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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】水栓装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220506BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
E03C1/042 E
E03C1/044
E03C1/042 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018118514
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218800
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 幸人
(72)【発明者】
【氏名】城戸 健司
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴文
(72)【発明者】
【氏名】金城 政信
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148138(JP,A)
【文献】特開2001-227013(JP,A)
【文献】特開平01-269778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0112287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00- 1/10
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、
上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、
上記水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材であって、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部と、この支柱部の側面に設けられた基端部から先端部の吐水口まで外側に延びるスパウト部と、を備えた上記外殻部材と、
この外殻部材の支柱部の軸方向端部からその内部の収納領域に挿入され、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えた水栓機能ユニットと、
上記支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入されると共に上記スパウト部の基端部に接続され、上記水栓機能ユニットの二次側流路と上記スパウト部内の二次側流路とを連通させる二次側アダプタ部材と、
上記支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入され、上記二次側アダプタ部材に対して上記支柱部の軸方向に垂直な方向に対向するスペーサ部材と、
上記外殻部材の支柱部の上方側に設けられ、上記水栓機能ユニットを上方から固定する固定部材と、を有し、
上記二次側アダプタ部材は、上記支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入可能な寸法又は形状に形成され、
上記水栓機能ユニットは、上記収納領域内において上記スペーサ部材により上記二次側アダプタ部材に向って押圧された状態で保持されていることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
さらに、上記スパウト部内に設けられて上記二次側アダプタ部材と上記吐水口との間のスパウト流路を形成するスパウト側流路形成部材を有し、このスパウト側流路形成部材は、軟質材料で形成されている請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
上記スパウト部及び上記スパウト側流路形成部材のそれぞれは、このスパウト側流路形成部材が上記スパウト部の先端部側から挿入可能に構成されている請求項2記載の水栓装置。
【請求項4】
上記スペーサ部材は、上記収納領域に挿入される側の端部において先細り形状に形成された傾斜部を備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項5】
上記水栓機能ユニットと上記二次側アダプタ部材との間には、単一の弾性シール部材が設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項6】
さらに、上記水栓機能ユニットの外側に設けられて上記二次側アダプタ部材及び上記スペーサ部材の下側から高さ位置を補正可能に支持する高さ補正部材を有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項7】
上記固定部材は、上記二次側アダプタ部材及び上記スペーサ部材のそれぞれが上記水栓機能ユニットに対して相対的に上方に移動することを規制する規制部を備えている請求項1乃至6の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項8】
上記水栓機能ユニットは概ね円柱状であり、この水栓機能ユニットの側面には、湯水を流出させる第1流出穴が形成され、
さらに、上記収納領域内の上記水栓機能ユニットの外側面と上記二次側アダプタ部材との間において上記水栓機能ユニットに対して周方向に回転可能に設けられた流路形成部材を有し、
上記二次側アダプタ部材は、上記流路形成部材と共に一体的に回転することにより、上記スパウト部を上記水栓機能ユニットに対して回転可能にするものであり、
上記流路形成部材は、上記水栓機能ユニットの外側面における上記第1流出穴の上方及び下方の領域に対して周方向に亘って水密に接続され、
上記流路形成部材は、上記第1流出穴と連通する内部流路を形成すると共に、この内部流路の湯水を流出させて上記二次側アダプタ部材を介して上記スパウト部内の二次側流路と連通する第2流出穴を形成する請求項1乃至7の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項9】
さらに、上記水栓機能ユニットと上記二次側アダプタ部材との間に設けられ、これらの周方向及び上下方向の位置決めを可能にする位置決め手段を有する請求項1乃至8の何れか1項に記載の水栓装置。
【請求項10】
給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置の製造方法であって、
上記水栓装置の設置面に固定される台座部材を準備する工程と、
上記水栓装置の種類に応じた形状に形成され、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部と、この支柱部の側面に設けられた基端部から先端部の吐水口まで外側に延びるスパウト部と、を備えた外殻部材を準備する工程と、
給水源から供給された湯と給水源から供給された水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えた水栓機能ユニットを準備する工程と、
上記外殻部材の支柱部の軸方向端部からその内部の収納領域に挿入可能な寸法又は形状に形成され、上記水栓機能ユニットの二次側流路と上記スパウト部内の二次側流路とを連通させる二次側アダプタ部材を準備する工程と、
上記外殻部材の支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入され、上記二次側アダプタ部材と上記支柱部の軸方向に対して垂直な方向に対向するスペーサ部材を準備する工程と、
上記外殻部材の支柱部の上方側に設けられ、上記水栓機能ユニットを上方から固定する固定部材を準備する工程と、を有し、
上記水栓装置の各部材及び上記水栓機能ユニットを準備する工程の後、上記二次側アダプタ部材は、上記外殻部材の支柱部の軸方向端部から上記収納領域内に挿入された後、上記スパウト部内の二次側流路に接続され、
つぎに、上記水栓機能ユニット及び上記スペーサ部材のそれぞれは、上記外殻部材の支柱部の軸方向端部から上記収納領域内に挿入され、
上記収納領域内において、上記水栓機能ユニットは、上記スペーサ部材により上記二次側アダプタ部材に向って押圧された状態で保持されることを特徴とする水栓装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置及びその製造方法に係り、特に、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材を備えているものが知られている。
また、この従来の水栓装置の外殻部材の内部には、別体のケーシング部材が挿入されている。このケーシング部材には、水栓機能ユニットが内蔵されており、この水栓機能ユニットは、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2586919号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の水栓装置においては、外殻部材の内部に挿入されているケーシング部材が樹脂材料で形成されているため、水栓装置の種類に応じた外殻部材の寸法や形状に応じて、射出成形用の型を用意する必要があり、製造コストがかかるという問題がある。
また、従来の水栓装置の樹脂製のケーシング部材については、金属製のものに比べて強度が低く、経年変化等による耐久性も低いという問題もある。これにより、長期的な安全性を確保するためには、点検や部品交換等のメンテナンスにおいてもコストがかかるという問題がある。
【0005】
一方、従来の水栓装置のケーシング部材について、仮に、樹脂材料とは異なる銅合金等の金属を用いて鋳造した場合には、銅合金から鉛成分が溶出することを規制する対策が必要となるという問題や、ケーシング部材のサイズ自体も大型化するという問題、或いは、銅価格の相場変動に影響を受け易いという問題もある。
また、常時湯水に晒される水栓装置の事情を考慮し、ケーシング部材として耐食性が高いステンレス材料を採用した場合には、ステンレス材料が高い加工精度で加工することが難しいという問題もある。
したがって、脱銅合金や脱鋳物を実現し、銅合金以外の素材を活用し、水栓装置の種類に応じて様々な仕様に対しても、いかに設計の自由度を高めながら、組み付け性を向上させて、製造コストを抑制するかが、近年要請された課題となっている。
【0006】
さらに、水栓装置の組み付け作業においては、混合した湯水を吐止水する機能を単独で行う水栓機能部やスパウト部について、仮に、外殻部材にそのまま挿入することができれば、組み付け作業が非常に容易となり、作業性も向上する。
しかしながら、水栓装置のスパウト部については、流路断面を含む横断面が外側に比較的大きく張り出している形状のものが多いため、外殻部材にそのまま挿入することが難しく、水栓装置の組立性の向上を妨げる一因にもなっているという問題がある。
また、水栓機能部分やスパウト部分について、互いに別体とした場合であっても、外殻部材を切断して分割したり、破壊したりせずに挿入することが難しく、水栓装置のデザイン性の向上を妨げる一因にもなっているという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請された課題を解決するためになされたものであり、水栓装置の組み立ての際に、外殻部材を切断して分割したり、破壊したりすることなく、水栓装置の組立性やデザイン性を向上させることができる水栓装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、上記水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材であって、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部と、この支柱部の側面に設けられた基端部から先端部の吐水口まで外側に延びるスパウト部と、を備えた上記外殻部材と、この外殻部材の支柱部の軸方向端部からその内部の収納領域に挿入され、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えた水栓機能ユニットと、上記支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入されると共に上記スパウト部の基端部に接続され、上記水栓機能ユニットの二次側流路と上記スパウト部内の二次側流路とを連通させる二次側アダプタ部材と、上記支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入され、上記二次側アダプタ部材に対して上記支柱部の軸方向に垂直な方向に対向するスペーサ部材と、上記外殻部材の支柱部の上方側に設けられ、上記水栓機能ユニットを上方から固定する固定部材と、を有し、上記二次側アダプタ部材は、上記支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入可能な寸法又は形状に形成され、上記水栓機能ユニットは、上記収納領域内において上記スペーサ部材により上記二次側アダプタ部材に向って押圧された状態で保持されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、二次側アダプタ部材が外殻部材の支柱部の軸方向端部から収納領域に挿入可能な寸法又は形状に形成されているため、二次側アダプタ部材を外殻部材の支柱部の軸方向端部から収納領域内に単純に挿入するだけで、外殻部材の支柱部内の収納領域に容易に収納して組み付けることができる。
その後、水栓機能ユニット及びスペーサ部材のそれぞれについても、外殻部材の支柱部の軸方向端部から収納領域内に単純に挿入するだけで、水栓機能ユニットについてスペーサ部材により二次側アダプタ部材に向って押圧した状態で保持することができるため、外殻部材の支柱部内の収納領域に容易に収納して組み付けることができる。
したがって、水栓装置の組み立ての際、外殻部材の支柱部を切断したり、破壊したりすることも回避することができるため、水栓装置の組立性やデザイン性を向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、上記スパウト部内に設けられて上記二次側アダプタ部材と上記吐水口との間のスパウト流路を形成するスパウト側流路形成部材を有し、このスパウト側流路形成部材は、軟質材料で形成されている。
このように構成された本発明においては、外殻部材のスパウト部内には、二次側アダプタ部材と吐水口との間のスパウト流路を形成するスパウト側流路形成部材が設けられており、このスパウト側流路形成部材が軟質材料で形成されている。これにより、スパウト側流路形成部材をスパウト部内に挿入して組み付ける際に、スパウト側流路形成部材が軟質材料の可撓性により適度に変形するため、スパウト側流路形成部材の挿入がし易くなる。よって、水栓装置の組立性を向上させることができる。
