(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】酸化抵抗性天然ゴム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08C 1/04 20060101AFI20220502BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20220502BHJP
C08L 9/04 20060101ALI20220502BHJP
C08L 89/00 20060101ALI20220502BHJP
C08C 19/22 20060101ALI20220502BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
C08C1/04
C08L7/00
C08L9/04
C08L89/00
C08C19/22
B60C1/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020113827
(22)【出願日】2020-07-01
(62)【分割の表示】P 2017513765の分割
【原出願日】2015-09-10
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2014-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501166968
【氏名又は名称】クーパー タイヤ アンド ラバー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Cooper Tire & Rubber Company
【住所又は居所原語表記】701 Lima Avenue, Findlay, Ohio 45840, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィン,ハワード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターズ,ザカリー・ディー
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516716(JP,A)
【文献】米国特許第05998512(US,A)
【文献】特開昭57-058831(JP,A)
【文献】特開昭50-126783(JP,A)
【文献】特開昭59-164315(JP,A)
【文献】特開昭53-021290(JP,A)
【文献】特開昭60-088009(JP,A)
【文献】特開2006-152045(JP,A)
【文献】国際公開第2014/047176(WO,A1)
【文献】KATBAB,A.A. et al.,Mechanisms of antioxidant action: The behaviour of a bound antioxidant as an antiozonant,POLYMER DEGRADATION AND STABILITY,Vol.3, No.3,1981年,p.221-227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 1/00 - 4/00
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 -101/14
C08C 19/00 - 19/44
B60C 1/00 - 19/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアユールゴム(guayule)を安定化させる方法において、
(i)非イオン系表面活性剤を水と組合せて溶液を形成する工程と、(ii)MADAを前記溶液中に均質に分散させる工程と、(iii)MADAを含む前記溶液を前記グアユールゴムのラテックス形態中に導入する工程と、(iv)前記ラテックス形態を加熱してMADAを前記グアユールゴムに化学的に結合させる工程とを備える第1のステップと、
前記グアユールゴムを凝固させる第2のステップと、
前記グアユールゴムを連続的に処理して、前記グアユールゴムに含有された樹脂
を除去して、重量比にて、樹脂が4%以下
であり、且つMADAが重量比にて0.1乃至5%の範囲のゴムを得る第3のステップとを備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記グアユール
ゴムは、
前記樹脂の除去前において、重量比にて、
前記グアユールゴムの少なくとも7%以上
の樹脂を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記第3のステップは、前記ゴムに極性溶媒を接触させるステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記極性溶媒は、アセトンである、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
前記極性溶媒は、4つ又はより少ない炭素原子を含むアルコールである、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、
前記極性溶媒は、アセトンと炭化水素の混合体から成る、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記処理したゴムは、重量比にて、3%以下の樹脂を含む、方法。
【請求項8】
パラゴム以外の天然ゴムを安定化させる方法において、
