肺に用の処理ができ、また、夜間には、介護者の手助け無しで排便の処理ができ、介護の世話を大幅に軽くすることができる。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、
椅子型便器9の便槽12には、小便センサー56と大便センサー57を具備したので、小便か大便かにより、洗浄水の消費を変更でき、洗浄水タンクを小型化できるとともに、便槽の適切な処理ができる。
【0030】
請求項9記載の発明によれば、
前記吸引弁44は、左右に揺動するモーター軸121aを有する切換モーター121と、前記モーター軸121aに結合された切換アーム122の先端に設けたスライダー支持板124と、このスライダー支持板124に弾性軸126を介して指示され、前記吸引口44aと吸引口44bの両方の閉鎖と前記吸引口44aと吸引口44bの選択的な開閉をするスライダー123と、前記弾性軸126を、抑え板127を介在して前記スライダー123を前記吸引口44aと吸引口44b押圧する押圧ローラー129とを有するので、スライダー123を吸引口との間の汚物の詰まりがなくなるだけでなく、汚水タンクに圧搾空気を吹き込んでも臭いが外に漏れるのを極力減らすことができる。
【0031】
請求項10記載の発明によれば、
前記椅子型便器9の便槽12に接続され、1回洗浄分の洗浄水を貯留する増圧タンク22と、この増圧タンク22内の洗浄水を便槽12の洗浄水噴出口17に送り出すために前記増圧タンク22に空気圧を送るサクションモーター20とからなるので、必要最小限の水量、例えば、大便は、約400~500cc、小便は、200~300ccで排出できる。
【0032】
請求項11記載の発明によれば、
増圧タンク22は、外容器62の内部に、軟質の洗浄水袋33を設け、この洗浄水袋33の入り口側を、水ポンプ27を介して洗浄水タンク18に連結し、前記洗浄水袋33の出口側を、前記便槽12の洗浄水噴出口17に連結し、前記外容器62を、前記洗浄水袋33を圧縮して洗浄水を圧送するための圧搾空気を送るサクションモーター20に連結したので、洗浄水に十分な水圧を与えて便槽を洗浄することができる。
【0033】
請求項12記載の発明によれば、
洗浄水袋33は、独立した複数個に分割し、これらの複数個の洗浄水袋33を便槽12の異なる洗浄水噴射口17に連結したので、便槽の複数の洗浄個所毎に目的の水流を与えて洗浄することができる。
【0034】
請求項13記載の発明によれば、
1台のサクションモーター20と、このサクションモーター20の空気吸引口と空気吐出口とに臨ませてA、AB、Bの3モードに切換える切換え弁53を設け、この切換え弁53のAモードでは、前記空気吸引口と汚水タンク19とを結合して椅子型便器9と差し込み型便座100から汚水タンク19への汚水の吸引をし、ABモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して増圧タンク22と差し込み型便座100への送風をし、Bモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して汚水タンク19へ圧送し、外部への汚水の圧送の機能を果たすように構成したので、1大のサクションモーターと3モードの切換え弁とで効率よく汚水の吸引、臭いの排出、汚水の圧送等の作業を行うことができる。
【0035】
請求項14記載の発明によれば、
椅子型便器9の便槽12の便座縁13に、左右に、細長い吸臭孔99を設け、この吸臭孔99に臨ませた外側に、吸引箱119を取り付け、これらの吸引箱119を吸引ホース120により消臭ファン60を介して前記消臭フィルター21に連結したので、便器9の便槽12内の臭気を確実に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による排泄物処理装置の実施例1を示す説明図で、(a)は、椅子型便器9として使用している状態の説明図、(b)は、差し込み型便座100として使用している状態の説明図である。
図2】本発明による排泄物処理装置の実施例1を示すブロック図である。
図3図2における温水便座ユニット11への洗浄水の供給動作の説明のための説明図で、(a)は、便槽の正面図、(b)は、便槽の平面図である。
図4】(a)は、カバ-10aを被せた便器本体10の斜視図、(b)は、カバ-10aを開いた便器本体10の斜視図、(c)は、カバ-10aを開き、便座蓋14aを開いた便器本体10の斜視図、(d)は、カバ-10aを被せた後面からの便器本体10の斜視図、(e)は、便槽12に臭気の吸引箱119を設けた斜視図、(f)は、差し込み型便座100の斜視図である。
