(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】サセプター
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20220502BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20220502BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20220502BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/458
C23C16/46
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019536352
(86)(22)【出願日】2017-09-18
(86)【国際出願番号】 IB2017055637
(87)【国際公開番号】W WO2018051304
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-08-12
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319003493
【氏名又は名称】キング・アブドゥッラー・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】519094813
【氏名又は名称】キング・ファハド・ユニバーシティ・オブ・ペトロリアム・アンド・ミネラルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シアオハン・リ
(72)【発明者】
【氏名】クアン-フイ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ハマド・エス・アロタイビ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-028625(JP,A)
【文献】特開2016-111043(JP,A)
【文献】特表2003-520746(JP,A)
【文献】特開平03-287770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0059182(US,A1)
【文献】特開平02-186623(JP,A)
【文献】特開2003-037071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/458
C23C 16/46
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのウェハを保持するようになっている水平プレートと、
前記水平プレートと一体化されかつ前記水平プレートに対して垂直な垂直ロッドと、
サセプターを少なくとも部分的に覆う断熱構造と、
誘導コイルと、
反応室と、を含むサセプターデバイスであって、前記誘導コイルは前記反応室の内部に設置されるサセプターデバイスを含むCVD装置であって、
前記サセプターデバイスは、前記誘導コイルによる誘導加熱に適しており、
前記垂直ロッドの垂直長さに沿ってのみ前記誘導コイルが配置されて前記垂直ロッドが前記水平プレートのための一次熱源として機能し、
前記垂直ロッドの垂直長さに沿って、かつ前記水平プレートの水平長さに沿って、前記断熱構造が配置されている、CVD装置。
【請求項2】
前記垂直ロッドがねじ山を有し、前記断熱構造の内壁は対応するねじ山を有する、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項3】
前記CVD装置は、シャワーヘッド注入構造をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載のCVD装置。
【請求項4】
前記水平プレートは、一つ以上のウェハを受け入れるように構成された一つ以上の領域を有し、前記シャワーヘッド注入構造が前記一つ以上のウェハの表面から10mm未満に配置される、請求項3に記載のCVD装置。
【請求項5】
前記サセプターデバイスを回転するように構成されたローターを更に備える、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項6】
前記水平プレートは前記誘導コイルの上面全体を覆う、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項7】
前記サセプターデバイスが抵抗加熱器を含まない、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項8】
前記サセプターデバイスが、前記水平プレートと一体化されかつ前記水平プレートに対して垂直な2つ以上の垂直ロッドを備える、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの垂直ロッドの直径が、前記少なくとも1つの水平プレートの直径よりも大きい、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項10】
