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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】光送信機
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20220502BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20220502BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20220502BHJP
【FI】
G02F1/01 C
G02F1/01 B
G02B6/125
G02B6/125 301
H04B10/50
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019537280
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 CA2017051472
(87)【国際公開番号】W WO2018126308
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】15/400,483
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518359797
【氏名又は名称】ホアウェイ テクノロジーズ カナダ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ドリタン・セロ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・クロストウスキー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ベルニエ
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ワン
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/188592(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104133336(CN,A)
【文献】特開平05-291657(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108617(WO,A1)
【文献】特表2015-522180(JP,A)
【文献】特開2000-151513(JP,A)
【文献】特表2009-531985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H04B10/00 -10/90
H04J14/00 -14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路と、
N個の領域を通して前記光導波路に光学的に結合されたN個のマイクロリング共振器(MRR)であって、前記光導波路と前記N個のMRRのそれぞれとの間の前記N個の領域のそれぞれが、前記N個のMRRと前記光導波路との間に異なる結合係数を提供し、N>1である、N個のマイクロリング共振器と
を備え、
各MRRが、光信号が対応する駆動信号に応じて前記対応するMRRに伝搬する前記光導波路からの前記光信号の結合を制御するために、コントローラからN個の駆動信号のうちの対応する1つを受信し、前記対応する駆動信号を受信すると前記対応するMRRの共振波長をシフトするように構成された電極を含み、
前記コントローラが、受信したデジタル信号に応じて2の光パワーレベルで前記光導波路の前記光信号を変調するように構成されており、
前記N個の領域のそれぞれが、対応する前記MRRと前記光導波路との間に異なる間隔を有し、その結果、前記異なる結合係数が前記異なる間隔によって決定され、
前記光導波路を通過する光の波長が単数であり、前記N個のマイクロリング共振器は同じ共振波長で共振する光送信機。
【請求項2】
前記光導波路から各MRRに結合される前記光信号の一部を制御するために、前記N個のMRRのそれぞれの前記共振波長を別々にシフトするため前記N個の駆動信号を生成するように構成された前記コントローラをさらに備えた、請求項に記載の光送信機。
【請求項3】
前記コントローラが前記光導波路の前記光信号によって搬送されるアナログ光信号に変換されるデジタル信号を受信するためのインターフェースを有し、前記コントローラは前記受信したデジタル信号に応じて前記対応するMRRに結合された前記光信号の一部を制御するために前記N個の駆動信号を生成するように構成された、請求項またはに記載の光送信機。
【請求項4】
N=4であり、前記コントローラが、前記光導波路の前記光信号に印加される16個の光パワーレベルを表す4個の駆動信号を生成するように構成された、請求項に記載の光送信機。
【請求項5】
前記デジタル信号が前記光信号上に変調される4ビット/シンボルを含み、前記16個の光パワーレベルのそれぞれがシンボルを表す、請求項に記載の光送信機。
【請求項6】
前記光導波路の前記光信号が第1の波長であり、
前記N個のMRRが前記第1の波長に近い共振波長で共振するように構成され、
