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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021184992
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】17/345,592
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 來宏
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
【審査官】西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-80736(JP,A)
【文献】特開2014-225667(JP,A)
【文献】特開2017-92054(JP,A)
【文献】特開2021-56338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0152347(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0014838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に配置された読み出し回路アレイ、
前記読み出し回路アレイの上に配置された光電層、および
前記光電層の上に配置されたフィルタ層を含み、
前記フィルタ層は、第1の波長を定義する第1のスペクトルを有し、
前記光電層は、前記第1の波長より長い第2の波長を定義する第2のスペクトルを有し、
前記第1の波長は、前記フィルタ層の前記第1のスペクトルの曲線上の第1の点および第2の点を通過する第1の線に対応し、前記第1の点は、0.9の消衰係数と一致し、前記第2の点は、0.1の消衰係数と一致し、
前記第2の波長は、前記光電層の前記第2のスペクトルの曲線上の第3の点および第4の点を通過する第2の線に対応し、前記第3の点は、0.9の消衰係数と一致し、前記第4の点は、0.1の消衰係数と一致するイメージセンサ構造。
【請求項2】
前記第2の波長は、前記第1の波長より10~150nm長く、
前記消衰係数は、第1のスペクトルまたは第2のスペクトルのピークの最大消衰係数によって正規化された値である請求項1に記載のイメージセンサ構造。
【請求項3】
前記第1の波長は、0の消衰係数の位置まで延びる前記第1の線によって定義され、
前記第2の波長は、0の消衰係数の位置まで延びる前記第2の線によって定義される請求項1又は2に記載のイメージセンサ構造。
【請求項4】
前記第1の点および前記第2の点は、第1のスペクトルの最長波長セグメント内にあり、
前記第3の点および前記第4の点は、第2のスペクトルの最長波長セグメント内にある請求項1~3のいずれか一項に記載のイメージセンサ構造。
【請求項5】
前記読み出し回路アレイ上の下部コンタクトパッドおよび前記光電層上の導電層、
前記下部コンタクトパッドと前記光電層との間に配置された第1のキャリア輸送層、および
前記光電層と前記導電層の間に配置された第2のキャリア輸送層をさらに含み、
前記第1のキャリア輸送層または前記第2のキャリア輸送層は、電子輸送層または正孔輸送層である請求項1~4のいずれか一項に記載のイメージセンサ構造。
【請求項6】
前記光電層と前記フィルタ層の間に配置された保護層、および
前記保護層と前記フィルタ層の間に配置されたマイクロレンズをさらに含み、
前記フィルタ層は吸収性フィルタ層である請求項1~5のいずれか一項に記載のイメージセンサ構造。
【請求項7】
前記光電層と前記フィルタ層の間に配置された保護層、および
前記フィルタ層に配置されたマイクロレンズをさらに含み、
前記フィルタ層は吸収性フィルタ層である請求項1~6のいずれか一項に記載のイメージセンサ構造。
【請求項8】
前記フィルタ層上に配置された保護層、および
前記保護層に配置されたマイクロレンズをさらに含み、
前記フィルタ層は吸収性フィルタ層である請求項1~7のいずれか一項に記載のイメージセンサ構造。
【請求項9】
基板を形成するステップ、
前記基板上に読み出し回路アレイを形成するステップ、
前記読み出し回路アレイ上に光電層を形成するステップ、および
前記光電層上にフィルタ層を形成するステップを含み、
前記フィルタ層は、第1の波長を定義する第1のスペクトルを有し、
前記光電層は、前記第1の波長より長い第2の波長を定義する第2のスペクトルを有し、
前記第1の波長は、前記フィルタ層の前記第1のスペクトルの曲線上の第1の点および第2の点を通過する第1の線に対応し、
前記第1の点は、0.9の消衰係数と一致し、前記第2の点は、0.1の消衰係数と一致し、
前記第2の波長は、前記光電層の前記第2のスペクトルの曲線上の第3の点および第4の点を通過する第2の線に対応し、
前記第3の点は、0.9の消衰係数と一致し、
前記第4の点は、0.1の消衰係数と一致するイメージセンサ構造を製造する方法。
【請求項10】
前記読み出し回路アレイ上に下部コンタクトパッドを形成するステップ、
前記下部コンタクトパッドと前記光電層の間に第1のキャリア輸送層を形成するステップ、
前記光電層上に導電層を形成するステップ、および
前記光電層と前記導電層の間に第2のキャリア輸送層を形成するステップ、
前記第1のキャリア輸送層は電子輸送層または正孔輸送層であり、前記第2のキャリア輸送層は電子輸送層または正孔輸送層である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光電層と前記フィルタ層の間に保護層を形成するステップ、および
前記保護層と前記フィルタ層の間にマイクロレンズを形成するステップをさらに含み、
前記フィルタ層は吸収性フィルタ層である請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記光電層と前記フィルタ層の間に保護層を形成するステップ、および
前記フィルタ層上にマイクロレンズを形成するステップをさらに含み、
前記フィルタ層は吸収性フィルタ層である請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタ層上に保護層を形成するステップ、および
前記保護層にマイクロレンズを形成するステップをさらに含み、
前記フィルタ層は吸収性フィルタ層である請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記読み出し回路アレイ上に前記光電層を形成するステップは、
前記読み出し回路アレイ上に光電材料を形成するステップ、
前記光電材料上にパターン化されたフォトレジスト層を形成するステップ、
前記光電材料をエッチングするステップ、および
前記パターン化されたフォトレジスト層を除去して前記光電層を形成するステップをさらに含み、
前記光電層と前記パターン化されたフォトレジスト層は異なる材料でできている請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イメージセンサ構造およびその製造方法に関するものであり、特に、フィルタ層と吸収波長可変光電層を有するイメージセンサ構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線(IR)イメージセンサは、顔認識および3Dセンシングに一般的に用いられる技術である。これらのIRイメージセンサは、レーザー光源からの信号を検出する。一般的に用いられるレーザー波長は、850、940、980、1310、1350、および1550nmである。周囲の広帯域光源はノイズと見なされる。信号対雑音比(S/N)を向上させるために、レーザー波長に対応する狭帯域のイメージセンサの感知信号が好ましい。
【0003】
現在、通常のシリコン(Si)ベースのイメージャが、940nmの波長に一般的に用いられているが、約900nm~約1100nmの間の波長にある近赤外線(NIR)領域では、吸収効率が比較的弱いため、量子効率が低くなる。NIR領域でのSiベースのイメージセンサの吸収効率を高めるために、ウルトラディープ(ultra-deep)(>5um)のSiベースのフォトダイオードを用いる必要があり、これにより製造コストが高くなり、画素間の光学的クロストークが高くなり、小型化が制限され、画像密度が低くなる。さらに、Siは1100nm以上に感度を持たないため、約1100nm~約1700nmの間の波長にあるSWIR領域でのアプリケーション(application)を制限する。
【0004】
