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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】安全な接続を有する注射器アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020557942
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019026969
(87)【国際公開番号】W WO2019204113
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/659,854
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リー
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515544(JP,A)
【文献】国際公開第2015/004728(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用コネクタであって、
第1端部と、前記第1端部と反対側に配置された第2端部とを有するハウジングであって、前記ハウジングは通路を画定している、ハウジングと、
第1端部と、前記第1端部と反対側に配置された第2端部とを有するコネクタ本体であって、前記コネクタ本体は、注射器バレルに固定されるように構成された接続部材を有し、前記ハウジングおよび前記コネクタ本体の一方はタブを含み、前記ハウジングおよび前記コネクタ本体の他方は前記タブを受容するチャネルを画定し、前記コネクタ本体は、前記コネクタ本体が前記ハウジングに対して第1回転方向に回転することが制限され前記ハウジングに対して第2回転方向に自由に回転する第1位置と、前記コネクタ本体が前記第1および第2回転方向に自由に回転する第2位置との間で、前記ハウジングに対して移動可能である、コネクタ本体とを含み、
前記チャネルが、開始部分と、前記開始部分から延在する接続部分と、前記接続部分から延在する被接続部分とを含み、前記コネクタ本体は、前記タブが前記チャネルの前記開始部分にあるときに前記第1位置にあり、前記コネクタ本体は、前記タブが前記チャネルの前記被接続部分にあるときに前記第2位置にあり、前記コネクタ本体が前記第1位置から前記第2位置に移行するときに、前記タブが前記チャネルの前記接続部分にある、医療用コネクタ。
【請求項2】
前記チャネルの前記開始部分に隣接する停止面をさらに含み、前記停止面は、前記タブと係合して前記ハウジングの前記第1回転方向への移動を制限するように構成されている、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項3】
前記チャネルの前記被接続部分が、前記コネクタ本体の周囲で周方向に延在している、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項4】
前記チャネルの前記接続部分が前記チャネルの前記開始部分から前記チャネルの前記被接続部分まで螺旋状に延在しており、前記タブが前記チャネルの前記接続部分を画定する前記コネクタ本体または前記ハウジングに係合するとき、前記コネクタ本体が前記ハウジングに対して軸方向に移動するように構成されている、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項5】
前記コネクタ本体が前記第1位置にあるとき、前記コネクタ本体の前記第1端部が前記ハウジングの前記第1端部と間隔をあけており、前記コネクタ本体が第2位置にあるとき、前記コネクタ本体の前記第1端部が前記ハウジングの前記第1端部と境界線を共にしている、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項6】
前記コネクタ本体の接続部材が、前記コネクタ本体の前記第1端部から延在している、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項7】
前記コネクタ本体が、前記コネクタ本体が前記第1位置にあるときに可視であり前記コネクタ本体が前記第2位置にあるときに不可視であるインジケータを含む、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項8】
前記接続部分が前記チャネルの前記開始部分から前記チャネルの前記被接続部分まで延在するにつれて、前記チャネルの前記接続部分の深さが減少している、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項9】
