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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】エンジンとモータのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/14 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
H02K7/14 B
H02K7/14 Z
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020150582
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2021048762
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】201910882456.8
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】リィン,シィンリィァン
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ,ヂィーチァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォゥ,ィアォ
(72)【発明者】
【氏名】イー,ピィン
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109017262(CN,A)
【文献】米国特許第05952746(US,A)
【文献】特開平07-224677(JP,A)
【文献】特開2019-068682(JP,A)
【文献】実開昭60-144777(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータとを含み、前記エンジンには、クランクシャフトが設けられており、前記クランクシャフトが、本体と、前記エンジンの外部に延びた延伸部とを含み、前記延伸部が前記モータの回転軸を構成し、前記モータのロータが前記延伸部に取り付けられているエンジンとモータのアセンブリであって、
前記回転軸の末端に冷却液ポンプが接続され、前記冷却液ポンプのロータが前記回転軸に取付固定されており、前記回転軸が回転しながら前記冷却液ポンプを駆動して作動させ、前記モータに冷却液を供給
前記クランクシャフトの本体と延伸部との間に、前記延伸部側の端面が面一に形成された移行部が設けられており、前記モータのロータがフランジ構造を介して前記移行部の延伸部側の端面に接続固定されている、
ことを特徴とするエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項2】
前記モータのロータが鉄心ブラケットを含み、前記鉄心ブラケットの中間部にいくつかの主接続穴が設けられ、前記移行部の端面にいくつかの副接続穴が対応して設けられており、前記主接続穴と前記副接続穴とが位置合わせされた状態で、ボルトを挿入して接続固定される、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項3】
前記鉄心ブラケットの中間部には、前記移行部に向く突出部が設けられ、前記主接続穴が前記突出部に設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項4】
前記鉄心ブラケットの中間部にスリーブが設けられており、前記モータのロータが前記延伸部に取り付けられた状態で、前記スリーブは、前記延伸部と締り嵌めして、前記回転軸と同心になることが保証される、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項5】
前記スリーブにレゾルバロータが取付固定されているか、又は、前記延伸部にレゾルバロータが取付固定されている、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項6】
前記延伸部には、前記移行部との接続位置から末端に向かって、徐々に縮径するいくつかの段差部が順次に設けられており、前記スリーブが最初の段差部と締り嵌めし、中間のいずれかの段差部に、前記回転軸を支持する補助軸受が取付固定されており、前記冷却液ポンプのロータが最後の段差部に取付固定されている、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項7】
前記冷却液ポンプのロータと前記最後の段差部とが、フラットキー又はスプラインを介して接続固定されるか、又は、締り嵌めによって接続固定される、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項8】