また、狭帯域IRイメージセンサとしてともに干渉型の狭帯域パスフィルタと統合された通常の相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサは、高角度依存のピークシフトが発生し、その結果、視野(FOV)のアプリケーションが制限される。さらに、製造の複雑さ、膜厚、および干渉型狭帯域パスフィルタのコストは、イメージセンサを他の機能と統合する可能性を制限する。
【0005】
通常のイメージセンサ構造は、一般に、それらの意図されたアプリケーションのための要件を満たしているが、これらの通常のイメージセンサ構造は、全ての点において完全に満足できるものではない(例えば、改善される波長の適用範囲)。従って、より良い性能が求められるイメージセンサ構造、ならびにその構造の製造方法に関して、解決されるべきいくつかの問題が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より良い性能を備えたフィルタ層と吸収波長可変光電層を有するイメージセンサ構造およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題点に鑑み、本開示のいくつかの実施形態は、狭帯域赤外線(IR)イメージセンサの感知波長を拡大し、狭帯域赤外線イメージセンサの信頼性を向上させるため、第1の波長を定義する第1のスペクトルを有するフィルタ層と、第2の波長(第1の波長より長い)を定義する第2のスペクトルを有する波長可変光電層とを含む。
【0008】
イメージセンサ構造は、基板、読み出し回路アレイ、光電層、およびフィルタ層を含む。読み出し回路アレイは基板上に配置される。光電層は、読み出し回路アレイの上に配置される。フィルタ層は光電層の上に配置される。フィルタ層は、第1の波長を定義する第1のスペクトルを有する。光電層は、第1の波長より長い第2の波長を定義する第2のスペクトルを有する。第1の波長は、フィルタ層の第1のスペクトルの曲線上の第1の点および第2の点を通過する第1の線に対応する。第1の点は、0.9の消衰係数と一致する。第2の点は、0.1の消衰係数と一致する。第2の波長は、光電層の第2のスペクトルの曲線上の第3の点および第4の点を通過する第2の線に対応する。第3の点は、0.9の消衰係数と一致する。第4の点は、0.1の消衰係数と一致する。
【0009】
いくつかの実施形態による、イメージセンサ構造を製造する方法が提供される。イメージセンサ構造を製造する方法は、基板を形成するステップ、基板上に読み出し回路アレイを形成するステップ、読み出し回路アレイ上に光電層を形成するステップ、および光電層上にフィルタ層を形成するステップを含む。フィルタ層は、第1の波長を定義する第1のスペクトルを有する。光電層は、第1の波長より長い第2の波長を定義する第2のスペクトルを有する。第1の波長は、フィルタ層の第1のスペクトルの曲線上の第1の点および第2の点を通過する第1の線に対応する。第1の点は、0.9の消衰係数と一致する。第2の点は、0.1の消衰係数と一致する。第2の波長は、光電層の第2のスペクトルの曲線上の第3の点および第4の点を通過する第2の線に対応する。第3の点は、0.9の消衰係数と一致する。第4の点は、0.1の消衰係数と一致する。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ構造は、さまざまなタイプの装置およびアプリケーションで用いられる。いくつかの実施形態の特徴および利点をより容易に理解するために、いくつかの実施形態は、添付の図面と併せて以下にリストされ、以下のように詳細に説明される。
【発明の効果】
【0011】
これにより、量子効率(QE)、ピークシフト現象、及び、FOVの少なくとも1つの光学性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ構造の概略断面図である。
図1B図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ構造の概略断面図である。
図1C図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ構造の概略断面図である。
図2A図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された消衰係数対波長(nm)の概略グラフである。
図2B図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図3A図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図3B図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図3C図3Cは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図3D図3Dは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図3E図3Eは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図3F図3Fは、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。
図4A図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のキャリア輸送層、光電層、および第2のキャリア輸送層のエネルギーギャップの概略図である。
図4B図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のキャリア輸送層、光電層、および第2のキャリア輸送層のエネルギーギャップの概略図である。
図4C図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のキャリア輸送層、光電層、および第2のキャリア輸送層のエネルギーギャップの概略図である。
図4D図4Dは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のキャリア輸送層、光電層、および第2のキャリア輸送層のエネルギーギャップの概略図である。
図5A図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5B図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5C図5Cは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5D図5Dは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5E図5Eは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5F図5Fは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5G図5Gは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図5H図5Hは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6A図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6B図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6C図6Cは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6D図6Dは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6E図6Eは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6F図6Fは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6G図6Gは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図6H図6Hは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図7A図7Aは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図7B図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図7C図7Cは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図7D図7Dは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図7E図7Eは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図7F図7Fは、本開示のいくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。
