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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】固形化粧料、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20220506BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220506BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220506BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20220506BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220506BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/02
A61K8/37
A61K8/42
A61K8/86
A61Q1/02
A61Q1/14
A61Q17/04
A61Q19/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018153945
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2020029408
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-04-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591236367
【氏名又は名称】日本エマルジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋子
(72)【発明者】
【氏名】大坪 純花
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/090354(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/003973(WO,A1)
【文献】特開2005-298635(JP,A)
【文献】国際公開第2004/105707(WO,A1)
【文献】特開平11-246334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/34
A61K 8/02
A61K 8/37
A61K 8/42
A61K 8/86
A61Q 1/02
A61Q 1/14
A61Q 17/04
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(1):
【化1】
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数2~6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、Rは、炭素数7~11の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、nは、1または2を表す。)
で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種、
(b)モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸グリセリン、イソステアリン酸ソルビタン、およびカプリン酸グリセリルから選択される少なくとも1種である非イオン界面活性剤、
(c)固形化粧料100質量部に対して35~80質量部の、重量平均分子量200~1000未満のポリエチレングリコール、
(d)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、およびグリセリンから選択される少なくとも1種である多価アルコール、
を含有することを特徴とする固形化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載の固形化粧料であって、
さらに、(e)IOB1.0~1.6の非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする固形化粧料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固形化粧料であって、
前記(a)アミノ酸誘導体が、N-2-エチル-ヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする固形化粧料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の固形化粧料であって、
前記(b)非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、およびモノイソステアリン酸グリセリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする固形化粧料。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の固形化粧料の製造方法であって、
(a)下記式(1):
【化2】
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数2~6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、Rは、炭素数7~11の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、nは、1または2を表す。)
で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種、
(b)モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸グリセリン、イソステアリン酸ソルビタン、およびカプリン酸グリセリルから選択される少なくとも1種である非イオン界面活性剤、
(d)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、およびグリセリンから選択される少なくとも1種である多価アルコール、
を事前に混合してプレミックス剤を得るプレミックス工程を含むことを特徴とする固形化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性固形化粧料または外用剤、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、スティック状に成型した固形化粧料は手軽に使用でき、また携帯性に優れることから、制汗、防臭用化粧料やリップクリーム、リップスティック、アイカラー等のメイクアップ化粧料等として広く提供されている。
【0003】
しかし、これらの固形化粧料は油性基剤を主体とし、固形ワックスや油ゲル化剤により固化させたもの、または、水や多価アルコール等の水性基剤を主体とし、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸をナトリウムやカリウム等のアルカリ金属により中和し、アルカリ石鹸とすることで固化、調製されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0004】
しかしながら、油性基剤を固形ワックス等で固化させたものは使用感として油性感が強く、また、石鹸型のものは、pHが高いアルカリ性のため、皮膚上へ塗布後、直ぐに洗い流す用途であれば問題とならないが、塗布後に洗い流さずに使用されるリーブオン型とした場合に、穏やかな使用感に欠ける問題を有していた。
【0005】