前記チャネルが、前記チャネルの前記被接続部分から前記チャネルの前記開始部分まで延在するリセット部分をさらに含み、前記チャネルの前記リセット部分の深さが、前記チャネルの前記被接続部分から前記チャネルの前記開始部分まで減少し、前記タブが、前記チャネルの前記リセット部分を介して、前記チャネルの前記被接続部分から前記チャネルの前記開始部分まで移動するように構成されている、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項10】
前記チャネルの前記リセット部分が軸方向に延在している、請求項に記載の医療用コネクタ。
【請求項11】
前記タブがばね部材を介して半径方向に移動可能である、請求項1に記載の医療用コネクタ。
【請求項12】
前記タブが、前記第1位置から前記第2位置まで移動したときに、聴覚指示および触覚指示の少なくとも1つを提供する、請求項11に記載の医療用コネクタ。
【請求項13】
前記聴覚指示または触覚指示は、前記コネクタ本体が前記第2位置内に移動したときに、前記コネクタ本体に係合する前記タブを含む、請求項12に記載の医療用コネクタ。
【請求項14】
前記ばね部材がカンチレバーばねを含む、請求項11に記載の医療用コネクタ。
【請求項15】
前記コネクタ本体は、前記ハウジングの前記通路によって受容され、前記タブは前記ハウジングから前記コネクタ本体の前記チャネル内に半径方向内向きに延在している、請求項1に記載の医療用コネクタ。
【請求項16】
前記接続部材がメスルアー接続部を含む、請求項1に記載の医療用コネクタ。
【請求項17】
注射器アダプタであって、
第1端部と、前記第1端部と反対側に配置された第2端部とを有するハウジングであって、前記ハウジングが通路を画定している、ハウジングと、
第1端部と、前記第1端部と反対側に配置された第2端部を有するコネクタ本体であって、前記コネクタ本体は、注射器バレルに固定されるように構成された接続部材を有し、
前記ハウジングおよび前記コネクタ本体の一方はタブを含み、前記ハウジングおよび前記コネクタ本体の他方は前記タブを受容するチャネルを含み、前記タブは、ばね部材を介して半径方向に移動可能であり、
前記コネクタ本体が、前記コネクタ本体が前記ハウジングに対して第1回転方向に回転することが制限され前記コネクタ本体が前記ハウジングに対して第2回転方向に自由に回転する第1位置と、前記コネクタ本体が前記第1および第2回転方向に自由に回転する第2位置との間で前記ハウジングに対して移動可能であり、
前記チャネルが、開始部分と、前記開始部分から延在する接続部分と、前記接続部分から延在する被接続部分とを含み、前記チャネルの前記被接続部分から前記チャネルの前記開始部分まで延在するリセット部分とを含み、前記コネクタ本体は、前記タブが前記チャネルの前記開始部分にあるときに前記第1位置にあり、前記コネクタ本体は、前記タブが前記チャネルの前記被接続部分にあるときに前記第2位置にあり、前記コネクタ本体が前記第1位置から前記第2位置まで移行するときに前記タブが前記チャネルの接続部分にあり、前記タブは、前記チャネルの前記リセット部分を介して前記チャネルの前記被接続部分から前記チャネルの前記開始部分に移動するように構成されている、注射器アダプタ。
【請求項18】
前記チャネルの前記接続部分が、前記チャネルの前記開始部分から前記チャネルの前記被接続部分まで螺旋状に延在しており、前記コネクタ本体が、前記タブが前記チャネルの前記接続部分を画定する前記コネクタ本体またはハウジングに係合するときに、前記ハウジングに対して軸方向に移動するように構成されており、前記チャネルの残りの部分の深さが、前記接続部分が前記チャネルの前記開始部分から前記チャネルの前記被接続部分まで延在するときに、前記チャネルの前記被接続部分から前記チャネルの前記開始部分まで減少するように構成されている、請求項17に記載の注射器アダプタ。
【請求項19】
前記コネクタ本体が前記第1位置にあるとき、前記コネクタ本体の前記第1端部が前記ハウジングの前記第1端部と間隔をあけており、前記コネクタ本体が前記第2位置にあるとき、前記コネクタ本体の前記第1端部が前記ハウジングの前記第1端部と境界線を共にしている、請求項18に記載の注射器アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年4月19日に出願された「安全な接続を有する注射器アダプタ」と題する米国仮出願シリアル番号第62/659,854号について優先権を主張し、その開示の全体が参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本発明は、注射器アダプタに関し、より詳細には、安全な接続の特徴を有する注射器アダプタに関する。
関連技術の説明
【0003】