CVDが少なくとも1500℃のサセプター表面温度で行われることを特徴とする請求項6に記載のCVD装置を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機金属化学気相成長法(MOCVD)リアクターには様々なリアクター設計がある。MOCVD反応では、加熱された表面に向けられた反応ガスの反応によって、加熱されたウェハ表面上に材料の膜が形成される。生成物はウェハの表面に堆積する可能性があり、ガス状副生成物は排出ポンプによってリアクターから除去されるであろう。MOCVDリアクターは、半導体単一膜と、レーザ及びLEDなどのヘテロ構造との様々な組み合わせを含む、多種多様なエピタキシャル化合物の調製に使用されてきた。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウェハを加熱する方法は複数あるが、2つの方法が最も一般的である。第一の選択肢は抵抗加熱器による加熱であり、第二の選択肢は誘導加熱器による加熱である。しかしながら、従来の抵抗加熱器は一般的に寸法不安定性、すなわち反りのために長期間にわたって約1,500℃を超える堆積温度安定性を提供することができない。堆積温度は、材料がウェハ表面に堆積するウェハ表面温度である。この理由のために、誘導加熱器は、一般的に、約1,500℃を超える高温を提供しなければならないときに使用される。しかしながら、堆積温度を約1700℃に上昇させると、従来技術の設計は問題に遭遇するであろう。
【0003】
従来の誘導加熱装置には浮上の問題があると認識されている。例えば、サセプターをその下にあるサセプターからどのように浮上させ得るかを記載している特許文献1を参照されたい。この望ましくない浮上は、誘導コイルが交番磁束を発生させ、この交番磁束がファラデーの法則に従ってサセプターに渦電流を誘導するために発生する。サセプターの表面上の誘導コイルによって誘導される渦電流は、誘導コイルによって生成される磁束と相互作用するだろう。渦電流がサセプターを流れると、渦電流は磁束を誘導し、これは誘導コイルによって生成された磁束に反する。その結果、渦電流と磁束との間の相互作用が、サセプターの浮上を引き起こす可能性がある力を生み出すことになる。この浮上力は、キャリアを誘導加熱装置から離脱させ、熱伝達効率を低下させる可能性がある。
【0004】
さらに、誘導コイルによって生成された交番磁束が物体に接近して通過すると、導電性物体は渦電流を誘導する(例えば、
図4参照)。サセプターは通常、誘導コイルの中心に配置されるので、交流磁束は誘導コイルの上の任意の導電性物体を容易に貫通することができる。それ故、他の導電性物体は誘導コイルから遠く離れている必要がある。さもなければ、物体は誘導コイルによって加熱されて損傷を引き起こす可能性がある。MOCVDプロセスでは、多くのガス状反応物が一般に導体からなるガス入口によってリアクターに注入され、これらの反応物がウェハの表面上で互いに出会うと化学反応が起こる。このような高温(例えば1700℃)では、ガス入口は磁束を避けるためにサセプターから遠く離れている必要がある。さもなければ、ガス入口がウェハ表面に接近しすぎて保持されると、それらの温度は磁束のために上昇し(誘導加熱器の電力が増加すると磁場はさらに強くなる)、それはウェハに到達する前に反応物を分解させる、または、反応物はガス入口表面に堆積し得る。反応物はまた、それらがウェハ表面に到達する前に反応し得るか、またはいくらかのガス再循環が起こり得る。また、ガス導入装置を溶融させる可能性がある。しかしながら、ガス入口がサセプターから遠くに保たれると、これは低い成長効率、ウェハ上での不均一な薄膜成長、または低い歩留まりを引き起こす可能性がある。これを回避するために、サセプターを毎分高回転数(RPM)で回転させる必要があり得るが、その回転はガスの再循環の流れを引き起こし得る。この再循環の流れは成長効率と品質に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6,368,404号
【文献】米国特許第9,299,595号
【文献】米国特許第8,709,162号
【文献】米国特許第7,126,090号
【文献】米国特許第6,321,680号
【文献】米国特許第6,031,211号
【文献】米国特許第5,964,943号
【文献】米国特許第5,835,678号
【文献】米国特許第5,759,263号
【文献】米国特許第5,700,725号
【文献】米国特許公開第2010/0199914号
【文献】米国特許公開第2008/0036155号
【文献】特開2013-115264号公報
【文献】中国特許103436862号
【文献】米国特許第6,217,662号
