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特許7065934傾斜型ホイールを備えた、フロートガラスリボンの縁を操作する装置、及び該装置を備えた設備
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  • 特許-傾斜型ホイールを備えた、フロートガラスリボンの縁を操作する装置、及び該装置を備えた設備 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】傾斜型ホイールを備えた、フロートガラスリボンの縁を操作する装置、及び該装置を備えた設備
(51)【国際特許分類】
   C03B 18/06 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
C03B18/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020205469
(22)【出願日】2020-12-11
(62)【分割の表示】P 2017527357の分割
【原出願日】2015-11-19
(65)【公開番号】P2021050137
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】2014/5070
(32)【優先日】2014-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】512128232
【氏名又は名称】フィブ スタン
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】マバ,アポロニオ
(72)【発明者】
【氏名】ネジャール,ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】アヴディーヤ,ハッサン
【審査官】松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519611(JP,A)
【文献】特開平08-277130(JP,A)
【文献】特公昭48-043926(JP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第01340721(EP,A2)
【文献】国際公開第2014/091967(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02174986(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートチャンバの液体槽において搬送される粘性形態のガラスリボンの縁を操作する装置であって、
バレルの遠位端に設置されるホイールであって、ホイールの軸を中心として回転し、該ホイールの軸が前記バレルの幾何学的な長手軸に合流するように取り付けられ、前記ホイールの軸は、前記幾何学的な長手軸とともに、調節によって変更することができない、ゼロ以外の恒久的な固定角を形成し、該固定角の値は設計によって決まり、前記値は5°~30°であり、
前記ホイールは、ディスク形状であり、該ホイールの軸に対して垂直で、かつ前記幾何学的な長手軸に対して斜めの回転面を画成し、
前記バレルは前記幾何学的な長手軸を中心として回転可能であり、前記ホイールの回転面の向きを変更する、ホイール、
前記ホイールを回転させる手段
を備える、装置。
【請求項2】
前記バレルは、180°の前記幾何学的な長手軸を中心とする回転の調節範囲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バレルの向きを制御する電気機械的な装置が、前記ガラスリボンの縁に対する前記ホイールの有効な向きを作り出して維持するために設置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記バレルの高さを、前記バレルの回転の向きに従って自動的に機械的又は電気的に補正する装置が、前記ホイールと前記ガラスリボンの縁との間の一定の接触レベルを保つために設置される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