薬剤師や看護師などの医療従事者は、薬剤調製、薬剤投与、およびその他の同様の取り扱い中に空気中に逃げる可能性のある薬剤または溶剤への繰り返しの曝露により、急性および長期的な健康リスクにさらされる可能性がある。この問題は、細胞毒素、抗ウイルス剤、抗生物質、および放射性医薬品が関係している場合には特に深刻である。これらの薬剤への曝露によって直面する健康リスクには、癌の発生、生殖問題、遺伝的状態、およびその他の重大な懸念が含まれ得る。その他の危険領域としては、ウイルス感染症などに関するサンプルなどのサンプル採取が考えられる。輸液を行う際には、輸液バッグまたは他の輸液容器の中に薬剤などの医療物質を注入する必要があることが多い。これは、当該医療用流体を充填した注射器の針を用いて、輸液バッグに設けられた注入口のセプタムまたは他の流体バリアを貫通させたり、輸液ラインに設けられた輸液ラインを貫通させたりすることによって行われることが多い。しかし、これに先立っても、バイアルから注射器へ、さらには注射器から第2容器へと医療用流体を移動させる必要がある場合がある。これらの各ステップにおいて、スタッフは、汚染によって医療用流体に暴露される可能性がある。そのような汚染は、気化した医療用流体であるかもしれないし、空気中のエアロゾルであるかもしれない。このような汚染は、スタッフの肺を介して、または気化した医療用流体または空気中のエアロゾルによってスタッフを汚染するかもしれず、この気化した医療用流体またはエアロゾルは、皮膚上で凝縮して、その後スタッフの皮膚を貫通する。いくつかの医薬品は保護手袋を貫通し、それによってスタッフを汚染することさえ知られている。
【0004】
このような汚染への曝露は、長期的には、上述のように、スタッフの血液中または人体中に高濃度の薬剤を生じさせるかもしれない。容器、例えばバイアル、注射器、輸液システムなどの間の多くの移送ステップのために、容器、例えばバイアルからの針の実際の挿入および引き込みの間の汚染のリスクを封じ込める必要があることが理解されている。閉鎖系の移送装置(CSTD)は、薬剤の移送中に移送装置内に薬剤を封じ込めることを保証するために開発されてきた。
【0005】
一般に、CSTDは、注射器に接続するための注射器アダプタと、バイアル、第2注射器、または患者の循環系への流体アクセスを提供する導管に接続するためのアダプタとを含む。1つの形態によれば、医療従事者は、それぞれのアダプタの接続を介してバイアルに注射器を装着し、薬剤を再構成し、化合物を注射器内に吸引し、アダプタを切り離し、次いで、患者への投与のためのIVラインまたは注射器などの患者送達装置へのそれぞれのアダプタを介して流体導管に注射器を装着することにより、生理食塩水または何らかの他の再構成媒体で粉末化または凍結乾燥された化合物を再構成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CSTDで使用され得るアダプタの1つのタイプは、雄または雌ルアーロック要素を有する第1コネクタを有し、これは第2コネクタ部材の対応する雌または雄ルアーロック要素と結合するように配置される。一側面によれば、第2コネクタ構成要素は、IVラインまたは注射器などの患者送達装置であり得る。ルアーロック要素は、したがって、対応するルアーロック要素内にねじ込まれ、かつ、対応するルアーロック要素からねじを緩めて外されないようにすることができる。構成要素の偶発的または不注意なねじを緩めて外されることを防止することが望ましいが、これは、流体通路の非接続につながる可能性がある。そのような非接続は、患者および/または非接続の医療用コネクタの近傍にいる他の人にとって重大な汚染リスクを伴う可能性がある。有害な医療用化合物の投与における安全性の問題は、専門組織および政府機関によって同様に非常に重要であると特定されてきたものである。
【0007】
したがって、コネクタの積極的な接続を容易にし、コネクタの不注意または偶発的な非接続を回避することにより、第1コネクタと第2コネクタとの間の流体移動を可能にするためのアダプタを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によれば、医療用コネクタは、第1端部と、第1端部と反対側に配置された第2端部を有するハウジングを含み、ハウジングは通路を画定し、第1端部と、第1端部と反対側に配置された第2端部を有するコネクタ本体を含み、コネクタ本体は相手側コネクタに固定されるように構成された接続部材を有する。ハウジングおよびコネクタ本体の一方はタブを含み、ハウジングおよびコネクタ本体の他方はタブを受容するチャネルを画定し、コネクタ本体は、コネクタ本体がハウジングに対して第1回転方向に回転することが制限されハウジングに対して第2回転方向に自由に回転する第1位置と、コネクタ本体が第1および第2回転方向において自由に回転する第2位置との間でハウジングに対して移動可能である。
【0009】
