(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】樹脂組成物、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20220502BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220502BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/004 501
G03F7/11 502
H01L21/30 570
H01L21/30 573
(21)【出願番号】P 2021200804
(22)【出願日】2021-12-10
【審査請求日】2021-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214250
【氏名又は名称】ナガセケムテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 修一
(72)【発明者】
【氏名】田中 遼介
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-242247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
H01L 21/027
G03F 7/004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系樹脂(a)、フェノール樹脂(b)、及び、有機溶剤(c)を含有する樹脂組成物であって、
レジスト下層膜の形成に用いられ、
前記有機溶剤(c)は、比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤(c1)と、比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)とを含み、
前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、97/3~70/30であ
り、
前記第1有機溶剤(c1)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、
前記第2有機溶剤(c2)は、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、及び、γ-ブチロラクトンからなる群より選ばれた1種以上の有機溶剤であり、
前記樹脂組成物は、第1樹脂組成物であり、
前記レジスト下層膜に第2樹脂組成物でレジスト上層膜が形成され、
前記第2樹脂組成物は、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群より選ばれた1種以上の有機溶剤を含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記フェノール樹脂(b)が、ノボラック型フェノール樹脂を含む、請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
さらに界面活性剤(d)を含有する、請求項1
又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか1項に記載の樹脂組成物を第1樹脂組成物として基板に塗布し、加熱により前記有機溶剤(c)を揮発させることにより、レジスト下層膜を形成する工程(A1)と、
前記レジスト下層膜に
前記第2樹脂組成物で
前記レジスト上層膜を形成する工程(A2)と、
フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、
アルカリ性現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程(C)とを有する、パターンレジスト膜付き基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターンレジスト膜付き基板を製造する方法としては、例えば、
図1に示すように、第1樹脂組成物を用いて基板1上に下層2(下層レジスト膜)を形成する工程(a-1)と、第2樹脂組成物を用いて前記下層2上に上層3(上層レジスト膜)を形成する工程(a-2)と、フォトマスクMを介して光を上層3に照射することにより上層3をパターン露光する工程(b)と、アルカリ性現像液で前記上層3及び前記下層2をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程(c)とを有する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
前記第1樹脂組成物としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、及び、有機溶剤を含有する組成物が知られている。
【0004】
前記パターンレジスト膜付き基板は、レジスト膜(下層2及び上層3)が形成された面に、基板が露出する部分(以下、「露出部」ともいう。)を有する。
また、前記パターンレジスト膜付き基板では、上層3が下層2よりも露出部の中心側に延びた状態となっている。
【0005】
パターンレジスト膜付き基板は、パターン膜付き基板を作製するのに用いられる。
パターンレジスト膜付き基板を用いてパターン膜付き基板を製造する方法としては、例えば、
図1に示すように、真空蒸着やスパッタリングにより、前記パターンレジスト膜付き基板における露出部及びパターンレジストに膜(無機膜や有機膜)を形成する工程(d)と、パターンレジストに形成された膜、及び、パターンレジストを剥離し、露出部に形成された膜を残すことにより、パターン膜付き基板を得る工程(e)とを有する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パターンレジスト膜付き基板を製造する際に、前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜との間で樹脂が混ざり合ってしまうことがある。すなわち、前記上層レジスト膜と前記下層レジスト膜との間においてインターミキシングが生じることがある。
インターミキシングが生じてしまうと、例えば、前記工程(c)において、前記上層3及び前記下層2を十分にパターン化できないといった問題(パターニング不良)が生じ得る。
【0008】
そこで、本発明は、レジスト膜の間でのインターミキシングを抑制し得る、樹脂組成物、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一は、アクリル系樹脂(a)、フェノール樹脂(b)、及び、有機溶剤(c)を含有する樹脂組成物であって、
レジスト下層膜の形成に用いられ、
前記有機溶剤(c)は、比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤(c1)と、比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)とを含み、
前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、97/3~70/30である、樹脂組成物に関する。
好ましくは、前記第2有機溶剤(c2)は、沸点が200℃以上である有機溶剤を含む。
好ましくは、前記第1有機溶剤(c1)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び/又は、エチル・3-エトキシプロピオネートを含む。
好ましくは、前記フェノール樹脂(b)が、ノボラック型フェノール樹脂を含む。
好ましくは、前記樹脂組成物が、さらに界面活性剤(d)を含有する。
【0010】
