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▶ ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】引出しガイドのための引出しレール
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/427 20170101AFI20220502BHJP
【FI】
A47B88/427
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020542017
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 AT2018060317
(87)【国際公開番号】W WO2019148216
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】A50097/2018
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク モイスブアガー
(72)【発明者】
【氏名】マークス カンプル
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038620(JP,A)
【文献】米国特許第08807672(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第1316275(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出しガイド(4)のための引出しレール(11)であって、
- 引出し(3)に固定すべきまたは固定された第1のレール(12)と、
- 前記引出しガイド(4)の本体レール(9)または、前記本体レール(9)と前記引出しレール(11)との間の中間レール(14)に配置すべきまたは配置された第2のレール(13)と、を備えており、
- 前記第1のレール(12)と前記第2のレール(13)とは、押込みによって互いに結合可能であり、前記第1のレール(12)または前記第2のレール(13)に、少なくとも1つのばね手段(18,19)が配置され
前記第1のレール(12)と前記第2のレール(13)とは、結合された状態において、ロック装置(23)によって互いに解除可能にロックされており、これによって、通常作動時に、前記第1のレール(12)と前記第2のレール(13)とは、互いに相対的に移動不能に配置されている、
引出しレール(11)において、
他方のレール(12,13)に、少なくとも1つの突出部(21,22,24)が配置されており、該突出部(21,22,24)の、前記他方のレール(12,13)における位置、および/または前記突出部(21,22,24)の、前記他方のレール(12,13)に沿った延在長さは、前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)が、前記第1のレール(12)と前記第2のレール(13)との結合された状態において、2つの前記レール(12,13)相互の横方向運動を制限するために、前記突出部(21,22,24)が前記ばね手段(18,19)に遊びなしに接触するように選択されている
ことを特徴とする、引出しレール(11)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのばね手段(18,19)は、前記第1のレール(12)または前記第2のレール(13)の部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の引出しレール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)は、前記他方のレール(12,13)の後ろ側の領域に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の引出しレール。
【請求項4】
前記第1のレール(12)は、前記第2のレール(13)の前側の端部領域を起点として、前記第2のレール(13)の後ろ側の端部領域に向かって押込み可能であり、前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)は、一方の前記ばね手段(18,19)に遊びなしに接触するとともに、当該一方の前記ばね手段(18,19)よりも前側の領域に配置された前記ばね手段(18,19)に対しては接触しない、
請求項1~3のいずれか1項に記載の引出しレール。
【請求項5】
前記第1のレール(12)および前記第2のレール(13)はそれぞれ、前記レール(12,13)の長手方向(L)に延びている少なくとも1つのサイド脚(12a,13a)を有しており、前記少なくとも1つのばね手段(18,19)および前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)はそれぞれ、前記レール(12,13)の1つのサイド脚(12a,13a)に配置されているかまたは形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の引出しレール。
