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特許7065875プラズマ処理装置のためのペデスタルアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置のためのペデスタルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220502BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019553308
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018024442
(87)【国際公開番号】W WO2018183243
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2019-10-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】62/479,483
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
(73)【特許権者】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エル. ザッカー
(72)【発明者】
【氏名】ティンハオ フランク ワン
【合議体】
【審判長】辻本 泰隆
【審判官】恩田 春香
【審判官】小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-500498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0061447(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0000647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/3065
H01L21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置であって、
処理チャンバ内部を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバ内部にプラズマを誘発するように構成されたプラズマ源と、
基板の処理中に該基板を前記処理チャンバ内部に支持するように構成されたペデスタルと、
前記基板が前記ペデスタルに支持されているときに前記基板の周縁部の周囲に配置されるように構成されたフォーカスリングと、を備え、
該フォーカスリングは、離間した複数のスロットを有し、各スロットは、前記ペデスタルに配置された対応する突出部と係合するように構成されており、
各スロットは、前記フォーカスリングの下面の少なくとも一部を横切って該フォーカスリングの周縁部まで半径方向に延びており、
前記離間した複数のスロットは、処理中の前記フォーカスリングの熱膨張の間、該フォーカスリングが前記基板を中心に同心的なままであるように均等に離間して配置されており、
各突出部は、前記ペデスタルに配設された上側リング構造の周縁部において該上側リング構造に配置されている、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記均等に離間した複数のスロットは、均等に離間した3つのスロットを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記上側リング構造は、前記フォーカスリングの熱膨張率より小さい熱膨張率を有する材料を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記上側リング構造は、石英材料を含む、請求項3記載の装置。
【請求項5】
各突出部は、ピンである、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記プラズマ源は、処理チャンバ内部に実質的に誘導的なプラズマを誘発するように構成された誘導結合エレメントを有する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
ペデスタル上の基板の周縁部を半径方向に間隔をおいて包囲する、プラズマプロセスの不均一性を減じるためのフォーカスリングであって、
上面と、
該上面と反対側の下面と、
該下面に配置された、均等に離間した複数のスロットと、を備え、前記各スロットは、前記フォーカスリングの外側の周縁部まで延びており、
前記複数のスロットのそれぞれは、処理装置において基板を支持するように構成されたペデスタルに配設された上側リング構造から延びる突出部と協働するように構成されている、フォーカスリング。
【請求項8】
