(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】液体パックを備えたカートリッジ
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20220502BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220502BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N35/00 D
(21)【出願番号】P 2021502600
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2019073913
(87)【国際公開番号】W WO2020053111
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-01-15
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックナー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】カイケル,アレクサンダー
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521954(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015226417(DE,A1)
【文献】特表2016-532075(JP,A)
【文献】特開2006-208837(JP,A)
【文献】国際公開第2011/004653(WO,A1)
【文献】特表2012-517595(JP,A)
【文献】特表2011-524313(JP,A)
【文献】特表2018-503831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を凹部から分離する壁が形成されるように前記凹部によって少なくとも部分的に囲まれた前記孔を備えた構造部分を備えたカートリッジであって、前記カートリッジが、液体パックを備え、前記液体パックが、周囲のシール部分および液体含有部分を備え、前記液体パックが、前記孔の内部に少なくとも部分的に配置され、前記シール部分の円周外線の一部が前記凹部の上に配置されるように前記シール部分の前記円周外線が
前記壁を乗り越えて跨ぐように前記壁から突出
し、
前記液体パックが所定の容量の液体を含み、前記凹部がこの容量を収集することができ、前記凹部の容量が前記液体の容量以上であり、
前記シール部分が破壊された場合に、前記液体パックの前記液体が、前記シール部分の破壊された箇所から前記凹部の内部に流入するように構成されている、ことを特徴とする、カートリッジ。
【請求項2】
前記孔が前記壁を形成する前記凹部によって完全に囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記壁がガイド凹部を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記液体パックが、前記孔に形状適合する形状を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記孔が切り取られた円筒、具体的には円筒形を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
液体によって満たされた前記液体パックの部分が球形キャップ、具体的には半球を形成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記凹部が前記構造部分のチャネルへの孔を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記チャネルが前記カートリッジの機能部分に接続されている、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジが、前記液体パックが前記孔の内部に少なくとも部分的に固定されるように前記構造部分に固定されるカバー部分を備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記カバー部分に面する前記壁の端部と前記カバー部分との間に、50μmから1000μm、具体的には60μmから200μmの距離があることを特徴とする、請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のカートリッジを備える液体処理装置であって、前記液体処理装置が、さらに、カバー部分の反対側から前記カートリッジ内の前記液体パックを押すように前記液体処理装置の駆動によって作動されることができるピストンを備えることを特徴とする、液体処理装置。
【請求項12】
前記ピストンが、前記孔に少なくとも形状適合する円周面を有することを特徴とする、請求項11に記載の液体処理装置。
【請求項13】