バレルの貫入を、前記バレルの回転の向きに従って自動的に機械的又は電気的に補正する装置が、前記ホイールと前記ガラスリボンの縁との間の、貫入時の接触点の位置を一定に保つために設置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記バレルは、前記ホイール及び該バレルの冷却に必要な流体を搬送及び収集する1つ又は複数の循環路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記バレルは、該バレル及び前記ホイールを回転させる機構の冷却に必要な流体を搬送及び収集する1つ又は複数の循環路を備え、前記ホイールは、高温に耐性がある材料によって構成され、前記1つ又は複数の循環路によって冷却されない、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
平たいフロートガラスを製造する設備であって、溶融金属を収容するフロートチャンバを備え、該フロートチャンバでは、粘性形態の溶融したガラスが浮かべられて拡がり、リボンを形成し、請求項1に記載のガラスリボンの縁を操作する少なくとも1つの装置を備える、設備。
【請求項9】
フロートチャンバの液体槽において搬送される粘性形態のガラスリボンの縁を操作する装置であって、
遠位端及び幾何学的な長手軸を有するバレル、
前記バレルの前記遠位端に連結されるホイールであって、ホイールの軸を中心として回転し、該ホイールの軸が5°~30°の恒久的な固定角で前記バレルの前記幾何学的な長手軸と交差するように、前記バレルに連結される、ホイール
を備え、
前記ホイールは、前記ホイールの軸に対して垂直な回転面を画成し、該回転面は前記バレルと交差しない、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロートガラスとして知られる平らなガラスの製造作業において、フロートチャンバの液体金属槽を搬送される粘性形態のガラスリボンの縁を操作する装置に関する。
【0002】
一般に、該縁を操作する本装置は、ホイール、すなわち、ディスク又はホイール形状の部材を備え、その外周には歯状の放射状突起部が設けられており、またこの外周には1つ又は複数の列が分布している。各列において、前記歯の幾何学的な放射軸は、ホイールの軸に垂直な仮想ディスクに含まれる。このホイールは、ランス(槍部、lance)の端に固定され、それと共に機械的に不可欠であり、ランスは回転円柱体であり、長いロッド形状を有している。ランスはバレル(barrel)として知られる中空部の内部に挿入されることによって支持されており、バレルも回転円柱体である。バレルはその円柱軸に従って回転できるように固定され、一方、ランス、及び結果的にその端に固定されるホイールは、可変速度を調節することが可能な機構手段により、ランスの軸に従って回転する。
【背景技術】
【0003】
この装置、ここでは“縁装置”と呼ばれるが、地域や言語によっては、特に“アテニュエータ(attenuator)”、“トップロール(top-roll)”又は“トップローラ(top roller)”として知られるものは、通常、例えば錫のような溶融金属を収容した槽を備えたフロートチャンバの縁部に設置される。粘性形態の溶融ガラスは、ガラスが浮遊して拡がり、粘性状態のときに所望する厚さが得られるように、連続的にこの溶融金属槽に約1000℃で注入され、最終的には、フロートチャンバの出口で上記のように形成されたガラスシート又はリボンは冷却され、アニーリング徐冷窯の熱処理をそれが受ける前に硬化される。
【0004】
ガラスが注入されるフロートチャンバの炉の出口において、またガラスの切断の流れ作業において、各種温度で各種状態のたった1つのガラスリボンが存在するという意味において上記作業は連続的である。
【0005】
ガラス、錫の物理化学的特性(温度、粘度、密度、表面張力等)、及び前記槽の調整された環境によれば、通常の製造条件においては、重力を受けるガラスは浮揚し拡がって、厚さ約5.5mmとなり、これは自然な平衡厚みとして知られている。
【0006】