前記フォーカスリングは、均等に離間した、半径方向に延びる3つのスロットを有する、請求項7記載のフォーカスリング。
【請求項9】
各スロットは、前記下面の少なくとも一部を横切って半径方向に延びている、請求項7記載のフォーカスリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、全ての目的のために引用によって本明細書に組み込まれる2017年3月31日に出願された「Pedestal Assembly for Plasma Processing Apparatus」という名称の米国仮出願第62/479483号明細書の優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、概して、プラズマ処理装置などの処理装置におけるペデスタル基板支持に関する。
【0003】
背景
プラズマ処理ツールは、集積回路、マイクロメカニカルデバイス、フラットパネルディスプレイおよびその他のデバイスなどのデバイスの製造において使用することができる。現代のプラズマエッチ用途において使用されるプラズマ処理ツールは、高いプラズマ均一性と、独立したプラズマプロフィル、プラズマ密度およびイオンエネルギ制御を含む、複数のプラズマ制御とを提供することを要求される可能性がある。プラズマ処理ツールは、幾つかの場合、様々なプロセスガスにおいてかつ様々な異なる条件下(例えば、ガス流、ガス圧など)において安定したプラズマを維持することを要求される可能性がある。
【0004】
ペデスタルアセンブリは、プラズマ処理装置およびその他の処理ツール(例えば、熱処理ツール)において基板を支持するために使用することができる。ペデスタルアセンブリは、ペデスタルベースプレートを包囲する絶縁体リングを有することができる。絶縁体リングとペデスタルベースプレートとの接触は、ウェハプロセス均一性に有害な効果を有する可能性がある。
【0005】
フォーカスリングは、プラズマ処理ツールにおいてペデスタルアセンブリに関連して使用することができる。基板(例えば、半導体ウェハ)の処理中、フォーカスリングの偏心的な熱膨張は、有害な効果を有する可能性がある。例えば、基板の縁部における不均一な電界により処理均一性が低下する可能性がある。幾つかの場合、フォーカスリングと基板との間の増大した間隙の領域におけるアーク発生の可能性が高まる可能性がある。
【0006】
概要
発明の態様および利点は、部分的に以下の説明において示され、または説明から明らかであることがある、または発明の実施を通じて学習されることがある。
【0007】
本開示の1つの例としての態様は、プラズマ処理装置に関する。プラズマ処理装置は、処理チャンバ内部を有する処理チャンバを有する。プラズマ処理装置は、処理チャンバ内部にプラズマを誘発するように構成されたプラズマ源を有する。装置は、基板の処理中に処理チャンバ内部に基板を支持するように構成されたペデスタルを有する。装置は、基板がペデスタルに支持されているとき、基板の周縁部の周囲に配置されるように構成されたフォーカスリングを有する。フォーカスリングは、均等に離間した複数のスロットを有することができる。各スロットは、ペデスタルに配置された対応する突出部と係合するように構成することができる。
【0008】
本開示の別の例としての態様は、ペデスタルアセンブリに関する。ペデスタルアセンブリは、基板を支持するように構成されたパックを有することができる。ペデスタルアセンブリは、パックを支持するように構成されたベースプレート構造を有することができる。ベースプレート構造は、ベースプレート構造の外径を超えて延びる外径位置合わせ面を有する下側絶縁体を有することができる。ベースプレート構造は、ベースプレート構造を少なくとも部分的に包囲する内側絶縁体リングを有することができる。内側絶縁体リングは、下側絶縁体の外径位置合わせ面と接触するように構成された内径位置合わせ面を有することができる。
【0009】
本開示の例としての実施の形態に変更および改良を加えることができる。
【0010】
本発明のこれらのおよびその他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の請求項を参照することによりさらによく理解されるであろう。本明細書の一部に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、発明の実施の形態を例示し、詳細な説明と共に、発明の原理を説明するために機能する。
【0011】
当業者に対する完全かつ権能付与する開示は、添付の図面の参照を含む、明細書の残りにおいてより具体的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の例としての実施の形態による一例としてのプラズマ処理装置を示している。
