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特許7065874コードで補強されたタイヤ構成要素を押し出すための押出機システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】コードで補強されたタイヤ構成要素を押し出すための押出機システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/15 20190101AFI20220502BHJP
   B29C 48/156 20190101ALI20220502BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20220502BHJP
   B29C 48/34 20190101ALI20220502BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20220502BHJP
   B29C 48/265 20190101ALI20220502BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20220502BHJP
【FI】
B29C48/15
B29C48/156
B29C48/305
B29C48/34
B29C48/08
B29C48/265
B29C48/285
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2019552997
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018057991
(87)【国際公開番号】W WO2018184955
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】2018638
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2020186
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ムルダー ヘルベン
(72)【発明者】
【氏名】ウォッチャー シモン ベンネディクト
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01987940(EP,A1)
【文献】特開平05-096604(JP,A)
【文献】特表2017-501909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードで補強された押出物を押し出すための押出機システムであって、
押出機から押出材料を受け取るための1つ以上の流路を有する押出機ヘッドと、前記1つ以上の流路から前記押出材料を受け取るダイと、コードをコード平面において横並びにて前記ダイへと案内するためのコードガイドとを備え、前記押出機ヘッドは、前記押出機ヘッドを通って前記コード平面に平行な挿入方向に延びる挿入スロットを備え、前記1つ以上の流路は、流れ領域において前記挿入スロットへと流出し、前記ダイおよび前記コードガイドは、前記挿入スロットの完全に外側の位置から、前記挿入方向に対して前記流れ領域の下流のダイ位置および前記流れ領域の上流のコードガイド位置のそれぞれへと、前記挿入方向に挿入可能であり、前記ダイおよび前記コードガイドは、前記ダイおよび前記コードガイドを前記挿入スロットへと同時に挿入できるように接続されるように構成されている、
押出機システム。
【請求項2】
前記押出機ヘッドは、前記挿入スロットを定める内面を備え、前記ダイおよび前記コードガイドを前記内面に沿って前記挿入方向にスライドさせるために、前記ダイは、前記コード平面の両側において前記コード平面に平行に延びる第1のスライド面および第2のスライド面を備え、前記コードガイドは、前記コード平面の両側において前記コード平面に平行に延びる第3のスライド面および第4のスライド面を備える、
請求項1に記載の押出機システム。
【請求項3】
前記ダイを前記コードガイドに対して保持するためのホルダを備える、
請求項1または2に記載の押出機システム。
【請求項4】
前記ホルダは、前記コードガイドに直接接続され、または前記コードガイドと一体である、
請求項3に記載の押出機システム。
【請求項5】
前記ホルダは、前記コードガイドにベースを備えており、前記ホルダは、前記ダイを前記ベースに対して保持するために前記ベースから前記ダイに向かって延びている、
請求項4に記載の押出機システム。
【請求項6】
前記ホルダは、前記挿入方向に垂直な横断方向における前記ダイの第1の側および第2の側のそれぞれにおいて前記挿入方向に前記ベースから前記ダイに向かって前記ダイの傍らを延びるように配置された第1の保持部材および第2の保持部材を備える、
請求項5に記載の押出機システム。
【請求項7】
前記ダイは、前記挿入方向とは反対の取り付け方向にて前記ホルダに取り付けることができる、
請求項6に記載の押出機システム。
【請求項8】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記取り付け方向に平行な方向に延びる第1の案内要素および第2の案内要素をそれぞれ備え、前記ダイは、前記第1の案内要素および前記第2の案内要素のそれぞれに前記取り付け方向にスライド可能に係合するように配置された第1の取り付け要素および第2の取り付け要素を備える、
請求項7に記載の押出機システム。
【請求項9】
前記コードガイドは、互いに噛み合うように前記コード平面の両側に配置された第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材を備え、前記第1のコードガイド部材および前記第2のコードガイド部材のうちの一方は、前記ホルダに直接接続され、または前記ホルダと一体であり、前記第1のコードガイド部材および前記第2のコードガイド部材のうちの他方は、前記第1の案内要素および前記第2の案内要素のそれぞれに前記取り付け方向にスライド可能に係合するように配置された第3の取り付け要素および第4の取り付け要素を備える、
請求項8に記載の押出機システム。
【請求項10】
前記第1のコードガイド部材および前記第2のコードガイド部材のうちの前記他方は、前記取り付け方向において前記ホルダと前記ダイとの間に取り付けられるように配置される、
請求項9に記載の押出機システム。
【請求項11】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記ダイと前記コードガイドとの間に前記流れ領域を形成するために、前記挿入方向において前記ダイに当接するように配置され、前記挿入方向において前記コードガイドから離れて位置する1つ以上の合わせ面を備える、
請求項6~10のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項12】
前記コードガイドは、前記ダイと協働して前記流れ領域を定めるコードガイドノーズを備え、前記第1のコードガイド部材および前記第2のコードガイド部材は、前記ダイと前記コードガイドとの間に前記流れ領域を形成するために、前記挿入方向において前記ダイに当接するように配置され、前記挿入方向において前記コードガイドノーズから離れて位置する第1の合わせ面および第2の合わせ面をそれぞれ備える、
請求項9または10に記載の押出機システム。
【請求項13】
前記ホルダは、前記挿入方向に垂直な横断方向にて前記コードガイドの側面に接続することができる第1の保持部材および第2の保持部材を備え、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記コードガイドに接続されたときに、前記横断方向における前記ダイの第1の側および第2の側のそれぞれにおいて前記挿入方向に前記コードガイドから前記ダイに向かって前記ダイの傍らを延びる、
請求項3に記載の押出機システム。
【請求項14】
前記ダイまたは前記コードガイドは、前記コード平面に垂直な取り付け方向に前記ホルダへと取り付けることができる、
請求項13に記載の押出機システム。
