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特許7065969実生産プロセスを制御するための方法および制御システム
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  • 特許-実生産プロセスを制御するための方法および制御システム 図1
  • 特許-実生産プロセスを制御するための方法および制御システム 図2
  • 特許-実生産プロセスを制御するための方法および制御システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】実生産プロセスを制御するための方法および制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/04 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
G05B13/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020533094
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085611
(87)【国際公開番号】W WO2019129549
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】17210870.6
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516227939
【氏名又は名称】アーベーベー シュヴァイツ アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レドゥン, ラース
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, リカール
(72)【発明者】
【氏名】ソード, エリーゼ
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-169772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実生産プロセスを制御する方法であって、前記方法が、
a)前記実生産プロセスをシミュレートするオンラインシミュレータシステム(7)から初期条件データを受信することであって、前記初期条件データが、シミュレートされた状態変数値に基づいて前記オンラインシミュレータシステムによって決定される前記実生産プロセスの状態を含む、初期条件データを受信することと、
b)前記オンラインシミュレータシステム(7)から受信された前記初期条件データに基づいて目的関数の最適化を実行することであって、前記最適化が、前記実生産プロセスを制御するためのコントローラの操作変量のための設定点である最適解または操作変量軌跡を取得するために前記目的関数と制約とを使用することを伴う、最適化を実行することと、
c)前記実生産プロセスを制御するために前記コントローラに前記設定点を与えることと、
ステップc)の前に、ステップb)において取得された前記設定点をテストすること、および前記テストにおいて前記設定点の妥当性が確認された場合のみ、ステップc)を実行することと、
前記テストにおいて前記設定点の妥当性が確認された場合、前記設定点を前記オンラインシミュレータシステムへの入力として与えることと、
前記テストの結果に基づいて、前記実生産プロセスの動的モデルおよび前記最適化において使用された前記オンラインシミュレータシステムにおける動的モデルを調整することと
を含み、
前記テストすることが、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために補助プロセスシミュレーションにおいて前記設定点を使用することを伴い、前記テストシミュレートされたプロセス状態変数が許容範囲内である場合、前記設定点の妥当性が確認される、方法。
【請求項2】
前記テストすることが、前記テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために前記補助プロセスシミュレーションを実時間よりも速く実行することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記オンラインシミュレータシステムが、実時間プロセスデータおよびイベントに基づいて前記実生産プロセスに並行して、実時間で動作する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
制御システム(1)の処理回路(3)によって実行されるとき、前記制御システム(1)に請求項1からのいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータコードを含むコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータコードを含む記憶媒体(5)と、
処理回路(3)と
を含む、実生産プロセスを制御するための制御システム(1)であって、
前記コンピュータコードが前記処理回路(3)によって実行されるとき、前記制御システム(1)が、