前記コントローラが前記光導波路の前記光信号によって搬送されるアナログ光信号の所定の値を達成するために、前記第1の波長に関して前記N個のMRRのそれぞれの前記共振波長をシフトする駆動信号を生成するように構成された、
請求項から請求項のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項7】
前記N個のMRRが前記光導波路に直列に結合されている、請求項から請求項のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項8】
前記光導波路における前記光信号の搬送方向において、最初のMRRが最上位ビットを表す、最大の結合係数を有し、最後のMRRは最下位ビットを表す、最小の結合係数を有する、請求項に記載の光送信機。
【請求項9】
前記最初のMRRが前記光導波路からの最小間隔を有し、前記最後のMRRは前記光導波路からの最大間隔を有する、請求項に記載の光送信機。
【請求項10】
前記MRRの直流(DC)バイアスを使用して共振周波数シフトを提供するために各MRRへの電気的インターフェースをさらに備える、請求項に記載の光送信機。
【請求項11】
光送信機と、
コントローラとを備え、
前記光送信機が、
光導波路と、
前記光導波路に光学的に結合されたN個のマイクロリング共振器(MRR)であって、前記N個のMRRのそれぞれが前記光導波路に対して異なる間隔を有し、N>1である、N個のマイクロリング共振器と
を備え、
各MRRが、光信号が対応する駆動信号に応じて対応するMRRに伝搬する前記光導波路からの前記光信号の結合を制御するために、前記コントローラからN個の駆動信号のうちの対応する1つを受信し、前記対応する駆動信号を受信すると前記対応するMRRの共振波長をシフトするように構成された電極を備え、
前記コントローラが、受信したデジタル信号に応じて2の光パワーレベルで前記光導波路の前記光信号を変調するように構成されており、
前記光導波路を通過する光の波長が単数であり、前記N個のマイクロリング共振器は同じ共振波長で共振するフォトニック回路。
【請求項12】
前記異なる間隔が、前記MRRのそれぞれと前記光導波路との間に異なる量の結合が生じる、請求項11に記載のフォトニック回路。
【請求項13】
前記コントローラが、前記光導波路から各MRRに結合される前記光信号の一部を制御するために、前記N個のMRRのそれぞれの前記共振波長を別々にシフトするため前記N個の駆動信号を生成するように構成された、請求項12に記載のフォトニック回路。
【請求項14】
前記光導波路の前記光信号が第1の波長であり、
前記N個のMRRは前記第1の波長に近い共振波長で共振するように構成され、
前記コントローラが前記光導波路の前記光信号によって搬送されるアナログ光信号に変換されるデジタル信号の所定の値を達成するために、前記第1の波長に関して前記N個のMRRのそれぞれの前記共振波長をシフトする駆動信号を生成するように構成された、請求項12または13に記載のフォトニック回路。
【請求項15】
N=4であり、前記コントローラが、前記光導波路の前記光信号に印加される16個の光パワーレベルを表す4個の駆動信号を生成するように構成された、請求項14に記載のフォトニック回路。
【請求項16】
前記デジタル信号が前記光信号上に変調される4ビット/シンボルを含み、前記16個の光パワーレベルのそれぞれがシンボルを表す、請求項15に記載のフォトニック回路。
【請求項17】
前記光導波路がバス導波路である、請求項11から請求項16のいずれか一項に記載のフォトニック回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2017年1月6日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/400,483号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、通信ネットワークの分野に関し、特に光送信機およびデジタル・アナログ変換器(DAC)に関する。
【背景技術】
【0003】
光送信機は通信ネットワークにおいて広く使用されている。そのような用途の1つは、移動通信ネットワークの送信アンテナを駆動するアナログ信号を送信する電気ケーブル配線を交換することである。これは、送信される無線周波数(RF)信号を生成する基地局コントローラまたは他の機器が送信アンテナから離れて配置されているときに有用である。
【0004】
電気ケーブルは重量が重く信号の整合性が低いため、電気ケーブル配線でアナログ信号を搬送するのは困難な場合がある。したがって、アナログ信号は、光搬送波を使用して光ファイバで搬送されてもよい。これおよび類似の仕組みは、光ファイバ無線(RoF)システムまたはRFファイバシステムとして知られている。
【0005】
送信アンテナを駆動するために使用されるアナログ信号は、DACによってデジタル信号から変換され得る。例えば、デジタル信号は、デジタル・アナログ(D-to-A)変調器を用いてアナログ信号に変換されてもよい。光送信機では、標準的には連続波(CW)レーザダイオードによって生成される光搬送波信号は、そのようなDACによってCWアナログ波形上に符号化されたデジタルデータを搬送するように変調される。
