(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】可変振動ダンパを有する流体静力学的駆動システム
(51)【国際特許分類】
F16H 61/4183 20100101AFI20220502BHJP
F16H 61/42 20100101ALI20220502BHJP
【FI】
F16H61/4183
F16H61/42
(21)【出願番号】P 2019532932
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(86)【国際出願番号】 CA2017051525
(87)【国際公開番号】W WO2018112608
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-09-30
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518179841
【氏名又は名称】キネティクス ドライヴ ソリューションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kinetics Drive Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ダイク,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ドリス,ポール
(72)【発明者】
【氏名】シェパー,ロン
(72)【発明者】
【氏名】スターキー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ツェパック,ジョン
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-302673(JP,A)
【文献】特開昭59-117949(JP,A)
【文献】特許第2986278(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377350(US,A1)
【文献】特開2009-257391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/14
F16H 61/38-61/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体静力学的駆動システムにおいて、
第1の液圧駆動ユニットであって、前記第1の液圧駆動ユニットが、前記第1の液圧駆動ユニットの容量を制御するための第1の容量制御装置を備える可変容量型の液圧駆動ユニットである、第1の液圧駆動ユニットと、
第2の液圧駆動ユニットと、
前記第1の液圧駆動ユニットに接続された第1の駆動シャフトと、
前記第2の液圧駆動ユニットに接続された第2の駆動シャフトと、
前記第1の液圧駆動ユニットを前記第2の液圧駆動ユニットに流体接続する第1の流体ラインと、
前記第1の流体ラインに接続されて、前記第1および第2の液圧駆動ユニットに流体接続された可変減衰装置であって、前記可変減衰装置が、前記可変減衰装置の減衰周波数の変化を提供する少なくとも1つの可変要素を備える、可変減衰装置と、
前記第1の液圧駆動ユニットの前記第1の容量制御装置と前記可変減衰装置の前記可変要素との間にあり、前記第1の容量制御装置の容量に従って前記可変要素を制御するように動作可能である第1のリンケージ機器と
を備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットがポンプであり、
前記第2の液圧駆動ユニットがモータである
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項3】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットがモータであり、
前記第2の液圧駆動ユニットがポンプである
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項4】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器である
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項5】
請求項4に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変要素が、前記ヘルムホルツ共鳴器の端部を形成するピストンであり、それによって、前記ヘルムホルツ共鳴器の容積が前記ピストンの容量により変化する
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項6】
請求項4に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変要素が、前記ヘルムホルツ共鳴器上の可変長首部であり、それによって、
前記ヘルムホルツ共鳴器の容積が前記首部の容量により変化する
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項7】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変減衰装置が、同軸チャンバ共鳴器またはQuinckeチューブである
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項8】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1のリンケージ機器が、前記第1の液圧駆動ユニットの前記第1の容量制御装置を前記可変減衰装置の前記可変要素に機械的に連結する機械機器である
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項9】
