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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】固液分離装置および水処理システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/31 20060101AFI20220502BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20220502BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20220502BHJP
   B01D 36/02 20060101ALI20220502BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
B01D23/06
B01D23/24 Z
B01D36/02
C02F1/44 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021186918
(22)【出願日】2021-11-17
【審査請求日】2021-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】代田 博文
(72)【発明者】
【氏名】長 克美
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-121955(JP,A)
【文献】特開昭50-054963(JP,A)
【文献】中国実用新案第212914733(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-37/04
C02F11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸が略垂直方向に配置され且つ壁面に多数の孔を備えた円筒形の濾過筒と、
前記壁面と間隔をあけて前記濾過筒の外側から覆う外筒と、
前記外筒に接続された濾液流出管と、
前記濾過筒の上方且つ内側に被処理液を供給する流入口と、
前記濾過筒内の前記被処理液を下方に押し出すスパイラルスクリューまたはピストンを備えた駆動装置と、
通常運転時には前記流入口を開け、逆洗時には前記流入口を閉じる遮断装置と
を有し、
前記通常運転時には、前記濾過筒の外側且つ前記外筒の内側へ前記孔を介して前記被処理液から濾液を取り出すとともに、取り出した前記濾液を前記濾液流出管に流し、且つ、前記濾液が取り出されることで濃縮した前記被処理液を前記濾過筒の下方から排出し、
前記逆洗時には、前記濾過筒内の前記被処理液の液面が、前記濾液の液面より低くなることで、前記濾過筒の外側から内側へ向かう圧力が生じ、前記孔の目詰まりを解消する固液分離装置。
【請求項2】
前記濾液流出管は、前記外筒の下部に接続され、
前記外筒の下部且つ内側に配置され、前記濾液を整流して前記濾液流出管へ送り込む濾液整流板をさらに有する請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記遮断装置は、前記逆洗時に、遮断弁または遮断蓋により前記流入口を閉じる請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記濾過筒は、前記中心軸に沿って周方向に分割された複数の円弧面部を備え、前記円弧面部の周方向の両端にはそれぞれ前記濾過筒の外側に向かって突出した耳部が配置され、周方向に隣接する二つの前記円弧面部同士は隣接するそれぞれの前記耳部で互いに係止され、
前記外筒の底部に前記分割の数に対応して配置されたU字型の複数の回転防止具の各々に、対応する前記耳部を挿入することで、前記濾過筒の前記中心軸廻りへの回転を防止する請求項3に記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記濾液流出管に設置された流量計の計測値が第一閾値未満の場合、
または、
前記濾過筒の内側の圧力を計測した第一圧力計の第一計測値と、前記濾過筒の外側且つ前記外筒の内側の圧力を計測した第二圧力計の第二計測値とに基づき、前記濾過筒の内側の圧力が、前記濾過筒の外側且つ前記外筒の内側の圧力よりも第二閾値以上大きい場合に、
前記遮断装置を制御して前記逆洗を行う制御装置をさらに有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固液分離装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の前記固液分離装置と、
前記被処理液である除渣液、汚水、または汚泥を、硝化脱窒素する硝化脱窒素工程の1つの水槽または直列に接続された複数の水槽と、
前記硝化脱窒素された前記被処理液を膜分離装置で膜分離する膜分離工程のための1つの水槽または直列に接続された複数の水槽と、
余剰汚泥を脱水する脱水設備と
を有し、
前記固液分離装置は、前記水槽のうち、貯留された前記被処理液を前記膜分離装置が押圧または吸引する水槽を除くいずれかの水槽に設置され、
前記固液分離装置の濾液が、前記固液分離装置の設置された前記水槽の下流側に配置された水槽に貯留される前記被処理液となり、