前記液体処理装置がローターを備え、前記液体パックの液体が前記液体処理装置のさらなる駆動によって前記ローターを回転させることによって前記構造部分内で移送されることができるように、前記カートリッジが前記ローター内に配置されていることを特徴とする、請求項11または12に記載の液体処理装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のカートリッジを使用する、患者の近くで行われる検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体コンパートメントを開くための構成に関する。特に、液体パックを備えたカートリッジが提供される。このカートリッジは、デバイスに挿入されるように構成されることができる。デバイスは、液体を処理することができる任意の種類のデバイスとされ得る。
【背景技術】
【0002】
カートリッジは、機械の使い捨て部品を非使い捨て部品から分離するために多くの分野で使用されている。これらのカートリッジは、例えば、測定結果もしくは印刷物、または添加剤を含む液体など、何らかの形で非使い捨て部品と相互作用して結果を達成する。
【0003】
多くの場合、カートリッジは、患者の近くで行われる検査(near patient testing)のためのポイントオブケア診断システムの一部である。これらの種類のカートリッジは、例えば、国際公開第2016/049557号、国際公開第2016/014771号、国際公開第2008/155723号、米国特許第9190015号明細書、米国特許第9863837号明細書、米国特許第9797006号明細書、米国特許第9808802号明細書、米国特許第9731297号明細書、米国特許第9753003号明細書、米国特許第9782770号明細書、米国特許第9678065号明細書、米国特許第9616427号明細書に記載されている。
【0004】
国際公開第2013/135713号、国際公開第2015/185763号、または欧州特許第3231513号明細書は、遠心力を使用してカートリッジを介して液体を導管で送るポイントオブケア測定システム用のカートリッジを開示している。
【0005】
これら全てのカートリッジの場合、液体を有するコンパートメントを有することが有用である。ブリスターの形態の液体パックを備えたカートリッジは、例えば、米国特許第9638663号明細書に開示されている。このカートリッジは、診断アッセイに必要な液体を保管することができる最低1つのブリスターパックを含む。ブリスターは、液体成分の気密保管と物理的保護を提供し、発生する可能性のある試薬の劣化を最小限に抑える。2つのブリスターパックが存在することができ、一方は洗浄液を含み、他方は電気化学基板を含む。ブリスターパックおよび密封された液体を含むものは、リング形状の粘着フィルムによって上部の凹部に貼付されることができる。ブリスターパックの場合、外部の機械式アクチュエータが、圧縮されるまで個々のペックの上部に下向きの圧力を加える。例えば、これは、空気圧ピストンまたは油圧ピストンとすることができる。ブリスターは、凹部にあり、鋭い成形機能がこの外圧によってブリスターの底に穿刺する。そして、ブリスターからの液体が開口から押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2016/049557号
【文献】国際公開第2016/014771号
【文献】国際公開第2008/155723号
【文献】米国特許第9190015号明細書
【文献】米国特許第9863837号明細書
【文献】米国特許第9797006号明細書
【文献】米国特許第9808802号明細書
【文献】米国特許第9731297号明細書
【文献】米国特許第9753003号明細書
【文献】米国特許第9782770号明細書
【文献】米国特許第9678065号明細書
【文献】米国特許第9616427号明細書
【文献】国際公開第2013/135713号
【文献】国際公開第2015/185763号
【文献】欧州特許第3231513号明細書
【文献】米国特許第9638663号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、液体パックがカートリッジに組み立てるのが容易であり、カートリッジと相互作用するデバイスの非使い捨て部分を汚染するリスクが少なく、液体パック内の液体がカートリッジに充填されることができる、液体パックを備えたカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1に記載のカートリッジによって実現される。
【0009】
本発明の第1の態様は、孔を凹部から分離する壁が形成された凹部によって少なくとも部分的に囲まれた孔を備えた構造部分を備える、カートリッジに関する。カートリッジの液体パックは、周囲のシール部分および液体含有部分を備える。シール部分は、液体パック内の液体を収容するために液体含有部分を囲む。液体パックは、孔内に少なくとも部分的に配置され、シール部分の円周外線の一部が凹部の上に配置されるように外線が壁を越えて突出することを特徴とする。これは、シール部分の境界が、孔および孔の開口の伸びによって規定される軸に垂直な方向の壁として、より大きな拡張を有することを意味する。これは、液体パックが孔に容易に配置されることができることを保証する。さらに、これは、液体パックから液体を孔の開口に落とすことなく、液体パックを開くことを可能にする。液体パックは、孔の開口を凹部から密封するようにカートリッジ内に配置されている。
【0010】
液体パックのシール部分の円周外線は、シール部分の外側境界線である。内側境界線は、シール部分を液体パックの液体部分から分離する。
【0011】