【0006】
しかしながら、そのようなシステムに対しては、ますます高速化すること、およびより小さい設置面積が求められている。したがって、高速で動作可能な改良された光送信機が必要とされている。フォトニック集積回路(PIC)技術は、高速かつ小さい設置面積を提供し得る。
【0007】
したがって、従来技術の1つ以上の制限に少なくとも部分的に対処するシステムおよび方法が必要とされている。
【0008】
この背景情報は、本発明に関連する可能性があると出願人によって信じられている情報を明らかにするために提供される。前述の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することに対して必ずしも承認することを意図しておらず、また解釈すべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様では、光導波路と光導波路に結合されたN個のマイクロリング共振器(MRR)とを含む光送信機が提供される。そのような光送信機では、N(MRR)はN個の領域を通して光導波路に光学的に結合され、N>1である。光導波路とN個のMRRのそれぞれとの間のN個の領域のそれぞれは、N個のMRRと光導波路との間に異なる結合係数を提供する。したがって、N個のMRRのそれぞれは、光導波路への結合量を決定する異なる結合係数を有する。いくつかの実施形態では、N個の領域のそれぞれは、対応するMRRと光導波路との間に異なる間隔を有し、その結果、異なる結合係数は異なる間隔によって決定される。いくつかの実施形態では、各MRRは、光信号が対応する駆動信号に応じて対応するMRRに伝搬する光導波路からの光信号の結合を制御するために、コントローラからN個の駆動信号のうちの対応する1つを受信し、対応する駆動信号を受信すると対応するMRRの共振波長をシフトするように構成された電極を含む。いくつかの実施形態では、光送信機はコントローラをさらに含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、光信号が伝搬する光導波路から各MRRに結合される光信号の一部を制御するために、N個のMRRのそれぞれの共振波長を別々にシフトするためN個の駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは導波路の光信号によって搬送されるアナログ光信号に変換されるデジタル信号を受信するためのインターフェースを有し、コントローラは受信したデジタル信号に応じて対応するMRRで結合された光信号の一部を制御するためにN個の駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、受信したデジタル信号に応じて2Nの光パワーレベルで導波路の光信号を変調するように構成されている。いくつかの実施形態では、N=4であり、コントローラは、光導波路の光信号に印加される16個の光パワーレベルを表す4個の駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル信号は光信号上に変調される4ビット/シンボルを含み、16の光パワーレベルのそれぞれはシンボルを表す。いくつかの実施形態では、光導波路の光信号は第1の波長であり、N個のMRRは当該波長に近い共振波長で共振するように構成され、コントローラは、アナログ信
号の所定の値を達成するために、第1の波長に関してN個のMRRのそれぞれの共振波長をシフトする駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、N個のMRRは光導波路に直列に結合される。いくつかの実施形態では、光導波路はバス導波路である。いくつかの実施形態では、最初のMRRは最上位ビットを表す最大の結合係数を有し、最後のMRRは最下位ビットを表す最小の結合係数を有する。いくつかの実施形態では、最初のMRRは光導波路からの最小間隔を有し、最後のMRRは光導波路からの最大間隔を有する。いくつかの実施形態では、光送信機は、MRRの直流(DC)バイアスを使用して共振周波数シフトを提供するために各MRRへの電気的インターフェースをさらに含む。
【0010】
本開示の別の態様は、光送信機とコントローラとを含むフォトニック回路を提供する。そのようなフォトニック回路では、光送信機は、光導波路と光導波路に結合されたN個のマイクロリング共振器(MRR)とを含む。N個のMRRのそれぞれは、光導波路に対して異なる間隔を有し、N>1である。実施形態は、単一の光送信機とコントローラとを参照して論じられるが、複数の光送信機およびコントローラが単一のフォトニックチップに実装され得ることを理解していただきたい。いくつかの実施形態では、異なる間隔が、MRRのそれぞれと光導波路との間に異なる量の結合が生じる。いくつかの実施形態では、各MRRは、光信号が対応する駆動信号に応じて対応するMRRに伝搬する光導波路からの光信号の共振結合を制御するために、コントローラからのN個の駆動信号の対応する1つを受信し、対応する駆動信号を受信すると対応するMRRの共振波長をシフトするように構成された電極を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは光信号で変調されるデジタル信号を受信し、コントローラはデジタル信号をデジタル信号に応じたN個の駆動信号に変換する。