前記鉄心ブラケットの中間部にスリーブが設けられており、前記モータのロータが前記延伸部に取り付けられた状態で、前記スリーブと前記延伸部とが中間嵌め又は隙間嵌めとされる、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【請求項9】
前記移行部が本体とフランジとを含み、前記フランジが前記モータのロータに向いて設けられ、前記本体とフランジとの間に接続ネック部が設けられており、前記接続ネック部の直径が前記本体及びフランジの直径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項に記載のエンジンとモータのアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力アセンブリに関し、具体的には、車両を駆動するか又は電気を発生させるために使用されるエンジンとモータのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車は、省エネ、排出ガス削減、長航続距離という利点を有し、持続可能な開発に適した電気自動車である。現在、ハイブリッド自動車のエンジンとモータのアセンブリは、ほとんどがエンジンとモータの単純な機械的統合であり、エンジンの後端にフライホイールが接続されており、モータの入力軸がねじり振動ダンパーを介してフライホイールに接続されており、統合度が低い、構成部品が多い、質量が大きい、体積が大きい、信頼性が低い、コストが高い等の欠点が存在する。また、技術進歩及び量産化の要求に応えることができず、動力アセンブリの小型化及び軽量化の目標を実現することも困難である。
【0003】
先行技術には、より高度に統合されたレンジエクステンダーが開示されており、具体的には、図1図2に示すようなエンジンとモータのアセンブリであり、エンジン8とモータ9とを含み、エンジン8が燃料モードであり、モータ9として、発電機又はISGモータを用いてもよく、電動機を用いてもよい。エンジン8には、クランクシャフト7が設けられ、クランクシャフト7には、エンジン8の外部に延びた延伸部7-3が設けられており、延伸部7-3がモータ9の回転軸6を構成し、モータ9のロータ3が延伸部7-3に取り付けられている。
【0004】
モータ9のロータ3と回転軸6とが、例えばスプラインやフラットキーなどのキーを介して接続固定されるか、又は、締り嵌めによって接続固定される。図2に示すように、クランクシャフト7には、延伸部7-3にキー溝が設けられている。スプライン接続を用いる場合、延伸部7-3に雄スプラインが、モータ9のロータ3に雌スプラインが設けられてもよい。
【0005】
当該レンジエクステンダーは、エンジン8とモータ9とを統合して設置した構造を採用しており、エンジンとモータのアセンブリの統合度が向上し、エンジンとモータのアセンブリの重量及び体積が効果的に削減されるが、エネルギー使用率にはまだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術における上記問題に鑑みて、本発明は、モータの回転軸を冷却液ポンプに接続し、回転軸が回転しながら冷却液ポンプを駆動して作動させ、モータに冷却液を供給可能にすることで、動力アセンブリのエネルギー使用率を向上させたエンジンとモータのアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0008】
本発明は、エンジンとモータとを含み、前記エンジンには、クランクシャフトが設けられており、前記クランクシャフトが、本体と、前記エンジンの外部に延びた延伸部とを含み、前記延伸部が前記モータの回転軸を構成し、前記モータのロータが前記延伸部に取り付けられており、前記回転軸の末端に冷却液ポンプが接続され、前記冷却液ポンプのロータが前記回転軸に取付固定されており、前記回転軸が回転しながら前記冷却液ポンプを駆動して作動させ、前記モータに冷却液を供給する、エンジンとモータのアセンブリを提供している。
【0009】
また、前記クランクシャフトの本体と延伸部との間に移行部が設けられており、前記モータのロータがフランジ構造を介して前記移行部の端面に接続固定されていてもよい。
【0010】
また、前記モータのロータが鉄心ブラケットを含み、前記鉄心ブラケットの中間部にいくつかの主接続穴が設けられ、前記移行部の端面にいくつかの副接続穴が対応して設けられており、前記主接続穴と前記副接続穴とが位置合わせされた状態で、ボルトを挿入して接続固定されてもよい。
【0011】
また、前記鉄心ブラケットの中間部には、前記移行部に向く突出部が設けられ、前記主接続穴が前記突出部に設けられていてもよい。
【0012】