本発明の第二は、前記樹脂組成物を第1樹脂組成物として基板に塗布し、加熱により前記有機溶剤(c)を揮発させることにより、レジスト下層膜を形成する工程(A1)と、
前記レジスト下層膜に第2樹脂組成物でレジスト上層膜を形成する工程(A2)と、
フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、
アルカリ性現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程(C)とを有する、パターンレジスト膜付き基板の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レジスト膜の間でのインターミキシングを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】パターンレジスト膜付き基板を製造する方法の概略図(特開2008-242247の
図1を引用)。
【
図2】レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分のSEM写真(実施例1)。
【
図4】レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分のSEM写真(比較例1)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
<樹脂組成物>
まず、本実施形態に係る樹脂組成物について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、アクリル系樹脂(a)、フェノール樹脂(b)、及び、有機溶剤(c)を含有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、レジスト下層膜の形成に用いられる。
前記有機溶剤(c)は、比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤(c1)と、比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)とを含む。
前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、97/3~70/30である。
【0015】
本実施形態に係る樹脂組成物は、非感光型の樹脂組成物である。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、アルカリ可溶性の樹脂組成物である。本実施形態に係る樹脂組成物は、フェノール樹脂(b)を含有することにより、アルカリ可溶性の樹脂組成物となっている。
【0016】
(アクリル系樹脂(a))
前記アクリル系樹脂(a)は、構成単位としてアクリル系モノマーを含む樹脂である。
また、前記アクリル系樹脂(a)は、構成単位としてアクリル系モノマー以外の重合性モノマーを含んでもよい。
【0017】
前記アクリル系モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、メタクリルアミド、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」とを含む概念である。例えば、「(メタ)アクリル酸エチル」は、「アクリル酸エチル」と「メタクリル酸エチル」とを含む概念である。
【0018】
アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、ビニルエーテルモノマー等が挙げられる。
前記ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が挙げられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
前記ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0019】
前記アクリル系樹脂(a)は、構成単位としてアクリル系モノマーを、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、更により好ましくは90重量%以上含む。
【0020】
前記アクリル系樹脂(a)の重量平均分子量は、好ましくは4,000~50,000、より好ましくは10,000~40,000である。
なお、本実施形態において、重量平均分子量は、クロロホルム溶離液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算分子量分布より測定されたものをいう。当該GPCにおけるカラムとしては、分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
【0021】
(フェノール樹脂(b))
前記フェノール樹脂(b)としては、例えば、1分子中にフェノール性水酸基を、1個以上、好ましくは2個以上有する樹脂が挙げられる。
前記フェノール樹脂(b)としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリオキシスチレン樹脂などが挙げられる。
前記フェノール樹脂(b)は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド化合物との縮合物である。前記ノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール化合物とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で縮合重合させることで得られる。
前記レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド化合物と縮合物である。前記レゾール型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド化合物とをアルカリ性触媒の存在下で縮合重合させることで得られる。
【0023】
前記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ナフトール等が挙げられる。
前記クレゾールとしては、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾールが挙げられる。
前記トリメチルフェノールとしては、2,3,5-トリメチルフェノール等が挙げられる。
前記キシレノールとしては、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
前記フェノール類は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、3-メチルブチルアルデヒド、p-トリルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等が挙げられる。
前記ヒドロキシベンズアルデヒドとしては、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒドが挙げられる。
前記アルデヒド化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
縮合重合により、ノボラック型フェノール樹脂又はレゾール型フェノール樹脂を生成する際には、前記アルデヒド化合物は、前記フェノール類1モルに対して、好ましくは0.4~2.0モル、より好ましくは0.6~1.5モルである。
【0026】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。
縮合重合により、ノボラック型フェノール樹脂を生成する際には、前記酸性触媒は、前記フェノール類1モルに対して、好ましくは1×10-5~5×10-1モルである。
【0027】