いくつかの実施形態では、コントローラは、光導波路から各MRRに結合される光信号の一部を制御するために、N個のMRRのそれぞれの共振波長を別々にシフトするためN個の駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、光導波路の光信号は第1の波長であり、N個のMRRは第1の波長に近い共振波長で共振するように構成され、コントローラは、デジタル信号の所定の値を達成するために、第1の波長に関してN個のMRRのそれぞれの共振波長をシフトする駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、受信したデジタル信号に応じて2Nの光パワーレベルで光導波路の光信号を変調するように構成されている。いくつかの実施形態では、N=4であり、コントローラは、光導波路の光信号に印加される16個の光パワーレベルを表す4個の駆動信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル信号は光信号上に変調される4ビット/シンボルを含み、16の光パワーレベルのそれぞれはシンボルを表す。いくつかの実施形態では、光導波路はバス導波路である。
【0011】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による4リングDACを示す図である。
図2】本発明の実施形態による図1の各リングの例示的波形を示す図である。
図3】本発明の実施形態によるパルス振幅変調(PAM)4のピーク送信電力を示す図である。
図4】本発明の実施形態による、共振状態と非共振状態の両方での図1の各リングの例示的波形を示す図である。
図5】本発明の実施形態による、各サンプリング点が各ビットの光パワーの合計に等しい、例示的光パワー波形を示す図である。
図6】本発明の実施形態による例示的通信ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を通して、類似の特徴は類似の参照番号によって識別されることに留意していただきたい。
【0014】
マイクロリング共振器(MRR)とも呼ばれるリング共振器(RR)は、別の導波路と光学的に結合することができる導波路リングである。各例ではシリコンオンインシュレータ(SOI)に実装された4リングデバイスについて説明されるが、N>1でN個のリングを使用することができ、適切な光学特性を有する他の材料を使用することができることを理解していただきたい。
【0015】
図1は本発明の実施形態による4リング光送信機を示す。光送信機は、デジタル入力信号に基づいて光信号を変調し、したがってデジタル入力信号を光信号によって搬送されるアナログデータ信号に変換するMRRを含む、DACを含む。各例はDACを参照して説明されるが、デバイスがデジタル情報で光信号を変調するので、本明細書で説明されるデバイスはデジタル・アナログ変調器と見なすこともできることを理解していただきたい。
【0016】
DAC 100は、それぞれ導波路50に直列に結合されたRR 10、RR 20、RR 30およびRR 40を含む。導波路50はバス導波路とし得る。各RRは、リングの共振周波数をシフトさせるための一対の電極と、電極を駆動するための駆動信号を受信するための入力インターフェースとを含む。RRでの共振周波数シフトは、電気光学効果(例えば、キャリア注入)または熱光学効果によって提供され得る。一実施形態では、電気光学効果に加えて、熱光学効果に基づく共振周波数シフトを提供することができ、RRの直流(DC)バイアスを使用して実施することができる。したがって、リング1(RR 10)は、リング導波路12と、電極11および13を作動させるための駆動信号を受信するための入力15とを含む。同様に、リング2(RR 20)は、リング導波路22と、電極21および23を作動させるための駆動信号を受信するための入力25とを含む。さらに、リング3(RR 30)は、リング導波路32と、電極31および33を作動させるための駆動信号を受信するための入力35とを含む。リング4(RR 40)は、リング導波路42と、電極41および43を作動させるための駆動信号を受信するための入力45とを含む。各リングは、同じ共振波長で共振するように構成されて得る。しかしながら、各リングは、異なる量の結合を光導波路に提供し、したがって導波路50の光信号に異なる電力変調を提供する異なる結合係数を有する。言い換えれば、異なる結合係数は、異なるリングが導波路50の光信号に異なる振幅変化を衝突させる原因となる。図示の実施形態では、導波路50と対応するリングとの間の各領域を導波路50とは異なる間隔を有するようにすることによって、異なる結合係数が実施されている。したがって、RR 10は第1の間隔14を有し、RR 20は第2の間隔24を有し、RR 30は第1の間隔34を有し、RR 40は第4の間隔44を有する。例えば、領域14、24、34、および44の材料の屈折率を変えることによって、異なる結合が実施され得る。
【0017】
