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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】靴、特に運動靴を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/12 20060101AFI20220502BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20220502BHJP
   B29D 35/02 20100101ALI20220502BHJP
   A43D 1/02 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A43B13/12 Z
A43B13/14 A
B29D35/02
A43D1/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019565943
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2017000651
(87)【国際公開番号】W WO2018224113
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2019-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン、マティアス
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-114428(JP,A)
【文献】特開平05-227639(JP,A)
【文献】特開昭55-005885(JP,A)
【文献】国際公開第2009/095935(WO,A1)
【文献】特開平02-126801(JP,A)
【文献】特開昭61-106101(JP,A)
【文献】特開2013-220354(JP,A)
【文献】特表2016-501114(JP,A)
【文献】国際公開第2009/126111(WO,A1)
【文献】特開2007-185328(JP,A)
【文献】特開2016-097116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43D 1/02
A43B 13/00
B29D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底(2)およびアッパー(3)を含む、靴(1)を製造するための方法であって、
前記靴底(2)の製造は、
a)前記靴底(2)の少なくとも一部を形成するための鋳型(4)を準備するステップであって、前記鋳型(4)は、底部にある底部領域(5)と、鋳型穴(7)の側壁を形成する側部領域(6)とを有し、前記側部領域(6)の上端が取り囲む端部領域において開放されている鋳型を準備するステップと、
b)第1の液体プラスチック材料を、前記鋳型(4)の前記底部領域(5)の第1の表面部分(8)に射出し、かつ、少なくとも、第2の液体プラスチック材料を前記鋳型(4)の前記底部領域(5)の第2の表面部分(9)に射出するステップであって、前記第1の液体プラスチック材料と前記第2の液体プラスチック材料とは異なっており、前記第1及び第2の液体プラスチック材料の射出は少なくとも1つのノズル(10)によって達成され、これによって、前記第1及び第2の液体プラスチック材料は対応する前記第1及び第2の表面部分(8、9)に自由噴流で射出される、射出するステップと、
c)垂直上方にある被覆領域(11)によって前記鋳型(4)を閉じるステップであって、前記被覆領域(11)は前記鋳型(4)の前記側部領域(6)上に設置され、前記第1及び第2の液体プラスチック材料を凝固させることを可能にする、閉じるステップと、
d)前記鋳型(4)を開放し、かつ製造された成型部を取り外すステップと、を含み、
前記少なくとも1つのノズル(10)は、前記鋳型(4)の前記側部領域(6)のある場所に配置され、第1及び第2の液体プラスチック材料はそこから射出されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのノズル(10)は、前記第1及び第2の液体プラスチック材料を射出するために前記鋳型(4)の側部開口部(12)で接合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載のステップb)の実行前に、少なくとも1つの壁(13)は、前記底部領域(5)の単一の前記第1及び第2の表面部分(8、9)の間に配置され、この壁(13)は、第1の表面部分(8)から第2の表面部分(9)への第1の液体プラスチック材料の流れを防止することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの壁(13)は、前記鋳型(4)の前記底部領域(5)に相対して垂直方向(V)に移動可能に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載のステップa)の実行後、および請求項1に記載のステップb)の実行前に、あらかじめ製作されたアウターソール(14)は前記鋳型(4)の前記底部領域(5)に置かれ、このアウターソール(14)は前記靴底(2)の一部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記アウターソール(14)の上面から上方に突出するウェブ上の壁を有し、この壁は、第1の表面部分(8)から第2の表面部分(9)への第1の液体プラスチック材料の流れを防止することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載のステップa)の実行前に、