前記アルカリ性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
縮合重合により、レゾール型フェノール樹脂樹脂を生成する際には、前記アルカリ性触媒は、前記フェノール類1モルに対して、好ましくは1×10-5~5×10-1モルである。
【0028】
前記縮合重合で用いる溶剤としては、例えば、水、アルコール類、環状エーテル類、ケトン類などが挙げられる。
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
前記環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン等が挙げられる。
前記縮合重合では、前記フェノール類及び前記アルデヒド化合物の合計100重量部に対して、例えば、前記溶剤が20~1,000重量部用いられる。
【0029】
前記縮合重合の温度は、例えば、10℃~200℃である。
【0030】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック(フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物)、クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物)等が挙げられる。
【0031】
前記フェノール樹脂(b)としては、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。該ノボラック型フェノール樹脂としては、クレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0032】
前記フェノール樹脂(b)は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
前記フェノール樹脂(b)の水酸基当量は、好ましくは10~500g/eq.より好ましくは50~350g/eq.である。
【0034】
前記フェノール樹脂(b)の重量平均分子量は、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは3,000~20,000である。
【0035】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記アクリル系樹脂(a)100重量部に対して前記フェノール樹脂(b)を、好ましくは10~1000重量部、より好ましくは20~500重量部、さらに好ましくは50~200重量部である。
【0036】
本実施形態では、アクリル系樹脂(a)は、フェノール樹脂(b)ではない。
【0037】
本実施形態に係る樹脂組成物は、固形分を100重量%としたときに前記アクリル系樹脂(a)及び前記フェノール樹脂(b)を合計で、好ましくは50~100重量%、より好ましくは80~100重量%含有する。
【0038】
(有機溶剤(c))
前記有機溶剤(c)は、比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤(c1)と、比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)とを含む。
【0039】
なお、本実施形態において、比重は、JIS Z8804:2012「液体の密度及び比重の測定方法」の「6 比重瓶による密度及び比重の測定方法」に記載の方法で求めることができる。
また、本実施形態において、沸点は、標準沸点(1気圧下での沸点)である。
【0040】
比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤(c1)としては、例えば、下記の有機溶剤が挙げられる。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(比重:0.92、沸点:146℃)
・エチル・3-エトキシプロピオネート(EEP)(比重:0.95、沸点:167℃)
・エチレングリコールモノメチルエーテル(比重:0.96、沸点:124℃)
・エチレングリコールモノエチルエーテル(比重:0.93、沸点:135℃)
・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(比重:0.98、沸点:156℃)
・ジエチレングリコールエチルメチルアセテート(MEC)(比重:0.92、沸点:176℃)
・エトキシ酢酸エチル(比重:0.98、沸点:158℃)
・エチル・3-メトキシプロピオネート(比重:0.98、沸点:158℃)
・酢酸ブチル(比重:0.88、沸点:126℃)
・N,N-ジメチルホルムアミド(比重:0.95、沸点:153℃)
・N,N-ジメチルアセトアミド(比重:0.94、沸点:165℃)
【0041】
前記第1有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチル・3-エトキシプロピオネート(EEP)が好ましい。
【0042】
前記第1有機溶剤の比重は、1.00未満であり、好ましくは0.85~0.99、より好ましくは0.88~0.98である。
【0043】
前記第1有機溶剤の沸点は、180℃未満であり、好ましくは115℃~171℃、より好ましくは124℃~170℃である。
【0044】
比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)としては、例えば、下記の有機溶剤が挙げられる。
・ポリエチレングリコールジメチルエーテル(MPM)(比重:1.02、沸点:264℃)
・ベンジルアルコール(BA)(比重:1.05、沸点:205℃)
・γ-ブチロラクトン(GBL)(比重:1.13、沸点:204℃)
・エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(比重:1.01、沸点:145℃)
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(比重:1.02、沸点:193℃)
・エチル・2-ヒドロキシプロピオネート(比重:1.03、沸点:154℃)
・3-ヒドロキシ酢酸エチル(比重:1.01、沸点:170℃)
・メチル・3-メトキシプロピオネート(比重:1.01、沸点:144℃)
・ピルビン酸メチル(比重:1.11、沸点:138℃)
・ピルビン酸エチル(比重:1.05、沸点:142℃)
・N-メチルホルムアミド(比重:1.01、沸点:183℃)
・N-メチルホルムアニリド(比重:1.10、沸点:243℃)
・N-メチルピロリドン(比重:1.03、沸点:202℃)
・ジメチルスルホキシド(比重:1.10、沸点:189℃)
・酢酸ベンジル(比重:1.06、沸点:214℃)
・安息香酸エチル(比重:1.05、沸点:212℃)
・シュウ酸ジエチル(比重:1.08、沸点:185℃)
・マレイン酸ジエチル(比重:1.07、沸点:225℃)
・炭酸エチレン(比重:1.32、沸点:261℃)
・炭酸プロピレン(比重:1.21、沸点:242℃)
・エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート(比重:1.11、沸点:141)
【0045】
前記第2有機溶剤の比重は、1.00以上であり、好ましくは1.00~1.40、より好ましくは1.01~1.32である。
【0046】
前記第2有機溶剤の沸点は、好ましくは130℃以上、より好ましくは138℃以上、更により好ましくは200℃以上である。また、前記第2有機溶剤の沸点は、好ましくは270℃以下、より好ましくは261℃以下、更により好ましくは230℃以下である。
【0047】
なお、前記有機溶剤(c)は、本発明の効果を損ねない範囲内で、比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃以上である有機溶剤を含有してもよい。
