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特許7065921答案データ配布サーバ、答案データ配布方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】答案データ配布サーバ、答案データ配布方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20220502BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B19/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020155451
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049314
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】506142716
【氏名又は名称】株式会社Z会
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 淳
(72)【発明者】
【氏名】小野 栄作
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-065635(JP,A)
【文献】特開2006-084705(JP,A)
【文献】特開2009-054069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題の識別子である問題ID、前記問題の出題教科や出題分野を特定するタグである分野タグ、答案として記載されている解法を特定するタグである解法タグ、および添削対象である答案を含む答案データを取得する答案データ取得部と、
添削者が過去に添削を行った答案データの問題ID、分野タグ、解法タグを含む添削者データを添削者ごとに記憶した添削者データベースを参照し、前記答案データと前記添削者データを比較することにより、両者の一致度を算出し、記一致度が高い答案データほど添削者が閲覧しやすい位置に配置されるように複数の前記答案データを並び替える答案データソート部と、
並び替えた前記答案データを前記添削者の端末である添削者端末に送信するソート済み答案データ送信部を含む
答案データ配布サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の答案データ配布サーバであって、
前記添削者端末から添削済みの答案データである添削データを受信する添削データ受信部を含み、
前記添削者データベースは、
前記添削データに含まれる問題ID、分野タグ、解法タグを前記添削者端末に対応する識別子である添削者IDに対応付けて記憶する
答案データ配布サーバ。
【請求項3】
答案データ配布サーバが実行する答案データ配布方法であって、
問題の識別子である問題ID、前記問題の出題教科や出題分野を特定するタグである分野タグ、答案として記載されている解法を特定するタグである解法タグ、および添削対象である答案を含む答案データを取得するステップと、
添削者が過去に添削を行った答案データの問題ID、分野タグ、解法タグを含む添削者データを添削者ごとに記憶した添削者データベースを参照し、前記答案データと前記添削者データを比較することにより、両者の一致度を算出し、記一致度が高い答案データほど添削者が閲覧しやすい位置に配置されるように複数の前記答案データを並び替えるステップと、
並び替えた前記答案データを前記添削者の端末である添削者端末に送信するステップを含む
答案データ配布方法。
【請求項4】
請求項3に記載の答案データ配布方法であって、
前記添削者端末から添削済みの答案データである添削データを受信するステップと、
前記添削データに含まれる問題ID、分野タグ、解法タグを前記添削者端末に対応する識別子である添削者IDに対応付けて記憶するステップを含む
答案データ配布方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1または2に記載の答案データ配布サーバとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、答案データを添削者の端末(添削者端末)に配布する答案データ配布サーバ、答案データ配布方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
解答用紙レイヤ上の答案レイヤにタッチパネルなどを用いて書き込むことによって作成された答案データに対して、添削者が添削レイヤにタッチパネルなどを用いて書き込むことができる答案添削支援装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の答案添削支援装置のタッチパネルを備えたディスプレイには、答案の画像が表示される。添削者は、スタイラスペンを用いて○、×等のチェックや、コメントの書き込みを行う。添削者が、コメントの書き込みを行うと、書き込んだコメントの文字のサイズが検出される。検出された文字のサイズが、答案中の文字のサイズのX倍になるようにサイズ変換されて、書き込んだコメントが答案に重ねて表示される。
【0004】
