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特許7065870乾式冷却と湿式冷却を組み合わせた、連続的ラインを冷却するためのセクション及び方法
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  • 特許-乾式冷却と湿式冷却を組み合わせた、連続的ラインを冷却するためのセクション及び方法 図1
  • 特許-乾式冷却と湿式冷却を組み合わせた、連続的ラインを冷却するためのセクション及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】乾式冷却と湿式冷却を組み合わせた、連続的ラインを冷却するためのセクション及び方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/573 20060101AFI20220502BHJP
   C23C 2/02 20060101ALI20220502BHJP
   C21D 9/56 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
C21D9/573 101Z
C23C2/02
C21D9/56 101J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019551552
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 FR2018050706
(87)【国際公開番号】W WO2018172714
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】1752353
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512128232
【氏名又は名称】フィブ スタン
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】クラン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】コード,フローラン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,ロイク
(72)【発明者】
【氏名】マガドゥ,エリック
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-146907(JP,A)
【文献】特開昭51-016215(JP,A)
【文献】特開平06-108160(JP,A)
【文献】国際公開第2010/049600(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/52 - 9/66
C23C 2/00 - 2/40
C21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップ(1)を取り扱うように構成されている、鋼ストリップの連続焼鈍ライン又は連続亜鉛めっきラインの冷却セクションであって、前記鋼ストリップにガスを噴射するようにセットされる、少なくとも1つの乾式冷却エリア(2)、並びに、前記鋼ストリップに液体又はガス及び液体の混合物を噴射するようにセットされる、少なくとも1つの湿式冷却エリア(5)を含み、
前記乾式冷却エリアと前記湿式冷却エリアとの間の雰囲気分離シール(4)も含み、
前記雰囲気分離シールは、3つの対のロール(8、9、10)を備え、該対のそれぞれは、前記金属ストリップの進行方向に対して横方向に設置され、前記3つの対のロールは、前記雰囲気分離シール内でそれらの間に、2つのエリア、すなわちそれぞれ、前記ストリップ進行方向に最初の2つの対のロール(8、9)間に、抽出手段(15)を有する、前記乾式冷却エリア(2)側に位置付けられる第1のエリア(11)、及び、前記ストリップ進行方向に2つの最後の対のロール(9、10)間に、不活性ガスを注入する手段(14)を有する、前記湿式冷却エリア(5)側に位置付けられる第2のエリア(12)を形成する、冷却セクション。
【請求項2】