また、スパウト側流路形成部材を二次側アダプタ部材とは別部材にすることができ、スパウト側流路形成部材を二次側アダプタ部材とは異なる材料で形成することもできるため、水栓装置の設計の自由度を向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記スパウト部及び上記スパウト側流路形成部材のそれぞれは、このスパウト側流路形成部材が上記スパウト部の先端部側から挿入可能に構成されている。
このように構成された本発明においては、例えば、スパウト部の形状が基端部から先端部まで細長く延びた形状であっても、スパウト側流路形成部材をスパウト部の先端部側から挿入して簡単に組み付けることができる。
したがって、水栓装置の設計の自由度を向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記スペーサ部材は、上記収納領域に挿入される側の端部において先細り形状に形成された傾斜部を備えている。
このように構成された本発明においては、スペーサ部材の収納領域に挿入される側の端部における先細り形状に形成された傾斜部により、スペーサ部材を外殻部材の支柱部内の収納領域に挿入して組み付ける際に、スペーサ部材の挿入がし易くなる。
したがって、水栓装置の組立性を向上させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記水栓機能ユニットと上記二次側アダプタ部材との間には、単一の弾性シール部材が設けられている。
このように構成された本発明においては、水栓機能ユニットと二次側アダプタ部材との間に単一の弾性シール部材が設けられているため、この単一の弾性シール部材のみの弾性力によって、水栓機能ユニットと二次側アダプタ部材との間の水密性を確保することができる。
また、単一の弾性シール部材のみによって、二次側アダプタ部材やスペーサ部材の公差についても吸収させることもできるため、組立性を向上させることもできる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、上記水栓機能ユニットの外側に設けられて上記二次側アダプタ部材及び上記スペーサ部材の下側から高さ位置を補正可能に支持する高さ補正部材を有する。
このように構成された本発明においては、水栓機能ユニットの外側に設けられた高さ補正部材が二次側アダプタ部材及びスペーサ部材の下側から支持し、それぞれの高さ位置を補正することができる。
したがって、水栓装置の種類に応じて高さ補正部材を調整するだけで、二次側アダプタ部材及びスペーサ部材を水栓装置の種類に応じた様々な高さ位置に対応することができるため、水栓装置の設計の自由度を向上させることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記固定部材は、上記二次側アダプタ部材及び上記スペーサ部材のそれぞれが上記水栓機能ユニットに対して相対的に上方に移動することを規制する規制部を備えている。
このように構成された本発明においては、固定部材の規制部により、二次側アダプタ部材及びスペーサ部材のそれぞれが水栓機能ユニットに対して相対的に上方に移動することを確実に規制することができる。
したがって、二次側アダプタ部材及びスペーサ部材のそれぞれが外殻部材の上方から抜け出したり、水栓機能ユニットの一部と干渉したりすることを抑制することができるため、水栓装置の組立性を向上させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記水栓機能ユニットは概ね円柱状であり、この水栓機能ユニットの側面には、湯水を流出させる第1流出穴が形成され、さらに、上記収納領域内の上記水栓機能ユニットの外側面と上記二次側アダプタ部材との間において上記水栓機能ユニットに対して周方向に回転可能に設けられた流路形成部材を有し、上記二次側アダプタ部材は、上記流路形成部材と共に一体的に回転することにより、上記スパウト部を上記水栓機能ユニットに対して回転可能にするものであり、上記流路形成部材は、上記水栓機能ユニットの外側面における上記第1流出穴の上方及び下方の領域に対して周方向に亘って水密に接続され、上記流路形成部材は、上記第1流出穴と連通する内部流路を形成すると共に、この内部流路の湯水を流出させて上記二次側アダプタ部材を介して上記スパウト部内の二次側流路と連通する第2流出穴を形成する。
このように構成された本発明においては、外殻部材の支柱部の収納領域内の水栓機能ユニットの外側面と二次側アダプタ部材との間において、流路形成部材が概ね円柱状の水栓機能ユニットに対して周方向に回転可能に設けられていることにより、二次側アダプタ部材が流路形成部材と共に一体的に回転することができる。
また、スパウト部についても、二次側アダプタ部材及び流路形成部材と一体的に水栓機能ユニットに対して周方向に回転することができるため、水栓装置の設計の自由度を向上させることができ、水栓装置の使い勝手もよい。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、上記水栓機能ユニットと上記二次側アダプタ部材との間に設けられ、これらの周方向及び上下方向の位置決めを可能にする位置決め手段を有する。
このように構成された本発明においては、水栓機能ユニットと二次側アダプタ部材との間に設けられた位置決め手段により、これらの周方向及び上下方向の位置決めが可能となるため、外殻部材の支柱部内の水栓機能ユニットと二次側アダプタ部材との相対的な位置を固定することができる。
また、水栓機能ユニットと二次側アダプタ部材との相対的な位置が正確に決まることにより、水栓機能ユニットと二次側アダプタ部材と間の内部流路を精度よく設けることができるため、水栓装置の組立性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明は、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置の製造方法であって、上記水栓装置の設置面に固定される台座部材を準備する工程と、上記水栓装置の種類に応じた形状に形成され、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部と、この支柱部の側面に設けられた基端部から先端部の吐水口まで外側に延びるスパウト部と、を備えた外殻部材を準備する工程と、給水源から供給された湯と給水源から供給された水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えた水栓機能ユニットを準備する工程と、上記外殻部材の支柱部の軸方向端部からその内部の収納領域に挿入可能な寸法又は形状に形成され、上記水栓機能ユニットの二次側流路と上記スパウト部内の二次側流路とを連通させる二次側アダプタ部材を準備する工程と、上記外殻部材の支柱部の軸方向端部から上記収納領域に挿入され、上記二次側アダプタ部材と上記支柱部の軸方向に対して垂直な方向に対向するスペーサ部材を準備する工程と、上記外殻部材の支柱部の上方側に設けられ、上記水栓機能ユニットを上方から固定する固定部材を準備する工程と、を有し、上記水栓装置の各部材及び上記水栓機能ユニットを準備する工程の後、上記二次側アダプタ部材は、上記外殻部材の支柱部の軸方向端部から上記収納領域内に挿入された後、上記スパウト部内の二次側流路に接続され、つぎに、上記水栓機能ユニット及び上記スペーサ部材のそれぞれは、上記外殻部材の支柱部の軸方向端部から上記収納領域内に挿入され、上記収納領域内において、上記水栓機能ユニットは、上記スペーサ部材により上記二次側アダプタ部材に向って押圧された状態で保持されることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、二次側アダプタ部材が外殻部材の支柱部の軸方向端部から収納領域に挿入可能な寸法又は形状に形成されているため、二次側アダプタ部材を外殻部材の支柱部の軸方向端部から収納領域内に単純に挿入するだけで、外殻部材の支柱部内の収納領域に容易に収納して組み付けることができる。
その後、水栓機能ユニット及びスペーサ部材のそれぞれについても、外殻部材の支柱部の軸方向端部から収納領域内に単純に挿入するだけで、水栓機能ユニットについてスペーサ部材により二次側アダプタ部材に向って押圧した状態で保持することができるため、外殻部材の支柱部内の収納領域に容易に収納して組み付けることができる。
したがって、水栓装置の組み立ての際、外殻部材の支柱部を切断したり、破壊したりすることも回避することができるため、水栓装置の組立性やデザイン性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水栓装置及びその製造方法によれば、水栓装置の組み立ての際に、外殻部材を切断して分割したり、破壊したりすることなく、水栓装置の組立性やデザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを斜め後方から見た斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットの正面断面図であり、湯側及び水側のそれぞれの一次側流路の縦断面を示す。
図7図3に示す本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
図8】本発明の第1実施形態による水栓装置のケーシング部材の分解斜視図である。
図9図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10】本発明の第1実施形態による水栓装置における外殻部材、二次側流路形成部材、二次側アダプタ部材、及び、スペーサ部材の分解斜視図である。
図11】本発明の第1実施形態による水栓装置における二次側アダプタ部材及び弾性シール部材のそれぞれについて裏側から見た分解斜視図である。
図12】本発明の第2実施形態による水栓装置における外殻部材、水栓機能ユニット、二次側アダプタ部材、及び、スペーサ部材の分解斜視図である。
図13】本発明の第2実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、図7と同様に水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
図14】本発明の第2実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視断面図である。
図15】本発明の第3実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。
図16】本発明の第3実施形態による水栓装置全体の分解中央側面断面図である。
図17】本発明の第3実施形態による水栓装置における外殻部材、二次側流路形成部材、二次側アダプタ部材、スペーサ部材、スパウト側流路形成部材、吐水口形成部材、及び、高さ補正部材の分解斜視図である。
図18】本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
図19図18に示す本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
図20】本発明の第3実施形態による水栓装置における二次側アダプタ部材及び高さ補正部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水とを混合して吐止水する、いわゆる、「シングルレバー式」と呼ばれる水栓装置であり、台所のシンク又は洗面台のカウンター等の設置面F1上に設置されている。
すなわち、このシングルレバー式の水栓装置1においては、いわゆる、「シングルレバー」と呼ばれる単一の操作ハンドル2が手動で回動操作されることにより、流量と温度が調整された湯水がスパウト4の吐水口6から吐止水されるようになっている。
【0021】
例えば、図1に示すように、本実施形態の水栓装置1において、まず、操作ハンドル2が最下方の止水操作位置に設定されている場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が止水されるようになっている。
また、図1に示すように、操作ハンドル2が止水操作位置から上方の操作位置に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が吐水状態に設定されるようになっている。
すなわち、操作ハンドル2は、吐水状態において、より上方(図1に示す矢印「開」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が大きく設定され、より下方(図1に示す矢印「閉」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が小さく設定されるようになっている。
【0022】
さらに、図1に示すように、操作ハンドル2は、水栓装置1の鉛直方向に延びる中心軸線(回転中心軸線A1)を中心に水側(図1に示す矢印「C」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の温度が低温側に設定されるようになっている。
一方、図1に示すように、操作ハンドル2が回転中心軸線A1を中心に湯側(図1に示す矢印「H」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の混合比を湯が大きく設定されるようになっている。
【0023】
つぎに、図2図9により、本発明の第1実施形態による水栓装置の内部構造について具体的に説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。また、図3は、本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
まず、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、その種類又は仕様に応じた形状に形成された中空の外殻部材8を備えている。この外殻部材8は、上下方向に概ね筒状に延びる支柱部8a、及び、この支柱部8aの側面から外側に延びるスパウト部8bをそれぞれ備えている。
なお、外殻部材8については、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。
【0024】
つぎに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の下方側(上流側)において、湯供給管10、水供給管12、固定金具14(把持金具14a、締結金具14b)、及び、台座部材16をそれぞれ備えている。
図2及び図3に示すように、台座部材16は、水栓装置1の設置面F1に配置された状態で固定金具14の馬蹄形の把持金具14a及び締結金具14bにより固定されるようになっている。