酸化防止剤がゴムに化学的に結合するような状態下にてアミン及びフェノール系の酸化防止剤の少なくとも一方をゴムのラテックス形態に導入する第1のステップと、
続いて、アセトンからなる抽出溶剤により前記ゴムを処理して、含有された
樹脂を除去して、重量比で、4%以下の樹脂と
0.1乃至5%の酸化防止剤とを含むゴムを得る第2のステップとを備える、方法。
【請求項9】
グアユールゴムを製造する方法において、
グアユールゴムのラテックスを形成する第1のステップと、
前記グアユールゴムのラテックスに酸化防止剤を十分な時間をかけて導入することにより、前記酸化防止剤を前記グアユールゴムに化学的に結合させ、それにより前記酸化防止剤を含むグアユールゴムを凝固させる第2のステップと、
前記凝固したグアユールゴムを極性溶媒により連続的に抽出処理する第3のステップであって、前記連続的抽出処理は、前記酸化防止剤を含むグアユールゴムから凝固形成された前記グアユールゴムを多孔性支持体上に置いて、連続的に前記極性溶媒の導入を行わ
せ、前記酸化防止剤が重量比にて0.1乃至5%の範囲のゴムを得る前記第3のステップとを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の一例としての実施の形態は、酸化抵抗性天然ゴムを製造する方法、及び該方法により製造したゴムに関する。本発明は、グアユール(guayule)ゴムに関する特定の用途があり、これに関して、説明する。しかし、本発明の一例としての実施の形態は、その他の同様の用途にも適応可能であることを理解すべきである。
【0002】
[0002] 植物パラゴムの木(Hevea brasilliensis)から得られる天然ゴムは、医療用装置及びラテックスグローブのような製品を含む、多くの一般消費者向け商品の中心的な構成要素である。合成の代替物では、多くの用途にて要求される天然ゴムの高性能の特性に適合することができず、また、使用禁止となる程の高価となりがちであることを主たる理由として、米国は、天然ゴムに顕著に依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 米国が輸入する、パラゴムの木由来の天然ゴムの90%以上は、インドネシア、マレーシア及びタイ産である。これらの国における天然ゴムの供給源は、ゴム植物の遺伝的類似性のため、病気及び枯れる可能性による非常に危険な状態にある。更に、収穫量は、地理的領域が制限され及び労働集約的な収穫方法のため、制限されている。加えて、東南アジアの天然ゴムの収穫物は、2千万人ものアメリカ人に影響を与えると推定される1型ラテックスアレルギーの原因となる多くのタンパク質汚染物質を含んでいる。
【0004】
[0004] 米国の輸入コストが高いこと、及び収穫物の全体が病気により絶滅する可能性があり、また、ラテックスアレルギーがいたるところに存在することのため、非アレルギー性の国産の天然ゴムの代替物が特に関心を集めている。
【0005】
[0005] 合成ゴムの供給源の1つの代替例として、米国の南西部、メキシコの北部の自然の砂漠の植物であるグアユール(Parthenium argentatum)のような植物にて天然ゴムを製造することに関心が向けられている。グアユールは、東南アジアにおけるパラゴムの木によって製造されたものとほぼ同一の重合系シス1、4イソプレンを生じさせる。
【0006】
[0006] 本発明の色々な詳細は、以下にて、基本的理解のため要約としてまとめられている。この要約は、本発明の広範囲の概説ではなく、また、本発明の特定の要素を識別し又はその範囲を限定することを意図するものではない。この要約の主たる目的は、以下に記載したより詳細な説明の前に、本発明の幾つかの着想を簡略化した形態にて呈示することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7,923,039号
【文献】米国特許公開第2008/001536号
【非特許文献】
【0008】
【文献】T.バッハ及びM.ローマ―(Bach and M.Rohmer)編集の「新たな着想及び実験的アプローチ(New Concepts and Experimental Approaches)329-345ページにおける、M.ウォレン、C.マックハム及びD,シンタニ(M.Whalen、C.McMahan and D.Shintani)の「工業的に有用な天然ゴムを製造するための収穫物の開発、植物及び微生物におけるイソプレノイドの合成(Development of Crops to Produce Industrially Useful Natural Rubber, Isoprenoid in Plants and Microorganism)J.Immunol.136(1986)、1791-1795。
【文献】工業用収穫物及び製品22(2005)41-47におけるラテックス及びバルクゴム用のグアユールの加工(Processing Guayule for Latex and Bulk Rubber、Industrial Crops and Products)。
【文献】Vol.57のゴムの化学的組成及び技術(Rubber Chemistry and Technology)621-651における、JAクッチャコワルスキー及びJGギリック(JA Kuczkowski and JG Gillick)の論文、ポリマー結合した酸化防止剤(Polymer-Bound Antioxidants)。