図5図2における洗浄水タンク19に取り付けられる吸引弁44を示すもので、(a)は、図5(b)のA-A線縦断面図、(b)は、図5(a)の底面図、(c)は、図5(b)のB-B線断面図である。
図6】本発明による排泄物処理装置の制御回路の実施例1を示すブロック図である。
図7】本発明による排泄物処理装置の便器への給水動作のフローチャートである。
図8】(a)は、便器モードのフローチャート、(b)は、プレ洗浄のフローチャート、(c)は、洗浄水増圧タンク22への給水動作のフローチャートである。
図9】本発明による排泄物処理装置の椅子型便器9の吸引動作のフローチャートである。
図10】本発明による排泄物処理装置の椅子型便器9と差し込み型便座100の圧送動作のフローチャートである。
図11】本発明による排泄物処理装置の差し込み型便座100の大便、小便共有の吸引動作のフローチャートである。
図12】(a)は、本発明による排泄物処理装置の差し込み型便座100の小便吸引動作のフローチャート、(b)は、差し込み型便座100の洗浄動作のフローチャートである。
図13】本発明による排泄物処理装置の差し込み型便座100の大便吸引動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明による排泄物処理方法は、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を開き、前記汚水タンク19の排水弁46を閉じる工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口45から前記汚水タンク19内の空気を吸引し、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管から汚水を吸引して貯留する工程と、
汚水タンク19の吸引弁44の吸引口を閉じ、前記汚水タンク19の排水弁46を開く工程と、
前記汚水タンク19の空気入出口に圧搾空気を圧入して貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程と
からなる。
【0038】
前記排泄物処理方法において、貯留した汚水を前記排水弁46から外部へ排出する工程の前に、前記汚水タンク19内で固形物を粉砕する工程を付加することがより好ましい。
【0039】
本発明による排泄物処理装置は、
汚水タンク19と、
この汚水タンク19に設けられ、前記汚水タンク19に連結された汚水の配管との吸引口を開閉する吸引弁44と、
前記汚水タンク19に設けられ、貯留した汚水を外部へ排出する排水弁46と、
前記汚水タンク19に設けられ、前記吸引弁44の吸引口に連結された配管との吸引口から汚水を吸引するたに空気を吸引し、前記排水弁46から貯留した汚水を外部へ排出するために圧搾空気を圧入する空気入出口45と、
この空気入出口45に連結され、前記汚水タンク19に空気の吸引と圧搾空気の圧入を行うサクションモーター20と
からなる。
【0040】
前記汚水タンク19にこの汚水タンク19内で固形物を粉砕する汚物粉砕部43を設けることが好ましい。
【0041】
前記汚水タンク19に設けられた吸引弁44は、椅子型便器9の汚水を流す配管63に連結される吸引口44a及び/又は差し込み型便座100の汚水を流す配管39に連結される吸引口44bと、これらの吸引口44aと吸引口44bを選択的に開閉するスライダー123とを有する。
【0042】
椅子型便器9の便槽12には、小便センサー56と大便センサー57を具備することが望ましい。
【0043】
前記吸引弁44は、左右に揺動するモーター軸121aを有する切換モーター121と、前記モーター軸121aに結合された切換アーム122の先端に設けたスライダー支持板124と、このスライダー支持板124に弾性軸126を介して指示され、前記吸引口44aと吸引口44bの両方の閉鎖と前記吸引口44aと吸引口44bの選択的な開閉をするスライダー123と、前記弾性軸126を、抑え板127を介在して前記スライダー123を前記吸引口44aと吸引口44b押圧する押圧ローラー129とを有する。
【0044】
前記椅子型便器9の便槽12に接続され、1回洗浄分の洗浄水を貯留する増圧タンク22と、この増圧タンク22内の洗浄水を便槽12の洗浄水噴出口17に送り出すために前記増圧タンク22に空気圧を送るサクションモーター20とからなる。
【0045】