本発明のカートリッジのさらなる態様は、壁がガイド凹部を含むことである。このガイド凹部は、ガイド凹部においてシール部分がカートリッジにそれほどしっかりと固定されていないため、液体パックのための開口チャネルを提供する。ガイド凹部は、カートリッジ内の液体パックを保持するカートリッジの力がガイド凹部においてより低くなるように壁に形成されている。したがって、ガイド凹部において、シール部分の開口は、カートリッジ内の所定の位置にガイドされて、凹部上の決定された位置におけるシール部分の開口を可能にする。
【0012】
本発明のカートリッジのさらなる態様は、孔が完全に凹部によって囲まれていることである。これは、凹部に液体をより確実に収集することを可能にする。
【0013】
カートリッジのさらなる態様は、液体パックが所定容量の液体を含み、凹部がこの容量を収集することができることである。これは、液体が構造部分のさらなる構造に移送される必要が生じる前に、液体が収集されて凹部に保管されることができることを保証する。
【0014】
カートリッジの別の態様は、液体パック、特にその液体部分が、孔に形状適合する形状を有することである。これは、製造時に容易な組み立てを可能にする。この形状適合は、液体パックが孔の形状をコピーすることを意味するものではない。例えば、半ドームもまた、円筒孔に形状適合する。この意味での形状適合とは、孔の開口の伸びによって規定される軸に垂直な方向に液体パックがほとんど移動することができないように液体パックが孔に配置されることができることを意味する。残りの移動は、製造精度によって制限される。
【0015】
カートリッジのさらなる態様は、孔が切り取られた円筒、特に円筒形を有することである。これは、カートリッジの容易な製造を可能にする。
【0016】
カートリッジの別の態様は、液体によって満たされた液体パックの部分が球形キャップ、特に半球を形成することである。これは、製造および組み立てを容易にする。
【0017】
カートリッジのさらなる態様は、凹部が構造部分のチャネルへの孔を含むことである。これは、圧力、回転または毛細管力による液体のさらなる移送を可能にする。
【0018】
カートリッジのさらなる態様は、チャネルがカートリッジの機能部分に接続されていることである。これは、構造部分の所望の構造において液体パック内の液体の使用を可能にする。
【0019】
カートリッジの別の態様は、カートリッジが、液体パックが孔内に少なくとも部分的に固定されるように構造部分に固定されるカバー部分を備えることである。カバー部分は、液体パックが孔から落ちるのを防ぐ。これは、カートリッジの容易な取り扱いを可能にする。あるいは、この機能は、カートリッジが配置されるように適合されたデバイスの非使い捨て部分によって提供されることができる。例えば、カートリッジは、液体パックが既に孔に配置されている状態で慎重に非使い捨て部分に配置されるか、またはその後に液体パックが構造部分の孔に配置される。その後、非使い捨て部分を形成するある種のカバーは、液体パックが孔に安全に配置されるように構造部分を覆う。
【0020】
カートリッジのさらなる態様は、カバー部分に面する壁の端部とカバー部分との間に、20μmから1000μm、特に50μmから500μmの距離があることである。一方では、この距離は、液体パックを構造部分に安全に固定するために十分に小さくする必要がある。他方では、この距離は、密封された部分がポップアップして液体を通過させることができるように十分に大きくする必要がある。この距離の第3の条件は、液体が孔の開口に流れたり落下したりすることができないように、十分に小さくする必要があることである。
【0021】
上述したカートリッジを備える本発明の液体処理装置の一態様は、液体処理装置が、カバー部分の反対側からカートリッジ内の液体パックを押すように液体処理装置の駆動によって作動させることができるピストンをさらに備えることである。このピストンは、液体処理装置の非使い捨て部分の一部である。それは、液体パックから液体を構造部分の凹部に絞り出すことを可能にする。
【0022】
先行する態様に記載の液体処理装置のさらなる態様は、ピストンが孔に少なくともほぼ形状適合する円周面を有することを特徴とする。これは、いかなる液体も無駄にしないように、液体パックを可能な限り空にする。
【0023】
液体処理装置のさらなる態様は、液体処理装置がローターを備え、液体パックの液体が液体処理装置のさらなる駆動によってローターを回転させることによって構造部分内で移送されることができるように、カートリッジがローター内に配置されることができることである。したがって、液体は、回転力によってカートリッジ内の所望の場所に移送されることができる。
【0024】
通常、液体パックは、冷間成形可能な材料から作製されることができるフラットトップ円筒形からなり、それにより、成形されて画定された形状が型のデザインを呈するように冷間成形可能なフィルムに押し付けられる。冷間成形可能な材料は、薄いポリマーフィルムによっていずれかの側に積層されたアルミニウム箔とすることができる。結果として生じる空洞は、アッセイを実施するために必要な液体試薬溶液によって満たされる。例えば、液体パックは、洗浄液または基質液を含む。
【0025】
空洞は、例えば、50μLから3mLの容量を提供することができ、液体パックは、容量を調整するために、余裕充填または寸法変更を行うことができる。空洞が満たされると、空洞の上に材料の薄層を配置して圧力および/または熱を加えることにより、気密封止されることができる。代替的に、または追加的に、シール部分に異なる種類のグリッド状のパターンを刻印することによってシーリングを提供することができる。さらにまた、シール部分を製造するために超音波溶接も実施可能である。