特許文献1の答案添削支援装置によれば、汎用のシステムを用いて、添削者が効率よく添削作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-016669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の答案添削支援装置は、添削者の能力やニーズに応じた答案のデータを添削者に適切に配布することはできなかった。
【0007】
これにより、添削者間で作業量と手数料のバランスに不公平が生じる場合があり、また添削結果の質を担保できない場合があった。
【0008】
そこで本発明では、添削者の能力やニーズに応じた答案データを添削者に適切に配布することができる答案データ配布サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
答案データ配布サーバは、答案データ取得部と、答案データソート部と、ソート済み答案データ送信部を含む。
【0010】
答案データ取得部は、問題の識別子である問題ID、問題の出題教科や出題分野を特定するタグである分野タグ、答案として記載されている解法を特定するタグである解法タグ、および添削対象である答案を含む答案データを取得する。答案データソート部は、添削者が過去に添削を行った答案データの問題ID、分野タグ、解法タグを添削者ごとに記憶した添削者データベースを参照し、添削者が過去に添削した答案データの問題ID、分野タグ、解法タグとの一致度が高い答案データほど添削者が閲覧しやすい位置に配置されるように複数の答案データを並び替える。ソート済み答案データ送信部は、並び替えた答案データを添削者の端末である添削者端末に送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の答案データ配布サーバによれば、添削者の能力やニーズに応じた答案データを添削者に適切に配布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の答案データ配布サーバの構成を示すブロック図。
図2】実施例1の答案データ配布サーバの動作を示すフローチャート。
図3】答案データベース、添削者データベースの構成例を示す図。
図4】コンピュータの機能構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0014】
以下、図1を参照して実施例1の答案データ配布サーバ1の構成を説明する。同図に示すように本実施例の答案データ配布サーバ1は、答案データ取得部11と、答案データベース12と、答案データソート部13と、ソート済み答案データ送信部14と、添削データ受信部15と、添削結果データベース16と、添削者データベース17を含む。
【0015】
以下、図2を参照して、本実施例の答案データ配布サーバ1の各部の動作を説明する。
【0016】
<答案データ取得部11>
答案データ取得部11は、問題の識別子である問題ID、問題の出題教科や出題分野を特定するタグである分野タグ、答案として記載されている解法を特定するタグである解法タグ、および添削対象である答案を含む答案データを取得する(S11)。
【0017】
≪答案データの生成方法≫
この明細書において、問題の解答者をユーザと呼称する。ユーザは、自身の端末(以下、ユーザ端末と呼称する)を使用して問題文や解答用紙のデータを表示し、解答用紙のデータに対してタッチパネルやペンタブレットなどを使用して手書き入力を行って、問題に解答する。問題文や解答用紙のデータ(このデータには、予め問題IDと分野タグが付与されていてもよい)と手書き入力されたデータのセットを、以下、手書き解答データと呼ぶ。なお、手書き解答データにおいて、例えば、問題文(解答用紙)レイヤと手書きレイヤとを階層分けして記憶してもよい。
【0018】
手書き解答データは、本実施例の答案データ配布サーバ1か、あるいは別のデータ処理サーバによって処理されて、答案データに変換される。
【0019】
答案データ配布サーバ1、または別のデータ処理サーバは、手書き解答データ内の問題文や解答用紙のデータに問題ID、分野タグが未だ付されていない場合には、問題ID、分野タグを決定する。この処理は、人手で行ってもよいし、問題文や解答用紙のデータのテキスト情報から、問題ID、分野タグを推定、抽出してもよい。
【0020】
次に、答案データ配布サーバ1、または別のデータ処理サーバは、手書き解答データ内の手書き入力されたデータを参照してOCRとキーワード抽出を行い、OCR読取結果と、抽出されたキーワードを使用して、答案として記載されている解法を特定し、手書き解答データに解法タグとして付与する。解法の例として、例えば教科が数学であれば、「因数分解」、「二次方程式」、「加法定理」、「積分」などがあり、解法タグはこれらの解法に英数字などを割り当てたものである。
【0021】
このようにして、問題ID、分野タグ、解法タグを付与した手書き解答データを、以下「答案データ」と呼称する。
【0022】
例えば図3の例では、問題ID:005464の問題は、分野タグ:M565が付されており、あるユーザはこの問題(ID:005464)に対して解法:30により解答を試みており(答案データベース12の表の1行目)、一方、同じ問題(ID:005464)に対して、他のユーザは解法:15-30により解答を試みている(答案データベース12の表の2行目)。
【0023】
<答案データベース12>