図8A図8Aは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサの概略図である。
図8B図8Bは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサの概略回路である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次の開示では、本明細書に開示されたイメージセンサ構造の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態または実施例を提供する。本開示の実施形態を簡潔にするために、各特徴およびその構成の特定の例が以下に説明される。当然ながら、これらは単に例示に過ぎず、本開示を限定するという意図はない。例えば、第1の特徴が第2の要素に形成されると説明に記載されている場合、第1の特徴と第2の特徴が直接接触されている実施形態を指すか、または第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成される実施形態を指すことができ、且つ第1と第2の特徴は直接接触していない。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、異なる例において参照数字および/または文字を繰り返すことができる。このような繰り返しは、簡潔さと明確さのためであり、本明細書で論説明された異なる実施形態および/または態様間の関係を示すために用いられるものではない。
【0014】
実施形態のいくつかの修正を以下に説明する。異なる添付図面および図示された実施形態では、類似または同一の参照番号は、類似または同一の特徴を識別するために用いられる。追加の操作および/またはプロセスが本明細書に開示された方法の前、間、および後に提供されてもよく、いくつかの実施形態では、記載された操作のいくつかは、本方法の他の実施形態で削除されるか、または置き換えられてもよい。
【0015】
さらに、「上(on)」、「上の方(over)」、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「下方(below)」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、ある特徴と別の特徴との関係の開示を容易にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。特徴は、他の方法で方向付けられてもよく(例えば、90度回転または他の方向に)、本明細書で用いられる空間的に相対的な用語は、それに応じて解釈され得る。
【0016】
以下、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、所与の値または所与の範囲の±20%以内、例えば、±10%以内、5%以内、3%以内、2%以内、1%以内、または0.5%以内を意味する。なお、本明細書に記載されている値は近似値であり、「約」、「およそ」、「実質的に」の具体的な記載がなくても、用語の意味が暗示される得ることに留意されたい。
【0017】
図1A図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ構造の概略断面図である。
【0018】
図1Aに示すように、イメージセンサ構造1が提供され、イメージセンサ構造は、基板100、読み出し回路アレイ110、光電層220を含む光電モジュール200、およびフィルタ層600を含む。いくつかの実施形態では、読み出し回路アレイ110は、基板100上に形成される。いくつかの実施形態では、フィルタ層600は、読み出し回路アレイ110上に形成される。いくつかの実施形態では、光電層220を含む光電モジュール200は、読み出し回路アレイ110とフィルタ層600との間に形成される。いくつかの実施形態では、読み出し回路アレイ110、光電モジュール200、およびフィルタ層600は、基板100上に順次に形成される。以下、わかりやすくするために、イメージセンサ構造1の積層順に内容を説明する。
【0019】
いくつかの実施形態では、基板100は、バルク半導体基板、または半導体オンインシュレータ(SOI)基板でもよいか、またはそれらを組み合わせたものでもよい。基板100は、例えば、p型ドーパントまたはn型ドーパントを用いてドープされてもよく、またはドープされなくてもよい。一般に、半導体オンインシュレータ基板は、絶縁層上に形成された半導体材料のフィルム層を含む。例えば、絶縁層は、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、ポリシリコン層、それらの組み合わせ、または前述の膜層の積層でもよい。絶縁層は、シリコン(Si)基板などの基板上に配置される。多層基板または勾配基板などの他の基板も用いられることができる。いくつかの実施形態では、基板100の半導体材料は、異なる結晶面を有するシリコンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板100は、半導体基板またはセラミック基板、例えば、ガリウム砒素(GaAs)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、炭化ケイ素(SiC)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板、またはサファイア基板である。
【0020】
いくつかの実施形態では、読み出し回路アレイ110は、ベース層112上の2次元(2D)アレイに配置された複数の読み出しトランジスタユニット111を含む。各読み出しトランジスタユニット111は、複数の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または薄膜トランジスタ(TFT)、またはそれらの組み合わせを含む。読み出しトランジスタユニット111は、下部コンタクトパッド120と接触する1つの端子を有し、外部回路と接続する1つの信号出力端子を有する。出力信号は、回路設計に応じて、アナログ信号またはデジタル信号のいずれかになり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、イメージセンサ構造1は、下部コンタクトパッド120の間に配置された隔離(isolation)材料122をさらに含み、下部コンタクトパッド120は、読み出し回路アレイ110上に形成される。いくつかの実施形態では、下部コンタクトパッド120は、読み出し回路アレイ110および/または後続して形成される光電モジュール200の下部電極の配線として用いられてもよい。例えば、下部コンタクトパッド120は、読み出し回路アレイ110と、後続して形成される光電モジュール200との間に配置されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、下部コンタクトパッド120は、金属、金属窒化物、導電性半導体材料、1つ以上の適切な導電性材料、またはそれらの組み合わせなどの導電性材料でもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、金属は、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、またはそれらの組み合わせでもよい。半導体材料は、多結晶シリコンまたは多結晶ゲルマニウムでもよい。いくつかの実施形態では、下部コンタクトパッド120は、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物などの透明導電層でもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、光電モジュール200は、下部コンタクトパッド120上に形成される。いくつかの実施形態では、光電モジュール200は、第1のキャリア輸送層210、第1のキャリア輸送層210上に形成された光電層220、および光電層220上に形成された第2のキャリア輸送層230を含む。いくつかの実施形態では、光電層220は、第1のキャリア輸送層210と第2のキャリア輸送層230との間に形成される。