請求項8に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器であり、
前記可変要素が前記ヘルムホルツ共鳴器の端部を形成するピストンであり、
前記機械機器が、
前記第1の液圧駆動ユニットの前記第1の容量制御装置に取り付けられたレバーアームと、
前記ヘルムホルツ共鳴器の前記ピストンに取り付けられたプッシュプルロッドと
を備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項10】
請求項9に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットが、ヨークを備える斜軸型のユニットであり、
前記レバーアームが、
前記斜軸型のユニットの前記ヨークに取り付けられている
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項11】
請求項9に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットが、セクタプレートを備える斜軸型のユニットであり、
前記レバーアームが、
前記斜軸型のユニットの前記セクタプレートに取り付けられている
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項12】
請求項9に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットが、アキシアルピストン型のユニットであり、
前記レバーアームが、前記ユニットの斜板に取り付けられている
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項13】
請求項9に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットが、ラジアルピストンモータ型のユニットであり、
前記レバーアームが、前記ユニットの偏心ずれ制御リングに取り付けられている
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項14】
請求項8に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記機械機器が、マルチバーリンケージ、カム機構、偏心機構、またはネジ機構を備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項15】
請求項8に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器であり、
前記可変要素が前記ヘルムホルツ共鳴器上の可変長首部であり、
前記機械機器が、
前記第1の液圧駆動ユニットの前記第1の容量制御装置に取り付けられたレバーアームと、
前記ヘルムホルツ共鳴器の前記首部に取り付けられたプッシュプルロッドと
を備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項16】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1のリンケージ機器が、
前記第1の液圧駆動ユニットの前記第1の容量制御装置に取り付けられた位置センサと、
前記可変減衰装置の前記可変要素に接続されたアクチュエータと、
制御装置と
を備え、
前記制御装置の入力が前記位置センサに接続されて、
前記制御装置の出力が前記アクチュエータに接続されている
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項17】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第2の液圧駆動ユニットが、第2の容量制御装置を備える可変容量型の液圧駆動ユニットである
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項18】
請求項17に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第2の液圧駆動ユニットの前記第2の容量制御装置と前記可変減衰装置の前記可変要素との間にあり、前記第2の容量制御装置の容量に従って前記可変要素を制御するように動作可能である第2のリンケージ機器と、
前記第1および第2のリンケージ機器に接続されて、前記可変要素に対する前記第1および第2のリンケージ機器の作用を変えるように動作可能である加算装置と
をさらに備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項19】
請求項17に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記可変減衰装置が、前記可変減衰装置の前記減衰周波数の変化を提供するさらなる可変要素を備え、
前記流体静力学的駆動システムが、前記第2の液圧駆動ユニットの前記第2の容量制御装置と前記可変減衰装置の前記さらなる可変要素との間の第2のリンケージ機器をさらに備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項20】
請求項19に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1および第2のリンケージ機器が相互接続される
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項21】
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムにおいて、
前記第1の液圧駆動ユニットを前記第2の液圧駆動ユニットに流体接続する第2の流体ラインを備える
ことを特徴とする流体静力学的駆動システム。
【請求項22】
動力分割無限可変変速機において、
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムを備える