答案データベース12は、ステップS11で取得された答案データを、例えば図3の表のように記憶、蓄積する(S12)。
【0024】
<答案データソート部13>
答案データソート部13は、添削者が過去に添削を行った答案データの問題ID、分野タグ、解法タグを添削者ごとに記憶した添削者データベース17を参照し、添削者が過去に添削した答案データの問題ID、分野タグ、解法タグとの一致度が高い答案データほど添削者が閲覧しやすい位置に配置されるように複数の答案データを並び替える(S13)。
【0025】
図3に、ある添削者(添削者ID:gd45135)の添削者としてのデータを例示した。同図の例に示すように、この添削者は、問題ID0011,0022,0054,…で示される問題の添削経験がある。また、分野タグM285,M355,…などで示される分野の問題の添削経験がある。また、解法タグ1,3,7,…で示される解法に関しては、過去に添削経験がある。
【0026】
答案データソート部13は、答案データと添削者データを比較することにより、両者の一致度を算出する。例えば、同図の答案データベース12の表の1行目に示す答案データ(問題ID:005464、分野タグ:M565、解法タグ:30)の場合、添削者ID:gd45135の添削者は、問題ID:005464、分野タグ:M565の問題の解法タグ30を含む答案の添削経験がある。従って、この答案データに対する添削者ID:gd45135の一致度=100%とすることができる。他の例として、例えば、同図の答案データベース12の表の4行目に示す答案データ(問題ID:005464、分野タグ:M565、解法タグ:15-12-8)の場合、添削者ID:gd45135の添削者は、問題ID:005464、分野タグ:M565の問題の添削経験があるものの、解法タグ12や、解法タグ8を含む答案の添削経験がない(または十分でない)と判断されており、対応する一致度は100%よりも低い値に設定される。一致度は、問題ID、分野タグ、解法タグのそれぞれの一致・不一致に対して適切な重みづけを行って決定すればよい。
【0027】
答案データソート部13は、上述のように算出された一致度が高い答案データほど添削者が閲覧しやすい位置に配置されるように複数の答案データを並び替える。
【0028】
<ソート済み答案データ送信部14>
ソート済み答案データ送信部14は、並び替えた答案データを添削者の端末である添削者端末に送信する(S14)。
【0029】
<添削者端末>
添削者端末は、並び替えた答案データを受信して、添削者に表示する。添削者は、並び替えられた答案データのいずれかを選択して受注し、選択した答案データの添削を行う。添削は、例えばタッチパネルやペンタブレットなどを使用して手書き入力で行うことができる。添削済みの答案データである添削データは、添削結果レイヤ(例えば赤い色の文字などで記入されている)と問題文(解答用紙)レイヤと手書きレイヤとを階層分けして記憶される形式であってもよい。添削者端末は、添削者端末から添削済みの答案データである添削データ(添削者ID含む)を答案データ配布サーバ1に送信する。
【0030】
<添削データ受信部15>
添削データ受信部15は、添削者端末から添削データを受信する(S15)。
【0031】
<添削結果データベース16>
添削結果データベース16は、添削データを記憶・蓄積する(S16)。
【0032】
<添削者データベース17>
添削者データベース17は、添削データに含まれる問題ID、分野タグ、解法タグを添削者端末に対応する識別子である添削者IDに対応付けて記憶・蓄積する(S17)。
【0033】
本実施例の答案データ配布サーバ1によれば、添削者の能力やニーズに応じた答案データを添削者に適切に配布することができる。
【0034】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0035】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0036】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0037】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0038】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0039】
上述の各種の処理は、図4に示すコンピュータの記録部10020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部10010、入力部10030、出力部10040などに動作させることで実施できる。
【0040】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP-ROM(Electrically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0041】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0042】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0043】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
図1
図2
図3
図4