(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】チューブ及びホースを持つ掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/24 20060101AFI20220502BHJP
F16L 25/14 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A47L9/24 C
A47L9/24 Z
F16L25/14
(21)【出願番号】P 2021523174
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2019082002
(87)【国際公開番号】W WO2020109118
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル クーイ ヨハネス ツァルト
(72)【発明者】
【氏名】エルジンガ マルク
(72)【発明者】
【氏名】クレイン ドゥープケ バスティアン コルネリス
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-192867(JP,A)
【文献】特開2014-018258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/24
F16L 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機であって、
第1の直径を持つチューブと、
前記第1の直径を少なくとも15%上回る第2の直径を持つホースと、
前記チューブに接続される第1の端部及び前記ホースに接続される第2の端部を持つ移行ピースとを有し、
前記移行ピースが、非円形の断面を持つ湾曲部を持ち、前記湾曲部は、前記第1の端部から前記第2の端部に向かう方向において
前記断面の断面積が増大するように、前記断面の第1の次元が前記第1の直径を15%上回る直径に増加する第1の部分を持ち、前記第1の次元が、前記湾曲部の半径方向にあり、前記第1の次元に直交する前記断面の第2の次元は、前記第1の直径を10%以上超えない、掃除機。
【請求項2】
前記移行ピースが、前記第1の部分と前記第2の端部との間に第2
の部分を持ち、
前記第2の部分は、前記第2の部分が前記第1の部分と出会うところで非円形の断面を持ち、
前記第2の部分が、前記第2の部分が前記第2の端部と出会うところで、円形の断面を持つ、請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記第1の部分では、前記第1の端部から前記第2の端部に向かう方向において、前記断面の第1の次元が前記第2の直径を超える直径まで増加し、前記第2の次元は前記第2の直径の下にとどまる、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記第2の直径が、前記第1の直径を少なくとも25%上回る、請求項1
から3のいずれかに記載の掃除機。
【請求項5】
前記第2の直径が、前記第1の直径を少なくとも35%上回る、請求項4に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ及びホースを持つ掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の掃除機の要素は、2100Wの入力電力で掃除機を駆動できるように開発されている。膨大な量の(エア)パワーがあるため、空気の流れに対する低抵抗に焦点を当てた要素を開発する必要はなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、掃除機は300Wまでの低入力電力で動作するように再開発されている。これは元の入力電力レベルの約1/7である。これは、全ての要素が、ノズルで可能な限り高い吸引力を得ることを可能にするようできるだけ低い抵抗及び気流の漏れを持つよう最適化される必要があることを意味する。
【0004】
US20170007085号は、掃除機装置を開示しており、そこでは、中空ワンドハンドルが、第1の外径を持つ第1の円周表面部分と、第1の外径よりも大きい第2の外径を持つ第2の円周表面部分とを含んでいる。
【0005】
本発明の目的は特に、改良された掃除機を提供することである。本発明は、独立請求項により規定される。有利な実施形態は、従属請求項に規定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、掃除機を提供し、これは、第1の直径を持つチューブと、上記第1の直径を少なくとも15%上回る第2の直径を持つホースと、チューブに接続されるように配置された第1の端部及びホースに接続されるように配置された第2の端部を持つ移行ピースとを有し、移行ピースが、非円形の断面を持つ湾曲部を備え、上記湾曲部は、上記第1の端部から上記第2の端部に向かう方向において、上記断面の第1の次元が、上記第1の直径を15%上回る直径まで増大する第1の部分を持ち、第1の次元は、湾曲部の半径方向にあり、一方、第1の次元に垂直な断面の第2の次元は、第1の直径を10%以上超えない。好ましくは、移行ピースは、第1の部分と第2の端部の間に第2の部分を持ち、第2の部分は、第2の部分が第1の部分と出会うところでは非円形の断面を持ち、第2の部分が第2の端部と出会うところでは円形の断面を持つ。有利には、第1の部分では、第1の端部から第2の端部への方向において、断面の第1の次元が第2の直径を超える直径まで増加し、一方第2の次元は、第2の直径以下に留まる。好ましくは、第2の直径は第1の直径を少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%上回る。