【文献】ピータークッシュ(Peter Kusch)(2012)による、進歩したガスクロマトグラフィ、ポリマー系材料の熱分解―ガスクロマトグラフィ/質量スペクトル測定方法―農業、バイオ医療及び工業的用途における進歩、ムスターファアリモード博士(編集)、(Pyrolysis-Gas Chromatography/Mass Spectrometry of Polymeric Materials,Advanced Gas Chromatography-Progress in Agricultural,Biomedical and Industrial Applications, Dr.Mustafa Ali Mohd(Ed)))ISBN:978-953-51-0298-4。
【0009】
[課題を解決するための手段]
[0007] 第一の実施の形態によれば、グアユールのような天然ゴムを安定化させる方法が提供される。該方法は、MADAがゴムと化学的に結合する状態下にて以下にMADAと称する4-1(メルカプトアセタミド)ジフェニルアミンをゴムのラテック形態に導入するステップを含む。この方法は、ゴムをその後に処理して、混入した樹脂の相当な部分を除去する更なるステップを含む。
【0010】
[0008] 第二の実施の形態に従い、グアユールのような天然ゴムを安定化させる方法が提供される。該方法は、アミン又はフェノール系酸化防止剤の少なくとも1つをその酸化防止剤がゴムと化学的に結合する状態下にてゴムのラテックス形態に導入するステップを含む。該方法は、その後、ゴムを処理して混入した樹脂の少なくとも相当な部分を除去する更なるステップを含む。
【0011】
[0009] 更なる実施の形態に従い、シス-1、4ポリイソプレンから成り、また、化学的に結合した酸化防止剤を含むゴム組成物が提供される。該組成物は、パラゴムと関係した20%以下の量のタンパク質を含み、その他の天然ゴム中に存在する少なくとも微量の樹脂を更に含む。該ゴムは、53-KDaモノオキシゲナーゼのような、アレン酸化物合成タンパク質を含むこともある。抽出後のゴムには相当な量のアレン酸化物合成タンパク質が存在すると考えられるが、本発明は、樹脂の抽出過程中に一部分を除去することができるとも考える。
【0012】
[0010] また、追加の実施の形態に従い、グアユールゴムから成り、かつグアユールゴムと化学的に結合した酸化防止剤を含むゴム組成物が提供される。該組成物は、グアユールゴム中に存在する、少なくとも微量から4%の範囲、好ましくは、微量から3%の範囲の樹脂を更に含む。
【0013】
[0011] 別の実施の形態によれば、段落 [0009]又は段落 [0010]のゴム組成物を含むタイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】グアユールの連続的な抽出過程の概略図を示す。
【
図3】天然ゴムの検査物(control)の抽出性含有量及びMADAを含めた試料を抽出時間の関数として示す。
【
図4】グアユールゴムの検査物の抽出性含有量及びMADAを含めた試料を抽出時間の関数として示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0016] 天然ゴムラテックスのような、バイオポリマーを抽出するための自然の砂漠の植物の加工は、化学的及び/又は物理的加工方法を使用して実現することができる。該方法は、典型的に、前破砕、湿式粉砕、ろ過、清澄化、液相の分離、精製、クリーミング及び濃縮という一般的なステップに従う。一例としての収穫及び/加工技術は、その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第7,923,039号及び米国特許公開第2008/001536号に記載されている。
【0016】
[0017] 使用可能な植物材料の非限定的な例は、グアユール植物(Parthenium argentatum)、ホルトンソウ(Euphorbia lathyris)、マリオラ(Parthenium incanum)、ラビットブラシ(Chrysothamnus nauseosus)、トウワタ(Asclepias L.)、アキノキリンソウ(Solidago)、オオバコ(Cacalia antripilcifolia)、ゴム蔓(Crypstogeia grandiflora)、ロシアタンポポ(Taraxacum kok-saghyz)、マウンテンミント(Pycnathemum incanum)、アメリカジャーマンダ―(Teucreum canadense)及び背高ベルフラワー(Campanula americana)を含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0017】
[0018] 本明細書にて開示した過程は、天然ゴムのようなバイオポリマーをゴムの木以外の植物から抽出かつ精製する。次に、その抽出したバイオポリマーは、例えば、タイヤ及びホースのような製品の多様な商業的用途のため加工することができる。
【0018】
[0019] 一例として種として、グアユールを使用すれば、植物は、垣根剪定法又は刈込む(根の上方の植物部分の幹を切断する)ことにより、収穫し,植物の地面上の部分のみが収穫され、その後、加工されるようにする。植物は、機械的剪断、手作業による剪断、生垣剪定又は剪断或いは非脱水性の化学枯草剤を用いて落葉させることができる。収穫後、植物はチョッパに送られ、該チョッパは、植物片を細断して、比較的均一な寸法又は形状にすることができる。ラテックスゴムは、細断したグアユール木の皮と根の構成要素との近くに配置される。チョッパは、植物を均一な片に細断し、分離システムが葉、花の主要な部分及び小さい幹を除去し、次に、大きい幹を皮剥ぎし及びラテックスゴムの抽出のための湿式粉砕工程用に処理する。より大きい片(例えば、皮、細断した植物及びパルプ)は、分離機から排出し、かつ更なる加工ステップへと送る。