前記実生産プロセスをシミュレートするように構成されたオンラインシミュレータシステム(7)から初期条件データを受信することであって、前記初期条件データが、シミュレートされた状態変数値に基づいて前記オンラインシミュレータシステムによって決定される前記実生産プロセスの状態を含む、初期条件データを受信することと、
前記オンラインシミュレータシステム(7)から受信された前記初期条件データに基づいて目的関数の最適化を実行することであって、前記最適化が、前記実生産プロセスを制御するためのコントローラの操作変量のための設定点である最適解または操作変量軌跡を取得するために前記目的関数と制約とを使用することを伴う、最適化を実行することと
を行うように構成され、
前記処理回路(3)が、前記設定点を使用して前記実生産プロセスを制御するためにコントローラに前記設定点を与えるように構成され、
前記制御システム(1)が、前記設定点をテストし、前記テストにおいて前記設定点の妥当性が確認された場合のみ、コントローラに前記設定点を与えるように構成され、
前記制御システム(1)が、前記テストにおいて前記設定点の妥当性が確認された場合、前記設定点を前記オンラインシミュレータシステム(7)への入力として与えるように構成され
前記制御システムが、前記テストの結果に基づいて、前記実生産プロセスの動的モデルおよび前記最適化において使用された前記オンラインシミュレータシステムにおける動的モデルを調整するように構成され、
前記制御システム(1)が、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために前記設定点を使用して前記実生産プロセスをオフラインでシミュレートする補助プロセスシミュレーションを実行するように構成され、前記テストシミュレートされたプロセス状態変数が許容範囲内である場合、前記テストにおいて前記設定点の妥当性が確認される、制御システム(1)。
【請求項6】
前記制御システム(1)が、前記テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために前記補助プロセスシミュレーションを実時間よりも速く実行するように構成される、請求項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、プロセス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の制御変数を伴う、パルプおよび紙生産プロセスならびに化学生産プロセスなど、複雑な生産プロセスは、通常、高度な制御戦略を使用して制御される。複雑な生産プロセスにおける制御戦略の1つの例がEP1520215B1において開示されている。この文書は、異なるプロセスセクションの操作変量と測定されたプロセス出力変数との間の時間依存関係を扱う、動的モデルによってモデル化されたプロセスを開示している。後続の時間期間の間の操作変量のための示唆される入力軌跡は、動的プロセスモデルおよび/または好ましくは同じ期間の間の生産計画によって課される制約の下で、予測時間期間にわたって目的関数(objective function)を最適化することによって取得される。目的関数は、好ましくは状態推定プロシージャによる、現在の測定に基づく、プロセスモデルを使用する時間の関数としての制御されたプロセス出力変数の予測を伴う関係を含む。
【0003】
EP1520215B1において開示されている方法の欠点は、初期状態推定が、時間がかかり、現代の計算補助手段を使用しても数分かかり得ることである。このようにして得られた初期状態は、したがって、最適化が始まるとプロセスの現在の状態を反映しないことがある。
【0004】
WO2007/067645A2は、プロセスをシミュレートし、プロセスのシミュレートされた出力を生成することと、プロセスからの測定された入力に基づいて、およびプロセスシミュレータからのシミュレートされた出力に基づいてターゲット値のセットを開発することと、ターゲット値のセットに基づいてプロセスを制御するように構成された複数の制御出力を生成することとを伴う、同時プロセスシミュレーションによる多目的保護プロセス最適化を開示している。
【0005】
US2013/317629A1は、実時間動的プロセスシミュレーションを伴う方法を開示している。本システムでは、同時仮想プロセスを作成することによって実際のプロセスの静的特性および動的特性を数学的に決定する。任意の所与の時点において、数学モデルに基づいてプロセス挙動を動的に予想する実時間シミュレーションのために履歴情報が使用される。次いで、最適化基準に対応する制御動作をシミュレートするために最適化が使用される。最適モードが見つけられ、オペレータに供給されるか、または、制御動作がMVPCによって実時間で実行されるかのいずれかである。
【発明の概要】
【0006】
上記に鑑みて、本開示の目的は、従来技術の問題を解決するか、または少なくとも緩和する、実生産プロセスを制御する方法を提供することである。
【0007】
したがって、本開示の第1の態様によれば、実生産プロセスを制御する方法が提供され、本方法は、a)実生産プロセスをシミュレートするオンラインシミュレータシステムから初期条件データを受信することと、b)実生産プロセスを制御するための設定点を取得するために、初期条件データと目的関数とに基づいて最適化を実行することとを含む。
【0008】
本方法は、したがって、実世界生産プロセスにおける実生産プロセスのオンラインシミュレーションから取得される初期条件データを使用する。