【文献】米国特許第5,242,501号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Chemical Vapor Deposition:Principles and Applications、Hitchman、Jensen(編)、1993年
【文献】「Elements of Induction Heating: Design, Control, and Applications」、S.Zinn、S
【文献】Gourvestら、ECS J.Solid State Sci.Tech、1(6)、Q119~Q122(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、CVD装置で誘導加熱を使用する高温MOCVDには、より優れた設計が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載及び/または特許請求される実施形態は、例えば、構造、デバイス、装置、及びシステム、ならびにそのような構造、デバイス、装置、及びシステムを製造する方法及び使用する方法を含む。
【0009】
第1の態様は、化学気相成長法(CVD)リアクター用のサセプター装置であって、少なくとも1つのウェハを保持するのに適した少なくとも1つの水平プレートと、サセプター装置が誘導加熱に適している、水平プレートと一体化されかつそれに対して垂直な少なくとも1つの垂直ロッドと、を含む。
【0010】
一実施形態では、サセプターデバイスは抵抗加熱器を含まない。
【0011】
一実施形態では、サセプターデバイスは、水平プレートと一体化されかつそれに対して垂直な2つ以上の垂直ロッドを備える。
【0012】
一実施形態では、垂直ロッドは水平プレート用の熱源として機能する。
【0013】
一実施形態では、サセプターはCVDプロセス中に回転できるようになっている。
【0014】
別の実施形態は、本明細書に記載及び/または特許請求の範囲に記載のサセプターデバイスを含むCVD装置である。
【0015】
一実施形態では、装置は、サセプターを少なくとも部分的に覆う断熱構造をさらに含む。
【0016】
一実施形態では、装置はシャワーヘッド注入構造をさらに含む。
【0017】
一実施形態では、装置は少なくとも1つの誘導コイルと少なくとも1つの反応室とを含み、誘導コイルは反応室内に設置される。
【0018】
別の実施形態は、CVDが少なくとも1500℃のサセプター表面温度で実施される、本明細書に記載及び/または特許請求の範囲に記載のCVD装置を使用する方法を提供する。
【0019】
一実施形態では、CVDが行われるサセプター表面温度は少なくとも1,600℃、または少なくとも1,700℃である。
【0020】
少なくともいくつかの実施形態における少なくともいくつかの利点は、浮上問題を回避すること;誘導加熱器から伝達されるより多くの電力を集め、より高いエネルギー効率をもたらすこと;より高い成長率;及び/または、より良いフィルムの均質性及び品質を含む。
【0021】
少なくともいくつかの実施形態についての他の可能性のある利点としては、例えば、ガス流入口をウェハの表面近く(例えば10mm未満)に配置することができ、それによって前駆体の高流量の必要性が低減されること;及び、成長の均一性を高めるために、H
2またはN
2のようないくつかの不活性ガスの必要性を最小限に抑えて、再循環を抑制すること;を含む。また、垂直ロッドがコイルの磁束ゾーンの大部分を占めるので電力効率がより高くなり、これは、例えば
図6に示すようにサセプターを加熱するために最大電力が利用されることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】複数の垂直ロッドが水平プレート(1A、左側)と一体化されているマルチウェハ能力を有するマッシュルーム状サセプター構造の一実施形態、及び単一の垂直ロッド(1B、右側)のみを有する別の実施形態を示す図である。
【
図2】垂直型リアクターに適用されるマッシュルーム状サセプター構造の一実施形態を示す図である。
【
図3】ウェッジを傾斜させるために使用することができる水平リアクターに適用されるマッシュルーム状サセプター構造の一実施形態を示す図である。
【
図4】1つの先行技術の実施形態において、誘導コイルによって生成された交流磁束が、シャワーヘッドへの磁束漏れを引き起こす可能性がある誘導コイルの上の任意の導体にどのように影響を及ぼすかを示す図である。
【
図5】一実施形態において、垂直ロッドと水平プレートとの間の熱伝導が示されているマッシュルーム型サセプターの断面図である。重要な点は、垂直ロッドが水平プレートに熱を伝導する熱源であるということです。
【
図6】一実施形態において、マッシュルーム状構造が、交番磁束の強度を弱めることによって、誘導コイルによって生成される交番磁束から、水平プレートの上方の導体(ガス入口など)内の渦電流をどのように防止するかを示す図である。
【
図7】一実施形態において、複数のねじによって固定され、リアクターのベースまたはローターのいずれかに取り付けられた断熱材によって覆われたマッシュルーム状サセプターを示す図である。
