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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】管継手の施工方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20220506BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
F16L5/00 J
F16L5/00 B
E03C1/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018126537
(22)【出願日】2018-07-03
(62)【分割の表示】P 2018111191の分割
【原出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019215070
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】井村 元
(72)【発明者】
【氏名】篠田 祐作
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-203648(JP,A)
【文献】特開2002-121795(JP,A)
【文献】特開2002-167987(JP,A)
【文献】特開2015-086956(JP,A)
【文献】米国特許第07185670(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/00
E03C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定具が挿通される固定用孔を周方向に間隔をおいて複数有する円板状のフランジが継手本体の端部に螺合され、前記端部に対する前記フランジの螺合位置を変更可能であり、前記複数の前記固定用孔のうち、前記継手本体に対する前記フランジの前記螺合位置に対応した一部の前記固定用孔を用いて施工面に固定され、前記フランジの前記螺合位置に対応しない残りの前記固定用孔は前記固定に用いない管継手の施工方法であって、
前記固定に用いる前記固定用孔と前記固定に用いない前記固定用孔とをそれぞれ特定する特定工程と、
前記固定に用いる前記固定用孔に前記固定具を挿通して前記フランジを前記施工面に固定する固定工程と、
前記固定に用いない前記固定用孔を遮蔽部材で遮蔽する遮蔽工程と、
前記固定に用いた前記固定具を露出させた状態でかつ前記固定に用いない前記固定用孔を前記遮蔽部材にて遮蔽した状態で行う前記固定の確認工程と
を有する管継手の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
壁に固定される管継手としては、例えば特許文献1に示されるように、壁に設けられた貫通孔に挿通される継手本体と、上記壁の第1面側に位置するよう継手本体に設けられている第1フランジと、上記壁の第2面側に位置するよう継手本体に取り付けられる第2フランジと、を備えたものが知られている。また、上記管継手においては、継手本体を壁に対し固定するため、ビスを第2フランジから壁を介して第1フランジに打ち込むことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-35051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な管継手の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の管継手の施工方法は、固定具が挿通される固定用孔を周方向に間隔をおいて複数有する円板状のフランジが継手本体の端部に螺合され、前記端部に対する前記フランジの螺合位置を変更可能であり、前記複数の前記固定用孔のうち、前記継手本体に対する前記フランジの前記螺合位置に対応した一部の前記固定用孔を用いて施工面に固定され、前記フランジの前記螺合位置に対応しない残りの前記固定用孔は前記固定に用いない管継手の施工方法であって、前記固定に用いる前記固定用孔と前記固定に用いない前記固定用孔とをそれぞれ特定する特定工程と、前記固定に用いる前記固定用孔に前記固定具を挿通して前記フランジを前記施工面に固定する固定工程と、前記固定に用いない前記固定用孔を遮蔽部材で遮蔽する遮蔽工程と、前記固定に用いた前記固定具を露出させた状態でかつ前記固定に用いない前記固定用孔を前記遮蔽部材にて遮蔽した状態で行う前記固定の確認工程とを有する。
【0006】
上記方法によれば、管継手のフランジが固定具によって施工面に固定されていることを確認工程で確認するときには、上記フランジに形成された固定用孔のうち固定具が挿通されていない固定用孔、言い換えれば上記固定に用いられていない固定用孔が遮蔽部材で遮蔽されている。このため、確認工程において、上記固定に用いられていない固定用孔に対し、固定具が未挿通であるとの誤認がなされてしまい、不必要に固定具の挿通が行われることを抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】壁に固定された管継手を示す断面図。