前記乾式冷却エリア及び前記湿式冷却エリアは垂直な経路に配置され、前記湿式冷却エリアは前記乾式冷却エリアの下に位置付けられる、請求項1に記載の冷却セクション。
【請求項3】
前記湿式冷却エリアの乾燥及びパージシステム(24、2、29)も含む、請求項1又は2に記載の冷却セクション。
【請求項4】
前記湿式冷却エリアの前記乾燥及びパージシステムは、窒素を注入するように構成されている機器(27、28)を含む、請求項に記載の冷却セクション。
【請求項5】
前記湿式冷却エリアの前記乾燥及びパージシステムは、該湿式冷却エリアの壁を加熱するように構成されている機器(25)を含む、請求項に記載の冷却セクション。
【請求項6】
前記湿式冷却エリアの前記乾燥及びパージシステムは、該湿式冷却エリアにおいて下方に方向付けられるとともに該湿式冷却エリアの内壁に窒素を吹き付けるように構成されている窒素ナイフのシステムを含む、請求項に記載の冷却セクション。
【請求項7】
金属ストリップ(1)を取り扱うように構成されている、鋼ストリップの連続焼鈍ライン又は連続亜鉛めっきラインのための冷却方法であって、ガスが前記鋼ストリップに噴射される少なくとも1つの乾式冷却段階、及び、液体又はガス及び液体の混合物が前記鋼ストリップに噴射される少なくとも1つの湿式冷却段階を含み、前記乾式冷却段階及び前記湿式冷却段階をこの順で行い、
前記連続焼鈍ライン又は連続亜鉛めっきラインの加熱エリアから捕捉されるエネルギーを使用する、前記液体又はガス及び液体の混合物が前記鋼ストリップに噴射される湿式冷却エリアの乾燥及びパージ段階も含み、前記湿式冷却段階後に前記乾燥及びパージ段階を行う
冷却方法。
【請求項8】
前記液体は前記ストリップの酸化剤ではないことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記液体は、0.1質量%~6質量%の濃度を有するギ酸の溶液であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記液体は、0.5質量%~2質量%の濃度を有するギ酸の溶液であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスが前記鋼ストリップに噴射される乾式冷却エリアと前記湿式冷却エリアとの間に配置される雰囲気分離シールを使用する雰囲気分離段階も含み、該雰囲気分離段階は、前記雰囲気分離シールの第1のエリアにおける不活性ガス注入段階、及び、前記雰囲気分離シールの第2のエリアにおける抽出段階を含み、前記乾式冷却段階と前記湿式冷却段階の間に前記雰囲気分離段階を行う、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼ストリップの連続的な焼鈍ライン又は亜鉛めっきラインに関する。以下において、亜鉛めっきには、コーティングが、亜鉛、アルミニウム、亜鉛及びアルミニウムの合金、又は他のいかなる種類のコーティングであれ、全ての浸漬コーティングを含むことを意図している。より詳しくは、本発明は、これらラインの急速冷却セクションに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼ストリップの連続的な焼鈍又は亜鉛めっきラインにおいては、鋼ストリップは熱処理を受ける様々なセクションを通過し、該セクションは鋼ストリップを加熱、冷却、又はその温度を維持するフェーズを含んでいる。
【0003】
鋼ストリップの冷却フェーズ(cooling phase)は特に重大な意味をもつ。鋼ストリップの最終的な機械的及び冶金的性質を主として決定するのは冷却フェーズである。鋼ストリップの冷却速度及び化学組成に基づいて、様々な冶金的フェーズを形成することができ、それによって鋼ストリップの異なる機械的性質を築き上げる。
【0004】
理想的な冷却セクションは、ストリップの最終的な機械的及び冶金的性質の均一性を保証するために、その幅全体にわたって完全に均一な冷却を行うことが可能であるべきである。またこの冷却セクションは、ほとんどのタイプの鋼を生産することができるよう、異なる冷却速度を付与できるべきである。
【0005】
連続的な焼鈍ライン又は亜鉛めっきライン、又は焼鈍と亜鉛めっきを組み合わせた連続的なライン、言い換えるとガス冷却及び湿式冷却、で使用される鋼ストリップの冷却技術には2つの主要なグループがある。