また、図2に示すように、台座部材16には、縦方向に貫く通湯穴16a及び通水穴16bがそれぞれ形成されている。通湯穴16aには、給湯器等の給湯源(図示せず)から湯を供給する湯供給管10が下方から接続されている。同様に、通水穴16bには、水道等の給水源(図示せず)から水を供給する水供給管12が下方から接続されている。
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の支柱部8aの内部において、詳細は後述する水栓機能ユニット18を備えている。
【0025】
つぎに、図4は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18を分解した斜視図である。また、図5は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18を斜め後方から見た斜視図である。
図4及び図5に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓機能ユニット18の外側において、下方から上方に向って、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30をそれぞれ備えている。
また、図4及び図5に示すように、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれは、水栓機能ユニット18の外側面と外殻部材8の支柱部8aの内側面との間を水密にシールするものである。
さらに、図4及び図5に示すように、下側下方シール保持部材20及び上側下方シール保持部材24のそれぞれは、下方シール部材22を保持するためのものでもあり、一方、下側上方シール保持部材26及び上側上方シール保持部材30のそれぞれは、上方シール部材28を保持するためのものである。
【0026】
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8とその上方の操作ハンドル2との上下方向の間において、下方から上方に向って、詳細は後述する、Cリング32、シール部材34、固定部材36、及び、留め具38(ビス38a、キャップ38b)をそれぞれ備えている。
これらの部材32,34,36,38については、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された水栓機能ユニット18について、上方から水密に保持するものである。
【0027】
つぎに、図6は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18の正面断面図であり、湯側及び水側のそれぞれの一次側流路の縦断面を示す。また、図7は、図3に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1の中央側面断面図において、水栓機能ユニット18の上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
まず、図3図7に示すように、本実施形態の水栓装置1の水栓機能ユニット18は、詳細については後述する金属製のケーシング部材40を備えている。この金属製のケーシング部材40は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された状態で、その一端側(下端側)が台座部材16に対して固定されている。
【0028】
つぎに、図4及び図6に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の内部において、下方から上方に且つ内側から外側に向って(或いは、上流側から下流側に向って)、軸シール部材42(湯側軸シール部材42a、水側軸シール部材42b)、湯供給管44、水供給管46、軸シール部材48(湯側軸シール部材48a、水側軸シール部材48b)、一次側アダプタ部材50、弁座部材52、シングルレバーカートリッジ54(固定弁体54a、可動弁体54b、単一のレバー54c)、及び、カートリッジ押さえ部材56をそれぞれ備えている。
また、図4及び図5に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の外側面において、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60をそれぞれ備えている。
【0029】
また、図4及び図6に示すように、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれは、下方の台座部材16の通湯穴16a及び通水穴16bのそれぞれと、上方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50a及び通水穴50bのそれぞれとを互いに連通させる一次側通湯路及び一次側通水路を形成している。
また、図6に示すように、湯供給管44は、下側被接続部44a及び上側被接続部44bをそれぞれ備えている。湯供給管44の下側被接続部44aは、台座部材16の通湯穴16aの上端(下流端)の湯側接続受け部16c内に湯側軸シール部材42aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、湯供給管44の上側被接続部44bは、一次側アダプタ部材50の通湯穴50aの下端(上流端)の湯側接続受け部50c内に湯側軸シール部材48aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
同様に、図6に示すように、水供給管46は、下側被接続部46a及び上側被接続部46bをそれぞれ備えている。水供給管46の下側被接続部46aは、台座部材16の通水穴16bの上端(下流端)の水側接続受け部16d内に水側軸シール部材42bを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、水供給管46の上側被接続部46bは、一次側アダプタ部材の通水穴50bの下端(上流端)の水側接続受け部50d内に水側軸シール部材48bを介して水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
【0030】
つぎに、図6に示すように、台座部材16及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部16c,16d,50c,50dにおいて、湯供給管44及び水供給管46の各被接続部44a,44b,46a,46bに対するクリアランスd1,d2,d3,d4がそれぞれ設けられている。
これらのクリアランスd1,d2,d3,d4により、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1~d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができるようになっている。
【0031】
つぎに、図4図7に示すように、一次側アダプタ部材50の上面には、弁座部材52が水密に接続されており、この弁座部材52の上面には、シングルレバーカートリッジ54が水密に接続されている。これらの一次側アダプタ部材50及び弁座部材52のそれぞれは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料で概ね円柱状に形成されており、互いに別部材となっている。
また、これらの一次側アダプタ部材50及び弁座部材52は、詳細は後述する上側ケーシング部材74の底部74aを間に挟みつつ、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれの下流端とシングルレバーカートリッジ54とを互いに水密に接続する接続部材として機能するようになっている。
ここで、図4図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の構造については、周知のシングルレバーカートリッジの構造と同様であるため、詳細な説明は省略するが、代表的には、下方から上方に向って、固定弁体54a、可動弁体54b、及び、レバー54cをそれぞれ備えている。
【0032】
また、図4図7に示すように、固定弁体54aは、シングルレバーカートリッジ54内の底部に固定されている。
つぎに、図6及び図7に示すように、可動弁体54bは、固定弁体54aの上面に対して並進及び回転する摺動が可能に配置されている。
さらに、図6及び図7に示すように、レバー54cは、その下端が可動弁体54bに連結されており、上端が操作ハンドル2に連結されている単一の軸部材となっている。
なお、図6に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、弁座部材52の通湯穴52a及び通水穴52bのそれぞれと連通する一次側流路である通湯路54d及び通水路54eがそれぞれ形成されている。
また、図7に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、通湯路54d及び通水路54eのそれぞれから供給された湯と水を混合する二次側流路である湯水混合路54fがそれぞれ形成されている。通湯路54d及び通水路54eから湯水混合路54fに供給される湯水の混合比と流量は、可動弁体54bの位置に応じて調整されるようになっている。
また、図5及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、詳細は後述するケーシング部材40の上側ケーシング部材74の側面の流出穴74fと連通している。
【0033】
つぎに、図3及び図7に示すように、本実施形態の水栓装置1は、シングルレバーカートリッジ54の側方のケーシング部材40の外側と外殻部材8の支柱部8aの内側との間において、詳細は後述する、二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66をそれぞれ備えている。
また、図3及び図7に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8のスパウト部8b内において、詳細は後述する、スパウト流路68aを形成するスパウト側流路形成部材68と、吐水口6を形成する吐水口形成部材70と、をそれぞれ備えている。
【0034】
つぎに、図8及び図9を参照して、本実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の詳細について、このケーシング部材40の加工方法と共に説明する。
図8は、本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の分解斜視図である。また、図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図4図8及び図9に示すように、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40は、下方から上方に向って、下側ケーシング部材72、上側ケーシング部材74、及び、上部円環部材76をそれぞれ備えている。
また、これらの部材72,74,76の金属材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。
しかしながら、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40に用いられる金属材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料以外の他の金属材料であってもよい。
そして、図4図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されていると共に、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
【0035】
ここで、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の下側ケーシング部材72おいては、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円筒状に形成されている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材72の成形用の型を用意する必要がない。
【0036】
つぎに、図4図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の側面の下方において、穴開け加工等により径方向に貫く下方ピン係合穴72aが周方向に間隔を置いて複数形成されている。
これにより、図3図4図8及び図9に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0037】
同様に、図4図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の側面の上方においても、穴開け加工等により径方向に貫く上方ピン係合穴72bが周方向に複数形成されている。
これにより、図3図4図8及び図9に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0038】
つぎに、図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72と溶接される前の状態の上側ケーシング部材74は、底部74aを備えており、その上方が開放された有底のカップ状の部材である。
また、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74は、その底部74aから上方にほぼ円筒状に延びるように形成されている。
さらに、上側ケーシング部材74の上縁には、外側に突出するフランジ部74bが形成されている。
例えば、このような有底のカップ状の上側ケーシング部材74を成形する際には、金属製の薄板材について絞り加工等を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で有底のカップ状に成形する。
すなわち、金属製の上側ケーシング部材74を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上側ケーシング部材74の成形用の型を用意する必要がない。
【0039】
つぎに、図6図7及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aにおいて、湯側連通穴74c、水側連通穴74d、及び、取付穴74eのそれぞれが穴開け加工により形成されている。
ちなみに、図6に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの湯側連通穴74cにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50aと上方の弁座部材52の通湯穴52aとが連通可能となっている。