図2】本開示の例としての実施の形態によるペデスタルアセンブリの一部の拡大断面図を示している。
図3】本開示の例としての実施の形態によるフォーカスリングの下面の斜視図を示している。
図4】本開示の例としての実施の形態による、スロットを有するフォーカスリングの下面の一部の拡大図を示している。
図5】本開示の例としての実施の形態によるペデスタルアセンブリの上側リング構造の上面の斜視図を示している。
図6】本開示の例としての実施の形態による、突出部を有する上側リング構造の上面の一部の拡大図を示している。
図7】本開示の例としての実施の形態によるペデスタルアセンブリの一部の拡大断面図を示している。
【0013】
詳細な説明
ここで、発明の実施の形態に詳細に言及し、その1つまたは複数の例が図示されている。各例は、発明の限定ではなく、発明の説明として提供されている。実際、発明の範囲または思想から逸脱することなく本発明において様々な改良および変更をなすことができることが当業者に明らかになるであろう。例えば、1つの実施の形態の一部として例示または説明された特徴を、さらに別の実施の形態を提供するために別の実施の形態と共に使用することができる。つまり、本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲に当てはまるこのような改良および変更をカバーすることが意図されている。
【0014】
本開示の例としての態様は、プラズマ処理装置などの処理装置におけるペデスタル支持体に関連して使用するためのペデスタルアセンブリに関する。プラズマ処理装置は、処理チャンバを有することができる。ペデスタル(支持台)は、処理チャンバ内に配置することができる。ペデスタルは、プラズマ処理中に半導体ウェハなどの基板を支持することができる。フォーカスリングは、ペデスタル上の基板の周縁部を包囲することができ、例えば、基板の周縁部におけるまたは基板の周縁部の近くにおけるプラズマプロセス(例えば、エッチ速度)の不均一性を減じるために使用することができる。
【0015】
本開示の例としての態様によれば、フォーカスリングは、上面と、反対側の下面とを有することができる。フォーカスリングは、フォーカスリングの下面において、離間した複数のスロット(例えば、離間した3つのスロット)を有することができる。スロットは、フォーカスリングの下面の少なくとも一部を横切って半径方向に延びていることができる。スロットは、処理装置におけるペデスタルと関連した上側リング構造の上面に配置された対応する突出部(例えば、ピン)と係合することができる。幾つかの実施の形態において、上側リング構造は、その低い熱膨張率の結果として処理中にその形状を実質的に変化させない石英材料またはその他の材料から形成することができる。
【0016】
本開示の例としての態様は、複数の技術的効果および利益を有することができる。例えば、処理中、フォーカスリングが加熱されかつ膨張すると、フォーカスリングの下面における均等に離間したスロットは、上側リング構造の上面に配置された対応する突出部に沿って半径方向に拡張する。その結果、フォーカスリングは、処理中、基板を中心として概して同心的なままである。これは、半導体基板の周縁部におけるエッチ速度の改良された均一性などの、改良された処理均一性につながる可能性がある。
【0017】
幾つかの実施の形態において、ペデスタルアセンブリは、ペデスタル構成部材(例えば、パックおよびベースプレート構造)およびペデスタル構成部材を包囲する絶縁体との接触を防止するように設計された様々な構成部材を有することができる。一例として、ペデスタルアセンブリは、ペデスタルベースプレート構造の外径を僅かに超えて延びる外径位置合わせ面を有する下側絶縁体を有することができる。ペデスタルアセンブリは、絶縁体と、ベースプレート構造およびパックの鉛直面との接触を減少させかつ/または防止するように構成された位置合わせ面を備える、内側絶縁体リング、外側絶縁体リング、上側リング構造および/またはフォーカスリングを有することができる。これは、処理中にペデスタルアセンブリによって支持される基板を横切って改良された処理均一性(例えば、エッチ速度)につながる可能性がある。
【0018】
本開示の態様は、プラズマ処理装置に対する改良を提供することができる。例えば、本開示の1つの例としての実施の形態は、プラズマ処理装置に関する。プラズマ処理装置は、処理チャンバ内部を有する処理チャンバを有する。プラズマ処理装置は、処理チャンバ内部にプラズマを誘発するように構成されたプラズマ源を有する。例えば、幾つかの実施の形態において、プラズマ源は、処理チャンバ内部に実質的に誘導プラズマを誘発するように構成された誘導結合エレメントを有することができる。
【0019】