【0006】
ガス冷却は、典型的には、鋼ストリップに高速で、Nの高水素含量混合物を噴射することを含み、1mm厚のストリップに対し、200℃/sに達するまでの冷却速度を達成することができる。この処理は還元ガスを使用するので、鋼ストリップはこのタイプの技術を使用する冷却セクションを通過した後に酸化されない。その後、ストリップはいかなる他の化学的性質の中間ステップを必要とすることなく、亜鉛めっきされることができる。しかし、冷却速度は200℃/sに制限されているので、この処理では、それより高い冷却速度を必要とする高度の機械的及び冶金的性質をもった鋼を生産することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の冷却セクションよりも高い適応性を有する冷却セクションを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明の第1の態様である、金属ストリップを取り扱うように構成されている、鋼ストリップの連続的な焼鈍又は亜鉛めっきラインの冷却セクションであって、前記鋼ストリップにガスを噴射するようにセットされる、少なくとも1つの乾式冷却エリア、並びに、前記鋼ストリップに液体又はガス及び液体の混合物を噴射するようにセットされる、少なくとも1つの湿式冷却エリアを含む、冷却セクションによって達成される。
【0009】
前記乾式冷却エリアは、鋼ストリップにガスを噴射するように構成されたブローイングボックス(blowing box)を含むことができる。該ガスは窒素と水素の混合物でありうる。
【0010】
湿式冷却領域は、鋼ストリップに液体又は、ガス及び液体の混合物を噴射するように構成されたノズルを含むことができる。該液体は水、酸の溶液又は他の溶液でありうる。
【0011】
本発明の冷却セクションは、中間の化学的処理を必要とすることなく、冷却セクションを出るときに亜鉛めっき段階を直接受けることができる高度の機械的性質をもった鋼を生産することができる。
【0012】
湿式冷却エリアは、1mm厚の鋼ストリップに対し、約1000℃/sの冷却速度を達成することができる。
【0013】
また本発明の冷却セクションは、ストリップの切断を必要とすることなく、連続した乾式冷却と湿式冷却が冷却エリアの1つを通過することを可能にする。生産性の点での利益は著しく大きい。
【0014】
乾式冷却エリアと湿式冷却エリアは、同時に及び/又は分離して作動することができる。これら2つの方法を交互に又は連続して作動できることは、本発明の冷却セクションを、連続的ラインのプロダクト・ミックスに含まれる異なるタイプの鋼ストリップのための使用に対し非常に適応性が高いものとする。
【0015】
湿式冷却エリアは、浸漬冷却エリアを含むことができる。
【0016】
有利には、湿式冷却エリアは、好ましくは液体スプレーを使用する冷却エリアである。液体スプレーエリアは、容易かつ即時に停止することができる。そのうえ、スプレー冷却は、冷却の最後における鋼ストリップの温度の制御、そのため、その機械的及び冶金的性質の制御を容易にすることができる。
【0017】
1つの態様においては、湿式及び乾式冷却エリアは、それぞれ第1の垂直方向及び第1に平行な第2の垂直方向にセットされる。当業者はこの構造を2パス配置と通常認識する。この配置であると、湿式冷却エリアは、鋼ストリップの冷却エリアを移動する方向から見て、乾式冷却エリアの上流又は下流に配置することができる。
【0018】
代替的には、湿式及び乾式冷却エリアは、同一の垂直方向に配置される。当業者は通常この代替構造を1パス配置と認識する。
【0019】
この態様では、乾式冷却エリアは、湿式冷却エリアの下に配置することができる。このケースでは、鋼ストリップに対する乾燥システムは、湿式冷却エリア及び乾式冷却エリアの間に配置することができる。
【0020】
代替的には、この態様では、湿式冷却エリアは、有利には乾式冷却エリアの下に配置することができる。この配置により、乾式冷却エリアと湿式冷却エリアの間の乾燥システムが必要なくなり、冷却セクションはよりコンパクトになる。
【0021】