また、図6及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの水側連通穴74dにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通水穴50bと弁座部材52の通水穴52bとが連通可能となっている。
さらに、図7図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの取付穴74eにおいて、その上方の弁座部材52の底面から下側に突出する突起52cが挿入された後、その下方の一次側アダプタ部材50の取付穴50fに挿入されるようになっている。これにより、弁座部材52が上側ケーシング部材74の底部74aに固定されるようになっている。
【0040】
つぎに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、複数(例えば、2個)の流出穴74fが、穴開け加工により互いに周方向に隣接して形成されている。
また、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74fに対して互いに周方向に離間する側には、複数(例えば、2個)の下方突起係合穴74gのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2図5及び図8に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各下方突起係合穴74gについては、上側下方シール保持部材24の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起24aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、上側下方シール保持部材24の内周面が上側ケーシング部材74の外周面上に対して保持されるようになっている。
さらに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74f及び各下方突起係合穴74gよりも上方には、複数(例えば、2個)の上方突起係合穴74hのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2図5及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各上方突起係合穴74hについては、下側上方シール保持部材26の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起26aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、下側上方シール保持部材26の内周面が、上側下方シール保持部材24よりも上方の位置で上側ケーシング部材74の外周面に対して保持されるようになっている。
これらの穴開け加工の後、図8及び図9に示すように、有底のカップ状の上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分が下側ケーシング部材72の上方開口縁部72c内に挿入された状態で、この上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分と下側ケーシング部材72の上方開口縁部72cとが互いに溶接加工される。これにより、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とが互いに一体的に接続されるようになっている。
【0041】
つぎに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の上部円環部材76は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円環状に形成されている。
例えば、ほぼ円環状の金属製の上部円環部材76を成形する際には、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の上部円環部材76を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上部円環部材76の成形用の型を用意する必要がない。
【0042】
つぎに、図8及び図9に示すように、上部円環部材76の内周面において、雌ねじ加工により雌ねじ76aが形成されている。
また、図6及び図7に示すように、上部円環部材76の雌ねじ76aにより、カートリッジ押さえ部材56の外周面に形成された雄ねじ56aが螺合可能であり、カートリッジ押さえ部材56がケーシング部材40の上端部(上部円環部材76)に対して固定されるようになっている。
このような雌ねじ加工の後、図8及び図9に示すように、上部円環部材76の下縁部分と上側ケーシング部材74のフランジ部74bの外縁部分とが互いに溶接加工され、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とが互いに一体的に接続されている。
なお、本実施形態の水栓装置1では、上部円環部材76の内周面に雌ねじ76aを形成して雌側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の外周面に雄ねじ56aを形成して雄側部材として互いに螺合させる形態を採用している。しかしながら、このような形態に限られず、上部円環部材76の外周面に雄ねじを形成して雄側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の内周面に雌ねじを形成して雌側部材として互いに螺合させる形態を採用してもよい。
【0043】
つぎに、図4及び図7に示すように、一次側アダプタ部材50は、機械的係合ピン60により下側ケーシング部材72内の上方に保持されており、弁座部材52は、上側ケーシング部材74内の底部74aに保持されている。
また、図7に示すように、概ね円柱状の一次側アダプタ部材50の外径D1は、弁座部材52の外径D2よりも大きく設定されている(D1>D2)。
【0044】
つぎに、図7に示すように、上側ケーシング部材74内の弁座部材52の上方には、シングルレバーカートリッジ54が配置されている。
また、図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の上方において、カートリッジ押さえ部材56の雄ねじ56aが上部円環部材76の雌ねじ76aに螺合されることにより、シングルレバーカートリッジ54が上側ケーシング部材74内の弁座部材52の上方において押圧された状態で保持されている。すなわち、カートリッジ押さえ部材56は、シングルレバーカートリッジ54を弁座部材52に固定する固定部材となる。
このとき、図5及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、上側ケーシング部材74の流出穴74f(第1流出穴)と連通している。
また、図5及び図7に示すように、上側ケーシング部材74の外周面とその外側の二次側流路形成部材62の内周面との間には、二次側流路78が形成されている。シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gから流出した湯水は、上側ケーシング部材74の流出穴74fを介して二次側流路78に流出するようになっている。
さらに、図7に示すように、二次側流路78内の湯水は、二次側流路形成部材62のスパウト側の側面に形成された流出穴62a(第2流出穴)から二次側アダプタ部材64内の流路64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
【0045】
つぎに、図3図7図10及び図11を参照して、本実施形態の水栓装置1における二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、スペーサ部材66、スパウト側流路形成部材68、及び、吐水口形成部材70の詳細について説明する。
図10は、本発明の第1実施形態による水栓装置1における外殻部材8、二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66の分解斜視図である。
まず、図7及び図10に示すように、二次側流路形成部材62は、概ね円筒状に形成された部材である。この二次側流路形成部材62は、上側ケーシング部材74の外側に配置された下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30のそれぞれの外側に配置されている。また、二次側流路形成部材62は、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの内側に配置されている。
すなわち、図7に示すように、二次側流路形成部材62は、その内側の各部材20,22,24,26,28,30と外側の各部材64,66との間に水密に設けられており、二次側流路形成部材62におけるスパウト側の側面(前側面)の流出穴62aが、二次側アダプタ部材64の流路64aの流入口64bと一致している。
【0046】
特に、図7及び図10に示すように、二次側流路形成部材62の外側面の流出穴62aの周囲と、これと対向する二次側アダプタ部材64の内側面の流入口64bとの間には、単一の弾性シール部材80が設けられている。この単一の弾性シール部材80は、それ自身の弾性力によって、二次側流路形成部材62の外側面の流出穴62aと二次側アダプタ部材64の内側面の流入口64bとの間を水密にシール(いわゆる、「面シール」)することができるようになっている。
また、単一の弾性シール部材80のみによって、二次側アダプタ部材64やスペーサ部材66の公差についても吸収させることもできるようになっている。
ここで、弾性シール部材80としては、ゴム材料により円環状に形成され且つその横断面形状が円形である、いわゆる、Oリング等が採用されている。
しかしながら、弾性シール部材80としては、Oリングに限られず、横断面形状が概ねX字状である、いわゆる、Xリング等が採用されてもよい。
【0047】
つぎに、図7及び図10に示すように、二次側アダプタ部材64は、湾曲状に形成されたベース部64cを備えており、また、このベース部64cの外側面から外側に突出する突出部64dを備えている。これらのベース部64c及び突出部64dは、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部(外殻部材8の支柱部8aの上端部又は下端部)から外殻部材8の支柱部8a内の水栓機能ユニット18の収納領域S1に挿入可能な寸法及び形状に形成されている。
より具体的には、図7及び図10に示すように、二次側アダプタ部材64のベース部64cの内側面は、平面視において、二次側流路形成部材62の外周面の円弧形状の一部とほぼ一致する概ね1/4円弧の比率となる部分円弧形状となっている。これにより、二次側アダプタ部材64のベース部64cは、二次側流路形成部材62の外側面に沿って配置され、その軸方向の中心軸線A1に対して同心状に配置されている。
また、図7及び図10に示すように、二次側アダプタ部材64が外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1に挿入された状態では、二次側アダプタ部材64のベース部64cの上下端部は、外殻部材8のスパウト部8bの基端部8cに接続されている。
さらに、図7及び図10に示すように、二次側アダプタ部材64の突出部64dは、スパウト側流路形成部材68の上流側端部68bが挿入されて水密に接続される被接続部となっている。
また、図7及び図10に示すように、二次側アダプタ部材64のベース部64cは、その上下左右の中間部の内部に流路64aを形成しており、この流路64aは、突出部64dの内部を貫いている。この二次側アダプタ部材64内の流路64aにより、水栓機能ユニット18の二次側流路78とスパウト側流路形成部材68のスパウト流路68aとが互いに連通するようになっている。
【0048】
つぎに、図7及び図10に示すように、スペーサ部材66は、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部(外殻部材8の支柱部8aの上端部又は下端部)から収納領域S1に挿入可能となっている。
また、図10に示すように、スペーサ部材66は、円筒形状の一部分を軸方向に切り欠いた形状に形成されている。より具体的には、スペーサ部材66の内側面は、平面視において、二次側流路形成部材62の外周面の円弧形状の一部とほぼ一致する概ね3/4円弧の比率となる部分円弧形状となっている。これにより、スペーサ部材66は、二次側流路形成部材62の外側面に沿って配置され、その軸方向の中心軸線A1を中心に同心状に配置されている。
さらに、図10に示すように、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に収納された状態のスペーサ部材66の周方向の左右両端66a,66bのそれぞれには、二次側アダプタ部材64の左右両端64e,64fのそれぞれが嵌め込まれており、互いに周方向に当接している。
このとき、図7に示すように、スペーサ部材66の後方側の内面は、その前方側の二次側アダプタ部材64のベース部64cの内面に対して外殻部材8の支柱部8aの軸方向(図10に示す鉛直方向の軸線A1に沿った方向)に垂直な水平前後方向に対向している。
また、図7に示すように、水栓機能ユニット18は、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内においてスペーサ部材66により前方の二次側アダプタ部材64に向って押圧された状態で保持されている。
【0049】
つぎに、図7に示すように、スペーサ部材66は、外殻部材8の支柱部8a内の収納領域S1に挿入される側の端部(下端部)において先細り形状に形成された傾斜部66cを備えている。スペーサ部材66が外殻部材8の支柱部8aの上方側から収納領域S1内に挿入されて組み付けられる際には、この傾斜部66cによりスペーサ部材66の挿入がし易くなるようになっている。
ここで、本実施形態では、スペーサ部材66の傾斜部66cについては、スペーサ部材66の下端の内周部及び外周部の双方に設けられた形態について説明するが、スペーサ部材66の下端の内周部又は外周部の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
さらに、図7に示すように、外殻部材8の支柱部8a、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66のそれぞれの上端部には、固定部材36が取り付けられている。この固定部材36により、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に収納された状態の水栓機能ユニット18の上方側が固定されている。
【0050】
