IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許7065843一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ
<>
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図1
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図2
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図3
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図4
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図5
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図6
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図7
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図8
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図9
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図10
  • 特許-一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】一体型スルーホール相互接続部を備える放射線検出器シンチレータ
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20220502BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
G01T1/20 B
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 L
A61B6/03 320S
A61B6/03 373
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019521149
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2017076550
(87)【国際公開番号】W WO2018077681
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-13
(31)【優先権主張番号】62/412,876
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】シャッポ マルク アンソニー
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521283(JP,A)
【文献】特表2016-503506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 -1/16
1/167-7/12
A61B 6/00 -6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器タイルのシンチレータ層であって、
複数のシンチレータ画素と、
前記複数のシンチレータ画素の各々を囲む非シンチレーション材料及び光反射材料の複数の壁であって、前記複数のシンチレータ画素の1のシンチレータ画素を囲む前記壁が、互い絶縁されていない、壁と、
画素のための少なくとも一つの導電性相互接続部であって、前記少なくとも一つの導電性相互接続部は、前記壁の全深さに沿って前記画素の壁内に延在する、少なくとも一つの導電性相互接続部と
を有する、シンチレータ層。
【請求項2】
前記シンチレータ画素のための少なくとも一つの第2の導電性相互接続部であって、前記少なくとも一つの第2の導電性相互接続部は、前記シンチレータ画素の同じ壁において配置される、少なくとも一つの第2の導電性相互接続部
をさらに有する、請求項1に記載のシンチレータ層。
【請求項3】
前記シンチレータ画素のための少なくとも一つの第2の導電性相互接続部であって、前記少なくとも一つの第2の導電性相互接続部は、前記シンチレータ画素の第2の異なる壁において配置される、少なくとも一つの第2の導電性相互接続部
を更に有する、請求項1に記載のシンチレータ層。
【請求項4】
前記少なくとも一つの導電性相互接続部は、前記シンチレータ画素の2つの壁が交差する角に配置される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシンチレータ層。