【請求項15】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記取り付け方向に平行な方向に延びる第1の案内要素および第2の案内要素をそれぞれ備え、前記ダイは、前記第1の案内要素および前記第2の案内要素のそれぞれに前記取り付け方向にスライド可能に係合するように配置された第1の取り付け要素および第2の取り付け要素を備える、
請求項14に記載の押出機システム。
【請求項16】
前記コードガイドは、互いに噛み合うように前記コード平面の両側に配置された第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項17】
前記第1のコードガイド部材は、独立して前記第2のコードガイド部材に取り付け可能かつ前記第2のコードガイド部材から取り外し可能である、
請求項16に記載の押出機システム。
【請求項18】
前記コードガイドは、分割不可能またはモノブロックとして形成された第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項19】
前記ダイを前記コードガイドに結合させるための第1の結合要素をさらに備え、前記第1の結合要素は、前記ダイ位置への前記挿入方向の前記コードガイドに対する前記ダイの移動を可能にする、
請求項1~18のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項20】
前記押出機ヘッドは、前記ダイが前記ダイ位置にあるときに前記挿入方向とは反対の方向に前記ダイを当接させるための当接面を提供する、
請求項19に記載の押出機システム。
【請求項21】
前記第1のスライド面と前記内面との間の第1のシール要素および前記第2のスライド面と前記内面との間の第2のシール要素をさらに備え、前記挿入方向に対する前記第1のシール要素および前記第2のシール要素の下流の前記内面から前記流れ領域をシールする、
請求項2に記載の押出機システム。
【請求項22】
前記ダイは、ダイ長にわたって前記内面に沿って前記挿入方向に延び、前記第1のシール要素および前記第2のシール要素は、前記ダイが前記ダイ位置にあるときに前記流れ領域から前記ダイ長の半分未満に位置する、
請求項21に記載の押出機システム。
【請求項23】
前記第1のシール要素および前記第2のシール要素は、前記ダイに形成されたシール溝であり、前記シール溝は、前記内面に向かって開いている、
請求項21または22に記載の押出機システム。
【請求項24】
前記ダイまたは前記1つ以上の流路は、前記ダイおよび前記コードガイドを前記挿入スロットから前記挿入方向とは反対の後退方向に後退させるときに前記流れ領域に残る押出材料を前記1つ以上の流路内の押出材料から切断するように配置された前記流れ領域におけるナイフを備える、
請求項1~23のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項25】
前記ダイは、前記押出材料を前記押出物へと形成するダイ出口開口部と、前記第1のスライド面と前記ダイ出口開口部との間に位置し、前記ダイを前記挿入方向に挿入することによって前記内面から掻き取られる押出材料を蓄積させるための蓄積用凹部とを備える、
請求項2に記載の押出機システム。
【請求項26】
前記第3のスライド面と前記内面との間の第3のシール要素および前記第4のスライド面と前記内面との間の第4のシール要素をさらに備え、前記挿入方向に対する前記第3のシール要素および前記第4のシール要素の上流の前記内面から前記流れ領域をシールする、
請求項2に記載の押出機システム。
【請求項27】
前記コードガイドは、コードガイド長にわたって前記内面に沿って前記挿入方向に延び、前記第3のシール要素および前記第4のシール要素は、前記コードガイドが前記コードガイド位置にあるときに前記流れ領域から前記コードガイド長の半分未満に位置する、
請求項26に記載の押出機システム。
【請求項28】
前記第3のシール要素および前記第4のシール要素は、前記コードガイドに形成されたシール溝であり、前記シール溝は、前記内面に向かって開いている、
請求項26または27に記載の押出機システム。
【請求項29】
前記ダイおよび前記コードガイドは、前記コード平面に垂直な方向のダイ高さおよびコードガイド高さをそれぞれ有し、前記ダイ高さは、前記コードガイド高さよりも小さい、
請求項1~28のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項30】
前記挿入スロットは、前記ダイ位置および前記コードガイド位置のそれぞれにおいて前記コード平面に垂直な方向の第1のスロット高さおよび第2のスロット高さを有し、前記第1のスロット高さは、前記第2のスロット高さよりも小さい、
請求項1~29のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項31】
前記ダイおよび前記コードガイドは、前記コード平面に垂直な方向のダイ高さおよびコードガイド高さをそれぞれ有し、前記ダイ高さと前記コードガイド高さとが等しい、
請求項1~28のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項32】
前記挿入スロットは、前記ダイ位置および前記コードガイド位置のそれぞれにおいて前記コード平面に垂直な方向の第1のスロット高さおよび第2のスロット高さを有し、前記第1のスロット高さと前記第2のスロット高さとが等しい、
請求項1~28のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項33】
前記挿入方向および前記挿入方向とは反対の後退方向のそれぞれの前記ダイまたは前記コードガイドの前記挿入または取り出しを補助するためのアクチュエータをさらに備える、
請求項1~32のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項34】
前記1つ以上の流路は、前記コード平面の第1の側から前記流れ領域へと流出する第1の流路と、前記第1の側とは反対の前記コード平面の第2の側から前記流れ領域へと流出する第2の流路とを備える、
請求項1~33のいずれか一項に記載の押出機システム。
【請求項35】
前記ダイおよび前記コードガイドは、それぞれダイ入口開口部およびコードガイドノーズを備え、前記ダイ入口開口部および前記コードガイドノーズは、前記ダイおよび前記コードガイドが前記ダイ位置および前記コードガイド位置にそれぞれ位置するときに、前記コード平面の前記第1の側において前記第1の流路に整列または接続し、前記コード平面の前記第2の側において前記第2の流路に整列または接続する前記流れ領域を協働して形成する、
請求項34に記載の押出機システム。
【請求項36】
前記ダイおよび前記コードガイドは、第1のクランプ部材および第2のクランプ部材によって前記コード平面の両側から取り囲まれ、
前記押出機ヘッドは、第1の押出機ヘッド部材および第2の押出機ヘッド部材を備え、第1の押出機ヘッド部材および第2の押出機ヘッド部材は、それぞれ第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22を取り囲むように、前記コード平面の両側から互いに噛み合い、
前記押出機ヘッドから前記第1の流路および前記第2の流路をそれぞれシールするために、前記第1の押出機ヘッド部材と前記第1のクランプ部材との間に第1のカバーが設けられ、前記第2の押出機ヘッド部材と前記第2のクランプ部材との間に第2のカバーが設けられる、
請求項34又は35に記載の押出機システム。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載の押出機システムを使用するコードで補強された押出物を押し出すための方法であって、
前記ダイおよび前記コードガイドを接続するステップと、前記ダイおよび前記コードガイドを同時に前記挿入スロットの完全に外側の位置から前記ダイ位置および前記コードガイド位置のそれぞれへと前記挿入スロットに前記挿入方向に挿入するステップとを含む
方法。
【請求項38】