なお、本実施形態では、図10に示すように、これらの二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66のそれぞれの材料としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料を採用しているが、このような樹脂材料以外の材料として、金属材料等を採用してもよい。
また、本実施形態では、二次側アダプタ部材64の平面視の形状が概ね1/4円弧の比率の部分円弧形状のものを採用し、スペーサ部材66の平面視の形状が概ね3/4円弧の比率の部分円弧形状のものを採用した形態について説明したが、このような形態に限られず、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に収納された状態で互いに周方向に当接可能であれば、他の比率の部分円弧形状を採用してもよい。
【0051】
つぎに、図7及び図10に示すように、スパウト側流路形成部材68は、外殻部材8のスパウト部8b内に水密に設けられており、その内部にスパウト流路68aを形成している。
また、図7及び図10に示すように、スパウト側流路形成部材68の上流側端部68bは、二次側アダプタ部材64の突出部64dに水密に接続されており、スパウト側流路形成部材68の下流側端部68cは、吐水口形成部材70の流路70aの上流側端部(被接続部70b)に水密に接続されている。これにより、スパウト側流路形成部材68のスパウト流路68aは、その上流側の二次側アダプタ部材64内の流路64aと下流側の吐水口形成部材70内の流路70aとを互いに連通している。
さらに、図3及び図10に示すように、吐水口形成部材70は、その下流側端部に整流部70cを備えている。この整流部70cは、スパウト流路68a側から吐水口形成部材70の流路70aに流入した湯水を整流すると共に、その下流端側が実質的な吐水口6としても機能している。
【0052】
ここで、図10に示すように、スパウト側流路形成部材68及び吐水口形成部材70のそれぞれについては、予めスパウト側流路形成部材68の下流側端部68cを吐水口形成部材70の被接続部70bに接続して組み付けた状態で、外殻部材8のスパウト部8bの先端部8d側(吐水口6側)から挿入可能になっている。
具体的には、図10に示すように、スパウト側流路形成部材68は、可撓性を有するポリアセタール等の軟質材料で形成されており、ほぼ円筒状の細長い管状部材となっている。これにより、スパウト側流路形成部材68について、外殻部材8のスパウト部8b内に挿入して組み付ける際には、スパウト側流路形成部材68が軟質材料の可撓性により適度に変形することができるようになっているため、外殻部材8のスパウト部8b内へのスパウト側流路形成部材68の挿入がし易くなっている。
【0053】
つぎに、図2及び図7を参照して、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入された水栓機能ユニット18について、上方から水密に保持する、Cリング32、シール部材34、固定部材36、及び、留め具38(ビス38a、キャップ38b)のそれぞれの詳細について説明する。
まず、図2及び図7に示すように、固定部材36は、外殻部材8の支柱部8a、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66のそれぞれの上端部にシール部材34を介して取り付けられている。この固定部材36により、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に収納された状態の水栓機能ユニット18の上方側が固定されている。
つぎに、図2及び図7に示すように、Cリング32は、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの上端部に取り付けられた概ね円環状の部材であり、カートリッジ押さえ部材56の外周面の取付溝56bに嵌合された状態で取り付けられている。
また、このCリング32は、固定部材36と共に、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれが水栓機能ユニット18に対して相対的に上方に移動することを規制する規制部として機能するようになっており、水栓機能ユニット18を上方から固定するする固定部材としても機能するようになっている。
また、図2及び図7に示すように、水栓機能ユニット18が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入されて固定部材36により固定された状態においては、シングルレバーカートリッジ54のレバー54cの上端部が、操作ハンドル2の接続穴2aに挿入されて接続された状態でビス38aによって固定されている。このビス38aの先端(前端)よりも前側は、キャップ38bによって水密に閉鎖されている。
【0054】
つぎに、図7及び図10に示すように、外殻部材8の支柱部8aの内周面における二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの下端付近には、内側に突出し且つ周方向に環状に形成される位置決め用段部8eが設けられている。この位置決め用段部8eは、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの最下端の位置を下側から規制することができ、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの周方向及び上下方向の位置決めをすることができるようになっている。
また、図7及び図10に示すように、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの外側面の上端側には、位置決め用段部64g,66dがそれぞれ設けられている。
さらに、図7に示すように、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれは、その位置決め用段部64g,66dが固定部材36の下端に下側から当接することにより、上下方向の位置が規制されるようになっている。
【0055】
つぎに、図11は、本発明の第1実施形態による水栓装置1における二次側アダプタ部材64及び弾性シール部材80のそれぞれについて裏側から見た分解斜視図である。
図7図10及び図11に示すように、二次側アダプタ部材64のベース部64cの裏側面(内側面)における流路64aの流入口64bの外周部には、環状溝64hが設けられている。この環状溝64hには、弾性シール部材80が水密に嵌め込まれるようになっている。
また、図7図10及び図11に示すように、これらの二次側アダプタ部材64の環状溝64h、及び、この環状溝64hに嵌め込まれた状態の弾性シール部材80については、二次側流路形成部材62及び二次側アダプタ部材64が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に互いに組み付けられた際に、二次側アダプタ部材64に対する二次側流路形成部材62の周方向及び軸方向(上下方向)の位置決めを可能にする位置決め手段として機能するようになっている。
すなわち、図7図10及び図11に示すように、二次側流路形成部材62及び二次側アダプタ部材64が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に互いに組み付けられた状態では、二次側流路形成部材62は、二次側アダプタ部材64に対して周方向(軸方向の中心軸線A1回り)に相対的に回転しないようになっていると共に、二次側アダプタ部材64に対して軸方向に相対的に摺動しないようになっている。このため、二次側流路形成部材62は、二次側アダプタ部材64に対して固定された状態となっている。
【0056】
つぎに、本実施形態の水栓装置1においては、外殻部材8の全体が台座部材16に対して固定された状態となっている。
より具体的に説明すると、図5に示すように、台座部材16の外周面には、ナット部16fが設けられている。このナット部16fは、平面視において、部分円弧状に形成された湾曲部16gと、直線状に形成されたテーパ部16hとを備えており、これらの湾曲部16g及びテーパ部16hのそれぞれは、互いに周方向に交互に配置されている。
さらに、図10に示すように、外殻部材8の支柱部8aの下端部の内周には、複数の凹部8fが周方向に間隔を置いて設けられている。
これらにより、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に水栓機能ユニット18が挿入された状態で、外殻部材8の支柱部8aの下端部が台座部材16に取り付けられると、台座部材16のナット部16fの各湾曲部16gが、その外側の外殻部材8の支柱部8aの下端部の各凹部8f内に嵌合するようになっている。これにより、外殻部材8の全体が台座部材16に対して固定された状態となっている。
【0057】
また、図7図10及び図11に示すように、本実施形態の水栓装置1では、水栓機能ユニット18の上方部分が二次側流路形成部材62の内部に挿入された状態で外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に組み付けられており、二次側流路形成部材62は、水栓機能ユニット18に対して周方向及び軸方向(上下方向)に固定された状態となっている。
したがって、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内の水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との相対的な位置についても、二次側流路形成部材62を介して固定することができるようになっている。
これにより、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との相対的な位置が二次側流路形成部材62を介して正確に決まることにより、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64と間の内部流路(二次側流路形成部材62の内側の二次側流路78)を精度よく設けることができるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態では、外殻部材8の全体が台座部材16に対して固定された形態について説明するが、外殻部材8については、その支柱部8aの一部をスパウト部8bと共に軸方向の中心軸線A1回りに台座部材16に対して回転することができるような形態であってもよい。
このように外殻部材8の一部が軸方向の中心軸線A1回りに台座部材16に対して回転可能な形態の場合、水栓機能ユニット18が機械的係合ピン58等により台座部材16に対して固定されている。一方、二次側流路形成部材62については、弾性シール部材80を介して二次側アダプタ部材64に固定されているため、外殻部材8及び二次側アダプタ部材64と共に一体的に軸方向の中心軸線A1回りに水栓機能ユニット18に対して回転可能となる。
【0059】
つぎに、図2図11を参照して、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1における水栓機能ユニット18を外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に組み付ける方法について説明する。
まず、水栓装置1が設置される設置面F1に固定される台座部材を準備する。そして、水栓装置1の種類に応じた形状に形成された外殻部材8を準備し、水栓機能ユニット18を準備する。
つぎに、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1内に挿入可能な寸法又は形状に形成された二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66をそれぞれ準備する。
また、スパウト側流路形成部材68及び吐水口形成部材70をそれぞれ準備する。
さらに、外殻部材8の支柱部8aの上方側に設けられ、水栓機能ユニット18を上方から固定するCリング32及び固定部材36をそれぞれ準備する。
【0060】
つぎに、図10に示すように、予めスパウト側流路形成部材68の下流側端部68cが吐水口形成部材70の被接続部70bに水密に接続されて組み付けられる。そして、スパウト側流路形成部材68の上流側端部68bが、外殻部材8のスパウト部8bの先端部8d側(吐水口6側)からスパウト部8b内に挿入された後、吐水口形成部材70がさらにスパウト部8b内に押し込まれることにより、スパウト側流路形成部材68及び吐水口形成部材70の双方が、外殻部材8のスパウト部8b内に組み付けられる。
また、図10に示すように、二次側アダプタ部材64が、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部(例えば、支柱部8aの上端部)から収納領域S1内に挿入され、スパウト部8bの基端部8cに接続される。そして、二次側アダプタ部材64の突出部64dがスパウト部8b内においてスパウト側流路形成部材68の上流側端部68bに水密に接続される。これにより、二次側アダプタ部材64の流路64aとスパウト側流路形成部材68のスパウト流路68aとが水密に接続される。
さらに、図10及び図11に示すように、二次側流路形成部材62が、外殻部材8の支柱部8aの上端部から収納領域S1内の二次側アダプタ部材64の内側に挿入される。そして、この二次側アダプタ部材64のベース部64cの裏側面の環状溝64hに弾性シール部材80が嵌め込まれた状態で、二次側流路形成部材62が二次側アダプタ部材64のベース部64cの裏側面に水密に固定されて位置決めされる。
このとき、図10及び図11に示すように、二次側流路形成部材62の流出穴62aと二次側アダプタ部材64の流入口64bとが水密に接続される。
また、スペーサ部材66が二次側流路形成部材62の外側の収納領域S1内に挿入される。
【0061】
つぎに、図2図4及び図10に示すように、水栓機能ユニット18が外殻部材8の支柱部8aの下端部から収納領域S1内に挿入される前に予め、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30のそれぞれが、水栓機能ユニット18の上側ケーシング部材74の外側面に組み付けられる。
そして、この水栓機能ユニット18が外殻部材8の支柱部8aの下端部から収納領域S1内の二次側流路形成部材62の内側に挿入される。
これらの結果、水栓機能ユニット18は、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内において、二次側流路形成部材62の内部に水密に接続された状態になる。このとき、水栓機能ユニット18は、スペーサ部材66により二次側アダプタ部材64に向って押圧されて状態で保持されている。