プラズマ処理装置は、基板の処理中に処理チャンバ内部に基板を支持するように構成されたペデスタルを有することができる。装置は、基板がペデスタルに支持されているとき、基板の周縁部の周囲に配置されるように構成されたフォーカスリングを有する。フォーカスリングは、均等に離間した複数のスロットを有する。各スロットは、ペデスタルに配置された対応する突出部と係合するように構成することができる。
【0020】
幾つかの実施の形態において、各スロットは、フォーカスリングの下面の少なくとも一部に沿って半径方向に延びている。各スロットは、処理中のフォーカスリングの熱膨張の間、フォーカスリングが基板を中心に同心的なままであるように均等に離隔させられていることができる。幾つかの実施の形態において、均等に離間した複数のスロットは、均等に離間した3つのスロットを含む。
【0021】
幾つかの実施の形態において、各突出部は、上側リング構造の上面などの、ペデスタルに関連した上側リング構造に配置されている。上側リング構造は、フォーカスリングに関連した熱膨張率より小さい熱膨張率を有する材料を含むことができる。例えば、幾つかの実施の形態において、上側リング構造は、石英材料であることができる。幾つかの実施の形態において、各突出部は、ピンである。
【0022】
本開示の別の例としての実施の形態は、フォーカスリングに関する。フォーカスリングは、例えば、プラズマ処理装置において使用することができる。フォーカスリングは、上面と、反対側の下面とを有することができる。フォーカスリングは、下面に配置された、均等に離間した、半径方向に延びる複数のスロットを有することができる。
【0023】
幾つかの実施の形態において、フォーカスリングは、実質的にリング状であることができる。フォーカスリングは、均等に離間した、半径方向に延びる3つのスロットを有することができる。幾つかの実施の形態において、各スロットは、下面の少なくとも一部を横切って半径方向に延びていることができる。幾つかの実施の形態において、各スロットは、フォーカスリングの周縁部まで延びている。
【0024】
本開示のさらに別の例としての実施の形態は、ペデスタルアセンブリに関する。ペデスタルアセンブリは、例えば、プラズマ処理装置において使用することができる。ペデスタルアセンブリは、基板を支持するように構成されたパックと、パックを支持するように構成されたベースプレート構造とを有することができる。ペデスタルアセンブリは、ベースプレート構造の外径を超えて延びる外径位置合わせ面を有する下側絶縁体を有することができる。ペデスタルアセンブリは、ベースプレート構造を少なくとも部分的に包囲する内側絶縁体リングを有することができる。絶縁体リングは、下側絶縁体の外径位置合わせ面と接触するように構成された内径位置合わせ面を有することができる。
【0025】
幾つかの実施の形態において、ペデスタルアセンブリは、外側絶縁体リングを有する。内側絶縁体リングは、ペデスタルアセンブリの外側絶縁体リングに関連した内径位置合わせ面と接触するように構成された第1の外径位置合わせ面を有することができる。ペデスタルアセンブリは、パックの少なくとも一部の周囲に配置された上側リング構造を有することができる。絶縁体リングは、上側リング構造に関連した内径位置合わせ面と接触するように構成された第2の外径位置合わせ面を有することができる。
【0026】
幾つかの実施の形態において、上側リング構造は、フォーカスリングに関連した内径位置合わせ面と接触するように構成された外径位置合わせ面を有することができる。幾つかの実施の形態において、内側絶縁体リングは、ベースプレート構造の鉛直面と接触しない。
【0027】
幾つかの実施の形態において、上側リング構造は、均等に離間した複数の突出部を有する。均等に離間した複数の突出部のそれぞれは、フォーカスリングの下面に形成された、均等に離間した複数のスロットのうちの1つと係合するように構成することができる。均等に離間した複数の突出部は、ピンを含むことができる。上側リング構造は、石英材料である。均等に離間した複数の突出部は、均等に離間した3つの突出部を含む。
【0028】
本開示の態様は、例示および説明のために「工作物」、「基板」または「ウェハ」に関して説明される。当業者は、本明細書に提供された開示を使用して、本開示の例としての態様をあらゆる半導体基板またはその他の適切な基板または工作物に関連して使用することができることを理解するであろう。加えて、数値に関連した「約」という用語の使用は、言及された数値の10%以内を意味することが意図されている。
【0029】
図1は、本開示の例としての実施の形態によるプラズマ処理装置100を示している。本開示の態様は、例示および説明のために図1に示されたプラズマ処理装置100に関して説明される。当業者は、本明細書に提供された開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の例としての態様を、プラズマストリップツール、熱処理ツールなどの他の処理ツールおよび/または装置と共に使用することができることを理解するであろう。