増圧タンク22は、外容器62の内部に、軟質の洗浄水袋33を設け、この洗浄水袋33の入り口側を、水ポンプ27を介して洗浄水タンク18に連結し、前記洗浄水袋33の出口側を、前記便槽12の洗浄水噴出口17に連結し、前記外容器62を、前記洗浄水袋33を圧縮して洗浄水を圧送するための圧搾空気を送るサクションモーター20に連結する。
【0046】
洗浄水袋33は、独立した複数個に分割し、これらの複数個の洗浄水袋33を便槽12の異なる洗浄水噴射口17に連結する。
【0047】
1台のサクションモーター20と、このサクションモーター20の空気吸引口と空気吐出口とに臨ませてA、AB、Bの3モードに切換える切換え弁53を設け、この切換え弁53のAモードでは、前記空気吸引口と汚水タンク19とを結合して椅子型便器9と差し込み型便座100から汚水タンク19への汚水の吸引をし、ABモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して増圧タンク22と差し込み型便座100への送風をし、Bモードでは、前記空気吸引口から外部空気を吸引して汚水タンク19へ圧送し、外部への汚水の圧送の機能を果たすように構成する。
【0048】
椅子型便器9の便槽12の便座縁13に、左右に、細長い吸臭孔99を設け、この吸臭孔99に臨ませた外側に、吸引箱119を取り付け、これらの吸引箱119を吸引ホース120により消臭ファン60を介して前記消臭フィルター21に連結する。
【実施例1】
【0049】
本発明による排泄物処理装置の実施例1を図面に基づき説明する。
図1図4において、本発明の排泄物処理装置は、椅子型便器9と差し込み型便座100を備えており、便器本体10は、前記椅子型便器9に使用できるとともに、前記差し込み型便座100にも使用できるように共有している。
以下の説明では、前記椅子型便器9を便器9と略称し、前記差し込み型便座100をカップ100と略称する。また、汚水とは、汚水だけでなく、汚水の中に固形状の汚物を含むものとする。
【0050】
前記便器本体10の内部には、図1(a)に示すように、補強の骨組みの中に、洗浄水タンク18、汚水タンク19、サクションモーター20、臭気フィルター21、前記便器9の便槽12、増圧タンク22、CPU71、などが収納され、後面には、前記カップ100とのコネクタ108等が設けられ、底面の車輪23で移動自在に構成されている。
【0051】
前記便器本体10は、図4(a)に示すように、カバー10aが被せられ、このカバー10aを図4(b)のように後方に開くと、温水便座ユニット11が現れる。この温水便座ユニット11に被せられている便座蓋14aを2つ折りにして立ち上げると、図4(c)のように便座14と便槽12が現れ、前記2つ折りした便座蓋14aは、背もたれとして機能する。便座14の両側には、肘掛け38が設けられており、利用者6が便座14から立ち上がる時の手をかける補助具となる。この肘掛け38は、利用者6が便座14に座るときの邪魔になるときは、点線で示すように、便器本体10の内側に収納できる。
【0052】
図4(d)に示すように、前記便器本体10の後面には、洗浄水タンク18が抜き取り可能に設けられている。また、前記カップ100と接続される排便用の配管39、送風管105、送水管106、電気コード107の接続されるコネクタ108が設けられ、さらに、汚水タンク19の汚物を排出する配管61が設けられている。
前記カップ100は、図1(b)及び図4(f)に示すように、利用者6の股間にセットされ、おむつ7で保護される。このカップ100は、排便受け部101に、小便センサー103と大便センサー104が設けられている。
【0053】
前記便器本体10には、前記便槽12が固定的に取り付けられているとともに、内部に前述した洗浄水タンク18、汚水タンク19、サクションモーター20、フィルター21、増圧タンク22等の他に、配管、各種の弁、制御盤、電気配線等が収納されている。前記便槽12の上の便座縁13には、温水便座ユニット11が取り付けられており、この温水便座ユニット11は、便座14と、便座蓋15と、内部の温水ノズルを有する市販の温水便座ユニットが使用される。また、前記便槽12の上の便座縁13には、図4(e)に示すように、左右に、細長い吸臭孔99を設け、この吸臭孔99に臨ませて、吸引箱119を取り付け、これらの吸引箱119を吸引ホース120により消臭ファン60を介して前記消臭フィルター21に連結する。
前記便器本体10は、全体が例えば、長さ750mm、幅550mm、高さ800mm程度とし、室内に配置しても違和感のない形状とする。
【0054】