ことを特徴とする動力分割無限可変変速機。
【請求項23】
連続可変変速機において、
請求項1に記載の流体静力学的駆動システムを備える
ことを特徴とする連続可変変速機。
【請求項24】
流体静力学的駆動システムにおいて振動を減衰させるための確実な方法であって、前記流体静力学的駆動システムが、
第1の液圧駆動ユニットであって、前記第1の液圧駆動ユニットが液圧駆動ユニットの可変容量型である、第1の液圧駆動ユニットと、
第2の液圧駆動ユニットと、
前記第1の液圧駆動ユニットに接続された第1の駆動シャフトと、
前記第2の液圧駆動ユニットに接続された第2の駆動シャフトと、
前記第1の液圧駆動ユニットを前記第2の液圧駆動ユニットに流体接続する第1の流体ラインと、
前記第1の流体ラインに接続されて、前記第1および第2の液圧駆動ユニットに流体接続された可変減衰装置であって、前記可変減衰装置が、前記可変減衰装置の減衰周波数の変化を提供する少なくとも1つの可変要素を備える、可変減衰装置と
を備える方法において、
前記第1の液圧駆動ユニットの容量を制御するための第1の容量制御装置を前記可変容量の第1の液圧駆動ユニットに組み込むことと、
前記第1の液圧駆動ユニットの前記第1の容量制御装置と前記可変減衰装置の前記可変要素との間に第1のリンケージ機器を組み込むことと、
前記第1の容量制御装置の容量に従って前記可変要素を制御することと
を含む
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体静力学的駆動システムおよびその振動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の流体静力学的駆動システムは通常、互いに流体結合される少なくとも2つの液圧駆動ユニットからなる。一方の液圧駆動ユニットはポンプとして機能してもよく、他方の液圧駆動ユニットはモータとして機能してもよい(または、逆もまた同じ)。液圧駆動ユニットの少なくとも1つが可変ユニットであるとき、連続可変変速機、すなわちCVTが作成される。さらに、流体静力学的駆動システムは、米国特許第7,357,744号明細書で開示されているような、動力分割無限可変変速機、すなわちIVTのバリエータとして機能することもできる。容積式液圧駆動ユニットは、ベーン、プランジャ、ダイアフラム、またはピストンの設計とすることができる。最も一般的で最も効率的なものの1つは、斜軸ピストン液圧駆動ユニット(ポンプまたはモータ)である。
【0003】
大部分の容積式液圧駆動ユニットの残念な態様の1つは、複数のチャンバを、駆動シャフトの各回転の間に開閉しなければならず、それによって、液圧ラインに圧力および流れパルスが生じることである。特定の実施態様に応じて、結果として生じる流体伝播振動および構造伝播振動のレベルは、非常に大きくなる可能性がある。周囲の構成要素に伝えられる振動を低減するために、さまざまな方法が採用されてもよい。構造架台および駆動シャフトの特別なダンパで流体静力学的駆動を物理的に隔離することは、1つの選択肢であるが、これは、一体化および梱包の問題をもたらす可能性がある。より効率的な方法は、発生源により近い振動の原因を処理することである、すなわち、液圧ラインにおける圧力脈動のレベルを低減させることである。典型的な減衰装置は、ヘルムホルツもしくはサイドブランチ共鳴器、同心チャンバ共鳴器、または脈動チャンバを含む。Parker Hannifin社のPulse-Tone(登録商標)およびLinde Hydraulics社のSPU Silencerなどの減衰装置は、これらのいくつかの実例である。脈動を低減または除去する相殺的な相反する波をもたらすQuincke Tubeなどのあまり一般的ではない装置も存在する。適切に調整されると、これらは、振動の振幅の低減において非常に効果的である可能性がある。しかしながら、これらの装置は、非常に狭い可能性がある特定の周波数帯のために調整しなければならない。よって、このような装置は、複数の共振周波数を有する駆動システムにおいては完全に効果的なものではない。理想的には、これらの装置は、その代わりに、変化する動作条件に対して「即座に調整」されなければならない。
【0004】
液圧のための可変減衰装置は、当該技術分野においてよく知られている。たとえば、米国特許第6,234,758号明細書は、チャンバの一端を形成する可動ピストンを有する共振チャンバからなる可変サイドブランチを有するポンピングシステムを教示している。さまざまな作動方法を使用して、ピストンの位置を変えることによってチャンバ容積を変更してもよい。米国特許第6,234,758号明細書では、制御装置が、ポンプ速度を監視する速度センサに接続されている。制御装置は、特定のポンプ速度に必要な周波数応答を減衰させるために、チャンバ容積を変更する。電子機器が固定式および移動式の両方の用途で正常に使用されているが、それらはシステムのコストを増大させる。電子機器、特にセンサは、相当する機械システムほど堅牢ではない。
【0005】
可変減衰特性を組み込んでいる典型的なシステムでは、減衰装置の減衰周波数を決定するために、速度が監視される。これらのシステムの大部分が、完全な流体静力学的(たとえば、CVT)システムで使用されている。
【0006】
振動制御のためのさまざまな手段が流体静力学的駆動システムで知られているが、より単純かつより堅牢な設計、特に、IVTなどのより幅広い変速機の用途での使用を提供する継続的な要求がある。本発明は、以下に説明するように、これらのおよび他の要求に対処する。
【発明の概要】
【0007】
IVTでは、流体静力学的駆動システムがCVTとは異なる挙動を示すことが最近分かった。最大振動レベルの多くが、ポンプ、モータ、またはその2つの組合せのいずれかの容量に単純に関連づけることができることを、テストは示している。上記のように、機械的機構が必要な応答曲線に合わせて調整されると、それは非常に堅牢で信頼性の高いシステムになる。本明細書で提示される本発明は、これらの調査結果の利点を利用し、機械的リンケージまたは機構の使用により、電子機器の代わりに減衰装置の減衰周波数を変えることを可能にする。