【請求項6】
前記少なくとも1つのばね手段(18,19)および前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)はそれぞれ、前記レール(12,13)の前記サイド脚(12a,13a)から横方向に突出している、
請求項記載の引出しレール。
【請求項7】
前記少なくとも1つのばね手段(18,19)および/または前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)は、前記レール(12,13)と一体に形成されている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の引出しレール。
【請求項8】
前記少なくとも1つのばね手段(18,19)は、前記レール(12,13)の長手方向(L)に対して横方向に延びている方向において、弾性に屈曲可能に形成されているか、または可逆式に変形可能に形成されている、
求項1からまでのいずれか1項記載の引出しレール。
【請求項9】
前記少なくとも1つのばね手段(18,19)は、ばねストラップまたはばね舌片の形態で前記レール(12,13)のうちの1つのレールに形成されている、請求項8記載の引出しレール。
【請求項10】
前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)は、前記レール(12,13)の長手方向(L)に対して横方向に延びている方向において、ほぼ剛性的に形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の引出しレール。
【請求項11】
前記少なくとも1つの突出部(21,22,24)は、エンボス加工部の形態で前記レール(12,13)のうちの1つのレールに形成されている、請求項10記載の引出しレール。
【請求項12】
前記第1のレール(12)または前記第2のレール(13)に、前記レール(12,13)の長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つのばね手段(18,19)が配置されており、該ばね手段(18,19)は、第1のレール(12)と第2のレール(13)との結合された状態において、他方のレール(12,13)の、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つの突出部(21,22,24)に遊びなしに接触する
請求項1から11までのいずれか1項記載の引出しレール。
【請求項13】
前記少なくとも2つのばね手段(18,19)および/または前記少なくとも2つの突出部(21,22,24)はそれぞれ、互いに異なる高さ(H1,H2)を有している、
請求項12記載の引出しレール。
【請求項14】
前記第2のレール(13)への前記第1のレール(12)の押込み時に、比較的小さな高さ(H2)を備えたばね手段(18,19)が、比較的小さな高さ(H2)を備えた突出部(21,22,24)のところを通過運動可能であり、前記第1のレール(12)と前記第2のレール(13)との結合された状態において、前記比較的小さな高さ(H2)を備えたばね手段(18,19)は、比較的大きな高さ(H1)を備えた突出部(21,22,24)に接触している、
請求項13記載の引出しレール。
【請求項15】
前記第2のレール(13)への前記第1のレール(12)の押込み時に、比較的小さな高さ(H2)を備えた突出部(21,22,24)が、比較的小さな高さ(H2)を備えたばね手段(18,19)のところを通過運動可能であり、前記第1のレール(12)と前記第2のレール(13)との結合された状態において、前記比較的小さな高さ(H2)を備えた突出部(21,22,24)は、比較的大きな高さ(H1)を備えたばね手段(18,19)に接触している、
請求項13記載の引出しレール。
【請求項16】
家具本体(2)に固定すべき1つの本体レール(9)と、請求項1から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの引出しレール(11)とを備えており、前記引出しレール(11)は、前記本体レール(9)に対して相対的に走行可能に支持されている、引出しガイド(4)。
【請求項17】
当該引出しガイド(4)は、前記本体レール(9)と前記引出しレール(11)との間に移動可能に支持された中間レール(14)を有している、
請求項16記載の引出しガイド。
【請求項18】