また、前記鉄心ブラケットの中間部にスリーブが設けられており、前記モータのロータが前記延伸部に取り付けられた状態で、前記スリーブは、前記延伸部と締り嵌めして、前記回転軸と同心になることが保証されるようにしてもよい。
【0013】
また、前記スリーブにレゾルバロータが取付固定されているか、又は、前記延伸部にレゾルバロータが取付固定されていてもよい。
【0014】
また、前記延伸部には、前記移行部との接続位置から末端に向かって、徐々に縮径するいくつかの段差部が順次に設けられており、前記スリーブが最初の段差部と締り嵌めし、中間のいずれかの段差部に、前記回転軸を支持する補助軸受が取付固定されており、前記冷却液ポンプのロータが最後の段差部に取付固定されていてもよい。
【0015】
また、前記冷却液ポンプのロータと前記最後の段差部とが、フラットキー又はスプラインを介して接続固定されるか、又は、締り嵌めによって接続固定されてもよい。
【0016】
また、前記鉄心ブラケットの中間部にスリーブが設けられており、前記モータのロータが前記延伸部に取り付けられた状態で、前記スリーブと前記延伸部とが中間嵌め又は隙間嵌めとされてもよい。
【0017】
また、前記移行部が本体とフランジとを含み、前記フランジが前記モータのロータに向いて設けられ、前記本体とフランジとの間に接続ネック部が設けられており、前記接続ネック部の直径が前記本体及びフランジの直径よりも小さくなるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構造を有して構成されたエンジンとモータのアセンブリは、以下の利点を有する。
本発明は、モータの回転軸を冷却液ポンプに接続し、冷却液ポンプがオイルポンプであってもウォーターポンプであってもよく、回転軸が回転しながら冷却液ポンプを駆動して作動させ、モータに冷却液を供給可能にすることで、動力アセンブリのエネルギー使用率を向上させた。
【0019】
冷却液ポンプは、駆動用の動力源を別途に設ける必要がないため、車両のエネルギー消費を節約し、ポンプを高度に統合するとともに、製造コストも削減した。
【0020】
本発明は、フランジ構造を介してモータのロータとエンジンのクランクシャフトとを接続しているため、ロータとクランクシャフトとの接続強度を向上させ、ロータとクランクシャフトとのモーメント伝達構造を最適化し、キーの損傷による接続不良を防ぎ、アセンブリの動作寿命を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術におけるエンジンとモータとの接続構造の模式図である。
図2】先行技術におけるクランクシャフトの構造模式図である。
図3】本発明の実施例1におけるエンジンとモータとの接続構造の模式図である。
図4】本発明の実施例1におけるクランクシャフトの構造模式図である。
図5】本発明の実施例2におけるエンジンとモータとの接続構造の模式図である。
図6】本発明の実施例2におけるクランクシャフトの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明確になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0023】
[実施例1]
図3図4に示すように、本発明の実施例1におけるエンジンとモータのアセンブリは、エンジン8とモータ9とを含み、エンジン8が燃料モードであり、モータ9として、発電機又はISGモータを用いてもよく、電動機を用いてもよい。
【0024】
エンジン8には、クランクシャフト7が設けられ、クランクシャフト7には、エンジン8の外部に延びた延伸部7-3が設けられており、延伸部7-3がモータ9の回転軸6を構成し、モータ9のロータ3が延伸部7-3に取り付けられている。
【0025】
回転軸6の末端に冷却液ポンプが接続され、冷却液ポンプのロータが回転軸6に取付固定されており、回転軸6が回転しながら冷却液ポンプを駆動して作動させ、モータ9に冷却液を供給する。
【0026】
冷却液がオイルまたは水であり、冷却液ポンプがサイクロイドロータポンプを用いてもよい。図3図4に示すように、冷却液ポンプロータ13が回転軸6の第四段差部6-4に取付固定され、冷却液ポンプステータ14がハウジング2に取付固定されている。クランクシャフト7が回転すると、冷却液ポンプが駆動されて作動し、冷却液がモータ9の外殻の中に入り、モータ9を降温する。
【0027】
クランクシャフト7の本体7-1と延伸部7-3との間に移行部7-2が設けられており、モータ9のロータ3がフランジ構造を介して移行部7-2の端面に接続固定されている。移行部7-2の端面が面一であるので、モータ9のロータ3を取り付けた後、ロータが傾かないことを保証することができる。
【0028】