【0019】
[0020] 分離後、植物は、化学的に処理することができる。化学的処理は、粉砕ステップの間、水溶液を加えて、植物材料を乳化し、スラリーを形成し、その後、第一の加圧ステップ及び洗浄ステップを行うことができる。化学的処理は、「バガス(bagasse)」と呼ばれるバイオマス副産物を含む固体製品と、水溶液及び粉砕した植物材料
からの希釈ラテックスを含む均質な液体スラリーとを生じさせる。
【0020】
[0021] 化学的処理は、望む製品の品質、安定性、色、純度又は無菌の必要条件に依存して、抗微生物剤、消泡剤又は発泡防止剤、晒し剤及び/又は安定化剤を選択的に追加することができる。
更に、亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルベート、没食子酸プロピル、アルキルジフェニルアミン、ポリブチルビスフェノノールA、アルキルパラフェニレンジアミン、スチレンフェノール又はヒンダードビスフェノールのような酸化防止剤を追加してもよい。しかし、本明細書にて説明したように、グアユールのこの加工段階にて、これらの型式の酸化防止剤を追加することは、タイヤのような用途のため、ゴムをラテックスから隔離しようとするとき、それほど効果的でないことが判明している。
【0021】
[0022] この過程の次のステップは、加圧である。加圧は、ラテックスゴムの主要な部分をバガスから除去する。特に、ラテックスゴムは、エマルジョンのような水溶液内に懸濁しており、液体をスラリーから圧搾することによりバイオマスエマルジョンスラリーから除去される。液相、すなわち、均質なラテックスの液体スラリーは、スクリーンを通ることができる一方、固相のバガスは、スクリーンを通過しない。均質な液体ラテックスのスラリーはタンク内に集めることができ、また、バガスは、別個の採集領域に移し、樹脂の抽出、燃料、パーティクル板及びエタノールの製造といった、二次的な製造過程にて使用することができる。
【0022】
[0023] 次に、ラテックスを含む均質な液体は、一連の分離機に供給して、細かい固体をエマルジョンから更に除去し、かつ水及び水系廃物を除去することにより、ラテックスゴムのエマルジョンを濃縮することができる。
【0023】
[0024] 次に、ラテックスは、クリーミング処理を受けることができる。クリーミングシステムは、ラテックスゴムエマルジョンが希望の濃度(例えば、水中にて50-60重量%のラテックスゴムの濃度)に達する迄、部分的に凝固し、また、多くの望ましくないタンパク質及び不純物を除去することを許容する。クリーミング混合タンクは、加熱及び冷却能力を備えた撹拌式の容器とし、温度を調節し、かつ凝固剤、安定化剤及び酸化防止剤から成る溶液を保持することができる。ラテックスゴム相を保持する上方層は、試験のため、ラテックス製品タンクに移送し、次に、最終的に、製品の貯蔵場所まで移送することができる。
【0024】
[0025] 上述したように、商業的に生産したグアユールラテックスは、凝固したとき、タイヤのような特定の用途に対してゴムを不適当にする量の樹脂(低分子量のアセトン抽出性材料)を含んでいる。パラゴムと異なり、グアユールは、特殊な樹脂道(lacticifers)システム内にてラテックスを生産しない。そうではなくて、ラテックスは個別のセル内にて形成されかつ貯蔵される。このため、凝固過程は、ゴム及びゴム以外の成分の双方をゴム中に導入する。この点に関して、隔離したグアユールゴムは、重量比にて20%以上の樹脂を含むことがある。樹脂は、可塑剤として作用すること、また、配合物の加硫速度及び加硫状態に悪影響を及ぼすことから望ましくない構成成分である。このため、溶媒又は溶媒の混合体により抽出することによって凝固したゴムから樹脂を除去することが望ましい。かかる抽出媒質の例は、アセトン、アセトンペンタン共沸混合物又は4つ又はより少ない炭素原子を有するアルコールを含む。グアユールと共に通常、使用される抽出方法に伴う1つの問題点は、バッチ過程として実施されること、すなわち、グアユールゴムは樹脂が抽出される前に、長時間、抽出媒質に浸漬される点である。殆どの場合、タイヤ等級のグアユールを得るのに十分な樹脂を除去するために多数回のバッチ抽出が必要とされる。
【0025】
[0026] 上述したように、グアユールゴムの1つの大きな利点は、パラゴムに露呈されたとき、アレルギー反応を受ける人にアレルギー反応を生じさせないことである。この効果は、種の各々に存在するタンパク質の相違及び相対的な量のためである。パラゴムは、14-kDa「ゴム伸び係数」及び24-kDa「小さいゴム粒子タンパク質(SRPP)」が支配的である、各種の型式のタンパク質を保有している。これらの双方は、アレルギー原因物質として知られる。グアユールには、タンパク質は殆ど存在しない。53-kDAモノオキシゲナーゼP450(アレン酸化物合成物)は、約50%のゴム粒子タンパク質から成る。(T.バッハ及びM.ローマ―(Bach and M.Rohmer)編集の「新たな着想及び実験的アプローチ(New Concepts and Experimental Approaches)329-345ページにおける、M.ウォレン、C.マックハム及びD,シンタニ(M.Whalen、C.McMahan and D.Shintani)の「工業的に有用な天然ゴムを製造するための収穫物の開発、植物及び微生物におけるイソプレノイドの合成(Development of Crops to Produce Industrially Useful Natural Rubber, Isoprenoid in Plants and Microorganism)を参照」(これは、参考として引用し、本明細書に含められている)。このように、両方の種におけるゴムの化学的構造は類似している(シス-1、4ポリイソプレン)が、ゴムの全体的な組成は同一ではない。