この問題の解決策として、水性基剤を平均分子量10,000~20,000のポリエチレングリコールを用いてスティック状化粧料を得る技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)が、油性成分を含まずに、油分感のない使用感が得られる反面、固形ワックスを用いた場合や石鹸を用いた場合と同様に製剤外観が白濁する。一般に、固形化粧料または外用剤は、外観が半透明~透明を呈するものが好まれる傾向にあり、石鹸型の外観を改善する方法としてアミノアルコールに代表される塩基性アミンを含有させる技術も開示されているが(例えば、特許文献4参照)、依然として水や多価アルコールの固化にはアルカリ石鹸が機能しており、皮膚への穏やかな使用感と製剤の外観の両立には改善の余地を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-306856号公報
【文献】特表2002-516818号公報
【文献】特開平11-246334号公報
【文献】特開平4-338315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、油性感なく、皮膚へ穏やかな使用感を有し、半透明~透明な外観を有する水性固形化粧料または外用剤、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)下記式(1):
【化1】
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数2~6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、Rは、炭素数7~11の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、nは、1または2を表す。)
で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種、
(b)モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸グリセリン、イソステアリン酸ソルビタン、およびカプリン酸グリセリルから選択される少なくとも1種である非イオン界面活性剤、
(c)固形化粧料100質量部に対して35~80質量部の、重量平均分子量200~1000未満のポリエチレングリコール、
(d)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、およびグリセリンから選択される少なくとも1種である多価アルコール、
を含有する、固形化粧料である。
【0009】
記固形化粧料において、さらに、(e)IOB1.0~1.6の非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0010】
記固形化粧料において、前記(a)アミノ酸誘導体が、N-2-エチル-ヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
記固形化粧料において、前記(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、およびモノイソステアリン酸グリセリンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記固形化粧料の製造方法であって、
(a)下記式(1):
【化2】
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数2~6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、Rは、炭素数7~11の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、nは、1または2を表す。)
で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種、
(b)モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸グリセリン、イソステアリン酸ソルビタン、およびカプリン酸グリセリルから選択される少なくとも1種である非イオン界面活性剤、
(d)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、およびグリセリンから選択される少なくとも1種である多価アルコール、
を事前に混合してプレミックス剤を得るプレミックス工程を含む、固形化粧料の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、油性感なく、皮膚へ穏やかな使用感を有し、半透明~透明な外観を有する水性固形化粧料または外用剤、およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体とIOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤とポリアルキレングリコールと多価アルコールとを例えば110~120℃程度で混合することで、水や多価アルコール等の水性基剤をN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体を用いて固化し、油分感のない、外観の透明性と皮膚への穏やかな使用感とが両立された水性固形化粧料または外用剤が得られることを見出した。また、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体とIOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤と多価アルコールと先に溶解させたプレミックス剤を用いることで、例えば80℃程度の加温条件で、水性基剤をゲル化することが可能であり、配合成分の劣化あるいは不活化または蒸発をほとんど招くことなく、油分感のない、外観の透明性と皮膚への穏やかな使用感とが両立された水性固形化粧料または外用剤が得られることを見出した。
【0017】
本発明の実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤用は、
(a)下記式(1):
【化3】
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1~26の炭化水素基、Rは、炭素数3~15の炭化水素基、nは、1または2を表す。)
で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種、
(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤、
(c)重量平均分子量1000未満のポリアルキレングリコール、または、(c)重量平均分子量1000以上のポリアルキレングリコールと(f)水、または、(c)重量平均分子量1000未満のポリアルキレングリコールと重量平均分子量1000以上のポリアルキレングリコールと(f)水、
(d)多価アルコール
を含有するものである。
【0018】
また、この水性固形化粧料または外用において、さらに、(e)IOB1.0~1.6の非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。さらに(f)水を含有することによって、水性固形化粧料または外用剤のゲル破断強度と安定性を向上させることができる。
【0019】
本発明の実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤の製造方法は、
(a)下記式(1):
【化4】
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1~26の炭化水素基、Rは、炭素数3~15の炭化水素基、nは、1または2を表す。)