【請求項5】
前記壁は前記シンチレータ層の外壁である、請求項1に記載のシンチレータ層。
【請求項6】
前記壁は前記シンチレータ層の内壁である、請求項1に記載のシンチレータ層。
【請求項7】
前記導電性相互接続部は、導電性ナノ材料又は導電性散乱防止材料のうちの少なくとも一つを含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載のシンチレータ層。
【請求項8】
マルチエネルギー検出器アレイであって、
上部シンチレータ層と、
前記上部シンチレータ層に光学的に結合される上部光センサと、
前記上部光センサに電気的に結合され、非シンチレーション材料及び光反射材料の複数の壁によって囲まれる少なくとも1つのシンチレータ画素を含む、下部シンチレータ層と、
前記下部シンチレータ層に光学的かつ電気的に結合される下部光検出器と
を含む検出器タイル
を有し、前記複数の壁は、前記上部光センサの上端から前記下部光検出器の下端にまで延在する少なくとも1つの導電性相互接続部を含み、前記壁が互いに絶縁されていない、マルチエネルギー検出器アレイ。
【請求項9】
前記少なくとも一つの導電性相互接続部は導電性金属を有する、請求項8に記載の検出器アレイ。
【請求項10】
前記少なくとも一つの導電性相互接続部は導電性ナノ材料を有する、請求項8に記載の検出器アレイ。
【請求項11】
前記上部光センサは、前記少なくとも一つの導電性相互接続部と電気的に接触している電気的読み出し接点を含む、請求項8乃至10の何れか一項に記載の検出器アレイ。
【請求項12】
前記電気的読み出し接点は光センサ画素の端部に配置され、前記上部光センサは、光センサ画素の中央領域に配置される読み出し電極と、前記読み出し電極と前記電気的読み出し接点とを電気的に接続する導電性トレースとを含む、請求項11に記載の検出器アレイ。
【請求項13】
前記下部光検出器は、
光センサ画素の上端にあり、前記下部シンチレータ層の前記少なくとも一つの導電性相互接続部と電気的に接触する、上部電気的接点と、
前記光センサ画素の下端における底部電気的接点と、
前記上部電気的接点と前記底部電気的接点とを電気的に接続する、電気的相互接続部と、
前記光センサ画素の中央領域における読み出し電極と
を含む、請求項8乃至12の何れか一項に記載の検出器アレイ。
【請求項14】
前記下部光検出器に電気的に結合される処理電子回路
を更に有する、請求項8乃至13の何れか一項に記載の検出器アレイ。
【請求項15】
前記処理電子回路は、前記下部光検出器の底部電気的接点と前記下部光検出器の読み出し電極との両方と電気的に通信する特定用途向け集積回路を有する、請求項14に記載の検出器アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して放射線検出器用のシンチレータに関し、より詳細には、シンチレータアレイの少なくとも1つのシンチレータ画素の少なくとも1つの壁内に少なくとも1つのスルーホール相互接続部を有するシンチレータアレイに関し、特にコンピュータ断層撮影法(CT)への適用に関してここに記載されるが、他の画像モダリティにも適している。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)放射線検出器は、フォトダイオードのような固体光検出器に直接取り付けられた水晶又はガーネットシンチレータを含む。シンチレータ材料は、吸収X線光子に応答して光子を生成し、光子は光検出器によって電気信号に変換される。電気信号は画像を生成するために処理される。多層スペクトル(マルチエネルギー)CT検出器は、垂直に構成された検出器又は水平に構成された検出器を含む。両方のタイプの検出器は、一方が他方の上にあり、一方が放射源に近く、他方が放射源からより遠くにあり、それぞれが異なる光子エネルギー範囲に同調される、少なくとも2つの(デュアルエネルギー)積層シンチレータを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
垂直に配置された検出器では、光検出器はシンチレータの側面に取り付けられている。水平に配置された検出器では、少なくとも光検出器がシンチレータ間に取り付けられている。そのため、水平に配置された検出器は、シンチレータ間、シンチレータの下側のまわりにある光検出器から画像生成のための処理電子回路へ信号をルーティングするためにフレックス又は他の回路を必要とする。残念なことに、そのようなフレックス又は他の回路は、X線ビームの経路内にあり、X線光子を減衰させ、患者を横切るX線がフレックス又は他の回路によって減衰され、検出されないという点で線量効率を低下させる。したがって、患者を放射するが、最終画像には寄与しない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載の態様は、上で参照した問題及び/又は他の問題に対処する。