【0026】
[0027] グアユールのタンパク質の利点について、上記に概説したが、タンパク質及びその他の天然の酸化防止剤が存在しないため、グアユールは、酸素及び熱による劣化をより受けやすい。従って、上述したように、酸化防止剤が導入されることが多い。例えば、工業用収穫物及び製品22(2005)41-47におけるラテックス及びバルクゴム用のグアユールの加工(Processing Guayule for Latex and Bulk Rubber、Industrial Crops and Products)にて開示されたように(これは、参考として引用し本明細書に含めてある)、新たに収穫した灌木を水中にて最初に粉砕した後、酸化防止剤を追加することが提案されている。灌木が加工されてラテックスを、次に、ゴムを隔離するならば、酸化防止剤の多くを除去することができる。更に、凝固したグアユールゴムが抽出されて樹脂を除去するとき、酸化防止剤も除去される。抽出中に酸化防止剤が除去されたとの証拠は、バッチ抽出中に酸化防止剤をアセトン抽出媒質中に含めることは、タイヤ等級のゴムにとって望ましい、0.85のムーニー保持指標値(MRI)が得られないとの決定から推測することができる。ムーニー保持指標値は、本明細書にてゴム試料がムーニー粘度について試験し、次に、143.3°C(290°F)にて30分間、老化させ、その老化した試料にてムーニー粘度を測定する試験として特徴付けられている。老化した試料のムーニー粘度値を初期ムーニー粘度で割ってムーニー保持値を表す率を求める。ゴムが抽出過程のため、十分な酸化防止剤を含まないならば、そのゴムは酸化される可能性が大きく、また、通常、酸化防止剤を再度導入するという望ましくなくかつコスト高のステップが必要となる。実際上、従来のゴムの混合技術を使用して、樹脂を除去した後、ゴムに酸化防止剤を導入するという物理的なステップでさえ、多少の劣化を生じさせることが判明している。
【0027】
[0028] グアユールは、20世紀初頭以降、タイヤにて使用されてきたが、ラテックスからタイヤ等級ゴムを製造する商業的に実現可能な過程が開発されたとは考えられない。本発明は、タイヤ等級のグアユールゴムを生産する過程を提供し、この過程において、ラテックスから隔離されたグアユールゴムをアセトンのような極性溶剤にて連続的に抽出し、この場合、グアユールゴムラテックスは、酸化防止剤が少なくとも一部分、グアユールと結合するような仕方にて酸化防止剤と反応するステップを含む。本発明は、1)樹脂を除去する間、酸化防止剤が抽出されるのをほぼ防止するような仕方にて、MADA(分子式1にて示す)のような酸化防止剤をゴム内に組み込み、2)連続的な抽出により、アセトン抽出性成分を除去することにより、グアユールの加工と関係した短所の一部を解消するものである。
【0028】
【0029】
[0029] 通常、抽出性成分は、バッチ抽出によりグアユールゴムから除去される。この方法において、グアユールゴムの試料は、ある期間、極性溶媒を保持する容器内に投入し、その後、該溶媒から除去し、抽出性成分を測定する。該溶媒は、通常、24時間毎に交換し、グアユールは、より多くの抽出性成分を除去するため、再度、抽出する。これは、時間を消費するが、抽出性成分を除去するのに効果的な技術である。表Iから理解し得るように、タイヤの用途におけるグアユールゴムにとって一つの目標値である、3-4%以下の.抽出性成分とするため、48時間以上の抽出時間となることがある。
【0030】
[0030]
【0031】
【0032】
[0031] 1つの実施の形態において、グアユールゴムの連続的な抽出は、
図1に示した過程を採用する。この実施の形態において、グアユールは、「新たな」溶媒と定常的に出会い、このため、抽出性成分は、より迅速に除去される。連続的な過程を用いる抽出性成分の除去は、表2に示されている。表1と表2の抽出速度を比較すると、連続的な過程がバッチ過程よりも優れていることが明確に分かる。この振舞いは、MADAを含むグアユールにても観察することができる。
【0033】
[0032]
【0034】
【0035】
[0033] 上述したように、グアユールゴムは、天然のパラゴムと同様の特性を維持するため、ゴムから抽出しなければならない「アセトン抽出性成分」を含む。特定の実施の形態において、グアユールゴム内の抽出性成分の含有量は、4%以下、好ましくは、3%以下であることが望ましい。しかし、「アセトン抽出性成分」をゴムから抽出するとき、従来、グアユールの製造中に追加していた酸化防止剤も同様に抽出される。この実施の形態は、抽出する前に、グアユールゴムを安定化させ、かつ抽出及び乾燥ステップの間にて、その安定的な状態を維持する過程を目的とする。この実施の形態は、ポリマー結合した酸化防止剤を採用する。該酸化防止剤は、重量比にて0%以上から5%、又は0.1%から1%の範囲又は0.4%から0.5%の範囲又はその任意の組み合わせのレベルの結合含有量にて存在することができる。
【0036】