チャネルは、開始部分と、開始部分から延在する接続部分と、接続部分から延在する被接続部分とを含み、コネクタ本体は、タブがチャネルの開始部分にあるときに第1位置にあり、コネクタ本体は、タブがチャネルの被接続部分にあるときに第2位置にあり、コネクタ本体が第1位置から第2位置に移行するときにタブがチャネルの接続部分にあってもよい。医療用コネクタは、チャネルの開始部分に隣接する停止面をさらに含み、停止面は、ハウジングのタブと係合してハウジングの第1回転方向への移動を制限するように構成されてもよい。チャネルの被接続部分は、コネクタ本体の周囲で周方向に延在してもよい。チャネルの接続部分は、チャネルの開始部分からチャネルの被接続部分まで螺旋状に延在してもよく、タブがチャネルの接続部分を画定するコネクタ本体またはハウジングに係合するとき、コネクタ本体がハウジングに対して軸方向に移動するように構成されてもよい。コネクタ本体の第1端部は、コネクタ本体が第1位置にあるときにハウジングの第1端部から間隔をあけて配置されてもよく、コネクタ本体の第1端部は、コネクタ本体が第2位置にあるときにハウジングの第1端部と境界線を共にして(coterminous)もよい。
【0010】
コネクタ本体の接続部材は、コネクタ本体の第1端部から延在していてもよい。コネクタ本体は、コネクタ本体が第1位置にあるときに可視でありコネクタ本体が第2位置にあるときに不可視であるインジケータを含んでもよい。
【0011】
チャネルの接続部分の深さは、接続部分がチャネルの開始部分からチャネルの接続部分まで延在するにつれて減少してもよい。
【0012】
チャネルは、チャネルの接続部分からチャネルの開始部分まで延在するリセット部分を含み、チャネルのリセット部分の深さは、チャネルの接続部分からチャネルの開始部分まで延在するにつれて減少し、タブは、チャネルのリセット部分を介してチャネルの接続部分からチャネルの開始部分まで移動するように構成されてもよい。チャネルのリセット部分は、軸方向に延在していてもよい。
【0013】
タブは、ばね部材を介して半径方向に移動可能であってもよい。タブは、第1位置から第2位置に移動したときに、聴覚指示および触覚指示の少なくとも1つを提供してもよい。聴覚指示または触覚指示は、コネクタ本体が第2位置内に移動されたときに、タブがコネクタ本体と係合することであってもよい。ばね部材は、カンチレバーばねであってもよい。
【0014】
コネクタ本体は、タブがハウジングからコネクタ本体のチャネル内に半径方向内向きに延在している状態で、ハウジングの通路によって受容されてもよい。接続部材は、雌ルアー接続部であってもよい。
【0015】
更なる側面において、注射器アダプタは、第1端部と、第1端部と反対側に配置された第2端部とを有するハウジングを含み、ハウジングは通路を画定している。注射器アダプタはさらに、第1端部と、第1端部と反対側に配置された第2端部を有するコネクタ本体を含み、コネクタ本体は、注射器バレルに固定されるように構成された接続部材を有する。ハウジングおよびコネクタ本体の一方はタブを含み、ハウジングおよびコネクタ本体の他方はタブを受容するチャネルを含み、タブはばね部材を介して半径方向に移動可能である。コネクタ本体は、コネクタ本体がハウジングに対して第1回転方向に回転することが制限されハウジングに対して第2回転方向に自由に回転する第1位置と、コネクタ本体が第1回転方向および第2回転方向において回転することが自由である第2位置との間でハウジングに対して移動可能である。チャネルは、開始部分と、開始部分から延在する接続部分と、接続部分から延在する被接続部分と、被接続部分からチャネルの開始部分まで延在するリセット部分と、を含む。コネクタ本体は、タブがチャネルの開始部分にあるときには第1位置にあり、コネクタ本体は、タブがチャネルの被接続部分にあるときには第2位置にあり、コネクタ本体が第1位置から第2位置まで移行するときにタブがチャネルの接続部分にある。タブは、チャネルのリセット部分を介して、チャネルの被接続部分からチャネルの開始部分まで移動するように構成されている。
【0016】
チャネルの接続部分は、チャネルの開始部分からチャネルの被接続部分まで螺旋状に延在して、タブがコネクタ本体またはチャネルの接続部分を画定するハウジングと係合するときに、コネクタ本体がハウジングに対して軸方向に移動するように構成され、チャネルの残りの部分の深さがチャネルの被接続部分からチャネルの開始部分まで減少し、接続部分がチャネルの開始部分からチャネルの被接続部分まで延在するにつれてチャネルの接続部分の深さが減少するように構成されてもよい。コネクタ本体の第1端部は、コネクタ本体が第1位置にあるときにハウジングの第1端部から間隔をあけて配置されてもよく、コネクタ本体の第1端部は、コネクタ本体が第2位置にあるときにハウジングの第1端部と境界線を共にしてもよい。
【0017】