a1)測定装置(15)によって人の脚の少なくとも1つの個々の性質および/または前記人の走行特性を測定するステップと、
a2)所定のアルゴリズムまたは所定の規則によってステップa1)に従って測定された値に依存して前記靴底(2)の少なくとも1つの伸張方向(L)に沿って、前記靴底(2)もしくは前記靴底(2)の一部の材料性質および/または機械的性質の分布を判断するステップと、が実行され、
この後に、請求項1に記載のステップa)~d)による前記靴底(2)の製造が行われ、それによって、前記靴底(2)の前記材料性質および/または前記機械的性質は、ステップa2)に従って判断されるような前記分布に対応することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載のステップd)の後に、前記靴底(2)は完成品の前記靴(1)を製造するために前記アッパー(3)と連結され、この連結は、縫製および/または接着によって行われることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項7に記載のステップa1)による測定は、地面における脚の接触面積に沿って前記人の前記脚の圧力分布を判断することによって行われ、前記測定は、圧力センサプレートによって行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項7に記載のステップa1)による前記測定は、前記人の前記脚の回内または回外の傾向を判断することによって行われ、前記測定はカメラおよびトレッドミルによって行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
請求項7に記載のステップa2)による判断は、前記靴底(2)の前後方向である伸張方向(L)に沿った材料性質および/または機械的性質の前記分布を判断することによって行われることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項12】
使用される前記第1及び第2の液体プラスチック材料はポリウレタンから成り、前記第1及び第2の液体プラスチック材料は発泡させることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び第2の液体プラスチック材料は、凝固状態でのショア硬さが異なっていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2の液体プラスチック材料は色が異なっていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の液体プラスチック材料は、少なくとも1つの添加剤(C)が基材(A、B)に異なる量で付加されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記靴底の全ての製造ステップは、靴屋において、物理的に近接して行われることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底およびアッパーを含む、靴、特に運動靴を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
靴、特に運動靴のための典型的な製作プロセスは、周知である。ほとんどの場合、場合によって、いくつかの部分(アウターソール、ミッドソール、インナーソール)から成る靴底は、多くは、適したプラスチック材料を射出成型することによって製造される。靴のアッパーはさらにまた、皮革材料または織物材料を使用して製作される。靴を完成させるために、ソールおよびアッパーは、例えば、縫製または接着によって、共に接合される。
【0003】
特許文献1から、ソールを形成するための異なる材料が異なるスプルーを通して形成ツールの空洞に導入される製作プロセスが既知である(この文献の図15cを参照)。特許文献2による解決策において、アウトソールはツールに挿入され、次いで、アッパーはアウトソール上の靴型上に設置される。ポリウレタンは次いで、アッパーをアウトソールに連結するためにツールに流し込まれる(この文献の図8および図9を参照)。他の解決策は、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6に示されている。
【0004】
靴製造費用を削減するために、ソールを製造するために必要とされる時間をできるだけ短くしておくことが目的である。
