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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】血流計及びその使用のための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/08 20060101AFI20220502BHJP
   G01F 1/42 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
G01N11/08
G01F1/42 B
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019524941
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2017053393
(87)【国際公開番号】W WO2018091869
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】1619337.7
(32)【優先日】2016-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519163946
【氏名又は名称】ヘモグラフ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ジョンズ ウィリアム リチャード
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-271323(JP,A)
【文献】特開昭62-194441(JP,A)
【文献】特開2016-140433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0139375(US,A1)
【文献】特表平01-501170(JP,A)
【文献】Narayanan S. Akkarachittoor、Arthur L. Fricke、James D. Small,“Dual chamber capillary viscometer for viscosity measurements of concentrated polymer solutions at elevated temperatures”,Review of Scientific,米国,American Institute of Physics,1998年06月04日,Vol.57,No.6,pp.1182-1184,https://doi.org/10.1063/1.1138626
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/00 - 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の流動特性を決定するためのデバイスであって、
実質的に一定の断面を有する複数のサブセクションを有するチャネルであって、該複数のサブセクションは互いに異なる断面積を有する、チャネルと、
前記チャネルの前記複数のサブセクションのそれぞれに沿って圧力差を決定するための差圧装置と、
前記チャネルの第1の端部に位置付けられるようにかつ該チャネルと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第1のリザーバと、
前記チャネルを通じて第1のリザーバと流体連通し且つ第1の方向において前記第1のリザーバと離間して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第2のリザーバと、
デバイス内に血液が導入されることを可能にするための手段と、
デバイスからガスが放出されることを可能にするための出口と、
前記第1及び第2のリザーバが前記チャネルの前記第1及び第2の端部とそれぞれ流体連通している時に交替する方向に該チャネルに沿って血液を流すことができるように該第1のリザーバの前記内部容積を変化させるための手段と、を含み、
前記複数のサブセクションは、前記第1の方向において前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間で、蛇行配置の流体流路を形成するように直列で配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記複数のサブセクションの少なくとも1つの内径が、150~3000ミクロン、好ましくは200~2000ミクロンの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数のサブセクションの少なくとも1つの長さが、0.5~15cm、好ましくは1~15cmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数のサブセクションの少なくとも1つの内径に対する長さの比が、5:1よりも大きく、好ましくは10:1よりも大きく、最も好ましくは20:1よりも大きいことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2のリザーバ間の距離が、50cmよりも短く、好ましくは30cmよりも短いことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2のリザーバは、各々が50mlよりも小さい最大容積を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1及び第2のリザーバの一方又は両方が、プランジャ及び中空シリンダを含み、該プランジャは、該リザーバの前記内部容積を変更するために該シリンダの長手軸に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1及び第2のリザーバの一方又は両方が、シリンジによって提供されることを特徴とする請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2のリザーバの一方又は両方が、弾性本体によって提供されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1のリザーバは、前記チャネルと流体連通して置かれるようになったシリンジにより、該シリンジがデバイス内に液体を導入することを可能にするための手段を与えるように提供されることを特徴とする請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