【0007】
本発明は、以下のような考察に基づかれる。現在の主要な高抵抗要素の一つは、掃除機のホースである。直径が小さく、リブ構造になっているため、ホースの抵抗は非常に大きく、現在の掃除機における損失の主な原因となっている。ホースの直径を5mm大きくすると、抵抗値は2分の1になる。
【0008】
斯かる大口径化のメリットを得るためには、好ましくは、ホースの直径自体が大きくなるだけでなく、直径の急激な変化により乱流が発生し、損失が生じるのを防ぐよう、上流側及び下流側のパーツ及び接続部が適合される必要がある。
【0009】
本発明の1つの実施形態は特に、チューブとホースとの間に位置する掃除機の上流部分である屈曲部の解決策に焦点を当てている。その際に問題となるのが、屈曲の開始ではそれは比較的小径のチューブを必要とし、屈曲の終了ではそれは径の大きなホースを必要とすることにある。そのため、屈曲部は、ディフューザー(直径が大きく、常に円形)として形状化される。しかしながら、屈曲部は、掃除機のハンドル/グリップとして使用されるため、湾曲した形状を持つ。問題となるのは、湾曲した形状と大きな直径とがコンフリクトすることである。主なコンフリクトは、直径の大きな屈曲部における気流により、追加の乱流が発生することである。屈曲部の直径が全方向において増加すると、乱流は上部及び下部コーナーにおいてだけでなく、コーナーの側面においても発生し、これはより大きな乱流をもたらす。乱流が増えると抵抗が大きくなり、損失が大きくなる。
【0010】
本発明の一実施形態は、楕円形の断面を用いて、第1の方向(曲線の半径方向)では直径が大きく、第1の方向に直交する第2の方向では(実質的に)直径が大きくならないような、流量効率の良い拡散屈曲部を設計する方法についての解決策を提供する。屈曲部の上部及び下部コーナーにおいて流れが分かれるので、そこの断面を大きくしても抵抗に悪影響を与えない。断面積を大きくすることは、空気が「コーナーを曲がる」ためのより大きなスペースを与えることになる。
そのため、流れはこの方向にある拡散管を「急な」コーナーではないと感じ、抵抗が少なくなる。(実質的に)サイドウェイ(半径方向に垂直な方向、曲線の半径方向で見られるときの屈曲部の幅)方向において屈曲部を大きくしないため、コーナーの側面で流れが分離することはない。これは、大口径に拡散させつつ、屈曲部の低い総抵抗をもたらすことになる。製造上の制約の結果として、第2の方向の次元が完全に一定でない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による移行ピースを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による移行ピースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明される。
【0013】
図1および
図2は、本発明の一実施形態による移行ピースを示しており、この移行ピースは、掃除機のチューブとホースとの間に配置される。
【0014】
図1は、移行ピースの2つの図を示す。左側の図は、次元R2が実質的に一定であることを示し、右側の図は、次元R1が、掃除機のチューブに接続される移行ピースの第1の端部から、掃除機のホースに接続される移行ピースの第2の端部に向かって増加することを示す。ここで、R1は移行ピースの湾曲部の半径方向にあり、R2はR1に直交する方向にある。
【0015】
図2は、直径約14mmのチューブと直径約20mmのホースとを使用した場合の、移行ピースのいくつかの場所におけるR1及びR2の値の例を示す。示される例では、曲線の途中でR1が増加しているのに対し、R2は約14mmで実質的に一定であることがわかる。R2が正確に一定でないのは、製造上の制約によるもので、製品を成形ツールから分離するためにはドラフト角度が必要であることによる。特に、
図2の例示的な値から、R1は、チューブ径値の約14mmからホース径の約20mmを超える23mmの値まで増加し、その後、移行ピースの最後の部分において、R1の値は23mmから20.2mmまで減少し、同時にR2の値は、14mmから20.2mmまで増加することがわかる。こうして、R1及びR2で規定される領域の表面はほぼ同じままであり、これにより、今日の限られた電力仕様の掃除機で埃を吸う能力を損なうような望ましくない乱流の可能性が減らされる。
【0016】
上記の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。非円形という概念は、楕円だけでなく卵型も含む。請求項において、括弧の間に置かれた任意の参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という語は、請求項に記載される以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する単語「a」又は「an」は、斯かる要素の複数の存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つの同じアイテムにより実現されることができる。相互に異なる従属請求項に記載される手段は、組み合わせて有利に使用されることができる。