前記固液分離装置が設置された前記水槽から前記余剰汚泥が前記脱水設備へ移送され且つ前記脱水が行われる水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥から繊維を除去したり汚泥を濃縮したりといった利用が可能な固液分離装置、および、当該固液分離装置を用いた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外筒の内側に濾過筒を収容し、濾過筒の内側にスパイラルスクリューを回転可能に収容した固液分離装置が開発されている(特許文献1参照)。この装置では、濾過筒の内側から外側に向かって、濾過筒内に導入された汚泥から分離液を取り出し、また、当該汚泥から分離液が除去された濃縮汚泥をスパイラルスクリューで濾過筒の内側を通過させて取り出している。また、この装置では、濾過筒の目詰まりが生じた場合には、当該装置の外部に設置したコンプレッサで圧縮空気を生成し、圧縮空気による空気逆洗によって目詰まりを解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-38187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、圧縮空気を用いて逆洗を行うため、電力を消費するうえ、コンプレッサおよびこれに付随する耐圧設備を設置しなければならず、コスト増大は避けられない。つまり、固液分離装置の濾過筒の目詰まり解消に関し、経済的観点から改善が望まれていた。
そこで、本発明では、逆洗を安価に実施できる固液分離装置およびそれを用いた水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の固液分離装置は、中心軸が略垂直方向に配置され且つ壁面に多数の孔を備えた円筒形の濾過筒と、前記壁面と間隔をあけて前記濾過筒の外側から覆う外筒と、前記外筒に接続された濾液流出管と、前記濾過筒の上方且つ内側に被処理液を供給する流入口と、前記濾過筒内の前記被処理液を下方に押し出すスパイラルスクリューまたはピストンを備えた駆動装置と、通常運転時には前記流入口を開け、逆洗時には前記流入口を閉じる遮断装置とを有する。前記通常運転時には、前記濾過筒の外側且つ前記外筒の内側へ前記孔を介して前記被処理液から濾液を取り出すとともに、取り出した前記濾液を前記濾液流出管に流し、且つ、前記濾液が取り出されることで濃縮した前記被処理液を前記濾過筒の下方から排出し、前記逆洗時には、前記濾過筒内の前記被処理液の液面が、前記濾液の液面より低くなることで、前記濾過筒の外側から内側へ向かう圧力が生じ、前記孔の目詰まりを解消する。
【0006】
また、本発明の水処理システムは、本発明の固液分離装置と、前記被処理液である除渣液、汚水、または汚泥を、硝化脱窒素する硝化脱窒素構成の1つの水槽または直列に接続された複数の水槽と、前記硝化脱窒素された前記被処理液を膜分離装置で膜分離する膜分離工程のための1つの水槽または直列に接続された複数の水槽と、余剰汚泥を脱水する脱水設備とを有し、前記固液分離装置は、前記水槽のうち、貯留された前記被処理液を前記膜分離装置が押圧または吸引する水槽を除くいずれかの水槽に設置され、前記固液分離装置の濾液が、前記固液分離装置の設置された前記水槽の下流側に配置された水槽に貯留される前記被処理液となり、前記固液分離装置が設置された前記水槽から前記余剰汚泥が前記脱水設備へ移送され且つ前記脱水が行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固液分離装置によれば、従来技術のようなコンプレッサやそれに付随する耐圧設備の設置が不要であり、一時的に動作する遮断装置を設置すればよいため、逆洗を安価に実施できる。
また、本発明の水処理システムによれば、当該固液分離装置を導入することで、運転コストを低減することができる。さらに、本発明の水処理システムでは、脱水設備において、本発明の固液分離装置で除去した粗繊維を含む余剰汚泥を脱水するが、粗繊維が脱水助剤として機能するため、さらに運転コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る固液分離装置を利用した水処理システムの一例を示す模式図である。
図2】実施形態に係る固液分離装置を利用した水処理システムの他の例を示す模式図である。
図3】実施形態に係る固液分離装置を利用した水処理システムのさらに他の例を示す模式図である。
図4】実施形態に係る固液分離装置を説明するための図であり、(a)通常運転時の状態と(b)逆洗時の状態とを示す。
図5】濾過筒の構造を説明するための斜視図であり、(a)は2分割の濾過筒、(b)は3分割の濾過筒、(c)は4分割の濾過筒である。
図6】濾過筒の下端に配置される回転防止具を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図7】逆洗の仕組みを説明するための図である。
図8】濾液整流板を例示する図であり、(a)は上面図、(b)は回転軸方向に沿って切断した斜視図である。
図9】第一変形例に係る固液分離装置を説明するための図であり、(a)通常運転時の状態と(b)逆洗時の状態とを示す。
図10】遮断蓋の構成を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は他の例の側面図である。
図11】第二変形例に係る固液分離装置を説明するための図であり、逆洗時の状態を示す。
図12】第三変形例に係る固液分離装置を説明するための図であり、逆洗時の状態を示す。
