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特許7066028酢酸ビニルモノマー生成のための高い幾何学的表面積の触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】酢酸ビニルモノマー生成のための高い幾何学的表面積の触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/04 20060101AFI20220502BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 37/06 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 35/08 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220502BHJP
   C07C 67/05 20060101ALI20220502BHJP
   C07C 69/15 20060101ALI20220502BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220502BHJP
【FI】
B01J31/04 Z
B01J37/02 101Z
B01J37/02 101E
B01J37/06
B01J37/08
B01J37/16
B01J35/08 Z
B01J35/10 301G
C07C67/05
C07C69/15
C07B61/00 300
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021065280
(22)【出願日】2021-04-07
(62)【分割の表示】P 2018502392の分割
【原出願日】2016-07-21
(65)【公開番号】P2021104508
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】62/195,499
(32)【優先日】2015-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ジー. ヴォン ディーク
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-535607(JP,A)
【文献】特表2013-534471(JP,A)
【文献】特表2010-512985(JP,A)
【文献】特開2004-160450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07C 67/05
C07C 69/15
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニルモノマーの合成用の触媒であって、
外面と、
60重量%~99重量%のシリカと、
1.0重量%~5.0重量%のアルミナと、
を含む支持体と、
前記外面に隣接する前記支持体内に配置された触媒層であって、Pd、Au、及び酢酸カリウム(KOAc)を更に含む、触媒層と、
130/g~300/gのブルナウアー-エメット-テラー(BET)表面積と、
800/m1300/mの、充填層体積当たりの幾何学的表面積と、
を含み、
前記触媒の空隙率が、35%~55%であり、
)前記KOAcは、前記触媒の60kg/m150kg/mであるか、または
)前記触媒層は、50μm~200μmの平均厚さを有するか、または
)前記KOAcは、前記触媒の60kg/m150kg/mであり、かつ前記触媒層は、50μm~200μmの平均厚さを有する、
前記触媒。
【請求項2】
前記KOAcが、前記触媒の65kg/m100kg/mである、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記触媒層が、100μm~200μmの平均厚さを有する、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
前記アルミナが1.0重量%~3.0重量%で前記触媒中に存在し
前記Pdが3g/L~15g/Lで前記触媒中に存在し、
前記Auが0.9g/L~7.0g/Lで前記触媒中に存在する、請求項1から3までの何れか1項に記載の触媒。
【請求項5】
PdのAuに対する質量比が、3.5:12.0:1である、請求項1から4までの何れか1項に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒の前記ブルナウアー-エメット-テラー(BET)表面積が、200/g~250/gである、請求項1から5までの何れか1項に記載の触媒。
【請求項7】
前記触媒層を除いて、前記支持体は、Pd、Au、及びKOAcを実質的に含まない、請求項1から6までの何れか1項に記載の触媒。
【請求項8】
前記KOAcが、前記触媒の65kg/m100kg/mであり、
前記触媒層が、50μm~150μmの平均厚さを有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
酢酸ビニルモノマーの合成用の触媒であって、
外面と、
60重量%~99重量%のシリカと、
1.0重量%~5.0重量%のアルミナと、
を含む支持体と、
前記外面に隣接する前記支持体内に配置された触媒層であって、Pd、Au、及び酢酸カリウム(KOAc)を更に含む、触媒層と、
130/g~300/gのブルナウアー-エメット-テラー(BET)表面積と、
550/m1500/mの、充填層体積当たりの幾何学的表面積と、
を含み、
PdのAuに対する質量比が、3.5:1~2.0:1であり、
)前記KOAcは、前記触媒の60kg/m150kg/mであるか、または
)前記触媒層は、50μm~200μmの平均厚さを有するか、または
)前記KOAcは、前記触媒の60kg/m150kg/mであり、かつ前記触媒層は、50μm~200μmの平均厚さを有する、
前記触媒。
【請求項10】
反応ガスを、請求項1から9の何れか1項に記載の触媒に接触させて、酢酸ビニルモノマーを製造することを含むプロセスであって、前記反応ガスは、エチレン、酢酸、及びOを含む、前記プロセス。
【請求項11】
請求項1から9の何れか1項に記載の触媒を製造する方法であって、前記方法は、Pd及びAuを、外面を含む支持体材料に浸透させて、前記外面に隣接する前記支持体材料内に配置された金属含有層を提供することを含み、