本発明のこれらおよび他の構成および特徴、ならびに構造の関連要素の動作の方法および機能、ならびに部品の組み合わせおよび製造の経済性は、以下の説明および添付の図面を参照して添付の特許請求の範囲を考慮すると、より明らかになり、これらはすべて本明細書の一部を形成しており、ここで、同様の参照数字は、様々な図中の対応する部分を示す。しかしながら、図面は、図示および説明のみを目的としたものであり、本発明の制限を定義することを意図したものではないことが明示的に理解されるべきである。明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「a」、「an」および「the」の単数形は、文脈が明確にそうでないことを指示しない限り、複数の参照語を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一側面による注射器アダプタの正面図であり、明確化のためにハウジングが透明に示されている。
図2図2は、図1の注射器アダプタの部分断面図であり、コネクタ本体の第1位置を示す。
図3図3は、図1の注射器アダプタの部分断面図であり、コネクタ本体の第2位置を示す。
図4図4は、図1の注射器アダプタのコネクタ本体の斜視図である。
図5図5は、図4のコネクタ本体の拡大斜視図である。
図6図6は、図1の注射器アダプタのハウジングの正面斜視図である。
図7図7は、図6のハウジングの背面斜視図である。
図8図8は、図1の注射器アダプタの部分正面図であり、明確化のために透明に示されたハウジングを有するコネクタ本体の第1位置を示している。
図9図9は、図1の注射器アダプタの部分正面図であり、明確化のために透明に示されたハウジングで第1位置と第2位置の間で移行するコネクタ本体を示している。
図10図10は、図1の注射器アダプタの部分正面図であり、明確化のために透明に示されたハウジングを備えたコネクタ本体の第2位置を示している。
図11図11は、図1の注射器アダプタの部分正面図であり、チャネルのリセット部分と整列したタブと、明確化のために透明に示されたハウジングを備えたコネクタ本体の第2位置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図示は、一般に、本開示のシステムおよび方法の好ましいおよび非限定的な側面を示す。本明細書は、装置の様々な側面を示しているが、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本開示の特徴の修正、概念、および応用は、当業者であれば、ここの図示および説明に包含されるが、これらに限定されないと解釈されるべきである。
【0020】
さらに、以下の説明の目的のために、用語「端」、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「横」、「縦」、「長手」、およびそれらの派生物は、図面の図中で方向づけられた本開示に関連するものとする。用語「基端」とは、装置の中心または中心領域に向かう方向を指す。用語「末端」は、装置の中心領域から離れて延在する外向きの方向を指す。しかしながら、本開示は、反対に明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的なバリエーションおよびステップの流れを想定していることが理解されるべきである。添付の図面に図示され、以下の明細書に記載された特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる例示的な側面であることも理解されるであろう。したがって、ここに開示された側面に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的なものとして考慮されるべきではない。本開示の理解を容易にする目的で、添付の図面および説明は、その好ましい側面を例示しており、そこから、本開示、その構造、構成および動作方法の様々な側面、および多くの利点が理解され認識されてもよい。
【0021】
図1~11を参照すると、本発明の一側面による注射器アダプタ10は、ハウジング20とコネクタ本体22とを含む。コネクタ本体22は、相手側コネクタに固定されるように構成された接続部材24を有する。一側面において、接続部材24は、注射器のバレルの対応する雄ルアーに固定されるように構成された雌ルアーロックコネクタである。注射器アダプタ10は、様々な容器間の流体の閉鎖的な移送を容易にする閉鎖系の移送装置システムに関連して利用されてもよい。特に、注射器アダプタ10は、バイアル内での薬剤の再構成、バイアルからの薬剤の引き出し、患者コネクタを介した患者ラインへの薬剤の送達、または輸液スパイクコネクタを介した輸液容器への薬剤の送達、および流体の閉鎖的な移送のための様々なシステムの構成要素との他の関連機能を容易にしてもよい。図示されていないが、注射器アダプタ10は、カニューレと、カニューレを用いた流体の閉鎖的な移送を容易にするためのシール配置と、流体の閉鎖的な移送のための様々なシステムの構成要素に接続するための別の接続配置とを含んでいてもよい。コネクタ本体22は、注射器アダプタ10との接続において図示されているが、ハウジング20、およびコネクタ本体22の配置は、以下でより詳細に論じられる利点を達成するために、任意の他の適切な医療用コネクタ上に提供されてもよい。