[0034] 一例としての酸化防止剤は、MADAであり、このMADAは、硫黄群がゴムと結合した状態となる、遊離基の追加反応を介してラテックス中のゴムと望ましいように反応する。形成されるゴムは、ゴムの骨格と化学的に結合し、かつ抽出に抵抗するMADAを含む。
【0037】
[0035] 本発明は、酸化防止剤としてMADAを使用することを一部分、目的とするが、樹脂を抽出する段階の前に、天然ゴムと化学的に結合することのできる各種のその他の酸化防止剤は採用可能な1つの選択であると考えられる。例えば、幾つかのアミン
及びフェノール系酸化防止剤は、この実行のために実現可能であると考えられる。適当な酸化防止剤の知識について、Vol.57のゴムの化学的組成及び技術(Rubber Chemistry and Technology)621-651における、JAクッチャコワルスキー及びJGギリック(JA Kuczkowski and JG Gillick)の論文、ポリマー結合した酸化防止剤(Polymer-Bound Antioxidants)が特別に参照できる。この論文の開示内容は、参考として引用して本明細書に含めてある。
【0038】
[0036] MADAは、以下の過程に従って生産することができる。18.4gの4-アミノジフェニルアミン、9.2gのチオグリコリック酸及び150mLのキシレンをディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap)を備える500mLの丸底フラスコ内に入れる。フラスコを窒素の存在下にて加熱し、再流動化させる(約140℃)。1.8mlsの水がディーンスタークトラップ内に集まる迄、反応を進行させる。反応混合物を室温用より僅かに高い温度まで冷やす。反応混合物にヘキサンを加えることにより、粗いMADAは隔離され、その後、粗い生産物はトルエンから再結晶化する。MADAは、窒素の存在下にて貯蔵しなければならない。
【0039】
[0037] MADAは、天然のパラゴムラテックス(シンガポールのリーラテックスリミテッド(Lee Latex Limited)から入手)及びグアユールゴムラテックス(アリゾナ州、マリコパのユーレックスコパーコーポレーション(Yulex
Corporation)から入手)に加えた。MADAをラテックスと反応させる手
順の一例は、次の通りである。0.375gのガレノール(Galenol2100)(サーソルケミカルズ(Sasol Chemicals)から入手可能な非イオン系表面活性剤)を250mlのビーカーに加え、その後、120mlの水を加える。ガレノールが水中にて溶解する迄、中身を加熱しかつ撹拌し、次いで、室温まで冷やす。すり鉢及びすりこぎを用いて、2.63g(0.01モル)のMADAを細かく破砕し、その材料をガレノール溶液に移し、MADAが均質に分散される迄、混合物を激しく撹拌する。58%の乾燥ゴム含有物(DRC)を含む129gのラテックスを500mlの丸底フラスコ内に充填する。MADAの分散液をラテックスに加え、窒素の雰囲気内にて8時間、静かに撹拌しつつ60°(140°F)まで加熱する。5%アセタール酸及び1%の塩化カルシウム溶液を用いてラテックスを凝固させ、一定の重量となる迄、ゴムを25°Cの真空加熱炉内にて乾燥させる。以下に説明する連続的な抽出装置内にてゴムを抽出し、反応しなかったMADA及び樹脂を除去する。
【0040】
[0038]
図2を参照すると、抽出すべきゴム2のシートは、巻かれた状態にて抽出フラスコ4内に入っている。一例として、このゴムシートは、0.3インチ(7.62mm)以下のゲージ寸法を有することができる。全体として、ゲージ寸法が小さければ小さいほど、抽出時間はより短くなる。ゴムシートは、図示したチキンワイヤーのような、多孔の支持体5上にて支持することができる。抽出フラスコは抽出溶媒6にて満たされており、ゴムは抽出溶媒中に完全に浸漬する。抽出溶媒は、沸騰するフラスコ8内に入れて、溶媒の定常な流れを保証する。抽出フラスコは、連続的に排液し、抽出溶媒と抽出分の形成された組み合わせ体は、沸騰するフラスコ内に供給する。好ましくは、沸騰するフラスコと凝縮器12とを接続するカラム10は絶縁されるものとする。沸騰するフラスコは、加熱されて溶媒を蒸発させ、沸騰するフラスコ内に抽出分が残るようにする。好ましくは、抽出フラスコには、温度計を設けて、適正な反応温度が維持されることを保証するようにする。溶媒蒸気は、凝縮器内にて凝縮し、液体溶媒は、抽出フラスコ内に移動し、抽出フラスコに対して新たな溶媒の定常な流れが提供されるようにする。
【0041】
[0039]
図2を参照すると、検査試料(control samples)として、天然ゴムラテックス及びグアユールゴムラテックスは、MADAと反応したラテックスを凝固させるために使用したものと同一の5%アセタール酸/1%の塩化カルシウム溶液を用いて凝固させた。形成されるゴムは、アセトンを用いて連続的な抽出装置内にて抽出し、一定の重量となる迄、25°Cに設定した真空加熱炉内にて乾燥させた。天然ゴムの試料は、25°Cにて8時間、抽出し、グアユールゴムの試料は、35°Cにて16時間、抽出した。
【0042】
[0040] 全ての試料の抽出性含有量は、60°Cにて4時間、アセトンを用いてソックスレ―(Soxhlet)抽出方法により測定した。試料は、また、改定ASTMD3616の手順及び上記にて説明したムーニー保持指標試験法を用いてゲルについて試験した。結合したMADAの含有量は、以下に示したように、熱分解ガスクロマトグラフィ/質量クロマトグラフィ法(GC/MS)によって測定した。
【0043】