【0005】
さらにまた、靴の使用者の個々の要望を考慮することが望ましい時があり、これによって、注文製作品を製造することが可能である。しかしながら、これは通常、適切な靴専門業者にはかなりの作業量が必要とされるため、多大な作業を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第2649896号
【文献】欧州特許出願公開第2206442号
【文献】国際公開第2009/095935号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2011/0283560号
【文献】国際公開第2014/100462号パンフレット
【文献】国際公開第2009/126111号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡易な、ひいては費用効率の高いやり方で最適に合わせた靴を提供することができるように、上記のタイプの方法をさらに開発することである。靴は、迅速に、ひいては費用効率が高くなるように製造されるべきあるが、使用者の個々の必要性を満足させることが可能であるべきである。靴製造の専門業者を使用することは、低減されるべきである、または完全に回避されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるこの目的の解決策は、靴底の製造が、
a)靴底の少なくとも一部を形成するための鋳型を提供するステップであって、鋳型は、底部ある底部領域を有し、および、鋳型穴の側壁を形成し、かつ最初に、上部に垂直にある端部領域において開放されている側部領域を有する、提供するステップと、
b)第1の液体プラスチック材料を、鋳型の底部領域の第1の表面部分に射出し、かつ、少なくとも、第2の液体プラスチック材料を鋳型の底部領域の第2の表面部分に射出するステップであって、2つの液体プラスチック材料は異なっており、液体プラスチック材料の射出は少なくとも1つのノズルによって達成され、これによって、プラスチック材料は対応する表面部分に自由噴流で射出される、または液体プラスチック材料の射出は、少なくとも1つのスプレーヘッドによって達成され、これによって、プラスチック材料は対応する表面部分にスプレーされる、射出するステップと、
c)上部に垂直にある被覆領域によって鋳型を閉じるステップであって、被覆領域は鋳型の側部領域上に設置され、液体プラスチック材料を凝固させることを可能にする、閉じるステップと、
d)鋳型を開放し、かつ製造された成型部を取り外すステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この点において、本発明の1つの態様は、靴のソールを成形するために型を上部で解放されたままにし、さらにまた、前述のノズルによって、異なるプラスチック材料を少なくとも2つの(表面の)部位に射出し、この射出することは、プラスチック材料が自由噴流において型の対象部位に導入されるように、すなわち、弾道曲線式に、行われることにある。これは、型が非常に迅速に充填可能であるという利点を有するが、少なくとも2つのプラスチック材料を使用することによって、靴のソールは、特殊な、所望される機械的性質がもたらされ得る。
【0010】
少なくとも1つのノズルは、好ましくは、プラスチック材料を射出するために鋳型の側部開口部で接合される。
【0011】
上述されたステップb)の実行前に、少なくとも1つの壁は、底部領域の単一の表面部分の間に配置可能であり、この壁は、1つの表面部分から他の表面部分へのプラスチック材料の流れを防止するまたは妨げる。この場合、少なくとも1つの壁が、鋳型の底部領域に相対して垂直方向に移動可能に配置されるようにすることができる。
【0012】
提案される方法の別の好ましい実施形態によって、上述されたステップa)の実行後、および上述されたステップb)の実行前に、あらかじめ製作されたアウターソールは鋳型の底部領域に置かれ、このアウターソールは靴底の一部である。それによって、アウターソールは、その上方に向けられた側部に少なくとも1つの壁を有し、この壁は、1つの表面部分から他の表面部分へのプラスチック材料の流れを防止するまたは妨げる。よってこの壁は、ミッドソールの製造中に対応するプラスチック材料を受けることが意図されたさまざまなチャンバを形成する。これによって、種々のアウターソールによってミッドソールの特性を修正することが可能になる。ゴムはアウターソールにとって最も適した材料である。
【0013】
注文の靴を費用効率の高いやり方で製造することができるように、さらなる実施形態によって、上述されたステップa)が実行される前に、以下のステップ:
a1)人の脚の少なくとも1つの個々の性質、および/または測定装置によって人の走行特性を測定するステップと、
a2)所定のアルゴリズムまたは所定の規則によってステップa1)に従って測定された値に依存して靴底の少なくとも1つの伸張方向に沿って、靴底もしくは靴底の一部の材料性質および/または機械的性質の分布を判断するステップと、が実行され、