【
図8】一実施形態において、リアクターのベース及び断熱材を貫通するねじによってサセプターの底部に固定された断熱材によって覆われたマッシュルーム状サセプターを示す図である。
【
図9】一実施形態において、ボルト状構造にすることができるマッシュルーム状サセプターの垂直ロッド部分及びねじ穴にすることができる断熱材を示す図である。マッシュルーム状サセプター自体は断熱材にネジで固定されている。
【
図10】一実施形態において、周囲の断熱材なしで(10A、左)及び周囲の断熱材とともに(10B、右)マッシュルーム状サセプターの垂直ロッド部分を示し、コイルを保護し熱を制限することにおける断熱材の重要性を示す図である。
【
図11】一実施形態において、水平プレートの縁部への熱伝導を容易にするために湾曲したまたは滑らかな角を有するマッシュルームサセプターを示す図である。
【
図12】2つの実施形態において、各垂直ロッド(12A、左)を覆う複数のコイル、または全ての垂直ロッド(12B、右)を覆う1つのコイルを有するマッシュルームサセプターを示す図である。
【
図13】一実施形態において、水平プレートが垂直ロッドに一体化されていないマッシュルームサセプターを示す図であり、任意選択的にそれらは異なる材料を含んでもよい。
【
図14】一実施形態において、水平プレートの温度を測定するための熱電対プローブ用の垂直ロッドの内側に熱電対孔があるマッシュルームサセプターを示す図である。
【
図15】垂直ロッドの下の断熱材と、それをローターにどのように取り付けることができるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
追加のより詳細な説明を以下に提供する。
【0024】
本明細書に引用された参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
化学気相成長法(CVD)、有機金属気相成長法(MOCVD)、有機金属気相成長法(MOVPE)、及び有機金属気相成長法(OMVPE)は当技術分野で知られている方法、例えば、非特許文献1を参照。また、特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10、特許文献11、及び、特許文献12、並びに、本明細書中に引用された他の参考文献を参照。また、特許文献13及び特許文献14も参照。このような方法を実施するためのリアクターを作製するための方法は、当技術分野において公知である。
【0025】
一実施形態では、シム、流体マニホールド、または特許文献2に記載されている他の任意の要素は、現在特許請求されている発明の装置、装置、または方法の一部ではない。
【0026】
本発明の実施形態は化学気相成長法(CVD)に関し、特に有機金属化学気相成長法(MOCVD)に関する。MOCVDは、例えば、レーザ及びLEDデバイスを製造するための一般的な材料であるIII-V族半導体材料を成長させるために広く使用されている。好ましい実施形態では、本発明の実施形態は、誘導加熱システムが適用されるときの浮上の問題を解決する。さらに、本発明の実施形態では、誘導加熱システムが適用されるときに、ガス入口をウェハ表面にさらに近づけることができる。本質的に、好ましい実施形態は、マッシュルーム状の形状を有する全体にウェハホルダ及び加熱構成要素を一体化することを提供する。このマッシュルーム状構造は、誘導加熱器から伝達されるより多くの電力を収穫することができ、そしてより高いエネルギー効率をもたらす。
【0027】
好ましい実施形態では、マッシュルーム状構造は、
図1に示すように、水平プレートと垂直ロッドとを含む一体型構成要素である。1つ以上のウェハをプレート上に直接配置することができる。1つまたは複数の誘導コイルをプレートの下に配置し、それぞれ垂直ロッドを覆い得る。また、一実施形態では、断熱材を使用してコイルを溶融から保護し、熱を閉じ込めて熱流を制御することができる。さらに、マッシュルーム型サセプターには、
図14に示すように、熱電対用の穴を開けて、ウェハの温度を正確に測定することができる。
【0028】
サセプターデバイス構造は、導電体である1つまたは複数の材料でできている。この好ましい設計により、プレートは誘導コイルによって誘導された交番磁束を遮断することができる。また、このマッシュルーム状構造は、例えば、ねじ式で固定されているため、浮上を防止することができる。
図7~
図9を参照。
【0029】
サセプターデバイス
本明細書で提供されるのは、化学気相成長法(CVD)リアクター用のサセプターデバイスである。このデバイスは、少なくとも1つのウェハを保持するようになっている少なくとも1つの水平プレートと;水平プレートと一体でかつ水平プレートに実質的に垂直な少なくとも1つの垂直ロッドと;を備える。垂直ロッドは、プレートの中央で水平プレートに接合し得る。便宜上、垂直ロッドを備えた水平プレートに基づくこのサセプターデバイス構造は「マッシュルーム形状サセプター」と称され得る。
【0030】