図2図3において、前記便槽12の内側には、小便センサー56と大便センサー57が設けられている。前記小便センサー56は、例えば、排尿の量を尿から発生する赤外線の量で測定するものを用いることができる。前記大便センサー57は、例えば、大便の量を図3(a)に示す排出トラップ16から吸引するときの圧力変化としてとらえるための圧力センサを用いることができる。また、大便の硬さは、排便を汚水タンク19内に吸引するサクションモーター20のモータートルクで判別することができる。
【0055】
図2において、本発明による排泄物処理装置の主要な構成として、1は便器制御部、2はカップ制御部、3は洗浄水制御部、4は排便制御部、5は外部制御部である。
【0056】
図2の洗浄水制御部3において、洗浄水タンク18は、1日10回程度の排便、排尿の使用量として4リットル程度の洗浄水25を貯留する容量を有し、底部近くに水位センサー24を有するサブタンク18aが取り付けられている。このサブタンク18aには、前記洗浄水タンク18から1リットル程度の洗浄水が自然落下して常時補充されている。この容量のサブタンク18aには、フィルター26を介して水ポンプ27が連結され、この水ポンプ27は、タイマーによって駆動時間が制御される。31は、リリーフ弁である。
【0057】
図1の便器制御部1において、前記水ポンプ27から逆止弁28と水圧センサー29を経て温水便座ユニット11のコネクター30に連結されている。前記温水便座ユニット11に安定した水圧を供給するために、図3(a)に示すように、前記水圧センサー29の信号を、後述するCPU71内の水ポンプ制御回路66に送り、この水圧センサー29の信号と水圧設定回路67で予め設定した目標値とを比較回路68で比較し、これらの偏差値に応じてPWM制御回路69からパルス幅制御信号を出力する。この出力信号で水ポンプ27の水量を制御することにより、安定した水圧となる。前記リリーフ弁31は、前記温水便座ユニット11の温水便座水供給路が何らかの異常時に作動して圧力が高くなるのを防止し、前記温水便座ユニット11を保護する。
【0058】
前記水ポンプ27は、また、洗浄水供給弁32bを介して増圧タンク22の洗浄水袋33に連結されている。この洗浄水袋33は、弾力性のない軟質の材料からなり、内部に水位センサー34が設けられており、密閉された硬質材料の外容器62の内部に収納されている。前記外容器62は、内部に圧力空気を封入したときほとんど膨張しないものであれば、硬質材料に限られない。前記洗浄水袋33は、洗浄水を充填して膨張したとき、前記外容器62は膨張せずに内部の空気が絞り弁51とフィルター21を経て外気に放出される。
【0059】
前記洗浄水袋33は、1個だけでも良いが、図2図3(a)に示すように複数個、例えば互いに独立した2個とすることがより好ましい。具体的には、第1の洗浄水袋33aには、300cc程度の洗浄水が充填され、第2の洗浄水袋33bには、100~150cc程度の洗浄水が充填される。前記第1の洗浄水袋33aは、中央の洗浄水噴出口17aに直接連結されている。前記第2の洗浄水袋33bは、排出トラップ16に、次回の排出のために100~150cc程度の洗浄水をためておくために供給するもので、洗浄水噴出口17b、17cに連結される。
また、前記水ポンプ27は、洗浄水供給弁32aを介して図3(b)に示すように揺動する噴射ノズル16aに接続され、この噴射ノズル16aで便器9の使用前と使用後に排便の付着や臭い消しのために揺動して広範囲に洗浄水を噴射する。
【0060】
図2のカップ制御部2において、前記カップ100は、図4(f)に示される。この図において、前記カップ100は、図1(b)に示すように、利用者6の股間に排泄器官の位置に穴の開いたおむつ7でにおいや排便が外に漏れないように装着される。前記カップ100は、排便受け部101に、小便センサー102と排便センサー104と洗浄水噴射ノズルが設けられ、後面には、排便受け部101の排便吸引口102に連通する配管39と洗浄水の送水管106と温風の送風管105と電気信号の電気コード107が接続されている。これらの配管39と送水管106と送風管105と電気コード107は、図4(d)に示すように、前記便器本体10の後面にコネクタ108をもって接続される。
【0061】
前記送風管105は、前記コネクタ108を介して前記便器本体10の内部の過昇温度監視と送風温度センサーを有する温度調節センサー113に連結されている。前記送水管106は、前記コネクタ108を介して前記便器本体10の内部の温度センサーと温度過昇センサーを有する安全タンク112、カップ100までの間の管路内洗浄水を排出する水抜きポンプ111、洗浄水の送り出しを制御する洗浄弁110、温度ヒューズと温度センサーと満水センサーを有する保温タンク109を経て前記水ポンプ27に連結されている。前記電気コード107は、前記コネクタ108を介して前記便器本体10の内部のCPU71に接続されている。