また、図2に示すように、Cリング32及び固定部材36が外殻部材8の支柱部8aの上端部に取り付けられると、水栓機能ユニット18が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に完全に固定される。
さらに、図2及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54のレバー54cの上端部が、操作ハンドル2の接続穴2aに挿入されて接続された状態でビス38aによって固定されると、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内における水栓機能ユニット18の組み付けが完了となる。
【0062】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用について説明する。
まず、本実施形態による水栓装置1によれば、二次側アダプタ部材64が、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1に挿入可能な寸法又は形状に形成されている。これにより、二次側アダプタ部材64を外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1内に単純に挿入するだけで、外殻部材8の支柱部8a内の収納領域S1に容易に収納して組み付けることができる。
その後、二次側流路形成部材62、水栓機能ユニット18及びスペーサ部材66のそれぞれについても、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1内に単純に挿入するだけで、水栓機能ユニット18についてスペーサ部材66により二次側アダプタ部材64に向って押圧した状態で保持することができる。
よって、二次側流路形成部材62、水栓機能ユニット18及びスペーサ部材66のそれぞれについて、外殻部材8の支柱部8a内の収納領域S1に容易に収納して組み付けることができる。
したがって、水栓装置1の組み立ての際、外殻部材8の支柱部8aを切断したり、破壊したりすることも回避することができるため、水栓装置1の組立性やデザイン性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、外殻部材8のスパウト部8b内には、二次側アダプタ部材64と吐水口6との間のスパウト流路68aを形成するスパウト側流路形成部材68が設けられており、このスパウト側流路形成部材68が軟質材料で形成されている。
これにより、スパウト側流路形成部材68を外殻部材8のスパウト部8b内に挿入して組み付ける際に、スパウト側流路形成部材68が軟質材料の可撓性により適度に変形するため、スパウト側流路形成部材68の挿入がし易くなる。よって、水栓装置1の組立性を向上させることができる。
また、スパウト側流路形成部材68を二次側アダプタ部材64とは別部材にすることができ、スパウト側流路形成部材68を二次側アダプタ部材64とは異なる材料で形成することもできる。よって、水栓装置1の設計の自由度を向上させることができる。
【0064】
さらに、本実施形態による水栓装置1によれば、図10に示すように、スパウト側流路形成部材68及び吐水口形成部材70のそれぞれについては、予めスパウト側流路形成部材68の下流側端部68cが吐水口形成部材70の被接続部70bに接続されて組み付けられた状態で、外殻部材8のスパウト部8bの先端部8d側(吐水口6側)から挿入可能になっている。
これにより、例えば、外殻部材8のスパウト部8bの形状が基端部8cから先端部8dまで細長く延びた形状であっても、スパウト側流路形成部材68を外殻部材8のスパウト部8bの先端部8d側から挿入して簡単に組み付けることができる。
したがって、水栓装置1の設計の自由度を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、スペーサ部材66の収納領域S1に挿入される側の端部において、先細り形状に形成された傾斜部66cが設けられている。
これにより、スペーサ部材66を外殻部材8の支柱部8a内の収納領域S1に挿入して組み付ける際に、スペーサ部材66の挿入がし易くなるため、水栓装置1の組立性を向上させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態による水栓装置1によれば、水栓機能ユニット18の外側の二次側流路形成部材62と二次側アダプタ部材64との間に単一の弾性シール部材80が設けられている。これにより、単一の弾性シール部材80のみの弾性力によって、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との間の水密性を確保することができる。
また、単一の弾性シール部材80のみによって、二次側アダプタ部材64やスペーサ部材66の公差についても吸収させることもできるため、組立性を向上させることもできる。
【0067】
さらに、本実施形態による水栓装置1によれば、Cリング32及び固定部材36により、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれが水栓機能ユニット18に対して相対的に上方に移動することを確実に規制することができる。
したがって、二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれが外殻部材8の支柱部8aの上方から抜け出したり、水栓機能ユニット18の一部と干渉したりすることを抑制することができるため、水栓装置1の組立性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、二次側アダプタ部材64の環状溝64h、及び、この環状溝64hに嵌め込まれた状態の弾性シール部材80のそれぞれが、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との間に二次側流路形成部材62を位置決めする手段として機能することができる。
これにより、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内の水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との間において、二次側流路形成部材62の周方向及び上下方向の位置決めが可能となる。よって、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内の水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との相対的な位置を固定することができる。
また、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との相対的な位置が正確に決まることにより、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64との相対的な位置が二次側流路形成部材62を介して正確に決まる。これにより、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材64と間の内部流路(二次側流路形成部材62の内側の二次側流路78)を精度よく設けることができる。
したがって、水栓装置1の組立性を向上させることができる。
【0069】
つぎに、図12図14を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図12は、本発明の第2実施形態による水栓装置における外殻部材、水栓機能ユニット、二次側アダプタ部材、及び、スペーサ部材の分解斜視図である。また、図13は、本発明の第2実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、図7と同様に水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。さらに、図14は、本発明の第2実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視断面図である。
ここで、図12図14に示す本発明の第2実施形態による水栓装置100において、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0070】
まず、図12図14に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置100においては、水栓機能ユニット118のケーシング部材140及び接続部材150のそれぞれの構造が、図4及び図7に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18のケーシング部材40及び接続部材(一次側アダプタ部材50、弁座部材52)のそれぞれの構造と異なっている。
また、図12図14に示すように、本実施形態による水栓装置100においては、図7及び図10に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18の外側と二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66との間に設けられた二次側流路形成部材62を備えていない点で異なっている。
具体的には、図12図14に示すように、本実施形態の水栓装置100の水栓機能ユニット118のケーシング部材140においては、括れ(段部)がない金属製のストレートな円筒ケーシング部材172と、金属製の上部円環部材176とをそれぞれ備えている。また、上部円環部材176は、溶接加工により円筒ケーシング部材172の上端部に一体的に接続されており、その内周面に雌ねじ176aが形成されている。
すなわち、図12図14に示すように、上部円環部材176が溶接される前の円筒ケーシング部材172は、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって円筒状に形成されており、有底形状ではない単一の部材である。
よって、円筒ケーシング部材172は、第1実施形態による水栓装置1の円筒状の下側ケーシング部材72と有底形状である上側ケーシング部材74とが溶接加工により一体的に接続された部材とは異なっている。
【0071】
つぎに、図12図14に示すように、本実施形態の水栓装置100の接続部材150においては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料で概ね円柱状に形成されている。
また、図13及び図14に示すように、接続部材150は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の一次側アダプタ部材50及び弁座部材52が互いに一体的に形成されたものに相当しており、第1実施形態による水栓装置1の一次側アダプタ部材50及び弁座部材52のそれぞれが別部材である形態とは異なっている。
【0072】
つぎに、図12図14に示すように、上部円環部材176と溶接される前の状態の円筒ケーシング部材172おいては、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって円筒状に形成されている。
例えば、円筒ケーシング部材172を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の円筒ケーシング部材172を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置100の種類に応じた外殻部材8の形状毎に円筒ケーシング部材172の成形用の型を用意する必要がない。
【0073】
つぎに、図12図14に示すように、円筒ケーシング部材172の側面において、穴開け加工等により径方向に貫く各ピン係合穴172a,172bが周方向に間隔を置いて複数形成されている。
これにより、図12図14に示すように、各機械的係合ピン58,60は、それぞれに対応する円筒ケーシング部材172の各ピン係合穴172a,172bに対して外側から挿入されるようになっている。そして、各機械的係合ピン58,60は、各ピン係合穴172a,172bに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16e及び接続部材150の係合穴150aのそれぞれに係合するようになっている。これにより、台座部材16及び接続部材150のそれぞれが円筒ケーシング部材172によって保持されている。
したがって、これらの円筒ケーシング部材172の上下の各ピン係合穴172a,172b、各機械的係合ピン58,60、台座部材16の係合穴16e、及び、接続部材150の係合穴150aのそれぞれは、段付きケーシング部材272が機械的係合により台座部材16及び接続部材150を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0074】
つぎに、図12図14に示すように、ケーシング部材340の内部の接続部材150において、その通湯穴(図示せず)及び通水穴150bのそれぞれの下端側(上流側)は、各軸シール部材48a,48bを介して各供給管44,46に水密に接続されている。
一方、図14に示すように、接続部材150の通湯穴(図示せず)及び通水穴150bのそれぞれの上端側(下流側)は、シングルレバーカートリッジ54の固定弁体54aの通湯路54d及び通水路54eのそれぞれに水密に接続されている。
さらに、図13及び図14に示すように、接続部材150の外面と円筒ケーシング部材172の内面との間は、シール部材152により水密になっている。また、シングルレバーカートリッジ54の外面と円筒ケーシング部材172の内面との間には、二次側流路178が形成されている。
これらにより、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gから二次側流路178に流出した湯水は、円筒ケーシング部材172の流出穴172cを介して二次側アダプタ部材64内の流路64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
【0075】
また、図12に示すように、本実施形態の水栓装置100では、第1実施形態の水栓装置1と同様に、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に水栓機能ユニット118が挿入された状態で、外殻部材8の支柱部8aの下端部が台座部材16に取り付けられると、台座部材16のナット部16fの各湾曲部16gが、その外側の外殻部材8の支柱部8aの下端部の各凹部8f内に嵌合するようになっている。これにより、外殻部材8が台座部材16に対して固定された状態となっている。
さらに、図12図14に示すように、二次側アダプタ部材64の環状溝64h、及び、この環状溝64hに嵌め込まれた状態の弾性シール部材80については、二次側流路形成部材62及び二次側アダプタ部材64が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に互いに組み付けられた際に、水栓機能ユニット118に対する二次側アダプタ部材64の周方向及び軸方向(上下方向)の位置決めを可能にする位置決め手段として機能するようになっている。
