(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】工作用粘土
(51)【国際特許分類】
G09B 19/10 20060101AFI20220506BHJP
C08L 1/08 20060101ALI20220506BHJP
C08L 3/02 20060101ALI20220506BHJP
C08L 3/00 20060101ALI20220506BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20220506BHJP
C08K 3/16 20060101ALI20220506BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20220506BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20220506BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20220506BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20220506BHJP
C08K 3/30 20060101ALI20220506BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
G09B19/10 D
C08L1/08
C08L3/02
C08L3/00
C08L83/04
C08K3/16
C08K3/20
C08K3/34
C08K5/053
C08K3/36
C08K3/30
C08K3/26
(21)【出願番号】P 2017009868
(22)【出願日】2017-01-23
【審査請求日】2020-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504080043
【氏名又は名称】有限会社アドバンス
(74)【代理人】
【識別番号】100087778
【氏名又は名称】丸山 明夫
(72)【発明者】
【氏名】坂口 龍辞
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-249811(JP,A)
【文献】特開平05-320513(JP,A)
【文献】特開2007-171517(JP,A)
【文献】特開2009-058823(JP,A)
【文献】特開2015-094926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0168054(US,A1)
【文献】特開2008-299132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 19/10
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材と、第1の糊剤と、第2の糊剤である塩化カルシウムと、粘着抑制成分と、水を練り合わせて成り、
前記骨材はタルクを含み、
前記第1の糊剤は、CMC、メチルセルロース、コーンスターチ、マンナン粉、多糖類から選ばれた1種以上を含み、
前記粘着抑制成分は、シリコーンオイル、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムから選ばれた1種以上を含
み、
前記骨材は12~36質量%、前記第1の糊剤は4~12質量%、前記第2の糊剤である塩化カルシウムは9~27質量%、前記粘着抑制成分は0.1~2質量%、前記水は40~60質量%の範囲であり、合計で100質量%である、
ことを特徴とする工作用粘土。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記骨材は、さらに、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、二酸化珪素、炭酸マグネシウム、
卵殻から選ばれた1種以上を含む、
ことを特徴とする工作用粘土。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、
前記第1の糊剤はCMCを必須的に含む、
ことを特徴とする工作用粘土。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れかに於いて、
前記粘着抑制成分はシリコーンオイルを必須的に含む、
ことを特徴とする工作用粘土。
【請求項5】
請求項4に於いて、
前記シリコーンオイルはジメチルポリシロキサンである、
ことを特徴とする工作用粘土。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼稚園や保育園或いは小学校等で用いられる工作用の粘土に関する。詳しくは、冷凍庫内等の低温環境下でも凍らず、手で持って温める程度の加熱により造形可能な程度に軟化し、べたつかず、さらさらした手触り感があり、伸展性があり、所望の形状を良好に造形でき、造形された形状を室温環境下で維持でき、その後、手で持って温める程度の再加熱により造形可能な程度に軟化して、再度、造形可能になるという優れた特性を備えた粘土に関する。