図13図12の遮断蓋およびピストンの状態を説明するための図であり、(a)は通常運転時の状態を示し、(b)は逆洗時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態としての固液分離装置およびこれを有する水処理システムについて説明する。以下に示す構成等はあくまでも例示に過ぎず、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下に示す構成等は、本発明における必須の構成要件およびその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0010】
[1.水処理システム]
図1図3は、本実施形態の固液分離装置10([0018]以降にて詳述する)を利用した水処理システム1(1A~1C)を例示する模式図である。いずれの水処理システム1も、被処理液(除渣液、汚水、または汚泥)を硝化及び脱窒素(以下、「硝化脱窒素」という)する1つの水槽または直列に接続された複数の水槽と、硝化脱窒素された被処理液を膜分離するための1つの水槽または直列に接続された複数の水槽と、固液分離装置10が設置された水槽内に生じた余剰汚泥を脱水する汚泥脱水設備とを有する。固液分離装置10は、上記水槽のいずれかに設定される。
以下、各水処理システム1(1A~1C)について簡単に説明する。
【0011】
図1に示す水処理システム1Aは、(1)被処理液としての除渣液を貯留する貯留槽2と、(2)貯留槽2が貯留した被処理液を硝化脱窒素する硝化脱窒素工程の水槽として、当該被処理液が流入する反応槽3および反応槽3で反応した被処理液を撹拌する撹拌槽4と、(3)固液分離装置10で分離された濾液を膜分離する膜分離工程の水槽および装置として、撹拌槽4内に配置された固液分離装置10で分離された濾液を貯留する膜原水槽6、及び、膜原水槽6で貯留された濾液を膜分離する膜分離装置7と、(4)固液分離装置10が設置された撹拌槽4で生じる余剰汚泥を脱水する汚泥脱水設備9とを有する。
【0012】
固液分離装置10は、撹拌槽4内の被処理液から粗繊維を除去し、当該粗繊維を撹拌槽4内に残存させる繊維除去装置として使用される。また、固液分離装置10は、撹拌槽4内の被処理液から濾液を分離して当該被処理液を濃縮するため、濃縮装置でもある。すなわち、固液分離装置10は、繊維除去装置の機能と濃縮装置の機能とを兼ね備える。撹拌槽4から膜原水槽6への濾液の流路には流量計33が設置され、固液分離装置10は、流量計33による濾液の流量情報に基づいて、制御装置30により制御される。
なお、撹拌槽4には、粗繊維を含む余剰汚泥を汚泥脱水設備9へ移送するための余剰汚泥ポンプ8が設けられる。膜分離装置7は、図示しない固液分離膜(例えば、浸漬膜、チューブラ膜など)を備えており、膜原水槽6内に貯留された濾液を、図示しないポンプで押圧または吸引して固液分離し、当該固液分離で得られた透過液を図示しない後段の処理装置へ移送し、当該固液分離で得られた汚泥(濾液から透過液が除かれた汚泥(返送汚泥))を反応槽3へ返送する。
【0013】
図2に示す水処理システム1Bは、(1)被処理液としての汚水を貯留する貯留槽2と、(2)貯留槽2が貯留した被処理液を硝化脱窒素する硝化脱窒素工程の水槽として、互いに直列に接続され、且つ、上流側に配置された第一硝化脱窒素槽5Aおよび下流側に配置された第二硝化脱窒素槽5Bと、(3)固液分離装置10で分離された濾液を膜分離する膜分離工程の水槽および装置として、第二硝化脱窒素槽5B内に配置された固液分離装置10で分離された濾液を貯留する膜原水槽6、及び、膜原水槽6で貯留された濾液を膜分離する膜分離装置7と、(4)固液分離装置10が設置された第二硝化脱窒素槽5Bで生じる余剰汚泥を脱水する汚泥脱水設備9とを有する。
【0014】
固液分離装置10は、第二硝化脱窒素槽5B内の被処理液から粗繊維を除去し、当該粗繊維を第二硝化脱窒素槽5B内に残存させる繊維除去装置として使用される。また、固液分離装置10は、第二硝化脱窒素槽5B内の被処理液から濾液を分離して当該被処理液を濃縮するため、図1に示す水処理システム1Aと同様に、濃縮装置でもある。第二硝化脱窒素槽5Bから膜原水槽6への濾液の流路には流量計33が設置され、固液分離装置10は、流量計33による濾液の流量情報に基づいて、制御装置30により制御される。
なお、第二硝化脱窒素槽5Bには、粗繊維を含む余剰汚泥を汚泥脱水設備9へ移送するための余剰汚泥ポンプ8が設けられる。膜分離装置7は、図示しない固液分離膜(例えば、浸漬膜、チューブラ膜など)を備えており、膜原水槽6内の濾液を、図示しないポンプで押圧または吸引して固液分離し、当該固液分離で得られた透過液を図示しない後段の処理装置へ移送し、当該固液分離で得られた汚泥(濾液から透過液が除かれた汚泥(返送汚泥))を第一硝化脱窒素槽5Aへ返送する。
【0015】
図3に示す水処理システム1Cは、(1)被処理液としての汚水を貯留する貯留槽2と、(2)貯留槽2が貯留した被処理液を硝化脱窒素する硝化脱窒素工程の水槽として、当該被処理液が流入し当該被処理液を硝化脱窒素する硝化脱窒素槽5と、(3)固液分離装置10で分離された濾液を膜分離する膜分離工程の水槽および装置として、硝化脱窒素槽5で硝化脱窒素された被処理液が流入し且つ固液分離装置10が設置された第一膜原水槽6Aと、固液分離装置10で分離された濾液を貯留する第二膜原水槽6Bと、第二膜原水槽6Bに貯留された濾液を膜分離する膜分離装置7と、(4)固液分離装置10が設置された第一膜原水槽6Aで生じる余剰汚泥を脱水する汚泥脱水設備9とを有する。