【0008】
本発明の流体静力学的駆動システムは、第1および第2の液圧駆動ユニットと、それぞれ第1および第2の液圧駆動ユニットに接続された第1および第2の駆動シャフトと、第1の液圧駆動ユニットを第2の液圧駆動ユニットに流体接続する第1の流体ラインと、第1の流体ラインに接続されて、第1および第2の液圧駆動ユニットに流体接続された可変減衰装置と、第1のリンケージ機器とを備える。第1の液圧駆動ユニットは、第1の液圧駆動ユニットの容量を制御するための第1の容量制御装置を備える可変容量型の液圧駆動ユニットである。可変減衰装置は、可変減衰装置の減衰周波数の変化を提供する少なくとも1つの可変要素を備える。第1のリンケージ機器は、第1の液圧駆動ユニットの第1の容量制御装置と可変減衰装置の可変要素との間に設けられ、第1の容量制御装置の容量に従って可変要素を制御するように動作可能である。
【0009】
本発明の実施形態において、第1の液圧駆動ユニットはポンプとすることができ、第2の液圧駆動システムはモータとすることができる。または、ユニットの機能は逆にすることができる、すなわち、第1の液圧駆動ユニットはモータとすることができ、第2の液圧駆動システムはポンプとすることができる。
【0010】
採用される可変減衰装置は、ヘルムホルツ共鳴器とすることができる。そのような場合、たとえば、可変要素は、ヘルムホルツ共鳴器の端部を形成するピストンであってもよく、それによって、ヘルムホルツ共鳴器の容積はピストンの容量により変化する。あるいは、可変要素は、ヘルムホルツ共鳴器上の可変長首部でもよく、それによって、ヘルムホルツ共鳴器の容積は首部の容量により変化する。しかしながら、可変減衰装置は、たとえば、同軸チャンバ共鳴器またはQuinckeチューブを含む、当該技術分野において知られている任意の好適なこのような装置であってもよい。
【0011】
流体静力学的駆動システムで採用される第1のリンケージ機器は、望ましくは、第1の液圧駆動ユニットの第1の容量制御装置を可変減衰装置の可変要素に機械的に連結する機械機器とすることができる。可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器であり、可変要素がヘルムホルツ共鳴器の端部を形成するピストンである実施形態において、例示的な機械機器は、第1の液圧駆動ユニットの第1の容量制御装置に取り付けられたレバーアームと、ヘルムホルツ共鳴器のピストンに取り付けられたプッシュプルロッドとを備える。さらに、このような実施形態の第1の液圧駆動ユニットは、動作のためにヨークまたはセクタプレートのいずれかを備え、レバーアームが斜軸のヨークまたはセクタプレートに取り付けられる斜軸型のユニットでもよい。あるいは、第1の液圧駆動ユニットは、レバーアームがユニットの斜板に取り付けられるアキシアルピストン型のユニットでもよい。さらに、第1の液圧駆動ユニットは、レバーアームがユニットの偏心ずれ制御リングに取り付けられるラジアルピストンモータ型のユニットでもよい。同様に、第2の液圧駆動ユニットも、上記の型、たとえば、斜軸型、アキシアルピストン型、ラジアルピストンモータ型、またはその他の型のいずれでもよい。
【0012】
第1のリンケージ機器が機械機器である実施形態において、機械機器は、マルチバーリンケージ、カム機構、偏心機構、またはネジ機構を備えることができる。可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器であり、可変要素がヘルムホルツ共鳴器上の可変長首部である実施形態において、機械機器は、第1の液圧駆動ユニットの第1の容量制御装置に取り付けられたレバーアームと、ヘルムホルツ共鳴器の首部に取り付けられたプッシュプルロッドとを備えることができる。
【0013】
しかしながら、流体静力学的駆動システムで採用される第1のリンケージ機器は、完全に機械機器とは異なるものとすることができる。たとえば、第1のリンケージ機器は、第1の液圧駆動ユニットの第1の容量制御装置に取り付けられる位置センサと、可変減衰装置の可変要素に接続されるアクチュエータと、制御装置の入力が位置センサに接続されて、制御装置の出力がアクチュエータに接続される制御装置とを備えることができる。
【0014】
本発明の他の変形形態は、第2の液圧駆動ユニットが、第2の容量制御装置を備える可変容量型の液圧駆動ユニットでもある流体静力学的駆動システムを含む。このような変形形態において、流体静力学的駆動システムは、第2の液圧駆動ユニットの第2の容量制御装置と可変減衰装置の可変要素との間にあり、第2の容量制御装置の容量に従って可変要素を制御するように動作可能である第2のリンケージ機器と、第1および第2のリンケージ機器に接続されて、可変要素に対する第1および第2のリンケージ機器の作用を変えるように動作可能である加算装置とをさらに備えることができる。あるいは、このような変形形態において、可変減衰装置は、可変減衰装置の減衰周波数の変化を提供するさらなる可変要素を備えることができる。次いで、流体静力学的駆動システムは、第2の液圧駆動ユニットの第2の容量制御装置と可変減衰装置のさらなる可変要素との間の第2のリンケージ機器をさらに備えることができる。このような第1および第2のリンケージ機器は相互接続されてもよい。さらに他の変形形態において、流体静力学的駆動システムは、第1の液圧駆動ユニットを第2の液圧駆動ユニットに流体接続する第2の流体ラインを備えてもよい。
【0015】
流体静力学的駆動システムは、動力分割液圧機械式無限可変変速機および/または連続可変変速機での使用に特に適している。
【0016】