前記縁装置は、特にFR-A-2581984に開示されているように、ガラスの厚さを変更して所望の厚さに調節するために、フロートガラスリボンの平衡力を変更する目的を有する。この目的を達成するために、前記ホイールは、自然なガラス縁の近傍において接触してガラスリボンの厚みに外周の歯を貫入することにより、特定方向にリボンの縁をガイドして、リボンの幅を大きくしたいときはリボンの中心から縁が離れるように、あるいは、リボンの幅を小さくしたいときはリボンの中心に縁が向かうように作用する。前記ホイールは、その場所でのガラスリボンの搬送の自然速度に近い周速でホイールの軸に従ってホイールが回転することにより、ガラスリボンの搬送に追随する。“前記ホイールの回転面”は、前記歯の放射軸を含むディスクの面、又は適用事例に応じて、歯の列が複数のときは歯の放射軸を含む複数のディスクのうちの中央の面を言う。
【0007】
前記縁装置は、フロートチャンバの両側に対になって配置され、それらの歯の付いたホイールはフロートリボンの縁を動かしてガイドする。
【0008】
ホイールが回転することにより、錫の表面上を流れるガラスリボンの縁を、作業における自然な全体方向に追随させることが可能になる。リボンの幅を増加、減少、又は維持する効果は、リボンの縁のフローに与える角によって得られる。通例、この角は、リボンの幅を広くするのを正、リボンの幅を狭くするのを負で表している。ホイールの歯がリボンの縁に接触して、貫入して移動する方向に係る事実上の方向は前記縁装置の“有効方向(effective direction)”として知られている。実際には、幾何学上の簡略化のために、この方向は、ガラスリボンの上面の平面とホイールの回転面の交差として決定される。前記縁装置の名称“有効角(effective angle)”は通常“有効方向”によって形成される角をいう。また、ガラスリボンが全体的に移動する軸に係る軸であるX軸として通常知られる前記槽の軸は、前記槽の主軸と同じである。
【0009】
ガラスリボンの縁に対するホイールの効果をよく理解するためには、ホイールの回転面と“有効方向”を含む鉛直面で形成される角を考慮することも必要である。この角は“保持角”として知られ、通例リボンの中心に向かうホイールの回転面の傾きを正とされる。こうして、正の保持角である場合は、リボンの縁に貫入する歯は、該鉛直面に対して傾いており、歯の頂部はリボンの外側に向かって配向している。
【0010】
リボンの平衡力は、縁がもはや直接的にホイールによって押さえ付けられていない場合には、ガラスリボンにゆっくりとその平衡状態をもたらす傾向がある。それゆえ、作業の軸に従って連続的に複数の縁装置を設置することにより、縁装置の最初の一対によって得られる効果を維持又は増大させることが必要である。
【0011】
通例、自然の厚みと生成させる厚みの差が大きくなればなるほど、より多くの縁装置の対を追加する必要がある。この数字は、建設業界で一般的な規模のフロートガラスの生産ラインにおいて、しばしば例えば7対であるが、極薄ガラス(0.75mm未満)の生産ラインでは20対又はそれ以上とすることができる。
【0012】
現在、縁装置には、通例2つのタイプの構造、すなわち、床上式、懸垂式のものがある。それらは実質的に同じ機能を有しているが、懸垂式装置は床上に占めるスペースが小さく、安定性が高いという長所がある。懸垂式装置は床の欠陥や凹凸の影響がないからである。
【0013】
縁装置には、補助的な複数の機構が備えられている。これらは、フロートガラスリボンの縁を動かすホイールを種々の軸上に配置することを可能にする。支持構造体、配置機構、及び縁装置自体によって構成されるアセンブリは機械装置として知られる。
【0014】
作業方向の軸である水平(横)軸は通常Xとして知られ、錫槽の主軸と同じである。YはXに対して同じ水平面において垂直方向の軸であり、Zは鉛直方向である。各縁装置に対し、“屈曲面(plane of angulation)”はホイールの回転軸を含む鉛直面であり、従来例では、該回転軸はランスの長手軸と一体化されている。
【0015】
前記縁装置は、ランスの端部でホイールが固定されているランスの5つの運動を可能にしている。
【0016】
1.ランスの長手軸を中心とするバレル内のランスーホイールアセンブリの可変速度での回転
【0017】