前記支持体材料は、
60重量%~99重量%のシリカと、
1.0重量%~5.0重量%のアルミナとを含み、
前記金属含有層は、Pd及びAuを更に含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年7月22日に出願された米国仮特許第62/195,499号に対する優先権を主張するものであり、その全体の開示は、いかなる及び全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本技術は、概して、酢酸ビニルモノマー生成の分野に関連する。より具体的には、触媒は、酢酸ビニルモノマーの合成に対して極めて活性に富み、高い選択性を提示する。本技術はまた、触媒を作製する方法及び触媒に関与するプロセスを提供する。
【背景技術】
【0003】
酢酸ビニルモノマー(VAM)は、以下の式によって表される化合物である。
【化1】
VAMは、ポリマーを含む、多種多様な製品における重要な成分である。VAMはまた、コーティング、繊維製品、塗料、及び他の用途における重要な中間体である。例えば、VAMのポリマーであるポリ酢酸ビニルは、接着剤及び粘着性物質を含む無数の用途で使用される。
【0004】
発明の概要
態様では、外面、約60重量%~約99重量%のシリカ、約1.0重量%~約5.0重量%のアルミナを含む支持体、外面に隣接する支持体内に配置される触媒層であって、Pd、Au、及び酢酸カリウム(KOAc)を更に含む触媒層、約130m/g~約300m/gのブルナウアー-エメット-テラー表面積、及び約550m/m~約1500m/mの充填層体積当たりの幾何学的表面積(GSA/PBV)を含む触媒が提供され、そこで、(a)KOAcは、触媒の約60kg/m~約150kg/mであるか、または(b)触媒層は、約50μm~約150μmの平均厚さを有するか、または(c)KOAcが触媒の約60kg/m~約150kg/mであり、触媒層が約50μm~約150μmの平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、KOAcは、触媒の約65kg/m~約100kg/mであり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒層は、約50μm~約550μmの厚さであり得る。
【0005】
上記の実施形態のいずれかにおいて、アルミナは、約1.0重量%~約3.0重量%であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒中のPdは、約3g/L~約15g/Lであり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒中のAuは、約0.9g/L~約7g/Lであり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、PdのAuに対する質量比は、約3.5:1~約2.0:1であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒の空隙率は、約35%~約55%であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒は、円筒形、球形、管状、複小葉形、輪状、星形、鞍状、溝付き形、または畝状の少なくとも1つを含む形状であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒層を除いて、支持体は、Pd、Au、及びKOAcを実質的に含まない場合がある。
【0006】
態様では、前述の触媒のいずれか1つを作製する方法が提供される。方法は、(Pd及びAuに外面を含む)支持体材料に浸透させて、外面に隣接する支持体材料内に配置される金属含有層を提供することを含む。支持体材料は、約60重量%~約99重量%のシリカ、及び約1.0重量%~約5.0重量%のアルミナを含み、金属含有層は、Pd及びAuを更に含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、支持体材料に浸透することは、支持体材料を、Pdの塩、Auの塩、またはその混合物を含む塩類溶液に接触させることを含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、塩類溶液に接触させることに続いて、支持体材料に浸透することは、支持体材料を塩基性溶液に接触させることを含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、浸透ステップに続く洗浄ステップを更に含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、浸透ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、浸透ステップに続く乾燥は、約40℃~約250℃の温度で行われ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法はまた、洗浄ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、洗浄ステップに続く乾燥は、約40℃~約250℃の温度で行われ得る。
【0008】
上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、金属含有層を還元剤に曝すことを更に含み得る。曝すステップは、約15℃~約500℃の温度で行われ得る。
【0009】
上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、金属含有層をKOAcに含浸させることを更に含み得る。含浸ステップは、曝すステップの前に生じ得るか、または含浸ステップは、曝すステップの後に生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、含浸ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含み得る。
【0010】
態様では、反応ガスを上記の実施形態のいずれか1つの触媒に接触させて、酢酸ビニルモノマーを生成するプロセスが提供され、そこで、反応ガスは、エチレン、酢酸、及びOを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】押出物触媒の充填層体積当たりの幾何学的表面積の例示的決定に使用される押出物触媒の測定パラメータを示す。