【0022】
図1~3、6、および7を参照すると、ハウジング20は、第1端部28と、第1端部28と反対側に配置された第2端部30とを有する。ハウジング20は、通路32を画定し、ハウジング20から延在するタブ34を含む。タブ34は、ハウジング20から通路32内に半径方向内向きに延在している。タブ34は、ばね部材36を介して半径方向に移動可能である。ばね部材36は、ハウジング20と一体的に形成されたカンチレバーばねであってもよいが、他の好適なばね配置を利用してもよい。タブ34は、一般に長方形であるが、他の好適な形状および構成が利用されてもよい。タブ34は、ハウジング20の長手方向軸に垂直な平面に対して角度が付けられた傾斜面38を含む。通路32は、ハウジング20の第1端部28から第2端部30まで延在している。
【0023】
図1~5を参照すると、コネクタ本体22は、第1端部50と、第1端部50と反対側に配置された第2端部52とを有する。コネクタ本体22は、ハウジング20のタブ34を受容するチャネル54を画定している。コネクタ本体22は、コネクタ本体22がハウジング20に対して第1回転方向Aに回転することが制限されハウジング20に対して第2回転方向Bに自由に回転する第1位置と、コネクタ本体22が第1および第2回転方向A,Bで自由に回転する第2位置との間で、ハウジング20に対して移動可能である。チャネル54は、開始部分56と、開始部分56から延在する接続部分58と、接続部分58から延在する被接続部分60とを含む。コネクタ本体22は、タブ34がチャネル54の開始部分にあるときに第1位置にあり、コネクタ本体22は、タブ34がチャネル54の被接続部分60にあるときに第2位置にあり、コネクタ本体22が第1位置から第2位置まで移行するとき、ハウジング20のタブ34がチャネル54の接続部分58にある。コネクタ本体22は、チャネル54の開始部分56に隣接する停止面62を含み、停止面62は、ハウジング20のタブ34と係合して、ハウジング20の第1回転方向Aの動きを制限するように構成されている。チャネル54の被接続部分60は、コネクタ本体22の周囲で周方向に延在しており、これにより、以下でより詳細に論じられるように、コネクタ本体22が第2位置にあるときに、コネクタ本体22が第1および第2回転方向A,Bで自由に回転することができるようになっている。
【0024】
図4および図5を参照すると、チャネル54の接続部分58は、チャネル54の開始部分56からチャネル54の被接続部分60まで螺旋状に延在しており、ハウジング20のタブ34がチャネル54の接続部分58内でコネクタ本体22と係合するときに、コネクタ本体22はハウジング20に対して軸方向に移動するように構成されている。コネクタ本体22の第1端部28は、コネクタ本体22が第1位置にあるときにハウジング20の第1端部28から間隔をあけており、コネクタ本体22の第1端部50は、コネクタ本体22が第2位置にあるときに、ハウジング20の第1端部28と境界線を共にしている。コネクタ本体22の接続部材24は、コネクタ本体22の第1端部50から延在している。コネクタ本体22は、コネクタ本体22が第1位置にあるときには可視であり、コネクタ本体22が第2位置にあるときには不可視であるインジケータを含んでもよい。インジケータは、コネクタ本体22が第1位置にあるときに可視であり第2位置にあるときに不可視であるコネクタ本体22の着色された部分であってもよいし、コネクタ本体22の部分上の表示であってもよい。チャネル54の接続部分58の深さは、接続部分58がチャネル54の開始部分56からチャネル54の被接続部分60まで延在するにつれて減少する。チャネル54の接続部分58の深さは、接続部分58がチャネル54の被接続部分60に向かって延在するにつれて徐々に減少してもよい。以下でさらに詳細に議論されるように、深さの減少は、ハウジング20のタブ34とコネクタ本体22の摩擦および係合を増加させ、それにより、タブ34がチャネル54の被接続部分60により近く移動するにつれて、コネクタ本体22をハウジング20に対して回転させるのに必要なトルクを増加させる。
【0025】