2.ねじれ(slew)としても知られる屈曲運動。これは、屈曲軸として知られる鉛直軸を中心として、前記縁装置を支持するシャーシアセンブリの旋回運動によって生じる。鉛直軸はランスの軸に合流し、錫槽の端のすぐ近くに位置する。
屈曲角として知られる角は、屈曲面とYの間の角であり、極端な例では、およそ20°となることがある。この運動は、ガラスリボンの縁に“有効方向”が生じるように設計され、従来例においては、“有効角”の値は屈曲角の値に等しい。
【0018】
3.屈曲面と水平面の交差軸に従ってレール上をガイドして縁装置を移動させることによって生じる、錫槽の筐体内のバレルーランスーホイールアセンブリの貫入運動(進行-引出し)
【0019】
4.前記支持構造体に対してZに従って、バレルーランスーホイールアセンブリの上昇/下降によって生じる上昇/下降運動
【0020】
5.屈曲面に垂直な水平軸に従って、縁装置の支持構造体に対して、バレルの旋回運動によって生じる保持又は浸漬運動。迅速な取出し(ガラスからのホイールの緊急の離脱)する場合に生じうる。浸漬角は、水平軸とバレルの幾何学的な長手軸の間の角と定義され、バレルを支持するランスが、錫槽の中心に向かって傾いているときは正とする。リボンの縁の保持角は、従来例においては、浸漬角と直接的に関連付けられており、等しいものである。従来例では、ホイールがガラスと接触しているときは、浸漬角は0°から2、3°の間である。
【0021】
通例、前記縁装置は対になって配置され、錫槽の両側には2つの機械装置が対向する。また該2つの機械装置のそれぞれの屈曲軸は、作業のX軸に垂直である同一の面にある。
【0022】
自然な平衡厚みより大きい厚み、すなわち、約5.5mmを超える厚みをもつ厚いガラスに対しては、ホイールの回転速度はガラスリボンの搬送方向に減少し、また負の屈曲角はガラスリボンの幅の拡がりを制限するのに役立つ。
【0023】
自然な平衡厚みより小さい厚み、すなわち、約5.5mmより小さい厚みをもつ薄いガラスに対しては、ホイールの回転速度はガラスリボンの搬送方向に増加し、正の屈曲角はガラスリボンの幅の拡がりを増やすのに役立つ。
【0024】
これら装置の異なる運動は完全に動力化することができ、またアブソリュートエンコーダは、各装置の可動性要素の正確な位置を決定することを可能にする。
【0025】
一般に、ホイールの外周には歯が付けられているが、シンプルなディスク形状のホイールもある。その直径は例えば約180~260mmであり、通常、ランスに溶接されるか、ねじで取り付けられる。ランスはその幾何学的な長手軸を中心として回転する。
【0026】
ランスはバレル内でそれ自身を中心として回転し、その回転は一定している。フロートチャンバに貫入するように設計されているバレルの端、従ってホイール側において、ランスは円滑に回転させるベアリング、例えばカーボンリングにより保持される。バレルの他端においては、ランスはボールベアリングにより保持される。バレルは水冷却循環路により冷却され、またランスーホイールアセンブリは別の冷却循環路により冷却される。槽内でガラスリボンの縁にホイールを最大貫入が3~4mで配置できるようにするため、ランスは通常約4~5mの長い長さを有しており、バレルは通常少し短く、そのためランスはバレルの端から約50cmの長さでホイールを突出させている。
【0027】
ランスとホイールは電気モータにより回転する。通常、一対のホイールは同じ速度で回転するが、適用に応じて、それらは少し異なる速度で回転することもできる。
【0028】
これら全ての公知の縁装置には、錫槽の外側に広い空間を必要とするという大きな欠点がある。実際、錫槽の筐体内からランスとホイールを完全に取り出すことができるようにするために、貫入運動が使用されており、それゆえ、これは槽内でのホイールの最大貫入長さよりも十分に大きい経路をもつ必要がある。この貫入運動は槽の筐体の支持構造体上をリニアガイド(linear guiding)することで実施され、その長さは通常、1~2mの貫入経路を上回る。
【0029】