比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃以上である有機溶剤としては、例えば、下記の有機溶剤が挙げられる。
・ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)(比重:0.98、沸点:209℃)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(比重:0.99、沸点:196℃)
・N-メチルアセトアミド(比重:0.96、沸点:205℃)
・ベンジルエチルエーテル(比重:0.95、沸点:186℃)
・ジヘキシルエーテル(比重:0.79、沸点:226℃)
・アセトニルアセトン(比重:0.98、沸点:188℃)
・イソホロン(比重:0.92、沸点:215℃)
・カプロン酸(比重:0.93、沸点:205℃)
・n-オクタン酸(比重:0.91、沸点:238℃)
・1-オクタノール(比重:0.83、沸点:194℃)
・1-ノナノール(比重:0.83、沸点:214℃)
【0048】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記アクリル系樹脂(a)及び前記フェノール樹脂(b)100重量部に対して前記有機溶剤(c)を、好ましくは50~9900重量部、より好ましくは75~1900重量部含有する。
【0049】
前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比は、97/3~70/30であり、好ましくは95/5~75/25である。
【0050】
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、さらに界面活性剤(d)を含有してもよい。
前記界面活性剤(d)としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0051】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記アクリル系樹脂(a)及び前記フェノール樹脂(b)100重量部に対して前記界面活性剤(d)を、好ましくは0.01~5重量部、より好ましくは0.1~2重量部含有する。
【0052】
<パターンレジスト膜付き基板の製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記の如く構成されているが、次に、本実施形態に係るパターンレジスト膜付き基板の製造方法について説明する。
本実施形態に係るパターンレジスト膜付き基板の製造方法は、本実施形態に係る樹脂組成物を第1樹脂組成物として基板に塗布し、加熱により前記有機溶剤(c)を揮発させることにより、レジスト下層膜を形成する工程(A1)と、前記レジスト下層膜に第2樹脂組成物でレジスト上層膜を形成する工程(A2)と、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、アルカリ性現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程(C)とを有する。
【0053】
前記パターンレジスト膜付き基板は、レジスト膜(レジスト下層膜及びレジスト上層膜)が形成された面に、基板が露出する部分(以下、「露出部」ともいう。)を有する。
また、前記パターンレジスト膜付き基板では、レジスト上層膜がレジスト下層膜よりも露出部の中心側に延びた状態となっている。言い換えれば、前記パターンレジスト膜付き基板は、レジスト膜のアンダーカット部を有する。
【0054】
パターンレジスト膜付き基板は、パターン膜付き基板を作製するのに用いられる。
パターンレジスト膜付き基板を用いてパターン膜付き基板を製造する方法は、気相成長により、前記パターンレジスト膜付き基板における露出部及びパターンレジスト膜に膜(無機膜や有機膜)を形成する工程(D)と、パターンレジスト膜に形成された膜、及び、パターンレジスト膜を剥離し、露出部に形成された膜を残すことにより、パターン膜付き基板を得る工程(E)とを有する。
【0055】
(工程(A1))
前記工程(A1)は、本実施形態に係る樹脂組成物を第1樹脂組成物として基板に塗布し、加熱により前記有機溶剤(c)を揮発させることにより、レジスト下層膜を形成する工程である。
【0056】
前記基板としては、例えば、シリコンウェハー等が挙げられる。
【0057】
前記基板は、表面に任意の層を有してもよい。
例えば、前記基板は、該基板と前記レジスト下層膜との間の密着性を高めるための層(以下、「密着性補強層」や「密着性補強膜」ともいう。)を表面に有してもよい。
また、例えば、前記基板は、シリコンウェハーの層と任意の層との積層体となっていてもよい。
前記工程(A1)では、本実施形態に係る樹脂組成物を、基板の任意の層(例えば、密着性補強膜)に塗布し、本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる前記有機溶剤(c)を加熱により揮発させることにより、前記レジスト下層膜を形成してもよい。
【0058】
有機溶剤(c)を揮発させる加熱温度は、好ましくは250℃以下、より好ましくは70℃~200℃である。
【0059】
第1樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などが挙げられる。
【0060】
前記レジスト下層膜の厚みは、好ましくは0.01~4.0μm、より好ましくは0.02~3.0μmである。
前記レジスト下層膜の厚みが0.01μm以上であることにより、レジスト膜にピンホールが生じるのを抑制することができる。
また、前記レジスト下層膜の厚みが4.0μm以下であることにより、レジスト膜のアンダーカット部に、気相成長で形成される膜が広がるのを抑制できる。
【0061】
(工程(A2))
前記工程(A2)は、前記レジスト下層膜に第2樹脂組成物でレジスト上層膜を形成する工程である。
具体的には、前記工程(A2)は、前記レジスト下層膜に第2樹脂組成物を塗布することにより、レジスト上層膜を形成する工程である。
【0062】
前記第2樹脂組成物は、感光型の樹脂組成物である。
また、前記第2樹脂組成物は、アルカリ可溶性の樹脂組成物である。
【0063】
本実施形態では、前記レジスト上層膜は、ポジ型レジスト膜である。なお、前記レジスト上層膜は、ネガ型レジスト膜であってもよい。
前記第2樹脂組成物は、例えば、フェノール樹脂と、キノンジアジド基含有化合物と、有機溶剤とを含有する第2樹脂組成物である。
また、前記第2樹脂組成物は、ポリエーテル樹脂を更に含有してよい。
また、前記第2樹脂組成物は、添加剤を更に含有してもよい。
前記前記第2樹脂組成物は、フェノール樹脂を含有することにより、アルカリ可溶性の樹脂組成物となっている。
【0064】
前記第2樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂としては、第1樹脂組成物たる本実施形態に係る樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂として列記したフェノール樹脂等を用いることができる。
なお、前記第2樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂は、前記第1樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0065】
前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸と、フェノール性化合物又はアルコール性化合物との縮合物たるエステル等が挙げられる。また、前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸と、アミノ基を有する化合物との縮合物たるアミド化物等も挙げられる。