図2】管継手における継手本体の端部に対する各部品の取付態様を示す斜視図。
図3】管継手及びその締付リングを示す正面図。
図4】管継手用の施工補助具を示す正面図。
図5】壁に対する管継手の施工手順を示す斜視図。
図6】壁に対する管継手の施工手順を示す斜視図。
図7】壁に対する管継手の施工手順を示す斜視図。
図8】施工補助具の使用態様を示す正面図。
図9】締付リングに対し施工補助具の遮蔽部を貼り付けた状態を示す正面図。
図10】管継手の固定に用いられるビスの打ち込み態様を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、管継手の一実施形態について、図1図10を参照して説明する。
図1に示すように、管継手1の継手本体2としては例えばL字状のものがある。この継手本体2では、一方の端部2a(図1の上端部)にパイプ3が接続されるとともに、他方の端部2b(図1の右端部)に給水栓等を接続することが可能となっている。なお、パイプ3の端部には、金属製の筒状をなすインコア4が挿入されている。このインコア4がパイプ3内に没入することは同インコア4の端部に形成されたフランジ4aによって抑制されている。
【0011】
継手本体2における一方の端部2aの内側には、上記パイプ3の端部を収容する収容部5が形成されている。この収容部5の内奥には段差部6が形成されている。同収容部5の内周面には、端部2aの中心線(軸線)方向に互い間隔をおいて二つのOリング7,8が配置されている。また、収容部5の内周面において、Oリング7,8よりも端部2aの開口寄りの部分には、スペーサ9を挟んだ一対のロックリング10,11が、端部2aの開口に挿入された押輪12によって保持されている。この押輪12の外周面と上記端部2aの開口部の内周面との間は、Oリング13によってシールされている。
【0012】
そして、継手本体2における端部2aの収容部5には、パイプ3の端部が上記端部2aの開口から挿入される。詳しくは、パイプ3の端部に挿入されたインコア4が収容部5内の上記段差部6に突き当たるようになるまで、同パイプ3の端部が収容部5内に挿入される。このときには、パイプ3の端部がOリング7,8、スペーサ9、ロックリング10,11、及び押輪12を貫通した状態となる、そして、ロックリング10,11がパイプ3の外周面に押圧されることにより、そのパイプ3の収容部5からの抜け出しが防止される。更に、このときにはOリング7,8がパイプ3の外周面に接触した状態となり、それによって継手本体2内を流れる流体(水等)がパイプ3の外周面と収容部5の内周面との間から管継手1の外に漏れることは抑制される。
【0013】
継手本体2における他方の端部2bは、壁14に設けられた貫通孔15に挿通されるようになっている。また、上記端部2bの内側には給水栓等をねじ込むことが可能な雌ねじ部16が形成されている一方、端部2bの外周面には雄ねじ部17(図2)が形成されている。継手本体2の端部2bにおける壁14の第1面側(図1の左面側)の部分には、ナット18、供回り防止プレート19、及びゴムパッキン20が設けられている。また、継手本体2の端部2bにおける壁14の第2面側(図1の右面側)の部分には、ゴムパッキン21、スベリパッキン22、及び締付リング23が設けられている。
【0014】
図2に示すように、継手本体2の端部2bの外周面(雄ねじ部17)における図2の上端部及び下端部にはそれぞれ、互いに平行となる平面状の平坦部24,25(図2には上端部24のみ図示)が形成されている。また、上記ナット18、供回り防止プレート19、ゴムパッキン20、ゴムパッキン21、スベリパッキン22、及び締付リング23はそれぞれ、孔18a,19a,20a,21a,22a,23aを有する板状に形成されている。そして、上記ナット18、供回り防止プレート19、ゴムパッキン20、ゴムパッキン21、スベリパッキン22、及び締付リング23は、それらの孔18a,19a,20a,21a,22a,23aを継手本体2の端部2bが順に貫通した状態となっている。
【0015】
上記ナット18は多角形の板状に形成されている。また、ナット18の孔18aの内周面には、端部2bの雄ねじ部17と螺合する雌ねじ18bが形成されている。従って、ナット18を端部2bの中心線(軸線)周りに回転させると、上記雄ねじ部17及び上記雌ねじ18bを通じて端部2bに対するナット18の螺合位置が変わり、それに伴いナット18が端部2bの軸線方向に変位する。また、ナット18の外周縁26及び内周縁27は、図1に示すように端部2bの開口から離れる方向に突出した形状を有しており、それによって外周縁26と内周縁27との間の部分よりも厚肉とされている。なお、こうしたナット18は、壁14の第1面側に位置するよう継手本体2に設けられる第1フランジとしての役割を担う。
【0016】