図2】押出物触媒の充填層体積当たりの幾何学的表面積の例示的決定において得られた押出物触媒に対する長さの代表的な分配を示す。
図3】押出物触媒の充填層体積当たりの幾何学的表面積の例示的決定に使用された、特定の長さが得られた個々の押出物触媒の各々の質量に対する、図2に提供される長さの分配の相関を提供する。
図4】本技術の実施形態による、支持体表面に隣接する暗帯が触媒層に相当する、本技術の有心四葉形触媒の断面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の用語が、以下に定義されるように全体にわたって使用される。
【0013】
本明細書で使用される場合、かつ添付の特許請求の範囲において、要素を記載する文脈における(特に、添付の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」等の単数形の冠詞、ならびに同様の指示対象は、本明細書において別段の記載がない限り、または内容が明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の記載がない限り、その範囲内に属する各別個の値を個々に指す簡略な方法の役目を果たすことを意図しているに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の記載がない限り、またはさもなければ内容が明らかに矛盾していない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書に提供されるあらゆる例または例示的な文言(例えば「等」)の使用は、実施形態をよりよく説明することを意図しているに過ぎず、別段の記載がない限り、特許請求の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、任意の請求されない要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0014】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者に明確ではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮して、「約」は、特定の用語の最大+または-10%までを意味する。
【0015】
概して、水素またはH等のある要素への言及は、その要素の全てのアイソトープを含むことを意味する。例えば、R基が水素またはHを含むように定義される場合、それは、重水素及び三重水素も含む。結果として、三重水素、C14、P32、及びS35等の放射性アイソトープを含む化合物は、本技術の範囲内にある。そのような標識を本技術の化合物に挿入するための手順は、本明細書における開示に基づいて当業者にとって容易に明らかであろう。
【0016】
当業者によって理解されるように、あらゆる目的のために、特に、書面による説明を提供するという観点から、本明細書において開示される全ての範囲は、それらのあらゆる可能な部分範囲及び部分範囲の組み合わせも包含する。任意の列挙される範囲は、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分等に分割された同じ範囲を十分に説明する及び可能にすると容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下三分の一、中三分の一、及び上三分の一等に容易に分割され得る。また当業者には理解されるように、「最大~まで」、「少なくとも」、「超」、「未満」等の全ての文言は、列挙されるかまたは参照される数を含み、それは、上で論じたように、後に部分範囲に分割することができる。最後に、当業者には理解されるように、範囲は各個々の構成要素を含む。
したがって、例えば、1~3個の原子を有する基は、1、2、または3個の原子を有する基を指す。同様に、1~5個の原子を有する基は、1、2、3、4、または5個の原子を有する基を指す、等。
【0017】
「実質的に有さない」は、本明細書で使用される場合、当業者によって理解され、かつ、文脈によってある程度異なる。当業者にとって明らかではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を前提として、「実質的に有さない」は、物質が約0.5重量%以下であることを意味するであろう。
【0018】
触媒は、特定され、酢酸ビニルモノマー(「VAM」)を生成するために使用されるとき、VAMの生成において高い触媒活性及び高い選択性を提示することが本明細書に記載される。触媒は、外面、約60重量%~約99重量%のシリカ、約1.0重量%~約5.0重量%のアルミナを含む支持体、及び外面に隣接する支持体内に配置される触媒層を含み、触媒層は、Pd、Au、及び酢酸カリウム(KOAc)を更に含む。触媒において、(a)KOAcは、触媒の約60kg/m~約150kg/mであるか、または(b)触媒層は、約50μm~約150μmの平均厚さを有するか、または(c)KOAcは、触媒の約60kg/m~約150kg/mであり、触媒層は、約50μm~約150μmの平均厚さを有する。触媒は、約130m/g~約300m/gのブルナウアー-エメット-テラー表面積、及び約550m/m~約1500m/mの充填層体積当たりの幾何学的表面積(GSA/PBV)を提示する。触媒は、押出物触媒、沈殿物触媒、または球状触媒であり得る。いくつかの実施形態では、触媒は、押出物触媒である。押出物触媒の形成は、典型的に、長さに切断するかしないかにかかわらず、ペーストを金型に押し通すことを含む。押出物触媒は、個体または中空内部で形成され得、押出物触媒の外部は、円筒形、管状、複小葉形、輪状、星形、三葉形、四葉形、クローバーの葉の形状、鞍状、溝付き形、畝状、複数に尖った星、溝付き形の輪、中空円筒、歯車、車輪、多穴ペレット、またはモノリスを含むが、これらに限定されない断面形状を有し得る。
【0019】
