IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

特許7066047カニューレを受け取るための方法及び装置
<>
  • 特許-カニューレを受け取るための方法及び装置 図1
  • 特許-カニューレを受け取るための方法及び装置 図2
  • 特許-カニューレを受け取るための方法及び装置 図3A
  • 特許-カニューレを受け取るための方法及び装置 図3B
  • 特許-カニューレを受け取るための方法及び装置 図4
  • 特許-カニューレを受け取るための方法及び装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】カニューレを受け取るための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/34 20060101AFI20220502BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20220502BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A61M5/34 520
A61M5/158 500K
A61M5/158 500T
A61M5/32 530
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021509882
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019071363
(87)【国際公開番号】W WO2020043459
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】18190987.0
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】デック,フランク
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-545342(JP,A)
【文献】特表2010-531196(JP,A)
【文献】特開2007-216029(JP,A)
【文献】特開2018-183621(JP,A)
【文献】特表2013-534164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/34
A61M 5/158
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレ(114)を受け取るためのカニューレカートリッジ(112)であって、
a)針ハブ(128)及び前記針ハブ(128)に装着された針(130)を有する針ユニット(126)と、
b)カニューレ(114)と、
c)保護要素(132)と、を備え、
前記針ユニット(126)は、前記保護要素(132)内で、前記針(130)の長手方向軸に平行な方向に、少なくとも1つの第1の位置から少なくとも1つの第2の位置に、及びその逆に移動可能であり、
前記第1の位置では、前記針(130)は前記保護要素(132)によって覆われており、
前記第2の位置では、前記針(130)は、前記保護要素(132)から少なくとも部分的に延び、
前記第1の位置では、前記保護要素(132)の保持部材(134)は、フォームフィット接続によって前記針ハブ(128)の係合要素(136)と係合し、
前記針ユニット(126)は、挿入器(116)によって前記第1の位置から前記第2の位置に移動され、前記保持部材(134)が前記針ハブ(128)の前記係合要素(136)と再び係合する前記第1の位置に戻るように構成され、
前記保持部材(134)は、少なくとも1つのラッチ(158)を含み、
前記ラッチ(158)は、少なくとも1つのラッチアーム(160)を含み、前記ラッチアーム(160)は、固定端部(164)で前記保護要素(132)の筐体(162)に接続され、前記ラッチアーム(160)は、前記針ハブ(128)の前記係合要素(136)と係合するように構成された少なくとも1つの自由端部(166)をさらに有し、
前記自由端部(166)は、前記針ハブ(128)の前記係合要素(136)と係合するように構成された噛み合い要素(168)を含み、
前記噛み合い要素(168)及び前記針ハブ(128)の前記係合要素(136)は、一緒に少なくとも2つの傾斜面(170、172)を含み、前記少なくとも2つの傾斜面(170、172)は、前記針ユニット(126)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記係合要素(136)を前記噛み合い要素(168)とスライド可能に係合する少なくとも1つの第1の傾斜面(170)と、前記針ユニット(126)が前記第2の位置から前記第1の位置に戻るとき、前記係合要素(136)を前記噛み合い要素(168)とスライド可能に係合する少なくとも1つの第2の傾斜面(172)と、を含み、その結果、前記針ユニット(126)を前記第1の位置から前記第2の位置に移動することによって、前記フォームフィット接続がロック解除され、前記針ユニット(126)を前記第2の位置から前記第1の位置に移動することによって、前記フォームフィット接続がロックされる、カニューレカートリッジ(112)。
【請求項2】
前記噛み合い要素(168)は前記少なくとも2つの傾斜面(170、172)を含み、前記針ユニット(126)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記少なくとも1つの第1の傾斜面(170)が前記係合要素(136)の少なくとも1つの縁部(174)と相互作用し、前記針ユニット(126)が前記第2の位置から前記第1の位置に戻るとき、前記少なくとも1つの第2の傾斜面(172)が前記針ハブの少なくとも1つの近位縁部(176)と相互作用し、その結果、前記針ユニット(126)を前記第1の位置から前記第2の位置に移動することによって、前記フォームフィット接続がロック解除され、前記針ユニット(126)を前記第2の位置から前記第1の位置に移動することによって、前記フォームフィット接続がロックされる、請求項1に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項3】
前記係合要素(136)が前記針ハブ(128)内に円周方向の溝(144)を備える、請求項1又は2に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項4】
前記ラッチ(158)が、前記係合要素(136)の少なくとも1つの表面内の少なくとも1つの空洞と係合するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの傾斜面(170、172)が異なる傾斜を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項6】
前記保持部材(134)が前記針ハブ(128)の前記係合要素(136)と係合されるとき、前記ラッチ(158)は弛緩状態にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項7】
前記保護要素(132)は、その中に含まれる孔を備えた筐体(162)を有し、前記針ユニット(126)は、前記針(130)の軸(138)に平行な方向に直線的にスライド可能な方式で前記孔内に受け取られる、請求項1から6のいずれか一項に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項8】
前記保護要素(132)は、前記針ユニット(126)が前記第2の位置から前記第1の位置の方向に前記保護要素(132)から離れることを防止するための少なくとも1つの固定要素を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【請求項9】
キット(110)であって、
A)請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのカニューレカートリッジ(112)と、
B)前記カニューレ(114)を体組織(118)に挿入するための少なくとも1つの挿入器(116)と、を備え、
前記挿入器(116)が、
前記カニューレカートリッジ(112)を受け取るための少なくとも1つのレセプタクル(122)を有する少なくとも1つの挿入器筐体(120)と、