図2に示す上記供回り防止プレート19は、ナット18における端部2bの軸線周りの回転を規制するためのものである。この供回り防止プレート19の孔19aを貫通する端部2bの雄ねじ部17は、上記孔19aの内周面とは螺合していない。このため、供回り防止プレート19は、端部2bに対しその軸線方向にスライド移動させることが可能となっている。また、供回り防止プレート19における孔19aの内周面には、端部2bの雄ねじ部17に形成された平坦部24,25に対し面接触することにより、供回り防止プレート19における端部2bの軸線周りの同端部2bに対する相対回転を規制する一対の面接触部19bが形成されている。一方、供回り防止プレート19の外縁には、ナット18側に突出して同ナット18の外縁と面接触する突起19cが形成されている。そして、このように突起19cをナット18の外縁と面接触させることにより、ナット18の端部2bの軸線周りにおける同端部2bに対する相対回転が、供回り防止プレート19を通じて規制されるようになる。
【0017】
上記ゴムパッキン20の孔20a、上記ゴムパッキン21の孔21a、及び上記スベリパッキン22の孔22aを貫通する端部2bの雄ねじ部17は、それら孔20a,21a,22aの内周面とも螺合していない。このため、ゴムパッキン20、ゴムパッキン21、及びスベリパッキン22も、端部2bに対しその軸線方向にスライド移動させることが可能となっている。なお、図1に示すように、ゴムパッキン20はナット18及び供回り防止プレート19と壁14の第1面(図1の左面)との間に配置される一方、ゴムパッキン21及びスベリパッキン22は壁14の第2面(図1の右面)と締付リング23との間に配置される。
【0018】
上記締付リング23においては、その孔23aの内周面に端部2bの雄ねじ部17と螺合する雌ねじ23bが形成されている。従って、締付リング23を端部2bの軸線周りに回転させると、上記雄ねじ部17及び上記雌ねじ23bを通じて端部2bに対する締付リング23の螺合位置が変わり、それに伴い締付リング23が端部2bの軸線方向に変位する。なお、こうした締付リング23は、壁14(図1)の第2面側に位置するよう継手本体2に設けられる第2フランジとしての役割を担う。
【0019】
図3に示すように、締付リング23における孔23aの周囲には、複数(この例では四つ)の固定用孔28が締付リング23の周方向に等間隔をおいて形成されており、且つ、一対の工具用穴29が締付リング23の中心線を挟む対称位置に形成されている。なお、上記固定用孔28は、継手本体2を壁14(図1)に固定するビス30(固定具)を挿通するためのものである。また、上記工具用穴29は、締付リング23を端部2bに対し同端部2bの軸線周りに工具を用いて回転させるためのものである。
【0020】
管継手1(継手本体2)は、ビス30を締付リング23から壁14を介してナット18に打ち込むことにより、その壁14に対し相対回転不能に固定される。詳しくは、締付リング23における複数の固定用孔28のうち、互いに最も離れた位置にある二つの固定用孔28を選択してビス30を挿通する。更に、そのビス30を、図1に示す締付リング23、スベリパッキン22、ゴムパッキン21、壁14、ゴムパッキン20、供回り防止プレート19を介して、ナット18に打ち込む。これにより、締付リング23が複数の固定用孔28のうちの一部を用いて壁14の第2面(施工面)に固定され、ひいては管継手1(継手本体2)が壁14に対し相対回転不能に固定されるようになる。
【0021】
次に、壁14に対する管継手1の上記施工(固定)の際に用いられる管継手用の施工補助具について説明する。
図4に示すように、施工補助具31は、剥離面32aを有するベースシート32と、そのベースシート32における剥離面32aのほぼ全体に対し糊によって仮止めされているラベル33と、を備えている。ベースシート32及びラベル33の中央部には、継手本体2の端部2b(図3)を挿通可能な挿通孔34が形成されている。
【0022】
この挿通孔34の内周面における図4の上端部及び下端部には、継手本体2における端部2bの雄ねじ部17に形成された平坦部24,25に対し線接触する線接触部34aが形成されている。これら線接触部34aは、継手本体2の端部2bが施工補助具31の挿通孔34に挿通されたとき、上記平坦部24,25との線接触を通じて端部2bに対し係合することにより、その端部2b(継手本体2)に対し端部2bの軸線周りでの施工補助具31の位置を決める位置決め部として機能する。
【0023】
ベースシート32及びラベル33における挿通孔34の周囲には、上述したように端部2b(図3)に対しその軸線周りでの施工補助具31の位置決めを行ったとき、締付リング23における互いに最も離れた位置にある二つの固定用孔28を露出させるための二つの露出部35が、挿通孔34の周方向に等間隔をおいて形成されている。これら露出部35に関しては、端部2bに対し施工補助具31が位置決めされたとき、締付リング23の固定用孔28が継手本体2の端部2aに対応する部分を避けるよう位置している場合に、上記固定用孔28が上記露出部35を介して露出されるよう形成されている。
【0024】
また、ラベル33における挿通孔34の周囲であって露出部35の間の部分、言い換えれば挿通孔34の周方向において露出部35とは別の位置に、同ラベル33から切り離して上記剥離面32aから剥がすことにより、粘着シールとすることが可能な遮蔽部36が設けられている。なお、この例では遮蔽部36が二つ設けられている。これら遮蔽部36に関しては、上述したように端部2b(図3)に対しその軸線周りでの施工補助具31の位置決めを行ったとき、工具用穴29を遮蔽するように、且つ、露出部35を介して露出する固定用孔28以外の固定用孔28を遮蔽するように形成されている。