この後に、上述されたステップa)~d)による靴底の製造が行われ、それによって、靴底の材料性質および/または機械的性質は、ステップa2)に従って判断されるような分布に少なくともほぼ対応する。
【0014】
上述されたステップd)の後に、靴底は完成品の靴を製造するためにアッパーと連結可能であり、この連結は、そのために、好ましくは、アッパーおよびソールの縫製ならびに/または接着によって行われる。
【0015】
上述されたステップa1)による測定は、好ましくは、地面における脚の接触面積に沿って人の脚の圧力分布を判断することによって行われ、測定は好ましくは、圧力センサプレートによって行われる。
【0016】
上述されたステップa1)による測定は、また、人の走行特性、特に、脚の回内または回外の傾向を判断することによって行われる可能性があり、測定は好ましくは、カメラおよびトレッドミルによって行われる。
【0017】
上述されたステップa2)による判断は、好ましくは、靴底の縦軸に沿った材料性質および/または機械的性質の分布を判断することによって行われる。
【0018】
使用されるプラスチック材料の少なくとも1つ、好ましくは全てのプラスチック材料は、好ましくはポリウレタンから成り、材料は好ましくは発泡させる。
【0019】
異なるプラスチック材料はそのために、凝固状態での硬さ、特にショア硬さが異なる可能性がある。これらプラスチック材料はまた、色が異なる可能性がある。異なる色を使用することによって、使用者は、自分の靴の個性的な視覚的印象をもたらすことも可能である。着色されたマーブル模様も、また可能である。
【0020】
異なるプラスチック材料はまた、少なくとも1つの添加剤が基材に異なる量で付加されるという事実において異なる可能性がある。添加剤を付加することによって、ポリウレタンの材料性質または機械的性質は、それによって、変更される可能性があり、ひいては具体的に制御される。現状技術において、例えば、特にポリウレタンの硬さに影響を与えるために添加剤が適していることは周知である。
【0021】
靴底の全ての上記の製造ステップは、特に靴屋において、物理的に近接して好ましい実施形態に従って行われる。提案されたプロセスは、靴を、時間および空間両方に関して集中して製作できるようにする統合システムにおいて実行される場合に、とりわけ有利である。ステップはまた、互いに経時的に近接して、とりわけ、最大期間の3時間以内に、実行可能である。これによって、顧客に、顧客の必要性に個々に応じ、かつ顧客の状況に最適に適応させた靴を非常に迅速に提供することが可能になる。
【0022】
靴の製造工場の場所において、とりわけ、ひいては靴屋において、例えば、顧客の脚の走査が最初に行われ、顧客の走行特性が判断される。これに応じて、ソールの設計はさらにまた、異なるゾーンに関して判断され、これらは次いで、現場で製造され、かつアッパーに連結される。
【0023】
靴底もしくは靴底の一部の材料性質および/または機械的性質の経過の上記の判断は、好ましくは、ソールの縦軸に沿った材料性質および/または機械的性質の分布を判断することによって行われる。しかしながら、材料性質および/または機械的性質の分布が縦軸を横断するソールの方向に沿って判断されるようにすることも有利である場合がある。両方の材料の組み合わせはとりわけ好ましく、それによって、材料性質および/または機械的性質の上記の分布は、着用者の脚が地面に置かれる平面に沿って判断される。
【0024】
提案された概念は従って、有利なやり方でかつ要求に沿って、ソールまたはソールの一部を靴屋で直接製造することによって、ソールまたはソールの一部が部分的に、またはあらかじめ定められた規定ゾーンにおいて異なる特性を有することを目的とする。
【0025】
有利なやり方において、個々に合わせた、従って、顧客に個々に適応させた靴は、迅速に、ひいては費用効率が高くなるように製造可能である。さらに、非常に短い時間で提案された手順に従って、靴底、ひいては靴も製作することが可能であり、これは、経済的に有利である。
【0026】
提案された方法はまた、フットボール靴のソールの製作にとりわけ適している。
【0027】
よって、(ミッド)ソールの構造の変形が、異なる表面積におけるこの物理的性質に関する限り、簡易なやり方で現実のものとすることが可能であるように、一般的には実現可能である。
【0028】
図面において、本発明の実施形態が示される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】運動靴のアッパーおよび靴底を、これら2つの構成部品が互いに連結される前の側視を概略的に示す図である。
図2】人の脚の圧力分布が地面との接触面積に沿って記録された圧力センサプレートの概略的な上面図である。
図3】靴のソールが製造される鋳型の概略的な部分断面図である。
図4】靴のソールが製造される鋳型の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、靴底2およびアッパー3が依然互いに分離されている、運動靴である靴1を示す。靴底2はここで、ミッドソール19に連結されるアウターソール14から成る。靴底2は、製作された後、アッパー3に連結される。靴底2およびアッパー3は次いで、2つの矢印の方向において共に接合される。