再び図4および5を参照すると、チャネル54は、チャネル54の被接続部分60からチャネル54の開始部分56まで延在するリセット部分64をさらに含む。チャネル54のリセット部分64の深さは、チャネル54の被接続部分60からチャネル54の開始部分56まで減少する。ハウジング20のタブ34は、チャネル54のリセット部分64を介して、チャネル54の被接続部分60からチャネル54の開始部分56まで移動するように構成されている。チャネル54のリセット部分64の深さが減少していることにより、上述したように、タブ34が、リセットチャネル64を介して、チャネル54の開始部分56からチャネル54の被接続部分60まで移動することを防止するようになっている。つまり、リセットチャネル64の形状および構成によって、タブ34が開始部分56からリセット部分64に入ることが防止される。チャネル54のリセット部分64は、コネクタ本体22の軸方向に延在している。
【0026】
タブ34は、第1位置から第2位置まで移動したときに聴覚および/または触覚指示を提供する。聴覚および/または触覚指示は、コネクタ本体22が第2位置内に移動されるときに、タブ34がコネクタ本体22に係合することによって提供されてもよい。特に、タブ34がチャネル54の接続部分58を通って移動すると、接続部分58の深さの減少は、ばね部材36を介してタブ34を半径方向外向きに偏らせ、これは、摩擦力の増加によりコネクタ本体22とハウジング20との間の抵抗を増大させるだけでなく、タブ34がチャネル54の被接続部分60に入るときに、タブ34が元の位置にスナップバックすることを可能にする。その元の位置にスナップバックすることは、タブ34がコネクタ本体22と係合し、タブ34が被接続部分60に入ったことおよびコネクタ本体22が第2位置に移動したことを示す聴覚および/または触覚指示をもたらす。
【0027】
図1~3を参照すると、コネクタ本体22は、ハウジング20の通路32に受容され、タブ34がハウジング20からコネクタ本体22のチャネル54内に半径方向内向きに延在している。コネクタ本体22は、しかしながら、ハウジング20のタブ34が半径方向外向きに延在する状態でハウジング20を受容してもよい。さらに、タブ34はハウジング20上に示されていてチャネル54はコネクタ本体22上に設けられているが、タブ34は、チャネル54がハウジング20上に設けられている状態で、コネクタ本体22上に設けられてもよい。
【0028】
図8~11を参照すると、注射器アダプタ10およびコネクタ本体22の様々な位置の使用が示されている。コネクタ本体22が第1位置にあるとき(図8に示す)、コネクタ本体22の第1端部50は、コネクタ本体22が第1位置にあることを示す指示を提供するために、ハウジング20の第1端部28から間隔をあけられている。第1位置では、タブ34は、チャネル54の開始部分56内にある。コネクタ本体22の接続部材24に注射器を接続するために、雄ルアーロックまたは他の適切なコネクタが接続部材24と係合されて回転されて、雄ルアーを雌ルアーロックまたは接続部材24上にねじ込む。雄ルアーロックが接続部材24と係合し、その間の摩擦力が増大すると、雄ルアーロックのさらなる回転により、コネクタ本体22をハウジング20に対して第2回転方向Bに回転させ、これにより、図9に示すように、タブ34がチャネル54の接続部分58に入る。コネクタ本体22が第1位置にあるとき、停止面62は、コネクタ本体22がハウジング20に対して第1回転方向Aに回転することを防止する。以下でより詳細に論じられるように、停止面62は、コネクタ本体22とハウジング20との間の回転を防止することにより、注射器をコネクタ本体22から切り離すことを可能にする。
【0029】
図9を参照すると、ハウジング20のタブ34がチャネル54の接続部分58内にある状態で、タブ34とコネクタ本体22との間の係合および接続部分58の螺旋状の形状が、上述した回転移動に加えて、ハウジング20に対するコネクタ本体22の軸方向の移動を引き起こす。
【0030】
図10を参照すると、上述したように、タブ34がチャネル54の被接続部分60に入るまで、チャネル54の接続部分58の深さが減少することに起因して、ハウジング20に対してコネクタ本体22を回転させるのに必要なトルクが増加する状態で、ハウジング20のタブ34は、チャネル54の接続部分58を通って移動する。コネクタ本体22を回転させるのに必要なトルクの増加はまた、注射器が締め付けられていてコネクタ本体22上の完全に固定された位置に到達していることの触覚指示を与える。上述したように、タブ34がチャネル54の被接続部分60内にスナップすることにより、タブ34がチャネル54の被接続部分60に入るとき聴覚指示が提供される。チャネル54の接続部分58とチャネル54の被接続部分60との深さの違いにより、タブ34がチャネル54の接続部分58に再進入することが防止される。