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特許7065841粉末を線形状に準備して材料粉末から層状にオブジェクト製造する設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】粉末を線形状に準備して材料粉末から層状にオブジェクト製造する設備
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/321 20170101AFI20220502BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20220502BHJP
   B22F 10/37 20210101ALI20220502BHJP
   B22F 12/57 20210101ALI20220502BHJP
   B22F 12/67 20210101ALI20220502BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220502BHJP
   B29C 64/214 20170101ALI20220502BHJP
   B29C 64/343 20170101ALI20220502BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220502BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220502BHJP
【FI】
B29C64/321
B22F10/28
B22F10/37
B22F12/57
B22F12/67
B29C64/153
B29C64/214
B29C64/343
B33Y30/00
B33Y40/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019519662
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017074345
(87)【国際公開番号】W WO2018069036
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】202016006355.4
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518171878
【氏名又は名称】リアライザー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Realizer GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauptstrasse 35, 33178 Borchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フォッケレ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ゴルツ
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-245981(JP,A)
【文献】特開2009-279928(JP,A)
【文献】特開2008-126672(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008022495(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0224712(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02286982(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/151783(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00,30/00,40/00
B22F 1/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料粉末から3次元のオブジェクトを製造する設備(1)であって、この製造は、処理面(42)上に位置している前記材料粉末を、それぞれの層(40)の、幾何学形状データに従ってまさに製造すべきオブジェクトに相当する箇所において、層状に硬化させることによって行われ、当該設備(1)は、前記処理面を取り囲む処理底部(46)および粉末供給装置(10)を、前記処理面(42)上における前記粉末の供給、準備および分配のために含んでおり、前記粉末供給装置(10)は、
前記粉末供給装置(10)内に前記粉末を供給する搬送エレメント(12)と、
少なくとも1つの前記搬送エレメント(12)によって前記粉末が内部に供給される貯え室(14)と、
前記貯え室(14)内における粉末に作用することができ、これによって前記粉末を調量された量で前記処理面(42)に隣接させて前記処理底部(46)において準備することができる、処理搬送エレメント(16)と、
前記処理面(42)に隣接して準備された前記粉末を、前記処理面(42)にわたって分配する処理スライダ(18)と、
を含んでおり、
前記処理搬送エレメント(16)は、前記粉末が前記処理面(42)に隣接して線の形で準備可能であるように設計されている、設備(1)において、
前記処理搬送エレメント(16)は、一方向において往復移動可能な縦長のスライド面(19)を用いて前記粉末に作用し、
前記搬送エレメント(12)は、スクリュコンベヤを含んでいるか、またはスクリュコンベヤであり、