電気機械部品と関連の電子機器とを含む第1のセクションと、デバイス内に血液を導入して処理するための部分を含む第2のセクションとを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
デバイスの前記第2のセクションは、前記第1のセクションの上方、下方、内部、又は隣接しており、かつ廃棄可能であることを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
血液の流動特性を決定するためのデバイスであって、
拡大又は縮小する断面、好ましくは一様に拡大又は縮小する断面を有する複数のサブセクションを有するチャネルであって、該複数のサブセクションは互いに異なる断面積を有する、チャネルと、
前記チャネルの前記複数のサブセクションのそれぞれに沿って圧力差を決定するための差圧装置と、
前記チャネルの第1の端部に位置付けられるようにかつ該チャネルと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第1のリザーバと、
前記チャネルを通じて第1のリザーバと流体連通し且つ第1の方向において前記第1のリザーバと離間して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第2のリザーバと、
デバイス内に血液が導入されることを可能にするための手段と、
デバイスからガスが放出されることを可能にするための出口と、
前記第1及び第2のリザーバが前記チャネルの前記第1及び第2の端部とそれぞれ流体連通している時に交替する方向に該チャネルに沿って血液を流すことができるように該第1のリザーバの前記内部容積を変化させるための手段と、を含み、
前記複数のサブセクションは、前記第1の方向において前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間で、蛇行配置の流体流路を形成するように直列で配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
血液の流動特性を決定するためのデバイスであって、
実質的に一定の断面を有する複数のサブセクションを有するチャネルであって、該複数のサブセクションは互いに異なる断面積を有する、チャネルと、
前記チャネルの前記複数のサブセクションのそれぞれに沿って圧力差を決定するための差圧装置と、
前記チャネルの第1の端部に位置付けられるようにかつ該チャネルと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第1のリザーバと、
前記チャネルを通じて第1のリザーバと流体連通し且つ第1の方向において前記第1のリザーバと離間して置かれるようになっており、該チャネルから受け入れた液体を該液体を該チャネルに戻すことができるように保持するように構成された第2のリザーバと、
デバイス内に血液が導入されることを可能にするための手段と、
デバイスからガスが放出されることを可能にするための出口と、
前記第1及び第2のリザーバが前記チャネルの前記第1及び第2の端部とそれぞれ流体連通している時に交替する方向に該チャネルに沿って血液を流すことができるように該第1のリザーバの前記内部容積を変化させるための手段と、を含み、
前記複数のサブセクションは、前記第1の方向において前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間で、蛇行配置の流体流路を形成するように直列で配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
使用時に、前記第2のリザーバは、該第2のリザーバの中への前記チャネルの入口の上方に位置付けられることを特徴とする請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
血液の流動特性を測定する方法であって、
請求項1、13又は14に記載のデバイスを与える段階と、
前記デバイス内に血液を導入する段階と、
前記デバイスからガス又は流体を放出する段階と、
第1及び第2のリザーバがチャネルと流体連通していることを保証する段階と、
前記第1及び第2のリザーバ間で第1の方向に前記チャネルに沿って血液を流すように該第1のリザーバの内部容積を変更する段階と、
前記第1及び第2のリザーバ間の血液流量を記録又は測定する段階と、
前記差圧装置をモニタする段階と、
前記血液を第2の方向に前記チャネルに沿って流す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
血液サンプルを含有して前記第1のリザーバとして機能するシリンジを与える段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のリザーバは、1~50ml、好ましくは5~50mlの範囲の内部容積を有し、該第1のリザーバの該内部容積を変更する段階は、前記シリンジの該内部容積を100%未満だけ低減する段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のリザーバは、5~50mlの範囲の内部容積を有し、該第1のリザーバの該内部容積を変更する段階は、前記シリンジの該内部容積を1~60秒以内に少なくとも20%だけ、好ましくは10~60秒以内に少なくとも80%だけ低減する段階を含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