前記針ユニット(126)を前記第1の位置から前記第2の位置に駆動し、前記第1の位置に戻すように構成された少なくとも1つの挿入アクチュエータ(124)と、を備える、キット(110)。
【請求項10】
前記挿入アクチュエータ(124)が、前記針ユニット(126)を駆動する間、前記針ハブ(128)の前記係合要素(136)と噛み合う少なくとも1つの駆動要素(140)を備え、前記駆動要素(140)が、前記針ユニット(126)を駆動している間、前記針ハブ(128)を少なくとも2つの側面から留めるフォーク(142)を含む、請求項9に記載のキット(110)。
【請求項11】
前記キット(110)が、
C)少なくとも1つのポンプホルダ(150)をさらに備え、
前記少なくとも1つのポンプホルダ(150)が、
利用者の体表面に装着するための少なくとも1つの装着面(152)と、
前記装着面(152)に対向する少なくとも1つの取付面(154)と、を有し、
前記少なくとも1つの取付面(154)は、前記取付面(154)が、前記挿入器(116)又は投薬ポンプのいずれかを前記ポンプホルダ(150)に取り付けるための少なくとも1つの取付要素(156)を有する、請求項9または10に記載のキット(110)。
【請求項12】
前記キット(110)が、
D)前記ポンプホルダ(150)に取り付け可能な少なくとも1つの投薬ポンプであって、前記投薬ポンプと前記挿入器(116)とが交換可能である、少なくとも1つの投薬ポンプをさらに備える、請求項11に記載のキット(110)。
【請求項13】
カニューレカートリッジ(112)を参照する請求項1から8のいずれか一項に記載のカニューレカートリッジ(112)を製造する方法であって、前記方法が、
i.前記針ユニット(126)を提供することと、
ii.前記カニューレ(114)を提供することと、
iii.前記保護要素(132)を提供することと、
iv.前記カニューレ(114)を前記針ユニット(126)の前記針(130)に取り付けることと、
v.前記カニューレ(114)が配置された前記針ユニット(126)を、前記針ユニット(126)の前記針(130)が前方に挿入される方向に、前記保護要素(132)に挿入することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレを受け取るためのカニューレカートリッジ、カニューレカートリッジを含むキット、及びカニューレカートリッジを製造する方法に関する。本発明にかかる方法及び装置は、主に薬剤、例えばインスリンなどを利用者に送達する際に使用され得る。本発明は、在宅ケアの分野、並びに病院及び介護施設などの専門的ケアの分野にも適用され得る。他の用途も一般に可能である。
【背景技術】
【0002】
利用者への薬剤の送達、具体的にはインスリンの送達は、病気の予防及び治療、特に真性糖尿病の治療において重要な役割を果たす。医学療法では、定期的に利用者に薬を届ける際に、投薬ポンプなどの携帯型注入ポンプが広く使用されている。一般に、注入カニューレなどのカニューレは、例えば投薬ポンプを介して、利用者の体内に直接薬剤を送達する目的で、利用者の体組織に挿入される。衛生上及び安全上の理由から、このようなカニューレは通常、単回使用の対象物であるため、使用後すぐに廃棄される。
【0003】
一般的に、カニューレは怪我のリスクをもたらす。したがって、一例として、柔軟性カニューレを身体に挿入するために単回使用の挿入器装置が使用され、カニューレの挿入の前後の意図しない接触を防止する。そのような挿入器装置は、例えば、カニューレを組織に挿入するための装置を開示する欧州特許第1383560号B1(特許文献1)から知られることがあり、カニューレ、前記カニューレを収容することができる保護要素、カニューレを保護要素から移動させるための操作要素、及びカニューレに固定的に接続されたホルダを含む。本発明は、液体供給をカニューレに接続するためのシステムを包含する。
【0004】
さらに、代替として、具体的にはカニューレとの意図しない接触を防止するために、再利用可能な挿入器で使用するために、単回使用のカニューレカートリッジが当技術分野で知られている。一例として、国際公開第2009/001346号A1(特許文献2)は、治療液体を患者の体内に送達するための、及び/又は身体分析物を感知するための装置と共に使用するための挿入装置を開示している。装置は、保護部材を有する少なくとも1つのカニューレカートリッジユニットを中に装填するように適合された筐体を含む。保護部材は、皮下に挿入可能な要素及び貫通部材を有する少なくとも1つの貫通カートリッジを収容する。装置は、貫通カートリッジを患者の身体に向かって伸ばすことができる変位機構を含み、貫通カートリッジの伸長は、皮下挿入可能な要素の患者の体への挿入をもたらす。
【0005】
そのような保護要素、例えば、単回使用の挿入器装置及びカニューレカートリッジの使用に伴う利点にもかかわらず、いくつかの技術的な課題が残っている。具体的には、高い挿入力は、一般に、利用者及び/又は患者に重大な不便をもたらす。さらに、これまでのところ、廃棄率は一般に、物質に起因する安全性の問題に関連している。したがって、例えば、輸送及び取り扱い中並びに長期の保管期間に機械的応力によって引き起こされる材料の故障及び疲労を低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第1383560号明細書
【文献】国際公開第2009/001346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、カニューレカートリッジの上述した技術的課題に対処する方法及び装置を提供することが望ましい。具体的には、カニューレの取り扱い及び挿入の際に高度な安全性及び信頼性を提供すると同時に、コンパクトで使いやすい構造を可能にする方法及び装置を提案する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、カニューレを受け取るためのカニューレカートリッジ、カニューレカートリッジを含むキット、及び独立請求項の特徴を備えたカニューレカートリッジを製造する方法によって対処される。単独で、又は任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
以下で使用されるように、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」又はそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された機能に加えて、この文脈で説明されている実在物(entity)にそれ以上の機能が存在しない状況と、1つ又は複数の追加の機能が存在する状況の両方を指す場合がある。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」及び「AはBを含む」という表現はいずれも、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが排他的にBのみで構成される状況)と、Bに加えて、要素C、要素C及びD、さらに追加の要素など、1つ以上の要素が実在物Aに存在する状況とを指し得る。
【0010】
さらに、特徴又は要素が1回又は複数回存在し得ることを示す「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」という用語又は同様の表現は、通常、それぞれの特徴又は要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照するとき、それぞれの特徴又は要素が一回又は複数回存在する可能性があるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0011】
さらに、以下で使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「具体的には」、「とりわけ」、「具体的に」、「より具体的に」又は同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意選択的な機能と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される機能は任意選択的な機能であり、特許請求の範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施することがある。同様に、「本発明の実施形態において」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、及びそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意又は非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0012】