【0062】
図2の排便制御部4において、前記汚水タンク19の天板部には、便器吸引口44aとカップ吸引口44bの切り替えを制御する吸引弁44と空気入出口45と汚水粉砕部43としての粉砕モーター43aが設けられている。前記汚水タンク19の内部には、汚水42の満水センサー41と空センサー40が設けられ、底板部には、排水弁46が設けられている。
前記粉砕モーター43aの回転軸43b下端部には、回転羽根43cが設けられ、粉砕篭43dに集められた排便やトイレットペーパー等の固形物を粉砕する。
粉砕された汚水42は、逆止弁28と配管61を経てコネクタ108で結合された外部排出部5の排水管47に結合される。
【0063】
前記吸引弁44は、便器吸引口44aの開口とカップ吸引口44bの閉鎖、便器吸引口44aの閉鎖とカップ吸引口44bの開口、便器吸引口44aとカップ吸引口44bの同時閉鎖の3位置の切換えをする。
この吸引弁44の具体的構成を図5(a)(b)(c)に基づき説明する。
前記汚水タンク19の天板部には、便器吸引口44aとカップ吸引口44bとが並んで穿設され、一方の便器吸引口44aには、便器側配管63が結合され、他方のカップ吸引口44bには、カップ側配管39が結合されている。前記天板部の上面には、切換モーター121が取り付けられ、この切換モーター121のモーター軸121aが汚水タンク19の内部まで垂下している。前記天板部の下面には、取り付け板130を介して前記吸引弁44が取り付けられる。この吸引弁44の詳細は、次のとおりである。
【0064】
前記モーター軸121aの下端部に固着された切換アーム122の先端部には、直交して配置されたスライダー支持板124が切換アーム122とスライダー支持板124が互いに十字形を保持したまま軸方向に進退可能に2本のピン125で支持されている。前記スライダー支持板124の両端部には、ゴムなどの弾性軸126が設けられ、この2本の弾性軸126には、前記便器吸引口44aとカップ吸引口44bの開閉を切り換えるスライダ123が設けられている。このスライダ123を前記便器吸引口44aとカップ吸引口44bに圧接するため、前記スライダー支持板124に抑え板127を前記切換アーム122にねじ128で固着する。また、抑え板127の揺動位置に臨ませて2個の押圧ローラー129を設ける。このような構成とすることにより、汚水タンク19内の空気の吸引や圧搾空気の圧入により、スライダ123が前記便器吸引口44aとカップ吸引口44bに圧接して隙間が生じないようになっている。
前記スライダ123は、図5(b)の実線状態では、便器吸引口44aとカップ吸引口44bの2個同時に閉鎖できる楕円形をなし、2個の押圧ローラー129で抑え板127を押し付けると、スライダー支持板124を介して弾性軸126が圧縮され、スライダ123を便器吸引口44aとカップ吸引口44bの2個同時に圧接して閉鎖する。切換モーター121のモーター軸121aを図5(b)の鎖線のように左または右方向に60度回転すると、便器吸引口44aとカップ吸引口44bのいずれか一方が開口し、他方が閉鎖する。
【0065】
図2の排便制御部4において、前記汚水タンク19の便器吸引口44aには、便槽12の排出トラップ16の排便排出用の配管63が連結され、カップ吸引口44bには、カップ100の排便排出用の配管39が連結されている。また、この汚水タンク19の空気入出力部45は、ミストフィルター52を介してサクションモーター20に設けられた3位置切換用切換え弁53の弁体Aの入力(吸引)側と弁体Bの出力(外気圧送)側に連結され、この切換え弁53の弁体Aの出力(吐出)側と弁体ABの出力(外気圧送)側は、配管64により便器9側では、増圧タンク22に連結され、カップ100側では、温度監視センサー113を介して温風管105に連結され、また、前記配管64は、絞り弁51を介してフィルター21に連結されている。
前記3位置切換用切換え弁53の弁体A、AB、Bの切換えは、モーター弁49で行われる。
【0066】
図6は、全体の制御回路としてのCPU71とセンサーやスイッチ等との接続関係をを示すもので、前記CPU71には、操作パネル72が接続されている。この操作パネル72には、スイッチ類として、電源スイッチ73a、排泄物吸引スイッチ73b、汚水圧送スイッチ73c、便器・カップ切換えスイッチ73dが設けられている。また、表示ランプ類として、電源ランプ74a、動作中ランプ74b、洗浄水不足ランプ74c、汚水満水ランプ74dが設けられている。