前記線の形は、連続していて、かつそれぞれの部分において1つの幅を有していて、かつ粉末線のすべての部分が互いに連続して並んでおり、ひいては1つの長さを確定しており、このときこの長さは、幅の少なくとも10倍の大きさである形状であり、
前記粉末は、前記スライド面(19)によって前記貯え室から離れる方向に移動させられ、縦長の前記スライド面の形状に応じて、前記線の形で前記処理面に隣接して配置されていることを特徴とする、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項2】
前記貯え室(14)は、縦長に形成されており、かつ前記搬送エレメント(12)は、貯え搬送エレメント(20)に接して終端しており、該貯え搬送エレメント(20)は、部分的に前記貯え室(14)内に配置されているか、または前記貯え室(14)に隣接して配置されており、これによって、供給された前記粉末が、前記貯え室(14)に沿って分配され、前記貯え搬送エレメント(20)は、前記粉末を互いに逆向きの搬送方向に搬送し、かつ/または前記粉末を同時に互いに逆向きの2つの方向に搬送する、2つの形式で作動可能である、
請求項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項3】
前記貯え搬送エレメント(20)は、スクリュコンベヤを含んでいるか、またはスクリュコンベヤであり、該スクリュコンベヤは、前記貯え室(14)に沿って延びている、
請求項2記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項4】
前記線は、直線であるか、または全体的に等しい厚さを有していない、
請求項1から3までのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項5】
前記処理スライダ(18)は、準備された前記粉末を、並進移動によって前記処理面にわたって分配する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項6】
前記処理スライダ(18)は、前記処理底部(46)に対して移動調節可能であり、これによってあるときは、前記処理スライダ(18)の下端部が前記処理底部(46)に接触するか、または極めて近傍に達し、これによりあるときは、前記下端部が前記処理底部(46)から間隔をおいて位置する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項7】
前記線の形は、それぞれの部分において、処理底部に関して、ある一定の高さを有しており、かつこの高さは、長さの少なくとも1/10未満である、
請求項1からまでのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項8】
前記処理底部(46)に、縦長のスリット状の開口(21)が前記貯え室(14)にまで形成されており、前記開口(21)内への前記処理搬送エレメント(16)の導入によって前記処理面(42)へと隣接させて前記粉末を移動させるようになっている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項9】
前記貯え室(14)は、前記処理底部(46)の下に、かつ平面図で見て前記処理面(42)の側部に配置されている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【請求項10】
前記処理搬送エレメント(16)は、往復動ピストンエレメントとして形成されている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の、粉末供給装置(10)を備えた設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料粉末から3次元のオブジェクトを製造する設備であって、この製造は、処理面上に位置しているこの材料粉末を、それぞれの層の、幾何学形状データに従ってまさに製造すべきオブジェクトに相当する箇所において、層状に硬化させることによって行われ、このとき設備は、処理面を取り囲む処理底部および粉末供給装置を、処理面上における粉末の供給、準備および分配のために含んでおり、このとき粉末供給装置は、
・粉末供給装置内に粉末を供給する搬送エレメントと、
・少なくとも1つの搬送エレメントによって粉末が内部に供給される貯え室と、
・貯え室内における粉末に作用することができ、これによって粉末を調量された量で処理面に隣接させて処理底部において準備することができる、処理搬送エレメントと、
・処理面に隣接して準備された粉末を、処理面にわたって分配する処理スライダと、
を含んでいる、設備に関する。
【0002】
このような設備では、製造処理は通常、下記のステップ、すなわち、
- 処理面を、取り囲む処理底部に関して使用する粉末に対して適合する高さに移動させるステップ、
- 粉末量を、処理面に隣接させて準備するステップ(これは上に述べたステップと同時に行うことも、または上に述べたステップの前に行うことも可能である)、
- 処理スライダまたは他の相応の工具を用いて、粉末を処理面上にもしくは処理面にわたって均一に分配するステップ、
- 処理面上に分配された粉末の相応の領域を、例えばレーザ溶融によって硬化させるステップ、
- 場合によっては、余剰の硬化されていない粉末を除去するステップ、および
- 処理面を新たに移動させ、かつさらなる粉末を準備するステップ、
の繰り返しによって実行される。
【0003】