[0041] ポリマーの全比率として、含まれたMADAの量を測定するため、0%、0.75%、1.5%及び3%のMADAを含む検査ゴムを作成し、次に、熱分解GC/MSを介して分析した。これらの検査物からの結果は、MADAと反応したゴム試験片と比較した。検査試験片を作成するため、10gのゴムを666.7gのジクロロメタンに溶融させた。形成された混合物は、4つの別個のフラスコに分離し、破砕したMADAをゴムの重量にて0%、0.75%、1.5%及び3%の量にて加えた。試料は、一昼夜、撹拌し、次に、アルミニウム容器に注ぎ込み、溶媒を蒸発させた。形成されたゴムは、容器から取り出して、熱分解GC/MS試験を受けさせた。
【0044】
[0042] 天然ゴム及びグアユールポリマーシステムの双方における結合したMADAの正確な測定値を計算するための主たる手段は、固体のゴム試料の熱分解GC/MSである。一般的な熱分解GC/MS技術は、ピータークッシュ(Peter Kusch)(2012)による、進歩したガスクロマトグラフィ、ポリマー系材料の熱分解―ガスクロマトグラフィ/質量スペクトル測定方法―農業、バイオ医療及び工業的用途における進歩、ムスターファアリモード博士(編集)、(Pyrolysis-Gas Chromatography/Mass Spectrometry of Polymeric Materials,Advanced Gas Chromatography-Progress in Agricultural,Biomedical and
Industrial Applications, Dr.Mustafa Ali
Mohd(Ed)))ISBN:978-953-51-0298-4に記載されており、その内容は、引用して本明細書に含めてある。分析のための詳細なクロマトグラフィの条件は、表3に掲げられている。
【0045】
[0043]
【0046】
【0047】
[0044] 対象とするピーク値を測定するため、純粋なMADAの最初の熱分解を行った。ガスクロマトグラフの検査から、対象とする2つのピーク値は、保持時間が9.822分及び12.025分のときのものである。これらのピーク値の質量スペクトルグラフの双方は、1.4-ベンゼンジアミン、N-フェニールの質量クロマトグラフ、すなわち、MADAの代謝物である質量番号184の主要なピーク値と極めて類似した値を示す。この分析の主に強調すべき点は、最初の1、4-ベンゼンジアミン、N-フェニールのピーク値は9.9分頃に生じ、この時間は、天然ゴム及びグアユールの双方に対する一連の検査試料の各々に対するMADAの含有量を測定するために使用した面積であった点である。
【0048】
[0045] 天然ゴム及びグアユールゴムの双方の0%、0.75、1.5%及び3.0%のMADAの検査試料の各々について、試料は、重さを計り、600℃にて熱分解GC/MSを受けた。1、4-ベンゼンジアミン、N-フェニールのピーク値について、9.9分に手操作のピーク値積分を行った。計算結果は、試料の重量で割り、正規化したピーク値面積を求めた。その後、正規化したピーク値面積対検査試料の中の知られたMADAの比率をプロットした結果、反応し/抽出した試料中のMADAを測定するため使用することのできるグラフが得られた。原点に切片セットを有する線形趨勢線を具体化する結果は、天然ゴム及びグアユールゴムシステムについてそれぞれ0.99及び0.90の実効値(R squared values)を有する一次方程式を生じさせる。
【0049】
[0046] ATRの分析は、試験した「MADAを含む」試料の各々について計算結果を確認した。試料は、天然ゴム及びグアユールゴムに対して1514の波長番号にて比較した。試料の各々の伝導率(%T)は、試料中のMADAの比率として100-%Tをプロットすることにより、比較した。このことは、天然ゴム及びグアユールゴムの双方について、線形の関係を示した。MADAを含んだ試料中のMADAの比率は、一番合う直線(best fit line)の等式及びATR結果からの観察した比率%Tを使用して測定した。
MADAと天然ゴムの反応
[0047] 天然ゴムの検査物及びMADAを含んだ試料についての抽出性含有量のデータは、表4にて見ることができる。抽出曲線は、
図3にて見ることができる。天然ゴムの場合、ゴムを抽出する目的は、非結合のMADAを除去することであるから、8時間の抽出時間で十分である。データは、8時間の抽出の後、抽出性含有量は減少し、このことは、抽出前に試料中に存在していた非結合のMADAは、抽出中に除去されたことを示す。
【0050】
【0051】
[0048] 天然ゴム試料のゲル含有量及びMRIのデータは、表5にて見ることができる。反応した試料及び検査試料の双方のゲル含有量及びムーニー粘度は、ほぼ等しいため、MADAを含めたことは、ラテックス中のゴムが架橋結合し、又は分解する結果とはならないことを示す。しかし、老成後、検査試料のムーニー粘度は著しく低下し、このことは、MADAを含めた試料Dについては、観察されなかった。老化した試料は、シロップとなる程度にまで、加熱炉内にて劣化し、それは、ゴム中の全ての天然の酸化防止剤は、抽出ステップ中に除去されたからである。これとは逆に、結合したMADAを有する試料は、MRI89%にてその初期ムーニー値をほぼ維持し、このため、このことは、MADAは、抽出媒体に対する安定性を提供する、効果的なポリマー結合した酸化防止剤であるということができる。
【0052】
【0053】
[0049]MADAとグアユールゴムとの反応
グアユールゴムの検査物とMADAを含めた試料に対する抽出性含有量のデータは、表6にて見ることができる。抽出曲線は、