【0026】
シール材料は、密封された側が圧力および/または熱によって活性化する粘着剤のようなラッカーによってコーティングされるアルミニウムフィルムとすることができる。反対側は、熱によって破壊されない保護ラッカーを有することができる。アルミニウムの使用は、一度密封されると液体が逃げたり入ったりすることがないように超低蒸気透過性を提供する。しかしながら、アルミニウムコーティングと組み合わせたプラスチック材料またはポリマー材料もまた、液体パックに使用されることができる。
【0027】
しかしながら、本明細書で開示される特徴の組み合わせに関連する他の実施形態が実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のさらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、好ましい実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されることができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
図では以下のとおりである:
【0029】
【
図1A】カートリッジの液体パックを備えた構造部分の図である。
【
図1B】カバー部品を備えた
図1Aに示されるカートリッジ部品の切断部の側面図である。
【
図1D】
図1Aに示されるようなカートリッジの部分の底面図である。
【
図2A】カートリッジ部分の別の実施形態の平面図である。
【
図2B】
図2Aに示される実施形態の変更された設計の断面図である。
【
図3A】液体パックを備えたさらに別の構造部分からの下方からの斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示される部分とカバー部分からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1A~Dは、本発明の概念の1つの可能な実施形態を提示する。
【0031】
図1Aは、カートリッジの液体パック20を備えた構造部分12の平面図を示している。構造部分12は、孔14を含む。孔14に加えて、構造部分は、凹部16を含む。凹部16および孔14は、壁18によって分離されている。液体パック20は、その液体含有部分24が孔14にある状態で配置される。シール部分22は、液体含有部分24を囲んでいる。
【0032】
液体パック20は、冷間成形可能な材料から作製されることができるフラットトップ円筒形からなることができ、それにより、成形されて画定された形状が型のデザインを呈するように冷間成形可能なフィルムに押し付けられる。冷間成形可能な材料は、1つまたは複数の薄いポリマーフィルムによって両側または片側に積層されたアルミニウム箔とすることができる。結果として生じる空洞は、カートリッジの操作を行うために必要な液体によって満たされる。空洞は、50μLから30mLの容量を提供することができ、液体パックは、容量を調整するために、余裕充填または寸法変更を行うことができる。
【0033】
空洞が満たされると、空洞の上に材料の薄層(すなわち、箔)を配置して圧力および/または熱または超音波溶接を加えることにより、気密封止されることができる。シール材料は、密封された側が圧力および/または熱によって活性化する粘着剤のようなラッカーによってコーティングされるアルミニウムフィルムとすることができる。反対側は、熱によって破壊されない保護ラッカーを有することができる。アルミニウムの使用は、一度密封されると液体が逃げたり入ったりすることがないように超低蒸気透過性を提供する。密封は、例えば、超音波溶接、または粘着によっても可能である。例えば、厚さが10μmから200μmのプラスチック、その他の金属シートなど、アルミニウム以外の材料が使用されることができる。特に、これらの材料は、例えば、プラズマ分離プロセスを介して二酸化ケイ素によってコーティングされたPETのように、溶接を改善するために、または蒸気透過を最小限に抑えるためにコーティングされる。さらに、保管された液体への材料拡散を低減するため、または液体とシール材料との間の化学反応を防ぐために、コーティングを必要とすることができる。
【0034】
図1A~Dに示される実施形態では、孔14は、五角形フットプリントを有する。この実施形態の液体パック20の液体含有部分24は、孔14のフットプリントよりも小さい五角形フットプリントを有する円筒形である。したがって、液体パック20の液体含有部分24は、孔14に適合する。液体パック20のシール部分22は、五角形の円周外線26、または円周方向に孔14の境界の上に突出する境界を有する。したがって、液体パック20は、
図1Bの水平面に保持され、孔を通って落下することはできない。カートリッジのカバー部分38は、カートリッジが回転したときに液体パック20が孔14から落下することができることを防ぐ。
【0035】
さらなるカバー34は、カートリッジ10のカバー部分38に対して反対側を保護する。さらなるカバー34は、液体処理装置(図示せず)のピストン36が孔14に導入されることができるように孔14に適合する切り欠きを含む。
【0036】