前記押出機ヘッドは、前記挿入スロットを定める内面を備え、本方法は、或る量の押出材料が前記ダイと前記内面との間および前記コードガイドと前記内面との間で硬化することを可能にすることによって、前記ダイおよび前記コードガイドを前記内面に対してシールするステップを含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ダイまたは前記1つ以上の流路は、前記流れ領域にナイフを備え、本方法は、前記ナイフを使用して、前記ダイおよび前記コードガイドを前記挿入スロットから前記挿入方向とは反対の後退方向に後退させるときに前記流れ領域に残る押出材料を前記1つ以上の流路内の押出材料から切断するステップを含む、
請求項37または38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードで補強されたタイヤ構成要素を押し出すための押出機システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/167646号が、押出機システムおよびコードで補強された押出物を押し出すための方法を開示しており、押出機システムは、押出材料を受け取るダイを備えた押出機ヘッドと、コードを共通のコード平面内でコード方向にダイへと案内するコードガイドとを備えている。コードガイドに容易にアクセスすることができるように、コードガイドは、ダイから離れた位置まで直線ガイドに沿ってコード平面内をスライド可能、またはコード平面に平行にスライド可能なキャリッジに配置されている。1つのコードガイドがコードを押出機ヘッドへと依然として積極的に案内しているときに、別のコードガイドを、押出機が依然として押出を行っている間に、一式の新たなコードですでに準備することができる。したがって、コードガイドを変更するための切り替え時間を大幅に短縮することができる。
【0003】
しかしながら、押出機ヘッドのダイに対するスライド可能なコードガイドの正確な整列および/または位置決めは、コードガイドと押出機ヘッドとの間の許容誤差の影響を免れない。押出機ヘッドが閉じたままであるとき、オペレータは、整列および/または位置決めを確認するための手段を持たない。さらに、押出プロセスの最中に少量の押出材料がコードガイドと押出機ヘッドとの間で漏れることが不可避である。この押出材料は、ひとたび加硫されると、コードガイドの取り外しおよび再挿入の両方を深刻に妨げかねない摩擦および/または閉塞を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/167646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ダイに対するコードガイドの整列および/または位置決めを改善することができる押出機システムおよびコードで補強されたタイヤ構成要素を押し出すための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、のコードで補強された押出物、特にはタイヤ構成要素を押し出すための押出機システムを提供し、この押出機システムは、押出機から押出材料を受け取るための1つ以上の流路を有する押出機ヘッドと、1つ以上の流路から前記押出材料を受け取るダイと、コードをコード平面において横並びにてダイへと案内するためのコードガイドとを備え、押出機ヘッドは、押出機ヘッドを通ってコード平面に平行な挿入方向に延びる挿入スロットを備え、1つ以上の流路は、流れ領域において挿入スロットへと流出し、ダイおよびコードガイドは、挿入スロットの完全に外側の位置から、挿入方向に対して流れ領域の下流のダイ位置および流れ領域の上流のコードガイド位置のそれぞれへと、挿入方向に挿入可能であり、ダイおよびコードガイドは、ダイおよびコードガイドを挿入スロットへと同時に挿入できるように接続されるように構成される。
【0007】
ダイおよびコードガイドの両方を同時にスロットへと挿入方向に挿入できるため、例えば挿入に先立ってダイおよびコードガイドをお互いに対してすでに位置決めすることにより、コードガイドに対するダイの位置決めをより正確に制御することができる。挿入方向は、コード平面に平行である。したがって、挿入前にすでにコードをコードガイドおよびダイを通って案内することができる。このように準備されたコードガイド、ダイ、およびコードは、挿入スロットへと容易に挿入でき、切り替え時間を最小限に抑えることができる。コードガイドおよびダイは、引き出しのように挿入スロットから後退させることも可能である。さらに、固定式のダイとは異なり、挿入可能なダイは、取り外しおよび他のダイとの交換が可能であるため、ダイの構成にさらなる柔軟性をもたらすことができる。
【0008】
好ましい実施形態において、押出機ヘッドは、挿入スロットを定める内面を備え、ダイおよびコードガイドを前記内面に沿って挿入方向にスライドさせるために、ダイは、コード平面の両側においてコード平面に平行に延びる第1のスライド面および第2のスライド面を備え、コードガイドは、コード平面の両側においてコード平面に平行に延びる第3のスライド面および第4のスライド面を備える。したがって、ダイとコードガイドを、単に挿入スロットへと挿入方向にスライドさせるだけで挿入することができる。
【0009】
別の実施形態において、押出機システムは、ダイをコードガイドに対して保持するためのホルダを備える。好ましくは、このホルダは、コードガイドに直接接続され、かつ/またはコードガイドと一体である。したがって、コードガイドに対するホルダの剛性を向上させることができ、したがってコードガイドに対するダイの保持の精度を向上させることができる。
【0010】
より好ましくは、ホルダは、コードガイドにベースを備え、ホルダは、ダイを前記ベースに対して保持するためにベースからダイに向かって延びる。ホルダは、コードガイドとダイとの間のギャップを橋渡しするようにベースからダイに向かって延びることができる。
【0011】
特定の実施形態において、ホルダは、挿入方向に垂直な横断方向におけるダイの第1の側および第2の側のそれぞれにおいて挿入方向にベースからダイに向かってダイの傍らを延びるように配置された第1の保持部材および第2の保持部材を備える。
【0012】
さらなる実施形態において、ダイは、挿入方向とは反対の取り付け方向にてホルダに取り付けることが可能である。したがって、ダイを、ホルダのコードガイドとは反対の側からホルダに容易に取り付けることができる。さらに、挿入後に、ダイをホルダと押出機ヘッドとの間に固定して、ダイを押出機ヘッド内にしっかりと保持することができる。
【0013】
その実施形態において、第1の保持部材および第2の保持部材は、取り付け方向に平行な方向に延びる第1の案内要素および第2の案内要素をそれぞれ備え、ダイは、第1の案内要素および第2の案内要素のそれぞれに取り付け方向にスライド可能に係合するように配置された第1の取り付け要素および第2の取り付け要素を備える。取り付け要素およびそれぞれの案内要素の上述の組み合わせにより、ダイをスライドさせることによってホルダに容易に取り付けることができる。
【0014】
好ましくは、コードガイドは、互いに噛み合うようにコード平面の両側に配置された第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材を備え、第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材のうちの一方は、ホルダに直接接続され、かつ/またはホルダと一体であり、第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材のうちの他方は、第1の案内要素および第2の案内要素のそれぞれに取り付け方向にスライド可能に係合するように配置された第3の取り付け要素および第4の取り付け要素を備える。したがって、第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材のうちの他方を、ダイと同じやり方でホルダに取り付けることができる。
【0015】