【0016】
固液分離装置10は、第一膜原水槽6A内の被処理液から粗繊維を除去する繊維除去装置として使用される。また、固液分離装置10は、第一膜原水槽6A内の被処理液から濾液を分離して当該被処理液を濃縮するため、濃縮装置でもある。第一膜原水槽6Aから第二膜原水槽6Bへの濾液の流路には流量計33が設置され、固液分離装置10は、流量計33による濾液の流量情報に基づいて、制御装置30により制御される。
なお、第一膜原水槽6Aには、粗繊維を含む余剰汚泥を汚泥脱水設備9へ移送するための余剰汚泥ポンプ8が設けられる。膜分離装置7は、第二膜原水槽6B内の濾液を図示しないポンプで押圧または吸引し、当該固液分離で得られた汚泥(濾液から透過液が除かれた汚泥(返送汚泥))を硝化脱窒素槽5へ返送する。
【0017】
上記の水処理システム1(1A~1C)のいずれにおいても、粗繊維を除去した濾液を膜分離装置7に供給することができるため、膜分離装置7の目詰まりを抑制でき、効率よく膜分離を行うことができる。また、汚泥脱水設備9には、粗繊維を含む余剰汚泥が移送されるが、固液分離装置10が設置された水槽で粗繊維濃度が均一化しており、また、粗繊維が脱水助剤として機能するため、良好且つ安定的に、汚泥脱水設備9で余剰汚泥を脱水することができる。加えて、従来は、汚泥脱水設備9における余剰汚泥の脱水の際に脱水助剤を購入して供給しているが、本水処理システム1によれば、粗繊維を脱水助剤として利用できることから、購入する脱水助剤量を低減でき、費用対効果に優れる。
【0018】
[2.固液分離装置]
次に、固液分離装置10について詳述する。固液分離装置10の設置位置は、上記の水処理システム1(1A~1C)における配置に限らず、多種ありうる。固液分離装置10によって被処理液から粗繊維を除去した濾液を膜分離装置7に供給することができれば、固液分離装置10の設置される水槽は特に制限されない。
図4は、固液分離装置10の通常運転時の状態(図4(a))および逆洗時の状態(図4(b))を示す。固液分離装置10は、中心軸が略垂直方向に配置され且つ壁面に多数の孔11hを備えた円筒形の濾過筒11と、濾過筒11の壁面と間隔をあけて濾過筒11の外側から濾過筒11を覆う外筒13と、外筒13に接続された濾液流出管16と、濾過筒11の上方且つ内側に被処理液を供給する流入口15と、濾過筒11内の被処理液を下方に押し出すスパイラルスクリュー19を備えた駆動装置17と、通常運転時には流入口15を開け、逆洗時には流入口15を閉じる遮断装置20とを有する。
【0019】
濾過筒11は、被処理液を濾過して粗繊維を除去するための部品であり、複数の小孔(例えば孔径1mm程度)を備えた構造、例えば、パンチングメタル構造となっている。濾過筒11をパンチングメタル構造とすることで、濾液となる活性汚泥は、円滑に当該小孔を通過することができる。濾過筒11は、図5(a)~(c)に例示するような分割構造であってもよいし、一体もの(分割構造でないもの)であってもよい。濾過筒11の内径は、スパイラルスクリュー19の羽根の外径と実質的に同一であるが、やや大きい。
【0020】
分割構造の濾過筒11は、中心軸に沿って周方向に分割された複数の円弧面部を備える。各円弧面部の周方向の一端および他端(すなわち両端)には、円弧面部の端部を折り曲げて形成され、且つ、中心軸方向に延び、且つ、濾過筒11の外側に向かって突出した平板状の耳部が配置される。周方向に隣接する二つの円弧面部同士が、それぞれ隣接する互いの耳部で係止される。
【0021】
例えば、図5(a)に示す2分割の場合、濾過筒11は2つの円弧面部11aを備える。各円弧面部11aの周方向の両端には、中心軸方向に延びる平板状の耳部11dが設けられる。2つの円弧面部11aは、まず、1つの円筒形となるように、それぞれが適宜配置される。その後、周方向に隣接する互いの耳部11d同士が、ねじなどの係止具11eで係止される。これにより、濾過筒11が形成される。
図5(b)に示す3分割の場合、濾過筒11は3つの円弧面部11bを備える。そして、3つの円弧面部11bは、まず、1つの円筒形となるように、それぞれが適宜配置される。その後、周方向に隣接する円弧面部11bの耳部11d同士が、図5(a)と同様に、係止具11eで係止される。これにより、濾過筒11が形成される。
図5(c)に示す4分割の場合、濾過筒11は4つの円弧面部11cを備える。そして、4つの円弧面部11cは、まず、1つの円筒形となるように、それぞれが適宜配置される。その後、周方向に隣接する円弧面部11cの耳部11d同士が、図5(a)と同様に、係止具11eで係止される。これにより、濾過筒11が形成される。
ここでは、濾過筒11が2分割、3分割、4分割の例を示したが、設計に応じて、5分割以上の分割数としてもよい。
【0022】
上記分割構造の各円弧面部11a、11b、11cは、分割構造でない場合に比べ、小型の1枚の金属板から成形可能であり、加工性が改善する。従って、大径の濾過筒11を製造する場合であっても経済的に製造可能となり、組立て、分解、メンテナンス性能を向上させることができる。
なお、分割構造の濾過筒11の場合、濾過筒11は均等分割、すなわち、各円弧面部の周方向の大きさが同一に形成されていることが好ましい。また、濾過筒11を形成する各円弧面部の間に隙間が生じないように、耳部11dは、中心軸方向の一端および他端において係止具11eで係止されるとともに、一端および他端の間の中間部においても係止具11eで係止されることが好ましい。
【0023】