【0030】
プラズマ処理装置100は、内部空間102を画定する処理チャンバを有する。ペデスタルアセンブリ104は、内部空間102において半導体ウェハなどの基板106を支持するために使用される。誘電性窓110が、基板ホルダ104の上方に配置されており、処理チャンバの天井として機能する。誘電性窓110は、比較的平坦な中央部分112と、傾斜した周縁部分114とを有する。誘電性窓110は、プロセスガスを内部空間102へ供給するためのシャワーヘッド120のための中央部分112における空間を有する。
【0031】
装置100は、さらに、内部空間102に誘導プラズマを発生するために、一次誘導エレメント130および二次誘導エレメント140などの複数の誘導エレメントを有する。誘導エレメント130,140は、コイルまたはアンテナエレメントを有することができる。コイルまたはアンテナエレメントは、RF電力が供給されると、プラズマ処理装置100の内部空間102におけるプロセスガスにプラズマを誘発する。例えば、第1のRF発生器160は、マッチングネットワーク162を介して一次誘導エレメント130に電磁エネルギを提供するように構成することができる。第2のRF発生器170は、マッチングネットワーク172を介して二次誘導エレメント140に電磁エネルギを提供するように構成することができる。
【0032】
本開示は、一次誘導エレメントおよび二次誘導エレメントに言及するが、当業者は、一次および二次という用語は便宜的な目的のみに使用されていることを認めるべきである。二次誘導エレメントは、一次誘導エレメントから独立して作動させることができる。一次誘導エレメントは、二次誘導エレメントから独立して作動させることができる。加えて、幾つかの実施の形態において、プラズマ処理装置は、1つの誘導結合エレメントのみを有してもよい。
【0033】
本開示の態様によれば、装置100は、二次誘導エレメント140の周囲に配置された金属シールド部分152を有することができる。金属シールド部分152は、誘導エレメント130,140の間のクロストークを減じるために一次誘導エレメント130と二次誘導エレメント140とを分離している。装置100は、さらに、一次誘導エレメント130と誘電性窓110との間に配置された第1のファラデーシールド154を有することができる。第1のファラデーシールド154は、一次誘導エレメント130と処理チャンバ102との間の容量結合を減じるスロット付き金属シールドであることができる。例示したように、第1のファラデーシールド154は、誘電性シールド110の傾斜した部分(周縁部分114)に被さることができる。
【0034】
幾つかの実施の形態において、金属シールド152および第1のファラデーシールド154は、製造の容易さおよびその他の目的のために一体的なボディ150を形成することができる。一次誘導エレメント130の多重巻コイルは、一体ボディ金属シールド/ファラデーシールド150のファラデーシールド部分154に隣接して配置することができる。二次誘導エレメント140は、金属シールド部分152と誘電性窓110との間などの、金属シールド/ファラデーシールド一体ボディ150の金属シールド部分152の近くに配置することができる。
【0035】
金属シールド152の互いに反対側における一次誘導エレメント130および二次誘導エレメント140の配置により、一次誘導エレメント130および二次誘導エレメント140は、別個の構造的構成を有することができ、異なる機能を行うことができる。例えば、一次誘導エレメント130は、処理チャンバの周縁部に隣接して配置された多重巻コイルを有することができる。一次誘導エレメント130は、本来的に過渡的な点火段階の間、基本的なプラズマ発生および確実な始動のために使用することができる。一次誘導エレメント130は、RF発生器およびオートチューニングマッチングネットワークに接続されることができ、約13.56MHzなどの増大したRF周波数において作動させることができる。
【0036】
二次誘導エレメント140は、修正および補助機能のためにかつ定常状態作動中のプラズマの安定性を高めるために使用することができる。二次誘導エレメント140は、修正および補助機能のためにかつ定常状態作動中のプラズマの安定性を高めるために使用することができるので、二次誘導エレメント140は、第1の誘導エレメント130ほどパワフルなRF発生器に接続されなくてもよく、従来の設計に関連した課題を克服するために、異なるようにかつ費用対効果を高くして設計することができる。以下で詳細に説明するように、二次誘導エレメント140は、約2MHzなどのより低い周波数において作動させることもでき、これにより、二次誘導エレメント140は極めてコンパクトであり、誘電性窓の上部における制限された空間に取り付けられる。
【0037】