このとき製造されるオブジェクトの品質にとって重要なことは、それぞれの層において可能な限り正確に、所望の量の粉末が、可能な限り正確に所望の箇所において硬化されることであり、これによってオブジェクトを、幾何学形状データに従った所望の幾何学形状で、かつ特に可能な限り均質な所望の固体マイクロ構造で製造することができる。
【0004】
しかしながらそのためには、処理面上における粉末の可能な限り均一な分配が好適である。したがって、粉末の均一な分配は、所望のオブジェクトの精密な製造のために極めて重要である。
【0005】
しかしながら従来のシステムにおいて、粉末のこの均一な分配は、常に達成されているわけではない。例えば1つの公知の設備型式において粉末は、一塊に準備され、次いで回転するスライダまたは直線的に移動可能なスライダによって、処理面にわたって分配される。しかしながらこのことによって、粉末分配の許容できる均一性を得ることは常に達成されるわけではない。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、従来技術におけるよりも均一な粉末分配を達成することができる設備を提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備えた設備によって解決される。好適な構成は、従属請求項の対象である。
【0008】
本発明によれば、粉末を、処理面に接してまたは処理面のそばで、もしくは処理面に隣接して、線の形で準備することが提案される。これによって、粉末の、従来公知の準備形態に対して、粉末の、次いで行われる均一な分配に関して、大きな利点が提供される。それというのは、粉末はもはや、スライダの延在に関しても、個々の小さな領域において集中しないからであり、これによって、スライダによって擦過される相応な領域における、粉末層の不均一な厚さが防止される。
【0009】
好ましくは、粉末を処理面に隣接させて準備する処理搬送エレメントは、一方向において往復移動可能な縦長のスライド面を備えて形成されている。
【0010】
これによって、粉末は、直に貯え室から離れる方向に移動させられ、縦長のスライド面の形状に応じて、ほぼまたは完全に線形状で処理面に隣接して配置されている。
【0011】
線は、好ましくは直線であるか、または例えば凹面状に湾曲している。この構成が好適であるのは、処理面は通常、例えば正方形、方形または円形のような単純な幾何学形状の形で形成されているからである。処理面の形状への線形状の適合によって、はるかに、処理面のそれぞれの部分に対して、処理面の一空間方向に沿って分配すべき適宜な粉末量を準備することができる。
【0012】
処理面が相応に他の形状を有している場合には、場合によっては相応に他の線形状を選択することも可能である。同時に処理面の特定な形状では、例えば既に円形の処理面においては、提供された粉末線が全体的に等しい厚さを、もしくは等しい幅を有しておらず、もしくは単位長さ当たり等しい量の粉末を有していないことが好適である。なぜならば、粉末線への処理面の投影図で見て、ある一定の領域においてより多くの処理面が特定の線部分に達し、これによってより多くの処理面がこれらの部分によって、擦過されねばならないからである。そのためには、線の対応する領域で増大させられた粉末量が、好適であることがある。
【0013】
好ましくは、処理スライダは、準備された粉末を、並進移動によって処理面を越えて、特に一方向への並進移動および逆方向への並進移動だけによって、分配する。並進移動は、従来のスライダの回転移動に対して、線形状における粉末の準備との組合せにおいて、特に均一な移動および均一な粉末分配を提供し、この均一な粉末分配は、線形状に基づいてまた処理面のすべての領域に達する。
【0014】
本発明の別の実施形態では、準備された粉末は、回転移動するもしくは旋回移動するスライダによっても分配することができる。
【0015】
処理スライダは、好ましくは処理底部に関して制御可能に高さ調節可能であり、これによってあるときは処理スライダの下端部が処理底部に接触するか、または極めて近傍に達し(例えば粉末粒子の厚さよりも僅かな間隔をおいて)、これによりあるときは、下端部は処理底部から間隔をおいて位置する(好ましくは線形状に準備された粉末の最大高さよりも大きな間隔をおいて)。
【0016】
このことは、一方では処理スライダを処理底部の近傍に保つか、または処理底部との接触状態に保つことを可能にし、これによって処理スライダは、移動時にほぼ、準備された線の全粉末を運ぶことになる。他方において処理スライダは、移動の後で、処理面の他方の側に向かって、処理面および/または新たに準備された粉末線を越えて上昇させられてよく、このようにすると、新たに同様な移動により粉末を移動させることができる。
【0017】
貯え室は、好ましくは縦長に形成されており、特に既に述べた縦長のスライド面に対応して形成されている。さらに搬送エレメントは、好ましくは貯え搬送エレメントに接して終端しており、該貯え搬送エレメントは、部分的に貯え室内に配置されているか、または貯え室に隣接して配置されており、これによって供給された粉末を貯え室に沿って分配することができる。
【0018】
このように構成されていると、貯え室内における粉末の分配によって、線形状の準備が既に部分的に準備されていることになる。特に、一方向において往復移動可能な縦長のスライド面を含む処理搬送エレメントを備えた構成では、粉末の線形状の準備は、既に、貯え室から処理底部に向かってのスライド面の一回の往復動によって実現されている。
【0019】
このとき貯え搬送エレメントは、好ましくはスクリュコンベヤを含んでおり、該スクリュコンベヤは、貯え室に沿って延びている。