図4に示すように、濾過筒11が分割構造の場合、固液分離装置10の底部12には、濾過筒11の回転を防止する回転防止具12cが設けられる。回転防止具12cは、例えば、上方に向かって開放したU字型の金具であり、分割構造における分割の数および位置に対応して配置される。なお、ここでは、濾過筒11が上記均等分割構造であるとして、説明を続ける。
図6(a)および(b)は、4分割の濾過筒11に対応した回転防止具12cを備える底部12の側面図および上面図である。底部12は、濾過筒11の下端部に取り付けられる円筒形の筒部12aと、筒部12aの下端から径方向外側に延在する円環状の底面12bとを備える。
【0024】
分割数と同数の回転防止具12cは、筒部12aの上部において、周方向に均等に配置され、且つ、U字型の頂点近傍が溶接などで筒部12aに固定されている。濾過筒11の内径は、筒部12aの外径と実質的に同じであるがやや大きい。そして、濾過筒11が筒部12aに挿入される際、濾過筒11の耳部11d(係止具11eで係止されている)が回転防止具12cのU字の内側に挿入される。これにより、スパイラルスクリュー19の動作や被処理液の流れがあっても、濾過筒11が中心軸廻りに回転することはない。従って、濾過筒11の部位のうち、筒部12aと接触する部分が摩耗するなどして劣化することを防止できる。すなわち、濾過筒11の耐久性を向上できる。
【0025】
図4に示すように、濾過筒11を外側から覆う外筒13には孔が設けられておらず、被処理液を通過させない。外筒13は、濾過筒11の壁面から外側に間隔をあけて濾過筒11と略同心に配置される主筒面13aと、主筒面13aの上端面を形成する環形状の環状上面13bと、主筒面13aの下端面を形成する環形状の環状下面13cとを備える。環状上面13bおよび環状下面13cの各中心孔には、濾過筒11が隙間なく挿通、嵌合される。ここでは、図示の簡略化のため、主筒面13a、環状上面13b、及び環状下面13cは、図4(a)のみに符号を示し、他の図では、外筒13と示す。
なお、環状下面13cを設けず、底部12の底面12bが環状下面13cを兼ねる構成としてもよい。
【0026】
なお、濾過筒11は、外筒13の環状上面13bから上方に突出して設けられる。この突出部11fには孔11hが設けられていない。つまり、外筒13は、濾過筒11の孔11hが形成されている部分を濾過筒11の外側から覆っている。濾過筒11の突出部11fは、固液分離装置10が設置された水槽の液面L3よりも上方まで突出している。また、濾過筒11の突出部11fには、被処理液を濾過筒11内に流入させるための被処理液流入管14の一端が接続される。被処理液流入管14の他端の開口が流入口15である。
【0027】
図4(a)の白抜き矢印は被処理液の流れを示す。通常運転時には、被処理液が流入口15から取り入れられ、被処理液流入管14を通じて濾過筒11の突出部11fから濾過筒11内に導入される。固液分離装置10は、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側へ孔11hを介して被処理液から濾液を取り出すとともに、取り出した濾液を濾液流出管16に流し、且つ、濾液が取り出されることで濃縮した被処理液を濾過筒11の下方から排出する。図4(a)の黒模様矢印は濾液の流れを示し、ドット模様の楕円は被処理液から除去された粗繊維を示す。
【0028】
濾液流出管16は、外筒13の下部(例えば、主筒面13aの下端部)に接続され、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側に取り出された濾液を次の水槽へ移送する配管である。濾液流出管16には、内部を流通する濾液の流量を測定する流量計33が設けられる。なお、次の水槽の液面は、固液分離装置10が設置された水槽の液面L3よりも低位置に設定される。
【0029】
図4に示すように、駆動装置17は、例えばモータであり、濾過筒11の中心軸と同軸配置された回転軸18を回転することで、回転軸18に固定されたスパイラルスクリュー19を回転する。スパイラルスクリュー19は、通常運転時も逆洗時も、濾過筒11内の被処理液を下降させるように回転が継続される。駆動装置17の作動状態は、後述する制御装置30により制御される。
遮断装置20は、遮断弁21(例えば、電磁弁など)を作動させて流入口15の開閉状態を切り替える装置である。遮断装置20は、通常運転時には流入口15を開け、逆洗時には遮断弁21により流入口15を閉じる。遮断装置20の作動状態は、後述する制御装置30により制御される。
【0030】
固液分離装置10は、逆洗時には、濾過筒11内の被処理液の液面L1が、濾液の液面L2より低くなることで、濾過筒11の外側から内側へ向かう圧力が生じ、濾過筒11の孔11hの目詰まりを解消する。逆洗時にもスパイラルスクリュー19が回転したままであるため、濾過筒11内の液面L1はどんどん下がっていく。一方、濾液の液面L2は、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側に存在する液面であるため、逆洗時に濾過筒11内の液面L1よりも高い位置で推移する。
【0031】
そのため、液面L1が下がりながら、図7に示す逆洗の仕組みが働き、上方から徐々に逆洗が行われることになる。具体的には、濾過筒11内の液面L1が、濾液の液面L2よりも低くなるため、圧力差によって濾過筒11の外側から内側に向かう液の流れが生じ、濾過筒11の孔11hに目詰まりした粗繊維を押圧または押出して除去できる。加えて、スパイラルスクリュー19の回転により、スパイラルスクリュー19の背面にカルマン渦流が生じ、この渦流も目詰まり解消に役立つ。