一次誘導エレメント130および二次誘導エレメント140は、異なる周波数で作動させることができる。周波数は、一次誘導エレメント130と二次誘導エレメント140との間のプラズマにおけるクロストークを減じるために十分に異なる。例えば、一次誘導エレメント130に提供される周波数は、二次誘導エレメント140に提供される周波数よりも少なくとも約1.5倍だけ大きくすることができる。幾つかの実施の形態において、一次誘導エレメント130に提供される周波数は、約13.56MHzであり、二次誘導エレメント140に提供される周波数は、約1.75MHz~約2.15MHzの範囲である。約400kHz、約4MHzおよび約27MHzなどのその他の適切な周波数を使用することもできる。本開示は、二次誘導エレメント140に対してより高い周波数で作動させられる一次誘導エレメント130に関して説明されているが、当業者は、本明細書の開示を利用して、本開示の範囲から逸脱することなく二次誘導エレメント140をより高い周波数で作動させることができることを理解すべきである。
【0038】
二次誘導エレメント140は、平坦なコイル142および磁束集中装置144を有することができる。磁束集中装置144は、フェライト材料から形成することができる。適切なコイルを備える磁束集中装置の使用は、高いプラズマ結合および二次誘導エレメント140の良好なエネルギ伝達効率を提供することができ、金属シールド150へのその結合を著しく減じることができる。二次誘導エレメント140における約2MHzなどのより低い周波数の使用は、スキン層を増大させることができ、これは、プラズマ加熱効率も高める。
【0039】
本開示の態様によれば、異なる誘導エレメント130および140は、異なる機能を有することができる。特に、一次誘導エレメント130は、点火中のプラズマ発生の基本的機能を行うために使用することができ、二次誘導エレメント140のための十分なプライミングを提供する。一次誘導エレメント130は、プラズマ電位を安定化させるために、プラズマおよび接地されたシールドの両方への結合を有することができる。第1の誘導エレメント130に関連した第1のファラデーシールド154は、窓スパッタリングを回避し、大地への結合を供給するために使用することができる。
【0040】
付加的なコイルは、一次誘導エレメント130によって提供された良好なプラズマプライミングの存在において作動させられることができ、これにより、好ましくは、良好なプラズマ結合およびプラズマへの良好なエネルギ伝達効率を有する。磁束集中装置144を有する二次誘導エレメント140は、プラズマ体積への磁束の良好な伝達と同時に、周囲の金属シールド150からの二次誘導エレメント140の良好な切断の双方を提供する。磁束集中装置144の使用および二次伝導性エレメント140の対称的駆動は、さらに、コイル端部と周囲の接地されたエレメントとの間の電圧の振幅を減じる。これは、ドームのスパッタリングを減じることができるが、同時に、プラズマへの小さな容量結合を提供し、これは、点火をアシストするために使用することができる。幾つかの実施の形態において、第2のファラデーシールドは、二次誘導エレメント140の容量結合を減じるために、この二次誘導エレメント140と組み合わせて使用することができる。
【0041】
図2は、図1の枠200に対応するペデスタル(支持台)アセンブリ104の一部の拡大図を示している。図示したように、ペデスタルアセンブリ104は、半導体ウェハなどの基板106を支持するように構成されたパック202を有することができる。幾つかの実施の形態において、パック202は、静電荷を介して基板を保持するように構成された1つまたは複数のクランピング電極を有する静電チャックを含むことができる。パック202は、基板106を横切る温度分布を制御するために使用することができる温度調整システム(例えば、流体チャネル、電気ヒータなど)を含むこともできる。
【0042】
ペデスタルアセンブリ104は、様々なその他の構造エレメントを有することができる。例えば、ペデスタル104は、パック202を支持するように構成された1つまたは複数のペデスタルベースプレートを有するベースプレート構造204を含むことができる。ペデスタルアセンブリ104は、ペデスタルベースプレート204の周囲に配置された内側絶縁体リング208と、外側絶縁体リング206とを有することができる。
【0043】
ペデスタル104は、さらに、上側リング構造220を有することができる。上側リング構造220は、パック202の少なくとも一部の周囲に配置することができる。上側リング構造220は、外側絶縁体リング206の上側に配置することができる。上側リング構造220は、低い熱膨張率を有する材料から形成することができる。例えば、上側リング構造220は、石英材料であることができる。
【0044】