さらには、ホイールをガラスリボンに対して配向させるため、特には“屈曲”運動を実施して“有効方向”を生じさせるため、前記装置のアセンブリは、フロートチャンバの縁のすぐ近くに配置される屈曲軸を中心にして旋回する必要がある。これはホイールに対向する装置支持構造体の端の実質的な移動をX軸に従って生じさせる。この実質的な移動はランスの長さと関連付けられており、ゼロの屈曲位置に対して、Xに従って両側で1.5mでありうる。結果的に、作業に従った方向に、2つの対の装置を互いに短い距離で配置すると、第1の対に対して第2の対が採用する“屈曲”は、後ろの2つの装置の部材が障害となり制限される。この状況は、非常に遅いリボン速度で薄い又は極薄いガラスを生産する間に非常にしばしば発生する。
【0030】
また、屈曲変化の間、錫槽のホイールのXにおける位置は、貫入が大きくなるとより一層変化し、このことはリボンの縁上における活動箇所のXにおける分布を変更する。また、それゆえ、Xに従って自動的に同様ではない異なるパラメータの組み合わせをもたらす。このことは、作業コントローラーによる視覚分析を妨害し、作業のビデオモニタリングの使用を複雑にする。その理由は、ホイールは、屈曲変化の間、カメラの視野から外れることがあるからである。それゆえ、また、パラメータの異なる前記組み合わせは、ガラスリボンの温度曲線分布に従って自動的に同様なものではなく、このことは、作業の分析をより複雑にしている。
【0031】
これらの問題を解決するため、WO2011098423に記載されているように、機械装置のアセンブリを移動させるのではなく、簡単にバレルの端にホイールの屈曲軸を配置して、ランスを短くして、その軸をホイール軸と一体化させて、屈曲運動、結果として有効方向を生成させることを選択することが可能である。
【0032】
この解決法では、ホイールの回転軸はバレルの回転軸に合流し、例えば以下のように錫槽に対し、ホイールの5つの運動を行うことができる。従来例と類似しているため、各機械装置にとって、ホイールの回転軸を含む鉛直面は屈曲面として知られる。
【0033】
1.ホイールの回転はバレルの端で行われる。一方、バレルは固定されたままであり、その長手軸はXに対して垂直な鉛直面又はXに対して垂直な鉛直面と角を形成する鉛直面に恒久的に含まれ続ける。この角は、“ベーシック角”として知られ、有効角に対するその効果が正であるときは正である。ホイールの回転は、統合システムによって生成されるか、ホイールの回転軸とバレルの幾何学的な長手軸の間での角オフセットを可能にするフレキシブルドライブによって生成される。従来装置と比較すると、バレルが恒久的に同じ位置のままでいるという事実は、屈曲の生成に関連する次に続く機械装置間での障害を回避することを可能にしている。
【0034】
2.屈曲運動は、バレルの軸に合流し、また、バレルの軸と垂直であり、また、鉛直面に含まれる軸に従って、バレルの端におけるホイールの支持体を旋回させることによって生成される。屈曲角として知られる角は、すなわち、ホイールの回転面とバレルの軸に垂直な面の間の角であり、またバレルの長手軸とホイールの回転軸によって形成される角に等しい角であり、極端な例では、+20°から-20°で調節可能である。このように作業の有効角はベーシック角と屈曲角の合計である。
【0035】
3.錫槽の筐体内でのバレルーホイールアセンブリの貫入運動(進行-引出し)は、従来のとおり、縁装置をYに平行な軸に従ってレール上をガイドして移動することによって生じる。
【0036】
4.上昇/下降運動は、従来のとおり、バレルーホイールアセンブリのZに従って上昇/下降することによって生じる。
【0037】
5.保持又は浸漬運動は、従来のとおり、Xに平行な水平軸に従って、縁装置の支持構造体に対して、バレルを旋回することによって生じる。ある場合には、迅速な取出し(ガラスからのホイールの緊急離脱)を行う可能性がある。
【0038】
それゆえ、それらを実行する前記機械装置の運動並びに構造は、前記3、4、及び5に関する限り、変わっていない。
【0039】
この解決法は、バレルの端の切り詰めた容積に、非常に複雑な機構を組み入れることを必要とする。この機構は、第1にはホイールの回転運動を等速で発生する又は伝達することを可能にし、第2には、複雑な冷却循環路を必要とする厳しい状況において、バレルの軸に対し、ホイールの回転軸の可変角を調節することを可能にする。
【発明の概要】
【0040】