家具本体(2)、前記家具本体(2)に対して相対的に走行可能に支持された引出し(3)、および請求項1から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの引出しレール(11)、または請求項16または17記載の引出しガイドを備えた、家具(1)であって、第1のレール(12)が前記引出し(3)に、かつ第2のレール(13)が前記家具本体(2)に予め組み付けられており、前記引出し(3)に結合された前記第1のレール(12)は、前記第2のレール(13)への押込みによって前記第2のレール(13)に結合可能である、家具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出しガイドのための引出しレールであって、
- 引出しに固定すべきまたは固定された第1のレールと、
- 引出しガイドの本体レールまたは中間レールに配置すべきまたは配置された第2のレールと、を備えており、
- このとき第1のレールと第2のレールとは、押込みによって互いに結合可能であり、このとき第1のレールまたは第2のレールに、少なくとも1つのばね手段が配置されている、
引出しレールに関する。
【0002】
さらに本発明は、以下に記載される形式の少なくとも1つの引出しレールを備えた引出しガイド、ならびに家具本体、および家具本体に対して相対的に走行可能に支持された引出しを備えた家具であって、このとき第1のレールが引出しに、かつ第2のレールが家具本体に予め組み付けられており、このとき引出しに結合された第1のレールは、第2のレールへの押込み時に第2のレールに結合可能である、家具に関する。
【0003】
引出しガイドにおける引出しの最初の組付け時に、通常、第1のレールが引出しに、かつ引出しガイドの第2のレールが家具本体に予め組み付けられる。次いで、引出しの第1のレールが、引出しガイドの第2のレールに押し込まれ、この押込みは、第1のレールと第2のレールとの間における自動的なロックが行われるまで続けられる。通常作動時に、第1のレールと第2のレールとは互いに相対的に移動不能に配置されていて、かついわば、引出しガイドの2部分から成る引出しレールを形成している。第1のレールまたは第2のレールに配置されていて他方のレールに支持可能であるばね手段によって、レールの組み付けられた状態において、レールの長手方向に対して側方に発生する、第1のレールと第2のレールとの間における遊びを、補償することができる。ばね手段は、例えば屈曲可能なばねストラップまたはばね舌片として形成されていてよく、このばねストラップまたはばね舌片は、レールの材料から打ち出されていて、このばねストラップまたはばね舌片によって、第1のレールと第2のレールとの間に存在している遊びが補償可能である。第1のレールと第2のレールとの間に存在している遊びの大きさに応じて、ばねストラップまたはばね舌片は、比較的大きく寸法設定されねばならず、これによって美観が損なわれるのみならず、例えば剪断によるばね手段の損傷のおそれも存在している。
【0004】
欧州特許第1483984号明細書には、引出しに配置された第1のレールを備えた引出し用引出しガイド(若しくは単に引出しガイド)が開示されており、第1のレールは、図8図10によれば側方に突出している舌片を有している。引出しガイドの引出し可能なレールの前側の端部領域には、プラスチック部材の形態の機能支持体が取り付けられており、このとき第1のレールの弾性の舌片は、レールの結合された状態において、機能支持体の階段形状の載置面と協働する(図12)。このようにして、機能支持体に関する第1のレールの長さ補償およびセンタリングを可能にすることができる。この公知の構成における欠点は、弾性の舌片が、第1のレールから比較的大きく突出していて、かつまた別体の機能部材を配置することが、追加的なコスト結びついていることにある。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の引出しレールを、上において議論された欠点を回避して提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。本発明のさらなる好適な構成は、従属請求項において定義されている。
【0007】
本発明によれば、他方のレールに、少なくとも1つの突出部が配置されており、該突出部の、他方のレールにおける位置、および/または突出部の、他方のレールに沿った延在長さは、少なくとも1つの突出部が、第1のレールと第2のレールとの結合された状態において、2つのレール相互の横方向運動を制限するために、ばね手段と協働するように選択されていることが提案されている。
【0008】
言い換えれば、両レールの結合された状態において、一方のレールのばね手段は、他方のレールの突出部に接触しており、これによってばね手段を、減じられた、例えば約半分の構造高さで、一方のレールに形成することができる。このようにしてばね手段の損傷のおそれ、およびばね手段の必要な材料要件を減じることができる。つまり両レールの間に残っている差異遊びは、レールの組み付けられた状態においてばね要素に遊びなしに接触している、他方のレールに配置された突出部によって補償される。