【0066】
前記キノンジアジド基含有スルホン酸としては、例えば、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸、ナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸などが挙げられる。
なお、前記縮合物たるエステル、又は、縮合物たるアミド化物を生成する際に、キノンジアジド基含有スルホン酸の代わりに、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸のハロゲン化物を用いてもよい。
該ハロゲン化物としては、塩化物等が挙げられる。
【0067】
前記フェノール性化合物又はアルコール性化合物としては、例えば、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類のメチル置換体、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類のメチル置換体、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
また、前記フェノール性化合物又はアルコール性化合物としては、例えば、構成単位としてp-ヒドロキシスチレンを含むホモポリマー、構成単位としてp-ヒドロキシスチレンを含むコポリマー等も挙げられる。
さらに、前記フェノール性化合物又はアルコール性化合物としては、例えば、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール、7-ヒドロキシ-4-(4’-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-2-(2’,4’-ジヒドロキシ)フェニルクマロン、フェノール、p-メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール-1,3-ジメチルエーテル、没食子酸なども挙げられる。
【0068】
前記ポリヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシ-2’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0069】
前記ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類としては、例えば、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2’,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2’,3’,4’-トリヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0070】
前記トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類または前記トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類のメチル置換体として、例えば、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン等が挙げられる。
【0071】
前記ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類または前記ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類のメチル置換体としては、例えば、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン等が挙げられる。
【0072】
前記キノンジアジド基含有化合物におけるノボラック型フェノール樹脂としては、前記フェノール樹脂(b)の記載で列記したノボラック型フェノール樹脂等を用いることができる。
なお、前記キノンジアジド基含有化合物におけるノボラック型フェノール樹脂は、前記フェノール樹脂(b)の記載で列記したノボラック型フェノール樹脂と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0073】
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、アニリン、p-アミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0074】
前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノールとナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリドとのエステルが挙げられる。
また、前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、7-ヒドロキシ-4-(4’-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-2-(2’、4’-ジヒドロキシ)フェニルクマロンとナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリドとのエステルも挙げられる。
【0075】
前記キノンジアジド基含有化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0076】
前記第2樹脂組成物は、前記フェノール樹脂100重量部に対して、前記キノンジアジド基含有化合物を、好ましくは5~60重量部、より好ましくは10~50重量部、更に好ましくは15~35重量部含有する。
前記第2樹脂組成物は、前記フェノール樹脂100重量部に対して前記キノンジアジド基含有化合物を5重量部以上含有することにより、未露光部と露光部とのアルカリ溶解速度の差が高まるという利点を有する。
前記第2樹脂組成物は、前記フェノール樹脂100重量部に対して前記キノンジアジド基含有化合物を60重量部以下含有することにより、得られるレジスト上層膜の均質性が高まり、その結果、解像性が高まるという利点を有する。
【0077】
前記ポリエーテル樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、末端メトキシ変性ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記ポリエーテル樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記第2樹脂組成物は、ポリエーテル樹脂を含有することにより、前記レジスト下層膜と前記レジスト上層膜との間で樹脂が混ざり合う量の程度を制御することができる。
前記第2樹脂組成物は、前記フェノール樹脂100重量部に対して前記ポリエーテル樹脂を、好ましくは1~20重量部、より好ましくは1~15重量部、更に好ましくは5~10重量部含有する。
【0078】
第2樹脂組成物における界面活性剤としては、第1樹脂組成物たる本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる界面活性剤として列記した界面活性剤等を用いることができる。
なお、第2樹脂組成物における界面活性剤は、前記第1樹脂組成物に含まれる界面活性剤と同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記第2樹脂組成物は、前記フェノール樹脂100重量部に対して界面活性剤を、好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.01~2重量部含有する。