【0032】
固液分離装置10は、外筒13の下部且つ内側に配置され、濾液を整流して濾液流出管16へ送り込む濾液整流板22をさらに有する。濾液整流板22を設けることで、濾液の流れの偏りを防止し、濾液流出管16の逆側に汚泥が堆積することを防止できる。
濾液整流板22の一例を図8に示す。濾液整流板22は、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側において外側から内側に向かって下降傾斜した斜面22aと、斜面22aの上縁部22cから中心軸と略直交する方向且つ外筒13に向かって延在する受面22eとを備える。
斜面22aは、その下縁部22bが、外筒13の環状下面13c(または底部12の底面12b)から離隔するように設置される。受面22eは、上方からの濾液を受ける面であり、その外縁部22dは外筒13の内周面に当接しまたは固定される。濾液流出管16の一端は、外筒13における、受面22eの下方且つ斜面22aの外側に接続される。
【0033】
濾過筒11と外筒13と濾液整流板22とは、Dd>Dc>Db>Daの関係にある。ここで、Daは濾過筒11の外径(直径)であり、Dbは濾液整流板22の下縁部22bの直径であり、Dcは濾液整流板22の上縁部22cの直径であり、Ddは濾液整流板22の外縁部22dの直径および外筒13の内径(直径)である。濾過筒11の外側且つ外筒13の内側に存在する濾液は、下方へと流れ、濾液整流板22の受面22eおよび濾液流出管16の配置を斜面22aによりその流れが整流されて、濾液流出管16へと流れる。
濾液整流板22の形状及び濾液流出管16の接続方法を適切に設計することで、濾液整流板22近傍の濾液の流れを旋回流にし、濾液流出管16へ流すこともできる。この場合、濾液流出管16の逆側に汚泥が堆積することをさらに効果的に防止できる。
【0034】
固液分離装置10は、流量計33の計測値、または、固液分離装置10に設けられた第一圧力計31および第二圧力計32の各計測値に基づいて、遮断装置20及び駆動装置17を制御する制御装置30をさらに有する。
第一圧力計31に接続された第一圧力検出器31aは、濾過筒11の外面上に配置され、孔11hを介して濾過筒11の内側の圧力を検出する。そして、第一圧力検出器31aは、第一圧力計31に当該検出した圧力に関する電気信号を送信する。第一圧力計31は、第一圧力検出器31aが送信した当該電気信号を受信して演算し、当該演算の結果を第一計測値P1として制御装置30へ送信する。
第二圧力計32に接続された第二圧力検出器32aは、外筒13の外面上に配置され、外筒13に形成された小孔(図示せず)を介して、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側の圧力を検出する。そして、第二圧力検出器32aは、第二圧力計32に当該検出した圧力に関する電気信号を送信する。第二圧力計32は、第二圧力検出器32aが送信した当該電気信号を受信して演算し、当該演算結果を第二計測値P2として制御装置30へ送信する。
第一圧力検出器31a及び第二圧力検出器32aは、いずれも濾過筒11の外側に設置されるので、スパイラルスクリュー19の回転を妨げることはない。
図4では、第一圧力検出器31a及び第二圧力検出器32aは、濾液整流板22のやや上方に配置されているが、外筒13のできるだけ下方に配置されることが望ましい。例えば、スパイラルスクリュー19の回転により被処理液の液面L1が下がっても、第一圧力検出器31aは、大気にさらされない位置(検出した圧力が大気圧にならない位置)に配置されることが望ましい。
【0035】
制御装置30は、流量計33が計測する流量(計測値)が第一閾値Q未満の場合、または、第一圧力計32が計測する圧力(第一計測値P1)と第二圧力計32が計測する圧力(第二計測値P2)との差ΔP(=P1-P2)が第二閾値P以上である場合、濾過筒11の目詰りが多くなったと判断し、逆洗動作を実施する。すなわち、濾液の流量が第一閾値Qよりも少ない場合、または、濾過筒11の内側の圧力が、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側の圧力よりも第二閾値P以上大きい場合に、逆洗が実施される。
【0036】
具体的には、制御装置30は、遮断装置20を制御して遮断弁21により流入口15を閉じ、駆動装置17を制御して回転軸18の回転速度を所定値から上昇させる。これにより、上記の逆洗の仕組みが働いて、濾過筒11の孔11hに目詰まりした粗繊維が押圧または押出されて除去される。制御装置30は、逆洗動作終了後、逆洗前の状態に戻す。つまり、遮断装置20を制御して流入口15を開け、駆動装置17を制御して回転軸18の回転速度を所定値に戻す。
【0037】
本実施形態の固液分離装置10によれば、従来技術のような、コンプレッサやそれに付随する耐圧設備の設置が不要であり、一時的に動作する遮断装置20を設置すればよいので、逆洗を安価に実施できる。また、当該固液分離装置10を導入した水処理システム1においても、運転コストを低減することができる。さらに、当該水処理システム1では、脱水設備において、上記固液分離装置10で除去した粗繊維を含む余剰汚泥を脱水するが、粗繊維が脱水助剤として機能するので、さらに運転コストを低減することができる。