いくつかの実施形態では、第1のキャリア輸送層210は、下部コンタクトパッド120と光電層220との間に形成され、第2のキャリア輸送層230は、光電層220と後続して形成される導電層300との間に形成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230は、電子または正孔などのキャリアを光電層220に輸送または光電層220から輸送するように用いられる。即ち、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230は、電子輸送層(ETL)および/または正孔輸送層(HTL)でもよい。例えば、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230は、電子輸送層または正孔輸送層の両方でもよく、または第1のキャリア輸送層210が電子輸送層であり、第2のキャリア輸送層230が正孔輸送層でもよく、または第1のキャリア輸送層210が正孔輸送層であり、第2のキャリア輸送層230が電子輸送層でもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、電子輸送層は、例えば、ZnO、TiO、C60などの電子輸送材料、または1つ以上の適切な電子輸送材料でもよいか、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電子輸送層の厚さは、約1nm~約200nmの間でもよい。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は、MoO、WO、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの正孔輸送材料、または1つ以上の適切な正孔輸送材料でできている。いくつかの実施形態では、正孔輸送層の厚さは、約1nm~約200nmの間でもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、光電層220は、光電効果を行うように用いられる。いくつかの実施形態では、光電層220は、有機材料、量子ドット(QD)材料、ペロブスカイト、1つ以上の適切な光電材料、またはそれらの組み合わせでできている。いくつかの実施形態では、光電層220の厚さは、約100nm~約5000nmの間でもよい。
【0027】
図1Aに示されるように、イメージセンサ構造1は、導電層300をさらに含み、導電層300は、第2のキャリア輸送層230上に形成される。いくつかの実施形態では、導電層300は、その下の光電モジュール200の上部電極として用いられる。例えば、導電層300は、光電モジュール200と後続して形成される保護層との間に配置されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、導電層300の材料は、下部コンタクトパッド120の材料と同じであっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、導電層300は、金属、金属窒化物、半導体材料、1つまたは複数の適切な導電性材料、またはそれらの組み合わせなどの導電性材料でできている。いくつかの実施形態では、金属は、金、ニッケル、プラチナ、パラジウム、イリジウム、チタン、クロム、タングステン、アルミニウム、銅、1つ以上の適切な材料、またはそれらの組み合わせでもよい。半導体材料は、多結晶シリコンまたは多結晶ゲルマニウムでもよい。いくつかの実施形態では、導電層300は透明導電層である。
【0029】
いくつかの実施形態では、イメージセンサ構造1は、導電層300上に形成された保護層400をさらに含む。いくつかの実施形態では、保護層400は、光電モジュール200と後続して形成されるフィルタ層600との間に形成され、保護層400の下の特徴を保護する。いくつかの実施形態では、フィルタ層600は、吸収性フィルタ層であることができ、吸収性フィルタ層のろ過能力は、吸収性フィルタ層に含まれる材料の吸収特性に基づいている。吸収性フィルタ層はほとんど角度に依存しないため、吸収性フィルタ層は、マルチフィルム干渉型フィルタを用いたときに発生するブルーシフトを効果的に低減することができる。また、吸収性フィルタ層の厚さは、干渉型フィルタの厚さより薄い。従って、イメージセンサ構造は、大きく傾斜した入射光がイメージセンサ構造に照射されているとき、ブルーシフトを低減することができる。イメージセンサ構造は、容易に小型化されることができる。いくつかの実施形態では、フィルタ層600は、ロングパスフィルタである。
【0030】
いくつかの実施形態では、イメージセンサ構造1は、マイクロレンズ510をさらに含む。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ510は、フィルタ層600上に形成される。いくつかの他の実施形態では、マイクロレンズ510は、保護層400上に形成される。いくつかの他の実施形態では、マイクロレンズ510は、保護層400とフィルタ層600との間に形成される。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ510は、光電モジュール200への集光効率を高める集光素子として用いられる。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ510の材料は、アクリル、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはポリグリシジルメタクリレート(PGMA)、高屈折率(n)材料、1つ以上の適切な光学的に透明なマイクロレンズ材料、またはそれらの組み合わせでできている。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ510の形状は半球形である。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ510の曲率は調整されてもよい。いくつかの実施形態では、低屈折率値を有する充填材料が、各マイクロレンズ510の間に形成される。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ510は、読み出しトランジスタユニット111に対応するように形成される。いくつかの実施形態では、隣接するマイクロレンズ510間の境界は、読み出し回路アレイ110内の読み出しトランジスタユニット111の対称軸と一致する。換言すれば、隣接する読み出しトランジスタユニット111の対称軸間の距離Wは、マイクロレンズ510の幅と実質的に同じである。
【0031】
明確にするために、同一または類似の説明を以下に繰り返さない。
【0032】
図1Bに示すように、イメージセンサ構造2は、保護層400とフィルタ層600との間に形成されたマイクロレンズ510を含む。充填材料520は、マイクロレンズ510上に形成される。充填材料520は、ホスホシリケートガラス(PSG)、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、低誘電率(low-k)誘電体材料、または1つ以上の適用可能な誘電体材料からなる。低誘電率誘電体材料の例は、フッ素化シリカガラス(FSG)、炭素ドープ酸化ケイ素、アモルファスフッ素化炭素、パリレン、ビス-ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド、およびそれらの組み合わせを含む。マイクロレンズ510および充填材料520は、マイクロレンズ構造500として形成されることができる。従って、保護層400は、光電モジュール220および読み出し回路アレイ110などの保護層400の下方の特徴を保護することができる。いくつかの実施形態では、充填材料520は平坦な上面を提供し、フィルタ層600は、マイクロレンズ構造500の平坦な上面上およびマイクロレンズ510の上方に形成され、よって、充填材料520は、イメージセンサ2を形成するためのより柔軟な製造ステップおよび方法を提供する。
【0033】
図1Cに示すように、いくつかの他の実施形態による、イメージセンサ構造3のマイクロレンズ510は、保護層400上に形成され、保護層400は、フィルタ層600上に形成される。従って、保護層400は、フィルタ層600、光電モジュール220、および読み出し回路アレイ110などの保護層400の下方の特徴を保護することができる。
【0034】