【0005】
一態様では、シンチレータ層は、複数のシンチレータ画素と、複数のシンチレータ画素のそれぞれを囲む非シンチレーション材料の壁と、画素用の少なくとも1つの導電性相互接続部(224)とを含み、前記少なくとも1つの導電性相互接続部は、壁の全深さに沿って画素の壁内に延在する。
【0006】
別の態様では、マルチエネルギー検出器アレイは、上部シンチレータ層と、上部シンチレータ層に光学的に結合される上部光センサと、上部光センサに電気的に結合される下部シンチレータ層と、下部シンチレータ層に光学的かつ電気的に結合される下部光検出器とを含む積層検出器タイルを含む。下部シンチレータ層は、非シンチレーション材料の少なくとも1つの壁によって囲まれる少なくとも1つのシンチレータ画素を含み、少なくとも1つの壁は、上部光センサの壁の上端から下部光検出器の壁の下(底)端にまで延在する少なくとも1つの導電性相互接続部を含む。
【0007】
別の態様では、少なくとも一つの上部シンチレータ層と、上部シンチレータ層に光学的に結合される上部光センサと、上部光センサに電気的に結合される下部シンチレータ層と、下部シンチレータ層に光学的かつ電気的に結合される下部光検出器とを含む積層マルチエネルギー検出器タイルにおいて光センサ信号をルーティングする方法が、上部シンチレータ層において、第1のエネルギーのX線光子と第2のエネルギーのX線光子とを含むX線光子を受け取るステップと、前記上部シンチレータ層を用いて、前記第1のエネルギーのX線光子を第1の光子に変換するステップと、前記上部光センサを用いて、前記第1の光子を検出し、それを示す第1の電気信号を生成するステップと、前記下部シンチレータ層の側壁のスルーホール相互接続部を通じて、前記第1の電気信号を前記下部光検出器にルーティングするステップと、前記下部光検出器を用いて、前記第1の電気信号を処理電子回路にルーティングするステップとを含む。
【0008】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の配置、ならびに様々なステップ及びステップの配置において形をとることができる。図面は、好ましい実施形態を例示する目的のためだけのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一体型スルーホール相互接続部を有するシンチレータ層を含む検出器タイルを有する検出器モジュールを有する例示的な撮像システムを概略的に示す。
図2】一体型スルーホール相互接続部を有するシンチレータ層を含む検出器タイルの一例を概略的に示す。
図3】一体型スルーホール相互接続部を有するシンチレータ層と、対応する電気的相互接続部を有する上部及び下部光センサとを含む、検出器タイルのサブ部分の分解図を概略的に示す。
図4図3に記載の光センサ相互接続部の変形例を概略的に示す。
図5】シンチレータ層内の一体型スルーホール相互接続部の位置の変化を概略的に示す。
図6】シンチレータ層内の一体型スルーホール相互接続部の他の位置の変化を概略的に示す。
図7】シンチレータ層内の一体型スルーホール相互接続部の他の位置の変化を概略的に示す。
図8】シンチレータ層内の一体型スルーホール相互接続部の他の位置の変化を概略的に示す。
図9】シンチレータ層内の一体型スルーホール相互接続部の他の位置の変化を概略的に示す。
図10】シンチレータ層内の一体型スルーホール相互接続部の他の位置の変化を概略的に示す。
図11】本明細書の一実施形態による例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナのようなイメージングシステム100を概略的に示す。撮像システム100は、概ね静止ガントリ102と回転ガントリ104とを含む。回転ガントリ104は、ベアリング(見えない)などによる静止ガントリ102によって回転可能に支持され、長手方向又はz軸の周りに検査領域106の周りで回転する。X線管などの放射線源108は、回転ガントリ104によって支持され、それによって回転し、検査領域106を横切るX線放射線を放出する。寝台などの被検体支持体110は検査領域106において被検体又は対象を支持する。コンピュータは、オペレータコンソール112として機能し、ディスプレイなどの人間可読出力デバイスと、キーボード及び/又はマウスなどの入力デバイスとを含む。コンソール112に常駐するソフトウェアは、オペレータが撮像システム100の動作を制御し、再構成器113によって生成される画像を見ることを可能にする。
【0011】