本発明は、WO2011098423に開示されているように、バレルを恒久的に同じ位置に維持しながら、調節可能な有効方向の形成という同じ目的を達成することを可能にするものである。しかしながら、この目的は、複雑さの低減に照らすと、ほぼ同じ利点を有する簡略化した実施形態の手段によって達成される。この目的を達成するため、本発明は、フロートチャンバの液体槽において搬送される粘性形態のガラスリボンの縁を操作する装置であって、バレルの遠位端に設置されるホイールを備え、第1に該ホイールは、その軸を中心として回転し、第2に該ホイールの回転軸は、前記バレルの幾何学的な長手軸とともに、ゼロ以外の恒久的な固定角を形成し、それは調節によって変更することができず、該固定角の値は設計によって決まり、理想的には作業によって必要となる最大の“有効角”の値であり、例えば15°である。前記バレルの長手軸と前記ホイールの回転軸の間の恒久的な固定角は、“傾斜角”として知られる。
【0041】
本発明では、錫槽に対し、ホイールの5つの運動が例えば以下のように行われる。
【0042】
1.ホイールの回転がバレルの端で行われる。一方、該バレルは固定化されたままであり、その長手軸は恒久的にXに垂直な鉛直面、又はXに垂直な鉛直面と角を形成する鉛直面に含まれ続ける。この角は、“ベーシック角”として知られ、有効角へのその効果が正のときは正である。ホイールの回転は、統合システムによって生成されるか、ホイールの回転軸とバレルの幾何学的な長手軸の間での角オフセット(angular offsetting)を可能にするフレキシブルドライブによって生成される。
【0043】
2.“有効角”によって特徴付けられる“有効方向”は、バレル自身の長手軸に従ってバレルの回転によって生じ、バレルの端にあるホイールの回転面の向きを変更している。念のために確認すると、有効方向は、ガラスリボンの上面の平面とホイールの回転面の交差として決定される。こうして有効角は、恒久的な固定した“傾斜角”の値とベーシック角の値の合計をおよそ最大とする。
【0044】
3.錫槽の筐体内でのバレルーホイールアセンブリの貫入運動(進行-引出し)は、従来のとおり、Yに平行な軸に従ってレール上をガイドすることにより縁装置が移動することによって生じる。
【0045】
4.上昇/下降運動は、従来のとおり、支持構造体に対してバレルーホイールアセンブリがZに従って上昇/下降することによって生じる。
【0046】
5.保持又は浸漬運動は、従来のとおり、縁装置の支持構造体に対して、バレルがXに平行な水平軸に従って旋回運動することによって生じる。ある場合には、迅速な取出し(ガラスからのホイールの緊急離脱)をする可能性がある。
【0047】
従来の解決法又はWO2011098423に示された解決法と比べると、縁装置の有効方向は、バレルの長手軸に対して、ホイールの回転面の配向によって形成され、結果として、保持角は明らかにより大きい値の範囲で変化する点に注目すべきである。この保持角の範囲は、大体“傾斜角”の値と浸漬角の値の合計までになる。
【0048】
また本発明は、液体が移動するフロートチャンバを備え、フロートチャンバでは、粘性形態の溶融したガラスが浮かべられて拡がり、リボンを形成するようにされ、ガラスリボンの縁を操作する少なくとも1つの前述した装置を備えることを特徴とする、設備に関する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
前述した原理の構成に加えて、本発明は、以下に添付図面を参照しつつ説明される実施形態に提示される構成を含むが、該実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明の縁を操作する装置の実施形態の原理を示す説明図である。
図2図2は、錫4の表面上に粘性形態のガラスリボン3が拡がる状況において、本発明の実施例の可能な使用についての説明図である。
図3図3は、図2に示した状況において、槽のX軸に対して垂直な断面図である。
図4図4は、作業の有効角が+10°であることを除き、図2に示したのと同様の状況における、本発明の可能な実施形態を表す説明図である。
図5図5は、作業の有効角が-5°であることを除き、図2に示したのと同様の状況における、本発明の可能な実施形態を表す説明図である。
【0051】