【0079】
前記有機溶剤としては、例えば、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0080】
前記第2樹脂組成物の固形分濃度は、好ましくは2重量%~50重量%、より好ましくは10重量%~30重量%である。
【0081】
前記工程(A2)では、レジスト下層膜に第2樹脂組成物を塗布し、第2樹脂組成物に含まれる有機溶剤を加熱により揮発させることにより、レジスト下層膜にレジスト上層膜を形成する。
【0082】
有機溶剤を揮発させる加熱温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは70℃~130℃である。
【0083】
第2樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などが挙げられる。
【0084】
前記レジスト上層膜の厚みは、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.3~5.0μmである。
前記レジスト上層膜の厚みが0.1μm以上であることにより、気相成長で加熱した場合には、レジスト下層膜よりも露出部の中心側に延びたレジスト上層膜の部分が、この加熱によって垂れ下がってしまうのを抑制できる。
また、前記レジスト上層膜の厚みが10μm以下であることにより、気相成長での膜の寸法制御がしやすくなる。
【0085】
(工程(B))
前記工程(B)は、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜に照射することにより前記レジスト上層膜をパターンする工程である。
前記放射線としては、例えば、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線等が挙げられる。
前記放射線としては、操作性の観点から、紫外線、電子線が好ましい。
前記放射線の線源としては、例えば、水銀灯(例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯など)、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等が挙げられる。
また、前記放射線の線源としては、例えば、KrF光源(クリプトン・フッ素光源)、ArF光源(アルゴン・フッ素光源)なども挙げられる。
前記工程(B)では、レジスト上層膜に放射線を、好ましくは100~1500mJ/cm2、より好ましくは100~500mJ/cm2の露光量で照射する。
【0086】
(工程(C))
前記工程(C)は、アルカリ性現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程である。
【0087】
前記工程(C)は、アルカリ性現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を現像処理する工程(C1)と、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜、及び、基板を水で濯ぐ工程(C2)と、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜、及び、基板を乾燥させる工程(C3)とを有する。
【0088】
前記アルカリ性現像液としては、アルカリを含有する水溶液等を使用することができる。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン等が挙げられる。
アルカリを含有する水溶液は、水溶性有機溶剤や界面活性剤などを含有してもよい。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0089】
前記工程(C1)での現像処理方法としては、例えば、浸漬法、パドル法、シャワー法等が挙げられる。
【0090】
<パターン膜付き基板の製造方法>
【0091】
前記パターンレジスト膜付き基板は、パターン膜付き基板を作製するのに用いられる。
パターンレジスト膜付き基板を用いてパターン膜付き基板を製造する方法は、気相成長により、前記パターンレジスト膜付き基板における露出部及びパターンレジストに膜(無機膜や有機膜)を形成する工程(D)と、パターンレジストに形成された膜、及び、パターンレジストを剥離し、露出部に形成された膜を残すことにより、パターン膜付き基板を得る工程(E)とを有する。
【0092】
(工程(D))
前記工程(D)における気相成長としては、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)が挙げられる。
前記物理気相成長(PVD)としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシー、イオンプレーティング、レーザーアブレーション等が挙げられる。
前記化学気相成長(CVD)としては、例えば、熱CVD、光CVD、プラズマCVD、常圧CVD、減圧CVD、有機金属化学気相成長などが挙げられる。
【0093】
前記膜(無機膜や有機膜)の厚みは、下層レジスト膜の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0094】
(工程(E))
前記工程(E)の剥離では、溶剤を使用する。
該溶剤としては、ポジ型レジストの剥離に一般に用いられる溶剤を用いることができる。
該溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、アセトン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等が挙げられる。
また、該溶剤としては、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等も挙げられる。
【0095】
なお、前記工程(E)では、レジスト上層膜に放射線を照射し、アルカリ性現像液でパターンレジストに形成された膜、及び、パターンレジストを剥離してもよい。
前記工程(E)で用いるアルカリ性現像液は、前記工程(C)のアルカリ性現像液として列記したアルカリ性現像液を用いてもよい。
また、前記工程(E)で用いるアルカリ性現像液は、前記工程(C)で用いるアルカリ性現像液と同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、アルカリ性現像液の代わりに、アルコール(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)を用いてもよい。
【0096】
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記のように構成されているので、以下の利点を有するものである。
【0097】
アクリル樹脂は、通常、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の溶剤に溶解された状態で市販されており、PGMEAに溶解されたアクリル樹脂を用いて、第1樹脂組成物を作製すると、第1樹脂組成物には、PGMEAが含まれる。
本発明者が鋭意検討したところ、PGMEAを含有する第1樹脂組成物を用いて下層レジスト膜を作製すると、前記上層レジスト膜と前記下層レジスト膜との間においてインターミキシングが生じることがあることを見出した。インターミキシングが生じてしまうと、例えば、前記工程(C)において、前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を十分にパターン化できないといった問題(パターニング不良)が生じ得る。