より好ましくは、第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材のうちの他方は、取り付け方向においてホルダとダイとの間に取り付けられるように配置される。したがって、第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材のうちの他方が最初にホルダへと取り付け方向に取り付けられ、次いでダイを、ダイとホルダとの間の第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材のうちの他方に固定することができる。
【0016】
1つの好ましい実施形態において、第1の保持部材および第2の保持部材は、ダイとコードガイドとの間に流れ領域を形成するために、挿入方向においてダイに当接するように配置され、挿入方向においてコードガイドから離れて位置する1つ以上の合わせ面を備える。この1つ以上の合わせ面は、ダイが取り付け方向にさらに移動することを防止することができる。したがって、コードガイドとダイとの間に介在の空間を空けておくことができ、この介在の空間が流れ領域を形成する。さらに、ダイを1つ以上の合わせ面に当接させることにより、ホルダに対するダイの位置決めをより正確にすることができる。
【0017】
代案の好ましい実施形態において、コードガイドは、ダイと協働して流れ領域を定めるコードガイドノーズを備え、第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材は、ダイとコードガイドとの間に流れ領域を形成するために、挿入方向においてダイに当接するように配置され、挿入方向においてコードガイドノーズから離れて位置する第1の合わせ面および第2の合わせ面をそれぞれ備える。これらの合わせ面は、ダイが取り付け方向にさらに移動することを防止することができる。したがって、コードガイドノーズとダイとの間に介在の空間を空けておくことができ、この介在の空間が流れ領域を形成する。さらに、ダイを1つ以上の合わせ面に当接させることにより、コードガイド部材に対するダイの位置決めをより正確にすることができる。
【0018】
あるいは、ホルダは、挿入方向に垂直な横断方向にてコードガイドの側面に接続することができる第1の保持部材および第2の保持部材を備え、第1の保持部材および第2の保持部材は、コードガイドに接続されたときに、横断方向におけるダイの第1の側および第2の側のそれぞれにおいて挿入方向にコードガイドからダイに向かってダイの傍らを延びる。
【0019】
その好ましい実施形態において、ダイおよび/またはコードガイドは、コード平面に垂直な取り付け方向にてホルダへと取り付けることが可能である。したがって、このホルダは、取り付け方向が挿入方向と反対である上述の実施形態とは別の取り付け方向を提供する。
【0020】
より好ましくは、第1の保持部材および第2の保持部材は、取り付け方向に平行な方向に延びる第1の案内要素および第2の案内要素をそれぞれ備え、ダイは、第1の案内要素および第2の案内要素のそれぞれに取り付け方向にスライド可能に係合するように配置された第1の取り付け要素および第2の取り付け要素を備える。したがって、ダイを前記取り付け方向に正確に受け入れることができる。
【0021】
さらなる実施形態において、コードガイドは、互いに噛み合うようにコード平面の両側に配置された第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材を備える。好ましくは、第1のコードガイド部材は、独立して第2のコードガイド部材に取り付け可能かつ前記第2のコードガイド部材から取り外し可能である。したがって、1本以上のコードが破損した場合に、この1本以上のコードを容易に交換することができる。
【0022】
あるいは、コードガイドは、分割不可能またはモノブロックとして形成された第1のコードガイド部材および第2のコードガイド部材を備える。分割式のコードガイド部材であれば、コードをコードガイド内に容易に準備することができる。しかしながら、分割不可能なコードガイドであれば、コードガイド部材間の許容公差を減らすことができる。
【0023】
別の実施形態において、押出機システムは、ダイをコードガイドに結合させるための第1の結合要素をさらに備え、第1の結合要素は、ダイ位置への挿入方向のコードガイドに対するダイの移動を可能にする。第1の結合要素は、前記ホルダの取り扱い中にダイがホルダから誤って落下することを防止することができる。第1の結合要素は、押出材料により圧力がダイへと挿入方向に作用するときにダイがダイ位置へと自動的に移動できるように、緩いはまり合いを提供することができる。より詳細には、ダイ位置におけるダイの位置決めを、ホルダに対するダイの取り付けの公差とは無関係に行うことができる。
【0024】
その実施形態において、押出機ヘッドは、ダイがダイ位置にあるときに挿入方向とは反対の方向にダイを当接させるための当接面を提供する。ダイを、挿入方向にこのダイへと作用する押出材料による圧力の下で、ダイ位置へと自動的に移動させることができる。より詳しくは、ダイは、前記圧力の下で当接面に当接しようとする。当接面は、挿入方向にダイへと作用する押出材料による圧力に抵抗して、ダイを押出機ヘッド内に確実かつ/または正確に保持することができる。
【0025】
別の実施形態において、押出機システムは、第1の摺動面と内面との間の第1のシール要素および第2の摺動面と内面との間の第2のシール要素をさらに備え、第1のシール要素および第2のシール要素は、挿入方向に対する第1のシール要素および第2のシール要素の下流の内面から流れ領域をシールする。したがって、流れ領域から第1のシール要素および第2のシール要素の下流の内面への押出材料の漏れを、防止することができる。漏れが摺動面と内面との間で硬化すると、挿入スロットからのダイの取り外しを妨げかねない多大な抵抗が生まれる可能性がある。したがって、この漏れを防ぐことによって、ダイを挿入スロットからより容易に取り出すことができる。
【0026】
その実施形態において、ダイは、ダイ長にわたって内面に沿って挿入方向に延び、第1のシール要素および第2のシール要素は、ダイがダイ位置にあるときに流れ領域からダイ長の半分未満に位置する。漏れの影響を受ける可能性がある内面の表面積を最小限に抑えることにより、挿入スロットに対するダイの取り外しへの抵抗を、減らすことができる。
【0027】
そのさらなる実施形態において、第1のシール要素および第2のシール要素は、ダイに形成されたシール溝であり、シール溝は、内面に向かって開いている。シール溝は、流れ領域から漏れる或る量の押出材料を受け入れることができる。この量は、シール溝において迅速に硬化することによって、内面に対する確実なシールを自動的に形成することができる。
【0028】
別の実施形態において、ダイまたは1つ以上の流路は、ダイおよびコードガイドを挿入スロットから挿入方向とは反対の後退方向に後退させるときに流れ領域に残る押出材料を1つ以上の流路内の押出材料から切断するように配置された流れ領域におけるナイフを備える。したがって、ダイの後退を、この後退の瞬間に流路内に存在している押出材料を通って行うことができる。切断された押出材料は、挿入スロットを容易な挿入のために空けておくために、ダイおよびコードガイドと一緒に挿入スロットから後退させることが可能である。
【0029】
別の実施形態において、ダイは、押出材料を押出物へと形成するダイ出口開口部と、第1のスライド面とダイ出口開口部との間に位置し、ダイを挿入方向に挿入することによって内面から掻き取られる押出材料を蓄積させるための蓄積用凹部とを備える。掻き取られた押出材料を専用の蓄積用凹部に集めることにより、この掻き取られた押出材料が挿入スロットからダイ開口部へと押し出され、あるいはダイから出る押出物へと押し出されることが防止される。
【0030】
さらに別の実施形態において、押出機システムは、第3の摺動面と内面との間の第3のシール要素および第4の摺動面と内面との間の第4のシール要素をさらに備え、第3のシール要素および第4のシール要素は、挿入方向に対する第3のシール要素および第4のシール要素の上流の内面から流れ領域をシールする。ダイのシール要素と同様に、流れ領域から第3のシール要素および第4のシール要素の上流の内面への押出材料の漏れを、防止することができる。この漏れを防ぐことによって、コードガイドを挿入スロットからより容易に取り出すことができる。