有利には、本発明の冷却セクションは、乾式冷却エリアと湿式冷却エリアの間に雰囲気分離シールを含むこともできる。該分離シールは、乾式冷却から種々のガス種によって湿式冷却エリアが汚染されることを防止する。該分離シールは、これら2つのエリアの雰囲気の混合エリアの形成を防止し、特にガス冷却混合物が高水素含量である場合に潜在的に危険な組み合わせを回避する。
【0022】
炉の2つのエリア間の雰囲気分離は、2つの対のロール、又は同様の2つの対のシャッターを備えたシールであって、該対の間に抽出部を有することで達成することができる。
【0023】
本発明の特別な特徴は、前記雰囲気分離シールが3つの対のロールを含むことである。該対のそれぞれは、金属ストリップの移動方向に対して横方向に置かれ、該3つの対のロールはそれらの間に記シール内の2つのエリアを形成しており、それぞれ、ストリップの移動方向において最初の2つの対のロールの間に、抽出手段を有する、前記乾式冷却エリア側に位置付けられる第1のエリア、及び前記ストリップの移動方向において2つの最後の対のロール間に、不活性ガスを注入する手段を有する、前記湿式冷却エリア側に位置付けられる第2のエリアである。
このことは、最初の2つの対のロールと最後の2つの対のロールの間の雰囲気抽出のためのシステムとの間にバッファエリアを形成する。該バッファエリアから湿式冷却エリアと前記抽出エリアに向かう不活性ガスの漏れは問題を生じない。前記対のロールはシャッターと取り換えることができる。雰囲気分離だけでなく、このシールは有利には、例えばスキャナーを使用してストリップの温度をその幅にわたって、又は例えば高温計を使用して1点において、測定することができる「クリーンな」エリアを形成する。この温度測定は、ストリップの冷却処理をより良く調節することを可能にする。
【0024】
1つの態様においては、冷却セクションは、湿式冷却エリアのための乾燥及びパージシステムを含むことができる。有利には、この乾燥及びパージシステムは、湿式冷却エリアがストリップを冷却するために使用されていないときに実行することができる。有利には、この乾燥及びパージシステムは、連続的ラインの熱サイクル及びプロダクト・ミックスに従って、湿式エリアの使用を必要とする製品と湿式エリアによって冷却される必要のない製品との間の遷移時間を限定するのに役立つ。実際、湿式エリアが湿ったままであると、低下した露点はストリップがそこを通過する際に表面状態の劣化を招くおそれがある。
【0025】
1つの可能性として、湿式冷却エリアの乾燥及びパージシステムは、湿式エリアをパージするため、窒素を、好ましくは加熱した、好ましくは50℃に加熱した窒素を注入するように構成されている機器を含むことができる。窒素は、例えば、連続的ラインの加熱エリアのフュームから捕捉された熱を用いて、予め加熱することができる。湿式エリアの乾燥が向上する。
【0026】
乾燥及びパージ時間を改善するため、2つの付加的装置を含めることができる。
【0027】
乾燥及びパージシステムは、湿式冷却エリアの壁を加熱するように構成されている機器を含むことができる。これにより、湿式冷却エリアでの凝縮の制限、又は湿式冷却エリアの乾燥時間の短縮が可能になる。加熱は、伝導又は輻射により加熱する要素の添加を通じて行うのが好ましい。それらは壁の内部又は外部に配置することができる。
【0028】
前記湿式冷却エリアの前記乾燥及びパージシステムは、該湿式冷却エリアにおいて下方に方向付けられるとともに該湿式冷却エリアの内壁に窒素を吹き付けるように構成されている窒素ナイフのシステムを含むことができる。この窒素ナイフのシステムは、前記湿式冷却エリアの壁から液体をより良く除去することを可能にする。
【0029】
本発明の第2の態様は、金属ストリップを取り扱うように構成されている、鋼ストリップの連続的な焼鈍又は亜鉛めっきラインの冷却方法であって、ガスが前記鋼ストリップに噴射される少なくとも1つの乾式冷却段階、及び、液体又はガス及び液体の混合物が前記鋼ストリップに噴射される少なくとも1つの湿式冷却段階を含む、冷却方法である。
【0030】
有利には、本発明では、前記液体は前記ストリップの酸化剤ではない。前記液体は、0.1質量%~6質量%の溶液の酸濃度を有するギ酸の溶液とし、有利には、0.5質量%~2質量%の溶液の酸濃度を有するギ酸の溶液とすることができる。
【0031】