【0009】
状態変数のシミュレートされた現在値は任意の所与の時間に直ちに利用可能であるので、実生産プロセスと並行して実時間で動作し得る、オンラインシミュレータを使用することによって、必要とされるときはいつでも初期条件が取得され得る。
【0010】
初期条件は、オンラインシミュレータのプロセスモデルにおけるプロセス変数の状態、および、プロセスモデルにおいて使用されるコントローラの状態である。
【0011】
初期条件データは、たとえば、シミュレートされた状態変数値に基づいてオンラインシミュレータシステムによって決定される実生産プロセスの状態を含み得る。
【0012】
本方法は、有利には、プロセス産業において、たとえば、パルプおよび紙生産において、ならびに石油およびガス産業においてまたは化学生産プロセスにおいて使用され得る。本明細書に関して、実生産プロセスは、たとえば、パルプおよび紙生産プロセス、石油およびガス産業における石油およびガス関連プロセス、または化学生産プロセスであり得る。
【0013】
一実施形態は、c)実生産プロセスを制御するためにコントローラに設定点を与えることを含む。設定点は、制御システムのコントローラのための時間スケール上で与えられ得る。この目的のために、設定点は、スケジュールまたは設定点軌跡の形態で、コントローラへの出力として与えられ得る。これにより、コントローラは、所与の時間ウィンドウの間、スケジュールに従って設定点を使用することが可能になる。このスケジュールは本方法の後続のまたは後の反復において更新され得る。
【0014】
一実施形態は、ステップc)の前に、ステップb)において取得された設定点をテストすることと、テストにおいて設定点の妥当性が確認された場合のみ、ステップc)を実行することとを含む。本明細書に関して、最適化から取得された設定点は、実生産プロセスにおいて使用される前にテストされ得る。実生産プロセスの制御はそれによって改善され得る。特に、実生産プロセスの動的モデルおよび/または最適化において使用される動的モデルがテストに基づいて調整され、それによって動的モデルが改善され得る。
【0015】
テストは、設定点が決定された後に自動的に開始され、実行され得る。代替的に、テストは、設定点が決定された後にオペレータによって手動で開始され得る。
【0016】
一実施形態によれば、テストすることは、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために補助プロセスシミュレーションにおいて設定点を使用することを伴い、テストシミュレートされたプロセス状態変数が許容範囲内である場合、設定点の妥当性が確認される。許容範囲は、たとえば、アラーム限界など、1つまたは複数の制約によって決定される所定の範囲であり得る。
【0017】
一実施形態によれば、テストすることは、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために補助プロセスシミュレーションを実時間よりも速く実行することを含む。シミュレートされた生産プロセスの設定点の実際のテストと、テストに対する反応とは、設定点が制御において使用される前に与えられ得る。
【0018】
一実施形態は、テストにおいて設定点の妥当性が確認された場合、設定点をオンラインシミュレータシステムへの入力として与えることを含む。設定点は、したがって、実生産プロセスにおいてコントローラに与えられることに加えて、オンラインシミュレータシステムが実生産プロセスと同じ入力を受信するように、オンラインシミュレータシステムにも与えられ得る。
【0019】
一実施形態によれば、オンラインシミュレータシステムは、実時間プロセスデータおよびイベントに基づいて、実生産プロセスに並行して実時間で動作する。代替的に、または追加的に、オンラインシミュレータシステムはヒストリアン(historian)からの近実時間データおよびイベント上で動作し得る。ヒストリアンはローカルサーバまたはリモートサーバであり得る。
【0020】
本開示の第2の態様によれば、制御システムの処理回路によって実行されたとき、制御システムに第1の態様による方法を実行させるコンピュータコードを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0021】
本開示の第3の態様によれば、コンピュータコードを含む記憶媒体と、処理回路とを含む、実生産プロセスを制御するための制御システムが提供され、コンピュータコードが処理回路によって実行されたとき、制御システムは、実生産プロセスをシミュレートするように構成されたオンラインシミュレータシステムから初期条件データを受信することと、実生産プロセスを制御するための設定点を取得するために初期条件データと目的関数とに基づいて最適化を実行することとを行うように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、制御システムは、設定点を使用して実生産プロセスを制御するためにコントローラに設定点を与えるように構成される。
【0023】
一実施形態によれば、制御システムは、設定点をテストし、テストにおいて設定点の妥当性が確認された場合のみ、コントローラに設定点を与えるように構成される。設定点は、それらの妥当性が確認された場合、オンラインシミュレータシステムのソフトコントローラと実生産プロセスのコントローラの両方に与えられ得る。