【0031】
その実施形態において、コードガイドは、コードガイド長にわたって内面に沿って挿入方向に延び、第3のシール要素および第4のシール要素は、コードガイドがコードガイド位置にあるときに流れ領域からコードガイド長の半分未満に位置する。漏れの影響を受ける可能性がある内面の表面積を最小限に抑えることにより、挿入スロットに対するコードガイドの取り外しへの抵抗を、減らすことができる。
【0032】
そのさらなる実施形態において、第3のシール要素および第4のシール要素は、コードガイドに形成されたシール溝であり、シール溝は、内面に向かって開いている。シール溝は、流れ領域から漏れる或る量の押出材料を受け入れることができる。この量は、シール溝において迅速に硬化することによって、内面に対する確実なシールを自動的に形成することができる。
【0033】
別の実施形態において、ダイおよびコードガイドは、コード平面に垂直な方向のダイ高さおよびコードガイド高さをそれぞれ有し、ダイ高さは、コードガイド高さよりも小さい。したがって、ダイを、コードガイド位置において挿入スロットに接触することなく、後退方向に容易に後退させることができる。特に、ダイがコードガイド位置においてスロットの内面に食い込むことを防止することができる。
【0034】
別の実施形態において、挿入スロットは、ダイ位置およびコードガイド位置のそれぞれにおいてコード平面に垂直な方向の第1のスロット高さおよび第2のスロット高さを有し、第1のスロット高さは、第2のスロット高さよりも小さい。第2のスロット高さから第1のスロット高さへの移行は、コードガイドが挿入スロットを通って挿入方向にコードガイド位置を超えて移動することを防止することができる段部を形成することができる。
【0035】
あるいは、ダイ高さH1とコードガイド高さH2とが等しく、さらには/あるいは第1のスロット高さと第2のスロット高さとが等しい。
【0036】
さらに別の実施形態において、押出機システムは、挿入方向および挿入方向とは反対の後退方向のそれぞれのダイおよび/またはコードガイドの挿入および/または取り出しを補助するためのアクチュエータをさらに備える。アクチュエータは、ダイおよび/またはコードガイドに手が容易には届かない場合や、取り出しに対する抵抗が手動での取り出しが不可能であるほどに大きい場合に、取り出しを容易にすることができる。
【0037】
さらに別の実施形態において、1つ以上の流路は、コード平面の第1の側から流れ領域へと流出する第1の流路と、第1の側とは反対のコード平面の第2の側から流れ領域へと流出する第2の流路とを備える。したがって、タイヤ構成要素において典型的であるとおり、コードを両側から埋め込むことができる。
【0038】
その実施形態において、ダイおよびコードガイドは、それぞれダイ入口開口部およびコードガイドノーズを備え、ダイ入口開口部およびコードガイドノーズは、ダイおよびコードガイドがダイ位置およびコードガイド位置にそれぞれ位置するときに、コード平面の第1の側において第1の流路に整列および/または接続し、コード平面の第2の側において第2の流路に整列および/または接続する流れ領域を協働して形成する。したがって、ダイおよびコードガイドがそれぞれダイ位置およびコードガイド位置にあるとき、流れ領域は、それぞれの流路の継ぎ目がなく、あるいは実質的に継ぎ目がない連続を形成することができる。
【0039】
さらなる実施形態においては、押出機ヘッドから第1の流路および第2の流路をそれぞれシールするために、第1の押出機ヘッド部材と第1のクランプ部材との間に第1のカバーが設けられ、第2の押出機ヘッド部材と第2のクランプ部材との間に第2のカバーが設けられる。これにより、押出機ヘッドを押出材料に直接接触しないようにすることができ、したがって、押出機ヘッドを清浄に保つことができる。
【0040】
第2の態様によれば、本発明は、上述の実施形態のうちの任意の1つによる押出機システムを使用して、コードで補強された押出物、特にはタイヤ構成要素を押し出すための方法であって、ダイおよびコードガイドを接続するステップと、ダイおよびコードガイドを同時に挿入スロットの完全に外側の位置からダイ位置およびコードガイド位置のそれぞれへと挿入スロットに挿入方向に挿入するステップとを含む方法を提供する。
【0041】
この方法およびその実施形態は、上述の押出機ヘッドの実際の実施態様に関係し、したがって以下での繰り返しは省略するが、同じ技術的利点を有する。
【0042】
本方法の別の実施形態において、押出機ヘッドは、挿入スロットを定める内面を備え、本方法は、或る量の押出材料がダイと内面との間およびコードガイドと内面との間で硬化することを可能にすることによって、ダイおよびコードガイドを内面に対してシールするステップを含む。
【0043】
本方法の別の実施形態において、ダイまたは1つ以上の流路は、流れ領域にナイフを備え、本方法は、ナイフを使用してダイおよびコードガイドを挿入スロットから挿入方向とは反対の後退方向に後退させるときに流れ領域に残る押出材料を1つ以上の流路内の押出材料から切断するステップを含む。
【0044】
本明細書において説明および図示される種々の態様および特徴は、可能な限り個別に適用することができる。これらの個々の態様、とりわけ添付の従属請求項に記載される態様および特徴は、分割特許出願の対象となり得る。
【0045】
本発明を、添付の概略図に示される典型的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の第1の実施形態による押出機システムの等角図を示している。
図2】第1の押出機ヘッド部材および第2の押出機ヘッド部材を含む図1による押出機システムの分解図を示している。
図3図1の線III-IIIによる押出機システムの断面図を示している。
図4】ダイおよびコードガイドを押出機システムから後退させた状態の図3による押出機システムの断面図を示している。
図5図3による押出機システムの詳細を示している。
図6】ダイおよびコードガイドを押出機システムから後退させている最中の押出機システムの詳細を示している。
図7】ダイ、コードガイド、および前記ダイを前記コードガイドに接続するホルダについて、ダイおよびコードガイドのコードガイド部材をホルダから取り外す工程の最中の等角図を示している。
図8】ダイ、コードガイド、および前記ダイを前記コードガイドに接続するホルダについて、ダイおよびコードガイドのコードガイド部材をホルダから取り外す工程の最中の等角図を示している。
図9】ダイ、コードガイド、および前記ダイを前記コードガイドに接続するホルダについて、ダイおよびコードガイドのコードガイド部材をホルダから取り外す工程の最中の等角図を示している。
図10】本発明の第2の実施形態による代案の押出機システムの分解図を示している。
図11】本発明の第2の実施形態による代案の押出機システムの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1図9が、本発明の典型的な第1の実施形態による押出機システム1を示している。この押出機システム1は、コードで補強された押出物92、特にはタイヤ構成要素を押し出すために、コード91を押出材料93に埋め込むために使用される。
【0048】
図2の分解図に示されるように、押出機システム1は、押出方向Eに押出機(図示せず)からの押出材料93を受け取るための押出機ヘッド10を備える。押出機ヘッド10は、押出材料93をコード91へと導くための第1の流路27および第2の流路28を備える。押出機システム1は、1つ以上の流路27、28から押出材料93を受け取るためのダイ3と、コード91をコード平面Pにおいて横並びにてダイ3へと案内するためのコードガイド4とをさらに備える。ダイ3およびコードガイド4は、第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22によってコード平面Pの両側からクランプされ、さらには/あるいは取り囲まれる。
【0049】