【0020】
好ましくは、特に、スクリュコンベヤとしての、またはスクリュコンベヤを備えた構成において、貯え搬送エレメントは、互いに逆向きの搬送方向への粉末の搬送を生ぜしめる2つの形式で作動可能である。このことが好適であるのは、この場合搬送エレメントは、貯え室の中央に流すことができるからであり、これによって貯え室内における粉末の均一な分配が、より良好に保証され、このことはさらに、準備された粉末線に沿った粉末のより均一な分配を促進する。これによってまた搬送エレメントが、貯え室の中央で開口していない構成も、かつ貯え室の縁部において開口していない構成も可能である。
【0021】
特に好ましくは、このことは、貯え搬送エレメントが、あるときは左回転するように、かつあるときは右回転するように駆動可能であるスクリュコンベヤとして構成されている実施形態において実現することができ、これによって粉末はその都度、スクリュコンベヤに沿って一方の方向に、かつ相応の逆方向に搬送され、このときこれに関連して、スクリュが、同一形状に連続するスクリュ螺条を有していることが前提条件となる。このことは、また技術的に簡単に、電動機またはこれに類したものを用いて実現することができ、しかしながらまた代替的に、貯え搬送エレメントもしくはスクリュコンベヤを両回転方向に選択的に駆動するのに適した他の駆動装置によって行うことも可能である。
【0022】
代替的にまた貯え搬送エレメントは、異なった搬送形態を有する領域を備えて形成されていてもよく、これらの領域のうち、一方の領域は粉末を貯え室に沿って一方の方向に搬送し、かつ他方の領域は逆向きの方向に搬送する。このとき両領域は、貯え室に開口する搬送エレメントの領域において互いに隣接して位置しており、これによって粉末は貯え室全体において分配される。このとき同様に、貯え室に関して搬送エレメントが中央で開口していることも可能である。したがって搬送エレメントが貯え室の中央で開口していない構成も、貯え室の縁部において開口していない構成も可能である。
【0023】
スクリュコンベヤを備えた構成において、このことは、スクリュが、同一形状で連続するスクリュ螺条を有しているのではなく、一方向への回転方向を有するスクリュ螺条を備えた領域と他方向への回転方向を有する領域とを有していることによって、実現することができる。
【0024】
好ましくは、処理搬送エレメントは、処理底部に関して、下から作業を行い、つまり貯え室は、処理底部の下に位置しており、処理底部は、相応に縦長のスリット状の開口を貯え室に向かって有している。このとき貯え室からこの開口内への処理搬送エレメントの移動によって、粉末は直接、線形状で、処理面に隣接して準備される。
【0025】
このことを達成させる特に好適な構成では、処理搬送エレメントは上面に縦長のスライド面を備えて形成されていて、このスライド面がほぼ、処理底部と面一にかつ同じ高さになるまで移動させられる。
【0026】
好ましくは、処理搬送エレメントは、問題になるような量の粉末が処理搬送エレメントの上面と開口の内壁との間に達し得ないように、開口に合わせられて形成されている。これによって、処理搬送エレメントの単位長さ当たりの確定された粉末量を、粉末線に対して準備することが保証される。
【0027】
好ましくは、処理搬送エレメントは、一種の直方体形状の往復動ピストンエレメントとして形成されており、この往復動ピストンエレメントは、制御されて上昇・下降することができる。すなわち、縦長のピストンヘッドが設けられており、このピストンヘッドの上面には、スライド面が対応して形成されており、かつピストンヘッドは、スライド面の延在長さに関して、ほぼスリット状の開口の長さに相当しており、かつ同様に開口の形状に合致しているので、ピストンヘッドはその行程移動時に、線形状の粉末量を貯え室から、処理底部の直ぐ上の所望のレベルに搬送することができる。
【0028】
一般的に貯え室は、好ましくは処理底部の下に配置されていて、かつ平面図で見て処理面の側部に配置されている。
【0029】
一般的に、保護雰囲気を必要とする粉末材料が使用されるので、処理底部および処理面は、一般的に、処理室の下面もしくは底部として形成されており、処理室は、保護雰囲気を得ることに関して相応に、壁、カバー、および相応のガスの供給・排出のための開口、および/または処理のために必要な他のエレメントおよび/または他の対象物のための開口を、気密な形式で有している。
【0030】
好ましくは、処理面は、相応のオブジェクトピストンのヘッドによって支持されている。
【0031】
「線形状に」もしくは「線の形で」という概念は、本発明に関しては、特に、粉末線もしくは線形状に準備された粉末、もしくは線の形で準備された粉末は、粉末の集合体であると理解することができ、この集合体は、連続していて、かつそれぞれの部分において1つの幅を有していて、かつ粉末線のすべての部分が互いに連続して並んでおり、ひいては1つの長さを確定しており、このときこの長さは、幅よりも著しく大きく、特に幅の少なくとも10倍の大きさである。このような粉末線はまた、それぞれの部分において、特に処理底部に関して、ある一定の高さが存在しており、かつこの高さは、長さとの比較において同様に極めて小さく、好ましくは長さの少なくとも1/10未満であると理解することができる。
【0032】
本発明に関して、長さ、高さまたはその他の3次元座標に関して「ほぼ」という記載は、ほぼ等しく延ばされた領域内において該領域の延びが、ある一定の寸法内で異なっており、この寸法は、平均的な粒径またはそれよりも小さな粒径のオーダに相当しており、好ましくは特に100よりも小さな粒径のオーダに相当していると理解することができる。