タブ34がチャネル54の被接続部分60内に受容されると、コネクタ本体22は第2位置にありコネクタ本体22の第1端部50はハウジング20の第1端部28と境界線を共にし、コネクタ本体22が第2位置にあり注射器がコネクタ本体22に完全に固定されていることを示す表示を提供する。コネクタ本体22が第2位置にあるとき、コネクタ本体22は、ハウジング20に対して第1および第2の回転可能な方向A,Bの両方において自由に回転可能である。注射器がコネクタ本体22に接続されているときにこのような自由な回転を提供することは、後述するように、注射器をコネクタ本体22から切り離すために特定の動作を必要とすることにより、コネクタ本体22からの注射器の偶発的な切り離しを抑制する。さらに、コネクタ本体22に接続されているときに、注射器がコネクタ本体22に対して回転することを可能にすることは、注射器アダプタ10に接続されている閉鎖系の移送装置構成要素に注射器のいかなる動きも伝達されることを防止する。このような自由な回転がなければ、注射器の移動は、注射器アダプタ10の対応する移動を引き起こすかもしれず、それにより患者ラインまたは他の構成要素にトルクがかかり、ラインがキンクするかまたは構成要素の偶発的な切り離しを引き起こす可能性がある。
【0031】
図11を参照すると、コネクタ本体22から注射器を切り離すために、ハウジング20のタブ34は、チャネル54のリセット部分64と整列している。タブ34は、コネクタ本体22をハウジング20に対して軸方向に引っ張ることによってチャネル54のリセット部分64に入り、これはコネクタ本体22に接続された注射器を引っ張ることによって達成されてもよい。インジケータは、タブ34がチャネル54のリセット部分64と整列されたときに指示を提供するために、コネクタ本体22およびハウジング20上に設けられてもよい。代替的に、コネクタ本体22の回転移動がタブ34をリセット部分64に整列させたときに、ユーザは、注射器を回転させながら注射器を引っ張ることができ、これはタブ34がチャネル54のリセット部分64に入ることを引き起こす。チャネル54のリセット部分64は、チャネル54の被接続部分60と同じまたは類似の深さを有し、タブ34がリセット部分64に入ることを可能にする。タブ34がチャネル54のリセット部分64に入ると、ハウジング20から離れたコネクタ本体22のさらなる軸方向の移動により、タブ34はリセット部分64を通過してチャネル54の開始部分56に戻る。チャネル54のリセット部分64の深さが減少しているため、タブ34は、開始部分56に入るときにチャネル54の開始部分56にスナップして、コネクタ本体22が第1位置に戻ったことを聴覚および/または触覚指示を提供してもよい。コネクタ本体22が第1位置にある状態でタブ34がチャネル54の開始部分56に入ると、注射器をコネクタ本体22に固定するために使用される反対方向に回転させることにより、注射器をコネクタ本体22から取り外すことができる。注射器の取り外しの間、ハウジング20のタブ34は停止面62に係合し、ハウジング20に対する接続本体22の回転を防止し、これにより医療従事者が必要とする場合には、コネクタ本体22からの注射器の取り外しが可能となる。
【0032】
1つまたは複数のタブ34およびチャネル54が、注射器アダプタ10に関連して利用されてもよい。1つまたは2つのような少数のタブ34は、克服するためにより大きな力およびトルクを必要とするかもしれないが、多数のタブ34または連続したタブ34は、各タブ34により小さな干渉を必要とするであろう。チャネル54は、タブ34がチャネル54の被接続部分60内にあるときに、ハウジング20に対するコネクタ本体22の軸方向の移動を許容しないように、タブ34と寄り添うように(snuggly)嵌め合いしてもよい。代替的には、チャネル54の被接続部分60は、タブ34よりも幅を広くしてハウジング20とコネクタ本体22との間の軸方向の動きを可能にしてもよく、これにより、コネクタ本体22に軸方向に加えられた力が、意図せずまたはその他にかかわらず、注射器とコネクタ本体22との間の接続に変換されることを許容しないようにする。
【0033】
本発明は、現在最も実用的で好ましい側面であると考えられるものに基づいて、図示の目的で詳細に記載されてきたが、そのような詳細な記載は、専らその目的のためであり、本発明は、開示された側面に限定されるものではなく、逆に、添付の請求項の範囲および精神内にある改変および同等の配置をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の側面の1つ以上の特徴を、任意の他の側面の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを意図していることが理解されよう。
図1
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図11