本実施形態で開示されたイメージセンサ構造は、顔感知、動き検出、および/またはマシンビジョン用の狭帯域IRカメラに適用されてもよい。本実施形態で開示されたイメージセンサ構造は、拡張現実(AR)および/または仮想現実(VR)アプリケーション用の狭帯域飛行時間(TOF)センサにも適用されてもよい。イメージセンサは、表面画像(FSI)センサまたは裏面画像(BSI)センサでもよい。
【0035】
以下、フィルタ層600と光電層220との詳細な関係について説明する。
【0036】
図2Aに示すように、いくつかの実施形態による、正規化された消衰係数対波長(nm)の概略グラフである。光電層220とフィルタ層600の特定の組み合わせを選択することにより、イメージセンサの光学性能が、本開示のいくつかの実施形態に従って向上されることに留意されたい。量子効率(QE)、ピークシフト現象、FOVが改善される。
【0037】
図2Aに示されるように、x軸は、光電層220およびフィルタ層600の正規化された消衰係数を表しており、y軸は、正規化された消衰係数に対応する波長(nm)を表している。換言すれば、図2Aは、光電層220およびフィルタ層600の正規化された消衰係数スペクトルを示している。以下、フィルタ層600の正規化された消衰係数スペクトルは、「第1のスペクトルS1」を指し、光電層220の正規化された消衰係数スペクトルは、「第2のスペクトルS2」を指している。さらに、正規化された消衰係数スペクトルは対数曲線で表されている。
【0038】
一般に、「正規化された」という用語は、値が0~1の範囲にスケーリングされるが、値の元の分布は依然として維持されていることを意味する。例えば、全ての消衰係数のうち最大の消衰係数が1にスケーリングされてもよく、全ての消衰係数のうち最小の消衰係数が正規化された後に0にスケーリングされてもよい。本開示では、消衰係数は、第1のスペクトルS1または第2のスペクトルS2のピークの最大消衰係数によって正規化され、第1のスペクトルS1または第2のスペクトルS2のピークは、全てのピークのうち最長波長を有し得る。言い換えれば、消衰係数は、最長波長に対応するピーク値によって正規化される。
【0039】
いくつかの実施形態では、フィルタ層600の第1のスペクトルS1は、第1の線L1に対応する第1の波長λ1を定義し、光電層220の第2のスペクトルS2は、第2の線L2に対応する第2の波長λ2を定義する。いくつかの実施形態では、第2の波長λ2は、第1の波長λ1より長い。いくつかの実施形態では、第2の波長λ2は、第1の波長λ1より約10nm~約150nm長い。
【0040】
詳細には、図2Aに示されるように、第1の波長λ1は、フィルタ層600の第1のスペクトルS1の曲線上の第1の点P1および第2の点P2を通過する第1の線L1に対応する。いくつかの実施形態では、第1の点P1は、0.9の消衰係数と一致し、第2の点P2は、0.1の消衰係数と一致する。言い換えると、第1の点P1は、第1のスペクトルS1上で消衰係数が0.9になるときの点であり、第2の点P2は、第1のスペクトルS1上で消衰係数が0.1になるときの点である。いくつかの実施形態では、第1の点P1および第2の点P2と一致する消衰係数の値は調整されることができる。
【0041】
特に、0.9の消衰係数と一致する多数の点が存在する可能性がある。従って、第1の点P1は、0.9の消衰係数と一致し、第1のスペクトルS1の最長波長セグメント内にある点である。いくつかの実施形態では、第1の点P1は、第1のスペクトルS1の最長波長を有するピークの右側のセグメント内にある。同様に、0.1の消衰係数と一致する多数の点が存在する可能性がある。従って、第2の点P2は、0.1の消衰係数と一致し、第1のスペクトルS1の最長波長セグメント内にある点である。なお、第1のスペクトルS1の最長波長セグメントは、第1のスペクトルS1において、最長波長をピークとする凸状の特性のうち、右側(ピークを境に高周波側)の波長帯域に相当する。いくつかの実施形態では、第2の点P2は、第1のスペクトルS1の最長波長を有するピークの右側のセグメント内にある。いくつかの実施形態では、第1の波長λ1は、0の消衰係数の位置まで延びる第1の線(第1の点P1と第2の点P2を通る直線を、0の消衰係数の軸まで延伸させた線)L1によって定義される。すなわち、第1の波長λ1は、第1の線L1と0の消衰係数の線との交点で定義される。
【0042】
同様に、第2の波長λ2は、光電層220の第2のスペクトルS2の曲線上の第3の点P3および第4の点P4を通過する第2の線L2に対応する。いくつかの実施形態では、第3の点P3は、0.9の消衰係数と一致することができ、第4の点P4は、0.1の消衰係数と一致することができる。言い換えると、第3の点P3は、第2のスペクトルS2上で消衰係数が0.9になるときの点であり、第4の点P4は、第2のスペクトルS2上で消衰係数が0.1になるときの点である。いくつかの実施形態では、第3の点P3および第4の点P4と一致する消衰係数の値は、要件に応じて調整される。
【0043】
特に、0.9の消衰係数と一致する多数の点が存在する可能性がある。従って、第3の点P3は、0.9の消衰係数と一致し、第2のスペクトルS2の最長波長セグメント内に入る点である。いくつかの実施形態では、第3の点P3は、第2のスペクトルS2の最長波長を有するピークの右側のセグメント内にある。同様に、0.1の消衰係数と一致する多数の点が存在する可能性がある。従って、第4の点P4は、0.1の消衰係数と一致し、第2のスペクトルS2の最長波長セグメント内にある点である。いくつかの実施形態では、第4の点P4は、第2のスペクトルS2の最長波長を有するピークの右側のセグメント内に入る。第2のスペクトルS1の最長波長セグメントは、第2のスペクトルS2において、最長波長をピークとする凸状の特性のうち、右側(ピークを境に高周波側)の波長帯域に相当する。いくつかの実施形態では、第2の波長λ2は、0の消衰係数0の位置まで延びる第2の線(第3の点P3と第4の点P4を通る直線を、0の消衰係数の軸まで延伸させた線)L2によって定義される。つまり、第2の波長λ2は、第2の線L2と0の消光係数の線の交点で定義される。
【0044】
図2Bに示すように、いくつかの実施形態による、量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。いくつかの実施形態では、フィルタ層600はロングパスフィルタであるため、フィルタ層600の臨界波長より長い波長を有する光のみがフィルタ層600を通過することができる。さらに、光電層220の消衰係数は、イメージセンサ構造の感知光の量子効率および波長に影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態では、いくつかの光子(例えば、IR光子)は、光電層220に到達することができ、他の光子(例えば、可視光子)は、フィルタ層600によってブロックされる。従って、フィルタ層600の第1の波長λ1と光電層220の第2の波長λ2との間の差値(波長差)Δλは、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲を表している。
【0045】
狭帯域の撮像を実現するために、光電層220およびフィルタ層600の材料がうまく選択される必要がある。多数の光電層、例えば、有機バルクヘテロ接合(BHJ)光検出器、ペロブスカイト光検出器、および量子ドット(QD)光検出器、またはそれらの組み合わせなどがあり、可視波長(400~700nm)から赤外線(IR)(700~2000nm)までの調整可能なスペクトル範囲を提供できる。BHJは、共役ポリマーおよび/または低分子のブレンドを含む。QD材料は、PbS、PbSe、CdS、CdSe、InP、InAs、InGaP、InGaAsなど、およびそれらの組み合わせである。QDのサイズは2nmから15nmの範囲である。各量子ドットは、有機または無機の配位子に囲まれて、量子閉じ込め効果を保持しているが、量子ドット間のキャリア輸送は依然として輸送される。有機配位子は、3-メルカプトプロピオン酸(MPA)、1,2-エタンジチオール(EDT)、エチレンジアミン(EDA)など、およびそれらの組み合わせを含む。無機配位子は、ヨウ化物、臭化物、塩化物である。ペロブスカイト材料は、無機-有機ハイブリッドまたは純粋な無機材料である。無機-有機ハイブリッドは、MAPbBr、MAPbI、FAPbI、MAPbSnI、MASnIなど、およびそれらの組み合わせである。無機材料は、それぞれCsPbI、およびCsSnIである。画素化された下部コンタクトパッド120は、導電性材料、例えば、Al、Cu、AlCu、Ti/Al/Ti、W、Ag、ITO、IZO、グラフェン、CNT、Agナノワイヤなどである。第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230は、ZnO、AZO、MoO3、WO3、NiO、PEDOT:PSS、PFN、またはPEIEから選択される。導電層300は、ITO、IZO、Agナノワイヤ、カーボンナノチューブ、およびグラフェンなどの透明導電層である。保護層400は、純粋な無機フィルムまたは有機/無機積層膜を含むマルチフィルムである。無機膜は、SiO、SiN、SiON、SiH、Al、TiOなど、およびそれらの組み合わせである。フィルタ層600は、有機金属錯体色素などの吸収型フィルタ、または無機膜である。