すなわち、図12図14に示すように、水栓機能ユニット118及び二次側アダプタ部材64が外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内に互いに組み付けられた状態では、二次側アダプタ部材64は、水栓機能ユニット118に対して周方向(軸方向の中心軸線A1回り)に相対的に回転しないようになっていると共に、水栓機能ユニット118に対して軸方向に相対的に摺動しないようになっている。このため、二次側アダプタ部材64は、水栓機能ユニットの118の円筒ケーシング部材172の外側面に対して弾性シール部材80を介して固定された状態となっている。
このとき、図13及び図14に示すように、円筒ケーシング部材172の流出穴172cと二次側アダプタ部材64の流入口64bとが水密に接続されている。
【0076】
上述した本発明の第2実施形態による水栓装置100によれば、二次側アダプタ部材64が、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1に挿入可能な寸法又は形状に形成されている。これにより、二次側アダプタ部材64を外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1内に単純に挿入するだけで、外殻部材8の支柱部8a内の収納領域S1に容易に収納して組み付けることができる。
その後、水栓機能ユニット118及びスペーサ部材66のそれぞれについても、外殻部材8の支柱部8aの軸方向端部から収納領域S1内に単純に挿入するだけで、水栓機能ユニット118についてスペーサ部材66により二次側アダプタ部材64に向って押圧した状態で保持することができる。よって、水栓機能ユニット118及びスペーサ部材66のそれぞれについて、外殻部材8の支柱部8a内の収納領域S1に容易に収納して組み付けることができる。
したがって、水栓装置100の組み立ての際、外殻部材8の支柱部8aを切断したり、破壊したりすることも回避することができるため、水栓装置100の組立性やデザイン性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態による水栓装置100によれば、二次側アダプタ部材64の環状溝64h、及び、この環状溝64hに嵌め込まれた状態の弾性シール部材80のそれぞれが、水栓機能ユニット118に対する二次側アダプタ部材64の位置を位置決めする手段として機能することができる。
これにより、水栓機能ユニット118に対する二次側アダプタ部材64の周方向及び上下方向の位置決めが可能となるため、外殻部材8の支柱部8aの収納領域S1内の水栓機能ユニット118と二次側アダプタ部材64との相対的な位置を固定することができる。
また、水栓機能ユニット118と二次側アダプタ部材64との相対的な位置が正確に決まることにより、水栓機能ユニット118と二次側アダプタ部材64との相対的な位置が二次側流路形成部材62を介して正確に決まる。これにより、水栓機能ユニット118の内部流路(二次側流路178)の流出穴172cと二次側アダプタ部材64の流路64aの流入口64bとを精度よく位置決めすることができ、互いに一致させることができる。
したがって、水栓装置100の組立性を向上させることができる。
【0078】
つぎに、図15図20を参照して、本発明の第3実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図15は、本発明の第3実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。つぎに、図16は、本発明の第3実施形態による水栓装置全体の分解中央側面断面図である。また、図17は、本発明の第3実施形態による水栓装置における外殻部材、二次側流路形成部材、二次側アダプタ部材、スペーサ部材、スパウト側流路形成部材、吐水口形成部材、及び、高さ補正部材の分解斜視図である。さらに、図18は、本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。また、図19は、図18に示す本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。さらに、図20は、本発明の第3実施形態による水栓装置における二次側アダプタ部材及び高さ補正部材の分解斜視図である。
ここで、図15図20に示す本発明の第3実施形態による水栓装置200において、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0079】
まず、図15図19に示すように、本発明の第3実施形態による水栓装置200においては、外殻部材208が、その軸方向に延びる回転軸線A201を中心に台座部材16及び水栓機能ユニット18に対して回転可能な構造となっている。
したがって、本実施形態による水栓装置200は、上述した本発明の第1実施形態及び第2実施形態による水栓装置1,100の外殻部材8の全体が台座部材16及び水栓機能ユニット18,118に対して固定されて回転しない構造とは異なっている。
すなわち、図19に示すように、二次側流路形成部材62は、上側ケーシング部材74の外側に配置された下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30のそれぞれの外側に配置され、かつ、これらの水栓機能ユニット18の各部材20,22,24,26,28,30に対して軸方向の中心軸線A201回りに回転可能となっている。
また、図19に示すように、二次側流路形成部材62は、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれにより、水栓機能ユニット18の上側ケーシング部材74の外側面における第1流出穴(流出穴74f)の下方及び上方の領域に対して周方向に亘って水密に接続されている。
さらに、図16図19に示すように、二次側アダプタ部材64は、二次側流路形成部材62と共に一体的に中心軸線A201回りに回転可能となっている。これにより、外殻部材208(支柱部208a及びスパウト部208b)についても、二次側アダプタ部材64と共に一体的に水栓機能ユニット18に対して回転可能となっている。
【0080】
つぎに、図16図20に示すように、本実施形態による水栓装置200においては、高さ補正部材282を備えているが、上述した本発明の第1実施形態及び第2実施形態による水栓装置1,100は、このような高さ補正部材282を備えていない点で異なっている。
図16図20に示すように、本実施形態の水栓装置200の高さ補正部材282は、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内において、水栓機能ユニット18の外側の二次側アダプタ部材264及びスペーサ部材66のそれぞれの下側に設けられているほぼ円筒状の部材である。これにより、二次側アダプタ部材264及びスペーサ部材66のそれぞれの下端部は、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内において、高さ補正部材282により下側から支持されている。
また、図16図20に示すように、高さ補正部材282の上端部には、複数の突起(一対の第1突起282a,282b及び一対の第2突起282c,282d)が設けられている。
これにより、高さ補正部材282を外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内に組み付ける際に、高さ補正部材282の軸方向の中心軸線A201回りの回転角度に応じて、高さ補正部材282の上端部と二次側アダプタ部材264及びスペーサ部材66のそれぞれの下端部との互いの当接位置が変更可能となっている。これにより、二次側アダプタ部材264及びスペーサ部材66のそれぞれの高さ位置が適宜変更可能及び補正可能になっている。
【0081】
より具体的には、図20に示すように、高さ補正部材282の上端部の一対の第1突起282a,282bは、互いに第1上端面282eから軸方向上方に同一高さ寸法h201で突出し、かつ、第1突起282a,282bの互いの上端同士が周方向に所定間隔w201で設けられている。
また、図20に示すように、高さ補正部材282の上端部の一対の第2突起282c,282dは、第1上端面282eよりも高さ寸法h202だけ高い第2上端面282fから軸方向上方に互いに同一高さ寸法h203で突出し、かつ、第2突起282c,282dの互いの上端同士が、第1突起282a,282bの周方向の間隔w201よりも小さい間隔w202(<w201)で設けられている。
ここで、図20に示すように、第1突起282a,282b及び第2突起282c,282dのそれぞれの上端位置は、互いに同一高さ位置となっている。これにより、第1突起282a,282bの高さ寸法h201は、第1上端面282eから第2上端面282fまでの高さ寸法h202と、第2上端面282fからの第2突起282c,282dの高さ寸法h203との和となっている(h201=h202+h203)。
【0082】
一方、図20に示すように、二次側アダプタ部材264の下端部には、高さ補正部材282の一対の第1突起282a,282bのそれぞれが下側から係合可能な係合溝264a,264bが設けられている。これらの各係合溝264a,264bは、周方向に第1突起282a,282bの周方向の間隔w201とほぼ同一の間隔で配置されている。
例えば、図20に示すように、高さ補正部材282について、各第1突起282a,282bが二次側アダプタ部材264の各係合溝264a,264bに係合可能な位置まで中心軸線A201回りに回転させる。その後、高さ補正部材282について各第1突起282a,282bを二次側アダプタ部材264の各係合溝264a,264bに係合させた場合には、二次側アダプタ部材264の最下端部264cが、高さ補正部材282の各第1突起282a,282b同士の間の領域S202に位置し、高さ補正部材282の第1上端面282eに当接するようになっている。これにより、二次側アダプタ部材264は、高さ補正部材282に対して第1高さ位置(最低位置)に設定されるようになっている。
このとき、高さ補正部材282の各第2突起282c,282dについては、スペーサ部材66の下端部の一部と係合する。
【0083】
つぎに、例えば、図20に示すように、高さ補正部材282について、二次側アダプタ部材264の左右両端部264d,264eが高さ補正部材282の第1突起282aと第2突起282cとの間の領域S203内に位置するように中心軸線A201回りに回転させる。或いは、高さ補正部材282について、二次側アダプタ部材264の左右両端部264d,264eが高さ補正部材282の第1突起282bと第2突起282dとの間の領域S204内に位置するように中心軸線A201回りに回転させる。
これらの場合、二次側アダプタ部材264の最下端部264cが、高さ補正部材282の第2上端面282fに当接するため、二次側アダプタ部材264は、高さ補正部材282に対して第1高さ位置(最低位置)よりも高い第2高さ位置に設定されるようになっている。
【0084】
さらに、例えば、図20に示すように、高さ補正部材282について、二次側アダプタ部材264の最下端部264cが高さ補正部材282の第2突起282c,282dのそれぞれの上端に当接するように中心軸線A201回りに回転させる。
この場合、二次側アダプタ部材264は、高さ補正部材282に対して第2高さ位置よりも高い第3高さ位置(最高位置)に設定されるようになっている。
これらにより、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内における二次側アダプタ部材64及びスペーサ部材66のそれぞれの高さ位置が補正可能となっている。
【0085】
つぎに、図16図19に示すように、スパウト側流路形成部材268は、外殻部材208のスパウト部208b内に水密に設けられており、その内部にスパウト流路268aを形成している。
また、図16図19に示すように、スパウト側流路形成部材268の上流側端部268bは、外殻部材208のスパウト部208b内の基端部208cにおける二次側アダプタ部材264の突出部264fに水密に接続されている。
さらに、図16図19に示すように、スパウト側流路形成部材268の下流側端部268cは、吐水口形成部材270の流路270aの上流側端部(接続受け部270b)に水密に接続される被接続部となっている。
これらにより、スパウト側流路形成部材268のスパウト流路268aは、その上流側の二次側アダプタ部材264内の流路264gと下流側の吐水口形成部材270内の流路270aとを互いに連通している。
さらに、図18に示すように、吐水口形成部材270は、その下流側端部に整流部270cを備えている。この整流部270cは、スパウト流路268a側から吐水口形成部材270の流路270aに流入した湯水を整流すると共に、その下流端側が実質的な吐水口206としても機能している。
【0086】
ここで、図16及び図17に示すように、スパウト側流路形成部材268及び吐水口形成部材270のそれぞれについては、予めスパウト側流路形成部材268の下流側端部268cを吐水口形成部材270の被接続部270bに接続して組み付けた状態で、外殻部材208のスパウト部208bの先端部208d側(吐水口206側)から挿入可能になっている。
具体的には、図16及び図17に示すように、スパウト側流路形成部材268は、可撓性を有するポリアセタール等の軟質材料で形成されており、ほぼ円筒状の細長い管状部材となっている。これにより、スパウト側流路形成部材268について、外殻部材208のスパウト部208b内に挿入して組み付ける際には、スパウト側流路形成部材268が軟質材料の可撓性により適度に変形することができるようになっているため、外殻部材208のスパウト部208b内へのスパウト側流路形成部材268の挿入がし易くなっている。
【0087】
つぎに、図15図20を参照して、上述した本発明の第3実施形態による水栓装置200における水栓機能ユニット18を外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内に組み付ける方法について説明する。
まず、図16及び図17に示すように、二次側アダプタ部材264が、外殻部材208の支柱部208aの軸方向端部(例えば、支柱部8aの上端部)から収納領域S201内に挿入され、スパウト部208bの基端部208cに接続される。そして、二次側アダプタ部材264の突出部264fがスパウト部208b内においてスパウト側流路形成部材268の上流側端部268bに水密に接続される。これにより、二次側アダプタ部材264の流路264gとスパウト側流路形成部材268のスパウト流路268gとが水密に接続される。