血液が、少なくとも3分、好ましくは少なくとも5分にわたって交替する方向に前記チャネルに沿って流されることを特徴とする請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
血液が、少なくとも3分にわたって周期関数又は周期関数の組合せによって決定された速度で前記チャネルに沿って流されることを特徴とする請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記血液のそれが凝固する時の流動挙動の変化を追跡する段階を含むことを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
既知の流量が前記血液に課せられ、関連の前記圧力差がモニタされることを特徴とする請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
既知の圧力差が前記血液に課せられ、関連の前記血液流量が測定されることを特徴とする請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記デバイスから受け入れた信号を処理するための電子システムを与える段階を更に含むことを特徴とする請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ニュートン流体の流動特性を測定するためのデバイス、特に血液の流動特性を測定するためのデバイス、及びその使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液の流動特性の迅速評価を取得することは多くの場合に望ましい。そのような流動特性の知識は、患者への凝固剤及び抗凝固剤の投与を評価する際に価値のあるものである。それはまた、出血の傾向を有する又は高い血栓リスクがある者での出血又は血栓事象の可能性を予想することができる。血液の流動特性を知ることが重要である更に別の状況は、術中と術後の抗凝固作用逆転中とに患者をモニタすることを含む。血液流動変化は、敗血症を有する患者においても発生し、かつ病状が存在することの早期兆候を与えることができる。敗血症が十分に早期に検出される場合に、病状に対する治療は比較的容易である場合がある。
【0003】
同様に、抗凝固剤の投与中又は手後の血液の抗凝固作用逆転中に、血液の流動特性の変化に対する適時フィードバックを利用することは非常に有用であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2011/051706号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、血液の流動特性を測定するための現在の検査は、時間を消費する傾向があり、かつ患者からある容積の血液を抜き取って分析に向けてトロンボエラストグラフのような専門家の据え付け計器に送ることを必要とする。すなわち、より日常的に使用することができる簡単な枕元計器に対する必要性が存在する。
【0006】
以下の説明では、血液という用語は、ヒト血液及び動物血液を包含してこれらを指すものであり、同じく血液及び血液製品を意味することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、各々が可変内部容積を有し、かつチャネルを通じて他と流体連通して置かれるようになった2つのリザーバを含む血液の流動特性を測定するためのデバイスを提供することができる。血液は、2つのリザーバの内部容積を変更することによってチャネルに沿って流すことができる。チャネルは、各々が実質的に均一な断面を有する1又は2以上のセクションを含む。2又は3以上の均一なセクションがある場合に、各セクションは、他のセクションと断面積が異なる。デバイスには、実質的に均一な断面を有するチャネルの少なくとも一部分に沿って圧力差を測定するための圧力ゲージ又は圧力センサが設けられる。
【0008】
液体血液の流動に関する情報は、所与の流量からもたらされる異なる断面積のいくつかのセクションにわたる圧力差を測定することによって取得することができる。これに代えて、血液の流動に関する情報は、いくつかの異なる定められた流量での実質的に均一な断面のセクションにわたる圧力差を測定することによって取得することができる。
【0009】
すなわち、デバイスは、機能することができるために大容積の血液を必要としない単純な交替方向ポンピングシステムに基づくものである。WO 2011/051706に記載されているような以前のデバイスに使用される他のポンピングシステムはそれ程有利ではない。例えば、蠕動ポンピングシステムは、液体を含有するチューブの圧縮によって液体中の懸濁成分(例えば、血液サンプル中に存在する血球)を損傷する場合がある。遠心ポンピングシステムは、小容積の液体に対して実用的ではない。これに加えて、遠心ポンプ又は蠕動ポンプからの流量はモニタすることが困難である場合があり、デバイス内に追加の構成要素(流量計)の必要性をもたらす。可変内部容積を有するリザーバからの流量は、その容積の変化率によって正確に測定される。
【0010】
本発明のデバイスは、例えば配管内の僅かな不均一性に起因する測定での所定のアーチファクトが互いに打ち消し合う傾向を有することになるように、チャネルに沿って交替する方向に液体がポンピングされることを可能にする。交替する方向に液体をポンピングすることにより、粘性及び弾性率のような特性による振動性流体応答の測定のようなより複雑な分析を実施することを可能にすることができる。
【0011】