この典型的な実施形態において、押出機ヘッド10は、第1の押出機ヘッド部材11および第2の押出機ヘッド部材12を備え、第1の押出機ヘッド部材11および第2の押出機ヘッド部材12は、コード平面Pの両側から互いに噛み合い、それぞれ第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22をクランプし、さらには/あるいは取り囲むように配置される。したがって、第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22は、クランプされ、さらには/あるいは取り囲まれるダイ3およびコードガイド4の形状に応じて交換することができる押出機ツールを形成する。この典型的な実施形態において、第1の流路27および第2の流路28は、第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22内に延在する。あるいは、流路27、28は、少なくとも一部分が第1の押出機ヘッド部材11および第2の押出機ヘッド部材12に形成されてもよい。第1の押出機ヘッド部材11および第2の押出機ヘッド部材12は、好ましくは、少なくとも一部分がダイ3の前方に延在し、このダイ3を押出機ヘッド10内に収容するための当接面13を形成する。
【0050】
図1に示されるように、コード91は、コード平面Pに平行な挿入方向Aに延びて押出機ヘッド10に出入りするように配置される。押出方向Eは、好ましくは、押出機ヘッド10の全幅にわたる押出材料93の最適な分布をもたらすために、挿入方向Aに対して約60度の角度に向けられる。この典型的な実施形態においては、押出方向Eも、コード平面Pに平行である。押出方向Eと挿入方向Aに延びるコード91との間の角度ゆえに、押出機ヘッド10を、クロスヘッド型押出機ヘッド10とみなすことができる。
【0051】
図2図3、および図4に示されるように、押出機ヘッド10は、押出機ヘッド10を通って挿入方向Aに延びる挿入スロット26を備える。図3に示されるように、挿入スロット26は、ダイ3およびコードガイド4を下流のダイ位置Dおよびコードガイド位置Cへと挿入方向Aに受け入れるように配置される。ダイ3およびコードガイド4は、挿入方向Aとは反対の後退方向Rに挿入スロット26から後退させることが可能である。第1の流路27および第2の流路28は、ダイ位置Dとコードガイド位置Cとの間の流れ領域Fにおいて挿入スロット26へと流出する。したがって、ダイ位置Dは、挿入方向Aに対して流れ領域Fの下流に位置し、コードガイド位置Cは、挿入方向Aに対して流れ領域Fの上流に位置する。したがって、図4に最もよく見られるように、挿入スロット26は、ダイ位置Dまで挿入方向Aに第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22を通って最後まで延び、ダイ位置Dを含む。
【0052】
より詳細には、押出機ヘッド10は、挿入スロット26を定める内面23を備える。この内面23は、コード平面Pの第1の側からコード平面Pに面する第1のクランプ部材21の第1のスロット表面24と、コード平面Pの反対側の第2の側からコード平面Pに面する第2のクランプ部材22の第2のスロット表面25とによって形成される。
【0053】
図2図3、および図4に示されるように、ダイ3は、それぞれ第1のスロット表面24および第2のスロット表面25に沿って挿入方向Aおよび/または後退方向Rにスライドするコード平面Pの両側においてコード平面Pに平行に延びる第1のスライド面31および第2のスライド面32を有するダイ本体30を備える。さらに、ダイ3は、ダイ位置Dにおいて第1の流路27および第2の流路28に整列して、これらのそれぞれの流路27、28から押出材料93を受け取るように配置されたダイ入口開口部33と、押出機ヘッド10から出るコードで補強された押出物92を成形するためのダイ出口開口部34とを備える。
【0054】
コードガイド4は、第1のコードガイド部材41および第2のコードガイド部材42を備え、第1のコードガイド部材41および第2のコードガイド部材42は、コード平面Pの両側から互いに噛み合い、両者の間に受け入れられたコード91を囲んで案内するように配置される。この例においては第2のコードガイド部材42であるが、コードガイド部材41、42のうちの一方が、コード91を受け入れるための複数のコードチャネル40を備える。第2のコードガイド部材42は、好ましくは、さまざまなコードチャネルの構成を可能にするために、第1のコードガイド部材41に対して取り外し可能および/または交換可能である。ダイ3と同様に、コードガイド4は、それぞれ第1のスロット表面24および第2のスロット表面25に沿って挿入方向Aおよび/または後退方向Rにスライドするコード平面Pの両側においてコード平面Pに平行に延びる第3のスライド面43および第4のスライド面44を備える。第1のコードガイド部材41および第2のコードガイド部材42は、コード平面Pの両側から挿入方向Aにお互いに向かって先細りとなり、ダイ3の方を向いた尖端コードガイドノーズ47を形成する。ダイ入口開口部33およびコードガイドノーズ47は、ダイ3およびコードガイド4がそれぞれダイ位置Dおよびコードガイド位置Cにあるときに流れ領域Fを協働して形成するように配置される。この流れ領域Fは、コード平面Pの第1の側において第1の流路27に整列し、コード平面Pの第2の側において第2の流路28に整列する。
【0055】
好ましくは、ダイ3およびコードガイド4は、両者を同時かつ/または一斉に挿入スロット26へと挿入方向Aに挿入し、かつ/または挿入スロット26から後退方向Rに後退させることができるよう、接続されるように構成される。この目的のために、押出機システム1は、ダイ3をコードガイド4に対して保持するためのホルダ5を備える。この特定の実施形態において、図2に最もよく見られるように、ホルダ5は、コードガイド4の一部である。より好ましくは、この例においては第1のコードガイド部材41であるが、コードガイド部材41、42のうちの一方が、ホルダ5のベース50を形成し、ダイ3に向かって延びてダイ3をこのベース50に対して保持する。この典型的な実施形態において、ホルダ5は、第1の保持部材51および第2の保持部材52を備え、第1の保持部材51および第2の保持部材52は、挿入方向Aに垂直な横断方向Tにおけるダイ3の両側において、挿入方向Aにベース50からダイ3に向かってダイ3の傍らを延びるように配置される。
【0056】
図7および図8に示されるように、ダイ3を、挿入方向Aとは反対の取り付け方向Mにて、ホルダ5へと取り付けることが可能である。特に、第1の保持部材51および第2の保持部材52は、取り付け方向Mに平行な方向に延びる第1の案内要素53および第2の案内要素54を備える。ダイ3は、第1の案内要素53および第2の案内要素54のそれぞれにスライド可能に係合するように配置された第1の取り付け要素38および第2の取り付け要素39を備える。したがって、ダイ3を、取り付け方向Mにホルダ5へとスライドさせて取り付けることができ、取り付け方向Mとは反対の方向にホルダ5からスライドさせて取り外すことができる。
【0057】
ダイ3をコードガイド4に対して保持するために、押出機システム1は、ダイ3をコードガイド4に結合させるための第1の結合要素61および第2の結合要素62を備える。結合要素61、62は、ダイ3が取り付け方向Mとは反対の方向にコードガイド4から離れることを防止する。この典型的な実施形態において、結合要素61、62は、第1の保持部材51および第2の保持部材52の対応する取り付け穴55、56を通って挿入可能であり、ダイ3に係合してダイ3をこれらの取り付け穴55、56に対して保持する留め具によって形成される。好ましくは、ダイ3および/または保持部材51、52の取り付け穴は、取り付け方向Mに細長いわずかにスロット状の穴として形成され、ダイ3のコードガイド4に対する挿入方向Aの移動を可能にする。したがって、押出材料93がダイ3へと挿入方向Aに圧力を作用させるとき、ダイ3はわずかに動くことができる。好ましくは、ダイ3は、使用時の押出機ヘッド10に対するダイ3の自動的かつ/または正確な位置決めを保証するために、ダイ位置Pの直前の押出機ヘッド10の当接面13に当接するように移動することができる。
【0058】