【0009】
1実施例によれば、第1のレールは、第2のレールの前側の端部領域を起点として、第2のレールの後ろ側の端部領域に向かって押込み可能であり、このとき少なくとも1つの突出部は、単に、第2のレールの後ろ側の端部領域のすぐ前に配置された部分領域を介してだけ、少なくとも1つのばね手段と協働する。この実施例には次のような特別な利点がある。すなわちこの実施例では、引出しの第1のレールは、押し込み運動の大部分にわたって、減じられた摩擦抵抗で第2のレールに対して相対的に可動であり、このとき一方のレールにおいて擦過するばね手段が摩擦抵抗を高めることはない。押込み運動の終了頃に初めて、ばね手段と突出部とは互いに接触し、かつ相互の接触によって両レールの間における遊びを補償する。
【0010】
第1のレールおよび第2のレールはそれぞれ、レールの長手方向に延びている少なくとも1つのサイド脚を有していてよく、このとき少なくとも1つのばね手段および少なくとも1つの突出部はそれぞれ、レールの1つのサイド脚に配置されているかまたは形成されている。このとき少なくとも1つのばね手段および少なくとも1つの突出部はそれぞれ、レールのサイド脚から横方向に突出していることが提案されていてよい。
【0011】
構造上簡単な構成では、少なくとも1つのばね手段および/または少なくとも1つの突出部は、レールと一体に形成されていることが提案されていてよい。
【0012】
少なくとも1つのばね手段は、レールの長手方向に対して横方向に延びている方向において、弾性に屈曲可能に形成されているか、または可逆式に変形可能に形成されていてよく、このとき好ましくは、少なくとも1つのばね手段は、ばねストラップまたはばね舌片の形態でレールのうちの1つのレールに形成されていることが提案されている。ばねストラップまたはばね舌片は、例えば1つのレールの金属製の材料から打ち出されていてよい。択一的に、ばね手段が少なくとも1つの機械式のばね要素(例えば圧縮ばね)を有していることが可能である。
【0013】
少なくとも1つの突出部は、レールの長手方向に対して横方向に延びている方向において、ほぼ剛性に形成されていてよく、このとき好ましくは、少なくとも1つの突出部は、エンボス加工部の形態でレールのうちの1つのレールに形成されていることが提案されている。択一的に、突出部は同様に弾性に可撓性に形成されており、かつ/または1つのレールに(例えばねじ結合または接着によって)固定されていることが可能である。
【0014】
1実施例によれば、第1のレールまたは第2のレールに、レールの長手方向において互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つのばね手段が配置されており、該ばね手段は、第1のレールと第2のレールとの結合された状態において、他方のレールの、長手方向において互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つの突出部と協働することが提案されていてよい。この実施例では2つのレールは、少なくとも、長手方向において互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つのばね手段が、該ばね手段に対応配置された突出部に接触している領域において、長手方向に対して横方向に延びている方向において互いに遊びなしに配置されている。
【0015】
少なくとも2つのばね手段および/または少なくとも2つの突出部はそれぞれ、互いに異なる高さを有していてよい。第1の変化形態によれば、第2のレールへの第1のレールの押込み時に、比較的小さな高さを備えたばね手段が、比較的小さな高さを備えた突出部のところを通過運動可能であり、このとき第1のレールと第2のレールとの結合された状態において、比較的小さな高さを備えたばね手段は、比較的大きな高さを備えた突出部に接触していることが提案されていてよい。
【0016】
第2の変化形態によれば、第2のレールへの第1のレールの押込み時に、比較的小さな高さを備えた突出部が、比較的小さな高さを備えたばね手段のところを通過運動可能であり、このとき第1のレールと第2のレールとの結合された状態において、比較的小さな高さを備えた突出部は、比較的大きな高さを備えたばね手段に接触していることが提案されていてよい。
【0017】
これらの両変化形態には、人が引出しを第2のレールにスムーズに押込み可能であるという利点がある。それというのは、突出部とばね手段とは、好ましくは間隙を形成しながらまたはせいぜい単に僅かな摩擦を伴って、互いに通過運動可能であり、かつ結合された状態において初めて、または結合された状態が得られる直前に、両レールの間における遊びのない結合が、ばね手段に接触している突出部によって生ぜしめられるからである。
【0018】