【0031】
この図は、ソールまたは靴の縦軸L、およびこの縦軸Lを横断する方向Q、さらには、垂直方向Vを示しており、靴の使用目的に言及する。
【0032】
ミッドソール19の製造について、以下に説明されており、中心の態様は、ミッドソール19が異なるプラスチック材料から部位ごとに作られ、このことは図1において異なる断面線によって指示されている。
【0033】
図2は、人が圧力センサプレート15を踏むと圧力分布を測定するように測定装置の機能を果たす平坦な圧力センサプレート15を概略的に示す。6つの部位a、b、c、d、e、およびfが概略的にかつ単に例示の目的で示され、ここで、圧力は、人が床に立っている時に変化する。
【0034】
この点において、圧力センサプレート15を使用して、個人の圧力分布が脚の個人特有の人間工学からどのように生じるかを判断することができる。圧力センサプレート15を使用して、その結果、異なる圧力が広がっている部位a、b、c、d、e、およびfを特定することが可能である(それによって、圧力間隔は上記の部位のそれぞれに対して定められ得る)。脚、およびそれに対応して製作される靴底の縦軸L、および横断方向Qにより、地面における脚の接触面上の圧力分布は従って、圧力センサプレートに基づいて個人に対して判断可能である。
【0035】
路面上の圧力分布の上記の測定は、個々の靴の製造時の第1のステップとすることができる(上のステップa1を参照)。
【0036】
しかしながら、代替的にまたは追加的に、上記の測定はまた、異なるように実行可能である。例えば、カメラを使用して、トレッドミル上で走るまたはジョギングする間の人の脚を観察することができ、このことから、人の脚の回内または回外の挙動についての情報を得ることができる。
【0037】
両方の場合、一般的に、さらなる過程において、上のステップa2)に従って製作される靴底の材料性質または機械的性質の分布を判断することが可能である。これは、ソールの縦軸Lおよびこれを横断する方向Qの両方における、ソールの異なる部位に対して、例えば、ソール材料の強度または硬さが定められ、これは、人の脚に最適な支持を与えるために目的とされる。
【0038】
そのように、例えば、他の部位に相対して高い圧力がある部位(例えば、図2における部位d)に相対する部位a)を参照)において、脚に対するより良い支持を与えるようにソールの他の部位よりも硬い材料が提供されてよい。
【0039】
同じやり方で、例えば、追加的にまたは代替的に、人の脚の回内または回外の挙動を評価することによって、理想的な形状からの偏差が、ソールの材料強度または剛性を増大または減少させることによって相殺可能である。
【0040】
座標LおよびQによるソールの材料性質または機械的性質の過程のこの判断は、それによって、専門業者によって実行可能である。しかしながら、測定装置15によって判断される値が、対応するアルゴリズムを指定することによって上記の性質に対する対応する仕様に自動的に変換されることも可能である。従って、上のステップa2)は好ましくは、コンピュータによって自動的に行われる。場合によっては、格納された比較値または最適値を使用して、性質の分布を判断することができ、それによって、上記の値はまた、人のデータ(例えば、身長、体重、性別)に従ってデータベースから取り出され得る。
【0041】
図3は、靴底2を製作する上のステップa)~c)を示す。
【0042】
靴底2が製造される際の鋳型4を見ることができる。鋳型4は、底部領域5および側部領域6を有する下側ツール部から成り、靴底2のための型穴7を形成する。鋳型4は、被覆領域11の形態の上側ツール部も含み、これは、靴底2を完全に形成するために型が充填された後に下側ツール部上に設置される。
【0043】
鋳型の下側ツール部は、ノズル10を取り付けるまたは挿入するように設計される、側部領域6の1つの端部部位に側部開口部12を有する。ノズル10は、ポリウレタンが該実施形態において混合され、かつノズル10を介して適用されるミキシングヘッド16に連結される。ポリオールの形態の第1の基材Aはイソシアナートの形態の第2の基材Bと混合されてポリウレタンを形成する。この図はまた、添加剤Cのための容器を示し、この添加剤は、材料AおよびBに付加可能であり、かつ、その材料性質または機械的性質を変更させる。
【0044】
鋳型4が図3に示される配置で靴底2を成型するために設けられた後(すなわち、被覆領域11が上に持ち上げられることによって)、液体プラスチック材料は鋳型穴7に供給される。このことは、ノズル10を介して液体プラスチック材料を射出することによって行われる。少なくとも2つの異なるプラスチック材料は(同じノズル10またはいくつかのノズル10のどちらかを介して)型穴に供給されることは必須である。実施形態において、(順々にまたは時間的に並行して)第1の液体プラスチック材料は鋳型4の底部領域5の第1の表面部分8に射出され、さらにまた、第2の液体プラスチック材料は底部領域5の第2の表面部分9に射出されることが指示されている。2つのプラスチック材料は、任意の材料パラメータを指すことができる異なる性質を有する。