【0033】
処理面に対する粉末の隣接した配置というのは、ここでは、粉末と処理面との間にある一定の間隔が存在していてよい、ならびに粉末と処理面との間にもはや間隔が存在しておらず、かつ場合によっては粉末の一部が既に処理面上に位置していると理解することができる。
【0034】
次に、図面に示された実施形態を参照しながら、本発明を説明する。このとき本発明は、図示の実施形態に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の1実施形態による、3次元のオブジェクトを製造する本発明に係る設備を示す鉛直断面図である。
図2図1に示された設備を、破線A-Aの高さで断面して示す水平断面図である。
【0036】
図1に示されているように、材料粉末から3次元のオブジェクトを製造する本発明に係る設備1は、処理面42を含んでおり、この処理面42上には、粉末層40を配置することができ、その後で例えばレーザ44を用いて、この粉末層40の幾つかの領域を硬化させることができる。このとき処理面42は、処理ピストン50の上側に、かつ処理ピストン50の上面と面一であり、この処理ピストン50は、粉末層40の加工後に下方に移動し、これによって次の粉末層40を積層すること、もしくは後続の硬化を行うことができる。
【0037】
このとき処理面42に隣接して処理面42を取り囲むように処理底部46が配置されており、この処理底部46は、処理面42と処理室48の底部を形成している。
【0038】
それぞれの硬化工程後および処理ピストン50の下降移動後に、新たな粉末層40が積層されねばならない。このことは、本発明によれば、上面に縦長のスライド面19を有している処理搬送エレメント16が、下から、粉末によって完全にまたは部分的に満たされた貯え室を貫いて移動させられることによって行われ、この移動は、処理搬送エレメント16のスライド面19が、程度の差こそあれ処理底部46と面一になるまで続けられる。
【0039】
処理搬送エレメント16のスライド面19は、線の形に形成されているので、それぞれの該当する行程動作後に、これによって粉末も線の形で、示された幾何学形状に対応して、処理面42に隣接配置されて提供される。
【0040】
このとき処理搬送エレメント16は、貯え室14と処理底部46との間に形成されているスリット状の開口21内に移動する。粉末が処理面42に隣接して、線の形で準備された後で、処理スライダ18が移動させられ、このとき処理スライダ18は、処理底部46に接触し、次いで並進的に処理面42にわたって移動し、これによって処理スライダ18は、粉末線を運び、かつ処理面42にわたって分配する。処理スライダ18は次いで、粉末のさらなる分配のために、再び並進的に同じ高さで処理面42にわたって戻り移動させられるか、または処理スライダ18は、相応に再び上方に向かって移動させられ、これによって処理スライダ18は、処理面42もしくは処理面42上に分配された粉末との接触なしに、再びその出発位置に達することができる。
【0041】
代替的な実施形態によれば、処理スライダ18はまた、処理スライダ18をその前進・後退移動時にその反転点の直前において、処理スライダ18によって前に押し退けられた残留粉末を越えて持ち上げることができるように、制御されて上昇移動可能に構成されていてよい。このように構成されていると、残留粉末を、戻り移動時に再び運んで、処理面42上において分配することができる。
【0042】
貯え室14を十分な粉末によって満たしておくために、スクリュコンベヤとして形成された搬送エレメント12が、貯え室14内に開口している。貯え室14内における粉末が不十分な場合には常に、搬送エレメント12が適宜作動させられる。
【0043】
このときもちろん、所望の保護ガス雰囲気に基づいて相応のシール手段が、保護ガスが逃げるまたは室空気雰囲気が流入するおそれがある、すべての臨界箇所に設けられている。
【0044】
図2に示されているように、貯え室14および処理搬送エレメント16もしくは処理搬送エレメント16の、スライド面19を備えた上面は、縦長に構成されている。貯え室14に沿って、貯え搬送エレメント20が延びており、この貯え搬送エレメント20もまた同様に、スクリュコンベヤとして形成されている。搬送エレメント12が貯え室14内に開口していて、かつ貯え搬送エレメント20が残りの貯え室14に向かって壁を有していないので、貯え搬送エレメント20は、貯え室内に存在する粉末14を、貯え室14の長手方向に沿って移動させること、もしくは分配することができる。
【0045】
貯え室14内における粉末の均一な分配を比較的良好に達成するために、貯え搬送エレメント20もしくはスクリュコンベヤ20は、両方向に作動可能なモータに接続されている(図示せず)。これによって図2に関して貯え搬送エレメント20は、貯え室14内における粉末を右から左に向かって搬送することも、左から右に向かって搬送することもできる。
【0046】
代替的に、スクリュコンベヤ20は、同形状に連続するスクリュ螺条を有しておらず、回転方向がほぼ、貯え室内に搬送エレメント12が開口するところで変化するように構成されてもよい。このように構成されていると、スクリュコンベヤ20の回転時に、粉末は両方向において貯え室14に沿って分配される。
【0047】
これによって両方の場合において、搬送エレメント12もしくはスクリュコンベヤ12は、縦長の貯え室14もしくは貯え室14の長手方向に関して、事実上真ん中で終端していることが可能になる。このことは同様に、貯え室14内における粉末の均一な分配を容易にする。
図1
図2