【0025】
次に、管継手1の施工方法について説明する。
図5に示すように、管継手1を壁14に固定する際には、継手本体2の端部2aに対しパイプ3を接続しておき、更に継手本体2の端部2bに対しナット18、供回り防止プレート19、及びゴムパッキン20を取り付ける。ちなみに、端部2bに対するその軸線方向についてのナット18の取り付け位置に関しては、ナット18を端部2bの軸線周りに回転させて同端部2bに対するナット18の螺合位置を変えることによって調整することができる。そして、こうした端部2bに対するナット18の取り付け位置の調整後、端部2bに取り付けられた供回り防止プレート19によってナット18の端部2bに対する軸線周りについての相対回転が規制され、更に端部2bに対するゴムパッキン20の取り付けが行われる。
【0026】
なお、ゴムパッキン20の孔20aの内径は、継手本体2の端部2bの外径よりも小径とされている。このため、継手本体2の端部2bに対しナット18、供回り防止プレート19、及びゴムパッキン20の順で取り付けを行うことによって、それらを端部2bが貫通した状態となったときには、ゴムパッキン20が端部2bに対し密着して供回り防止プレート19の端部2bからの脱落を防止するストッパとなる。
【0027】
ナット18、供回り防止プレート19、ゴムパッキン20が取り付けられた端部2bの先端には、その端部2bを壁14の貫通孔15に挿通する際に用いられる取り出し治具37が取り付けられる。この取り出し治具37は、端部2b内の雌ねじ部16(図1)に対し螺合される本体38と、その本体38に取り付けられている所定長さのチェーン40とを備えている。そして、パイプ3が接続された管継手1(継手本体2)を壁14の上部に配置した状態で、継手本体2の端部2bに取り付けられた取り出し治具37のチェーン40を、壁14の貫通孔15に対応して位置するように下に垂らす。
【0028】
そして、貫通孔15を介してチェーン40を壁14における管継手1と反対側に引っ張り出すことにより、継手本体2の端部2bが貫通孔15に挿通される。このように端部2bが貫通孔15に挿通されたときには、端部2bの先端外周が壁14から突出して雄ねじ部17が露出するようになっている。すなわち、このときに雄ねじ部17が露出するよう、壁14の厚さに応じて端部2bに対するその軸線方向についてのナット18の取り付け位置が予め調整されている。端部2bが壁14の貫通孔15に挿通された状態のもと、壁14から露出する端部2bの先端外周に対し図2に示すゴムパッキン21、スベリパッキン22、及び締付リング23が取り付けられる。
【0029】
図6は、このように端部2bの先端外周に対しゴムパッキン21、スベリパッキン22、及び締付リング23を取り付けた状態を示している。この状態で、取り出し治具37を継手本体2の端部2bから取り外し、図7に示す工具41を用いた締付リング23の締め付けが行われる。この工具41は、所定の長さを有する本体バー42と、その本体バー42の長手方向の中央部に対し回動可能に支持された可動バー43と、を備えている。本体バー42の先端部にはピン42aが設けられている一方、可動バー43の先端部にはピン43aが設けられている。
【0030】
管継手1を壁14に固定するための同管継手1の施工方法では、後述する螺合工程、特定工程、固定工程、遮蔽工程、及び確認工程が順に行われる。以下、これらの各工程について個別に詳しく説明する。
【0031】
[螺合工程]
この工程では、工具41によって締付リング23の工具用穴29を介して同締付リング23を継手本体2の端部2bに対し螺合する。詳しくは、図7に示すように、工具41のピン42a,43aを締付リング23の工具用穴29に差し込み、その状態で工具41を介して締付リング23を端部2bの軸線周りに回転させる。その結果、端部2bに対する締付リング23の螺合位置が変わり、それに伴い締付リング23が端部2bの軸線方向に変位する。そして、締付リング23が端部2bの軸線方向において壁14側に変位するよう、同締付リング23を工具41によって端部2bに対し相対回転させることにより、その締付リング23の締め付けが行われる。なお、締付リング23を端部2bに対し相対回転させることによって同端部2bに対する締付リング23の螺合位置を変えると、その締付リング23に形成されている固定用孔28の同締付リング23の周方向についての位置も変わる。
【0032】
[特定工程]
この工程では、締付リング23における複数の固定用孔28のうち、管継手1の固定に用いる固定用孔28と上記固定に用いない固定用孔28とをそれぞれ特定する。詳しくは、図8に示すように、壁14から露出する端部2bが施工補助具31の挿通孔34に挿通されるよう、同施工補助具31を壁14に接している締付リング23にあてがう。このときの施工補助具31については、挿通孔34の線接触部34aと上記端部2bの平坦部24,25との線接触を通じて同端部2bに対し係合し、その係合によって端部2bに対する軸線周りについての位置決めが行われる。
【0033】