よって、本発明は、関連する流体静力学的駆動システムにおいて振動を減衰させるための確実な方法を示す。特に、本発明の方法は、第1の液圧駆動ユニットの容量を制御するための第1の容量制御装置を可変容量の第1の液圧駆動ユニットに組み込むことと、第1の液圧駆動ユニットの第1の容量制御装置と可変減衰装置の可変要素との間に第1のリンケージ機器を組み込むことと、第1の容量制御装置の容量に従って可変要素を制御することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、先行技術の液圧システムの略図である(上記の米国特許第6234758号明細書から転載)。
【
図2】
図2は、可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器である本発明の流体静力学的駆動システムの概略図である。
【
図3】
図3は、ヘルムホルツ共鳴器の図を示し、ヘルムホルツ共鳴器の周波数(f)とその物理的寸法との関係を示す。
【
図4】
図4は、
図2の流体静力学的駆動システムと類似しているが、代替的なリンケージ組立体を採用する、本発明の流体静力学的駆動システムの概略図である。
【
図5】
図5は、
図2の発明の流体静力学的駆動システムを組み込む、単純な動力分割液圧機械式IVT(HMIVT)の概略図を示す。
【
図6】
図6は、任意選択の第2の容量制御装置と、第2のリンケージ機器と、加算装置とを備える、本発明の流体静力学的駆動システムの概略図を示す。
【
図7】
図7は、任意選択の第3の液圧駆動ユニットを備える、本発明の流体静力学的駆動システムの概略図を示す。
【
図8】
図8は、任意選択の第3の液圧駆動ユニットを備える、本発明の流体静力学的駆動システムの代替的な実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
文脈から特に必要とされない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」などの文言は、制限のない、包括的な意味に解釈されるべきである。「1つの(a)」、「1つの(an)」などの文言は、少なくとも1つを意味すると解釈すべきであり、1つだけに限定されない。
【0019】
本明細書において、用語「連続可変変速機」すなわちCVTは、最小比と最大比との間の無数の有効ギア比で無段階に変化できる変速機を指す。
【0020】
「無限可変変速機」すなわちIVTは、CVTのサブクラスであり、それが最小比と最大比との間の無数の有効ギア比で無段階に変化でき、比の1つが無限大の入出力速度比である変速機を指す。
【0021】
「液圧駆動ユニット」は、固定容量設計または可変容量設計であってもよい、液圧式容積型ポンプまたはモータを指す。「可変容量型の液圧駆動ユニット」は、ユニットの稼働中、1回転ごとに移動する流体の量が変化してもよく、可変容量がユニットの容量を制御するための機構であるいくつかの種類の「容量制御装置」によって制御される液圧駆動ユニットを指す。
【0022】
「バリエータ」は、多くの場合、変速機に速度比変化およびトルク比変化をもたらすためにIVTで使用される。それは、少なくとも2つの入出力シャフトからなり、前記シャフト間の速度およびトルク比が可変である。それは、比の変化をもたらす機械、水力、または電気設計でもよい。
【0023】
「液圧バリエータ」は、バリエータのサブクラスであり、液圧的に結合される少なくとも2つの液圧駆動ユニットからなる。液圧駆動ユニットはどちらも、固定設計または可変設計でもよい。液圧駆動ユニットの入出力シャフトは、バリエータの入出力シャフトを形成する。いつでも、液圧駆動ユニットの少なくとも1つはポンプとして機能し、残りのユニットはモータとして機能する。
【0024】
「分割経路IVT」は、入力動力が2つ以上のブランチに分割されて、IVTの出力で再結合される、IVTのサブクラスである。多くの場合、ブランチの少なくとも1つは、バリエータからなる。分割経路IVTの例は、米国特許第7,357,744号明細書に開示されている。
【0025】
液圧のための可変減衰装置は、当該技術分野においてよく知られている。たとえば、
図1(Caterpillarの上記の米国特許第6,234,758号明細書から転載)は、チャンバの一端を形成する可動ピストンを有するヘルムホルツ型共鳴チャンバからなる可変サイドブランチを有するポンピングシステムを示す。(
図1において、さまざまな要素の説明およびその番号付けは、米国特許第6234758号明細書で使用されているものと同じである。)上記のように、さまざまな作動方法を使用して、ピストンの位置を変えることによってチャンバ容積を変更してもよい。制御装置は、駆動用電動モータによってポンプ速度を間接的に監視する速度センサに接続されている。制御装置は、特定のポンプ速度に必要な周波数応答を減衰させるために、チャンバ容積を変更する。電子機器はシステムのコストを増大させ、さらなる電子機器、特にセンサは、相当する機械システムほど堅牢ではない。可搬式の商業的および軍事的用途で見られるような厳しい動作環境では、これらの環境を耐えぬくのに十分堅牢である電気装置の一体化に費用がかかる可能性がある。
【0026】
図2は、可変減衰装置がヘルムホルツ共鳴器である本発明の例示的な流体静力学的駆動システム(または、バリエータ)の概略図を示す。このような駆動システムは、分割経路IVTでの使用に特に適している。
図2の流体静力学的駆動システム101は、第1の液圧駆動ユニット102と、第2の液圧駆動ユニット103とを有する。第1の液圧駆動ユニット102は、ユニットの容量を制御するための第1の容量制御装置104を備える可変容量型の液圧駆動ユニットである。第2の液圧駆動ユニット103の型は、可変容量型を含む任意の好適な型でもよいので、指定されない。システムは、第1の液圧駆動ユニット102および第2の液圧駆動ユニット103にそれぞれ接続された、第1の駆動シャフト105および第2の駆動シャフト106も有する。さらに、システムは、第1の液圧駆動ユニット102を第2の液圧駆動ユニット103に流体接続する第1の流体ライン107と、第1の液圧駆動ユニット102を第2の液圧駆動ユニット103に流体接続する第2の流体ライン108とを有する閉ループ設計である。(より単純な実施形態では、システムは開ループ設計でもよい、すなわち、第2の流体ライン108は存在しなくてもよく、第1の液圧駆動ユニット102および第2の液圧駆動ユニット103はリザーバシステムに接続される。)振動を減衰させるために、システムは、第1の流体ライン107に可変減衰装置109を含み、第1の液圧駆動ユニット102および第2の液圧駆動ユニット103に流体接続される。可変減衰装置109は、可変減衰装置109の減衰周波数の変化を提供する少なくとも1つの可変要素を備える。