【0038】
なお、制御装置30は、流量計33の計測値を用いた逆洗の要否判定と、二つの圧力計31、32の計測値を用いた逆洗の要否判定のどちらか一方のみに基づいて、濾過筒11の目詰りを判断し逆洗を行ってもよいし、両方の要否判定がいずれも逆洗が必要である判定となった場合に逆洗を行ってもよい。前者の場合、判定に用いない流量計33または圧力計31、32は省略可能である。
【0039】
[3.固液分離装置の変形例]
上記の固液分離装置10は一例であって、その構成は上述したものに限られない。
図9は、第一変形例に係る固液分離装置10Aを示す図(図4に対応する図)である。実施形態の固液分離装置10との相違点は、被処理液流入管14が存在しない点、濾過筒11の上端部(突出部11fの上端)が流入口15である点、および、遮断装置20が遮断蓋23を備える点にある。その他の構成は、固液分離装置10と同一であるため説明を省略する。
【0040】
本変形例の濾過筒11の突出部11fは、その上端が被処理液の液面L3よりも下方に位置する。濾過筒11の上端部の上方には、遮断装置20により上下に移動可能な遮断蓋23が設置される。被処理液は、遮断蓋23と濾過筒11の上端部との間から濾過筒11内に流入するため、濾過筒11の上端部が流入口15として機能する。
遮断装置20は、逆洗時に、遮断蓋23を濾過筒11の上端部に重ね合わせることで流入口15を閉じる。逆洗時にはスパイラルスクリュー19が回転したままであるため、濾過筒11内の被処理液の液面L1はどんどん下がっていく。これにより、上記の実施形態と同様、逆洗の仕組みが働くため、濾過筒11の上方から徐々に逆洗が行われることになり、目詰まりが解消される。
【0041】
ここで、遮断蓋23の構成を説明する。図10(a)および(b)は遮断蓋23の一例を示す上面図および断面図(ただし、回転軸18は側面図)であり、図10(c)は遮断蓋23の他の例を示す断面図(ただし、回転軸18は側面図)である。遮断蓋23の中心には、回転軸18が挿通される孔が設けられる。これにより、回転軸18の回転が遮断蓋23により妨げられることがない。なお、回転軸18と遮断蓋23とは、Dg>Da>Df>Deの関係にある。ここで、Daは濾過筒11の直径であり、Deは回転軸18の直径であり、Dfは遮断蓋23の中心孔の直径であり、Dgは遮断蓋23の直径である。ただし、DfはDeよりもやや大きい程度である。
【0042】
図10(a)および(b)に示す遮断蓋23の場合、逆洗時、すなわち、遮断蓋23により流入口15を閉じた状態でも、遮断蓋23の中心孔と回転軸18との隙間から被処理液が濾過筒11内に流れ込む。ただし、被処理液は、汚泥などの粘性が高い液体であるため、当該隙間からの液の流入は少なくて済む。
従って、回転軸18が回転することで濾過筒11内の圧力を低減でき、逆洗時に濾過筒11内の被処理液を下方に押し出す効果に加え、本変形例によれば、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側から、濾過筒11の内側へ吸引する効果も追加でき、実施形態よりも効果的に逆洗することができる。
【0043】
また、図10(c)に示すように、回転軸18と遮断蓋23の中心孔との隙間に、回転軸18に対して滑りのよい第一シールゴム24(例えば、シリコンなど)を設置して、当該隙間を塞いでもよい。さらに、濾過筒11の上端部に第二シールゴム25(例えば、シリコンなど)を設置して、遮断蓋23が流入口15を閉じた場合に密閉度を向上させてもよい。これにより、図10(a)および(b)に示す遮断蓋23に比べ、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側から、濾過筒11の内側へ吸引する効果をさらに向上できるため、濾過筒11の目詰まり解消をより効果的に行うことができる。
【0044】
図11は、第二変形例の固液分離装置10Bを示す図(図4(b)に対応する図)である。実施形態の固液分離装置10との相違点は、スパイラルスクリュー19ではなく、ピストン29を備える点にある。その他の構成は、固液分離装置10と同一であるため説明を省略する。
【0045】
第二変形例の固液分離装置10Bは、濾過筒11内を上下方向に移動可能なピストン29を備えた駆動装置27を有する。駆動装置27は、濾過筒11の中心軸に略一致して設けられた駆動軸28の先端にピストン29を備え、このピストン29を上下方向に移動することができる。濾過筒11の内径は、ピストン29の外径と実質的に同じであるがやや大きい程度であるので、ピストン29の周面と濾過筒11の壁面との間には隙間がほとんど無い。また、ピストン29の周面に、柔軟性のあるたわしや羽根状の洗浄部材(いずれも図示略)を設置して、逆洗時、ピストン29が下降した際に濾過筒11の壁面(内面)に接触させてもよい。この場合、逆洗時の目詰まり解消の効果をさらに向上させることができる。
【0046】
第二変形例の固液分離装置10Bは、通常運転時、制御装置30は、駆動装置27を制御して、流入口15から被処理液流入管14を通じて流入した被処理液を濾過筒11の下方に流す流れを作り出す。なお、通常運転時、ピストン29の上下のストロークを短くする。例えば、濾過筒11と被処理液流入管14との接続箇所をピストン29の下限とし、濾過筒11の突出部11f内でピストン29を上下に駆動する。
【0047】