【0024】
一実施形態によれば、制御システムは、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために設定点を使用して実生産プロセスをオフラインでシミュレートする補助プロセスシミュレーションを実行するように構成され、テストシミュレートされたプロセス状態変数が許容範囲内である場合、設定点の妥当性が確認される。
【0025】
一実施形態によれば、制御システムは、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために補助プロセスシミュレーションを実時間よりも速く実行するように構成される。このツールは、たとえば、オンライン最適化、すなわち、初期条件データと目的関数とに基づいて実行される最適化への補完として、またはテストとして使用され得る。
【0026】
一実施形態によれば、制御システムは、テストにおいて設定点の妥当性が確認された場合、設定点をオンラインシミュレータシステムへの入力として与えるように構成される。この場合、設定点は実生産プロセスのコントローラにも与えられ得る。
【0027】
一般に、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書で別段に明記されていない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「ある(a)/ある(an)/その(the)要素、装置、構成要素、手段など」へのすべての参照は、別段に明記されていない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つのインスタンスを指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0028】
次に、例として、添付の図面を参照しながら、発明的概念の具体的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】制御システムを概略的に示す図である。
図2】実生産プロセスを制御する例のフローチャートを示す図である。
図3】コントローラおよびオンラインシミュレーションシステムと通信している制御システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、発明的概念について以下でより十分に説明する。発明的概念は、しかしながら、多くの異なる形式において実施され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全なものになるように、また発明的概念の範囲を当業者に十分に伝達するように、例として与えられる。説明全体にわたって同様の数字は同様の要素を指す。
【0031】
図1は、実際の、すなわち実世界の生産プロセスを制御するための制御システム1の例を示す。制御システム1は処理回路3と記憶媒体5とを含む。
【0032】
処理回路3は、実生産プロセスの制御に関係する本明細書で開示される動作のいずれかを実行することが可能な、好適な中央処理ユニット(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのうちの1つまたは複数の任意の組合せを使用し得る。
【0033】
記憶媒体5は、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、または電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)など、メモリとして実施され得、より詳細には、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリ、または、コンパクトフラッシュメモリなど、フラッシュメモリなど、外部メモリにおけるデバイスの不揮発性記憶媒体として実施され得る。
【0034】
次に、図2および図3を参照しながら、制御システム1の動作について説明する。図2は、制御システム1を使用して実生産プロセスを制御する方法のフローチャートである。
【0035】
図3に示されているように、制御システム1はまた、複数のコントローラを含み得る。処理回路3は、コントローラと直接または間接的に通信するように構成され得る。コントローラは、様々なプロセスパラメータまたは操作変量を制御するためにプラント環境中に設置され得る。コントローラは、たとえば、分散型制御システム(DCS)の一部を形成し得る。
【0036】
図2に示されているように、ステップa)では、制御システム1が初期条件データを受信する。初期条件データはオンラインシミュレータシステム7から取得される。オンラインシミュレータシステム7は制御システム1の一部を形成することもしないこともある。
【0037】
初期条件データは、好ましくは、オンラインシミュレータシステム7によって決定される実生産プロセスの状態を含み得る。
【0038】
ステップb)では、ステップa)においてオンラインシミュレータシステム7から受信された初期条件データに基づいて最適化が実行される。
【0039】
最適化は、最適解または操作変量軌跡を取得するために目的関数と制約とを使用することを伴う。制約は実生産プロセスの動的モデルを含み得る。これらの最適解または操作変量のための軌跡はコントローラのための設定点である。特に、設定点は、それらが各操作変量について時間とともに設定点を与えるので、設定点軌跡である。設定点軌跡はコントローラにとって設定点スケジュールとして見られ得る。軌跡は、したがって、実生産プロセスの将来の状態変数を定義する。制御システム1は、軌跡をオペレータにディスプレイ上で視覚的に提示するように構成され得る。