本発明の第1の態様では、カニューレを受け取るためのカニューレカートリッジが開示されている。本明細書で使用される「カニューレカートリッジ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されるものではないが、カニューレを収容するために構成された任意の保護装置を具体的に指すことがある。
【0013】
カニューレカートリッジは、
a)針ハブ及び針ハブに装着された針を有する針ユニットと、
b)カニューレ、具体的には、柔軟性カニューレと、
c)保護要素とを含む。
【0014】
本明細書で使用される「針」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、鋭利な先端を有する任意の細長い対象物を指すことがある。特に、針は、円形又は楕円形のプロファイルを有する細長い形状を有することがあり、針の長手方向の延長の長さは、プロファイルの直径を少なくとも10倍超える。例えば、プロファイルは針の長さにわたって変化することがある。針は、金属材料、例えば鋼などの少なくとも1つの固体及び/又は剛性材料であり得るか、又はそれらを含み得る。針は、具体的には2つの端部又は縁部を含むことがあり、一方の端部は針ハブに装着されることがあり、他方の端部は鋭利な先端を含み得る。具体的には鋭利な先端を有する針は、例えば、利用者の皮膚を突き刺す又は穿刺するように構成され得る。具体的には、鋭利な先端はわずかに面取りされていてもよく、特に、鋭利な先端は少なくとも1つの角度のある又は面取りされた側面を有し得る。
【0015】
本明細書で使用される「針ハブ」という用語は、限定されるものではないが、針に装着された、又は針に装着可能な任意の接続要素を具体的に指すことがある。針ハブは、針に力を加えるための手段であり得るか、又はそれを含み得る。針ハブは、少なくとも部分的に円筒形であり得る。具体的には、針ハブは、熱可塑性材料又は熱硬化性材料、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又はポリプロピレン(PP)などの少なくとも1つのプラスチック材料又はポリマーであり得るか、又はそれらを含み得る。具体的には、プロピレンは、具体的には紫外線(UV)放射又はUV光、例えば、10nm~100nmの範囲の波長を有する電磁放射に対して、例えば、少なくとも部分的に透過性であるために使用され得る。したがって、特に、針ハブの材料は、例えば、電磁放射、例えば、UV光が材料を通過することを可能にする。例えば、電磁放射の通過は、UV光が照射されたときに、例えばポリマーの架橋ネットワークを生成する接着剤などの、UV硬化接着剤の養生又は硬化に有益であり得る。
【0016】
本明細書で使用される「カニューレ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、液体を伝導するための任意の流体要素を指すことがあり、これは、中空管又は中空針であり得るか、又はそれらを含み得る。カニューレは、丸いプロファイルを含むことがあり、例えば、プロファイルは、O字の形状を有し得る。プロファイルの他の形状も実行可能である。例えば、プロファイルはカニューレの長さにわたって変化することがある。カニューレは2つの対向する端部を有し得る。カニューレは、カニューレの2つの対向する端部の間に流体接続を確立するように特に構成され得る。具体的には、カニューレの中空プロファイルは、針がカニューレ内又はカニューレを通じて正確にフィットし得るように、針のプロファイルを補完することがある。特に、カニューレを針上で滑らせることがある。
【0017】
針ユニットは、保護要素内で、少なくとも1つの第1の位置から少なくとも1つの第2の位置に、及びその逆に移動可能である。第1の位置では、針は保護要素によって覆われ、第2の位置では、針は保護要素から少なくとも部分的に延びる。
【0018】
本明細書で使用される「保護要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、保護空間を有し、保護空間内に保持された任意の要素を覆い又は遮蔽するように構成された任意の対象物を指し得る。具体的には、第1の位置では、針ユニットは、保護要素の保護された空間内に保持されることがあり、したがって、第1の位置では、針ユニットは、保護要素によって覆われ得る。保護要素は、具体的には、熱可塑性材料又は熱硬化性材料、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又はポリプロピレン(PP)などの少なくとも1つのプラスチック材料又はポリマーで製造され得るか、又はそれらを含み得る。特に、保護要素は、具体的には、摩擦係数μが0.005≦μ≦0.5、具体的には0.01≦μ≦0.45、より具体的には0.02≦μ≦0.3の材料で製造され得るか、又はそれらを含み得る。
【0019】
さらに、第1の位置では、保護要素の保持部材は、フォームフィット接続(form fit connection)によって針ハブの係合要素と係合する。本明細書で使用される「フォームフィット接続」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも部分的に一致する形状又は輪郭を介した少なくとも2つの対象物のアセンブリを指す場合がある。したがって、保持部材及び係合要素はそれぞれ、少なくとも1つの要素を含むことがあり、両方とも、フォームフィット接続によって係合するために本質的に相補的な形態又は形状を有し得る。一例として、保持部材は突起又は凸面を有し、係合要素はくぼみ又は凹面を有することがあり、したがって、保持部材と係合要素はフォームフィットによって接続し、突起とくぼみは係合し得る。
【0020】
針ユニットは、挿入器によって第1の位置から第2の位置に移動され、保持部材が針ハブの係合要素と再び係合する第1の位置に戻るように構成される。本明細書で使用される「挿入器」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つの対象物の移動を案内することによって、少なくとも1つの対象物を任意の要素に挿入するように構成された任意のシステムを指すことがある。特に、挿入器は、カニューレを利用者の体組織に挿入するように構成され得る。一例として、カニューレは、カニューレカートリッジの組み立て中に、針上を滑らせられることがあり、挿入器によって案内される針ユニットの移動を介して利用者の体組織に挿入され得る。
【0021】
針ハブの保持部材及び係合要素は、針の軸に平行な力を加えることによって保持部材の保持力に打ち勝つように構成される。
【0022】
さらに、保持部材は、ばね要素を含み得る。特に、ばね要素は、例えば、曲げられた後、開始位置又は初期位置に弾性的に戻るように構成され得る。ばね要素は、具体的には、係合要素の対応する特徴にパチンとはまるように構成された噛み合い要素を含み得る。具体的には、噛み合い要素は、係合要素とのフォームフィット接続を形成するように構成され得る。
【0023】
係合要素は、針ハブに少なくとも1つの溝又はくぼみを含み得る。特に、係合要素の少なくとも1つの溝は、例えば、円周方向の溝又は狭いチャネルであり得る。具体的には、針ハブの円周方向の溝又は狭いチャネル、例えば、全周のくぼみは、係合要素を、少なくとも2つの半分などの少なくとも2つの部分に分けることがある。具体的には、針ハブは、本質的に円筒形であることがあり、円周方向の溝は、針ハブを2つの半分に分け、具体的には、例えば、バーベル又は砂時計の形状を形成する。
【0024】
保持部材は、例えば、少なくとも1つのラッチを含み得る。特に、ラッチ、例えば突起は、係合要素の少なくとも1つのくぼみ又は溝など、係合要素の少なくとも1つの空洞と係合するように構成され得る。具体的には、ラッチは、少なくとも1つの空洞、例えば、係合要素の外面の少なくとも1つの溝、例えば、円周方向の溝と、少なくとも部分的に係合するように構成され得る。したがって、一例として、保持部材のラッチは、例えば、係合要素の円周方向の溝と少なくとも部分的に係合するように構成され得る。