図示の実施形態では、RR 10は最上位ビット(MSB)であるビット0を変調し、RR 20はビット1を変調し、RR 30はビット2を変調し、RR 40は最下位ビット(LSB)であるビット3を変調する。RR 10は最小の間隔を有し、それが最大の結合係数をもたらし、そのため、最高の電力変調を提供し、その結果としてMSBを提供する。一方、RR 40は最大の間隔を有し、これは最小の結合係数をもたらし、そのため最小の電力変調を提供し、その結果としてLSBを提供する。上述のように、異なる間隔を有する各リングは、導波路50の光信号に対して異なる光パワーレベル散逸を引き起こす。このように、4リング変調器は24=16の異なる光パワーレベルに衝突することができる。ほんの一例として、4ビット変調器は、以下のような各ビットに光パワーユニット(p.u.)を適用することができる。ビット0=16 p.u.、ビット1=8 p.u.、ビット2=4 p.u.、およびビット3=2 p.u.。図示の実施形態は異なる結合係数を達成するために異なる間隔を実施しているが、他の実施形態では、例えばリングとバス導波路との間の異なる屈折率を使用して異なる結合係数を達成することができる。そのような場合、屈折率は、電気光学技術、熱光学技術または他の方法を使用して修正され得る。
【0018】
そのようなDACは、光送信機の一部を形成することができる。理解されるように、送信信号は光ファイバリンクを通してリンクの端部の受信機に送信される。受信機は、アナログ信号を検出するための光検出器を含む。そのような受信機は、信号上に符号化された16の異なる電力レベルに基づいて、DACによって信号上に変調されたデジタルデータを再構成することができる。例えば、シンボル期間ごとに搬送波の電力レベルを直接検出することによって復調が実行され得る。代替として、検出された信号は直接増幅されて無線周波数チャネルを介して送信されるか、または無線周波数信号に変調されて送信されてもよい。
【0019】
図2は、本発明の実施形態による図1の各リングの例示的波形を示す。図2は、4つの異なるリング共振器の例示的透過スペクトルを示す。理解できるように、異なる非共振結合係数は4つの異なるレベルの光パワーを提供し、一方波長可変共振結合は逆ベル形のスペクトル応答を示す。例では同じ共振周波数で動作するリングを示しているが、一実施形態では、異なるリングは異なる共振周波数を有し得る。図3は、本発明の実施形態によるパルス振幅変調(PAM)4のピーク送信電力を示す。
【0020】
図4は、本発明の実施形態による、対応する駆動信号の印加前後の図1の各リング10、20、30、および40の例示的光透過スペクトルを示す。透過スペクトルは、それぞれのギャップ14、24、34、および44の前後の導波路50上の位置の間でとられる。図4は、各リング10、20、30、および40に印加される駆動信号が各リング10、20、30、および40の光透過スペクトルをどのようにシフトさせるかの一例を示す。各リング10、20、30、および40について、それぞれの実スペクトル線16、26、36、および46は、駆動信号が印加された状態の光透過スペクトルを示し、それぞれの点線のスペクトル線17、27、37、および47は、駆動信号が印加されていない光透過スペクトルを示す。縦方向の矢印41は、バス導波路50で伝搬する光の波長を示している。図4で見られるように、駆動信号が印加されると、リング10、20、30、および40の対応する透過スペクトルは、リング10、20、30、および40の光透過を増加させるようにシフトする。他の実施形態では、本明細書で「第1の波長」と呼ばれる矢印41によって示される光の波長は、対応する駆動信号の印加時にリング10、20、30、および40の光透過を減少させるように選択され得る。
【0021】
一般に、i番目のマイクロリング共振器の伝達関数は時間とビット状態Ti(t、Bi)に依存する。Bは2つの値(状態)Bi=[0、1]を持つことができる。4つの縦続接続されたマイクロリング共振器を含むシステムの伝達関数は、次のように各MRRの伝達関数の積である。
T(t、B)=T1(t、B0T2(t、B1T3(t、B2T4(t、B3)=Пk i=1Ti(t、Bi);
【0022】
いくつかの実施形態では、4つのMRR応答は同相で動的に組み合わされてPAM-4信号を生成する。いくつかの実施形態では、システムの所望の伝達関数は、誤差関数を最小化することによって設計され得る。
【数1】
ここで説明した4つのリングの例では、各リングB0-B3のB値は1または0のいずれかであるため、Bは8つの値(パラメータ)を有し得る。
【0023】
図5は、本発明の実施形態による、各サンプリング点が各ビットの光パワーの合計に等しい、図1のDACからの例示的光パワー波形を示す。上述のように、4つのリングはそれぞれ1ビットの光パワーを制御することができる。コントローラは、光導波路から各MRRに結合される光信号の一部を制御するために、N個のMRRのそれぞれの共振波長を別々にシフトするためN個の駆動信号を生成するように構成される。この例では、4ビットに対応する、4つのリングがある。デジタル信号は、搬送波の光パワーがデジタル信号の大きさに対応するように光搬送波を変調することによってアナログ光信号に変換され得る。光源は、デジタル信号に従って変調され得る変調されていない光搬送波を供給する。光検出器で、各サンプリング点における光パワーは各リングによって印加された送信パワーの合計を表す。各リングは、それがそのビット値に電力を印加するかどうかを決定する駆動信号を受信する。例えば、点501において、光パワーは4つのリング全てによって印加される(すなわち、駆動信号は、それぞれリング10、20、30および40に対応するビット0、ビット1、ビット2およびビット3のそれぞれにパワーを供給するために印加される)。点502では、ビット0、ビット1、およびビット2のそれぞれにパワーが印加されるが、ビット3には印加されない。点503の場合、パワーはビット0およびビット1に印加されるが、ビット2またはビット3には印加されない。点504は、パワーがビット1、ビット2、およびビット3に印加されるが、ビット0には印加されない例を示す。図5に示される信号を受信する光検出器は従来の方法でビット値を決定することができる。