カートリッジ10が液体処理装置内に配置されている場合、ピストン36は、液体パックをカバー部分38に押し付けることができる。カートリッジは、液体処理装置の設計に応じて、ピストンが液体パックに対して下方からカートリッジ内に駆動するようにまたは上方を形成するように液体処理装置に配置されることができる。したがって、液体処理装置は、マイクロコントローラまたは同等物などの適切な制御および駆動手段と、ピストン36を所望の力によって所望の量駆動するためのモーターとを備える。
【0037】
最後に、シール部分22は、凹部16の所望の領域で破壊され、液体パック20の液体は、凹部16内に押されるかまたは流れ込む。膨潤したシール領域は、同時に、凹部16内の液体が孔14に流入することができないように凹部16を孔14から密封する。これは、孔14の領域の汚染または汚れを回避し、したがってピストン36または液体処理装置のさらなる部分の汚染または汚れを回避する。
【0038】
凹部16から、液体は、チャネル30を介して、カートリッジの機能部分32にさらに流れることができる。そこで、液体は、その意図された目的のために使用される。
【0039】
図2Aは、液体パック120を備えた構造部分112のさらなる実施形態の平面図を示している。この実施形態は、孔114、凹部116、壁118、および液体パック120の形態において、
図1A~Dに示される実施形態とは異なる。孔114および液体パック120は、円形フットプリントを備えた円筒形を有する。液体パック120は、部分124およびフラットリング形状のシール部分を含む本質的に円筒形の液体を有する。
【0040】
液体パックは、
図1A~Dに従って説明した実施形態の液体パック20のように、シール部分において一体に密封された2つの箔から構築される。円周外線126は、シール部分122の外縁として対応する円形を有する。孔114を形成する凹部116を分離する壁118は、円形形状を有する。
【0041】
凹部116は、孔114全体を囲み、リング状のハッチを形成する。円周外線は、壁118と凹部116の外側境界線との間に配置される。したがって、液体パック120のシール部分122が、それに応じて
図1Bから推定されることができるように、液体パック120をカバー(
図2には示されていない)に押し付けることによって液体パック120内の液体に導入するある種のオフピストン力に起因して液体パックの2つの箔が剥離するときに、どの正確な位置で破損または剥離するかは関係ない。
【0042】
最後に、チャネル130は、凹部116を機能部分132と接続する。液体パック20の流体は、チャネル130を介して機能部分132に移送されて、任意の目的を果たすことができる。
【0043】
図2Bは、
図2Aに示される実施形態の僅かに変更された設計を示している。円周壁118は、ガイド凹部119を有する。このガイド凹部119は、空間内の所望の点において凹部116への液体パック20の開口を支持する。ガイド凹部は、例えば、V字型、U字型、半円型、または矩形を有することができる。液体パック20は、シール部分をカバー部分38と円周壁118との間にしっかりと保持することによってカートリッジ内に保持される。したがって、シール部分122の開口、すなわち、箔の取り外しは、ガイド凹部においてガイドされて、外線126におけるガイド凹部119の半径方向の延長において液体パック120を開く。
【0044】
さらに示されていない実施形態では、このガイド凹部はまた、
図1A~Dの実施形態に示されるように円周方向ではない凹部16内の開口を支持するように配置されることもできる。
【0045】
図3A~Dは、生物学的サンプルを分析するための計量チャンバを備えた回転可能カートリッジとしての本発明の実施形態を示している。このカートリッジのさらなる機能の詳細は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/185763号に見られることができる。
【0046】
この実施形態では、構造部分212は、リング状の凹部216を形成する。液体パック220は、フラットリング形状のシール部分222によって囲まれた半球形の液体含有部分224を有する。液体パック220が円筒孔214に配置されると、半球は、その最大直径で孔214に形状適合する。シール部分222は、シール部分の外線226が凹部の上に配置されるように壁218と重複する。液体処理装置のピストンが半球をカバー部分238に押し付ける場合、2つの積層箔が一点で分離して液体が凹部216に流入するまで、シール部分222が膨らむ。膨潤したシール部分222は、孔214に対して凹部216を密封して、逆流または孔領域の汚染を回避し、したがって液体処理装置の汚染を回避する。
【0047】
そして、液体は、カートリッジを回転させることによって、チャネル230を介して分注チャンバ240に流れることができる。チャネルは、凹部216からのチャネル230の入口が回転軸からの凹部の最も遠い点にあるように配置される。これは、液体の全量が凹部216からチャネル230に移送されることを可能にする。
【符号の説明】
【0048】
10、110、210 カートリッジ
12、112、212 構造部分
14、114、214 孔
16、116、216 凹部
18、118、218 壁
119 ガイド凹部
20、120、220 液体パック
22、122、222 シール部分
24、124、224 液体含有部分
26、126、226 円周外線
28 チャネルへの孔
30、130、230 チャネル
32 機能部分
34 さらなるカバー
36 ピストン
38、238 カバー部分
240 分注チャンバ