支持体は、約60重量%~約99重量%のシリカを含む。本明細書における任意の実施形態では、支持体は、約60重量%、約62重量%、約64重量%、約66重量%、約68重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約98重量%、約99重量%、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲の量でシリカを含み得る。支持体はまた、約1.0重量%~約5.0重量%の量でアルミナを含む。支持体中のアルミナの量は、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.2重量%、約2.4重量%、約2.6重量%、約2.8重量%、約3.0重量%、約3.2重量%、約3.4重量%、約3.6重量%、約3.8重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%、約5.0重量%、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲の量でアルミナを含み得る。例えば、上記の実施形態のいずれかにおいて、アルミナは、約1.0重量%~約3.0重量%であり得る。
【0020】
上で述べた通り、触媒は、約130m/g~約300m/gのブルナウアー-エメット-テラー表面積(「BET表面積」)を有する。BET表面積は、いかなる及び全ての目的で参照により全体として本明細書に組み込まれる、ASTM-D3663-03(2008)に記載される方法を含むいくつかの方法によって決定され得る。BET表面積は、約130m/g、約140m/g、約150m/g、約160m/g、約170m/g、約180m/g、約190m/g、約200m/g、約210m/g、約220m/g、約230m/g、約240m/g、約250m/g、約260m/g、約270m/g、約280m/g、約290m/g、約300m/g、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。例えば、上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒は、約200m/g~約250m/gのBET表面積を有し得る。
【0021】
GSA/PBVは、マクロ、メソ、及びミクロの孔子によって提供される表面積を除外する。触媒のGSA/PBVを決定する様々な方法が存在するが、ある例が以下に提供される。
【0022】
幾何学的表面積(GSA)
球形触媒に関して、球形触媒の幾何学的表面積(GSA)は、原則的に4π(r)であり、そこで、「r」は、球形触媒の直径の半分である。
【0023】
押出物触媒に関して、GSAは、以下の通りに評価され得る。押出物触媒の外周(OP)、内周(IP;存在するとき)、及びフェース表面積(FSA)は、較正された光学顕微鏡で測定され得る。図1は、外周、内周、フェース表面積(陰影)、及び長さ寸法を示す。押出物触媒の長さは、マイクロメーターを使用して測定され得る。これらの測定値を使用して、単一の押出物触媒の幾何学的表面積は、方程式1に示されるように計算され得る。
【数1】
図1が示し、方程式1によって、触媒を通る1つの隙間(「穴」)を有する触媒のGSAが説明されるが、フェース面に複数の穴がある場合、各穴のために起因する面積は、GSAを決定するときに説明される。例えば、IPを有する第1の穴、及びIPを有する第2の穴、及びIPを有する第3の穴を有する触媒は、2*(FSA)+(IP)*長さ+(IP)*長さ+(IP)*長さ+(OP)*長さのGSA、を有するであろう。押出物触媒は、規則的なサイズの金型プレートを通過することによって形成されるため、ある種類(例えば、形状)の全ての押出物触媒のフェース表面積は、一定であると仮定され得る。一定のフェース表面積では、1つの押出物触媒から別の押出物触媒へ異なり得る唯一のパラメータは、長さである。これを克服するために、代表的な長さ分配が、GSAを決定するために使用され得る。
【0024】
代表的な長さ分配を捉えるために、長さが、100*(長における標準偏差)より大きい多数の押出物触媒に対して決定され得る。例えば、測定された長さの標準偏差が1.5である場合、150の長さ測定値が、合理的な代表分配を得るために使用されるであろう。図2は、フェース面上の最長点で約5.5mmの直径を有する、本技術による有心四葉形押出物触媒に対する例示的な分配曲線を提供する。方程式1を使用して、押出物の分配の押出物触媒の各々の幾何学的表面積が計算され得る。
【0025】
質量当たりの幾何学的表面積
この押出物触媒の集合体からの触媒の質量当たりの幾何学的表面積を決定するために、質量対長さの線形相関が、>50の押出物の質量及び長さを測定することによって評価され得る。押出物触媒に関して、図3に示される通り、図2で使用された有心四葉形押出物触媒の長さと質量との間に強い相関がある。図2の長さ分配、及び図3の直線質量対長さ相関を使用して、図2における150の押出物触媒の同じ分配に対する質量当たりの幾何学的表面積が、例えば、方程式2を使用することによって計算され得る。「粒子の質量」は、図3の直線質量対長さ相関から見ることができる。
【数2】
同様の手順が、球形触媒の代表的な質量当たりの幾何学的表面積を決定するために使用され得る。代表的な値は、粒子の大きい(少なくとも50より大きい)粒子の集合体を使用することによって得られる。
【0026】
GSA/PBVの取得
質量当たりの幾何学的表面積を使用してGSA/PBVを得るために、問題になっている触媒系(例えば、特定の押出物の種類、球形触媒、等)の充填層密度が測定される。充填層密度は、いかなる及び全ての目的で参照により全体として本明細書に組み込まれる、ASTM-D4164-82に記載される方法を含むが、これに限定されない、様々な方法によって決定され得る。質量当たりの幾何学的表面積(m/gの単位)を充填層密度(g/mの単位での「質量/容積」)で乗算すると、方程式3に示される通り、GSA/PBVを提供するために質量単位が相殺される。
【数3】
上記に提供された例示的な分析を使用することは、触媒粒子の固定充填層体積内の幾何学的表面積を合理的に説明する。しかしながら、GSA/PBVを決定する他の方法が使用され得ることが留意されるべきである。
【0027】
触媒に関して、GSA/PBVは、約550m/m、約560m/m、約570m/m、約580m/m、約590m/m、約600m/m、約625m/m、約650m/m、約675m/m、約700m/m、約725m/m、約750m/m、約775m/m、約800m/m、約825m/m、約850m/m、約875m/m、約900m/m、約950m/m、約1000m/m、約1100m/m、約1200m/m、約1300m/m、約1400m/m、約1500m/m、約1000m/m、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。例えば、触媒は、約600m/m~約1500m/m、または約800m/m~約1300m/mであるGSA/PBVを有し得る。