【0024】
図示の実施形態では、各RRに対する結合係数の差は、各RRと光導波路との間の異なる間隔から生じることを理解していただきたい。光結合の量は波長に依存し得る。各リングについて、共振結合(すなわち、共振波長での結合)および非共振結合(非共振波長での結合)の両方があり得る。異なる間隔は、共振結合および非共振結合の両方に影響を及ぼし得ることを理解していただきたい。各リングの光パワーの一部は波長に応じて変わり得ることもまた理解していただきたい。
【0025】
図6は、本発明の実施形態による例示的通信ネットワークを示す。図5は、それぞれ波長で動作する複数の光送信機を示し、それは光マルチプレクサ200によって混合され、光ファイバ250を介して遠隔無線セルタワー400に送信される複数の変調信号を生成する。無線セルタワー400は、光デマルチプレクサ435、例えば、受信した光信号を無線周波数(RF)信号に変換するアナログ光検出器430などの複数のアナログ光検出器、電力増幅器420、および増幅したRF信号を放射する送信アンテナ410を含む。図示の実施形態では、各波長用の光送信機と、対応する光検出器とがある(ただし、1つしか示されていない)。レーザ源120は、λ1で変調されていない光搬送波信号を導波路50に供給する。光信号は、コントローラ110で受信したデジタル信号に従ってDAC 100によって変調され得る。コントローラ110は、送信されるデジタル信号を受信し、その信号を単一ビット駆動信号に変換してDAC 100のリングを駆動する。図示の例では、コントローラ110は、DAC 100に対してN=4であるので、4つの単一ビット駆動信号を生成する。追加の送信機(n個存在し得る)は同様の形態である。例えば、レーザ源320を含むことは、DAC 300によって変調される導波路350上にλnの光搬送波信号を提供し、コントローラ310から4つの単一ビット駆動信号を受信する。DAC 300はDAC 100と同様であるが、RRはλ1ではなくλnで共振するように調整される。
【0026】
上記の例では、N=4であるので4つのシングルビット駆動信号が生成されることを理解していただきたい。しかしながら、コントローラは4ビットのデジタルワードを受信することに限定されない。実際に説明したように、N=4(すなわち4個のリング)に対して16の可能な電圧の組み合わせがあり、したがって、結果として生じるスペクトルに16の光学状態を作り出す。したがって、いくつかの実施形態では、デジタル信号は、16のビットワードのビットを表す、16の光パワーレベルを生成する光信号上に変調される、4ビット/シンボルを含む。例えば、光変調フォーマットは、オンオフキーイング(OOK)とすることができ、1はパルスの存在によって表され、0はパルスの不在によって表される。
【0027】
本開示は当該特定の特徴および実施形態を参照して説明されてきたが、本開示から逸脱することなく様々な修正および組み合わせをそれに行うことができることは明らかである。したがって、明細書および図面は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示の単なる例示と見なされるべきであり、本開示の範囲内に含まれるありとあらゆる修正、変形、組み合わせまたは同等物を網羅することが意図されている。
【符号の説明】
【0028】
10 リング
11 電極
12 リング導波路
13 電極
14 領域、ギャップ、間隔
15 入力
16 実スペクトル線
17 点線のスペクトル線
20 リング
21 電極
22 リング導波路
23 電極
24 領域、ギャップ、間隔
25 入力
26 実スペクトル線
27 点線のスペクトル線
30 リング
31 電極
32 リング導波路
33 電極
34 領域、ギャップ、間隔
35 入力
36 実スペクトル線(駆動信号が印加された状態の光透過スペクトル)
37 点線のスペクトル線(駆動信号が印加されていない光透過スペクトル)
41 電極、矢印
42 リング導波路
43 電極
44 領域、ギャップ、間隔
45 入力
46 実スペクトル線
47 点線のスペクトル線
50 バス導波路
100 DAC
110 コントローラ
120 レーザ源
200 光マルチプレクサ
250 光ファイバ
300 DAC
310 コントローラ
320 レーザ源
350 導波路
400 遠隔無線セルタワー
410 送信アンテナ
420 電力増幅器
430 アナログ光検出器
435 光デマルチプレクサ
501 点
502 点
503 点
504 点
図1
図2
図3
図4
図5
図6