移行部7-2は、もともとシーリング構造のために設けられたものであり、ダブルオイルシール12が移行部7-2とシリンダブロック1のシーリング溝との間の隙間をシーリングすることにより、エンジン8とモータ9を双方向でシーリングしている。移行部7-2をフランジを介して接続することにより、クランクシャフト7とモータ9のロータ3との間の接続強度を向上させることができる。
【0029】
具体的には、モータ9のロータ3が鉄心ブラケット17を含み、鉄心ブラケット17の円周に巻線又は磁性鋼が設けられ、鉄心ブラケット17の中間部にいくつかの主接続穴が設けられ、移行部7-2の端面にいくつかの副接続穴が対応して設けられており、主接続穴と副接続穴とが位置合わせされた状態で、ボルトを挿入して接続固定される。主接続穴がねじ山のない穴で、副接続穴がネジ穴であり、主接続穴と副接続穴の数は、6~12個になるように選択してもよい。
【0030】
図3に示すように、移行部7-2に近接して接続を容易にするために、鉄心ブラケット17の中間部には、移行部7-2に向く突出部が設けられ、主接続穴が突出部に設けられている。このように、ロータの巻線部分及びステータを左寄りに設ける必要がないので、モータ9内の他の部品を避けて、他の部品を取り付ける余地を残すことができる。
【0031】
鉄心ブラケット17の中間部にスリーブ17-1が設けられており、好ましくは、モータ9のロータ3が延伸部7-3に取り付けられた状態で、スリーブ17-1は、延伸部7-3と締り嵌めして、回転軸6と同心になることが保証される。
【0032】
組み立てを容易にするために、モータ9のロータ3が延伸部7-3に取り付けられる前に、スリーブ17-1の内径が延伸部7-3の外径よりも大きくなるようにスリーブ17-1を加熱してもよく、組み立てて冷却された状態で、スリーブ17-1と延伸部7-3との間に締り嵌めが形成される。
【0033】
モータ9のロータ3の回転角度を検出するために、スリーブ17-1にレゾルバロータ15が取付固定されている。レゾルバステータ16は、ハウジング2によって取付及び固定される必要がある。レゾルバロータ15を延伸部7-3に取付固定してもよく、そうすると、スリーブ17-1の長さを適宜短くすることが可能である。
【0034】
図4に示すように、延伸部7-3には、移行部7-2との接続位置から末端に向かって、徐々に縮径する第一段差部6-1、第二段差部6-2、第三段差部6-3及び第四段差部6-4が順次に設けられており、スリーブ17-1が第一段差部6-1と締り嵌めし、第三段差部6-3に、回転軸6を支持する補助軸受5が取付固定されており、冷却液ポンプのロータが第四段差部6-4に取付固定されている。また、レゾルバロータ15が第二段差部6-2に取付固定されてもよく、また、もし第四段差部6-4が冷却液ポンプから伸び出すことができれば、第四段差部6-4の尾端にレゾルバロータ15を取付固定してもよい。
【0035】
具体的には、冷却液ポンプロータ13と第四段差部6-4とが、フラットキー又はスプラインを介して接続固定されるか、又は、締り嵌めによって接続固定される。
【0036】
また、スリーブ17-1と延伸部7-3とは、より容易に組み立てられるように、中間嵌め又は隙間嵌めを用いてもよい。上記と同様に、組み立てを容易にするために、モータのロータが延伸部7-3に取り付けられる前に、スリーブ17-1の内径が延伸部7-3の外径よりも大きくなるようにスリーブ17-1を加熱してもよく、組み立てて冷却された状態で、スリーブ17-1と延伸部7-3との間に中間嵌め又は隙間嵌めが形成される。
【0037】
本実施例において、エンジン8とモータ9とが一体的に統合されており、従来のモータとエンジンとを接続するフライホイール及びねじり振動ダンパー等の構造がなく、構成部品が少なく、体積が小さくて、軽量であり、構造がコンパクトである。
【0038】
構成部品及び重量をさらに減らすために、本実施例において、エンジン8がモータ9に隣接して設けられ、ハウジング2の左端がエンジン8のシリンダブロック1に直接に取り付けられており、具体的には、シリンダブロック1の前フランジ面に取り付けられており、固定面及びシーリング面を形成する。
【0039】
モータ9には、右端カバー10がさらに設けられており、モータ9のハウジング2が右端カバー10と一体に形成され、このように設計すると、モータ9のハウジング構造を簡素化し、統合度をさらに向上させることができる。
【0040】
モータ9では、左端カバーが設けられておらず、これにより、エンジンとモータのアセンブリの軸方向の長さを短縮することもできる。
【0041】
図3に示すように、モータ9のハウジング2は、エンジン8のシリンダブロック1と接続される端にフランジが設けられており、ボルトによってエンジン8のシリンダブロック1と接続され、エンジン8のシリンダブロック1にネジ穴を設ける必要がある。接続部には、モータ9のハウジング2の内部をシーリングするためのシーリング構造、例えばシーリングリングが設けられている。