【0028】
KOAcは、触媒の約60kg/m~約150kg/mであり、約60kg/m、約65kg/m、約70kg/m、約75kg/m、約80kg/m、約85kg/m、約90kg/m、約95kg/m、約100kg/m、約110kg/m、約120kg/m、約130kg/m、約140kg/m、約150kg/m、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。例えば、上記の実施形態のいずれかにおいて、KOAcは、触媒の約65kg/m~約100kg/mであり得る。
【0029】
上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒層は、約50μm~約550μmの平均厚さを有し得る。結果として、触媒層は、支持体の外面に隣接する支持体内に配置され、支持体の内部に内側に向かって伸展する。平均厚さは、触媒粒子の断面の外側上の暗帯を測定するための較正された光学顕微鏡を使用することによって決定され得る。図4は、有心四葉形触媒の断面を示し、そこで、外面に隣接する周縁上の暗帯は、触媒内の触媒層に相当する。触媒層の平均厚さを決定する様々な方法が使用され得るが、1つの取り組み方は、触媒粒子断面の各外面の10個の等距離点の触媒層厚さを測定することを含む。例えば、図4の有心四葉形触媒に関して、そのような測定は、中心、及びフェース上の穴における触媒層厚さを測定することを含む。この有心四葉形触媒の触媒層の平均厚さは、断面からの10個の等距離の触媒層厚さの測定値と、押出物フェースからの10個の点との平均を計算することによって決定され得る。球形触媒に関して、平均厚さは、球形触媒の2等分からの10個の等距離の触媒層厚さの測定値を計算することによって決定され得る。
【0030】
触媒において、触媒層の平均厚さは、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、約150μm、約160μm、約170μm、約180μm、約190μm、約200μm、約210μm、約220μm、約230μm、約240μm、約250μm、約260μm、約270μm、約280μm、約290μm、約300μm、約310μm、約320μm、約330μm、約340μm、約350μm、約360μm、約370μm、約380μm、約390μm、約400μm、約410μm、約420μm、約430μm、約440μm、約450μm、約460μm、約470μm、約480μm、約490μm、約500μm、約510μm、約520μm、約530μm、約540μm、約550μm、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。
【0031】
触媒中のPdの量は、約3g/L~約15g/Lであり得る。触媒中のPdの量は、約3g/L、約4g/L、約5g/L、約6g/L、約7g/L、約8g/L、約9g/L、約10g/L、約11g/L、約12g/L、約13g/L、約14g/L、約15g/L、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒中のAuは、約0.9g/L~約7.0g/Lであり得、触媒中のAuの量は、約0.9g/L、約1.0g/L、約1.1g/L、約1.2g/L、約1.3g/L、約1.4g/L、約1.5g/L、約1.6g/L、約1.7g/L、約1.8g/L、約1.9g/L、約2.0g/L、約2.2g/L、約2.4g/L、約2.6g/L、約2.8g/L、約3.0g/L、約3.2g/L、約3.4g/L、約3.6g/L、約3.8g/L、約4.0g/L、約4.2g/L、約4.4g/L、約4.6g/L、約4.8g/L、約5.0g/L、約5.5g/L、約6.0g/L、約6.5g/L、約7.0g/L、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。
【0032】
PdのAuに対する質量比は、約3.5:1~約2.0:1であり得る。上記の実施形態のいずれかにおけるPdのAuに対する質量比は、約3.5:1、約3.4:1、約3.3:1、約3.2:1、約3.1:1、約3.0:1、約2.9:1、約2.8:1、約2.7:1、約2.6:1、約2.5:1、約2.4:1、約2.3:1、約2.2:1、約2.1:1、約2.0:1、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。
【0033】
触媒の空隙率は、約35%~約55%であり得る。空隙率は、固定層に充填されるときの触媒中、及び個々の触媒の間にある空間の基準であり、そこで、空隙率は、固定層の容積によって除算される充填固定層における隙間容積である。隙間容積は、ASTM-CCA11916、ASTM-D6761-07、ASTM-D5965-02、またはASTM-C604-02を含むが、これに限定されない様々な方法によって決定され得る。結果として、隙間容積は、穴及びくぼみ等の特徴からの触媒内、ならびに充填固定層における個々の触媒の間にある空間を含む。触媒の空隙率は、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約42%、約44%、約46%、約48%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。
【0034】