【背景技術】
【0002】
幼稚園や保育園或いは小学校等では、図工の教材として用いる粘土として、手触り感がさらさらしていてべたつかない、造形し易い等の特性を備えた粘土が望まれている。
例えば、特開2004-102163号公報(特許文献1)には、誤って口に入れても無害であり、臭いも無く、手への非付着性、伸展性、保形性、作業性、造形性に優れているという粘土組成物が開示されている。
また、特開平10-020768号公報(特許文献2)には、適度な硬さを有するとともに伸び易さを有し、また、適度な脆さといった創作し易さを有し、乾燥後は長期間堅牢さを維持し得るという軽量粘土が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-102163号公報
【文献】特開平10-020768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた特性を備えた粘土が望まれている。例えば、べたつかない、さらさらした手触り感がある、伸展性が有る、所望の形状を良好に造形できる、造形後は長期間に渡って形状を保持できる、等の特性を備えた粘土が望まれている。
【0005】
本発明は、冷凍庫内等の低温環境下でも凍らず、手で持って温める程度の加熱により造形可能な程度に軟化し、べたつかず、さらさらした手触り感があり、伸展性が有り、所望の形状を造形し易く、造形された形状を室温環境下で維持でき、その後、手で持って温める程度の再加熱により造形可能な程度に軟化して、再度、造形可能になるという特性を備えた粘土を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1A]、[2]~[5]のように記述され得る。
[1]構成1
骨材と、第1の糊剤と、第2の糊剤である塩化カルシウムと、粘着抑制成分と、水を練り合わせて成り、
前記骨材はタルクを含み、
前記第1の糊剤は、CMC、メチルセルロース、コーンスターチ、マンナン粉、多糖類から選ばれた1種以上を含み、
前記粘着抑制成分は、シリコーンオイル、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムから選ばれた1種以上を含む、
ことを特徴とする工作用粘度。
[1A]構成1A
骨材と、第1の糊剤と、第2の糊剤である塩化カルシウムと、粘着抑制成分と、水を練り合わせて成り、
前記骨材はタルクを含み、
前記第1の糊剤は、CMC、メチルセルロース、コーンスターチ、マンナン粉、多糖類から選ばれた1種以上を含み、
前記粘着抑制成分は、シリコーンオイル、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムから選ばれた1種以上を含み、
前記骨材は12~36質量%、前記第1の糊剤は4~12質量%、前記第2の糊剤である塩化カルシウムは9~27質量%、前記粘着抑制成分は0.1~2質量%、前記水は40~60質量%の範囲であり、合計で100質量%である、
ことを特徴とする工作用粘土。
[2]構成2
構成1Aに於いて、
前記骨材は、さらに、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、二酸化珪素、炭酸マグネシウム、卵殻から選ばれた1種以上を含む、
ことを特徴とする工作用粘土。
骨材全体に於けるタルクの量は、例えば、骨材を100質量%としたとき、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。例えば、タルク20質量部、硫酸カルシウム4質量部で、骨材を構成するこができる。
[3]構成3
構成1A又は構成2に於いて、
前記第1の糊剤(増粘剤)はCMCを必須的に含む、
ことを特徴とする工作用粘土。
第1の糊剤全体に於けるCMCの量は、例えば、第1の糊剤を100質量%としたとき、好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。
[4]構成4
構成1A~構成3の何れかに於いて、
前記粘着抑制成分(離型成分)はシリコーンオイルを必須的に含む、
ことを特徴とする工作用粘土。
粘着抑制成分全体に於けるシリコーンオイルの量は、例えば、粘着抑制成分を100質量%としたとき、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
[5]構成5
構成4に於いて、
前記シリコーンオイルはジメチルポリシロキサンである、
ことを特徴とする工作用粘土。
[6]構成6
構成1~構成5の何れかに於いて、
前記骨材は12~36質量%、前記第1の糊剤は4~12質量%、前記第2の糊剤である塩化カルシウムは9~27質量%、前記粘着抑制成分は0.1~2質量%、前記水は40~60質量%の範囲であり、合計で100質量%である、