第1の態様では、本発明は、血液のような非ニュートン流体の流動特性を測定するためのデバイスを提供することができ、デバイスは、実質的に一定の断面を有する少なくとも1つのチャネルサブセクションを有するチャネルと、チャネルのサブセクションの少なくとも一部分に沿って圧力差を測定するための装置と、チャネルの第1の端部に位置付けられるようにかつチャネルと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第1のリザーバと、チャネルを通じて第1のリザーバと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第2のリザーバと、デバイス内に血液が導入されることを可能にするための手段と、デバイスからガスが放出されることを可能にするための出口と、第1及び第2のリザーバがチャネルの第1及び第2の端部とそれぞれ流体連通している時に交替する方向にチャネルに沿って血液を流すことができるように第1のリザーバの容積を変化させるための手段とを含む。
【0012】
少なくとも1つのチャネルサブセクションは、直線又は曲線である場合がある。
【0013】
第2の態様では、本発明は、血液の流動特性を測定するためのデバイスを提供することができ、デバイスは、拡大又は縮小する断面、好ましくは、一様に拡大又は縮小する断面を有する少なくとも1つのチャネルサブセクションを有するチャネルと、チャネルのサブセクションの少なくとも一部分に沿って圧力差を測定するための装置と、チャネルの第1の端部に位置付けられてチャネルと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第1のリザーバと、チャネルを通じて第1のリザーバと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第2のリザーバと、デバイス内に血液が導入されることを可能にするための手段と、デバイスからガスが放出されることを可能にするための出口と、第1及び第2のリザーバがチャネルの第1及び第2の端部とそれぞれ流体連通している時に交替する方向にチャネルに沿って血液を流すことができるように第1のリザーバの容積を変化させるための手段とを含む。
【0014】
少なくとも1つのチャネルサブセクションは、直線又は曲線である場合がある。
【0015】
少なくとも1つのチャネルサブセクションは、不均一方式で拡大又は縮小する断面を有することができ、例えば、断面は、半双曲方式で拡大する又は正弦波変動を辿ることができる。
【0016】
すなわち、本発明の第1及び第2の態様の両方では、第1及び第2のリザーバがチャネルを通じて互いに流体連通している時に、第1及び/又は第2のリザーバの内部容積を変更することによって血液をチャネルに沿ういずれの方向にも流すことができる。第1及び第2の態様の両方は、血液の流動特性を測定することができるデバイスを提供するのに同じ手法を採用する。本発明の第2の態様によるデバイスに対しては、そのような不均一チャネルを通る交替する流れは、血液のような粘弾性流体の弾性特性に関する追加の情報を与えることができる。そのような先細セクションは、チャネル内で全て同じ方向に先細にすることができ、又は一部は、反対方向に先細にすることができる。
【0017】
典型的に、本発明の第1及び第2の態様によるデバイスでは、第1のリザーバはシリンジであり、すなわち、それは、プランジャ及び中空シリンダを含み、プランジャは、リザーバの内部容積を変更するためにシリンダの長手軸に沿って移動可能である。シリンジは、患者から血液サンプルを取得するために使用することができ、かつその後にチャネルと流体連通して置くことができる。この場合に、シリンジは、液体をデバイス内に導入することを可能にするための手段を与える。検査後に、シリンジは、血液サンプルを他の検査に使用することを可能にするためにデバイスから取り外すことができる。
【0018】
典型的に、デバイスは、第1及び第2のリザーバが互いに流体連通している時に第2のリザーバの容積を変化させることによって流体をチャネルに沿って流すことができるように第2のリザーバの容積を変化させるための手段を更に含む。典型的に、第2のリザーバもシリンジである。
【0019】
他の実施形態では、リザーバは、可撓性ケーシング、例えば弾性球体によって提供することができる。
【0020】
所定の実施形態では、第2のリザーバは、リザーバに可変内部容積を与えるために内部に位置付けられた圧縮可能部分を含む。圧縮可能部分は、例えば、空気ポケット又は弾性変形可能なインサートである場合がある。
【0021】
所定の実施形態では、第1又は第2のリザーバは、第1又は第2のリザーバが全体的に可変内部容積のものであることを前提として相互接続した従属リザーバを含むことができる。
【0022】
一般的に、本発明の第1の態様によるデバイスのチャネルは、複数のサブセクションを有し、各サブセクションは、実質的に一定の断面を有し、かつ当該サブセクションの少なくとも一部分にわたって圧力差を測定するためのそれぞれの差圧装置が設けられ、サブセクションは、異なる断面のものである。
【0023】
この場合に、液体の流動特性は、複数のサブセクションから得られた圧力読取値から測定することができる。各サブセクションは、血液のような非ニュートン流体に関してサブセクション毎に異なることになる見かけ粘性を測定する。流動特性は、サブセクションの各々での見かけ粘性と歪み速度の間の関係から導出することができる。
【0024】
交替する流れが単純な順流及び逆流ではない事象では、見かけ複素弾性率のような粘性に関連する流動特性は、過渡圧力を過渡流量に関連付けることによって導出することができる。
【0025】
1つのサブセクションしか存在しない場合に、血液の流動特性を測定するために異なる流量で検査を実施する必要がある場合がある。異なる流量は、異なる歪み速度をもたらし、従って、非ニュートン流体では異なる見かけ粘性をもたらす。こうして液体の流動特性を見かけ粘性と歪み速度の間の関係から測定することができる。
【0026】