【0040】
目的関数は、最適化基準に基づいてオンラインで作成され得る。最適化基準は、たとえば、オペレータによって制御システム1に入力され得る。目的関数は1つの目的関数または目的関数のセットを含み得る。目的関数は、最大利益、最小環境影響など、異なる使用事例のために事前定義され得る。
【0041】
制御システム1は、コントローラに設定点を与えるように構成される。したがって、ステップc)では、設定点がコントローラに与えられる。特に、設定点軌跡は、したがって、コントローラに与えられ得、コントローラは、上記のように、それによって実生産プロセスの制御のためのスケジュールを取得する。
【0042】
コントローラに設定点を与える前に、設定点の妥当性が確認され得る。一例では、制御システム1は、設定点の妥当性を確認するように構成される。妥当性の確認は、したがって、最適化に含まれない補助制約に基づき得る。補助制約は、たとえば、オペレータに知られているが、まだ制約として与えられていない、または最適化の目的のためのいかなる他の方法においても与えられていない、実生産プロセスにおける次回の変化に関し得る。このテストは、自動的に、またはオペレータによって手動で開始され得る。テストが失敗した場合、新しい初期条件データが制御システム1によって受信され得、新しい初期条件データに基づく最適化が実行され得る。設定点は、この例によれば、設定点がテストにおいて許容された場合にコントローラに送られるのみであり得る。
【0043】
制御システム1は、1つの変形体では、オフラインシミュレーションによって最適化から取得された設定点をテストするように構成され得る。設定点は、それによって、実生産プロセスへのそれらの影響が、実生産プロセスにおいて使用される前に評価され得るという意味で、妥当性が確認され得る。
【0044】
制御システム1は、補助プロセスシミュレーションを使用して最適化によって決定された設定点の妥当性を確認するように構成される。特に、制御システム1は、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために補助プロセスシミュレーションにおいて設定点を使用することによってテストまたは妥当性確認を実行するように構成される。たとえば、テストシミュレートされたプロセス状態変数が許容範囲内である場合、設定点の妥当性が確認される。たとえば、テストシミュレートされたプロセス状態変数が、最適化において推定された、プロセス状態変数の予測値から所定の範囲内である場合、または、それらがいくつかの制約を満たす場合、テストシミュレートされたプロセス状態変数の妥当性が確認され得る。
【0045】
テストすることは、テストシミュレートされたプロセス状態変数を取得するために補助プロセスシミュレーションを実時間よりも速く実行することを含み得る。このようにして、設定点は、それらが使用される前にテストされ得る。テストすることは、たとえば、ステップc)の前に、すなわち、設定点がコントローラに与えられる前に、または代替的にステップc)の後に実行され得る。設定点の妥当性が確認された場合、設定点は実生産プロセスの制御において本質的に既知の結果とともに使用され得る。テストの結果はまた、シミュレーション結果のフィードバックを示す破線矢印線Aによって示されているように、最適化および/またはオンラインシミュレータシステム7における動的モデルを調整するために使用され得る。
【0046】
オンラインシミュレータシステム7は、実生産プロセスのシミュレーションを実行するように構成されたオンラインシミュレータ7aを備え得る。オンラインシミュレータ7aは実生産プロセスの動的モデルを使用する。動的モデルはまた、コントローラおよびフィールドデバイスなど、追加のモデル化された特徴を含み得る。
【0047】
オンラインシミュレータ7aは、実生産プロセスにおいて展開されたすべての実際のコントローラのステータスまたは状態を取得し、実時間でまたは本質的に実時間でデータを処理し得る。このステータスは、たとえば、コントローラの現在の設定点、および/またはオペレータによってコントローラに入力された設定を含み得る。
【0048】
オンラインシミュレータ7aは、実生産プロセスと並行して、実時間で動作するように構成される。オンラインシミュレータ7aは、実時間プロセスデータおよびイベント、または、ローカルまたはリモートのヒストリアン7bから取得され、オンラインシミュレータ7aによってシミュレーションにおいて使用される、実生産プロセスに関する近実時間データに基づいて動作するように構成され得る。
【0049】
制御システム1は、オンラインシミュレータ7aに設定点を与えるようにも構成され得る。このようにして、オンラインシミュレータ7aに実生産プロセスと同じ制御データが供給されることになる。
【0050】
発明的概念について、主に、数例を参照しながら上記で説明した。しかしながら、当業者によって容易に諒解されるように、上記で開示された実施形態以外の実施形態が、添付の請求項によって定義されているように、発明的概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3