図2に示したように、フォーカスリング210が基板106を包囲するようにフォーカスリング210をペデスタル104に対して配置することができる。フォーカスリング210の中心(例えば、フォーカスリング210によって画定された内部空間の中心)が基板106の中心に対応する(例えば、基板の中心から約20mm以内、例えば基板の中心から約10mm、例えば基板の中心から約5mmにある)ように、フォーカスリング210を基板106に対して同心的に配置することができる。
【0045】
本開示の例としての態様によれば、フォーカスリング210は、基板106の処理中にフォーカスリング210が基板106に対して同心的なままであることを補助する特徴を有することができる。例えば、フォーカスリング210は、上側リング構造220から延びる突出部225(例えば、ピン)に係合するように構成された、均等に離間した半径方向に延びるスロット215を有することができる。
【0046】
より具体的には、図3は、フォーカスリング210の下面の斜視図を示している。図示したように、フォーカスリング210の下面は、フォーカスリング210の下面の周囲に均等に離間した3つのスロット215を有する。均等に離間した3つのスロット215は、図3に示されている。均等に離間した3つのスロット215は、プラズマエッチプロセスなどのプラズマプロセス中に生じる熱膨張の間、フォーカスリング210を基板106に対して同心的に維持するために改良された効果を提供することができる。しかしながら、当業者は、本明細書に提供された開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、フォーカスリング210がより多くのスロット215を有することができることを理解するであろう。
【0047】
図4は、一例としてのスロット215を有するフォーカスリング210の下面の一部の拡大図を示している。図示したように、スロット215は、フォーカスリング210の下面において、半径方向に延びている、すなわちフォーカスリングの中心からフォーカスリングの周縁部へ向かう方向へ半径方向に延びている。本明細書において使用される場合、スロットが、図3に示したようにフォーカスリング210の中心216からフォーカスリングの周縁部218まで延びる半径によって規定された方向に延びる寸法(例えば、長さ寸法または幅寸法)を有するとき、スロットはラジアルにまたは半径方向に延びている。半径方向の一例は、図3に方向「r」によって規定されている。
【0048】
図4を参照すると、スロット215は、フォーカスリング210の下面の一部を横切って半径方向に延びている。スロット215は、スロット215がフォーカスリング210の周縁部218まで延びるように、フォーカスリング210の下面の一部を横切って延びている。以下で詳細に説明するように、スロット215は、ペデスタルに配設された上側リング構造220に設けられた突出部225を収容するかつ/または突出部225に係合するように構成された形状を有することができる。
【0049】
より具体的には、図5は、本開示の例としての実施の形態による上側リング構造220の上面の斜視図を示している。図示したように、上側リング構造220は、上側リング構造220の上面から延びる、均等に離間した複数の突出部225(例えば、ピン)を有する。均等に離間した3つの突出部225は、図5に示されている。均等に離間した突出部225の数は、フォーカスリング210の下面に規定されたスロット215の数に対応している。
【0050】
図6は、一例としての突出部225を有する上側リング構造220の上面の一部の拡大図を示している。突出部225は、上側リング構造220と同じ材料(例えば、石英材料)から形成することができる。突出部225は、上側リング構造220と一体であることができる。図示したように、突出部225は、上側リング構造220の周縁部228において上側リング構造220から延びている。突出部225は、本開示の例としての態様によるフォーカスリング210の下面に設けられたスロット215に対して相補的なかつ/またはスロット215と係合するように構成された形状を有することができる。
【0051】
図2を参照すると、フォーカスリング210の熱膨張の際(例えば、プラズマエッチプロセスの間)、スロット215は、フォーカスリング210が基板106に対して同心的なままであるように均一に、フォーカスリング210の膨張を突出部225に沿って案内する。例えば、上側リング部分220は、フォーカスリング210の熱膨張率より小さい熱膨張率を有する材料であることができる。幾つかの実施の形態において、上側リング部分220の線形熱膨張率は、約0.25~約0.75の範囲、例えば約0.55であることができる。処理中、フォーカスリング210は膨張する。しかしながら、突出部225を含む上側リング部分220は、フォーカスリング210に対して相対的に静止したままである。