差圧を測定するための装置は、圧力モニタシステムとすることができる。圧力モニタシステムは、実時間で又はその後の処理及び分析のために電子的又は物理的にモニタすることができる。例えば、これらの圧力センサは、圧電抵抗歪みゲージとすることができ、又は流体が貫流するチャネルの変形を感知する容量センサとすることができる。
【0027】
1よりも多いサブセクションが設けられる場合に、これらのサブセクションは全て互いに位置合わせすることができる。チャネルは、必要なセクションを組み込んだ廃棄可能プラスチック配管で製造することができる。配管は、剛性又は可撓性とすることができる。配管は、それを容易に挿入することができ、容易に取り外すことができる直線形の外側チャネル内に嵌合することができる。これに代えて、チャネルが上面に形成された下板を与えることができ、その中にチャネルのプラスチック配管を嵌合することができ、次いで、例えば、上板又は補助板によって定位置に締結することができる。プラスチック配管は、上板の一体部品として形成することができ、圧力センサは下板の中に組み込まれる。このようにして、血液が通過する上板を廉価な廃棄可能部品とすることができ、センサ及び電気構成要素を含むより高価な廃棄不能部品が下板の中に組み込まれる。これは、より小型のデバイスをもたらすのに役立たせることができる。全体的にこの設計では、流体を損傷するか又は溜めてしまう可能性がある鋭角の方向変化を回避するように注意しなければならない。
【0028】
典型的に、少なくとも1つのサブセクションの内径は、150mmよりも大きく、好ましくは200ミクロンよりも大きく、より好ましくは300ミクロンよりも大きい。典型的に、少なくとも1つのサブセクションの内径は、3000ミクロンよりも小さく、好ましくは2000ミクロンよりも小さく、より好ましくは1000ミクロンよりも小さい。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つのサブセクションは円形断面を有する。
【0030】
典型的に、少なくとも1つのサブセクションの長さは、0.5cmよりも長く、好ましくは1cmよりも長い。典型的に、少なくとも1つのサブセクションの長さは、30cmよりも短く、好ましくは15cmよりも短く、より好ましくは10cmよりも短い。
【0031】
典型的に、少なくとも1つのサブセクションの内径に対する長さの比は、5:1よりも大きく、好ましくは10:1よりも大きく、最も好ましくは20:1よりも大きい。
【0032】
典型的に、第1及び第2のリザーバがチャネルを通じて互いに流体連通している時のこれらのリザーバの間の距離は、30cmよりも短く、好ましくは20cmよりも短い。
【0033】
典型的に、第1及び第2のリザーバの各々は、50mlよりも小さく、好ましくは40mlよりも小さく、最も好ましくは30mlよりも小さい最大容積を有する。好ましくは、1ml、3ml、5ml、10ml、20ml、又は30mlの標準シリンジサイズが使用される。
【0034】
所定の実施形態では、本発明の第1及び第2の態様によるデバイスは、血液に対して予め決められた流量を課すための手段を含むことができる(すなわち、このデバイスは、歪み制御式血流計として機能することができる)。他の実施形態では、本発明の第1及び第2の態様によるデバイスは、血液に対して予め決められた圧力差を課すための手段を含むことができる(すなわち、このデバイスは、応力制御式血流計として機能することができる)。
【0035】
第3の態様では、本発明は、血液の流動特性を測定するためのデバイスを提供することができ、デバイスは、チャネルと、チャネルの少なくとも一部分に沿って圧力差を測定するための装置と、チャネルの第1の端部に位置付けられてチャネルと流体連通して置かれるようになっており、可変内部容積のものである第1のリザーバと、チャネルを通じて第1のリザーバと流体連通して置かれるようになっており、チャネルから受け入れた液体をその液体をチャネルに戻すことができるように保持するように構成された第2のリザーバと、デバイス内に血液が導入されることを可能にするための手段と、デバイスからガスが放出されることを可能にするための出口と、第1及び第2のリザーバがチャネルの第1及び第2の端部とそれぞれ流体連通している時に、交替する方向にチャネルに沿って血液を流すことができるように第1のリザーバの容積を変化させるための手段とを含む。
【0036】
チャネルは、本発明の第1又は第2の態様によるデバイスのチャネルの特徴のうちの1又は2以上を有することができる。
【0037】
第1のリザーバは、本発明の第1又は第2の態様によるデバイスの第1のリザーバの特徴のうちの1又は2以上を有することができる。
【0038】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様によるデバイスを用意するステップと、デバイス内に血液を導入するステップと、デバイスからガス又は流体を放出するステップと、第1及び第2のリザーバがチャネルと流体連通していることを保証するステップと、第1及び第2のリザーバ間でチャネルに沿って第1の方向に血液が流れるように第1のリザーバの内部容積を変更するステップと、第1及び第2のリザーバ間の血液流量を記録又は測定するステップと、実質的に均一な断面を有する少なくとも1つのサブセクションの少なくとも一部分に沿って圧力差を測定するための装置をモニタするステップと、血液をチャネルに沿って第2の方向に流すステップとを含む血液の流動特性を測定する方法を提供することができる。
【0039】
一般的に、本方法は、液体をチャネルに沿って第2の方向に流すステップを含む。両方の流れ方向で測定値を取得してこれらを平均する(又はフーリエ変換又はFFTのようなより高度な信号処理技術を使用する)ことにより、測定誤差を低減すること及び/又は安定面上へのデバイスの正確な装着に対する必要性を低減することを可能にすることができる。
【0040】
本方法は、例えば、血液に対して既知の流量を課して関連の圧力差をモニタすることによって実施することができる。これに代えて、本方法は、既知の圧力差を課して関連の流量を測定することによって実施することができる。