図1は、本発明の縁を操作する装置の実施形態の原理を示しており、ホイール1はバレル2の端に設置され、その結果、該ホイールの回転軸は、バレル2の軸に対し、0°以外で傾斜した固定角で傾斜している。該ホイールはその軸を中心として回転することができ、それ自身を中心として回転するこの軸がバレルの幾何学的な長手軸に合流するように取り付けられ、前記バレルの幾何学的な長手軸とともに、調節によって変更することができない、ゼロ以外の恒久的な固定角を形成している。この角の値は、多くの場合で5°から30°の間であり、好ましくは、15°から20°の間である。
【0052】
図2は、錫4の表面上に粘性形態のガラスリボン3が拡がる状況において、本発明の実施例の可能な使用について表している。矢印は作業におけるガラスリボンの搬送方向を示している。バレル2の軸は作業に係る軸に対し垂直な鉛直面上にあり、こうして0°のベーシック角を形成している。ホイール1の歯は、上面を介してガラスリボン3の縁6の近傍のガラスリボン3に、その拡がりを調節するために、この場合は0°の有効方向で貫入する。この目的を達成するため、バレル2は、バレルの軸とホイールの回転軸によって形成される面が鉛直で回転するように配置され、ホイールの面はガラスリボンの上面に向いている。この場合、保持角は最大であり、傾斜角に等しい。ガラスリボンの縁は、表示を容易にするため、まっすぐで示されており、錫槽の境界5の縁7に対し、0°の角を形成している。しかし実際には、リボンの縁は、動作中のガラスシート内の力のバランスに応じて、どの点でも不定に湾曲している。
【0053】
図3は、図2に示した状況において、槽のX軸に対して垂直な断面図を表している。ホイールの回転面と水平面の間の角は、ホイールの傾斜角と浸漬角(バレルの軸と水平面の間の角)の合計の値に等しいことがわかる。この場合の例では、傾斜角は15°、浸漬角は0°である。バレルの回転の調節は、それが0°の有効角を生成していることから、有効方向に対し、ニュートラルである。通常、このバレルの回転の調節は、ホイールの面がガラスリボンの上面に向いているときは、0°の値が割り当てられる。バレルの回転の調節は、バレルからホイールを支持するその端に向かって、反時計回りになされることが認められる。有効角は、バレルの調節に対し、ホイールの傾斜角に等しい90°の正の最大値、またバレルの調節に対し、-90°の負の最小値をとることができる。
【0054】
図4は、作業の有効角が+10°であることを除き、図2に示したのと同様の状況における、本発明の可能な実施形態を表している。これはガラスリボンを拡げているのに相当する。ガラスリボンの縁は、表示を容易にするため、まっすぐで示されており、錫槽の縁7に対し、10°の角を形成している。しかし実際には、リボンの縁は、動作中のガラスシート内の力のバランスに応じて、どの点でも不定に湾曲している。ホイール1の歯は、上面を介してガラスリボン3の縁の近傍のガラスリボン3に貫入して、その拡がりを調節する(この場合、有効角は10°である)。この目的を達成するために、バレル2は、バレルの軸とホイールの回転軸によって形成される面が、鉛直面に対し、約41°傾いて回転するように配置されている。またホイールの面はガラスリボンの上面に向いている。この状況では、浸漬角の値は11.23°である。
【0055】
図5は、作業の有効角が-5°であることを除き、図2に示したのと同様の状況における、本発明の可能な実施形態を表している。これはガラスリボンを狭めているのに相当する。ガラスリボンの縁は、表示を容易にするため、まっすぐで示されており、錫槽の縁7に対し、-5°の角を形成している。しかし実際には、リボンの縁は、動作中のガラスシート内の力のバランスに応じて、どの点でも不定に湾曲している。ホイール1の歯は、上面を介してガラスリボン3の縁6の近傍のガラスリボン3に貫入して、その拡がりを調節する(この場合、有効角は-5°である)。
【0056】
この目的を達成するために、バレル2は、バレルの軸とホイールの回転軸によって形成される面が、鉛直面に対し、約-19°傾いて回転するように配置されている。またホイールの面はガラスリボンの上面に向いている。この状況では、浸漬角の値は14.17°である。


図1
図2
図3
図4
図5