【0052】
膨張の間、上側リング構造220における突出部225は、スロット215が突出部225に対してスライドしながらフォーカスリング210の膨張を案内する。スロット215および突出部225の均等な間隔は、フォーカスリング210が基板106に対して同心的なままであるように、フォーカスリング210の膨張がより均一になるように強制する。これは、基板の処理中の処理均一性の向上につながる。例えば、基板106の周縁部におけるエッチ速度の均一性を、フォーカスリング210の不均一な膨張に対して高めることができる。
【0053】
図7は、本開示の例としての実施の形態によるペデスタルアセンブリ104の一部の拡大図を示している。図示したように、ペデスタルアセンブリ104は、半導体ウェハなどの基板106を支持するように構成されたパック202を有することができる。幾つかの実施の形態において、パック202は、静電荷を介して基板を保持するように構成された1つまたは複数のクランピング電極を有する静電チャックを含むことができる。パック202は、基板106を横切る温度分布を制御するために使用することができる温度調整システム(例えば、流体チャネル、電気ヒータなど)を含むこともできる。
【0054】
ペデスタルアセンブリ104は、様々なその他の構造エレメントを有することができる。例えば、ペデスタル104は、パック202を支持するように構成された1つまたは複数のペデスタルベースプレート204を有するベースプレート構造を含むことができる。ペデスタルアセンブリ104は、ペデスタルベースプレート204の周囲に配置された内側絶縁体リング208と、外側絶縁体リング206とを有することができる。ペデスタルアセンブリ104は、ベースプレート構造204の下方に配置された下側絶縁体240を有することができる。ペデスタルアセンブリ104は、さらに、クランプリング230および接地シールド230を有することができる。接地シールド230を接地することができる。
【0055】
ペデスタル104は、さらに、上側リング構造210を有することができる。上側リング構造210は、パック202の少なくとも一部の周囲に配置することができる。上側リング構造210は、外側絶縁体リング206の上側に配置することができる。上側リング構造210は、低い熱膨張率を有する材料から形成することができる。例えば、上側リング構造210は、石英材料であることができる。フォーカスリング220は、フォーカスリング220が基板106を包囲するようにリング構造の上側に配置することができる。
【0056】
本開示の例としての態様によれば、ペデスタルアセンブリ104の構成部材は、内側絶縁体リング208がベースプレート構造204のいかなる鉛直面にも接触しないように様々な位置合わせ面を有することができる。加えて、上側リング構造210およびフォーカスリング220は、パック202のいかなる鉛直面にも接触しない。これは、基板106の処理中の処理均一性の向上につながることができる。
【0057】
より具体的には、下側絶縁体240は、ベースプレート構造204の外径を僅かに超えて延びる外径位置合わせ面242を有することができる。内側絶縁体リング208は、下側絶縁体240の外径位置合わせ面242に係合または接触するように構成された内径位置合わせ面212を有する。
【0058】
内側絶縁体リング208は、さらに、第1の外径位置合わせ面216を有することができる。第1の外径位置合わせ面216を、外側絶縁体リング206に設けられた内径位置合わせ面214と接触または係合するように構成することができる。内側絶縁体リング208は、さらに、第2の外径位置合わせ面222を有することができる。第2の外径位置合わせ面222を、上側リング構造210に設けられた内径位置合わせ面224と係合または接触するように構成することができる。
【0059】
上側リング構造210は、外径位置合わせ面226を有することができる。外径位置合わせ面226を、フォーカスリング220に設けられた内径位置合わせ面228と係合または接触するように構成することができる。これにより、内側絶縁体リング208、上側リング構造210およびフォーカスリング220は、ベースプレート構造204およびパック202の鉛直面との接触を回避する。
【0060】
本発明に対するこれらのおよびその他の改良および変更は、添付の請求項により具体的に示された本発明の思想および範囲から逸脱することなく、当業者によって実行されてもよい。加えて、様々な実施の形態の態様が、全体的にまたは部分的に交換されてもよいことが理解されるべきである。さらに、当業者は、前記説明は単なる例であり、このような添付された請求項にさらに記載されているように発明を限定することを意図したものではないことを認めるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7