【0041】
好ましくは、血液は、第1及び第2のリザーバ間で複数回循環させられる。順流及び逆流のサイクルは、定められた時点での流体の流動特性を測定するために少数サイクルにわたって行うことができ、又は例えば流体の凝固又はゲル化に起因する流動挙動の変化をモニタするために長い期間にわたって続けることができる。
【0042】
チャネルが、他のサブセクションとは異なるそれぞれの断面を各々が有する複数のサブセクションを有する場合に、検査は、一定流量又は単一振幅及び周波数を有する周期的な流れで実施することができる。
【0043】
チャネルが単一サブセクションのみを有する場合に、検査液に対して異なる歪み速度を課すために、異なる流量で検査を実施する必要がある場合がある。これに代えて、検査液の凝固又はゲル化の進行をモニタすることしか望まれない場合に、流量は、一定に保持することができ、又は連続するサイクルにおいて同じとすることができる。
【0044】
液体は、血液サンプルとすることができる。この場合に、本方法は、血液サンプルを含有するシリンジを用意するステップと、第1のリザーバとして機能するようにシリンジをチャネルと流体連通して置くステップとを含む。このようにして、シリンジから測定デバイスによって形成された個々のリザーバに血液サンプルを移し換えるステップを回避することができ、従って、デバイスを操作するのに必要とされる技能レベルが低減され、更に、サンプルを検査する際の遅延が短縮される。
【0045】
好ましくは、本方法は、デバイスを較正するステップを含む。これは、典型的に、既知の粘性のニュートン流体(例えば、水)をデバイス内に導入するステップと、デバイスからガスを放出するステップと、第1及び第2のリザーバがチャネルを通じて互いに流体連通していることを保証するステップと、第1及び第2のリザーバ間で液体をチャネルに沿って第1の方向に流すために第1のリザーバの内部容積を変更するステップと、少なくとも1つのサブセクションに沿って圧力差を測定するために圧力装置をモニタするステップとを通して行われる。
【0046】
既知の粘性のニュートン流体を使用するデバイスの較正は、それ程正確ではない公差でデバイスを製造することを可能にすることができる。すなわち、血液サンプル(検査液として使用することができる)の流動特性は、デバイスの寸法から直接計算されるのではなく較正流体の既知の特性に関して計算することができるので、デバイスの高精度加工に対する要件が軽減される。この場合に、血液の見かけ粘性は、管径又は圧力センサ点間の距離への明確な参照を含まない次式から計算することができる。
μ/μC=ΔPGC/(ΔPCG)
上式中のμは(見かけ)粘性であり、Gは体積流量であり、ΔPは圧力差である。下付き文字「C」は、ニュートン較正液を意味する。典型的に、デバイスを較正するステップは、較正液を第1のリザーバから第2のリザーバへ、更にその逆に繰り返し循環させるステップを含む。
【0047】
各ストロークで排出される容積は、容積の最後の10%から20%を放出することによって赤血球が応力下に置かれ、それによって赤血球が破裂して溶血が引き起こされる可能性があるので、リザーバの全体容積よりも小さいことが好ましい。この応力は、高い半径方向速度によって引き起こされる高い歪み速度と、プランジャがシリンジの端部に接するように近づくことによって引き起こされる高い歪み速度の両方からもたらされる。半径方向速度は、ピストンの円周にある血液が軸に追いやられ、そこで血液が軸線方向に位置付けられた配管又はチャネルを通って流出するために流線が90度回転する時に発生する。更に、シリンジのプランジャ端部がシリンジ本体の端部に衝突した場合に、それによってリザーバ内に残っているいずれの赤血球も直接圧壊される。
【0048】
一実施形態では、内部容積は、最初の10秒以内に80%を超えない容積だけ低減される。それよりも高い排出速度は、血液のような液体を損傷する場合がある。
【0049】
ある一定の場合に、血液は、チャネルに沿って交替する方向に少なくとも5分間流される。それにより、凝固によって引き起こされるもののような血液の流動変化をモニタすることを可能にすることができる。典型的に、各個々の流れサイクルの周期は、1~120sの範囲、好ましくは10~120sの範囲にある。
【0050】
本発明の第4の態様による方法に使用されるデバイスは、単独又は組合せのいずれで採用されるかに関わらず、本発明の第1又は第2の態様によるデバイスの任意的な特徴のうちの1又は2以上を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
ここで一例として以下の図を参照して本発明を以下に説明する。
【0052】
図1】本発明の第1の態様の実施形態による血液の流動特性を測定するためのデバイスの概略平面図である。
図2】本発明の第1の態様の別の実施形態による方向が交替するチャネルを含む血液の流動特性を測定するためのデバイスの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1を参照すると、ブロック30は、各々が円形の内部断面を有する複数のチャネル21、22、23を含む。各チャネル21、22、23は、200~2000ミクロンの範囲で異なる内径を有する。チャネルの各々は、長さが1~15cmであり、10:1から40:1の範囲の長さ:内径の比を有する。チャネルは、ブロック30の両端の間に流体流路を形成するように直列に配置される。各チャネルには、それぞれの圧力差をモニタするための手段が設けられる。図示の実施形態では、各チャネルには、それぞれの差圧ゲージ41、42、43に対するタッピングが設けられる。
【0054】
第1のシリンジ11は、プランジャ11aと、中空シリンダ11bと、中空コネクタ11cとを含む。プランジャは、シリンダの長手軸に沿って移動可能である。コネクタはシリンダの長手軸に位置合わせされ、シリンダと流体連通している。