【0025】
係合状態では、ラッチは、例えば、第1の位置から第2の位置を指す第1の方向と、第1の方向と反対の第2の方向の両方で、針ユニットの動きを遮断することがある。特に、係合状態では、ラッチは、針の軸に沿った針の動きを遮断することがある。具体的には、針の軸に沿った両方向の移動が遮断され得る。
【0026】
ラッチは、第1の方向の動きの遮断が、針ユニットに対する第1の付勢力によって克服され得るように構成され得る。ラッチは、第2の方向の動きの遮断が、針ユニットに対する第2の付勢力によって克服され得るようにさらに構成され得る。
【0027】
さらに、ラッチは、少なくとも1つのラッチアームを含み得る。ラッチアームは、具体的には、固定端部で保護要素の筐体に接続され得る。さらに、ラッチアームは、針ハブの係合要素と係合するように構成された少なくとも1つの自由端部をさらに有し得る。
【0028】
ラッチアームの自由端部は、例えば、針ハブの係合要素と係合するように構成された少なくとも2つの傾斜面を有する噛み合い要素を含み得る。具体的には、少なくとも2つの傾斜面は、異なる傾斜、具体的には傾斜の異なる絶対値を有し得る。一例として、少なくとも2つの傾斜面は、針ユニットが第1の位置から第2の位置に移動するとき、係合要素の少なくとも1つの縁部と相互作用する少なくとも1つの第1の傾斜面と、針ユニットが第2の位置から第1の位置に戻るとき、針ハブの少なくとも1つの近位縁部と相互作用する少なくとも1つの第2の傾斜面とを含み得る。
【0029】
ラッチアームの自由端部は、例えば、針ハブの係合要素と係合するように構成された噛み合い要素を含むことがあり、動要素及び針ハブの係合要素は、一緒に少なくとも2つの傾斜面を含む。少なくとも2つの傾斜面は、針ユニットが第1の位置から第2の位置に移動するとき、係合要素を噛み合い要素とスライド可能に係合する少なくとも1つの第1の傾斜面と、針ユニットが第2の位置から第1の位置に戻るとき、係合要素を噛み合い要素とスライド可能に係合する少なくとも1つの第2の傾斜面を含み、その結果、針ユニットを第1の位置から第2の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロック解除され、針ユニットを第2の位置から第1の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロックされる、保護要素とを備える。第1の傾斜面は、それぞれ、係合要素又は噛み合い要素の一部であり得る。同様に、第2の傾斜面は、それぞれ、係合要素又は噛み合い要素の一部であり得る。各傾斜面は、それぞれの他の要素のそれぞれの端部又は表面と相互作用して、フォームフィット接続を形成する。例えば、一実施形態では、噛み合い要素は少なくとも2つの傾斜面を含み、針ユニットが第1の位置から第2の位置に移動するとき、少なくとも1つの第1の傾斜面が係合要素の少なくとも1つの縁部と相互作用し、針ユニットが第2の位置から第1の位置に戻るとき、少なくとも1つの第2の傾斜面が針ハブの少なくとも1つの近位縁部と相互作用し、その結果、針ユニットを第1の位置から第2の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロック解除され、針ユニットを第2の位置から第1の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロックされる。
【0030】
さらに、噛み合い要素は、ラッチアームからの突起を含むことがあり、傾斜面は、例えば、突起の表面であることがあり、具体的に、針ハブの異なる端部と相互作用するように構成され得る。
【0031】
ラッチアームは、具体的には、針の軸に平行な方向に延びることがある。したがって、ラッチアームの長手方向側は、例えば、針の長手方向の延長方向に平行に、具体的には針の軸に平行に配置され得る。ラッチアームは、例えば、保護要素の筐体内のスロットに配置され得る。特に、ラッチアームは、筐体の近位端部にある筐体の縁部まで延びるスロットに配置され得る。
【0032】
特に、保持部材が針ハブの係合要素と係合されるとき、ラッチは弛緩状態にあり得る。したがって、係合状態において、保持部材が針ハブの係合要素と係合されるとき、ラッチは、具体的には曲げられていない状態にあり得る。一例として、弛緩状態、具体的には曲げられていない状態では、ラッチ内に変形による張力が発生しないことがある。したがって、弛緩状態では、ラッチの変形は起こらないことがある。特に、ラッチは、内部応力又はひずみがないことがある。
【0033】
保持要素の保持力は、例えば、ラッチの弾性及びラッチの少なくとも1つの角度によって定義され得る。特に、ラッチの形態又は形状、並びに材料特性は、保持要素の保持力を決定又は定義し得る。
【0034】
保護要素は、具体的にはモノリシック要素であり得る。特に、モノリシック要素は、例えば、射出成形された部品であり得る。具体的には射出成形される場合の保護要素は、少なくとも部分的に、例えばポリプロピレン又はABSなどの熱可塑性材料で作製されていてもよい。
【0035】
保護要素は、例えば、針の軸に平行に延びる少なくとも1つの長手方向スロットを含み得る。さらに、保護要素は、例えば、保護要素の筐体から延びる少なくとも1つの取り扱いタブを含み得る。具体的には、取り扱いタブは、具体的には利用者の指を使用して、利用者が保護要素を保持することがある表面を提供するように構成され得る。さらに、保護要素は、その先端部に、ポンプホルダ上のセンタリング要素を受け取るための少なくとも1つのレセプタクルを含み得る。
【0036】
保護要素は、その中に含まれる孔を備えた筐体を有し得る。特に、針ユニットは、針の軸に平行な方向に直線的にスライド可能な方式で孔内に受け取られ得る。孔は、具体的には円筒形の孔であり得る。
【0037】
第1の位置では、針ハブの近位縁部は、保護要素の上縁部と本質的に同一平面であり得る。具体的には、第1の位置では、針ハブの近位縁部、具体的には針ハブの上縁部は、保護要素の上縁部と同じ平面に配置され得る。第2の位置では、針ハブの下縁部は、保護要素の遠位縁部と本質的に同一平面であり得る。具体的には、第2の位置では、針ハブの下縁部、例えば、針ハブの遠位縁部は、保護要素の遠位縁部と同じ平面に配置され得る。
【0038】
具体的には、第2の位置では、針及びカニューレは、カニューレが、例えば、利用者又は患者の体組織などの隣接する要素又は対象物に少なくとも部分的に挿入され得るように、保護要素から突出又は延長し得る。したがって、第2の位置では、針ハブの下縁部と保護要素の遠位縁部との間に隙間が存在し得る。一例として、針ハブの下縁部は、例えば、隣接する要素又は対象物の表面、特に体組織の表面と本質的に同一平面であり得る。
【0039】
保護要素は、針ユニットが第2の位置から第1の位置への方向に保護要素を離れることを防止するための少なくとも1つの固定要素をさらに含み得る。特に、保護要素は、保護要素内の孔の近位縁部から突出する少なくとも1つの突起を含むことがあり、孔は針ユニットを受け取る。
【0040】
カニューレは、具体的に、針に受け取られた柔軟性管状カニューレを含み得る。具体的には、カニューレは、少なくとも1つの可撓性材料、例えば、可撓性ポリマー材料であり得るか、又はそれを含み得る。具体的には、特にカニューレを体組織に挿入するときに、柔軟性カニューレを安定させるために、柔軟性カニューレは受け取られ得るか、又は針上でスライドされ得る。カニューレは、柔軟性管状カニューレに装着された少なくとも1つのカニューレハブをさらに含み得る。
【0041】
本発明のさらなる態様において、キットが開示されている。キットは、
A)少なくとも1つのカニューレカートリッジと、
B)カニューレを体組織に挿入するための少なくとも1つの挿入器とを含む。
【0042】
具体的には、少なくとも1つのカニューレカートリッジは、特に、上に示されるような、又は以下にさらに説明されるようなカニューレカートリッジであり得る。したがって、可能な追加の定義及び実施形態については、上記の説明を参照することがある。
【0043】
挿入器は、
カニューレカートリッジを受け取るための少なくとも1つのレセプタクルを有する少なくとも1つの挿入器筐体と、