触媒は、円筒形、球形、管状、複小葉形、輪状、星形、鞍状、溝付き形、または畝状の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない形状であり得る。そのような形状の例には、Raschigリング、Pallリング、Berl鞍、Intalox鞍、三葉形、四葉形、クローバーの葉の形、複数に浅裂形、複数に尖った星、溝付き形リング、中空円筒、歯車、車輪、多穴ペレット、またはモノリスが含まれるが、これらに限定されない。上記の実施形態のいずれかにおいて、触媒は、約2.0ミリメートル(「mm」)~約9.0mmの直径を有し得る。触媒の直径は、約2.0mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、約3.9mm、約4.0mm、約4.1mm、約4.2mm、約4.3mm、約4.4mm、約4.5mm、約4.6mm、約4.7mm、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、約5.9mm、約6.0mm、約6.1mm、約6.2mm、約6.3mm、約6.4mm、約6.5mm、約6.6mm、約6.7mm、約6.8mm、約6.9mm、約7.0mm、約7.1mm、約7.2mm、約7.3mm、約7.4mm、約7.5mm、約7.6mm、約7.7mm、約7.8mm、約7.9mm、約8.0mm、約8.1mm、約8.2mm、約8.3mm、約8.4mm、約8.5mm、約8.6mm、約8.7mm、約8.8mm、約8.9mm、約9.0mm、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。
【0035】
触媒層は、Pd、Au、及びKOAcを含み得るが、残りの支持体は、Pd、Au、及びKOAcを実質的に含まない場合がある。上記の実施形態のいずれかにおいて、支持体(触媒層を含まない)中のPdの量は、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、支持体(触媒層を含まない)中のAuの量は、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、支持体(触媒層を含まない)中のKOAcの量は、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。
【0036】
態様では、前述の触媒のいずれか1つを作製する方法が提供される。方法は、(Pd及びAuを、外面を含む)支持体材料に浸透させて、外面に隣接する支持体材料内に配置される金属含有層を提供することを含む。支持体材料は、約60重量%~約99重量%のシリカ、及び約1.0重量%~約5.0重量%のアルミナを含み、金属含有層は、Pd及びAuを更に含む。シリカ、アルミナ、Pd、及びAuの量は、上述の値のいずれか1つ以上であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、支持体材料に浸透することは、支持体材料を、Pdの塩、Auの塩、またはその混合物を含む塩類溶液に接触させることを含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、塩類溶液は、Pdの塩化物塩、Auの塩化物塩、またはそれらの混合物を含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、溶液は、水溶液であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、Pdの塩は、塩化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)ナトリウム、硝酸パラジウム(II)、またはその任意の2つ以上の混合物であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、Auの塩は、塩化金(III)、四塩化金(III)酸、またはそれらの混合物であり得る。
【0038】
上記の実施形態のいずれかにおいて、塩類溶液に接触させることに続いて、支持体材料に浸透することは、支持体材料を塩基性溶液に接触させることを含み得る。塩基性溶液は、水性であり得、メタケイ酸ナトリウムを含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、浸透ステップに続く洗浄ステップを更に含み得る。
【0039】
上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、浸透ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、浸透ステップに続く乾燥は、約40℃~約250℃の温度で生じ得る。浸透ステップに続く乾燥は、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、約250℃、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲の温度で生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、浸透ステップに続く乾燥は、真空下で生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、洗浄ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、洗浄ステップに続く乾燥は、約40℃~約250℃の温度で生じ得る。洗浄ステップに続く乾燥は、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、約250℃、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲の温度で生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、洗浄ステップに続く乾燥は、真空下で生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、洗浄ステップに続く乾燥は、不活性雰囲気下で生じ得る。
【0040】
方法は、金属含有層を還元剤に曝すことを更に含み得る。還元剤は、還元ガスを含み得、そこで、還元ガスは、Hを含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、還元ガスは、モル基準で約4%~約100%のHを含み得る還元ガスは、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、約100%、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲のHを含み得る。還元ガスは、窒素ガス、エチレン、またはそれらの混合物を更に含み得る。還元ガスがH及び窒素ガスを含む実施形態では、窒素ガス及びHは、約5:1~1:1の比率で存在し得る。曝すステップの継続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲であり得る。曝すステップは、約15℃~約500℃の温度で生じ得、結果として、曝すステップは、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、約250℃、約275℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、約500℃、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲の温度で生じ得る。例えば、曝すステップは、約175℃~約500℃の温度で生じ得る。