また、逆洗時、制御装置30は、駆動装置27を制御して、ピストン29の上下のストロークを長くし(例えば、濾過筒11の下端を下限として)、ピストン29を下方に移動させる。ピストン29が下限まで移動したら逆洗動作は終了である。逆洗動作の終了後は、制御装置30が遮断装置20を制御して遮断弁21を動かし、流入口15を開け、制御装置30が駆動装置27を制御してピストン29を上方に戻し、制御装置30は通常運転を再開する。
【0048】
図12は、第三変形例の固液分離装置10Cを示す図(図4(b)に対応する図)であり、図13(a)および(b)は、図12の遮断蓋23およびピストン29の状態を説明するための図である。第二変形例の固液分離装置10Bとの相違点は、被処理液流入管14が存在しない点、濾過筒11の上端部(突出部11fの上端)が流入口15である点、および、駆動装置27′が遮断装置を兼ねている点にある。その他の構成は、固液分離装置10Bと同一であるため説明を省略する。
【0049】
第三変形例の固液分離装置10Cは、濾過筒11の上端部が被処理液の液面L3よりも下方に位置する。制御装置30は、駆動装置27′を制御して、第二変形例と同様、濾過筒11内においてピストン29を上下方向に駆動する。濾過筒11の上端部の上方には、流入口15を閉じる遮断蓋23が設置されるが、本変形例の遮断蓋23は重量物であり、自重で流入口15を塞ぎ、被処理液の流れによってその位置がずれることがないよう設計される。
【0050】
図13(a)に示すように、通常運転時、制御装置30が、遮断装置としての機能を併せ持つ駆動装置27′を制御して、ピストン29が遮断蓋23を持ち上げ、流入口15を開けたまま、ピストン29が上下に駆動される。なお、上記の第二変形例と同様、濾過筒11内に流入した被処理液を濾過筒11の下方に流す流れを作り出すために、ピストン29はストロークの短い上下運動を行う。また、図12および図13(b)に示すように、逆洗時、制御装置30が駆動装置27′を制御してピストン29を降ろしていくと、遮断蓋23が濾過筒11の上端部に乗り、被処理液の流入口15を塞ぐ。他の動きは、上記実施形態および第二変形例で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0051】
第一乃至第三変形例の固液分離装置10A~10Cによっても、実施形態の固液分離装置10と同様、一時的に動作する遮断装置20を設置するか、遮断装置と駆動装置27′とを一体化すればよいため、逆洗を安価に実施できる。また、これらの固液分離装置10A~10Cを導入した水処理システムでも、運転コストの低減、および、粗繊維を脱水助剤として機能させることによる更なる運転コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1(1A、1B、1C) 水処理システム
2 貯留槽
3 反応槽(硝化脱窒素工程の水槽)
4 撹拌層(硝化脱窒素工程の水槽)
5A 第一硝化脱窒素槽(硝化脱窒素工程の水槽)
5B 第二硝化脱窒素槽(硝化脱窒素工程の水槽)
5 硝化脱窒素槽(硝化脱窒素工程の水槽)
6 膜原水槽(膜分離工程のための水槽)
6A 第一膜原水槽(膜分離工程のための水槽)
6B 第二膜原水槽(膜分離工程のための水槽)
7 膜分離装置
8 余剰汚泥ポンプ
9 汚泥脱水設備(脱水設備)
10、10A、10B、10C 固液分離装置
11 濾過筒
11a、11b、11c 円弧面部
11d 耳部
11f 突出部
11e 係止具
11h 孔
12 底部
12a 筒部
12b 底面
12c 回転防止具
13 外筒
13a 主筒面
13b 環状上面
13c 環状下面
14 被処理液流入管
15 流入口
16 濾液流出管
17 駆動装置
18 回転軸
19 スパイラルスクリュー
20 遮断装置
21 遮断弁
22 濾液整流板
22a 斜面
22b 下縁部
22c 上縁部
22d 外縁部
22e 受面
23 遮断蓋
24 第一シールゴム
25 第二シールゴム
27、27′ 駆動装置
28 駆動軸
29 ピストン
30 制御装置
31 第一圧力計
31a 第一圧力検出器
32 第二圧力計
32a 第二圧力検出器
33 流量計
Da 濾過筒の直径
Db 濾液整流板の斜面の下縁部の径
Dc 濾液整流板の斜面の上縁部の径
Dd 濾液整流板の外縁部および外筒の内径
De 回転軸の直径
Df 遮断蓋の中心孔の直径
Dg 遮断蓋の外径
L1 濾過筒内の被処理液の液面
L2 濾液の液面
L3 固液分離装置が設置された水槽の液面
P 第二閾値
P1 第一計測値
P2 第二計測値
Q 第一閾値
【要約】
【課題】逆洗を安価に実施する。
【解決手段】固液分離装置10は、壁面に多数の孔11hを備えた濾過筒11と、壁面と間隔をあけて濾過筒11の外側から覆う外筒13と、外筒13に接続された濾液流出管16と、濾過筒11の上方且つ内側に被処理液を供給する流入口15と、濾過筒11内の被処理液を下方に押し出すスパイラルスクリュー19またはピストンを備えた駆動装置17と、通常運転時には流入口15を開け、逆洗時には流入口15を閉じる遮断装置20とを有する。通常運転時には、濾過筒11の外側且つ外筒13の内側へ孔11hを介して被処理液から濾液を取り出して濾液流出管16に流し、且つ、濾液が取り出されることで濃縮した被処理液を濾過筒11の下方から排出し、逆洗時には、濾過筒11内の被処理液の液面L1が濾液の液面L2より低くなることで、濾過筒11の外側から内側へ向かう圧力が生じ、孔11hの目詰まりを解消する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13