図2において、可変減衰装置109はヘルムホルツ共鳴器として示され、可変要素は共鳴器の一端を形成するピストン110である。チャンバ111は共鳴器の他端を形成し、共鳴器はダンパ流体ライン112によって第1の流体ライン107に流体接続される。可変の第1の液圧駆動ユニット102の容量が変化すると、共鳴器の容積も変化する。当該技術分野において知られているように、ヘルムホルツ共鳴器の周波数は、チャンバの容積に比例する。(たとえば、
図3は、ヘルムホルツ共鳴器の図を示し、ヘルムホルツ共鳴器の周波数が、容積V、首部の長さL、および首部の断面積Aを含むその物理的寸法の関数であることを定性的に示す。)
図2の流体静力学的駆動システム101は、ユニットの容量に追従するように可変の第1の液圧駆動ユニット102に接続される単純な機械的リンケージ機器113を採用する。特にここで、レバーアーム114は、ユニット102の容量制御装置104に取り付けられる。使用されるユニットの型および容量制御装置に応じて、レバーアームが取り付けられるものは、斜軸流体静力学的ユニットのヨークまたはセクタプレート、アキシアルピストン流体静力学的ユニットの斜板、ラジアルピストンモータの偏心ずれ制御リングなどであってもよい。
図2のリンケージ機器113の他端は、ここで示されるように、ヘルムホルツ共鳴器のピストン110である、可変減衰装置109の可変要素に、プッシュプルロッド115を介して接続される。
【0027】
代替的な実施形態において、より複雑なマルチバーリンケージ、カムもしくは偏心機構、ネジ機構、および/または他の類似の機構からなる機械的リンケージ機器が考えられてもよい。流体静力学的駆動システム201のそのような代替的な実施形態は、
図4の概略図に示される。(
図4において、同様の数字は、
図2の要素に共通の要素を識別するために使用されている。)ここで、リンケージ機器213は、ヘルムホルツ共鳴器のピストン110(すなわち、可変減衰装置109の可変要素)を調整するために、
図2に示されるプッシュプルロッド115の代わりに、カム215およびフォロア216装置を採用する。
【0028】
さらに別の実施形態において、ヘルムホルツ共鳴器の減衰周波数は、その首部の長さを制御することによって変化させてもよい(すなわち、それゆえ、可変要素は首部である)。このような実施形態において、リンケージ機器は、代わりに、共鳴器上で可変長さ首部に接続される可能性がある。さらに別の実施形態において、採用される可変減衰装置は、代わりに、同軸チャンバ共鳴器、Quinckeチューブ、または任意の他の好適な減衰装置である可能性があり、それは上記のリンケージおよび/または他の好適なリンケージに適切に接続される可能性がある少なくとも1つの可変要素を有する。
【0029】
さらに別の実施形態において、流体静力学的駆動システムは、第1および第2の液圧駆動ユニットが共通のリザーバに接続される、第1の流体ラインのみ有する(すなわち、第2の流体ラインがない)開ループ設計でもよい。あるいは、流体静力学的駆動システムは、第1の液圧駆動ユニットが第1のリザーバに接続されて、第2の液圧駆動ユニットが第2のリザーバに接続される、第1の流体ラインのみ有する開ループ設計でもよい。
【0030】
上で論じられたる機械的リンケージ機器は、簡易な流体静力学的駆動システムの単純かつ堅牢な制御を可能にするが、環境があまり厳しくなく、可変減衰装置の減衰周波数を制御するために、より多くの柔軟性が必要とされる場合、電子的方法が、このような機械的方式の代わりに使用されてもよい。たとえば、例示的なリンケージ機器は、代わりに、可変の第1の静水圧ユニット上に設置される位置センサを備えて、容量を監視してもよい。そして、位置センサは、制御装置に接続されてもよく、制御装置は次に、可変減衰装置の可変要素を変化させるためのアクチュエータに接続される。
【0031】
本発明の流体静力学的駆動システムは、CVT、IVT、またはより複雑な分割動力変速機を含む、さまざまな種類の変速機での使用に好適である。
図5は、単純な分割経路IVT310に一体化された
図2の流体静力学的駆動システムに類似した流体静力学的駆動システム301を示す。しかしながら、
図5において、流体静力学的駆動システム301の第1の液圧駆動ユニット302および第2の液圧駆動ユニット303はどちらも、可変型のユニットとして示されているが、第1の液圧駆動ユニット302のみ、可変減衰装置309に接続される。
図5に示されるように、HMIVT310は、典型的な方法で配置されるこのような変速機のための従来の要素も備える。HMIVT310は、流体静力学的駆動システム301が見える機械式ブランチ320および液圧式ブランチ321を有する。HMVIT310はまた、動力分割器322(遊星ギヤセットとして示される)と、結合器ギヤセット323と、入力軸324と、出力軸325とを含む。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態において、第2の液圧駆動ユニットは、第2の容量制御装置を備える可変容量型の液圧駆動ユニットとすることもできる。次いで、流体静力学的駆動システムは、第2の液圧駆動ユニットの容量制御装置と可変減衰装置の可変要素との間に第2のリンケージ機器をさらに備えてもよい。加算装置は、第1および第2のリンケージと可変減衰装置の可変要素との間に配置することができる。このような加算装置は、可変要素に対する、第1および第2のリンケージ機器のそれぞれがもたらす作用を変えるために使用される。よって、第1の可変要素は、次に第1の液圧駆動ユニットに接続される適切なリンケージ機器に、加算装置を通して接続され、第1の可変要素はまた、第2の液圧駆動ユニットに接続される第2のリンケージ機器に、加算装置を通して接続される。加算装置は、第1および第2のリンケージ機器の第1の可変要素への出力を組み合わせるように動作する。