上述したように施工補助具31が端部2bに対し位置決めされたとき、施工補助具31における二つの露出部35から露出する固定用孔28があれば、それら固定用孔28が壁14に対する管継手1の固定に用いるべきものであると特定できる。また、上記施工補助具31が端部2bに対し位置決めされたとき、上記固定に用いるべき固定用孔28以外の固定用孔28については、施工補助具31の遮蔽部36によって遮蔽されるため、そうした遮蔽を通じて同固定用孔28が上記固定に用いない固定用孔28であると特定できるようになる。また、このときには工具用穴29も施工補助具31の遮蔽部36によって遮蔽される。
【0034】
なお、施工補助具31が端部2bに対し位置決めされたとき、露出部35から露出する固定用孔28がなければ、同露出部35からいずれかの固定用孔28が露出するよう端部2bに対する締付リング23の螺合位置が調整される。詳しくは、露出部35からいずれかの固定用孔28が露出するよう、図7に示す工具41を用いて端部2bの軸線周りについての同端部2bに対する締付リング23の相対位置が調整される。
【0035】
[固定工程]
この工程では、図8に示すように、施工補助具31の露出部35から露出した固定用孔28、すなわち上記固定に用いる固定用孔28にビス30を挿通して締付リング23を壁14に固定する。詳しくは、上記ビス30が、図1に示す締付リング23、スベリパッキン22、ゴムパッキン21、壁14、ゴムパッキン20、供回り防止プレート19を介して、ナット18に打ち込まれる。これにより、締付リング23が上記固定用孔28を用いて壁14の施工面(図1の右面)に固定され、ひいては管継手1が壁14に対し相対回転不能に固定されるようになる。
【0036】
このように管継手1の壁14に対する固定が行われるとき、工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28については、施工補助具31の遮蔽部36によって遮蔽されている。このため、工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28に対し、誤ってビス30を挿通してしまうことは抑制されるようになる。ちなみに、仮に上記固定に用いない固定用孔28にビス30を挿通して壁14側に打ち込んだとすると、そのビス30が壁14等を貫通したときに継手本体2における端部2aに打ち込まれるおそれがあるが、こうしたことが生じることは抑制される。
【0037】
[遮蔽工程]
この工程では、施工補助具31を継手本体2の端部2bから取り外した状態で、締付リング23の工具用穴29、及び、上記固定に用いない固定用孔28を遮蔽することが行われる。詳しくは、施工補助具31を端部2bから取り外した後、ラベル33から遮蔽部36を切り離してベースシート32の剥離面32aから剥がし、その剥がした遮蔽部36を粘着シールとして図9に示すように締付リング23に対し工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28を遮蔽するよう貼り付ける。なお、粘着シールとして締付リング23に対し貼り付けられた上記遮蔽部36は、締付リング23の工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28を遮蔽する遮蔽部材としての役割を担う。
【0038】
[確認工程]
この工程は、壁14に対し管継手1を固定するためのビス30が適正な固定用孔28を介して打ち込まれているか否かを確認するためのものである。こうした確認は、図9に示すように遮蔽部36を粘着シールとして締付リング23に対し貼り付けることにより、工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28を遮蔽した状態で、且つ、ビス30が挿通した固定用孔28(上記固定に用いる固定用孔28)を露出させた状態で行う。このため、上記確認の際、締付リング23の工具用穴29及び上記固定に用いられていない固定用孔28に対し、ビス30が未挿通であるとの誤認がなされてしまい、不必要にビス30の挿通及び打ち込みが行われることを抑制できる。
【0039】
また、上記遮蔽部36を粘着シールとして締付リング23に対し貼り付けることにより、工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28を遮蔽部36で遮蔽したままにすることができる。このように締付リング23における工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28を上記遮蔽部36で遮蔽した状態に保持することにより、上記確認時に工具用穴29及び上記固定に用いない固定用孔28に対し誤ってビス30を挿通してしまうことが一層効果的に抑制される。
【0040】
次に、本実施形態における管継手1の作用について説明する。
図10に示すように、管継手1を壁14に対し固定するためのビス30は、締付リング23の固定用孔28に挿通された状態で、作業者によって締付リング23側からナット18側に打ち込まれる。このビス30が締付リング23の固定用孔28の中心線に対し傾くことなく適正に打ち込まれた場合、図10の上側に位置するビス30のようになる。すなわち、上記ビス30が、締付リング23の固定用孔28、スベリパッキン22、ゴムパッキン21、壁14、ゴムパッキン20、供回り防止プレート19、及び、ナット18における外周縁26と内周縁27との間の部分を貫通する。