針ユニットを第1の位置から第2の位置に駆動し、第1の位置に戻すように構成された少なくとも1つの挿入アクチュエータと、を備える。
【0044】
挿入アクチュエータはばね駆動式であってもよい。したがって、挿入アクチュエータは、針ユニットを第1の位置から第2の位置に駆動し、第1の位置に戻すためのばね駆動機構に依存し得る。特に、挿入アクチュエータは、ばねによってトリガされ得る。
【0045】
さらに、挿入アクチュエータは、針ユニットを駆動する間、針ハブの係合要素と噛み合う少なくとも1つの駆動要素を備え得る。駆動要素は、具体的には、針ユニットを駆動している間、針ハブを少なくとも2つの側面から留めるフォーク(fork)を含み得る。
【0046】
特に、針ハブの係合要素は、円周方向の溝を含むことがあり、フォークは、円周方向の溝と噛み合う。具体的には、フォーク及び保持部材は、両側から針ハブの係合要素と相互作用することがある。
【0047】
しかしながら、追加的又は代替的に、針ハブの係合要素は、別個のくぼみ、例えば2つの対称的に配置されたくぼみなどの少なくとも2つのくぼみを含むことがあり、フォークは少なくとも2つのくぼみと噛み合い得る。したがって、例えば、針ハブの係合要素は、具体的には、少なくとも1つの円周方向の溝に追加的又は代替的に、複数のくぼみを含むことがあり、その形態は、一方側から少なくとも2つのくぼみを介して針ハブの係合要素と相互作用することがあり、保持部材は、例えば、針ハブの少なくとも1つのさらなるくぼみ又は溝を介して、反対側から針ハブの係合要素と相互作用することがある。
【0048】
挿入器は、少なくとも1つの作動要素、具体的にはトリガをさらに含むことがあり、作動要素は、カニューレの体組織への挿入を開始するために、利用者によって作動されるように構成される。
【0049】
キットは、
C)少なくとも1つのポンプホルダであって、
具体的には少なくとも1つの接着要素を有する、利用者の体表面に装着するための少なくとも1つの装着面と、
装着面に対向する少なくとも1つの取付面であって、取付面は、挿入器又は投薬ポンプ、具体的にはインスリンポンプのいずれかをポンプホルダに取り付けるための少なくとも1つの取付要素を有する、少なくとも1つの取付面とを有する、少なくとも1つのポンプホルダをさらに含み得る。
【0050】
さらに、ポンプホルダは、両側に装着面と取付面を提供する基部を備え得る。特に、基部は、1つ又は複数の針又はカニューレ用の通路を提供するために、中に配置された少なくとも1つの開口部を有し得る。
【0051】
さらに、キットは、
D)ポンプホルダに取り付け可能な少なくとも1つの投薬ポンプを含み得、投薬ポンプと挿入器とは交換可能であり得る。
【0052】
本発明のさらなる態様において、カニューレカートリッジの製造方法が開示されている。特に、上記の又は以下にさらに記載されるカニューレカートリッジは、この方法によって製造される。方法は、以下に開示されるステップを含む。ステップは、具体的には、指定された順序で実行され得る。依然として、別の順序が可能である。本方法は、記載されていない追加のステップを含むことがある。さらに、1つ又は複数あるいはすべての方法ステップを繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップは、並行して及び/又は適時に重複して実行されることがある。
【0053】
本方法は、以下の、
i.針ユニットを提供するステップと、
ii.カニューレを提供するステップと、
iii.保護要素を提供するステップと、
iv.カニューレを針ユニットの針に取り付けるステップと、
v.カニューレが配置された針ユニットを、針ユニットの針が前方に挿入される方向に保護要素に挿入するステップと、を含む。
【0054】
本発明にかかる装置及び方法は、既知の方法及び装置に勝る多くの利点を提供することがある特に、開示されたカニューレカートリッジ及びキットは、装置の取り扱い及び使用の安全性をさらに改善することがある。具体的には、開示された装置の取り扱い及び使用の安全性に対する製造公差及び温度効果の影響は、既知の方法及び装置と比較して低減され得る。したがって、特に、材料に関連する安全性の問題による廃棄率が最小限に抑えられ、製造歩留まりが向上することがある。例えば、提案された装置及び方法では、輸送及び取り扱い中並びに長期の保管期間に機械的応力によって引き起こされる材料の故障及び疲労は、既知の方法及び装置と比較して大幅に低減され得る。
【0055】
さらに、本発明で提案される装置及び方法は、提案される装置の製造プロセスを改善することがある。特に、提案された装置の製造は、当技術分野で知られている方法及び装置と比較して廃棄率が低下するため、より経済的であることがある。さらに、廃棄率の低下は、資源のより効率的な使用にもつながることがある。したがって、本発明による装置及び方法は、既知の方法及び装置よりも高度の環境適合性をさらに示し得る。
【0056】
さらに、装置及び方法の信頼性が向上することがある。したがって、一例として、係合要素及び保持部材の使用は、針ユニットを所定の位置に保持するためのプレスフィット接続又は締まりばめ接続などのプレス嵌め接続を置き換えるために使用され得る。プレスフィット接続又は締まりばめ接続は、製造公差の問題が発生する傾向があるため、信頼性の問題が発生することがある。上記のように、係合要素及び保持部材を使用することにより、これらの問題を回避することができ、挿入プロセスの精度及び再現性を改善することがある。
【0057】
さらに、提案された方法及び装置は、カニューレを利用者の体組織に挿入するときに、既知の方法及び装置と比較して、利用者又は患者の不便を大幅に軽減することがある。特に、本明細書に開示されるカニューレカートリッジ及びキットは、例えば、当技術分野で知られている装置よりも低い挿入力でカニューレの挿入を可能にし得る。
【0058】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0059】
実施形態1:カニューレを受け取るためのカニューレカートリッジであって、
a)針ハブ及び針ハブに装着された針を有する針ユニットと、
b)カニューレ、具体的には、柔軟性カニューレと、
c)保護要素とを含み、
針ユニットは、保護要素内で、少なくとも1つの第1の位置から少なくとも1つの第2の位置に、及びその逆に移動可能であり、
第1の位置では、針は保護要素によって覆われており、
第2の位置では、針は、保護要素から少なくとも部分的に延び、
第1の位置では、保護要素の保持部材は、フォームフィット接続によって針ハブの係合要素と係合し、
針ユニットは、挿入器によって第1の位置から第2の位置に移動され、保持部材が針ハブの係合要素と再び係合する第1の位置に戻るように構成され、
針ハブの保持部材及び係合要素は、針の軸に平行な力を加えることによって保持部材の保持力に打ち勝つように構成される、カニューレカートリッジ。
【0060】
実施形態2:保持部材がばね要素を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0061】
実施形態3:ばね要素が、係合要素の対応する特徴にパチンとはまるように構成された噛み合い要素を含む、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0062】
実施形態4:係合要素が針ハブ内に円周方向の溝を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0063】
実施形態5:針ハブが本質的に円筒形であり、円周方向の溝が針ハブを2つの半分に分け、具体的にはバーベルの形状を形成する、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0064】
実施形態6:保持部材が少なくとも1つのラッチを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0065】
実施形態7:ラッチが、係合要素の少なくとも1つの表面内の少なくとも1つの空洞と係合するように構成される、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0066】
実施形態8:空洞が係合要素の表面に少なくとも1つの円周方向の溝を形成する、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0067】
