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  • 特許-誘電加熱を利用したヘアスタイリング 図1
  • 特許-誘電加熱を利用したヘアスタイリング 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】誘電加熱を利用したヘアスタイリング
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/04 20060101AFI20220502BHJP
   A45D 1/00 20060101ALI20220502BHJP
   H05B 6/80 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A45D1/04 C
A45D1/00 502Z
H05B6/80 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021520378
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019077840
(87)【国際公開番号】W WO2020083698
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】18202589.0
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ブルキン ヤニック パルリアン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルギース バブ
(72)【発明者】
【氏名】バラゴナ マルコ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特公昭56-028526(JP,B2)
【文献】特表2013-527786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0056960(US,A1)
【文献】米国特許第05325600(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00- 1/28
H05B 6/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアスタイリング装置であって、
無線周波信号を電極間の毛髪に適用する電極を有し、
前記無線周波数信号の周波数が50MHz以上90MHz以下である、ヘアスタイリング装置。
【請求項2】
前記無線周波数信号の電圧が30Vを超えない、請求項1に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項3】
前記ヘアスタイリング装置が更に、150℃を超えない第1の温度まで毛髪を加熱する、前記電極とは異なる熱源を有し、
前記無線周波数の信号の電圧は、10Vを超えない、請求項2に記載のヘアスタイリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電加熱を利用したヘアスタイリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
US2017/0360174号は、誘電加熱を用いて毛髪の形状を操作する装置を開示する。典型的には、この装置は、互いに向かって移動可能であり、かつ互いに離れて移動可能な第1及び第2のアームにそれぞれ設けられた対向する第1及び第2の電極を含む。駆動回路は、第1電極及び第2の電極に電気エネルギーを供給して、使用中の電極の近傍に交流電場を発生させ、これにより使用中の電極間に配置された毛髪の誘電加熱を引き起こす。センシング回路は、毛髪の加熱中に交流電場から毛髪へのエネルギーの結合の変化を感知する。制御回路は、感知された結合の変化に基づき、第1及び第2の電極に供給される電気エネルギーを変化させるように駆動回路を制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
周波数の範囲は好ましくは、約1MHzから約100MHzである。より好ましくは、周波数の範囲は、約10MHzから約100MHzである。更に好ましくは、周波数の範囲は、約20MHzから約40MHzであり、これらの周波数は、消費者製品によく適している。なぜなら、それらは、(マイクロ波とは異なり)限られた波の伝搬を持ち、及び従って、健康へのリスク又は望ましくないEMC(電磁両立性)効果をもたらさないからである。約50VのAC電圧が使用される。
【0004】
特に、本発明の目的は、誘電加熱を用いる改良されたヘアスタイリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、独立請求項により規定される。有利な実施形態は、従属請求項に規定される。
【0006】
本発明の実施形態は、US2017/0360174号では好まれる、40MHz以下の周波数範囲では、誘電正接及び発熱が含水率に大きく依存するという認識に基づかれる。従って、従来技術では好まれる、40MHz以下の周波数では、毛髪の水分量に基づき、パワーレベルが適合される必要がある。更に、スタイリング処理中に水分量が大きく変化するので、加熱制御は、好ましくない過加熱効果及びトリートメント不足による効果不良が発生することを防ぐよう、最適な加熱効果を得るために水分量をリアルタイムで正確に監視する必要がある。その意味では、水分量への依存度が低く、トリートメントパラメータのクリティカルなセンシング及び制御を必要としない方法が望ましい。本発明の一側面によれば、これは、50MHzから90MHzまでの範囲の周波数を使用することにより達成され得、これは、トリートメントを水分量にあまり依存しないようにし、同時に、乾燥した毛のための約1MHzとほぼ同じ有効性を提供するであろう。好ましくは、無線周波数信号の電圧は30Vを超えない。10Vを超えない電圧であっても、150℃を超えない(従って、毛髪キューティクルの損傷が発生する臨界温度よりも低い)第1の温度まで毛髪を加熱するための別の熱源と、第1の温度を超え、ヘアスタイリングのために十分に高い第2の温度まで、別の熱源からの熱と組み合わせて毛髪皮質を選択的に加熱するための無線周波数電極とを適用する構成においてよく機能する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】誘電正接対周波数のグラフを示す図である。
図2】本発明によるヘアスタイリング装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明される。
【0009】
図1は、湿潤毛W及び乾燥毛Dに関する、誘電正接対周波数のグラフをそれぞれ示す。グラフは、40MHz以下の周波数では、濡れた毛髪Wと乾いた毛髪Wとの間の誘電正接の差が比較的大きいことを示し、一方、50MHz以上の高い周波数では、その差ははるかに小さく、その結果、斯かる高い周波数では、毛髪をスタイリングしながら毛髪の水分量を正確かつ常に測定する必要がないことを示す。グラフは、90MHz以上の周波数でも同様の利点があることを示すが、90MHzを超える周波数ではRF加熱の有効性が低くなる。
【0010】
図2は、本発明によるヘアスタイリング装置100の実施形態を示し、出願WO2017/080957号(整理番号2015PF01581)と同様であるが、図2の実施形態では、光の代わりに高周波(RF)加熱が使用されるという違いがある。ヘアスタイリング装置100は、毛髪のストランドを挟むようにヒンジされた2つの爪101を有する。各爪101は、RF電極又は大面積電極102のアレイを有し、これは、スタイリングに必要な約170℃の温度へと毛髪皮質を選択的に加熱する。この温度は、それぞれ250℃及び1200℃で予想される溶融及び気化のような他の望ましくない加熱効果を防止するために制御されることができる。
【0011】
各爪101は、オプションで別の熱源103を有し、これは、毛髪の誘電特性を高めるために、150°以下、好ましくは140°以下、例えば120°以下の第1の温度へと毛髪を直接又は間接的に予備加熱してもよい。他の熱源103及びRF電極102からの複合加熱効果が、スタイリングに必要な約170℃の温度をもたらす。
【0012】
追加の毛髪導電性感知コントロール104は、毛髪の誘電特性を測定し、パワーを調整することによりトリートメントを最適化するために使用されることができる。追加の熱制御システム105は、温度設定及びトリートメント時間を調節するために使用されることができる。縮毛矯正/毛髪スタイリングをするには、毛髪のストランドがプレート間に挟まれ、毛髪がスタイリングされるまで移動される。
【0013】
接触抵抗性RF加熱は、後者の1つに必要な高電圧及び電力又は長いカット時間のため、消費者提案に関する非接触容量性RF加熱よりも好まれる。図2の実施形態では、10V以下の電圧が、50MHzから90MHzの間の範囲の高周波数での使用に適している。
【0014】
上記の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。例えば、図2に示される実施形態は縮毛矯正装置であるが、本発明は代替的に、毛髪をカールさせるために使用されることができる。請求項において、括弧の間に置かれた任意の参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という語は、請求項に記載される以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する単語「a」又は「an」は、斯かる要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアにより、及び/又は適切にプログラムされたプロセッサにより実現されることができる。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つの同じアイテムにより実現されることができる。相互に異なる従属請求項に記載される手段は、組み合わせて有利に使用されることができる。
図1
図2