【0045】
液体プラスチック材料が、このプラスチック材料が対応する表面部分8または9に自由噴流で射出されるように、ノズル10を通して射出されることも必須である。図3は、第1の弾道軌道17および第2の弾道軌道18を示し、これらは、鋳型4の底部領域5に達するまで行われる、各プラスチック材料またはプラスチック材料の噴流の跡をつける。
【0046】
対応する軌道17および18をそれぞれ現実のものにするために、プラスチック材料は、対応する異なる圧力(ひいては、異なる速度)によってノズル10から排出可能である。代替策または追加策として、当然ながら、ノズル10の配向(すなわち、ソールの平行軸に対する、また縦軸に対する出口角)を変更することも可能であり、それによって、液体プラスチック材料は射出中に所望の経路をたどり、最終的に、鋳型の底部領域の所望の表面部分を被覆する。
【0047】
所望の量の材料が鋳型穴に導入された時、鋳型4の被覆領域11は下げられ(図3における矢印を参照)、それによって、プラスチック材料は凝固して、規定の形状の完成品の靴底になる。完成品の靴底2は次いで、鋳型4から取り外し可能である。
【0048】
このように、所望の材料性質を有するプラスチック材料を、靴底の、とりわけミッドソール19の具体的に定められた表面積に設置することで、さらにまた、対応する性質を有し、かつ個々の必要性に適応させた(ミッド)ソールを得ることが可能である。
【0049】
自由噴流で射出されるプラスチック材料を鋳型穴7に充填することによって、充填時間は非常に短くなり、ひいては、ソールの総製造時間が対応して短くなり、これは有利である。
【0050】
図4は、鋳型4の特殊設計を示し、これによって、さまざまなプラスチック材料が、所望されるところにのみ設置されることを確実にすることが可能になる。この目的のために、壁13は、鋳型の底部領域に配置され、これによって、堰のように、さらなる液体プラスチック材料が所望の表面部分にとどまることを確実にする。ここでの壁13は、薄板金属として設計され、この材料は、鋳型の充填中に鋳型4の底部領域5から鋳型穴7内に、ある特定の高さを超えて伸張するため、所望の効果をもたらす。
【0051】
それによって、壁13は、垂直方向Vにおいて鋳型4の底部領域5に相対的に変位可能とすることができるため、十分な凝固度に達した後に型穴から引き出される。
【0052】
ここで、2つの異なるプラスチック材料を使用するプロセスを示したが、実際は、当然ながら、2つ以上の異なるプラスチック材料が使用可能である。底部領域のいくつかの異なる表面部分に同じプラスチック材料が充填できることも可能である。
【0053】
説明した壁13の使用を不必要とする代替的な可能性は、液体プラスチック材料が供給される前に鋳型4の底部領域5にアウターソール14を挿入することである。この場合、アウターソール14は、説明したミッドソール19の製造中にミッドソール19に結合される材料である。アウターソール14は、壁13と同様の、上方に突出するウエブを有することができ、このことは、液体プラスチック材料が、ソールが完成されるまでその所望の表面部分にとどまることを確実にする。全般に使用可能な(特定の靴サイズの)アウターソールを提供するために、上記のウエブ状の壁は、液体プラスチック材料のための複数のチャンバを形成するパターンのように形成されてよく、この液体プラスチック材料にはさらにまた、上記の仕様に従って対応するプラスチック材料が充填される。
【0054】
結果として、図1に示されるような靴底2がもたらされる。ここで、ミッドソール19の異なる断面線によって、ソール2の異なる部分が異なる構成部品A、B、およびCによって、とりわけ、ソール2の伸張方向Lに沿って付加される異なる量の添加剤Cによって、形成されことが指示され、このことは、異なる材料性質および/または機械的性質を特徴とする。
【0055】
現時点で述べる必要はないが、図1は、この点において説明される原理の概略的表現であり、これによって、2つの座標方向LおよびQにおける材料分布がそれに応じて指定されて、いくつかのノズル10またはミキシングヘッド16を通して、かつ必要に応じて、ツールの異なる箇所に、材料を準備しかつ射出する場合に、合理的である場合があり、それによって、平面における、対応する性質を有する材料の所望の分布が実現される。
【符号の説明】
【0056】
1 靴
2 靴底
3 アッパー
4 鋳型
5 鋳型の底部領域
6 鋳型の側部領域
7 鋳型穴
8 第1の表面部分
9 第2の表面部分
10 ノズル
11 鋳型の被覆領域
12 鋳型の側部開口部
13 壁
14 アウターソール
15 測定装置(圧力センサプレート)
16 ミキシングヘッド
17 第1の弾道軌道
18 第2の弾道軌道
19 ミッドソール
L ソールの伸張方向(ソールの縦軸)
Q 縦軸を横断する方向
V 垂直方向
A 第1の基材(ポリオール)
B 第2の基材(イソシアナート)
C 添加剤
a、b、c、d、e、f 異なる圧力の領域
図1
図2
図3
図4