【0046】
図2Aに示されるように、例えば、フィルタ層600の材料が有機ロングパスフィルタであり、光電層220の材料が有機バルクヘテロ接合フォトダイオードまたはペロブスカイトフォトダイオードまたはQDフォトダイオードであるとき、第1の波長λ1は900nmであり、第2の波長λ2は950nmであり、差値Δλは50nmである。従って、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲は920nm~970nmであり、感知光の波長が940nmのとき、感知光の量子効率は最大となる。
【0047】
図3A図3Fに示すように、本開示のいくつかの実施形態による、正規化された吸光係数および量子効率(%)対波長(nm)の概略グラフである。言い換えると、図3A図3Fのそれぞれは、正規化された消衰係数対波長(nm)のグラフと、量子効率(%)対波長(nm)のグラフを重ね合わせたものである。例えば、図3Aは、図2Aおよび図2Bを重ね合わせたものである。図3Aに示されるように、差値Δλは、感知光の波長範囲に実質的に対応している。
【0048】
図3Bに示されるように、例えば、フィルタ層600の材料が有機ロングパスフィルタであり、光電層220の材料が有機バルクヘテロ接合フォトダイオードであるとき、第1の波長λ1は810nmであり、第2の波長λ2は860nmであり、差値Δλは50nmである。従って、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲は830nm~880nmであり、感知光の波長が850nmのとき、感知光の量子効率は最大となる。
【0049】
図3Cに示されるように、例えば、フィルタ層600の材料が有機ロングパスフィルタであり、光電層220の材料が有機バルクヘテロ接合フォトダイオードであるとき、第1の波長λ1は940nmであり、第2の波長λ2は990nmであり、差値Δλは50nmである。従って、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲は960nm~1100nmであり、感知光の波長が980nmのとき、感知光の量子効率は最大となる。
【0050】
図3Dに示されるように、例えば、フィルタ層600の材料が有機ロングパスフィルタであり、光電層220の材料が有機バルクヘテロ接合フォトダイオードであるとき、第1の波長λ1は1270nmであり、第2の波長λ2は1320nmであり、差値Δλは50nmである。従って、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲は1290nm~1340nmであり、感知光の波長が1310nmのとき、感知光の量子効率は最大となる。
【0051】
図3Eに示されるように、例えば、フィルタ層600の材料が有機ロングパスフィルタであり、光電層220の材料が有機バルクヘテロ接合フォトダイオードであるとき、第1の波長λ1は1310nmであり、第2の波長λ2は1360nmであり、差値Δλは50nmである。従って、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲は1330nm~1380nmであり、感知光の波長が1350nmのとき、感知光の量子効率は最大となる。
【0052】
図3Fに示されるように、例えば、フィルタ層600の材料が有機ロングパスフィルタであり、光電層220の材料が有機バルクヘテロ接合フォトダイオードであるとき、第1の波長λ1は1510nmであり、第2の波長λ2は1560nmであり、差値Δλは50nmである。従って、イメージセンサ構造の感知光の波長範囲は1530nm~1580nmであり、感知光の波長が1550nmのとき、感知光の量子効率は最大となる。
【0053】
従って、本開示のイメージセンサ構造は、感知光の波長が800nm、850nm、900nm、950nm、1000nm、1050nm、1100nm、1150nm、1200nm、1250nm、1300nm、1350nm、1400nm、1450nm、1500nm、1550nm、またはロングパスフィルタ層600に適した1つ以上の波長より長いときに、高い量子効率を提供することができる。いくつかの実施形態では、イメージセンサ構造は、近赤外領域で高い量子効率を提供する。イメージセンサ構造は、光電層220および対応するフィルタ層600の異なる材料を選択することによって、感知波長を850nm~1550nmに拡大することができる。
【0054】
図4A図4Dは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230のエネルギーギャップの概略図である。図4A図4Dに示すように、x軸(縦軸)は、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230のエネルギーギャップを表している。
【0055】
図4Aに示されるように、第1のキャリア輸送層210はHTLであり、第2のキャリア輸送層230はETLである。第1のキャリア輸送層210は、最大エネルギーギャップ210Hから最小エネルギーギャップ210Lの範囲のエネルギーギャップを有する。光電層220は、最大エネルギーギャップ220Hから最小エネルギーギャップ220Lの範囲のエネルギーギャップを有する。第2のキャリア輸送層230は、最大エネルギーギャップ230Hから最小エネルギーギャップ230Lの範囲のエネルギーギャップを有する。いくつかの実施形態では、最大エネルギーギャップ210Hは、最大エネルギーギャップ220Hより高く、最大エネルギーギャップ220Hは、最大エネルギーギャップ230Hより高い。いくつかの実施形態では、最小エネルギーギャップ210Lは、最小エネルギーギャップ220Lより高く、最小エネルギーギャップ220Lは、最小エネルギーギャップ230Lより高い。従って、いくつかの実施形態では、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230の平均エネルギーギャップは、徐々に減少する。
【0056】
図4Bに示されるように、第1のキャリア輸送層210はETLであり、第2のキャリア輸送層230はHTLであるため、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230の平均エネルギーギャップは、徐々に増加する。
【0057】
図4Cに示されるように、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230はETLであるため、光電層220の平均エネルギーギャップは、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230の平均エネルギーギャップより高い。
【0058】
図4Dに示されるように、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230はETLであるため、第1のキャリア輸送層210および第2のキャリア輸送層230の平均エネルギーギャップは、光電層220の平均エネルギーギャップより高い。
【0059】
図5A図5Hは、いくつかの実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。図5A図5Hは、例として図1Aに示されたイメージセンサ構造1の概略断面図を示している。
【0060】
図5Aに示すように、基板100が形成され、基板100上に読み出し回路アレイ110が形成される。画素化された下部コンタクトパッド120は、各読み出しトランジスタユニット111上に定義される。各下部コンタクトパッド120の間には、隔離材料122が配置される。いくつかの実施形態では、上部コンタクトパッド121は、基板100上、且つ隔離材料122に隣接して形成される。いくつかの実施形態では、下部コンタクトパッド120は、読み出し回路アレイ110上に形成される。いくつかの実施形態では、読み出し回路アレイ110は、基板100上に形成される。読み出し回路アレイ110は、複数のトランジスタ、コンデンサ、または抵抗器を含む。読み出し回路アレイ110および/または下部コンタクトパッド120および上部コンタクトパッド121を形成する製造プロセスは、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)など、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせであることができ、続いて、フォトレジストの堆積、フォトリソグラフィ、現像、およびドライ/ウェットエッチングが行われる。