ことを特徴とする工作用粘土。
例えば、骨材としてタルク20gと硫酸カルシウム4g、第1の糊剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)8g、第2の糊剤である塩化カルシウム18g、粘着抑制成分としてジメチルポリシロキサン0.5g、及び、水49.5gの配合である。
【発明の効果】
【0007】
構成1Aの粘土は、骨材と、第1の糊剤と、第2の糊剤である塩化カルシウムと、粘着抑制成分と、水を練り合わせて成り、前記骨材はタルクを含み、前記第1の糊剤は、CMC、メチルセルロース、コーンスターチ、マンナン粉、多糖類から選ばれた1種以上を含み、前記粘着抑制成分は、シリコーンオイル、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムから選ばれた1種以上を含み、前記骨材は12~36質量%、前記第1の糊剤は4~12質量%、前記第2の糊剤である塩化カルシウムは9~27質量%、前記粘着抑制成分は0.1~2質量%、前記水は40~60質量%の範囲であり、合計で100質量%であることを特徴とする工作用粘土であるため、低温環境下でも凍らず、手で持って温める程度の加熱により造形可能な程度に軟化し、べたつかず、さらさらした手触り感があり、良好な伸展性が有り、所望の形状を良好に造形でき、造形された形状を室温環境下で長期間に渡って維持でき、その後、手で持って温める程度の再加熱により造形可能な程度に軟化して、再度、造形可能になるという特性を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】定規(60cm)と並べて各造形物を置いた状態を上方から撮影した図面代用写真。本発明品によると小サイズの薄片でも良好に造形できることを示すため、従来品では小サイズでの造形が不可能だったフリル(デルモスパラオキピタル)を備えたトリケラトプス類似の動物像を造形した。
【
図2】各造形物の形状を理解し易くするべく
図1の各造形物を正面から撮影した図面代用写真。なお、左端の造形物は
図1では置かれていないが形状の理解補助のために
図2で追加した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
タルク(含水珪酸マグネシウム)としては、例えば、平均粒径が50~1[μm] 程度のものを好適に用いることができる。また、食品添加物として提供されているものであれば、安全性の面からも好ましい。
【0010】
CMC(カルボキシメチルセルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム)としては、1%水溶液・25℃での粘度が800~8000[mPa・s]、好ましくは2000~7000[mPa・s]、更に好ましくは2500~6000[mPa・s]の範囲を、好適に用いることができる。
例えば、ダイセルファインケム株式会社製の「CMCダイセル(同社の登録商標)の品番2200,2260;何れも高純度品でエーテル化度0.8~1.0」や、日本製紙株式会社製の「サンローズ(SUNROSEは同社の登録商標)の品種F」、或いは、第1工業製薬株式会社製の「セロゲン(同社の登録商標)3H,4H,BSH-6,BSH-12,F3H,F-BSH-12,F-6HS9」等が該当するか、又は部分的に該当する。また、食品添加物として提供されているものであれば安全性の面からも好ましい。エーテル化度は、好ましくは0.60~1.00、更に好ましくは、0.65~0.95の範囲を好適に用いることができる。
メチルセルロースとしてもCMCと同等の粘度のものを好適に用いることができる。例えば、信越化学工業株式会社から「メトローズ(同社の登録商標)」の商品名で提供されているものであって、上述したCMCの粘度と同等の粘度のものを好適に用いることができる。
【0011】
シリコーンオイルとしては、25℃での動粘度が1~1000[mm2/s]、好ましくは10~900[mm2/s]、更に好ましくは50~800[mm2/s]の範囲を好適に用いることができる。また、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のジメチルシリコーンオイルを好適に用いることができる。例えば、信越化学工業株式会社製の「KF-96」シリーズ等が該当するか、又は部分的に該当する。食品用に提供されている「KF-96ADF」シリーズであれば、安全性の面からも好ましい。
【0012】
以下、実施例、比較例を述べる。
実施例(12例)と比較例(2例)の工作用粘土をそれぞれ作成して、それぞれの特性を評価した。なお、実施例1は、実質的に6例から成る。即ち、CMCの粘度,ジメチルポリシロキサンの動粘度を変えた6例から成る。
(1)実施例1
骨材-1:タルク(含水珪酸マグネシウム) 20[g]
(商品名:食添タルクS-1,平均粒径8.7[μm])