【0041】
一方、作業者によって締付リング23側からナット18側に打ち込まれるビス30が締付リング23の固定用孔28の中心線に対し傾いていると、そのビス30の打ち込み方向の先端部(図10の左端部)が締付リング23の外周縁26寄りもしくは内周縁27寄りに振れた状態となる。なお、図10の一点鎖線L1は、ビス30の打ち込み方向の先端部が締付リング23の外周縁26寄りに振れた状態で、そのビス30を打ち込んだときの同ビス30の移動軌跡を示している。また、図10の一点鎖線L2は、ビス30の打ち込み方向の先端部が締付リング23の内周縁27寄りに振れた状態で、そのビス30を打ち込んだときの同ビス30の移動軌跡を示している。
【0042】
上述したようにビス30が固定用孔28の中心線に対し傾いた状態で打ち込まれたと仮定すると、ナット18に対するビス30の打ち込みが不十分になって壁14に対し管継手1(継手本体2)を適正に固定できなくなったり、ビス30の先端部によって継手本体2の端部2bが傷ついたりするおそれがある。
【0043】
しかし、仮にビス30が固定用孔28の中心線に対し傾いた状態で打ち込まれ、それによってビス30の先端部が厚肉となった上記外周縁26や上記内周縁27にさしかかると、外周縁26の内側の周面26aや内周縁27の外側の周面27aに対するビス30の傾斜角度に応じて次のような現象が生じる。
【0044】
すなわち、ビス30の先端部が外周縁26寄りに振れており、且つ、外周縁26の周面26aに対するビス30の傾斜角度が比較的小さい場合には、ビス30の先端部が上記周面26aによって同ビス30の傾きをなくす方向に変位するようガイドされ、それによってビス30が固定用孔28の中心線に対し傾かないよう正しく打ち込まれる。
【0045】
また、ビス30の先端部が外周縁26寄りに振れており、且つ、外周縁26の周面26aに対するビス30の傾斜角度が比較的大きい場合には、外周縁26が厚肉とされているため、ビス30の先端部が上記外周縁26にさしかかることにより、ビス30の打ち込みに伴って作業者が受ける手応えに変化が生じる。そうした手応えの変化によって作業者は、ビス30が固定用孔28の中心線に対し傾いていることを知ることができるようになる。そして、ビス30が傾いていることを上記手応えにより知った作業者は、そのビス30を傾かないよう正しく打ち込み直すことができる。
【0046】
一方、ビス30の先端部が内周縁27寄りに振れており、且つ、内周縁27の周面27aに対するビス30の傾斜角度が比較的小さい場合には、ビス30の先端部が上記周面27aによって同ビス30の傾きをなくす方向に変位するようガイドされ、それによってビス30が固定用孔28の中心線に対し傾かないよう正しく打ち込まれる。
【0047】
また、ビス30の先端部が内周縁27寄りに振れており、且つ、内周縁27の周面27aに対するビス30の傾斜角度が比較的大きい場合には、内周縁27が厚肉とされているため、ビス30の先端部が上記内周縁27にさしかかることにより、ビス30の打ち込みに伴って作業者が受ける手応えに変化が生じる。そうした手応えの変化によって作業者は、ビス30が固定用孔28の中心線に対し傾いていることを知ることができるようになる。そして、ビス30が傾いていることを上記手応えにより知った作業者は、そのビス30を傾かないよう正しく打ち込み直すことができる。
【0048】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ビス30が締付リング23の固定用孔28の中心線に対し傾いた状態で打ち込まれることにより、壁14に対し管継手1(継手本体2)を適正に固定できなくなることを抑制できる。
【0049】
(2)ビス30が締付リング23の固定用孔28の中心線に対し傾いて同ビス30の先端部が上記内周縁27寄りに振れた状態となり、その状態のもとでビス30が打ち込まれることによって継手本体2の端部2bが同ビス30の先端部によって傷つき、端部2bからの流体漏れに繋がることを抑制できる。
【0050】
(3)ナット18の外周縁26及び内周縁27を厚肉とすることにより、同ナット18の強度を高めることができる。このため、締付リング23からナット18へのビス30の打ち込みによって管継手1が壁14に対し固定されたとき、ナット18に対しビス30からの力がかかるとしても、その力の作用によってナット18が変形することを抑制できる。
【0051】
(4)管継手1の端部2bに螺合されたナット18を、螺合位置の調整を通じて同端部2bの軸線方向に変位させることができる。そして、そうしたナット18の変位を通じて端部2bを壁14の貫通孔15に挿通させたときの同端部2bの壁14からの突出量を壁14の厚さ等に応じて調整することができ、同調整によって端部2bに対する締付リング23の適切な螺合代を確保することができる。
【0052】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ナット18の外周縁26と内周縁27との両方を厚肉に形成する代わりに、外周縁26と内周縁27との一方のみを厚肉に形成するようにしてもよい。
【0053】