また、本発明者が更に鋭意検討したところ、PGMEAに限らず、比重が1.0未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤を第1樹脂組成物が含んでいると、前記上層レジスト膜と前記下層レジスト膜との間においてインターミキシングが生じることがあることを見出した。
このメカニズムは、以下によるものと考えられる。すなわち、前記第1有機溶剤を含む第1樹脂組成物を基板に塗布し、加熱により有機溶剤を揮発させることにより下層レジスト膜を形成した際に、前記第1有機溶剤が下層レジスト膜の表面に留まり、下層レジスト膜に留まった前記第1有機溶剤により、下層レジスト膜と上層レジスト層との間で樹脂が混ざり合ってしまうと考えられる。
【0098】
そして、本発明者が更に鋭意検討したところ、前記第1有機溶剤を含む第1樹脂組成物に、比重が1.0以上である第2有機溶剤を更に含ませると、レジスト膜の間でのインターミキシングが生じ難くなることを見出し、本実施形態を想到するに至った。
すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、アクリル系樹脂(a)、フェノール樹脂(b)、及び、有機溶剤(c)を含有する樹脂組成物である。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、レジスト下層膜の形成に用いられる。
前記有機溶剤(c)は、比重が1.00未満であり且つ沸点が172℃未満である第1有機溶剤(c1)と、比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)とを含む。
前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比は、97/3~70/30である。
【0099】
このメカニズムは、以下によるものと考えられる。
すなわち、第2有機溶剤の比重は、第1有機溶剤の比重よりも高いので、基板に塗布された第1樹脂組成物では、第2有機溶剤は、第1有機溶剤よりも下側に存在していると考えられる。
そして、基板に塗布された第1樹脂組成物を加熱した際に、前記第1有機溶剤が下層レジスト膜の表面に一旦は留まったとしても、揮発した第2有機溶剤が、下層レジスト膜の表面で留まっている第1有機溶剤を下層レジスト膜外に押し出して、該第1有機溶剤と共に揮発していると考えられる。これにより、第1有機溶剤が下層レジスト膜中に残存することが抑制され、その結果、前記上層レジスト膜と前記下層レジスト膜との間においてインターミキシングが生じることが抑制されると考えられる。
従って、本実施形態によれば、レジスト膜の間でのインターミキシングを抑制し得る。
【0100】
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、97/3以下であることにより、レジスト膜の間でのインターミキシングをより一層抑制し得る。
【0101】
さらに、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、70/30以上であることにより、本実施形態に係る樹脂組成物に第1有機溶剤(c1)を多く含ませることができる。
【0102】
また、第1有機溶剤(c1)たるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)は、フェノール樹脂(b)との親和性が高い。
そのため、PGMEAは、下層レジスト膜の表面に留まりやすい傾向にあると考えられる。
よって、本実施形態に係る樹脂組成物は、第1有機溶剤(c1)としてPGMEAを含む際に、レジスト膜の間でのインターミキシングを抑制する効果を発揮しやすくなると考えられる。
なお、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)は、特にノボラック型フェノール樹脂(具体的には、クレゾールノボラック樹脂)との親和性が高い。
また、PGMEAは、フェノール樹脂(b)との親和性が高いことから、フェノール樹脂(b)は、PGMEAとの溶媒和によって分散されやすくなると考えられる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物は、第1有機溶剤(c1)としてPGMEAを含むことで、塗布むらが抑制されやすくなると考えられる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、70/30以上であることにより、塗布むらがより一層抑制されやすくなると考えられる。
【0103】
なお、本発明に係る樹脂組成物、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る樹脂組成物、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。さらに、本発明に係る樹脂組成物、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0104】
例えば、本実施形態では、前記工程(A2)は、前記レジスト下層膜に第2樹脂組成物を塗布することにより、レジスト上層膜を形成する工程である。
本発明では、前記工程(A2)は、基材シート(例えば、ポリエチレンテレフタレートシート等)に第2樹脂組成物を塗布してレジスト上層膜を形成する工程と、該基材シートに積層されたレジスト上層膜をレジスト下層膜にラミネーターで積層させる工程とを有してもよい。
また、本発明では、前記工程(A2)は、前記基材シートを用いる場合、基材シートと前記レジスト上層膜との間に任意の層を形成する工程を更に有していてもよい。
【0105】
本実施形態では、アクリル系樹脂(a)は、フェノール樹脂(b)ではない。
本発明では、アクリル系樹脂(a)は、フェノール樹脂(b)であってもよい。
【0106】
また、本実施形態では、第2樹脂組成物は、フェノール樹脂と、キノンジアジド基含有化合物とを含有するが、本発明では、第2樹脂組成物は、フェノール樹脂と、キノンジアジド基含有化合物との代わりに、例えば、酸感受性官能基を有するバインダー樹脂と、光感応性酸発生剤(PAG)とを含有してもよい。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、アクリル系樹脂などが挙げられる。
前記放射線の線源が、KrF光源(クリプトン・フッ素光源)である場合には、前記バインダー樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)が好ましい。
前記放射線の線源が、ArF光源(アルゴン・フッ素光源)である場合には、前記バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂が好ましい。
感受性官能基を有するバインダー樹脂と、光感応性酸発生剤とを含有する第2樹脂組成物は、有機溶媒を更に含有してもよい。
該有機溶媒としては、本実施形態の第2樹脂組成物で列記した有機溶媒が挙げられる。
感受性官能基を有するバインダー樹脂と、光感応性酸発生剤とを含有する第2樹脂組成物は、化学増幅型レジストである。
【0107】
次に、実施例、比較例、及び、参考例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0108】
<実施例、比較例、及び、参考例の第1樹脂組成物>
第1樹脂組成物を作製するために下記材料を用意した。
【0109】
(アクリル系樹脂(a))
・メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合物(商品名:MSP8802、新中村化学社製)
【0110】
(フェノール樹脂(b))
・クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとサリチルアルデヒドとの縮合物)(商品名:NK-87、群栄化学工業社製)