マルチエネルギー(スペクトル)放射線感受性検出器アレイ114は、検査領域106を横切って放射線源108と反対側の角度の弧を定め、検査領域106を横切る放射線を検出し、それを示す電気信号を生成して出力する。マルチエネルギー放射線感受性アレイ114は複数の検出器タイル116を含み、各々は異なるエネルギーごとに1つずつ、複数のシンチレーション層/光センサ層対を有する。図2は、デュアルエネルギー用に構成される検出器タイル116の非限定的な例を示す。しかしながら、2つより多くのエネルギーのためのタイル116もまた本明細書で企図されている。検出器タイル116は、第1の(上部)シンチレータ層202、それに光学的に結合される第1の(上部)光センサ層204、それに電気的に結合される第2の(下部)シンチレータ層206、それに光学的かつ電気的に結合される第2(下部)の光センサ層208、それに電気的に結合される処理電子回路(例えば特定用途向け集積回路、又はASIC)210、及びそれに電気的に結合される読み出し電子回路212を含む。検出器タイル116及びその中の構成要素の相対的な幾何学形状(すなわち、形状、サイズなど)は限定的ではない。二重層水平積層検出器の例は、2012年5月7日出願の、「少なくとも2つのシンチレータアレイ層の間に配置される少なくとも1つのシング光センサアレイ層を有するマルチレイヤ水平コンピュータ断層撮影(CT)検出器アレイ」と題する特許US 9,012,857 B2に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
各タイル116は、第1のシンチレータ層202が線源108及び線源108によって放出されるX線光子214に最も近くなるようにシステム100内で空間的に配向されている。低エネルギーX線光子216は第1のシンチレーション層202によって吸収され、これらのX線光子を光子218に変換する。高エネルギーX線光子220は第1のシンチレーション層202を通過し、第2のシンチレーション層206によって吸収され、第2のシンチレーション層206はこれらのX線光子を光子222に変換する。通常、第1及び第2のシンチレータ層202及び206による吸収は、シンチレーション材料の厚さ及び/又はシンチレータ材料の種類に依存する。適切な材料の例には、シンチレーションナノ材料、量子ドットなど、オキシ硫化ガドリニウム(「GOS」)、セレン化亜鉛(ZnSe)、タングステン酸カドミウム(CdWO )、又は他のシンチレーション材料が含まれる。 1つ又は複数の量子ドットシンチレータ層を有する検出器の例は、2015年8月7日に出願され、「量子ドットベースのイメージング検出器」という名称の特許出願番号62 / 202,397に記載されている。量子ドットの一例は、2014年9月23日に出願される、「多孔質粒子中のカプセル化材料」と題する出願番号EP14186022.1に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
第1の光センサ層204は、第1のシンチレーション層202によって生成される光子218を検出し、それを示す電気信号を生成する。以下により詳細に説明されるように、この電気信号は、第2のシンチレータ層206のシンチレータ画素を囲む少なくとも1つの壁内の少なくとも1つのスルーホール相互接続部224(例えば、一体型垂直相互接続アクセス(VIA))を通じてルーティングされ、第2の光センサ層206を通って処理電子装置210に至る。結果として、検出器タイル116は、第2のシンチレータ層206をバイパスして、第1の光センサ層204から処理電子回路210に電気信号をルーティングするように、第2のシンチレータ層206の上に配置されるフレックス又は他の回路を必要としない。このように、線量効率は、フレックス又は他の回路が第1の光センサ層204と第2のシンチレータ層206との間に取り付けられる構成と比較して改善され、複雑さ及び組み立てコストが低減され、信頼性が高まる。第2の光センサ層208は、第2のシンチレーション層206によって生成される光子222を検出し、それを示す電気信号を生成する。この電気信号は、処理電子回路210に直接ルーティングされ、読み出し電子回路212を介して再構成部113に送られる。
【0014】
図1に戻ると、再構成器113は、アレイ114によって出力される信号を再構成し、ボリュメトリック三次元画像データを生成する。一例では、デュアルエネルギー構成の場合、これは、第1の光センサ層204からの信号を用いて低エネルギー画像データを再構成すること、及び/又は第2の光センサ層208からの信号を用いて高エネルギー画像データを再構成することを含む。画像データは、非スペクトルスキャナからの画像データを近似するように結合され得る。追加的又は代替的に、第1の光センサ層204からの信号と第2の光センサ層208からの信号とが最初に組み合わされ、次に再構成器113が非スペクトルスキャナからの従来の非スペクトル画像データと同様の画像データを再構成する。追加的又は代替的に、再構成器113は、低エネルギー画像データ及び高エネルギー画像データと、非スペクトルスキャナと同じ単一画像との両方を再構成する。一般に、画像データは、マルチエネルギー構成における各エネルギーレベル、及び/又はエネルギーレベルの組み合わせについて生成されることができる。