本発明の第2の態様の方法は、前記乾式冷却エリアと前記湿式冷却エリアとの間に配置される雰囲気分離シールを使用する雰囲気分離段階も含み、該雰囲気分離段階は、前記シールの第1のエリアにおける不活性ガス注入段階、及び、前記シールの第2のエリアにおける抽出段階を含むことができる。
【0032】
本発明の第2の態様の方法は、前記連続的なラインの加熱エリアから捕捉される熱を好ましくは使用する、前記湿式冷却エリアの乾燥及びパージ段階も含むことができる。例えば、エネルギーは、連続的なラインの加熱エリアのフュームから捕捉することができる。
【0033】
本発明の第1の態様の冷却セクションは、本発明の第1の態様の冷却セクション又はその改良物の1つのために構成された、例えば、冷却される製品に応じて、乾式及び湿式冷却エリアの一方又は両方を作動させるための、制御システム、好ましくは、コンピュータ制御システムを含むことができる。
【0034】
本発明の第3の態様は、通信ネットワークからダウンロード可能であり、及び/又は、コンピュータによって読み取られるか及び/又はマイクロプロセッサによって実行されることができる媒体に記憶され、計算ユニットの内部メモリにロード可能である、コンピュータプログラム製品であって、前記計算ユニットによって実行されると、本発明の第2の態様に係る方法又はその改良の1つの段階を開始するプログラミングコード命令を含むことを特徴とする、コンピュータプログラム製品である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明は、上述した構成に加えて、添付図面に関連して述べられる組み立て体の例を参照して、以下により明確に説明されるいくつかの他の構成からなるが、これらは本発明を限定するものではない。
【0036】
図1】連続的ストリップ処理ラインから、本発明の第1の態様に係る冷却セクションの概略図。
図2】本発明の第2の態様に係る冷却セクションの概略図であり、湿式冷却エリアのための乾燥及びパージシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付した図1は、本発明の第1の態様に係る、移動方向Sである金属ストリップ1を受け取るようにセットされた、該移動方向に少なくとも1つの乾式冷却エリア2と少なくとも1つの湿式冷却エリア5を連続して組み合わせた、金属ストリップのための連続的な焼鈍又は亜鉛めっきラインの冷却セクションを示している。
【0038】
示された例では、冷却セクションはまた、乾式冷却エリア2と湿式冷却エリア5を分離する雰囲気分離シール4を含んでいる。
【0039】
ストリップ1は方向Sに下方に移動して冷却セクションに入る。それは最初に乾式冷却エリア2を通過する。該エリアでは、窒素と水素の混合物がブローイングボックス3を用いてストリップに噴射される。次いで、該ストリップは湿式冷却エリア5に入る前に雰囲気分離シール4を通過する。
【0040】
湿式冷却エリア5は、金属ストリップ1に冷却液を噴射するように配置されたノズル6を備えている。
【0041】
湿式冷却エリア5は、蒸気抽出部7を含み、図で示された例では、湿式冷却エリア5の上部に配置されている。
【0042】
乾式エリア2と湿式エリア5の間に配置されている雰囲気分離シール4は、金属ストリップ1の移動方向において、3つの連続した対のロール8、9、10を含む。該対のそれぞれは、金属ストリップの移動方向に対して横方向に配置されている。
【0043】
前記乾式エリアと湿式エリアの間において、前記3つの対は、ストリップの移動方向に対して前記シールの2つの連続したエリア11、12の範囲を定める。ロール対8、9によって範囲が定められるエリア11は、乾式冷却エリア2側に配置され、ロール対9、10によって範囲が定められるエリア12は、前記湿式冷却エリア側に配置される。
【0044】
前記ロールは、ストリップの移動速度で回転する。それらはストリップと接触するか、又はストリップのすぐ近くの位置にある。
【0045】
前記ロールの後方及び横では、機構3が前記シールのエリア間のガスの循環を、特に固定及び移動部分の間のスペースを制限することにより制限している。
【0046】