【0111】
(比重が1.00未満であり且つ沸点が172℃未満である第1有機溶剤(c1))
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(比重:0.92、沸点:146℃)
【0112】
(比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)
・ポリエチレングリコールジメチルエーテル(MPM)(比重:1.02、沸点:264℃)
・ベンジルアルコール(BA)(比重:1.05、沸点:205℃)
・γ-ブチロラクトン(GBL)(比重:1.13、沸点:204℃)
【0113】
<界面活性剤(d)>
・シリコン系界面活性剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル
【0114】
上記材料を用いて、下記表1、2に示す配合割合の第1樹脂組成物を作製した。
【0115】
(第2樹脂組成物)
第2樹脂組成物を作製するために下記材料を用意した。
・フェノール樹脂:ノボラック型フェノール樹脂(構成単位としてのフェノール類の配合割合;m-クレゾール:2,3-キシレノール:3,4-キシレノール=80:10:19)
・キノンジアジド基含有化合物:4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール1.0モルと、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリド1.0モルとのエステル化反応生成物
・ポリエーテル樹脂:ポリエチレングリコール
・界面活性剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル
・有機溶剤(1):2-ヘプタノン
・有機溶剤(2):ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
【0116】
フェノール樹脂90重量部と、キノンジアジド基含有化合物25重量部と、ポリエーテル樹脂10重量部と、界面活性剤0.2重量部と、有機溶剤(1)250重量部と、有機溶剤(2)60重量部とを混合して混合物を得た。
そして、該混合物をメンブレンフィルター(孔径:3μm)でろ過し、第2樹脂組成物を得た。
【0117】
<レジスト下層膜付き基板>
スピンコートにより第1樹脂組成物をシリコンウェハー(直径:5インチ)上に塗布した。
次に、シリコンウェハー上の第1樹脂組成物をホットプレートにて145℃で120秒間加熱することにより、レジスト下層膜付き基板を得た(レジスト下層膜の厚み:1.2μm)。
【0118】
<パターンレジスト膜付き基板>
レジスト下層膜付き基板のレジスト下層膜上に、第2樹脂組成物をスピンコートにより塗布した。
次に、レジスト下層膜上の第2樹脂組成物をホットプレートにて110℃で3分間加熱することにより、レジスト膜(レジスト下層膜及びレジスト上層膜)付き基板を得た。
【0119】
そして、下記条件でレジスト上層膜をパターン露光した。
露光機:Mask Aligner MA150(ズース・マイクロテックス社製、コンタクトアライナー)
露光量:150mJ/cm2(420nm付近)
露光様式:ハードコンタクト露光
【0120】
次に、レジスト膜(レジスト下層膜及びレジスト上層膜)付き基板をアルカリ性現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:2.38重量%)に入れ、超純水の流水で1分間リンスし、空気を吹き付けて乾燥させることにより、パターンレジスト膜付き基板を得た。
【0121】
<レジスト下層膜に残存する第1有機溶剤(c1)の量>
前記レジスト下層膜付き基板からレジスト下層膜を削り取った。
そして、削り取ったレジスト下層膜をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。
次に、削り取ったレジスト下層膜に残存する第1有機溶剤(c1)の量をガスクロマトグラフィーにより求めた。なお、レジスト下層膜に残存する第1有機溶剤(c1)の量を求めるに当たり、事前に検量線を作成した。
結果を下記表1に示す。なお、「n.d.」は、検出限界未満を意味する。
【0122】
<レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分の状態>
パターンレジスト膜付き基板において、レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、下記の基準で評価した。
〇:レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分で境界面が明確に観察できた。
×:レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分で境界面が不鮮明で観察できなかった(レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分でインターミキシングが生じていた。)。
図2に、レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分のSEM写真(実施例1)を示す。
また、
図3に、
図2の拡大写真を示す。
さらに、
図4に、レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分のSEM写真(比較例1)を示す。
結果を下記表1に示す。
【0123】
<塗布むら>
前記レジスト下層膜付き基板のレジスト下層膜にナトリウムランプを当てて、レジスト下層膜(塗布面)を観察し、下記の基準で評価した。
○:レジスト下層膜(塗布面)に塗布むらが観察されなかった。
×:レジスト下層膜(塗布面)に塗布むらがはっきり観察された。
結果を下記表1に示す。
【0124】
【0125】
表1に示すように、本発明の範囲内である実施例1~5では、レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分で境界面が明確に観察できた。
一方で、第1樹脂組成物が第2有機溶剤(c2)を含まない比較例1、第2有機溶剤(c2)の重量に対する、第1有機溶剤(c1)の重量の比が99/1である比較例2では、レジスト上層膜とレジスト下層膜との間の部分で境界面が不鮮明で観察できなかった。
従って、本発明によれば、レジスト膜の間でのインターミキシングを抑制し得ることがわかる。
【0126】
また、表1に示すように、実施例1~5では、比較例1、2に比べて、レジスト下層膜に残存する第1有機溶剤(c1)の量が少なかった。
【0127】
さらに、表1に示すように、本発明の範囲内である実施例1~5では、レジスト下層膜(塗布面)に塗布むらが観察されなかった。
一方で、第2有機溶剤(c2)の重量に対する、第1有機溶剤(c1)の重量の比が35/65である参考例1では、レジスト下層膜(塗布面)に塗布むらがはっきり観察された。
よって、実施例1~5の第1の樹脂組成物は、参考例1の第1の樹脂組成物に比べて、実用性に優れることがわかる。
【要約】
【課題】本発明は、レジスト膜の間でのインターミキシングを抑制し得る樹脂組成物等を提供する。
【解決手段】本発明は、アクリル系樹脂(a)、フェノール樹脂(b)、及び、有機溶剤(c)を含有する樹脂組成物であって、レジスト下層膜の形成に用いられ、前記有機溶剤(c)は、比重が1.00未満であり且つ沸点が180℃未満である第1有機溶剤(c1)と、比重が1.00以上である第2有機溶剤(c2)とを含み、前記第2有機溶剤(c2)の重量に対する、前記第1有機溶剤(c1)の重量の比が、97/3~70/30である、樹脂組成物等である。
【選択図】 なし