【0055】
コネクタ11cは、シリンダとチャネル21の間に流体流路を形成するようにチャネル21と可逆係合される。すなわち、プランジャ11aは、シリンダ11b、コネクタ11c、及びブロック30に対して移動可能である。
【0056】
第2のシリンジ12は、プランジャ12aと、中空シリンダ12bと、それと可逆係合する中空コネクタ12cとを含む。プランジャは、シリンダの長手軸に沿って移動可能である。コネクタはシリンダの長手軸に位置合わせされ、シリンダと流体連通している。
【0057】
コネクタ12cはチャネル23と係合され、チャネル23とシリンダ12bの間に流体流路を形成する。すなわち、プランジャ12aは、シリンダ12b、コネクタ12c、及びブロック30に対して移動可能である。
【0058】
第1及び第2のシリンジの各々は、約5~20mlの内部容積を有する。
【0059】
駆動要素31は、細長中心部分31aと、中心部分の各端部から横方向に延びるサイドアーム31b、31cとを有する。サイドアーム31bは、第1のシリンジのプランジャ11aを押圧するように構成され、それに対してサイドアーム31cは、第2のシリンジのプランジャ12aを押圧するように構成される。駆動要素31は電子制御される。
【0060】
使用時に、第1のシリンジ11に既知の粘性のニュートン液体のサンプルが供給され、中空シリンダ11b内に保持される。中空シリンダ11bからチャネル21への流体流路を形成するように、コネクタ11cがチャネル21との係合状態に入れられる。次いで、中空シリンダ11bがブロック30に対して締結される。
【0061】
第2のシリンジ12は、プランジャ12aが完全に押し下げられ、コネクタ12cがシリンダ12bから一時的に係合解除されるように配置される。
【0062】
サイドアーム31bは、液体がシリンダ11bから流れ出して中空コネクタ11c、チャネル21、22、23、及び中空コネクタ12cを通って流れるようにプランジャ11aを押圧する。第1及び第2のシリンジ、並びにチャネル21、22、23内に存在するあらゆるガスは、第2のシリンジの中空コネクタ12cを通して放出され、その後に、中空シリンダ12bが中空コネクタ12cと再係合されて定位置に締結される。
【0063】
次いで、駆動要素31は、サイドアーム31aを更に第1のシリンジ11のプランジャ11aに対して押圧するように作動される。それによって液体はシリンジ11から排出され、第2のシリンジ12が液体で充満された状態になるようにチャネル21、22、23を通して押し流される。その結果、第2のシリンジの内部容積が増大し、プランジャ12aがブロック30から遠ざかるように押圧される。
【0064】
この運動中に、各チャネル21、22、23にわたる圧力降下が測定される。シリンジ11が完全に排出されると、駆動要素31の運動は逆転され、流れが反対方向にある状態で圧力降下測定値が得られる。両方の方向の移動速度は正確に制御及び記録される。この速度は両方の方向で同じである。正確で再現可能な圧力降下読取値が記録されることを保証するほど十分な回数このサイクルが繰り返される。これらの測定値は較正測定値である。これらの測定値は、血液に対する検査の直前に取得することができ、又は各ブロック30が事前較正されるように初期組み立て時に取得することができる。
【0065】
使用時に、較正サイクルと同様であるがシリンジ11内で血液サンプルを使用するサイクルが行われる。この順流及び逆流のサイクルは、血液の初期流動特性を測定するために少数サイクルにわたって行うことができ、又は血液が凝固する時の流動特性の変化を追跡するために長い期間(例えば、30分まで)にわたって続けることができる。
【0066】
使用中にデバイスを固定の向きに維持するのが得策である(例えば、ブロック30は、ほぼ水平方向又はほぼ垂直方向に延ばすことができる)。この維持は、液体自体の重量によって作用される圧力の変化からもたらされる潜在的な不正確性を低減するのに役立つことになる。しかし、デバイス内の液体の比較的少ない量に起因して、これらの効果が非常に有意になるとは予想されない。
【0067】
デバイスは、正確に制御された温度に維持され、又は測定される実質的に一定の温度を維持するために断熱されるかのいずれかである。それにより、結果を温度に関連付けられた流動特性の変化に関して補正することが可能になる。
【0068】
図1に図示の実施形態では、チャネル21、22、23は全て同じ軸に沿って位置合わせされる。しかし、他の実施形態では、隣接する1対のチャネルに沿って流れる液体は、最初はほぼ第1のシリンジから第2のシリンジに向う方向に進行するが、隣接するチャネルの間にある接合部においてほぼ第2のシリンジから第1のシリンジに向う方向に進行するように進路を変化させるようにこれらのチャネルを配置することができる。そのような構成は、より小型のデバイスをもたらすことを可能にすることができる。この構成を図2に例示している。
【0069】
図1に図示の実施形態では、チャネル21、22、23は、ブロック30内に形成される。しかし、チャネルが異なる直径の複数のチューブにより、又は異なる直径の複数のセクションを有する単一チューブによって形成される他の実施形態を意図している。先細チューブも意図している。
【0070】
図1は、3つのチャネルを有するデバイスを示すが、より多い又は少ない本数のチャネルを有する他の実施形態が可能であることに特に注意しなければならない。本発明は、チャネルが、その内径に関していずれかを特定の順序で配置されることを必要としない。機械的に単純な実施形態は、実質的に一定の断面を有する単一チャネルしか必要としない。この場合に、サイクル毎に駆動要素31の順方向速度及び逆方向速度を変更することによって異なる歪み速度が得られる。
【0071】
シリンジとブロックの間の接続チューブは、標準のルアーロックのような直接接続部によって置換することができ、それによって構成が単純になり、シリンジとブロックの間の血液量が低減される。
【0072】