サセプターデバイスの非限定的な例が
図1A及び
図1Bに示されており、これらは水平プレート及び1つまたは複数の垂直ロッドを示している。水平プレートは、一つ以上のウェハを受け入れるための1つまたは複数の領域を有し得る。
【0031】
サセプターデバイス、水平プレート及び垂直ロッドの両方は、当技術分野において既知なように、グラファイトまたはモリブデンを含む金属を含む電子または電気伝導性材料(イオン伝導性材料ではない)から作られ得る。当技術分野において既知なように、電子伝導性は、渦電流がサセプター内に誘導されるのを可能にし、誘導加熱からの温度上昇を可能にするのに十分でなければならない。
図13に示されるように、同じまたは異なる材料が水平プレート及び垂直ロッドに使用され得る。
【0032】
当技術分野において既知なように、水平プレートは、
図1A及び
図1Bに示すように堆積プロセスを受ける1つまたは複数のウェハを保持するように設計された1つまたは複数のくぼみまたは型を備え得る。より詳細には、これは、各ウェハが、ウェハの移動を妨げる溝の「くぼみ」に配置されなければならないことを意味する。例えば、特許文献16を参照。好ましい実施形態では、水平プレート上に配置することができるウェハの数は、例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも5つ、または2~100であり得る。ウェハの典型的なサイズは、例えば、直径2、4、6、8、または12インチであり得る。ウェハは当該技術分野において既知であり、例えば、2、3、4、6、または8インチのウェハなどの様々なサイズにすることができる。
【0033】
好ましい実施形態では、水平プレートは、直径が高さよりも大きい円筒形の対称ディスク形状である。温度の均一性を確保するために水平プレートの最適な高さがあり得る。好ましい実施形態では、垂直ロッドは、直径が高さよりも小さい円筒形の対称形であり得る。
図11は、滑らかなまたは丸い角を使用することができる実施形態を示す。
【0034】
垂直ロッドは、水平プレート用の熱源として機能することができる(例えば
図5参照)。プレートの直径と垂直方向のロッドの高さの比率はデザインに関係しており、特定の用途に適合させ得る。垂直ロッドの長さは、コイルと同じ長さにされ得る。垂直ロッドがより長い場合、垂直ロッドはより多くのコイルの巻きによって覆われ得る。コイルの巻き数が多いほど、磁束は強くなる。より強い磁束は垂直ロッドにより多くの渦電流を誘導し得、これはロッドをさらに加熱し得る。いくつかの実施形態では、垂直ロッドの直径は、ウェハを均一に加熱するためにウェハの直径と等しいかウェハよりも大きい。
【0035】
水平プレートの直径と垂直ロッドの長さとの比は、例えば1:0.8であり得る。
【0036】
水平プレートの直径とロッドの直径との間の比は重要であり得る。プレートの直径がロッドの直径よりはるかに大きい場合、プレートの周囲が加熱されない。比率は、例えば、約1:0.6であり得る。
【0037】
典型的なサセプターデバイスのサイズは、以下によって説明され得る。水平プレートの直径は、例えば、3インチにされ得る。プレートの厚さは、例えば、0.25インチにされ得る。ロッドの直径は、例えば2インチにされ得る。
【0038】
垂直ロッドを水平プレートに一体化することは、ロッドが磁束ゾーンの大部分を占めているので電力効率を高めることができ、これは最大電力が垂直ロッドを加熱するために利用されることを意味する。垂直ロッドは、
図5に示すように水平プレートに熱を伝導する熱源として作用する。別の実施形態では、マッシュルームサセプターは、
図11に示すように水平プレートへの熱伝導を最大にするために湾曲した角を有し得る。一実施形態では、ロッドを断熱材で覆って垂直ロッドの内側に熱を閉じ込め、最大熱を水平プレートに向かって伝導させ得る。さらに、
図10に示すように、絶縁材料はコイルを過度の熱から保護し得る。
【0039】
本発明は、本明細書に記載の問題を解決するのに役立ち得る。浮上問題については、この問題を回避するのをさらに助けることができる少なくとも3つの実施形態がある。一実施形態では、マッシュルーム状サセプターは、
図7に示すように、断熱材によって覆われている。サセプターは、その重量によって浮上力に抗することができ、断熱材は、浮上力によってサセプターが揺れるのを防ぐことができる。断熱材は複数のねじで固定され、サセプターの回転が望まれるかまたは必要とされる場合にはリアクターのベースまたはローターのいずれかに取り付けられ得る。別の実施形態では、マッシュルーム状サセプターは、
図8に示すように断熱材によって覆われ、リアクターのベースと断熱材の底部を貫通するねじによって固定される。また、サセプターの体積質量密度が高く、それが浮上を防ぎ得る。別の実施形態では、マッシュルーム状サセプターの垂直ロッド部分を、ねじ山を有するボルト様構造にすることができ、断熱材を内壁上の対応するねじ山で機械加工することができる。マッシュルーム型のサセプター自体は、