骨材-2:硫酸カルシウム 4[g]
(商品名:食品添加物硫酸カルシウム,物質名:硫酸カルシウム二水和物)
糊剤:CMC 8[g]
(商品名:セロゲンFシリーズ(食品工業用),物質名:カルボキシメチルセルロースナトリウム,25℃・1%水溶液での粘度範囲:3000~5000[mPa・s]で3種(3000,4000,5000程度))
塩化カルシウム:塩化カルシウム 18[g]
(商品名:RS(塩化カルシウム),物質名:塩化カルシウム二水和物)
粘着抑制成分:シリコーンオイル 0.5[g]
(信越化学株式会社,商品名:KF-96ADFシリーズ,物質名:ジメチルポリシロキサン,25℃での動粘度:60~500[mm
2/s]で4種(60,150,350,500程度))
水:水 49.5[g]
を、配合して練り合わせた。
ここで、上記CMCの粘度[mPa・s]とジメチルポリシロキサンの動粘度[mm
2/s]の組み合わせは、
(1)「3000,60」
(2)「3000,150」
(3)「3000,350」
(4)「3000,500」
(5)「4000,150」
(6)「5000,150」
の6例であり、後述の実施例2~12、及び、比較例1~2で引用する「実施例1」とは、(2)「3000,150」の組み合わせを言う。
評価結果は、他の実施例や比較例とともに表に示す。評価の基準は下記の通り。
記
(a)2日間冷凍庫に保管した後に取り出したときの状態
×:凍っている, △:少し凍っている, ○:凍っていない
(b)取り出し後、手で2分間持って捏ねたときの軟化の状態
×:軟化しない, △:少し軟化した, ○:軟化した
(c)軟化したときの手触り感
×:手に付着する, △:べたつくが手に付着しない, ○:さらさらしている
(d)造形性
×:脆く壊れて造形できない, △:手間取るが概ね造形可能, ○:造形可能
ここで、評価対象の造形物としては、
図1及び
図2に示す形状(薄片状の部位を有するトリケラトプス類似の動物像)で、幅が5mm程度のサイズのものとした。
なお、市販の商品で、手への非付着性、伸展性等を謳い、さらに、特許製品である旨を表示(特許番号の表示は見当たらない)している商品を購入して調べたところ、幅3cm以下でトリケラトプス類似の動物像(薄片状の部位を有する像)を造形することはできなかった。
(e)伸展性(造形前の塊状物の両端を持って引っ張ったとき切れた長さ)
×:長さ≦50cm, △:50cm<長さ≦1m, ○:1m<長さ
(f)形状維持性(前記(d)の造形後、室温環境下で2週間放置)
×:崩れた, △:少し崩れた, ○:崩れなかった
(g)リサイクル性(造形後、密封して室温環境下で2週間放置,再造形の可否)
×:再造形不可, △:手間取るが再造形可能, ○:再造形可能
【0013】
以下の実施例2~12、及び、比較例1~2で引用する「実施例1」とは、前記した実施例1の(1)~(6)の中の(2)の組み合わせ、即ち、
CMC:25℃・1%水溶液での粘度が3000[mPa・s]程度、
ジメチルポリシロキサン:25℃での動粘度が150[mm2/s]程度、
の組み合わせの例を言う。
【0014】
(2)実施例2(粘着抑制成分少なめ)
粘着抑制成分である「ジメチルポリシロキサン」を「0.2[g]」(少なめ)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(3)実施例3(粘着抑制成分多め)
粘着抑制成分である「ジメチルポリシロキサン」を「1.9[g]」(多め)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(4)実施例4(粘着抑制成分かなり少なめ)
粘着抑制成分である「ジメチルポリシロキサン」を「0.05[g]」(かなり少なめ)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(5)実施例5(粘着抑制成分かなり多め)
粘着抑制成分である「ジメチルポリシロキサン」を「2.1[g]」(かなり多め)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
【0015】
(6)実施例6(水少なめ)
水を「42[g]」(少なめ)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(7)実施例7(水多め)
水を「58[g]」(多め)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(8)実施例8(水かなり少なめ)
水を「35[g]」(かなり少なめ)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(9)実施例9(水かなり多め)
水を「65[g]」(かなり多め)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(10)実施例10(CMC低粘度)