・管継手1にナット18における端部2bの軸線周りの回転を規制するための供回り防止プレート19を設けることは必須ではない。例えば、ナット18を設ける代わりに継手本体2の端部2bに対しフランジを一体形成した場合、上記供回り防止プレート19を省略することができる。
【0054】
・供回り防止プレート19の突起19cを省略してもよい。
・締付リング23に工具用穴29を形成することは必須ではない。
・締付リング23の固定用孔28を壁14に対する管継手1の固定に必要な数(この例では二つ)だけ形成するようにしてもよい。
【0055】
・施工補助具31におけるラベル33の遮蔽部36については、必ずしも粘着シールとなるものである必要はない。
[その他の技術思想]
次に、上記実施形態から把握できる技術思想について記載する。
【0056】
(イ)固定具が挿通される固定用孔を周方向に間隔をおいて複数有する円板状のフランジが継手本体の端部に螺合され、前記端部に対する前記フランジの螺合位置を変更可能であり、前記複数の前記固定用孔のうち、前記継手本体に対する前記フランジの前記螺合位置に対応した一部の前記固定用孔を用いて施工面に固定され、前記フランジの前記螺合位置に対応しない残りの前記固定用孔は前記固定に用いない管継手の施工方法であって、
前記固定に用いる前記固定用孔と前記固定に用いない前記固定用孔とをそれぞれ特定する特定工程と、
前記固定に用いる前記固定用孔に前記固定具を挿通して前記フランジを前記施工面に固定する固定工程と、
前記固定に用いない前記固定用孔を遮蔽部材で遮蔽する遮蔽工程と、
前記固定に用いた前記固定具を露出させた状態でかつ前記固定に用いない前記固定用孔を前記遮蔽部材にて遮蔽した状態で行う前記固定の確認工程と
を有する管継手の施工方法。
【0057】
上記方法によれば、管継手のフランジが固定具によって施工面に固定されていることを確認工程で確認するときには、上記フランジに形成された固定用孔のうち固定具が挿通されていない固定用孔、言い換えれば上記固定に用いられていない固定用孔が遮蔽部材で遮蔽されている。このため、確認工程において、上記固定に用いられていない固定用孔に対し、固定具が未挿通であるとの誤認がなされてしまい、不必要に固定具の挿通が行われることを抑制できるようになる。
【0058】
(ロ)固定具が挿通される固定用孔と工具を掛けるための工具用穴とを有するフランジが継手本体に螺合された管継手の施工方法であって、
前記工具によって前記工具用穴を介して前記フランジを前記継手本体に螺合する螺合工程と、
前記固定具によって前記固定用孔を介して前記フランジを施工面に固定する固定工程と、
前記工具用穴を遮蔽部材で遮蔽する遮蔽工程と、
前記固定具を露出させた状態でかつ前記工具用穴を前記遮蔽部材にて遮蔽した状態で行う前記固定の確認工程と
を有する管継手の施工方法。
【0059】
上記方法によれば、管継手のフランジが固定具によって施工面に固定されていることを確認工程で確認するときには、上記フランジに形成された工具用穴が遮蔽部材で遮蔽されている。このため、確認工程において、上記工具用穴に対し、固定具を未挿通な固定用孔であるとの誤認がなされてしまい、不必要に固定具の挿通が行われることを抑制できるようになる。
【0060】
(ハ)固定具が挿通される固定用孔を周方向に間隔をおいて複数有する円板状のフランジが継手本体の端部に螺合され、前記端部に対する前記フランジの螺合位置を変更可能であり、前記複数の前記固定用孔のうち、前記継手本体に対する前記フランジの前記螺合位置に対応した一部の前記固定用孔を用いて施工面に固定され、前記フランジの前記螺合位置に対応しない残りの前記固定用孔は前記固定に用いない管継手の施工に用いられる施工補助具であって、
シート状をなすとともに、
前記継手本体の前記端部の先端が挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔の周囲に設けられた露出部と、
前記挿通孔の周囲において、前記露出部とは周方向の別の位置に設けられた遮蔽部と
を備え、
前記挿通孔は、前記継手本体の前記端部に対して係合することで、前記継手本体に対して前記端部の軸線周りでの位置を決める位置決め部を備え、
当該位置決め状態において、前記露出部は前記固定に用いる前記固定用孔を露出させ、前記遮蔽部は前記固定に用いない前記固定用孔を遮蔽する管継手用の施工補助具。
【0061】
上記構成によれば、管継手の継手本体を施工面に対し固定する際には、施工補助具の挿通孔が継手本体の端部に対し係合される。このとき、施工補助具における継手本体の上記端部の軸線周りについての位置が、同施工補助具の位置決め部により、次のように位置決めされる。すなわち、継手本体のフランジに形成されている複数の固定用孔のうち、上記固定に用いる固定用孔が施工補助具の露出部によって露出されるとともに、上記固定に用いない固定用孔が施工補助具の遮蔽部によって遮蔽されるよう、施工補助具の位置決めが行われる。そして、施工補助具の露出部によって露出されている上記固定用孔に固定具を挿通することにより、その固定具で継手本体のフランジが施工面に対し固定される。このとき、上記固定に用いない固定用孔については施工補助具の遮蔽部によって遮蔽されているため、その固定用孔に対し誤って固定具を挿通してしまうことは抑制される。