実施形態9:係合状態では、ラッチは、第1の位置から第2の位置を指す第1の方向と、第1の方向と反対の第2の方向の両方で、針ユニットの動きを遮断する、3つの先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0068】
実施形態10:第1の方向の動きの遮断が針ユニットへの第1の付勢力によって克服されるようにラッチが構成され、第2の方向の動きの遮断が針ユニットへの第2の付勢力によって克服される、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0069】
実施形態11:ラッチは、少なくとも1つのラッチアームを含み、ラッチアームは、固定端部で保護要素の筐体に接続され、ラッチアームは、針ハブの係合要素と係合するように構成された少なくとも1つの自由端部をさらに有する、5つの先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0070】
実施形態12:自由端部は、例えば、針ハブの係合要素と係合するように構成された少なくとも2つの傾斜面を有する噛み合い要素を含む、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0071】
実施形態13:少なくとも2つの傾斜面が異なる傾斜、具体的には傾斜の異なる絶対値を有する、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0072】
実施形態14:少なくとも2つの傾斜面は、針ユニットが第1の位置から第2の位置に移動するとき、係合要素の少なくとも1つの縁部と相互作用する少なくとも1つの第1の傾斜面と、針ユニットが第2の位置から第1の位置に戻るとき、針ハブの少なくとも1つの近位縁部と相互作用する少なくとも1つの第2の傾斜面とを含む、2つの先行する実施形態のうちの任意の1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0073】
実施形態15:噛み合い要素がラッチアームからの突起を含み、傾斜面が突起の表面であり、傾斜面が針ハブの異なる端部と相互作用するように構成される、3つの先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0074】
実施形態16:ラッチアームが針の軸に平行な方向に延びる、5つの先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0075】
実施形態17:ラッチアームが保護要素の筐体内のスロットに配置され、スロットが筐体の近位端部で筐体の縁部まで延びる、6つの先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0076】
実施形態18:保持部材が針ハブの係合要素と係合されるとき、ラッチが弛緩状態、具体的には曲げられていない状態にある、先行する11個の実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0077】
実施形態19:保持要素の保持力が、ラッチの弾性及びラッチの少なくとも1つの角度によって定義される、先行する12個の実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0078】
実施形態20:保護要素がモノリシック要素である、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0079】
実施形態21:モノリシック要素が射出成形された部品である、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0080】
実施形態22:保護要素が少なくとも部分的にポリプロピレンでできている、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0081】
実施形態23:保護要素が、針の軸に平行に延びる少なくとも1つの長手方向スロットを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0082】
実施形態24:保護要素が、保護要素の筐体から延びる少なくとも1つの取り扱いタブを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0083】
実施形態25:保護要素が、その先端部に、ポンプホルダ上のセンタリング要素を受け取るための少なくとも1つのレセプタクルを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0084】
実施形態26:保護要素は、その中に含まれる孔を備えた筐体を有し、針ユニットは、針の軸に平行な方向に直線的にスライド可能な方式で孔内に受け取られる、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0085】
実施形態27:孔が円筒形孔である、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0086】
実施形態28:第1の位置では、針ハブの近位縁部が保護要素の上縁部と本質的に同一平面であり、第2の位置では、針ハブの下縁部は、保護要素の遠位縁部と本質的に同一平面である、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0087】
実施形態29:保護要素は、針ユニットが第2の位置から第1の位置の方向に保護要素から離れることを防止するための少なくとも1つの固定要素を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0088】
実施形態30:保護要素は、保護要素内の孔の近位縁部から突出する少なくとも1つの突起を含み、孔は針ユニットを受け取る、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0089】
実施形態31:カニューレが針上に受け取られた柔軟性管状カニューレを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジ。
【0090】
実施形態32:カニューレが、柔軟性管状カニューレに装着された少なくとも1つのカニューレハブをさらに含む、先行する実施形態に記載のカニューレカートリッジ。
【0091】
実施形態33:カニューレ(114)を受け取るためのカニューレカートリッジ(112)であって、
a)針ハブ(128)及び針ハブ(128)に装着された針(130)を有する針ユニット(126)と、
b)カニューレ(114)と、
c)保護要素(132)と、を備え
針ユニット(126)は、保護要素(132)内で、針の長手方向軸に平行な方向に、少なくとも1つの第1の位置から少なくとも1つの第2の位置に、及びその逆に移動可能であり、
第1の位置では、針(130)は保護要素(132)によって覆われており、
第2の位置では、針(130)は、保護要素(132)から少なくとも部分的に延び、
第1の位置では、保護要素(132)の保持部材(134)は、フォームフィット接続によって針ハブ(128)の係合要素(136)と係合し、
針ユニット(126)は、挿入器(116)によって第1の位置から第2の位置に移動され、保持部材(134)が針ハブ(128)の係合要素(136)と再び係合する第1の位置に戻るように構成され、
保持部材(134)は、少なくとも1つのラッチ(158)を含み、
ラッチ(158)は、少なくとも1つのラッチアーム(160)を含み、ラッチアーム(160)は、固定端部(164)で保護要素(132)の筐体(162)に接続され、ラッチアーム(160)は、針ハブ(128)の係合要素(136)と係合するように構成された少なくとも1つの自由端部(166)をさらに有し、
自由端部(166)は、針ハブ(128)の係合要素(136)と係合するように構成された噛み合い要素(168)を含み、