CMCの粘度を「1000[mPa・s](低粘度)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(11)実施例11(CMC高粘度)
CMCの粘度を「6000[mPa・s](高粘度)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
【0016】
(12)実施例12(ジメチルポリシロキサン高粘度)
ジメチルポリシロキサンの25℃での動粘度:950[mm2/s]とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
【0017】
(13)比較例1(塩化カルシウム無し)
実施例1に於いて塩化カルシウムを用いること無く作成した。
練り合わせようとしても、ダマになってべたつき、練り合わすことが極めて困難で、工作用の粘土と言い得るものを作成できなかった。
(14)比較例2(粘着抑制成分無し)
実施例1に於いてシリコーンオイルを用いること無く作成した。
べたつき感がひどく、手に酷く付着するため、本発明の目的に適う「工作用粘土」と言い得るものではなかった。
【0018】
【0019】
実施例1~3、6、7より分かるように、骨材であるタルク12~36質量%と、第1の糊剤であるCMC4~12質量%と、第2の糊剤である塩化カルシウム9~27質量%と、離型剤であるジメチルポリシロキサン0.1~2質量%と、水40~60質量%を、合計で100質量%となる配合としたとき、十分に良好な結果を得た。
【0020】
実施例1と実施例4から分かるように、シリコーンオイルを少なめとした場合は、手で持ったときに「若干のべたつき感」は生じたが、手に付着はしなかった。また、実施例1と実施例5から分かるように、シリコーンオイルを多めとした場合は、手で持ったとき軟化はしたが速やかではなく、手に付着はしなかったが、若干のべたつき感は生じた。
なお、実施例4と5の何れも、一応は、本発明の目的に適う程度であった。
【0021】
実施例1と実施例8から分かるように、水を少なめとした場合は、造形性、伸展性、形状維持性に若干の問題は生じたが、一応は、本発明の目的に適う程度であった。
また、実施例1と実施例9から分かるように、水を多めとした場合は、手で持ったとき速やかには軟化せず、手に付着はしなかったが若干のべたつき感は生じた。また、伸展性に若干の問題が生じた。なお、何れも、一応は、本発明の目的に適う程度であった。
【0022】
実施例1と実施例10から分かるように、CMCの粘度を低粘度とした場合は手に付着はしないが若干のべたつき感は生じた。また、造形性、形状維持性にも若干の問題が生じた。また、実施例1と実施例11から分かるように、CMCの粘度を高粘度とした場合は手に付着はしないが若干のべたつき感は生じた。また、造形性、伸展性にも若干の問題が生じた。なお、実施例10と11の何れも、一応は、本発明の目的に適う程度であった。
【0023】
また、実施例1と実施例12から分かるように、シリコーンオイルの動粘度を高粘度とした場合、若干のべたつき感は生じたが、手に付着はせず、一応は、本発明の目的に適う程度であった。
【0024】
比較例1から分かるように、塩化カルシウムを欠いた場合、実施例と比較するまでもなく、そもそも、工作用粘土と言い得るものを作成することはできなかった。
また、比較例2から分かるように、シリコーンオイルを欠いた場合、粘土は作成できたが、本発明の目的に適う工作用粘土と言い得るものではなかった。
【0025】
なお、CMCに代えて、及び/又は、CMCとともに、コーンスターチ、メチルセルロース、マンナン粉、多糖類の1種以上を用いて実施例1(実施例2~12、比較例1~2で引用した実施例1と同じ)と同様に配合した場合も、良好な結果を得た。
同様に、ジメチルポリシロキサンに代えて、及び/又は、ジメチルポリシロキサンとともに、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコールの1種以上を用いて実施例1(実施例2~12、比較例1~2で引用した実施例1と同じ)と同様に配合した場合も、良好な結果を得た。
また、塩化カルシウムを配合することにより、本発明の目的に適う粘土を得られるとともに、防腐効果や防黴効果を得られた。
また、表の評価には示さなかったが、タルクを配合することにより、剥離性、硬化性、軟化防止、付着防止に、良好な結果を得た。
また、硫酸カルシウムを配合することにより、抗菌効果を得られた。
【0026】
また、実施例1(実施例2~12、比較例1~2で引用した実施例1と同じ)と同じ配合で作成したサンプルについて、三栄源エフエフアイ(株)製の合成色素「商品名:食用赤色106号」を微量添加することにより、問題無く「赤色」に着色できた。
同様に、「商品名:青色1号」を微量添加することにより、問題無く「青色」に着色でき、「商品名:黄色4号,黄色5号」を微量添加することにより、問題無く「黄色」に着色でき、「(株)日本エイム製・商品名:竹炭パウダー」を微量添加することにより、問題無く「黒色」に着色できた。