図9に示すように断熱材にネジで取り付けられ得る。さらに、コイルは主にロッドの周りにのみ配置されるため、サセプター上の磁束が減少する。一次加熱機構は、垂直ロッドと水平プレートとの間の熱伝導によるものとなる。
図10A及び
図10Bは、断熱材の使用の重要性をさらに示している。
図15は、断熱材をベースと一体化する方法を示している。これらの設計により、マッシュルーム状構造を誘導加熱プロセス下で安定化させることができる。
【0040】
ガス入口を加熱する問題のために、マッシュルーム状構造の水平プレートは誘導コイルの上部空間全体を覆うことができる。水平プレートは誘導コイルからのものに対して反対方向の磁束を誘導する。その結果、水平プレートは、交番磁束を弱めることによって水平プレートの上にあるあらゆる導電性物体を遮蔽する。また、誘導コイルは垂直ロッド自体を覆い得るが、
図6に示すように水平プレートからは離れ得る。
【0041】
誘導加熱システム
CVD処理及びリアクターに使用されるものを含む誘導加熱システムは当技術分野において既知である。例えば、特許文献1、特許文献15、及び非特許文献2を参照。当技術分野で知られているように1つまたは複数のコイルを使用することができ、RFコイルの間隔は特定の用途に適合させることができる。当業者は、所望の温度結果を達成し、かつ十分な均一加熱を得るために十分なRF結合が生じるシステムを作り出すことができる。誘導加熱は、1,500℃を超えるような高温加熱を可能にする。
【0042】
誘導コイルは垂直ロッドの周り及び水平プレートの下に配置することができる。一実施形態では、マッシュルームサセプターは複数の垂直ロッドを有することができ、各道路はコイルで覆われることができ、あるいは1つのコイルが一度にすべての垂直ロッドを覆い得る。
図12A及び
図12Bは両方の場合を示す。
【0043】
いくつかの場合において、先行技術は、プラズマ条件を生成するためのコイルの使用を教示している(例えば、非特許文献3を参照)。しかしながら、これは誘導加熱を発生させるためのコイルの使用とは異なる。一実施形態では、CVD法はプラズマを使用せずに実行され、コイルはプラズマを生成するのに使用するのに適していない。
【0044】
ロッド内部の熱の深さ(表皮深さ)は、ACの周波数によって異なる。周波数が低いほど、表皮深さは深くなる。本発明の設計では、ウェハを均一に加熱するためにロッドの全断面を加熱する必要がある。これが、低周波数が推奨される理由である。しかし、必要な構成及び成長条件に応じて、任意の周波数を採用することができる。
【0045】
装置及び他の構成部品
図2及び
図3に示されるような垂直型リアクター、ならびに当分野で既知の水平型リアクターなどのCVDリアクター及び有機金属化学気相成長法(MOCVD)リアクターのための多くのリアクター設計がある。リアクターは、例えば、コールドウォールリアクターまたはホットウォールリアクターであり得る。これらのタイプのCVD及びMOCVDリアクターは、半導体単一膜とレーザ及びLEDなどのヘテロ構造とのさまざまな組み合わせのように、さまざまなエピタキシャル化合物の調製に使用されてきた。
【0046】
リアクターの要素としては、例えば、とりわけ反応室、リアクター壁、ライナー、ガス注入ユニット、温度制御ユニット、冷却水システム、圧力維持システム、ガス排気システム、及び洗浄システムが挙げられる。
【0047】
いわゆる「シャワーヘッド」構造をガスインジェクタに使用し、反応室内に処理ガス、前駆体、及び/またはウェハ上の反応物を複数の入口を通して導入することができる。シャワーヘッドガス注入構造は当技術分野において既知である。それらは、例えばステンレス鋼で作られ得る。ウェハとシャワーヘッド構造との間の隙間は、例えば、少なくとも5mm、または少なくとも10mm、または5mmから20mm、または約10mmであり得る。必要に応じて、シャワーヘッド構造とは異なるガス入口が使用され得る。
【0048】
堆積中に必要に応じてウェハ及びサセプターデバイスを回転させることができるようにリアクターを適合させることができる。必要に応じてそれらを傾けることもできる。例えば、
図3及び
図15を参照。
【0049】
作り方
サセプターデバイス及びより大きなリアクターは、当技術分野において既知の方法によって製造され得る。サセプターを構成する材料は、当技術分野において既知の方法によってマッシュルーム形状に機械加工され得、ウェハの溝を考慮に入れることができる。
【0050】
アプリケーション:使用方法
当技術分野で知られているように、例えば窒化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウムガリウム、ヒ化アルミニウムガリウムなどのような様々な膜材料をウェハ上にエピタキシャル成長させることができる。
【0051】
堆積温度は、例えば、少なくとも1500℃または少なくとも1700℃であり得る。上限は、例えば、3000℃またはタングステンの融点であり得る。
【0052】
材料の品質は、本発明の装置、装置、及び方法を使用することによって改善され得る。