図6のCPU71において、75はカップ100の小便センサー103及び大便センサー104からの入力端子、76はカップ100の洗浄と吸引の指示入力端子、79はサクションモーター20への出力端子、80は増圧タンク22の水位センサー34の入力端子、81は操作パネル入出力端子、82は洗浄水水位センサー入力端子、83は水圧センサー入力端子、84は水ポンプ出力端子、85は増圧タンク22への洗浄水供給弁32bへの出力端子、86は消臭ファン60への出力端子、87は着座センサー58の入力端子、88は大便センサー57の入力端子、89は小便センサー56の入力端子、90は汚物粉砕部43への出力端子、91はモーター弁49への出力端子、92は吸引弁44への出力端子、93は排出弁46への出力端子、94は汚水満水センサー41の入力端子、95は汚水空センサー40の入力端子、96は便槽満水センサー16aの入力端子、98は噴射ノズル16bの制御弁32aへの出力端子、114は保温タンク109の入力端子、115はカップ洗浄弁110への出力端子、116は水抜きポンプ111への出力端子である。
【0067】
以上のように構成された排泄物処理装置の作用を説明する。
1.温水便座ユニット11への給水動作
図7
・コネクター30が温水便座ユニット11に連結されていることを確認し、電源スイッチ73aをオンする。
・便槽満水センサー16aがNo、洗浄水センサー24がNo、水圧センサー29がYes、タイマータイムアップがNoであれば、水ポンプ27が作動し、洗浄水タイマーがスタートする。
・タイマーが20~30秒経過し、便槽満水センサー16aがYes、洗浄水センサー24がYes、水圧センサー29がNo、タイマータイムアップがYesになれば、水ポンプ27が停止し、洗浄水タイマーが停止する。
【0068】
2.便器9の動作
以下の便器9の動作説明において、カップ100のコネクタ108を外すと、このコネクタ108の部分で空気と水の流れは遮断される。
図8(a)
・電源73aをオンし、水不足表示器74cが非点灯となり、アラーム発生がNoとなり、便座蓋14aの開がYesとなり、着座センサー58がYesになると、図8(b)のプレ洗浄がスタートする。
図8(b)
・プレ洗浄がスタートすると、洗浄水弁32a開、水ポンプ27作動、タイマー3秒後、水ポンプ27停止、洗浄水弁32a閉となる。このプレ洗浄で、便槽12を濡らし、排泄物が便槽12に付着しづらくする。
・プレ洗浄後、排便して小便センサー56検知Yesになり、小便センサー56フラグ=1?を判断し、Noであれば、小便センサー56フラグ=1を設定し、図8(c)の洗浄水増圧タンク22の水供給をスタートする。
・プレ洗浄後、排便して小便センサー56検知Noになり、大便センサー57検知Yesになると、大便センサー57フラグ=1?を判断し、Noであれば、大便センサー57フラグ=1を設定し、図8(c)の洗浄水増圧タンク22の水供給をスタートする。
図8(c)において、洗浄水増圧タンク22への水供給のため、洗浄水弁32b開とし、水ポンプ27を作動し、タイマーが10秒経過後、水ポンプ27を停止し、洗浄水弁32b閉とする。
・排便後、着座センサー58がNoとなると、図9に示す吸引動作がスタートする。
・その後、図10に示す圧送動作がスタートする。なお、便器9では、原則として排便を吸引する毎に、圧送動作に移行するが、何回かの排便の後で圧送動作をスタートしてもよい。
・圧送動作の後、大便センサー57のプラグ=0とし、かつ、小便センサー56のプラグ=0として初期状態に戻る。
【0069】
3.便器9の吸引動作
図9
・吸引スイッチ73bを入れて吸引動作をスタートする。
・吸引弁44のスライダー123を60度回転して、便器吸引口44aを開、カップ吸引口44bを閉とし、また、排水弁46を閉とする。
・切換え弁53をABにセットし、サクションモーター20を2秒間駆動することにより、外気50を吸引し、増圧タンク22内の洗浄水袋33内の洗浄水を一気に便槽12内に放出する。
・切換え弁53をAにセットし、サクションモーター20を2秒間駆動し、空気入出口45から汚水タンク19内の空気を吸引し、その空気をミストフィルター52を介して増圧タンク22に送る。
・吸引弁44のスライダー123で便器吸引口44aを開、カップ吸引口44bを閉とした状態で、サクションモーター20を15秒間駆動することにより、便槽12内の大便、トイレットペーパーを含む汚水を配管63を通して汚水タンク19内に吸引する。