本発明に係る引出しガイドは、家具本体に固定すべき1つの本体レールと、上に記載された形式の少なくとも1つの引出しレールとを有しており、このとき引出しレールは、本体レールに対して相対的に走行可能に支持されている。家具本体に対して相対的な引出しの完全引出しを可能にするために、本体レールと引出しレールとの間に移動可能に支持された追加的な中間レールが設けられていてよい。
【0019】
本発明に係る家具は、家具本体、および家具本体に対して相対的に走行可能に支持された引出しを有しており、このとき第1のレールが引出しに、かつ第2のレールが家具本体に予め組み付けられており、このとき引出しに結合された第1のレールは、第2のレールへの押込みによって第2のレールに結合可能である。
【0020】
本発明のさらなる詳細および利点については、以下の図面の記載を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】引出しガイドによって家具本体に対して相対的に走行可能に支持されている引出しを備えた、家具を示す斜視図である。
図2a】引出しガイドに固定すべき引出しを示す斜視図である。
図2b】引出しガイドに固定された引出しを示す斜視図である。
図3a】第1配置形態によるばね手段および突出部を備えた、第1のレールおよび第2のレールを概略的に示す平面図である。
図3b図3aに示された第1のレールと第2のレールとの結合された状態を概略的に示す平面図である。
図3c】第2配置形態によるばね手段および突出部を備えた、第1のレールおよび第2のレールを概略的に示す平面図である。
図3d図3cに示された第1のレールと第2のレールとの結合された状態を概略的に示す平面図である。
図3e】第3配置形態によるばね手段および突出部を備えた、第1のレールおよび第2のレールを概略的に示す平面図である。
図3f図3eに示された第1のレールと第2のレールとの結合された状態を概略的に示す平面図である。
図3g】第4配置形態によるばね手段および突出部を備えた、第1のレールおよび第2のレールを概略的に示す平面図である。
図3h図3gに示された第1のレールと第2のレールとの結合された状態を概略的に示す平面図である。
図4a】引出しに固定すべきまたは固定された第1のレールを示す斜視図である。
図4b】引出しに固定すべきまたは固定された第1のレールを示す側面図である。
図4c図4bに示された平面A-Aに沿って断面した第1のレールの横断面図である。
図5a】引出しガイドに配置すべきまたは配置された第2のレールを示す斜視図である。
図5b】第2のレールを示す横断面図である。
図5c】第2のレールを示す横断面図である。
図5d】互いに結合された2つのレールを示す横断面図である。
図5e】互いに結合された2つのレールを示す横断面図である。
【0022】
図1には、棚形状の家具本体2を備えた家具1が示されており、このとき引出し3は、引出し用引出しガイド(以下単に「引出しガイド」という。)4を介して、家具本体2に対して相対的に走行可能に支持されている。引出し3はそれぞれ、1つの前板5、1つの引出し底部6、複数の側壁7、および1つの背壁8を有している。引出しガイド4はそれぞれ、固定部分10a,10bを介して家具本体2に固定すべき1つの本体レール9と、本体レール9に対して相対的に移動可能な1つの引出しレール11とを含んでいる。引出しレール11は、少なくとも2部分から形成されていて、かつ引出し3に固定すべきまたは固定された第1のレール12(図2a)と、引出しガイド4に配置すべきまたは配置された第2のレール13とを含んでいる。家具本体2に対して相対的な引出し3の完全引出しを可能にするために、さらに追加的な中間レール14が設けられてよく、この中間レール14は、本体レール9と引出しレール11との間に移動可能に支持されている。引出し3は、最初に引出し3を家具本体2において互いに向かい合って位置している第2のレール13に載着することによって、引出しガイド4に組み付けられる。次いで、引出し3に固定された第1のレール12が、第2のレール13に押し込まれ、この押込みは、第1のレール12と第2のレール13とが自動的に互いにロックされるまで続けられ、これによって第1のレール12と第2のレール13とは、結合された状態において互いに相対的に位置固定されて配置されている。レール12,13相互のロックは、汎用のロック装置23(図4a)を用いて行うことができ、このロック装置23は、従来技術に基づいて公知であるので、それについてここで詳しく記載する必要はない。
【0023】
図2aには、引出しガイド4に固定すべき引出し3が斜視図で示されており、このとき引出し3の側壁7は、図面を見やすくする理由から、フェードアウトされている。図面から引出しレール11の、引出し3に配置された第1のレール12を認識することができ、このとき第1のレール12の前側の端部領域には、前板5を固定するための第1の固定アダプタ16が、かつ第1のレール12の後ろ側の端部領域には、背壁8を固定するための第2の固定アダプタ17が配置されている。第1のレール12は、レール12の長手方向(L)において延びていてかつほぼ平行に互いに間隔をおいて配置された2つのサイド脚12aを有しており、このときサイド脚12aのうちの1つのサイド脚には、弾性に屈曲可能なばねストラップの形態の少なくとも1つのばね手段18が配置されている。図示の実施例では、第1のレール12には、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された2つのばね手段18,19が設けられている。