【0041】
方法は、金属含有層をKOAcに含浸させることを更に含み得る。含浸ステップは、曝すステップの前に生じ得るか、または含浸ステップは、曝すステップの後に生じ得る。含浸ステップは、金属含有層をKOAcの水溶液に接触させることを含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、含浸ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含み得る。含浸ステップに続く乾燥は、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、約250℃、またはこれらの値を含み、かつこれらの値の任意の2つの間にある任意の範囲の温度で生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、含浸ステップに続く乾燥は、真空下で生じ得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、含浸ステップに続く乾燥は、不活性雰囲気下で生じ得る。
【0042】
態様では、酢酸ビニルモノマーを生成するために、反応ガスを、上記の実施形態のいずれか1つの触媒に接触させることを含むプロセスが提供され、そこで、反応ガスは、エチレン、酢酸、及びOを含む。接触ステップは、触媒を含有する固定層型反応器内に含有され得る。そのような実施形態では、反応ガスは、触媒を含有する固定層型反応器中を流れ、そこで、そのような流れが、反応ガスを触媒に接触させることを達成する。
【0043】
しかしながら、本技術の触媒は、オレフィン、酸素、及びカルボン酸を伴う反応を含む(が、これらに限定されない)他の反応において使用され得る。
【0044】
本明細書の例は、本技術の利益を説明し、当業者が本技術を調製または使用することを更に援助するために提供される。本明細書の例はまた、本技術の好ましい態様をより十分に説明するために提示される。例は、添付の特許請求の範囲によって提議されるように、決して本技術の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。例は、変形、態様、または上述の本技術の態様のいずれかを含むか、または組み込むことができる。変形、態様または上述の態様はまた、任意または全ての他の変形、態様、または本技術の態様の変形を更に各々含むか、または組み込み得る。
【実施例
【0045】
ある実施形態が示され、説明されたが、当業者は、前述の明細書を読んだ後、本技術の化合物に対して変更、均等物の置換、及び他の種類の修正をきたすことができる。上述の各態様及び実施形態はまた、他の態様及び実施形態のいずれか、または全てに関して開示されるように、そのような変形または態様をそれと共に含むか、または組み込んでいてもよい。
【0046】
本技術の例示的な触媒と比較触媒との組成物
本技術の2つの触媒(触媒1及び触媒2)と比較触媒(「比較」)との組成物及び特性が、以下の表1に提供される。SiO及びAlを、約0.1重量%の検出限界を有するX線蛍光によって決定した。Pd、Au、及びKを、誘導結合プラズマ原子発光分析によって決定した。測定された全てのカリウムは、酢酸カリウムからであると仮定した。
【表1】
【0047】
空時収量及び選択性の改善
VAM生成を、ガスチャネリングを排除するために触媒粒子空隙を充填する炭化ケイ素を有する等温固定層反応器において評価し、図1及び2の結果は、150℃での操作の20時間後である。反応器に対する操作条件は、表2に提供される。
【表2】
【0048】
反応器への反応物供給は、79.24モル%のエチレン、12.04モル%の酢酸、6.6モル%のO、及び2.11モル%の水であった。空時収量及び酢酸ビニル選択性は、以下の表3に提供される。
【表3】
【0049】
空時収量は、触媒の間の金属負荷における差異を補正するために計算し、比較触媒に関して正規化する。表3に示される通り、触媒1及び2は、比較触媒より有意により活性な触媒であり、そこで、触媒2は触媒1より活性である。更に、触媒1及び2は、酢酸ビニルに関して有意により高い選択性を提供する。
【0050】
本技術はまた、本出願に記載される特定の態様の観点から制限されるべきではなく、それらは、本技術の個々の態様の単一の説明を目的とする。当業者には明らかなように、本技術の多くの修正及び変形が、その主旨及び範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書で列挙されるものに加えて、本技術の範囲内の機能的に均等な方法は、上記の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に属することが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、標識付きの化合物、または生物系に制限されず、これらは当然ながら変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明する目的のためであり、限定的であることは意図されないことも理解されたい。結果として、本明細書が、添付の特許請求の範囲、その中の定義、及びそのいかなる均等物のみによって示される本技術の幅、範囲、及び主旨を伴う例示のみと見なされることが意図される。
【0051】