図2に図示の実施形態では、デバイスの最大直線寸法を低減するために方向が交替するチャネルを組み込んだ別の配置を示している。図2に示す配置の作動及び使用は、図1に図示の実施形態に関するもの及び上述した較正サイクルに関するものと同様であり、図2では、図1に対応するセクションに図1に基づいて更に100だけ増分した番号を振っている。
【0073】
従って、図2を参照して、ブロック130は、各々が円形の内部断面を有する複数のチャネル121、122、123を含む。各チャネル121、122、123は、200~2000ミクロンの範囲で異なる内径を有する。チャネルの各々は、長さが1~15cmであり、10:1から40:1の範囲の長さ:内径の比を有する。チャネルは、ブロック130の両端の間に流体流路を形成するように蛇行配置で直列に配置され、デバイスの直線広がりが低減する。各チャネルには、それぞれの圧力差をモニタするための手段が設けられる。図示の実施形態では、各チャネルには、それぞれの差圧ゲージ141、142、143に対するタッピングが設けられる。
【0074】
第1のシリンジ111はプランジャ111aと、中空シリンダ111bと、中空コネクタ111cとを含む。プランジャは、図1に示す配置の場合と同じ手法でシリンダの長手軸に沿って移動可能である。コネクタは、シリンダの長手軸に位置合わせされ、シリンダと流体連通している。
【0075】
コネクタ111cは、シリンダとチャネル121の間に流体流路を形成するようにチャネル121と可逆係合される。すなわち、プランジャ111aは、シリンダ111b、コネクタ111c、及びブロック130に対して移動可能である。
【0076】
第2のシリンジ112は、プランジャ112aと、中空シリンダ112bと、それと可逆係合する中空コネクタ112cとを含む。プランジャは、シリンダの長手軸に沿って移動可能である。コネクタは、シリンダの長手軸に位置合わせされ、シリンダと流体連通している。
【0077】
コネクタ112cはチャネル123と係合され、チャネル123とシリンダ112bの間に流体流路を形成する。すなわち、プランジャ112aは、シリンダ112b、コネクタ112c、及びブロック130に対して移動可能である。
【0078】
第1及び第2のシリンジの各々は、約5~20mlの内部容積を有する。
【0079】
駆動要素131は、細長中心部分131aと、中心部分の各端部から横方向に延びるサイドアーム131b、131cとを有する。サイドアーム131bは、第1のシリンジのプランジャ111aを押圧するように構成され、それに対してサイドアーム131cは、第2のシリンジのプランジャ112aを押圧するように構成される。駆動要素131は電子制御される。
【0080】
使用時に、第1のシリンジ111及び第2のシリンジ112の較正機能及び作動機能は、シリンジ11及び12を有する本発明の第1の態様によるデバイスに関して提示したものと同様である。
【0081】
図1図2の両方の実施形態に対して、全てのセンサ、電気部品、及び電気機械部品が下側セクション又は部分である1つのセクションに存在するようにチャネルの平面で計器を分割することを有利とすることができる。上側部分又はセクションである分割の他方のセクションは、半円形断面のチャネル内のスロットにされて定位置に締結された配管で構成することができる。これに代えて、上側セクションは、下側セクション内に組み込まれた半円形断面のチャネル内のスロットにされた円形断面のチャネル(又は配管)を組み込んだ板で構成することができる。上側セクションは、使用後に廃棄可能にすることができる。これらの変形のいずれにおいても、下側セクション内の圧力センサは、流体に接触することなく配管又はチャネル内の圧力を感知することができる。更に別の代替として、圧力センサは、下側セクションへの電気接続を有する配管内に組み込むことができる。
【0082】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に異なる修正を加えることができ、例えば、特許請求の範囲で他の変形及びオプションを考えることができ、例えば、駆動要素31は、プランジャを一端で押し込んで後退させるようなプランジャ11a上のクランプで置換することができる。プランジャ12aは、次に、それに対して作用される流体中の圧力に応答して前後に移動する。
【0083】
流れアクチュエータ及び圧力モニタ装置又は圧力モニタシステムは、信号を処理し、ゲル化又は凝固の予想時間のような関連の流動情報を記録及び/又は表示するための電子システムに接続することができる。
【0084】
装置の構造及び向きは、代わりの設計及び成形のものとすることができ、いずれの個数のセクションも存在することができる。これらのセクションは、血液又は検査流体が貫流することができるいずれかの形状又は構造とすることができる。例えば、各セクションは、均一な断面積を有することができ、徐々に変化する断面積を有することができ、又は変化する断面積を有することができる。セクション数は変更することができ、提供した例では3つのセクションが存在するが、3よりも多い又は少ないセクションを考えることができる。構成要素部品の個数は変更することができ、上述の例では、チャネルを含むブロックを1つの構成要素として例示している。しかし、ブロックは、血液接触チャネルが廉価な廃棄可能部品であり、それに対して感知構成要素がそれ程容易には廃棄することができないように、部分構成要素に好ましくは分割される。例えば、チャネルは、図に示すチャネル内に係合する廃棄可能プラスチックチューブとすることができる。廃棄可能部品の容易な交換を可能にするために、ブロックは、図に示す平面内で分割することができる。装置は、構成のあらゆる適切な材料又は材料の組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0085】
11b、12b 中空シリンダ
11c、12c 中空コネクタ
30 ブロック
31 駆動要素
31b、31c サイドアーム
図1
図2