【0024】
引出しガイド4の本体レール9は、固定部分10a,10bを介して家具本体2に組み付けられ、このとき引出しレール11の第2のレール13および中間レール14は、定置の本体レール9に対して相対的に移動可能に支持されている。引出し3は、引出し3の両側壁7に配置された第1のレール12を、引出しガイド4の第2のレール13に、図示された矢印20の方向に押し込むことによって、第2のレール13に組み付けられる。
【0025】
図2bには、引出しガイド4における引出し3の結合された状態が示されており、このとき第2のレール13は、第1のレール12の、横断面においてU字形の形材内に収容されていて、かつこのときレール12,13は、ばね手段18,19によって、長手方向(L)に対して横方向に延びている方向において、好ましくはレール12,13の長手方向(L)に対して側方に延びている方向において、互いに遊びなしに組み付けられている。ばね手段18,19は、図示された実施例において、互いに平行に延びている2つの底辺を備えてほぼ台形状に形成されており、このとき台形状のばね手段18,19の長い方の底辺は、第1のレール12に対して相対的に固定であり、かつ短い方の底辺は、長手方向(L)に対して横方向に延びている方向において弾性に屈曲可能である。
【0026】
図3a~図3hには、種々様々な配置形態のばね手段18,19および突出部21,22を備えた、第1のレール12および第2のレール13が概略的に平面図で示されている。引出し3の組付け時に、第1のレール12は、第2のレール13に矢印20の方向において押し込まれる。図3aに示された第1実施形態では、第1のレール12に、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された、ほぼ同一の高さを備えた2つのばね手段18,19が配置されていて、かつ第2のレール13に、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された、ほぼ同一の高さを備えた2つの突出部21,22が配置されている。図3bには、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態が示されており、このときばね手段18,19と突出部21,22とは互いに接触していて、かつこれにより2つのレール12,13の互いに相対的な横方向運動を制限している。
【0027】
図3cに示された第2実施形態では、第1のレール12に、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された、互いに異なる高さH1,H2を備えた2つのばね手段18,19が配置されていて、かつ第2のレール13に、互いに異なる高さを備えた2つの突出部21,22が配置されている。この配置形態には次の利点がある。すなわちこの配置形態では、小さな高さH2を備えたばね手段18は、矢印20の方向における第2のレール13への第1のレール12の押込み時に、比較的低い高さを備えた突出部22のところを、好ましくは設定された間隔をおいて通過運動可能であり、かつこれにより第2のレール13に対して相対的な第1のレール12の摩擦の少ない走入が可能になる。図3dには、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態が示されており、このとき比較的小さな高さH2を備えたばね手段18は、比較的大きな高さを備えた突出部21に接触していて、かつ比較的大きな高さH1を備えたばね手段19は、比較的小さな高さを備えた突出部22に接触している。
【0028】
図3eに示された第3実施形態では、第1のレール12に、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された、ほぼ同一の高さを備えた2つの突出部21,22が配置されていて、かつ第2のレール13に、ほぼ同一の高さを備えた2つのばね手段18,19が配置されている。図3fには、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態が示されており、このとき第1のレール12の突出部21,22は、第2のレール13のばね手段18,19に接触している。
【0029】