図8および図9に示されるように、第2のコードガイド部材42を、第1のコードガイド部材41によって形成されたホルダ5に、ダイ3と実質的に同じやり方で取り付けることが可能である。特には、第1の案内要素53および第2の案内要素54が、コードガイド位置Cに沿って延び、第2のコードガイド部材42を、このコードガイド位置Cにおいて、第1のコードガイド部材41と同じ位置かつコード平面Pの反対側に受け入れる。第2のコードガイド部材42は、第1の案内要素53および第2の案内要素54のそれぞれにスライド可能に係合するように配置された第3の取り付け要素48および第4の取り付け要素49を備える。したがって、第1の案内要素53および第2の案内要素54が、ダイ3およびコードガイド4の両方の取り付け要素38、39、48、49を受け入れるように配置されることに留意されたい。したがって、第2のコードガイド部材42を、取り付け方向Mにホルダ5へとスライドさせて取り付けることができ、取り付け方向Mとは反対の方向にホルダ5からスライドさせて取り外すことができる。第2のコードガイド部材42は、取り付け方向Mにおいてホルダ5とダイ3との間に取り付けられるように配置される。使用時に、押出材料が第2のコードガイド部材42へと取り付け方向Mに作用させる圧力が、この第2のコードガイド部材42を所定の位置にしっかりと保持する。好ましくは、ホルダ5のベース50に、第2のコードガイド部材42の第1のコードガイド部材41に対する取り付け方向Mのさらなる移動を防止するための背面57が設けられる。
【0059】
案内要素53、54および取り付け要素38、39、48、49は、好ましくは、例えばスロットおよびこのスロットに係合するリムなど、雄-雌の要素として形成される。
好ましくは、図8に示されるように、第1の保持部材51および第2の保持部材52、あるいは第1のコードガイド部材41および第2のコードガイド部材42は、1つ以上の合わせ面58、59を備える。合わせ面58、59は、コードガイドノーズ47から離れて位置する。合わせ面58、59は、ダイ3とコードガイド4との間の流れ領域Fを形成し、あるいは空けておくように、挿入方向Aにおいてダイ3に当接するように配置される。この典型的な実施形態において、合わせ面58、59は、ダイ入口開口部33においてダイ3に密接に当接するように、このダイ入口開口部33に対して相補的な形状である。
【0060】
図4に最もよく見られるように、押出機システム1は、第1の摺動面31と内面23との間の第1のシール要素35と、第2の摺動面32と内面23との間の第2のシール要素36とをさらに備え、挿入方向Aに対して第1のシール要素35および第2のシール要素36の下流の内面23から流れ領域Fをシールする。図7に示されるように、第1のシール要素35(および、図7の図では見えない第2のシール要素36)は、挿入方向Aに垂直な横断方向Tに延びている。図5に示されるように、第1のシール要素35および第2のシール要素36は、流れ領域Fから或る距離だけ離れて位置する。特に、ダイ3は、ダイ長L1にわたって内面23に沿って挿入方向Aに延び、第1のシール要素35および第2のシール要素36は、ダイ3がダイ位置Dにあるときに流れ領域Fからダイ長L1の半分未満、好ましくは3分の1未満に位置する。
【0061】
この典型的な実施形態において、第1のシール要素35および第2のシール要素36は、それぞれ第1の摺動面31および第2の摺動面32に形成されるシール溝35、36として形成される。シール溝35、36は、内面23に向かって開いている。さらに、シール溝は、横断方向Tにおけるダイ3の端部において、流れ領域Fに流体連通する。使用時に、図5に示されるように、少量の押出材料93が、流れ領域Fから上述のシール溝35、36へと漏れることができる。この漏れた押出材料93が、シール溝35、36において固化、定着、硬化、および/または加硫し、ダイ3の摺動面31、32と内面23との間に信頼性の高いシールを形成することができる。
【0062】
同様に、図4に示されるように、コードガイド4は、第3の摺動面43と内面23との間の第3のシール要素45と、第4の摺動面44と内面23との間の第4のシール要素46とを備え、挿入方向Aに対して第3のシール要素45および第4のシール要素46の上流の内面23から流れ領域Fをシールする。やはり、第3のシール要素45および第4のシール要素46は、流れ領域Fから或る距離だけ離れた位置で、挿入方向Aに垂直な横断方向Tに延びている。特に、コードガイド4は、コードガイド長L2にわたって内面23に沿って挿入方向Aに延び、第3のシール要素45および第4のシール要素46は、コードガイド4がコードガイド位置Cにあるときに流れ領域Fからコードガイド長L2の半分未満に位置する。
【0063】
この典型的な実施形態においては、第3のシール要素45および第4のシール要素46もシール溝45、46として形成され、シール溝45、46は、ダイ3のシール溝35、36と同じやり方で機能し、漏れた押出材料93を受け入れて、流れ領域Fをシール溝45、46の上流の内面23からシールする。
【0064】
漏れた押出材料93は、ひとたび固化、定着、硬化、および/または加硫すると、内面23とダイ3またはコードガイド4との間にかなりの摩擦を引き起こし、結果としてダイ3またはコードガイド4の後退方向Rへの後退を妨げる可能性がある。したがって、摺動面31、32、43、44のかなりの部分を流れ領域Fからシールすることにより、摺動面31、32、43、44および/または挿入スロット26の内面23のうちの大きな表面積が漏れた押出材料93によって覆われることを防止することができる。したがって、ダイ3およびコードガイド4を、より容易に取り外しおよび/または再挿入することができる。
【0065】
図5に示されるように、ダイ3およびコードガイド4は、それぞれコード平面Pに垂直な方向のダイ高さH1およびコードガイド高さH2を有する。挿入スロット26は、ダイ位置Dおよびコードガイド位置Cのそれぞれにコード平面Pに垂直な方向の第1のスロット高さH3および第2のスロット高さH4を有する。第1のスロット高さH3は、ダイ3をこの第1のスロット高さH3にスライドさせて収容できるように、ダイ高さH1と同じ、または実質的に同じである。同様に、第2のスロット高さH4は、コードガイド4をこの第2のスロット高さH4にスライドさせて収容できるように、コードガイド高さH2と同じ、または実質的に同じである。ダイ高さH1および第1のスロット高さH3は、それぞれコードガイド高さH2および第2のスロット高さH4よりも小さい。したがって、図4に示されるように、第2のスロット高さH4から第1のスロット高さH3への移行部において、挿入スロット26にエッジまたは段部29が形成される。この段部29は、コードガイド4が挿入スロット26においてコードガイド位置Cを超えてさらに移動することを防止する。ダイ高さH1をコードガイド高さH2よりも小さくすることにより、ダイ3を挿入スロット26からより容易に取り外すことができ、ダイ3がコードガイド位置Cにおいて挿入スロット26の内面23に食い込んだり、あるいは再付着したりする可能性が低くなる。
【0066】
図5に示されるように、ダイ3およびコードガイド4を後退方向Rに後退させるとき、押出材料93の流れは一時的に中断される。しかしながら、ダイ3とコードガイド4との間の流れ領域Fに、かなりの量の押出材料93が残る。この押出材料93は、流れ領域Fの上流のそれぞれの流路27、28内の押出材料93に直接つながっている。挿入スロット26からのダイ3およびコードガイド4の取り外しを容易にするために、ダイ3は、ナイフ7を備える。ナイフ7は、後退方向Rに面するダイ3の端部に位置する2つの鋭いエッジ7によって形成される。鋭いエッジ7は、好ましくは、ダイ3の摺動面31、32の終縁によって形成される。図6に示されるように、ダイ3およびコードガイド4が後退方向Rに後退すると、ダイ3とコードガイド4との間の押出材料93は、流路27、28内の押出材料93から切り離される。切り離された押出材料93は、ダイ3およびコードガイド4が挿入スロット26から取り外されたときに、ダイ3とコードガイド4との間から取り除くことが可能である。
【0067】