【0042】
エンジン8とモータ9とが隣接する位置には、エンジン8とモータ9を双方向でシーリングするダブルオイルシール12という構造が設けられている。ダブルオイルシール12という構造をエンジン8のシリンダブロック1に設けてもよく、それに応じて、エンジン8のシリンダブロック1に、シーリング部品を取り付けるためのシーリング溝を設ける必要がある。
【0043】
図4に示すように、ダブルオイルシール12が移行部7-2とシリンダブロック1のシーリング溝との間の隙間をシーリングすることにより、エンジン8とモータ9を双方向でシーリングしている。
【0044】
図3に示すように、モータ9の右端カバー10には、モータ9の回転軸6を支持する補助軸受5を取り付けるための軸受座が設けられている。ロータ3の半径方向の振れを低減し、モータ9のエアギャップが大きく変化しないことを保証するために、補助軸受5と回転軸6とが中間嵌め又は締り嵌めを用いる。
【0045】
エンジン8とモータ9とが隣接する位置において、クランクシャフト7には、すべり軸受11が設けられており、このすべり軸受11は、クランクシャフト7と回転軸6とが共有する軸受とみなすことができる。
【0046】
本実施例において、モータ9は、永久磁石モータ、誘導モータ、ハイブリッド励磁モータ又はスイッチドリラクタンスモータのいずれであってもよく、モータ9のステータ4が分布巻又は集中巻のいずれを用いてもよい。
【0047】
モータ9のハウジング2内に油路又は水路が設けられており、冷却モードが油冷の場合は油路を、冷却モードが水冷の場合は水路を、設ける必要がある。
【0048】
また、放熱効果を向上させるように、モータ9のハウジング2の外側に放熱リブを設けてもよい。
【0049】
本実施例は、モータ9の回転軸6を冷却液ポンプに接続し、冷却液ポンプがオイルポンプであってもウォーターポンプであってもよく、回転軸が回転しながら冷却液ポンプを駆動して作動させ、モータに冷却液を供給可能にすることで、動力アセンブリのエネルギー使用率を向上させた。
【0050】
冷却液ポンプは、駆動用の動力源を別途に設ける必要がないため、車両のエネルギー消費を節約し、ポンプを高度に統合するとともに、製造コストも削減した。
【0051】
本実施例は、フランジ構造を介してモータ9のロータ3とエンジン8のクランクシャフト7とを接続しているため、ロータ3とクランクシャフト7との接続強度を向上させ、ロータ3とクランクシャフト7とのモーメント伝達構造を最適化し、キーの損傷による接続不良を防ぎ、アセンブリの動作寿命を向上させた。
【0052】
[実施例2]
図5図6には、本発明の実施例2が示されており、本実施例において、移行部7-2が本体とフランジとを含み、フランジがモータ9のロータ3に向いて設けられ、本体とフランジとの間に接続ネック部が設けられており、接続ネック部の直径が、本体及びフランジの直径よりも小さい。
【0053】
図6に示すように、副接続穴が、フランジの鉄心ブラケット17に向く端面に設けられており、鉄心ブラケット17がボルトによってフランジに接続固定されている。
【0054】
本実施例における移行部7-2の長さは、実施例1における移行部7-2よりも長いため、鉄心ブラケット17に突出部を設ける必要がない。
【0055】
構造上の強度を満たすことを前提に、接続ネック部は、移行部7-2の重量を減らすことが可能である。
【0056】
本発明の実施例2におけるエンジンとモータのアセンブリは、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0057】
上記は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記開示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の具体的な記載は、本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0058】
1…シリンダブロック、2…ハウジング、3…ロータ、4…ステータ、5…補助軸受、6…回転軸、6-1…第一段差部、6-2…第二段差部、6-3…第三段差部、6-4…第四段差部、7…クランクシャフト、7-1…本体、7-2…移行部、7-3…延伸部、8…エンジン、9…モータ、10…右端カバー、11…すべり軸受、12…ダブルオイルシール、13…冷却液ポンプロータ、14…冷却液ポンプステータ、15…レゾルバロータ、16…レゾルバステータ、17…鉄心ブラケット、17-1…スリーブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6