不活性ガスを注入するように配置された装置である供給手段14により、エリア12への窒素の注入が行われる。抽出装置15を用いてエリア11にて抽出が行われる。不活性ガスのエリア12への圧力及び注入流速とエリア11からの抽出の流れは、エリア11、12の間のガスの流れがエリア12からエリア11に向かってだけ生じるように設定される。これにより、湿式エリア5からの湿った雰囲気が前記シールのエリア11に入ること及びエリア2の乾燥した雰囲気と混合することを防止する。
【0047】
示された例では、ストリップの移動方向に対して湿式冷却エリア5の出口において、ストリップから大部分の流出液体を除去するための液体ナイフのセット16が置かれている。液体ナイフのセット16に後続して、ストリップから液体の残りを除去するためのガスナイフのセット17が置かれている。
【0048】
さらに第1の態様について言及すると、金属ストリップ1はその後回収タンク18を通過し、ここではノズル6と液体ナイフ16によって噴射された冷却液がダクト24を経由して再循環タンク(図示せず)に送られる前に収集される。
【0049】
回収タンク18は、金属ストリップ1から残りの液体を除去するため、ガスナイフの第2のセット19を含む。
【0050】
示された例では、ガスナイフの第1のセット17及び第2のセット19は、垂直方向の矢印で示された同じ供給ダクト(符号付与せず)に由来する供給から供給される。
【0051】
その後、金属ストリップ1は、加熱チューブ21がストリップ上の液体の跡を削除するエリア20を通過する。このエリア20から出ていくと、ストリップは、湿式エリア5、18、20とストリップの移動方向に対して下流にあるエリア23との間にある雰囲気分離シール22を通過する。
【0052】
ストリップは、例えば、乾式エリア2において、800℃の温度から700℃の温度に冷却され、次いで、湿式エリア5において、700℃の温度から460℃の温度に冷却される。
【0053】
冷却液は例えば水又はギ酸を含む酸の溶液である。
【0054】
添付した図2は、本発明のシステムに対する第2の態様を示し、第1の態様との相違のみを記載している。
【0055】
第2の態様は、本発明の湿式冷却エリアのための乾燥及びパージシステムを含む。
【0056】
湿式冷却エリアの乾燥及びパージシステムは、例えば窒素の不活性ガスナイフ27を含み、これは下方に向いており、湿式冷却エリア内のケーシングの内壁に吹き付け、該壁から液体を再循環ダクト24又はパージダクト26に向かって排出するのに役立つ。
【0057】
ナイフ27によって導入される不活性ガスのみならず、第2の態様の冷却エリアの乾燥及びパージシステムは、不活性ガス、例えば窒素の注入ポイント28、及び湿式冷却エリア5の急速パージのための排出孔29を含む。ナイフ27と注入ポイント28に供給される不活性ガスは、例えば約50℃の温度に予め加熱される。
【0058】
前記湿式冷却エリアのケーシングの壁の加熱及び断熱システム25は湿式冷却エリアの壁の外側に設置される。
【0059】
有利には、ストリップに向けられる液体は、ギ酸の溶液であり、その溶液濃度は、0.1質量%から5.5質量%の間、有利には0.1質量%から5質量%の間、有利には0.1質量%から4.5質量%の間、有利には0.1質量%から4質量%の間、有利には0.1質量%から3.5質量%の間、有利には0.1質量%から3質量%の間、有利には0.1質量%から2.5質量%の間、有利には0.15質量%から2.5質量%の間、有利には0.2質量%から2.5質量%の間、有利には0.3質量%から2質量%の間、有利には0.35質量%から2.5質量%の間、有利には0.4質量%から2.5質量%の間、有利には0.45質量%から2.5質量%の間である。より有利には、前記溶液は、ギ酸の溶液濃度が、0.46質量%から2.4質量%の間、有利には0.47質量%から2.3質量%の間、有利には0.48質量%から2.2質量%の間、有利には0.49質量%から2.1質量%の間である。さらに有利には、前記溶液は、ギ酸の溶液濃度が、0.5質量%から2質量%の間である。
【0060】
当然のことながら、本発明は記載された実施例だけに限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく数多くの改変をこれらの実施例に行うことができる。特に、本発明の各種の特徴、形式、改変及び実施形態は、互いに又は相互に排他的でない限り、各種組み合わせにて、互いに組み合わせることができる。
図1
図2