【0062】
(ニ)固定具が挿通される固定用孔と工具を掛けるための工具用穴とを周方向に間隔をおいて有する円板状のフランジが継手本体の端部に螺合され、前記工具によって前記工具用穴を介して前記フランジを前記継手本体に螺合させるとともに、前記固定具によって前記固定用孔を介して施工面に固定される管継手の施工に用いられる施工補助具であって、
シート状をなすとともに、
前記継手本体の前記端部の先端が挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔の周囲に設けられた露出部と、
前記挿通孔の周囲において、前記露出部とは周方向の別の位置に設けられた遮蔽部と
を備え、
前記挿通孔は、前記継手本体の前記端部に対して係合することで、前記継手本体に対して前記端部の軸線周りでの位置を決める位置決め部を備え、
当該位置決め状態において、前記露出部は前記固定用孔を露出させ、前記遮蔽部は前記工具用穴を遮蔽する管継手用の施工補助具。
【0063】
上記構成によれば、管継手の継手本体を施工面に対し固定する際には、施工補助具の挿通孔が継手本体の端部に対し係合される。このとき、施工補助具における継手本体の上記端部の軸線周りについての位置が、同施工補助具の位置決め部により、次のように位置決めされる。すなわち、継手本体のフランジに形成されている固定用孔が施工補助具の露出部によって露出されるとともに、同フランジに形成されている工具用穴が施工補助具の遮蔽部によって遮蔽されるよう、施工補助具の位置決めが行われる。そして、施工補助具の露出部によって露出されている上記固定用孔に固定具を挿通することにより、その固定具で継手本体のフランジが施工面に対し固定される。このとき、上記工具用穴については施工補助具の遮蔽部によって遮蔽されているため、その工具用穴に対し誤って固定具を挿通してしまうことは抑制される。
【0064】
(ホ)前記遮蔽部は粘着シールで構成されている前記(ハ)又は(ニ)に記載の管継手用の施工補助具。
上記構成によれば、継手本体の端部に対し位置決めされた施工補助具から遮蔽部を剥がして粘着シールとしてフランジに貼り付けることにより、同フランジにおける上記固定に用いない固定用孔や上記工具用穴を上記遮蔽部で遮蔽したままにすることができる。このようにフランジにおける上記固定に用いない固定用孔や上記工具用穴を上記遮蔽部で遮蔽した状態に保持することにより、上記固定に用いない固定用孔や上記工具用穴に対し誤って固定具を挿通してしまうことが一層効果的に抑制されるようになる。
【0065】
(へ)壁に設けられた貫通孔に挿通される継手本体と、
前記壁の第1面側に位置するよう前記継手本体に設けられている第1フランジと、
前記壁の第2面側に位置するよう前記継手本体に取り付けられる第2フランジと、
を備えており、
前記第2フランジから前記壁を介して前記第1フランジにビスを打ち込むことにより、前記継手本体が前記壁に対し固定される管継手であって、
前記第1フランジの外周縁及び内周縁の少なくとも一方が、それら外周縁と内周縁との間の部分よりも厚肉とされていることを特徴とする管継手。
(ト)固定具が挿通される固定用孔と工具を掛けるための工具用穴とを有するフランジが継手本体に螺合された管継手の施工方法であって、
前記工具によって前記工具用穴を介して前記フランジを前記継手本体に螺合する螺合工程と、
前記固定具によって前記固定用孔を介して前記フランジを施工面に固定する固定工程と、
前記工具用穴を遮蔽部材で遮蔽する遮蔽工程と、
前記固定具を露出させた状態でかつ前記工具用穴を前記遮蔽部材にて遮蔽した状態で行う前記固定の確認工程と
を有する管継手の施工方法。
上記方法によれば、管継手のフランジが固定具によって施工面に固定されていることを確認工程で確認するときには、上記フランジに形成された工具用穴が遮蔽部材で遮蔽されている。このため、確認工程において、上記工具用穴に対し、固定具を未挿通な固定用孔であるとの誤認がなされてしまい、不必要に固定具の挿通が行われることを抑制できるようになる。
【符号の説明】
【0066】
1…管継手、2…継手本体、2a…端部、2b…端部、3…パイプ、4…インコア、4a…フランジ、5…収容部、6…段差部、7…Oリング、8…Oリング、9…スペーサ、10…ロックリング、11…ロックリング、12…押輪、13…Oリング、14…壁、15…貫通孔、16…雌ねじ部、17…雄ねじ部、18…ナット、18a…孔、18b…雌ねじ、19…供回り防止プレート、19a…孔、19b…面接触部、19c…突起、20…ゴムパッキン、20a…孔、21…ゴムパッキン、21a…孔、22…スベリパッキン、22a…孔、23…締付リング、23a…孔、23b…雌ねじ、24…平坦部、25…平坦部、26…外周縁、26a…周面、27…内周縁、27a…周面、28…固定用孔、29…工具用穴、30…ビス、31…施工補助具、32…ベースシート、32a…剥離面、33…ラベル、34…挿通孔、34a…線接触部、35…露出部、36…遮蔽部、37…取り出し治具、38…本体、40…チェーン、41…工具、42…本体バー、42a…ピン、43…可動バー、43a…ピン。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10