本明細書において例示的に記載される実施態様は、本明細書において具体的に開示されていない任意の1つのまたは複数の要素、1つのまたは複数の制限の非存在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、備える(comprising)、含む(including)、含む(containing)等の用語は、制限なく広範囲に読まれるべきである。更に、本明細書で用いられる用語及び表現は、制限ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語や表現の使用において、示されかつ記載される特徴またはその一部のいかなる均等物をも除外することは意図されないが、請求される技術の範囲内で種々の修正が可能であることを認識されたい。更に、「~から実質的になる」という句は、具体的に列挙される要素、及び請求される技術の基本的かつ新規の特徴に著しく影響しない追加の要素を含むものと理解されよう。「~からなる」という句は、明記されていないあらゆる要素を除外する。
【0052】
更に、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群の観点から記載されている場合、当業者は、それによって本開示がマーカッシュ群の任意の個々の構成要素または構成要素の下位群の観点からも記載されていることを認識するであろう。一般的な開示の範囲内にあるより狭い種及び亜族の集団の各々も、本発明の一部を形成する。これは、切除された材料が本明細書に特に列挙されるか、されないかにかかわらず、任意の主題を属から取り除く条件または否定的な制限を有する本発明の一般的記述を含む。
【0053】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、交付済み特許、及び他の文献は、各個々の刊行物、特許出願、交付済み特許、または他の文献(例えば、定期刊行物、記事、及び/または教科書)が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載内容に含まれる定義は、それらが本開示における定義に矛盾する限り除外される。
【0054】
本技術は、以下の文字付き項を含むが、これらに限定されない。
A.触媒であって、
外面と、
約60重量%~約99重量%のシリカと、
約1.0重量%~約5.0重量%のアルミナと、
を含む支持体と、
外面に隣接する支持体内に配置される触媒層であって、Pd、Au、及び酢酸カリウム(KOAc)を更に含む触媒層と、
約130m/g~約300m/gのブルナウアー-エメット-テラー表面積と、
約550m/m~約1500m/mの充填層体積当たりの幾何学的表面積と、
を含む触媒であって、
(a)KOAcは、触媒の約60kg/m~約150kg/mであるか、または
(b)触媒層は、約50μm~約150μmの平均厚さを有するか、または
(c)KOAcは、触媒の約60kg/m~約150kg/mであり、触媒層は、約50μm~約150μmの平均厚さを有する、
触媒。
B.KOAcが、触媒の約65kg/m~約100kg/mである、A項の触媒。
C.触媒層が、約50μm~約550μmの平均厚さを有する、A項またはB項の触媒。
D.触媒層が、約100μm~約400μmの平均厚さを有する、A~C項のいずれか1項の触媒。
E.触媒層が、約100μm~約200μmの平均厚さを有する、A~D項のいずれか1項の触媒。
F.アルミナが、約1.0重量%~約3.0重量%である、A~E項のいずれか1項の触媒。
G.触媒中のPdが、約3g/L~約15g/Lである、A~F項のいずれか1項の触媒。
H.触媒中のAuが、約0.9g/L~約7.0g/Lである、A~G項のいずれか1項の触媒。
I.PdのAuに対する質量比が、約3.5:1~約2.0:1である、A~H項のいずれか1項の触媒。
J.触媒のブルナウアー-エメット-テラー表面積が、約200m/g~約250m/gである、A~I項のいずれか1項の触媒。
K.触媒の充填層体積当たりの幾何学的表面積が、約600m/m~約1500m/mである、A~J項のいずれか1項の触媒。
L.触媒の充填層体積当たりの幾何学的表面積が、約800m/m~約1300m/mである、A~K項のいずれか1項の触媒。
M.触媒の空隙率が、約35%~約55%である、A~L項のいずれか1項の触媒。
N.触媒は、円筒形、球形、管状、複小葉形、輪状、星形、鞍状、溝付き形、または畝状の少なくとも1つを含む形状である、A~M項のいずれか1項の触媒。
O.触媒層を除いて、支持体は、Pd、Au、及びKOAcを実質的に含まない、A~N項のいずれか1項の触媒。
P.A~O項のいずれか1項の触媒を作製する方法であって、Pd及びAuを有する外面を含む支持体材料に浸透して、外面に隣接する支持体材料内に配置される金属含有層を提供することを含み、
支持体材料は、
約60重量%~約99重量%のシリカと、
約1.0重量%~約5.0重量%のアルミナとを含み、
金属含有層は、Pd及びAuを更に含む、方法。
Q.支持体材料に浸透することは、支持体材料を、Pdの塩、Auの塩、またはそれらの混合物を含む塩類溶液に接触させることを含む、P項の方法。
R.塩類溶液に接触させることに続いて、支持体材料に浸透することは、支持体材料を塩基性溶液に接触させることを含む、Q項の方法。
S.浸透ステップに続く洗浄ステップを更に含む、P~R項のいずれか1項の方法。
T.浸透ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含む、P~S項のいずれか1項の方法。
U.浸透ステップに続く乾燥は、約40℃~約250℃の温度で生じる、T項の方法。
V.洗浄ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含む、S~U項のいずれか1項の方法。
W.洗浄ステップに続く乾燥は、約40℃~約250℃の温度で生じる、V項の方法。
X.金属含有層を還元剤に曝すことを更に含む、P~W項のいずれか1項の方法。
Y.曝すステップは、約15℃~約500℃の温度で生じる、X項の方法。
Z.方法は、金属含有層をKOAcに含浸させることを更に含む、P~Y項のいずれか1項の方法。
AA.含浸ステップが、曝すステップの前に生じる、Z項の方法。
AB.含浸ステップが、曝すステップの後に生じる、Z項の方法。
AC.含浸ステップに続いて支持体材料を乾燥させることを更に含む、Z~AB項のいずれか1項の方法。
AD.酢酸ビニルモノマーを生成するために、反応ガスを、A~O項のいずれか1項の触媒に接触させることを含むプロセスであって、反応ガスは、エチレン、酢酸、及びOを含む、プロセス。
【0055】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲が与えられている均等物の全範囲と共に、そのような特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4