図4にて見ることができる。データは、グアユールの初期抽出性含有量は、天然ゴムよりも遥かに多い(表4の天然ゴムのデータと比較して)が、抽出中、著しく減少したことを示す。
【0054】
【0055】
[0050] グアユールゴム試料に対するゲルの含有量及びMRIのデータは、以下の表7にて見ることができる。グアユールゴムのゲル含有量は、通常、約5又は6%である。検査物のゲル含有量は、約16%であり、試料は、多少の酸化を受ける可能性があり、その結果、ゴムが架橋結合することを示す。しかし、結合したMADAを有する試料については、ゲルの含有量は、5.75%であり、含有時の反応は、ゴムをゲル化させないことを示す。天然ゴム試料と同様に、グアユール検査試料について、老化時ムーニー粘度及び室温ムーニー粘度に大きい差がある。老化した試料は、加熱炉内にてシロップになる程度まで劣化したが、それは、ゴム中の酸化防止剤は、抽出ステップの間に除去されたからである。結合したMADAを有する天然ゴム試料と同様に、結合したMADAを有するグアユールの試料は、MRIが104%(試験の偏差限界値のため、100%を超える)のとき、その初期ムーニー値を維持した。
【0056】
【0057】
結合含有量の測定
[0051] MADAを含めた天然ゴム試料及びMADAを含めたグアユールゴム試料についての結合含有量は、上述した技術を使用して双方の試料に対して、GC熱分解法により0.5phrと計算された。その結果は、極めて望ましいと考えられ、それは、理論により限界が画されることなく、結合した酸化防止剤の含有量は、重量比にて約0.1から10.0%又は重量比にて約0.2%から3.0%又は重量比にて約0.4%から1.5%であることが有利であると考えられるからである。特に、重量比で約0.1%は、有効な酸化抵抗性の下限値を提供し、また、重量比にて約0.0%以下の含有量を維持することにより、前酸化を防止することができると考えられる。一例としての実施の形態に関して、好ましい実施の形態を参照して説明した。当然に、上記の詳細な説明を読みかつ理解することにより、当業者には、改変例及び変更例が明らかになるであろう。一例としての実施の形態は、添付した請求の範囲又はその等価物の範囲に属する限り、かかるすべての改変例及び代替例を包含するものと解釈されるべきことを意図するものである。以下は、本願に係る形態である。
[形態1] グアユールゴムのような天然ゴムを安定化させる方法において、
MADAがゴムに化学的に結合するような状態下にてMADAをゴムのラテックス形態に導入し、その後、該ゴムを処理して、含有された樹脂の少なくとも実質的な部分を除去するステップを備える、方法。
[形態2] 形態1に記載の方法において、
前記天然ゴムは、抽出する前に含有されたゴムの少なくとも7%以上を含む、方法。
[形態3] 形態1に記載の方法において、
前記処理するステップは、前記ゴムに極性溶媒にて接触するステップを含む、方法。
[形態4] 形態1に記載の方法において、
前記極性溶媒は、アセトンである、方法。
[形態5] 形態1に記載の方法において、
前記極性溶媒は、4つ又はより少ない原子を含むアルコールである、方法。
[形態6] 形態1に記載の方法において、
前記極性溶媒は、アセトンと炭化水素の混合体から成る、方法。
[形態7] 形態1に記載の方法において、
前記処理したゴムは、重量比にて、4%以下、好ましくは、3%以下の樹脂を含む、方法。
[形態8] 形態1に記載の方法において、
パラゴム以外の天然ゴムを安定化させる方法において、
MADAがゴムに化学的に結合するような状態下にてMADAをゴムのラテックス形態に導入し、その後、該ゴムを処理して、含有された樹脂の少なくとも実質的な部分を除去するステップを備える、方法。
[形態9] グアユールのような天然ゴムを安定化させる方法において、
酸化防止剤がゴムに化学的に結合するような状態下にてアミン及びフェノール系の酸化防止剤の少なくとも一方をゴムのラテックス形態に導入し、その後、該ゴムを処理して、含有された樹脂の少なくとも実質的な部分を除去するステップを備える、方法。
[形態10] シス-1、4-ポリイソプレンから成るゴム組成物において、
化学的に結合した酸化防止剤を含み、パラゴムと関係したタンパク質の20%以下を含み、かつその他の天然ゴムに存在する少なくとも微量の樹脂を含む、ゴム組成物。
[形態11] グアユールゴムから成るゴム組成物において、
化学的に結合した酸化防止剤を含み、かつグアユールゴムに存在する少なくとも微量の及び重量比にて3%の樹脂を含む、ゴム組成物。
[形態12] 形態10に記載のゴム組成物を含むタイヤ。
[形態13]グアユールラテックスを凝固させるステップと、
凝固したゴムを極性溶媒にて連続的に抽出するステップとを備える、グアユールゴムを製造する方法。
[形態14] 形態13に記載の方法において、
前記抽出前に、酸化防止剤を導入するステップを更に備える、方法。
[形態15] ポリイソプレンから成るゴムラテックス組成物において、
アレン酸化物の合成物と、化学的に結合した酸化防止剤とを含む、ゴムラテックス組成物。
[形態16] 形態15に記載のゴム組成物から成るゴムラテックス組成物。
[形態17] 連続的な過程を含む、形態1、8又は9に記載の方法。
[形態18] 前記酸化防止剤(例えば、MADA)は、重量比にて約0.1から10.0%の範囲、重量比にて約0、2から3.0%の範囲、重量比にて約0.4から1.5%の範囲又は重量比にて約0.5%、存在する、形態17に記載の方法、ゴム又はタイヤ。