噛み合い要素(168)及び針ハブ(128)の係合要素は、一緒に少なくとも2つの傾斜面(170、172)を含み、少なくとも2つの傾斜面(170、172)は、針ユニット(126)が第1の位置から第2の位置に移動するとき、係合要素(136)を噛み合い要素(168)とスライド可能に係合する少なくとも1つの第1の傾斜面(170)と、針ユニット(126)が第2の位置から第1の位置に戻るとき、係合要素(136)を噛み合い要素(168)とスライド可能に係合する少なくとも1つの第2の傾斜面(172)とを含み、その結果、針ユニット(126)を第1の位置から第2の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロック解除され、針ユニット(126)を第2の位置から第1の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロックされる、カニューレカートリッジ(112)。
【0092】
実施形態34:噛み合い要素(168)は少なくとも2つの傾斜面(170、172)を含み、針ユニット(126)が第1の位置から第2の位置に移動するとき、少なくとも1つの第1の傾斜面(170)が係合要素(136)の少なくとも1つの縁部(174)と相互作用し、針ユニット(126)が第2の位置から第1の位置に戻るとき、少なくとも1つの第2の傾斜面(172)が針ハブの少なくとも1つの近位縁部(176)と相互作用し、その結果、針ユニット(126)を第1の位置から第2の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロック解除され、針ユニット(126)を第2の位置から第1の位置に移動することによって、フォームフィット接続がロックされる、実施形態33に記載のカニューレカートリッジ(112)。
【0093】
実施形態35:キットであって、
A)先行する実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも1つのカニューレカートリッジと、
B)カニューレを体組織に挿入するための少なくとも1つの挿入器であって、挿入器が、
カニューレカートリッジを受け取るための少なくとも1つのレセプタクルを有する少なくとも1つの挿入器筐体と、
針ユニットを第1の位置から第2の位置に駆動し、第1の位置に戻すように構成された少なくとも1つの挿入アクチュエータと、を備える。
【0094】
実施形態36:挿入アクチュエータがばね駆動である、先行する実施形態に記載のキット。
【0095】
実施形態37:挿入アクチュエータが、針ユニットを駆動する間、針ハブの係合要素と噛み合う少なくとも1つの駆動要素を含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のキット。
【0096】
実施形態38:駆動要素が、針ユニットを駆動している間、針ハブを少なくとも2つの側面から留めるフォークを含む、先行する実施形態に記載のキット。
【0097】
実施形態39:針ハブの係合要素が円周方向の溝を含み、フォークが円周方向の溝と噛み合う、先行する実施形態に記載のキット。
【0098】
実施形態40:フォーク及び保持部材は、両側から針ハブの係合要素と相互作用することがある、先行する実施形態に記載のキット。
【0099】
実施形態41:挿入器は、少なくとも1つの作動要素、具体的にはトリガをさらに含み、作動要素は、カニューレの体組織への挿入を開始するために、利用者によって作動されるように構成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のキット。
【0100】
実施形態42:キットが、
C)少なくとも1つのポンプホルダであって、
具体的には少なくとも1つの接着要素を有する、利用者の体表面に装着するための少なくとも1つの装着面と、
装着面に対向する少なくとも1つの取付面であって、取付面は、挿入器又は投薬ポンプ、具体的にはインスリンポンプのいずれかをポンプホルダに取り付けるための少なくとも1つの取付要素を有する、少なくとも1つの取付面とを有する、少なくとも1つのポンプホルダをさらに含み得る。
【0101】
実施形態43:ポンプホルダが、両側に装着面及び取付面を提供する基部を含み、基部は、1つ又は複数の針又はカニューレ用の通路を提供するために、中に配置された少なくとも1つの開口部を有する、先行する実施形態に記載のキット。
【0102】
実施形態44:キットは、
D)ポンプホルダに取り付け可能な少なくとも1つの投薬ポンプであって、投薬ポンプと挿入器とは交換可能である、少なくとも1つの投薬ポンプをさらに含む、2つの先行する実施形態のいずれか1つに記載のキット。
【0103】
実施形態45:カニューレカートリッジを参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載のカニューレカートリッジを製造する方法であって、方法が、
i.針ユニットを提供するステップと、
ii.カニューレを提供するステップと、
iii.保護要素を提供するステップと、
iv.カニューレを針ユニットの針に取り付けるステップと、
v.カニューレが配置された針ユニットを、針ユニットの針が前方に挿入される方向に保護要素に挿入するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0104】
さらなる任意の特徴及び実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意選択的な特徴は、当業者が理解するように、孤立した方法で、並びに任意の実行可能な組み合わせで実現することがある。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照番号は、同一又は機能的に比較可能な要素を指す。
【0105】
図1】カニューレカートリッジの実施形態を含むキットの実施形態の斜視図を示す。
図2】カニューレカートリッジの実施形態を斜視図で示す。
図3A】針ユニット及びカニューレが第1の位置にあるカニューレカートリッジの実施形態の断面図を示す。
図3B】針ユニット及びカニューレが第2の位置にあるカニューレカートリッジの実施形態の断面図を示す。
図4】カニューレカートリッジの一実施形態の詳細を示す。
図5】カニューレカートリッジを製造する方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1は、カニューレ114を受け取るための少なくとも1つのカニューレカートリッジ112を含むキット110の実施形態の斜視図を示す。キット110は、カニューレ114を体組織118に挿入するための少なくとも1つの挿入器116をさらに含む。挿入器116は、カニューレカートリッジ112を受け取るための少なくとも1つのレセプタクル122及び少なくとも1つの挿入アクチュエータ124を有する少なくとも1つの挿入器筐体120を備える。
【0107】
図2は、カニューレ114と、針ハブ128及び針ハブ128に装着された針130を有する針ユニット126とを含むカニューレカートリッジ112の実施形態を示す。特に、カニューレ114、例えば、柔軟性カニューレ114は、針ユニット126の針130に取り付けられ得る。具体的には、カニューレ114を針130上にスライドさせることがある。カニューレカートリッジ112は、保護要素132をさらに備える。
【0108】
特に、針ユニット126は、保護要素内で、例えば図3Aに示されるような少なくとも1つの第1の位置から、例えば図3Bに示されるような少なくとも1つの第2の位置に、又はその逆に移動可能である。図3Aに示されるように、第1の位置では、針130は保護要素132によって覆われている。図3Bに示されるように、第2の位置では、針130は、保護要素132から少なくとも部分的に延びる。第1の位置では、保護要素132の保持部材134は、フォームフィット接続によって針ハブ128の係合要素136と係合する。
【0109】
針ユニット126は、挿入器116によって第1の位置から第2の位置に移動され、保持部材134が針ハブ128の係合要素136と再び係合する第1の位置に戻るように構成される。さらに、針ハブ128の保持部材134及び係合要素136は、針130の軸138に平行な力を加えることによって保持部材134の保持力に打ち勝つように構成される。
【0110】
特に、図1に示すような挿入アクチュエータ124は、針ユニット126を第1の位置から第2の位置に駆動し、第1の位置に戻すように構成される。挿入アクチュエータ124は、例えば、ばね駆動されることがあり、例えば、針ユニット128を駆動する間、針ハブ128の係合要素136と噛み合う少なくとも1つの駆動要素140を含み得る。具体的には、図3A及び3Bに示されるように、駆動要素140は、針ユニット126を駆動する間、針ハブ128を少なくとも2つの側面から留めるフォーク142を備え得る。特に、針ハブ128は、少なくとも1つの円周方向の溝144を含むことがあり、フォーク142は、円周方向の溝144と噛み合い得る。図に示されるように、フォーク142及び保持部材134は、両側から針ハブ128の係合要素136と相互作用することがある。