・吸引後、洗浄水弁32aを開き、水ポンプ27を3秒間作動して便槽12内を再度洗浄する。
・便槽12内の再度洗浄後、水ポンプ27を停止し、洗浄水弁32aを閉じ、吸引弁44のスライダー123を元に戻して便器吸引口44aとカップ吸引口44bをともに閉じて便器9の吸引を終了する。
【0070】
4.圧送動作(便器9から吸引した汚水と後述するカップ100から吸引した汚水の圧送に共用)
図10
・吸引弁44のスライダー123で便器吸引口44aとカップ吸引口44bをともに閉じ、排水弁46を閉じ、切換え弁53をBにセットし、粉砕モーター43aを5秒間回転して汚水タンク19内の汚物を粉砕する。
・排水弁46を開き、サクションモーター20を駆動して、外気50を空気入出口45から汚水タンク19内に圧送し、汚水タンク19内の汚水を逆止弁28を介して配管61から排出管47へ送る。
・汚水タンク19の空センサー40からの空出力がYesになったら、さらにサクションモーター20を5秒間駆動して停止し、排水弁46を閉じて圧送動作を終了する。
【0071】
5.カップ100の動作
以下のカップ100の動作説明において、カップ100のコネクタ108を結合すると、このコネクタ108の部分で空気と水の流れが連通する。
図11
・電源73aをオンし、水不足表示器74cが非点灯となり、アラーム発生がNoとなると、カップ動作に待機する。
・カップ小便センサー103がYesになると、後述する図12のカップ小吸引動作がスタートし、カウンターで+1を加算する。
・カップ小便センサー103がNoで、カップ大便センサー104がYesになると、後述する図13のカップ大吸引動作がスタートし、カウンターで+2を加算する。
・カウンターでは、小吸引が4を超えると(4回分の小モードの汚水が溜まり)、大吸引が2を超えると(2回分の小モードの汚水が溜まり)、前述した図10による圧送動作がスタートし、カウンターが0になると元に戻る。
【0072】
6.カップ100の小吸引動作
図12(a)
・切換え弁53がAであることを確認し、サクションモーター20を作動する。
図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートし、洗浄弁111を開き、水ポンプ27を作動し、洗浄水を2秒間送り洗浄して、水ポンプ27を停止する。この時、保温タンク109で保温された洗浄水の温度を安全タンク112でチェックする。
・タイマーで2秒後、小吸引モードのパラメータとして、水ポンプ27の洗浄作業時間を2秒、洗浄回数3回、洗浄間隔18秒の各設定値をそれぞれのレジスタに設定する。
・再度、図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートしてカップ100を洗浄する。
・温水ポンプ洗浄カウンタを+1とする。ついで、カップ大便センサー104が検出されなければ、洗浄カウンタが3回になるまで繰り返す。
・カップ大便センサー104が検出されれば、大吸引モードのパラメータとして、水ポンプ27の洗浄作業時間を4秒、洗浄回数5回、洗浄間隔16秒の各設定値をそれぞれのレジスタに設定する。なお、小吸引処理の洗浄時に、大便センサー104を検出したときは、第吸引モードに移行して小吸引モードには移行しない。
・洗浄カウンタが洗浄回数に達すると、配管内の水にある残圧の影響を避けるため、タイマーで5秒後に、水抜きポンプ111を5秒間作動し、便器9とカップ100の配管内の残水と空気を送り、カップ100内に排出する。
・水抜き動作の5秒後にサクションモーター20を停止して終了する。
【0073】
7.カップ100の大吸引動作
図13
・切換え弁53がAであることを確認し、サクションモーター20を作動する。
・前述の図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートし、洗浄弁111を開き、水ポンプ27を作動し、洗浄水を2秒間送り洗浄して、水ポンプ27を停止する。この時、保温タンク109で保温された洗浄水の温度を安全タンク112でチェックする。
・タイマーで2秒後、大吸引モードのパラメータとして、水ポンプ27の洗浄作業時間を4秒、洗浄回数5回、洗浄間隔16秒の各設定値をそれぞれのレジスタに設定する。
・再度、図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートしてカップ100を洗浄する。
・温水ポンプ洗浄カウンタを+1とする。ついで、カップ大便センサー104が検出されなければ、洗浄カウンタが5回になるまで繰り返す。