ダイ3が挿入スロット26へと挿入されるとき、ダイ3は、押し出しプロセスの以前のサイクルにおいて挿入スロット26の内面23に付着した押出材料93を掻き取り、前方へと押す。図5にさらに示されるように、ダイ3は、第1のスライド面31とダイ出口開口部34との間に位置し、ダイ3を挿入方向Aに挿入する際に内面23から掻き取られた押出材料93を蓄積させる蓄積用凹部37を備える。この蓄積用凹部37は、掻き取られた押出材料93を集めて保持し、この掻き取られた押出材料93がダイ開口部34または押出物92へと落下することを防止することができる。掻き取られた押出材料93は、ダイ3が挿入スロット26から取り外されたときにダイ3から取り除くことが可能である。
【0068】
随意により、押出機システム1は、例えばピストンまたは直線駆動部など、挿入方向Aへのダイ3および/またはコードガイド4の挿入ならびに/あるいは挿入方向Aとは反対の後退方向Rへのダイ3および/またはコードガイド4の取り出しを補助するためのアクチュエータ8を備える。
【0069】
上述の押出機システム1を使用し、特にはタイヤ構成要素のためのコードで補強された押出物92を押し出すための方法が、図1図9を参照して以下で説明される。
【0070】
図4が、挿入前の状況または取り出し後の状況を示している。ダイ3およびコードガイド4がどちらも、後退方向Rにおいて挿入スロット26の完全に外側に位置している。ダイ3は、ホルダ5によってコードガイド4に接続されている。結合要素61が、図7に示されるように、ダイ3のホルダ5からの意図せぬ落下を防止する。ダイ3およびコードガイド4がまさに取り出された場合に、図7図8、および図9に示されるようにダイ3およびコードガイド4を分離させ、これらの部品を洗浄することができる。ダイ3およびコードガイド4が清浄である場合、これらを直ちに同時に挿入することが可能である。
【0071】
図3が、ダイ3およびコードガイド4を挿入スロット26において挿入方向Aにダイ位置Dおよびコードガイド位置Cへと挿入した後の状況を示している。ダイ3およびコードガイド4を、随意により、アクチュエータ8を使用して挿入スロット26へと押し込むことができる。掻き取られた押出材料93は、図5に示されるように、ダイ3の蓄積用凹部37に集められる。押出材料93の流れが再開され、押出材料93は、ダイ3とコードガイド4との間に形成された流れ領域Fに進入することができる。ダイ3およびコードガイド4へとそれぞれ挿入方向Aおよび後退方向Rに作用する押出材料93による圧力が、ダイ3およびコードガイド4の両方がそれぞれの位置に留まることを保証する。特に、ダイ3は、挿入方向Aにおいてダイ3の直前の押出機ヘッド10の当接面13に当接するように配置される。少量の押出材料93が、それぞれのシール要素35、36、45、46へと漏れて硬化し、挿入スロット26の内面23の残りの部分から流れ領域Fをシールする。
【0072】
例えば図6に示されるように、ダイ3およびコードガイド4を後退方向Rに取り外すとき、ダイ3のナイフ7が、流れ領域Fに残る押出材料93を流路27、28内の押出材料93から切断する。ダイ3およびコードガイド4を、随意により、アクチュエータ8を使用して後退方向Rに後退させることができる。
【0073】
図10および図11が、本発明の第2の典型的な実施形態による代案の押出機システム101を示している。この代案の押出機システム101は、代案のダイ103をコード平面Pに垂直な取り付け方向Mに受け入れる代案のホルダ105を特徴とする点で、すでに説明した押出機システム1から相違する。随意により、この代案の押出機システム1は、この代案のホルダ105とは別個であり、この代案のホルダ105にこの代案のダイ103と同じやり方で、すなわちコード平面Pに垂直な取り付け方向Mに取り付けることができる代案のコードガイド104をさらに特徴とすることができる。
【0074】
図10に最もよく見られるように、この代案のホルダ105は、第1の保持部材151および第2の保持部材152を備え、第1の保持部材151および第2の保持部材152は、代案のダイ103および代案のコードガイド104の意図された位置に、コード平面Pに垂直な取り付け方向Mに延びるスロット153、154の形態の案内要素を備える。代案のダイ103は、これらのスロット153、154に係合する取り付け要素138を備える。好ましくは、代案のダイ103および代案のコードガイド104は、挿入に先立ってコード91の周りに組み立てられ、取り付け方向Mに一緒および/または同時に挿入される。保持部材151、152は、挿入方向Aに垂直な横断方向Tにおける代案のコードガイド104の各側に接続できるように配置される。したがって、代案のコードガイド104は、上述した実施形態のベース50を置き換える。代案のダイ103は、保持部材151、152および固定されたコードガイド104の間の所定の位置に保持される。
【0075】
図10に示されるように、代案のコードガイド104は、一体の部品、すなわち単一の鋳造品から得られるモノブロックであってよい。換言すると、代案のコードガイド104は、互いに一体に接続され、すなわち分割不可能である第1のコードガイド部材141および第2のコードガイド部材142を有することができる。あるいは、2つの分離可能なコードガイド部材241、242をコード平面Pの両側に互いに噛み合うように配置して有する図1~9に示したコードガイドと同様のコードガイド204を使用することも可能である。コード91が、下側のコードガイド部材242のチャネル(図示せず)内に配置され、ダイ103を通って案内される。すべてのコード91が配置されると、上側のコードガイド部材241が下側のコードガイド部材242の上に配置される。これにより、コードガイド204およびダイ103を、コード平面Pに垂直な取り付け方向Mに押出機ヘッドへと挿入可能である。分離可能なコードガイド部材241、242は、上側のコードガイド部材241を押出機システム101の残りの部分から容易に分離して、破損の場合にワイヤの1本以上を交換できるという利点を有する。さらに、本発明のこの第2の実施形態においては、ダイ高さH1とコードガイド高さH2とが等しいことに留意されたい。さらに、第1のスロット高さH3と第2のスロット高さH4とが等しい。
【0076】
さらに、図11の断面図に最もよく見られるように、代案のダイ103は、もはやナイフを備えていない。代わりに、流路27、28自体に、挿入方向Aに面する代案のナイフ107として機能する鋭角が設けられ、代案のダイ103の後退時に流路27、28に残る材料を切断する。ここでは、代案のダイ103は、流路27、28の代案のナイフ107と協働する相手方として働く。
【0077】
さらに図11は、コードガイド104およびダイ103の挿入時にスロットから余分な押出材料を排出するために、第1のクランプ部材21および第2のクランプ部材22が第1の排出チャネル161および第2の排出チャネル162をそれぞれ備えることを示している。これらの排出チャネル161、162を障害物がない状態に保つために、押出機ヘッド部材11、12は、押出機ヘッド10をこれらの排出チャネル161、162に対して開く斜めの面または面取りされた面を備えることができる。
【0078】
最後に、図10および図11において、第1の押出機ヘッド部材11に対して第1の流路27をシールするために、第1の押出機ヘッド部材11と第1のクランプ部材21との間に第1の蓋または第1のカバー181を設けることができることを、見て取ることができる。同様に、第2の押出機ヘッド部材12に対して第2の流路28をシールするために、第2の押出機ヘッド部材12と第2のクランプ部材22との間に第2の蓋または第2のカバー182を設けることができる。したがって、押出機ヘッド部材11、12は、押出材料に直接接触せず、したがって、押出機ヘッド部材11、12を清浄に保つことができる。これらのカバー181、182は、上述した実施形態のいずれにおいても使用可能である。
【0079】
以上の説明が、好ましい実施形態の動作を説明するために含まれており、本発明の技術的範囲を限定しようとするものではないことを、理解すべきである。以上の検討から、依然として本発明の技術的範囲に包含されると考えられる多数の変形が、当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11