【0111】
特に、図3Bは、針ユニット126及びカニューレ114が第2の位置にあるカニューレカートリッジ112の任意の実施形態を具体的に示し得る。具体的には、第2の位置での針ユニット126及びカニューレ114の位置は、図示の配置とは異なることがある。例えば、針ユニット126及びカニューレ114は、第2の位置において、針ハブ128の下縁部が保護要素132の遠位縁部又は体組織118の表面のいずれかと本質的に同一平面になり得るように配置され得る。しかしながら、他の配置も可能である。具体的には、第2の位置では、針130及びカニューレ114は、カニューレ114が少なくとも部分的に体組織118に挿入され得るように、保護要素132から突出又は延長し得る。したがって、例として、第2の位置では、針ハブ128の下縁部と保護要素132の遠位縁部との間に隙間が存在し得る。
【0112】
図1に示されるように、挿入器116は、少なくとも1つの作動要素146、具体的にはトリガ148をさらに含み得る。作動要素146は、例えば、カニューレ114の体組織118への挿入を開始するために作動されるように構成され得る。具体的には、作動要素146は、利用者によって活性化されるように構成され得る。あるいは、しかしながら、作動要素146は、例えば、挿入器を体組織118の上部に配置するときに発生する力などのプレス力によって活性化されるように構成され得る。したがって、一例として、挿入器116が体組織118に対して配置されている場合、プレス力は作動要素146を作動させることがある。図1にさらに示されるように、キット110は、少なくとも1つのポンプホルダ150を含み得る。特に、ポンプホルダ150は、利用者の体組織118の表面など、利用者の体表面に装着するための少なくとも1つの装着面152を備え得る。装着面152は、例えば、少なくとも1つの接着剤要素を有し得る。ポンプホルダ150は、装着面152に対向する少なくとも1つの取付面154をさらに備え得る。具体的には、取付面154は、挿入器116又は投薬ポンプ(図示せず)、具体的にはインスリンポンプのいずれかをポンプホルダ150に取り付けるための少なくとも1つの取付要素156を有し得る。
【0113】
図4は、カニューレカートリッジの実施形態の詳細の実施形態、具体的には、図2に示されるようなカニューレカートリッジの実施形態の詳細を示す。図示のように、針ハブ128は円筒形を有することがあり、一例として、針ハブ128の係合要素136、具体的には係合要素136の円周方向の溝144は、針ハブ128を2つの半分に分けることがある。したがって、係合要素136の円周方向の溝144は、例えば、針ハブ128をバーベルの形状に形成することがある。図4では、針ユニット126が第1の位置に示され、したがって、図2の針ハブ128の係合要素136は、フォームフィット接続によって保護要素132の保持部材134と係合される。図示のように、保持部材134は、少なくとも1つのラッチ158を備えることがあり、ラッチ158は、円周方向の溝144など、係合要素136の少なくとも1つの表面内の少なくとも1つの空洞と係合するように構成され得る。特に、ラッチ158は、例えば、針130の軸138に平行な方向に延びる、少なくとも1つのラッチアーム160を備え得る。ラッチアーム160は、具体的には、固定端部164で保護要素132の筐体162に接続され得る。さらに、ラッチアーム160は、針ハブ128の係合要素136と係合するように構成された少なくとも1つの自由端部166を有し得る。一例として、自由端部166は、係合要素136と係合するために、少なくとも第1の傾斜面170及び第2の傾斜面172を有する噛み合い要素168を含み得る。少なくとも2つの傾斜面170、172は、具体的には、異なる傾斜、特に傾斜の異なる絶対値を有し得る。例えば、第1の傾斜面170は、針ユニット126が第1の位置から第2の位置に移動するときに、係合要素136の少なくとも1つの端部174と相互作用することがある。他方、第2の傾斜面172は、針ユニット126が第2の位置から第1の位置に戻るときに、針ハブ126の少なくとも1つの近位縁部176と相互作用することがある。さらに、第2の傾斜面172は、具体的には一例として、針ユニット126が保護要素132から離れないようにするために、係合要素136の少なくとも1つの下端部175とさらに相互作用することがある。特に、ラッチアーム160は、保護要素132の筐体162内のスロットに配置されることがあり、スロットは、筐体162の近位端部180において、筐体162の縁部178まで延びることがある。ラッチアーム160は、保持部材134が針ハブ128の係合要素136と係合されるとき、具体的には弛緩状態、例えば曲げられていない状態にあり得る。
【0114】
一例として、第1の位置において、ラッチ158は、針ハブ128、具体的には、カニューレ114がその上に取り付けられた針ユニット126を、具体的には、係合要素136と係合するためのその2つの傾斜面170、172を有する噛み合い要素168によって、所定の位置に保持し得る。ラッチ158自体は、具体的には第1の位置において、弛緩状態又は張力のない状態にあってもよい。したがって、応力及び/又はひずみによる材料の変形は、第1の位置のラッチ158で発生しないことがある。保持部材134、具体的には保持要素又はラッチ158の保持力は、ラッチ158の弾性及びラッチの少なくとも1つの角度によって、特に第1の傾斜面170及び/又は第2の傾斜面172によって、定義され得る。さらに、保持力は、ラッチ158及び針ハブ128の材料の組み合わせ、具体的には少なくとも1つの摩擦係数に依存し得る。針130の軸138に沿った第1の位置から第2の位置の方向への針ユニット126の移動又はシフトは、具体的には、保持力を圧倒することを必要とし得る。保持力が圧倒される場合、具体的には、針ユニット126が第1の位置から第2の位置に向かう方向にスライド可能であるように、ラッチ158は曲げられることがある。針ハブ128が例えばラッチ158を通過した後、ラッチ158は曲げられていない状態に戻ることがある。
【0115】
図5は、カニューレカートリッジ112を製造する方法の一実施形態のフローチャートを示す。本方法は、以下の、
i.(参照番号182で示される)針ユニット126を提供するステップと、
ii.(参照番号184で示される)カニューレ114を提供するステップと、
iii.(参照番号186で示される)保護要素132を提供するステップと、
iv.(参照番号188で示される)カニューレ114を針ユニット126の針130に取り付けるステップと、
v.(参照番号190で示される)針ユニット126の針130が前方に挿入されるような方向に、カニューレ114が上に配置された針ユニット126を保護要素132に挿入するステップと、を含む。
【符号の説明】
【0116】
110 キット
112 カニューレカートリッジ
114 カニューレ
116 挿入器
118 体組織
120 挿入器筐体
122 レセプタクル
124 挿入アクチュエータ
126 針ユニット
128 針ハブ
130 針
132 保護要素
134 保持部材
136 係合要素
138 軸
140 駆動要素
142 フォーク
144 円周方向の溝
146 作動要素
148 トリガ
150 ポンプホルダ
152 装着面
154 取付面
156 取付要素
158 ラッチ
160 ラッチアーム
162 筐体
164 固定端部
166 自由端部
168 噛み合い要素
170 第1の傾斜面
172 第2の傾斜面
174 縁部
175 下端部
176 近位縁部
178 縁部
180 近位端部
182 ステップi:針ユニットを提供するステップ
184 ステップii:カニューレを提供するステップ
186 ステップiii:保護要素を提供するステップ
188 ステップiv:カニューレを針ユニットの針に取り付けるステップ
190 ステップv:カニューレを上に配置した針ユニットを、針ユニットの針が前方に挿入される方向に保護要素内に挿入するステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5