【0061】
図5Bに示すように、第1のキャリア輸送層210は下部コンタクトパッド120上に形成され、光電層220は第1のキャリア輸送層210上に形成され、第2のキャリア輸送層230は光電層220上に形成される。 いくつかの実施形態では、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230は、堆積プロセスによってそれぞれ形成されてもよい。第1のキャリア輸送層210、光電層220、および/または第2のキャリア輸送層230を形成する堆積プロセスは、スピンコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、または物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)など、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせでもよい。
【0062】
図5Cに示すように、パターン化されたフォトレジスト層330は、第2のキャリア輸送層230上に形成され、パターン化されたフォトレジスト層330の面積は、読み出し回路アレイ110の面積と同じか、わずかに大きい。面積は、層の表面面積である。いくつかの実施形態では、パターン化されたフォトレジスト層330は、第2のキャリア輸送層230を部分的に覆う。いくつかの実施形態では、フォトレジスト材料(図示せず)が第2のキャリア輸送層230上に形成され、続いてフォトレジスト材料をパターン化して、パターン化されたフォトレジスト層330を形成する。いくつかの実施形態では、露光プロセス、アニーリングプロセス、現像プロセスなど、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせなどのさらなるプロセスが行なわれる。
【0063】
図5Dに示すように、第2のキャリア輸送層230、光電層220、および第1のキャリア輸送層210は、パターン化されたフォトレジスト層330をエッチングマスクとして用いてドライエッチングプロセスによってエッチングされ、上部コンタクトパッド121の上面を露出させる。いくつかの実施形態では、パターン化されたフォトレジスト層330は、イメージセンサの活性領域を定義する。いくつかの実施形態では、パターン化されたフォトレジスト層330は、次いで、アッシングプロセスなどのストライプオフプロセスによって除去される。いくつかの実施形態では、光電層220およびパターン化されたフォトレジスト層330は、異なる材料でできている。いくつかの実施形態では、光電材料とフォトレジスト材料は混じり合わない(orthogonal)。言い換えれば、光電材料は、堆積/現像/除去プロセスにおいてフォトレジスト材料と非混和性である。従って、パターン化されたフォトレジスト層330は完全に除去されるが、光電層220は、除去プロセス後、損傷を受けないか、またはほぼ損傷を受けない。
【0064】
図5Eに示すように、導電層300は、堆積プロセスによって第2のキャリア輸送層230上に形成される。導電層300を形成する堆積プロセスは、スピンコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)など、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせでもよい。いくつかの実施形態では、導電層300は、第2のキャリア輸送層230の上面に形成され、導電層300は、露出した上部コンタクトパッド121と接触している。この段階では、光電層220の下部コンタクトおよび上部コンタクトが完全に形成される。全ての下部コンタクトパッド120および上部コンタクトパッド121は、各下部コンタクトパッド120および上部コンタクトパッド121の下の導線を介して読み出し回路アレイ110に接続している。各画素から読み出されたアナログ信号は、ADC(A/Dコンバータ)によってデジタル信号にさらに変換される。
【0065】
図5Fに示すように、保護層400は、堆積プロセスによって導電層300上に形成される。保護層400を形成する堆積プロセスは、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)など、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせでもよい。いくつかの実施形態では、保護層400は、導電層300の上面および導電層300の両側面に形成される。
【0066】
図5Gに示すように、フィルタ層600は、堆積プロセスによって保護層400上に形成される。フィルタ層600を形成する堆積プロセスは、スピンコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、MOCVD、ALD、MBE、LPEなど、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせでもよい。
【0067】
図5Hに示すように、マイクロレンズ510は、堆積プロセスによってフィルタ層600上に形成される。マイクロレンズ510を形成する堆積プロセスは、リソタイプの透明フォトレジストをスピンコーティングすることができ、続いて、UV露光、現像、および熱リフロープロセスなど、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせが行われる。従って、イメージセンサは、上記のプロセスによって得られる。しかしながら、1つ以上の適切なプロセスが行なわれてもよい。
【0068】
図6A図6Hは、本開示のいくつかの他の実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。図6A図6Hも例として図1Aに示されたイメージセンサ構造1の概略断面図を示している。
【0069】
図6Aに示すように、図6Aに示された構造は、図5Aに示された構造と類似している。2つの上部コンタクトパッド121は、読み出し回路アレイ110上に配置される。説明を明確にするために、同じ説明は繰り返さない。
【0070】
図6Bに示すように、フォトレジスト材料は、堆積プロセスによって、下部コンタクトパッド120および上部コンタクトパッド121上に形成される。フォトレジスト材料を形成する堆積プロセスは、スピンコーティングに続いて、ホットバックまたはUV露光プロセスなど、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0071】
図6Cに示すように、フォトレジスト材料は、パターン化されて、上部コンタクトパッド121上にパターン化されたフォトレジスト層330を形成し、下部コンタクトパッド120の上面を露出させる。パターン化されたフォトレジスト層330は、上部コンタクトパッド121を覆い、イメージセンサ構造のアクティブ領域を定義する。
【0072】
図6Dに示すように、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および/または第2のキャリア輸送層230は、堆積プロセスによって、下部コンタクトパッド120の上面にそれぞれ順次形成される。第1のキャリア輸送層210、光電層220、および/または第2のキャリア輸送層230は、コンフォーマルに形成される。第1のキャリア輸送層210、光電層220、および/または第2のキャリア輸送層230を形成する堆積プロセスは、スピンコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷など、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0073】
図6Eに示すように、上部コンタクトパッド121上のパターン化されたフォトレジスト層330、第2のキャリア輸送層230、光電層220、および第1のキャリア輸送層210は、リフトオフプロセス、例えば基板を高温のDMSOベースの溶媒に浸漬して、上部コンタクトパッド121の上面を露出させることによって除去される。従って、下部コンタクトパッド120上の第2のキャリア輸送層230、光電層220、および第1のキャリア輸送層210は残る。