【0015】
図3を参照すると、第1の光センサ層204、一体型スルーホール相互接続部224を有する第2のシンチレータ層206、及び第2の光センサ層208を示す検出器タイル116の分解図が概略的に示されている。明瞭さと簡潔さのために、以下は、タイル116の単一画素の単一壁に関連して一体型スルーホール相互接続部224を説明する。しかしながら、複数の壁を含む他の壁、及び/又はタイル116の他の画素も同様に構成されている。
【0016】
分解図は、第1の光センサ層204の底部302からの第1の光センサ層204の斜視図を示す。光センサ画素306の読み出し電極304は、底部302に配置されている。光センサ画素306によって集められる光を示す電気信号は、読み出し電極304から光センサ画素306にルーティングされる。図示の読み出し電極304は、光センサ画素306の中央領域に配置されている。変形例では、電極304は、光センサ画素306の中心から外れた位置又は中心領域の外側に配置されている。電気トレース308は、読み出し電極304から光センサ画素306の端部312の電気的接点310まで底部302に沿って延在する。
【0017】
314において、光センサ画素306の側面316からの図が示される。図示の実施形態では、光センサ画素306は、正(p)形領域318、真性領域320、及び負(n)形領域322を有するPINダイオードを含む。n型領域322は、導電性部材324を介して読み出し電極304と電気的に接触している。326において、光センサ画素306の側面328からの図が示されている。一般に、側面316及び328は正方形又は長方形の画素に対して垂直である。図4は、導電性部材324が、第1の光センサ層204の内側で、n形領域322から光センサ画素306の端部312の電気的接点310まで直接延在し、電極304と電気トレース308とは省略されている変形例を示す。
【0018】
図3に戻ると、分解図は、第2のシンチレータ層206の上面330からの斜視図を示す。この例では、スルーホール相互接続部224は、壁336内において、シンチレータ画素337に隣接する壁336の上端部334における上部接点332から、第2のシンチレータ層206の底部342における壁336の底部端部340における底部接点338に延在する。一般に、壁336(及び各シンチレータ画素を囲む他の壁)は、非シンチレーション材料と光反射材料(例えば、コーティング、フィルム、塗料など)とを含み、下端342、したがって第2の光センサ層208に向かって光を反射し、収集効率を向上させ、クロストークを低減する。第1の光センサ層204の接点310と第2のシンチレータ層206の上部接点332とは、組み立てられた構造内で物理的かつ電気的に接触している。 344において、第2のシンチレータ層206の底部342からの斜視図が示されており、スルーホール相互接続部224及び第2のシンチレータ層206の底部340の接点338を示す。
【0019】
一般に、導電性材料(導電性金属、導電性ナノ材料、量子ドット(例えば、シリコン)等)が一つ又はそれより多くのシンチレーション画素の一つ又はそれより多くの側壁に構成されることを除いて、第2のシンチレータ層206は、従来のCTシンチレータ及び同じ態様で使用されている同じ材料から構成される。例えば、第2のシンチレータ層206は、スルーホール相互接続部224が壁336内に形成される、印刷、成形、焼結構造とすることができる。別の例では、壁336におけるスルーホール相互接続部224を有する壁がまず形成され、次にシンチレータ材料(例えば、粉末、固体など)が画素壁の間の開口領域に配置される。壁336内の導電性材料は、シンチレータ画素間のクロストークをさらに低減することができる。壁336は、スルーホール相互接続部224の外側に非導電性材料(例えば、非導電性ナノ材料、量子ドットなど)を含む。壁の厚さの例は、200ミクロン未満であるが、限定されないが、160ミクロン、100ミクロン、及び30ナノメートルを含む。
【0020】
変形例では、壁336(及び/又は第2のシンチレータ層206の他の壁)は、導電性散乱防止材料を含む。一例では、壁336(及び/又は第2のシンチレータ層206の他の壁)はスルーホール相互接続部224であり、角は絶縁されている。別の例では、スルーホール相互接続部224は壁336(及び/又は第2のシンチレータ層206の他の壁)内で絶縁されており、角は絶縁されていても、いなくてもよい。