【0033】
加算装置の例示的な実施形態は、
図6に示される流体静力学的駆動システム401の概略図で示される。(
図6において、同様の数字は、
図2の要素に共通の要素を識別するために再び使用されている。)ここで、第2の液圧駆動ユニット403は、ユニット403の容量を制御するための第2の容量制御装置404を有する可変型のユニットである。また、ここで、流体静力学的駆動システム401は、第1のリンケージ機器413と、第2のリンケージ機器419と、その間に接続された加算装置420とを備える。第1のリンケージ機器413は、(容量制御装置104に取り付けられた)レバーアーム114とプッシュプルロッド415とを含む。第2のリンケージ機器419は、(容量制御装置404に取り付けられた)レバーアーム421とプッシュプルロッド422とを含む。ここで示されるように、加算装置420は、第1のピボット点424、第2のピボット点425、および第3のピボット点426を有するビーム423からなる。第1のリンケージ機器413は、第1のピボット点424に接続される。第2のリンケージ機器419は、第3のピボット点426に接続される。可変減衰装置109の可変要素(ピストン110)への入力は、残りの第2のピボット点425に接続される。
【0034】
他の加算装置は、第1および第2の容量制御装置に接続される第1および第2のカムと、可変要素に取り付けられたフォロアとからなってもよい。
【0035】
上で論じられた機械的リンケージ機器は、簡易な流体静力学的駆動システムの単純かつ堅牢な制御を可能にする。しかしながら、環境があまり厳しくなく、可変減衰装置の減衰周波数を制御するために、より多くの柔軟性が必要とされる場合、電子的方法が、このような機械的方式の代わりに使用されてもよい。たとえば、例示的なリンケージ機器は、代わりに、可変の第1および第2の液圧駆動ユニット上で取り付けられる第1および第2の位置センサを備えて、容量を監視してもよい。そして、位置センサは、制御装置に接続されてもよく、制御装置は次に、可変減衰装置の可変要素を制御するためのアクチュエータに接続される。
【0036】
本発明のさらにまた別の実施形態において、可変減衰装置は、可変減衰装置の減衰周波数の変化を提供する第2の可変要素(たとえば、2つの可変要素)を備えてもよい。次いで、このような例では、流体静力学的駆動システムは、第2の液圧駆動ユニットの第2の容量制御装置と可変減衰装置の第2の可変要素との間に第2のリンケージ機器をさらに備えることができる。よって、第1の可変要素は、適切なリンケージ機器を通して第1の液圧駆動ユニットに接続され、第2の可変要素は、第2のリンケージ機器を通して第2の液圧駆動ユニットに接続される。さらに、第1および第2のリンケージ機器はまた、互いに相互接続されてもよい。
【0037】
上で論じられた機械的リンケージ機器は、簡易な流体静力学的駆動システムの単純かつ堅牢な制御を可能にする。しかしながら、環境があまり厳しくなく、可変減衰装置の減衰周波数を制御するために、より多くの柔軟性が必要とされる場合、電子的方法が、このような機械的方式の代わりに使用されてもよい。たとえば、例示的なリンケージ機器は、代わりに、可変の第1および第2の液圧駆動ユニット上で取り付けられる第1および第2の位置センサを備えて、容量を監視してもよい。そして、位置センサは、制御装置に接続されてもよく、制御装置は次に、可変減衰装置の第1および第2の可変要素をそれぞれ制御するための第1および第2のアクチュエータに接続される。
【0038】
可変減衰装置がバルブプレートと流体連通する液圧駆動ユニットの1つに直接接続される、代替の実施形態も可能である。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態において、第3の液圧駆動ユニット503が
図7に示されるように追加されてもよい。ここで、第3の液圧駆動ユニット503は、流体ライン507および508によって、第1の液圧駆動ユニット102および第2の液圧駆動ユニット103に流体接続される。第2の駆動シャフト106は、第3の液圧駆動ユニット503を通して第3の駆動シャフト506に機械的に結合される。代替的な実施形態において、駆動シャフト106および506は、伝動装置によって、または、当該技術分野において知られている他の手段によって結合されてもよい。さらに別の代替的な実施形態において、第2の駆動シャフト106および第3の駆動シャフト506は、機械的にまったく結合されなくてもよい。
【0040】
液圧駆動ユニット103の容量制御装置504aは、第2の液圧駆動ユニット103と第3の液圧駆動ユニット503との間で容量変化が同期するように、液圧駆動ユニット503の容量制御装置504bに接続される。
図7に示されるように、2つの容量制御装置504aと504bとの間の接続は、レバーアーム514aおよび514b、ならびにリンケージ516によって作られる。液圧駆動ユニット103および液圧駆動ユニット503が斜軸ユニットである例では、リンケージ516ならびにレバーアーム514aおよび514bは、欧州特許第3017215号明細書に記載の共通ヨークを使用することによって、排除される可能性がある。同様に、リンケージ516ならびにレバーアーム514aおよび514bは、共通のレンズプレートが使用される例で排除される可能性がある。液圧駆動ユニット103および液圧駆動ユニット503がアキシアルピストン静水圧ユニットである例では、共通の斜板が、リンケージ516ならびにレバーアーム514aおよび514bの必要性を排除する。液圧駆動ユニット103および液圧駆動ユニット503がラジアルピストン静水圧ユニットである例では、共通の偏心ずれ制御リングが、リンケージ516ならびにレバーアーム514aおよび514bの必要性を排除する。代替的な実施形態では、容量制御装置504aおよび504bは、まったく接続されず、独立して制御することができる。さらに別の代替的な実施形態では、液圧駆動ユニット103および503の一方または両方は、固定容量設計でもよい。