【0074】
図6F図6Hに示すように、図6Fから図6Hに示される構造は、図5F図5Hに示される構造とそれぞれ類似している。同じ説明は繰り返さない。従って、イメージセンサは上記のプロセスによって得られる。
【0075】
図7A図7Fは、いくつかの他の実施形態による、製造のさまざまな段階におけるイメージセンサ構造の概略断面図である。図7A図7Fは、例として図1Aに示されたイメージセンサ構造1の概略断面図も示している。
【0076】
図7Aに示すように、図7Aに示される構造は、図5Aに示される構造と実質的に同じである。説明を明確にするために、同じ説明は繰り返さない。
【0077】
図7Bに示すように、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230が、下部コンタクトパッド121上に順次形成される。
【0078】
図7Cに示すように、導電層300は、蒸発プロセスによって第2のキャリア輸送層230上に直接形成される。蒸発プロセスは、導電層300の材料を第2のキャリア輸送層230上に選択的に堆積させることができる。導電層300は、下部コンタクトパッド120および隔離材料122に対応する。導電層300は、イメージセンサのアクティブ領域を定義する。
【0079】
図7Dに示すように、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230は、導電層300をエッチングマスクとして用いてエッチングされ、上部コンタクトパッド121の上面を露出させる。第2のキャリア輸送層230上の導電層300は、エッチングマスクとして用いられ、エッチングマスクとして追加のマスクまたはフォトレジストを形成する必要がない。従って、イメージセンサの製造方法を簡素化することができる。
【0080】
図7Eに示すように、導電部310は、スピンコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、または物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)など、他の適切なプロセス、またはそれらの組み合わせによって導電層300の上部に形成される。導電部310は、金属、重ドープ半導体、および導電性ポリマーなどの任意の種類の導電性材料でもよい。縮尺は実際の縮尺どおりに描かれていないため、第1のキャリア輸送層210、光電層220、および第2のキャリア輸送層230の合計の厚さは2マイクロメートル以下である。導電部310は、導電層300を上部コンタクトパッド121に接続する。
【0081】
図7Fに示すように、図7Fに示される構造は、図6Hに示される構造と類似している。同じ説明は繰り返さない。従って、イメージセンサは上記のプロセスによって得られる。図7Fに示されるように、保護層400は、堆積プロセスによって導電層300上にコンフォーマルに形成されてもよい。フィルタ層600は、堆積プロセスによって保護層400上に形成されてもよい。さらに、フィルタ層600は、平坦化プロセスによって平坦化されてもよい。
【0082】
図8Aは、イメージセンサアレイ810、ロウアドレスデコーダ820、カラムアドレスデコーダ840、カラム回路830、およびアナログ-デジタル変換器(ADC)850を含むイメージセンサの構造を示している。イメージセンサアレイ810は、第1のキャリア輸送層、光電層、および第2のキャリア輸送層、上部導電層、フィルタ層、およびマイクロレンズを含む。
【0083】
図8Bに示すように、イメージセンサアレイの回路は、下部コンタクトパッド120、第1のキャリア輸送層210、光電層220、第2のキャリア輸送層230、および上部導電層300を含む。上部導電層300は、上部コンタクトパッド121に接続される。下部コンタクトパッド120および上部コンタクトパッド121の下の回路は、読み出し回路である。各画素は、リセットスイッチトランジスタM1、ソースフォロワトランジスタM2、およびロウセレクトスイッチトランジスタM3を含む。アナログ読み出し電圧は、さらなる画像処理のためにADC850にさらに供給される。
【0084】
要約すると、いくつかの実施形態によれば、イメージセンサ構造は、読み出し回路アレイ110、下部コンタクトパッド120、第1のキャリア輸送層210、光電層220、第2のキャリア輸送層230、上部導電層300、およびフィルタ層600を統合することによって、モノリシックIR狭帯域イメージセンサを提供する。イメージセンサ構造は、感知アレイ材料およびフィルタ層600を適切に選択することによって感知光の波長が定義されたとき、狭帯域の感知を提供する。また、これらのイメージセンサ構造は、フィルタ層600および光電層220がフィルタ層600および光電層220の正規化された消衰係数の関係に基づいて選択されるため、比較的低い角度依存の量子効率のピークシフトを有する。従ってイメージセンサ構造は、高FOVイメージセンシングアプリケーションに用いられる。
【0085】
本開示の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態における製造プロセス、機械、製造、材料組成、装置、方法、構造、およびステップに限定されない。現在または将来の製造プロセス、機械、機械、製造、材料組成、装置、方法、構造、およびステップが、本開示と実質的に同じ機能を実行するか、または実質的に同じ結果を得る限り、当業者は、いくつかの実施形態で開示された内容から、現在および将来の製造プロセス、機械、製造、材料組成、装置、方法、構造、およびステップを理解するであろう。従って、本開示の範囲は、上述の製造プロセス、機械、製造、材料組成、装置、方法、構造、およびステップを含む。さらに、各請求項は個々の実施形態を構成しており、本開示の範囲は、各請求項と実施形態の組み合わせも含む。
【0086】
前述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は請求項を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【符号の説明】
【0087】
1、2、3 イメージセンサ構造
100 基板
110 読み出し回路アレイ
111 読み出しトランジスタユニット
112 ベース層
120 下部コンタクトパッド
121 上部コンタクトパッド
122 隔離材料
200 光電モジュール
210 第1のキャリア輸送層
210L 最小エネルギーギャップ
210H 最大エネルギーギャップ
220 光電層
220L 最小エネルギーギャップ
220H 最大エネルギーギャップ
230 第2のキャリア輸送層
230L 最小エネルギーギャップ
230H 最大エネルギーギャップ
300 導電層
310 導電部
330 パターン化されたフォトレジスト層
400 保護層
500 マイクロレンズ構造
510 マイクロレンズ
520 充填材料
600 フィルタ層
810 イメージセンサアレイ
820 ロウアドレスデコーダ
830 カラム回路
840 カラムアドレスデコーダ
850 アナログ-デジタル変換器(ADC)
L1 第1の線
L2 第2の線
M1 リセットスイッチトランジスタ
M2 ソースフォロワトランジスタ
M3 ロウセレクトスイッチトランジスタ
P1 第1の点
P2 第2の点
P3 第3の点
P4 第4の点
S1 第1のスペクトル
S2 第2のスペクトル
W 距離
λ1 第1の波長
λ2 第2の波長
Δλ 差値
【要約】

【課題】 より良い性能を備えたフィルタ層と吸収波長可変光電層を有するイメージセンサ構造およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板、前記基板上に配置された読み出し回路アレイ、前記読み出し回路アレイの上に配置された光電層、および前記光電層の上に配置されたフィルタ層を含み、前記フィルタ層は、第1の波長を定義する第1のスペクトルを有し、前記光電層は、前記第1の波長より長い第2の波長を定義する第2のスペクトルを有し、前記第1の波長は、前記フィルタ層の前記第1のスペクトルの曲線上の第1の点および第2の点を通過する第1の線に対応し、前記第1の点は、0.9の消衰係数と一致し、前記第2の点は、0.1の消衰係数と一致し、前記第2の波長は、前記光電層の前記第2のスペクトルの曲線上の第3の点および第4の点を通過する第2の線に対応し、前記第3の点は、0.9の消衰係数と一致し、前記第4の点は、0.1の消衰係数と一致するイメージセンサ構造。
【選択図】 図2A
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B