つぎに、図16及び図17に示すように、二次側流路形成部材62が、外殻部材208の支柱部208aの上端部又は下端部から収納領域S201内の二次側アダプタ部材264の内側に挿入される。そして、この二次側アダプタ部材264の裏側面(内側面)の環状溝264hに弾性シール部材80が嵌め込まれた状態で、二次側流路形成部材62が二次側アダプタ部材264の裏側面(内側面)に水密に固定されて位置決めされる。
このとき、図16及び図17に示すように、二次側流路形成部材62の流出穴62aと二次側アダプタ部材264の流入口264iとが水密に接続される。
また、スペーサ部材66が二次側流路形成部材62の外側の収納領域S201内に挿入される。
さらに、図16及び図17に示すように、高さ補正部材282が、外殻部材208の支柱部208aの軸方向端部(例えば、支柱部208aの下端部)から収納領域S201内に挿入される。これにより、高さ補正部材282の上端部が、二次側アダプタ部材264、二次側流路形成部材62、及び、スペーサ部材66のそれぞれの下端部と当接する。
【0088】
つぎに、図16及び図17に示すように、予めスパウト側流路形成部材268の下流側端部268c(被接続部)が吐水口形成部材270の接続受け部270bに水密に接続されて組み付けられる。そして、スパウト側流路形成部材268の上流側端部268bが、外殻部材208のスパウト部208bの先端部208d側からスパウト部208b内に挿入された後、吐水口形成部材270がさらにスパウト部208b内に押し込まれることにより、スパウト側流路形成部材268及び吐水口形成部材270の双方が、外殻部材208のスパウト部208b内に組み付けられる。
【0089】
つぎに、図16に示すように、水栓機能ユニット18が外殻部材208の支柱部208aの下端部から収納領域S201内に挿入される前に予め、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30のそれぞれが、水栓機能ユニット18の上側ケーシング部材74の外側面に組み付けられる。
そして、この水栓機能ユニット18が外殻部材208の支柱部208aの下端部から収納領域S1内の高さ補正部材282及び二次側流路形成部材62の内側に挿入される。
これらの結果、水栓機能ユニット18は、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内において、二次側流路形成部材62の内部に水密に接続された状態になる。このとき、水栓機能ユニット18は、スペーサ部材66により二次側アダプタ部材264に向って押圧されて状態で保持されている。
また、図15図16図18及び図19に示すように、Cリング32及び固定部材36が外殻部材208の支柱部208aの上端部に取り付けられると、水栓機能ユニット18が外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内に完全に固定される。
さらに、図19に示すように、シングルレバーカートリッジ54のレバー54cの上端部が、操作ハンドル2の接続穴2aに挿入されて接続された状態でビス38aによって固定されると、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内における水栓機能ユニット18の組み付けが完了となる。
【0090】
図15図20に示すように、上述した本発明の第3実施形態による水栓装置200によれば、二次側アダプタ部材264が外殻部材208の支柱部208aの軸方向端部から収納領域S201に挿入可能な寸法又は形状に形成されている。これにより、二次側アダプタ部材264を外殻部材208の支柱部208aの軸方向端部から収納領域S201内に単純に挿入するだけで、外殻部材208の支柱部208a内の収納領域S201に容易に収納して組み付けることができる。
その後、二次側流路形成部材62、水栓機能ユニット18及びスペーサ部材66のそれぞれについても、外殻部材208の支柱部208aの軸方向端部から収納領域S201内に単純に挿入するだけで、水栓機能ユニット18についてスペーサ部材66により二次側アダプタ部材64に向って押圧した状態で保持することができる。
よって、二次側流路形成部材62、水栓機能ユニット18及びスペーサ部材66のそれぞれについて、外殻部材208の支柱部208a内の収納領域S201に容易に収納して組み付けることができる。
したがって、水栓装置200の組み立ての際、外殻部材208の支柱部208aを切断したり、破壊したりすることも回避することができるため、水栓装置200の組立性やデザイン性を向上させることができる。
【0091】
さらに、本実施形態による水栓装置200によれば、図16及び図17に示すように、スパウト側流路形成部材268及び吐水口形成部材270のそれぞれについては、予めスパウト側流路形成部材268の下流側端部268c(被接続部)が吐水口形成部材270の接続受け部270bに接続されて組み付けられた状態で、外殻部材208のスパウト部208bの先端部208d側(吐水口206側)から挿入可能になっている。
これにより、例えば、外殻部材208のスパウト部208bの形状が基端部208cから先端部208dまで細長く延びた形状であっても、スパウト側流路形成部材268を外殻部材208のスパウト部208bの先端部208d側から挿入して簡単に組み付けることができる。
【0092】
また、本実施形態による水栓装置200によれば、水栓機能ユニット18の外側に設けられた高さ補正部材282が二次側アダプタ部材264及びスペーサ部材66の下側から支持し、それぞれの高さ位置を補正することができる。
したがって、水栓装置200の種類に応じて高さ補正部材282を調整するだけで、二次側アダプタ部材264及びスペーサ部材66を水栓装置200の種類に応じた様々な高さ位置に対応することができるため、水栓装置200の設計の自由度を向上させることができる。
【0093】
本実施形態による水栓装置200によれば、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内の水栓機能ユニット18の外側面と二次側アダプタ部材264との間において、二次側流路形成部材62が概ね円柱状の水栓機能ユニット18に対して周方向に回転可能に設けられている。これにより、二次側アダプタ部材64が二次側流路形成部材62と共に一体的に水栓機能ユニット18に対して回転することができる。
また、外殻部材208のスパウト部208bについても、二次側アダプタ部材264及び二次側流路形成部材62と一体的に水栓機能ユニット18に対して周方向に回転することができる。
したがって、水栓装置200の設計の自由度を向上させることができ、水栓装置2000の使い勝手もよい。
【0094】
また、本実施形態による水栓装置200によれば、二次側アダプタ部材264の環状溝264h、及び、この環状溝264hに嵌め込まれた状態の弾性シール部材80のそれぞれが、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材264との間に二次側流路形成部材62を位置決めする手段として機能することができる。
これにより、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内の水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材264との間において、二次側流路形成部材62の周方向及び上下方向の位置決めが可能となる。よって、外殻部材208の支柱部208aの収納領域S201内の二次側アダプタ部材264に対する二次側流路形成部材62の相対的な位置を固定することができる。
また、二次側流路形成部材62と二次側アダプタ部材264との相対的な位置が正確に決まることにより、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材264との相対的な位置が二次側流路形成部材62を介して正確に決まる。これにより、水栓機能ユニット18と二次側アダプタ部材264と間の内部流路(二次側流路形成部材62の内側の二次側流路78)を精度よく設けることができる。
したがって、水栓装置200の組立性を向上させることができる。
【0095】
なお、上述した本発明の第1~第3実施形態による水栓装置1,100,200に用いられる金属製のケーシング部材40,140においては、外殻部材8,208の支柱部8a,208a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね円筒形状に形成されている形態について説明した。
しかしながら、本実施形態では、金属製のケーシング部材の形状については、必ずしも全周に亘って連続的に形成された完全な円筒形状に限られず、半円筒形状であってもよいし、この半円筒よりも周方向に延びて且つ完全な円筒未満の形状や、半円筒未満の形状等であってもよい。要するに、金属製のケーシング部材の形状については、少なくとも半円筒形状に形成された形状であってもよいし、半円筒未満の板形状であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 本発明の第1実施形態による水栓装置
2 操作ハンドル
2a 接続穴
4 スパウト
6 吐水口
8 外殻部材
8a 支柱部
8b スパウト部
8c スパウト部の基端部
8d スパウト部の先端部
8e 位置決め用段部
8f 凹部
10 湯供給管(一次側流路)
12 水供給管(一次側流路)
14 固定金具
14a 把持金具
14b 締結金具
16 台座部材
16a 通湯穴
16b 通水穴
16c 湯側接続受け部
16d 水側接続受け部
16e 係合穴
16f ナット部
16g 湾曲部
16h テーパ部
18 水栓機能ユニット
20 下側下方シール保持部材
22 下方シール部材
24 上側下方シール保持部材
24a 突起
24b 突起
24c 突起
26 下側上方シール保持部材
26a 突起
26b 突起
26c 突起
28 上方シール部材
30 上側上方シール保持部材
32 Cリング(固定部材、規制部)
34 シール部材
36 固定部材
38 留め具
38a ビス
38b キャップ
40 ケーシング部材
42 軸シール部材
42a 湯側軸シール部材
42b 水側軸シール部材
44 湯供給管(一次側流路)
44a 下側被接続部
44b 上側被接続部
46 水供給管(一次側流路)
46a 下側接続部
46b 上側接続部
48 軸シール部材
48a 湯側軸シール部材
48b 水側軸シール部材
50 一次側アダプタ部材
50a 通湯穴
50b 通水穴
50c 湯側接続部
50d 水側接続部
50e 係合穴
50f 取付穴
52 弁座部材(接続部材)
52a 通湯穴
52b 通水穴
52c 突起
54 シングルレバーカートリッジ
54a シングルレバーカートリッジの固定弁体
54b シングルレバーカートリッジの可動弁体(開閉弁)
54c シングルレバーカートリッジのレバー
54d シングルレバーカートリッジ内の通湯路(一次側流路)
54e シングルレバーカートリッジ内の通水路(一次側流路)
54f シングルレバーカートリッジ内の湯水混合路(二次側流路)
54g シングルレバーカートリッジの湯水混合路の流出口
56 カートリッジ押さえ部材(固定部材)
56a 雄ねじ
56b 取付溝
58 台座部材保持用の機械的係合ピン
60 一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン
62 二次側流路形成部材(流路形成部材)
62a 流出穴(第2流出穴)
64 二次側アダプタ部材
64a 流路
64b 流入口
64c ベース部
64d 突出部
64e 二次側アダプタ部材の左右方向の一端
64f 二次側アダプタ部材の左右方向の他端
64g 位置決め用段部
64h 環状溝(位置決め手段)
66 スペーサ部材
66a スペーサ部材の周方向の左右一端
66b スペーサ部材の周方向の左右他端
66c 傾斜部
66d 位置決め用段部
68 スパウト側流路形成部材
68a スパウト流路(スパウト部内の二次側流路)
68b 上流側端部
68c 下流側端部
70 吐水口形成部材
70a 流路
70b 被接続部
70c 整流部
72 下側ケーシング部材
72a 下方ピン係合穴
72b 上方ピン係合穴
72c 上方開口縁部
74 上側ケーシング部材
74a 上側ケーシング部材の底部
74b 上側ケーシング部材のフランジ部
74c 上側ケーシング部材の底部の湯側連通穴
74d 上側ケーシング部材の底部の水側連通穴
74e 上側ケーシング部材の底部の取付穴
74f 上側ケーシング部材の側面の流出穴(第1流出穴)
74g 上側ケーシング部材の側面の下方突起係合穴
74h 上側ケーシング部材の側面の上方突起係合穴
76 上部円環部材
76a 雌ねじ
78 二次側流路
80 弾性シール部材(位置決め手段)
100 本発明の第2実施形態による水栓装置
118 水栓機能ユニット
140 ケーシング部材
150 接続部材
150a 係合穴
150b 通水穴
152 シール部材
172 円筒ケーシング部材
172a 下方ピン係合穴
172b 上方ピン係合穴
172c 流出穴
176 上部円環部材
176a 雌ねじ
178 二次側流路
200 本発明の第3実施形態による水栓装置
206 吐水口
208 外殻部材
208a 支柱部
208b スパウト部
208c スパウト部の基端部
208d スパウト部の先端部
264 二次側アダプタ部材
264a 係合溝
264b 係合溝
264c 最下端部
264d 左右一端部
264e 左右他端部
264f 突出部
264g 流路
264h 環状溝(位置決め手段)
264i 流入口
268 スパウト側流路形成部材
268a スパウト流路(スパウト部内の二次側流路)
268b 上流側端部
268c 下流側端部
270 吐水口形成部材
270a 流路
270b 接続受け部
270c 整流部
282 高さ補正部材
282a 第1突起
282b 第1突起
282c 第2突起
282d 第2突起
282e 第1上端面
282f 第2上端面
A1 回転中心軸線、軸方向の中心軸線
A201 回転中心軸線、軸方向の中心軸線
D1 一次側アダプタ部材の外径
D2 弁座部材の外径
d1 クリアランス
d2 クリアランス
d3 クリアランス
d4 クリアランス
F1 設置面
h201 第1突起の高さ寸法
h202 高さ補正部材の第1上端面に対する第2上端面の高さ寸法
h203 第2突起の高さ寸法
w201 第1突起の上端同士の間隔
w202 第2突起の上端同士の間隔
S1 外殻部材の支柱部内の水栓機能ユニットの収納領域
S201 外殻部材の支柱部内の水栓機能ユニットの収納領域
S202 高さ補正部材の第1突起同士の間の領域
S203 高さ補正部材の第1突起と第2突起との間の領域
S204 高さ補正部材の第1突起と第2突起との間の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20