【0041】
可変減衰装置109は、機械的リンケージ機器113によって第1の液圧駆動ユニット102の容量制御装置104に接続される。
【0042】
また、代替的な実施形態において、より複雑なマルチバーリンケージ、カムもしくは偏心機構、ネジ機構、および/または他の類似の機構からなる機械的リンケージ機器が考えられてもよい。
【0043】
さらなる代替的な実施形態において、第2および第3の液圧駆動ユニットの容量は、
図6に示されるものと類似したアプローチで、可変減衰装置に接続される可能性もある。
【0044】
すでに述べたように、上で論じられた機械的リンケージ機器は、簡易な流体静力学的駆動システムの単純かつ堅牢な制御を可能にする。しかしながら、環境があまり厳しくなく、可変減衰装置の減衰周波数を制御するために、より多くの柔軟性が必要とされる場合、電子的方法が、このような機械的方式の代わりに使用されてもよい。たとえば、例示的なリンケージ機器は、代わりに、可変の第1、第2、および第3の液圧駆動ユニット上に取り付けられる第1、第2、および第3の位置センサを備えて、容量を監視してもよい。そして、位置センサは、制御装置に接続されてもよく、制御装置は次に、可変減衰装置の可変要素を制御するためのアクチュエータに接続される。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態において、第3の液圧駆動ユニットが
図8に示されるように追加されてもよい。ここで、第3の液圧駆動ユニット602は、流体ライン607および608によって、第1の液圧駆動ユニット102および第2の液圧駆動ユニット103に流体接続される。第3の駆動シャフト605は、第1の液圧駆動ユニット102を通して第1の駆動シャフト105に機械的に結合される。代替的な実施形態において、駆動シャフト105および605は、伝動装置によって、または、当該技術分野において知られている他の手段によって結合されてもよい。可変減衰装置109は、単純な機械的リンケージ機器613によって、第1および第3の液圧駆動ユニット102および602の容量制御装置にそれぞれ接続される。
【0046】
液圧駆動ユニット102の容量制御装置104は、第1の液圧駆動ユニット102と第3の液圧駆動ユニット602との間で容量変化が同期するように、液圧駆動ユニット602の容量制御装置604に接続される。
図8に示されるように、2つの容量制御装置104と604との間の接続は、レバーアーム114および614、ならびにリンケージ616によって作られる。液圧駆動ユニット102および液圧駆動ユニット602が斜軸ユニットである例では、リンケージ616およびレバーアーム614は、欧州特許第3017215号明細書に記載の共通ヨークを使用することによって、かつ、レバーアーム114を共通ヨークに接続することによって、排除される可能性がある。同様に、リンケージ616およびレバーアーム614は、共通のレンズプレートが使用される例で排除される可能性がある。液圧駆動ユニット102および液圧駆動ユニット602がアキシアルピストン静水圧ユニットである例では、共通の斜板が、リンケージ616およびレバーアーム614の必要性を排除する。液圧駆動ユニット102および液圧駆動ユニット602がラジアルピストン静水圧ユニットである例では、共通の偏心ずれ制御リングが、リンケージ616およびレバーアーム614の必要性を排除する。
【0047】
また、代替的な実施形態において、より複雑なマルチバーリンケージ、カムもしくは偏心機構、ネジ機構、および/または他の類似の機構からなる機械的リンケージ機器が考えられてもよい。
【0048】
さらなる代替的な実施形態において、第3の液圧駆動ユニットの容量は、
図6に示されるものと類似したアプローチで、可変減衰装置に接続される可能性もある。
【0049】
すでに述べたように、上で論じられた機械的リンケージ機器は、簡易な流体静力学的駆動システムの単純かつ堅牢な制御を可能にする。しかしながら、環境があまり厳しくなく、可変減衰装置の減衰周波数を制御するために、より多くの柔軟性が必要とされる場合、電子的方法が、このような機械的方式の代わりに使用されてもよい。たとえば、例示的なリンケージ機器は、代わりに、可変の第1および第2の液圧駆動ユニット上で取り付けられる第1および第2の位置センサを備えて、容量を監視してもよい。機械的機構が、第1の可変液圧駆動ユニットと第3の可変液圧駆動ユニットとの間の容量を同期するために使用されない場合、第3の位置センサは、第3の可変液圧駆動ユニットに取り付けられてもよい。そして、位置センサは、制御装置に接続されてもよく、制御装置は次に、可変減衰装置の可変要素を制御するためのアクチュエータに接続される。
【0050】
本明細書で参照した上記の米国特許、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物のすべては、参照により、それらの全体を本明細書に援用するものとする。
【0051】
本発明の特定の要素、実施形態、および用途が図示および説明されたが、特に、前述の教示を考慮して、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって修正が行われてもよいことから、本発明がそれらの特定の要素、実施形態、および用途に限定されないことは、当然ながら言うまでもない。そのような修正は、本明細書に添付された特許請求の範囲の趣旨および範囲内と考えられる。