図3gに示された第4実施形態では、第1のレール12に、長手方向(L)において互いに間隔をおいて配置された、異なる高さをH1,H2備えた2つの突出部21,22が配置されていて、かつ第2のレール13において2つのばね手段18,19が、異なる大きさで第2のレール13から突出している。図3hには、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態が示されており、このとき第1のレール12の後ろ側の端部領域に配置された、比較的小さな高さH2を備えた突出部21は、比較的大きな高さを備えたばね手段18に接触していて、かつ比較的大きな高さH1を備えた前側の突出部22は、比較的小さな高さを備えたばね手段19に接触している。この実施形態も次のような利点を有している。すなわちこの実施形態では、比較的小さな高さH2を備えた突出部21は、第2のレール13への第1のレール12の押込み時に、擦過なしに第2のレール13の突出部19を通過し、これによって第1のレール12は、減じられた力でかつ減じられたノイズ発生で、第2のレール13に結合可能である。
【0030】
図4aには、引出し3に固定すべきまたは固定された第1のレール12が斜視図で示されている。第1のレール12は、横断面において、互いに平行に延びている鉛直の2つのサイド脚12aを備えたU字形材を有しており、このときばね手段18,19は、少なくとも1つのサイド脚12aに配置されているかまたは形成されている。第1のレール12の前側の端部領域には、(概略的に示された)ロック装置23が配置されており、このロック装置23によって第1のレール12と第2のレール13とは互いに解除可能にロック可能であり、これによって第1のレール12と第2のレール13とは、結合された状態において長手方向(L)において互いに相対的に移動不能である。ロック装置23は、例えば、第1のレール12または第2のレール13に配置された、ばね弾性に形成されたロックレバーを有しており、このロックレバーは、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態において、第2のレール13の対応する開口に係合する。
【0031】
図4bには、第1のレール12が側面図で示されており、このときばね手段18,19は、好ましくは第1のレール12の後半部に配置されている。図4cには、図4bに示された平面A-Aに沿った第1のレール12の横断面図が示されており、このとき第1のレール12の互いに平行に延びている鉛直のサイド脚12aを見ることができる。第1のサイド脚12aには、突出部24が配置されていて、かつ向かい合って位置している第2のサイド脚12aには、ばね手段18が配置されており、このばね手段18は、休止状態において、両サイド脚12aの間において画定された中空室内に進入している。第2のレール13に配置された突出部21との協働によって、ばね手段18は、ばね手段18のばね力に抗して、サイド脚12aと面一の位置の方向に押圧可能である。さらに第1のレール12は、引出し底部6のための、組付け位置において水平に延びている載置脚25を有している。
【0032】
図5aには、引出しガイド4に配置すべきまたは配置された第2のレール13が、斜視図で示されている。第2のレール13は、横断面において同様に、互いに平行に延びている鉛直の2つのサイド脚13aを備えたU字形材を有しており、このとき第2のレール13は、第1のレール12のU字形材内に収容可能である。サイド脚13aの少なくとも1つのサイド脚には、突出部21,22が配置されており、このとき好ましくは、後ろ側の突出部21は前側の突出部22よりも大きいことが提案されている。
【0033】
図5bには、第2のレール13が、比較的大きな高さH1を備えた突出部21の領域における横断面図で示されている。比較的高い突出部21の高さH1は、0.3mm~0.6mm、好ましくは0.4mm~0.5mmであってよい。図5cには、第2のレール13が、比較的小さな高さH2を備えた突出部22の領域における横断面図で示されている。比較的低い突出部22の高さH2は、0.1mm~0.4mm、好ましくは0.2mm~0.3mmであってよい。
【0034】
図5dには、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態が、比較的大きな高さH1を備えた領域において横断面図で示されており、このときレール12,13は一緒に、引出しガイド4のための引出しレール11を形成している。第2のレール13の比較的高い突出部21は、第1のレール12のばね手段18に接触しており、これに対して第1のレール12の、向かい合って位置している突出部24は、第2のレール13のサイド脚13aに遊びなしに接触しており、これによって第2のレール13は、第1のレール12に対して相対的にセンタリングされていて、かつレール12,13の横方向運動は互いに相対的に制限されている。図5eには、比較的小さな高さH2を備えた突出部22の領域における、第1のレール12と第2のレール13との結合された状態が横断面図で示されている。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e