・洗浄カウンタが洗浄回数に達すると、配管内の水にある残圧の影響を避けるため、タイマーで5秒後に、水抜きポンプ111を5秒間作動し、便器9とカップ100の配管内の残水と空気を送り、カップ100内に排出する。
・水抜き動作の5秒後にサクションモーター20を停止して終了する。
【0074】
8.圧送動作
・カップ100から吸引した汚水の汚水タンク19からの圧送動作は、図10に示す便器9から吸引した汚水の圧送と変わるところはない。ただし、便器9から吸引した汚水の圧送は、便器9からの吸引毎に行うが、カップ100から吸引した汚水は、複数回分を貯留してから行う。しかし、これらの回数は、適宜決定する。
【0075】
前記実施例では、サクションモーター20に、A、AB、Bの3モードに切り替え可能に切換え弁53を連結し、Aモードでは、便器9とカップ100からの汚水の吸引をし、ABモードでは、増圧タンク22とカップ100への送風をし、Bモードでは、汚水タンク19から外部の排水管47への圧送との機能を果たすように構成した。
しかし、これに限られるものではなく、それぞれの機能を独立したサクションモータとしてもよく、また、いずれか2つの機能と1つの機能のサクションモーターとしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…便器制御部、2…カップ制御部、3洗浄水制御部、4…排便制御部、5…外部排出部、6…利用者、7…おむつ、8…ベッド、9…椅子型便器(便器)、10…便器本体、11…温水便座ユニット、12…便槽、13…便座縁、14…便座、15…便座蓋、16…排出トラップ、17…洗浄水噴出口、18…洗浄水タンク、18a…サブタンク、19…汚水タンク、20…サクションモーター、21…フィルター、22…増圧タンク、23…車輪、24…洗浄水水位センサー、25…洗浄水、26…フィルター、27…水ポンプ、28…逆止弁、29…水圧センサー、30…コネクター、31…リリーフ弁、32…洗浄水供給弁、33…洗浄水袋、34…水位センサー、35…空気圧入力部、36…洗浄水入力部、37…洗浄水出力部、38…肘掛け、39…配管、40…汚水空センサー、41…汚水満水センサー、42…汚水、43…汚物粉砕部、44…吸引弁、45…空気入出力部、46…排出弁、47…排出管、48…リモコンスイッチ、49…モーター弁、50…外気、51…絞り弁、52…フィルター、53…切換え弁、54…切換えスイッチ、56…小便センサー、57…大便センサー、58…着座センサー、60…消臭ファン、61…配管、62…外容器、63…配管、64…配管、65…逆止弁、66…水ポンプ制御回路、67…水圧設定回路、68…比較回路、69…PWM制御回路、71…CPU、72…操作パネル、73a…電源スイッチ、73b…排泄物吸引スイッチ、73c…汚水圧送スイッチ、73d…便器・カップ切換えスイッチ、74a…電源ランプ、74b…動作中ランプ、74c…洗浄水不足ランプ、74d…汚水満水ランプ、79…サクションモーター出力端子、80…水位センサー入力端子、81…操作パネル入出力端子、82…洗浄水水位センサー入力端子、83…水圧センサー入力端子、84…水ポンプ出力端子、85…洗浄水供給弁出力端子、86…脱臭ファン出力端子、87…着座センサー入力端子、88…大便センサー入力端子、89…小便センサー入力端子、90…粉砕装置出力端子、91…モーター弁出力端子、92…吸引弁出力端子、93…排出弁出力端子、94…汚水満水センサー入力端子、95…汚水空センサー入力端子、96…満水センサー入力端子。97…空センサー入力端子、98…噴射ノズル用制御弁32aへの出力端子、99…吸臭孔、100…差し込み便座(カップ)、101…排便受け部、102…排便吸引孔、103…小便センサー、104…大便センサー、105…送風管、106…送水管、107…電気コード、108…コネクタ、109…保温タンク、110…洗浄弁、111…水抜きポンプ、112…安全タンク、113…温度監視センサー、114…保温タンク入力端子、115…洗浄弁出力端子、116…水抜きポンプ出力端子、117…安全タンクセンサー入力端子、118…温度監視センサー入力端子、119…吸引箱、120…吸引ホース、121…切換モーター、122…切換アーム、123…スライダー、124…スライダー支持板、125…ピン、126…弾性軸(ゴム)、127…抑え板、128…ねじ、129…押圧ローラー、130…切換え弁取付板。
図1
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