【0021】
分解図は、第2の光センサ層208の頂部346からの斜視図を示す。頂部接点348は、第2の光センサ層208の光センサ画素352の頂部表面350に配置されている。(この図では見えないが、360の図では見える)底部接点354は、光センサ画素352の底部356に位置する。相互接続部358は、頂部接点348から底部接点356まで延在している。第2のシンチレータ層206の底部接点338と第2の光センサ層208の頂部接点348とは組み立て構造で物理的かつ電気的に接触している。第2の光センサ層208の上部接点348は組み立て構造において物理的かつ電気的に接触している。 360において、底部356からの斜視図は、相互接続部358、第2の光センサ層208の端部362における底部接点354、及び第2の光センサ層208用の底部電極364を示す。
【0022】
処理電子回路210(図2)は、第1の光センサ層204の光センサ画素306からの信号をルーティングするための第2の光センサ層208の底部接点354と、第2の光センサ層208の光センサ画素352からの信号をルーティングするための第2の光センサ層208の底部接点364との両方に対する電気的接点を含む。図2は、単一層としての処理電子回路210を示す。しかしながら、処理電子回路210は単一のASICであってもよく、各光センサ層204及び208などのためのASICを含んでもよいことが理解されるべきである。それが各光センサ層に対するASICを含む場合、底部接点354からの信号は一方のASICにルーティングされ、底部接点364からの信号は他方のASICにルーティングされる。
【0023】
図5乃至図10は、スルーホール相互接続部224のルーティングの変形例を示す。図5では、各シンチレータ画素502、504、506、508、510及び512は、その上の上部光センサ層204の対応する画素からの信号をルーティングするための隣接する壁526、528、530、532、534及び536内に関連するスルーホール相互接続部514、516、518、520、522及び524を有する。図6では、単一のシンチレータ画素602は複数のスルーホール相互接続部604及び606を有し、それぞれは異なる壁608及び610に配置される。図7では、単一のシンチレータ画素702は、単一の壁706について非対称に配置される複数のスルーホール相互接続部704を有する。図8において、単一のシンチレータ画素802は、単一の壁806に関して対称に配置される複数のスルーホール相互接続部804を有する。図9において、単一シンチレータ画素902は、壁908と壁910との間の角906に配置されるスルーホール相互接続904を有し、壁908と910は交差する。図10では、2つの隣接するシンチレータ画素1002と1004とは、2つのシンチレータ画素1002と1004との間の壁1008に配置される単一のスルーホール相互接続部1006を共有している。本明細書では他の変形形態も考えられる。
【0024】
図11は本明細書に記載の実施形態による例示的な方法を示す。
【0025】
1102において、上部シンチレータ層202は、低エネルギーのX線光子を吸収し、それらを第1の光子に変換する。
【0026】
1104において、上部光センサ204は第1の光子を受け取り、それを示す第1の電気信号を生成する。
【0027】
1106において、第1の電気信号は、下部シンチレータ層206の壁336に一体化されるスルーホール相互接続部224を通って、及び下部光センサ208の相互接続部358を通って処理電子回路210にルーティングされる。
【0028】
1108において、下部シンチレータ層206は、より高いエネルギーのX線光子を吸収し、それらを第2の光子に変換する。
【0029】
1110において、下部光センサ208は第2の光子を受け取り、それを示す第2の電気信号を生成する。
【0030】
1112において、第2の電気信号は、下部光センサ208の電極360から処理用電子回路210にルーティングされる。
【0031】
1114において、第1及び第2の信号は画像データを生成するために処理される。
【0032】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。 上記の詳細な説明を読んで理解すると、修正及び変更が他の人に思い浮かぶことがある。 本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内に入る限り、そのようなすべての修正形態及び変更形態を含むように構成されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11