で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種、
(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤、
(d)多価アルコール
を事前に混合してプレミックス剤を得るプレミックス工程を含むことが望ましい。
【0020】
(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体を、(c)の成分と混合する前に、(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤および(d)多価アルコールとを先に溶解させる(プレミックス)ことにより、95℃以上と非常に高い加熱溶解温度を必要とするN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体を100℃以上といった高い温度条件下で加熱溶解しなくても、例えば85℃程度にて水性基剤を固化して水性固形化粧料または外用剤へ略均一に混合することが可能となる。
【0021】
このように、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体を事前に非イオン界面活性剤や多価アルコールと混合させたプレミックス剤を得て、このプレミックス剤を用いることにより、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表される特定のアミノ酸誘導体を含有する水性基剤の固化剤を配合する水性固形化粧料または外用剤の製造方法を簡略化することができ、配合成分の劣化あるいは不活化または蒸発をほとんど招くことなく、油分感のない、外観の透明性と皮膚への穏やかな使用感とが両立された水性固形化粧料または外用剤が得られる。
【0022】
(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体において、RおよびRは、それぞれ独立に炭素原子数1~26の炭化水素基を示す。RおよびRが示す炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、またはそれらの組み合わせのいずれであってもよい。炭化水素基としては不飽和結合を含む炭化水素基を用いることもできるが、飽和炭化水素基であるアルキル基を用いることがより好ましい。好ましくは炭素原子数1~10、より好ましくは炭素原子数2~6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を用いることができ、さらに好ましくは炭素原子数3~5の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である。最も好ましくはn-ブチル基を用いることができる。
【0023】
は炭素原子数3~15の炭化水素基を示す。Rが示す炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、またはそれらの組み合わせのいずれであってもよい。炭化水素基としては不飽和結合を含む炭化水素基を用いることもできるが、飽和炭化水素基であるアルキル基を用いることがより好ましい。アルキル基としては直鎖状または分枝鎖状のアルキル基が好ましい。より好ましくはRが炭素原子数7~11の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を示す。上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体において、R-CO-で表される基の例としては、例えば、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ラウロイル基、2-エチルヘキサノイル基等を挙げることができ、これらのうちオクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、2-エチルヘキサノイル基が好ましく、様々な油性基剤に対して高いゲル化能を示すという観点でラウロイル基、2-エチルヘキサノイル基がもっとも好ましい。R-CO-で表される基が2-エチルヘキサノイル基の場合、原料である2-エチルヘキサノイルクロライドの入手のし易さの観点から、2-(R,S)-エチルヘキサノイル基を用いることが好ましい。また、(a)一般式(1)で表されるアミノ酸誘導体において、nが2であることが好ましい。
【0024】
(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体において、分子中の酸性アミノ酸残基はnが1の場合にはL-アスパラギン酸残基、nが2の場合にはL-グルタミン酸残基を示す。上記式(1)で表される化合物は、R、RおよびRのうちの少なくとも1つの種類によって1以上の不斉炭素を有する場合があるが、このような不斉炭素に基づく光学異性体またはジアステレオマーなどの立体異性体、任意の立体異性体の混合物、ラセミ体のいずれでもよい。また、R、RおよびRのうちの少なくとも1つがオレフィン性二重結合を有する場合には、その配置はZまたはEのいずれでもよく、幾何異性体または任意の幾何異性体の混合物であってもよい。さらに、上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体の任意の水和物、および任意の形態の結晶であってもよい。上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体としては、上記に説明した異性体またはそれらの混合物、あるいは水和物などの任意の物質を用いることができる。
【0025】
(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体としては、具体的には、例えば、N-オクタノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-デカノイル-グルタミン酸ジブチルアミド、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-2-エチル-ヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド等を挙げることができる。また、この中でも、特にN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-2-エチル-ヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを好適に用いることができる。
【0026】
(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体は、例えば、塩基性触媒下において、長鎖脂肪酸ハライドとL-グルタミン酸またはL-アスパラギン酸とをショッテン・バウマン反応で反応させることによって、N-アシル化グルタミン酸またはN-アシル化アスパラギン酸を製造し、つづいて、アルキルアミンなどのアミン誘導体を酸触媒存在下または無触媒下で加熱反応することによって製造することができる。あるいは、例えば、酸触媒の存在下または無触媒下において、グルタミン酸またはアスパラギン酸とアルキルアミンなどのアミン誘導体とを反応させ、得られたグルタミン酸アミドまたはアスパラギン酸アミドを、さらに脂肪酸ハライド等のアシル化剤でN-アシル化することにより製造することができる。
【0027】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤には、(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体から選択される1種または2種以上のものを組み合わせて配合してもよい。(a)アミノ酸誘導体の配合量は水性基剤を固化し得る量であればよく、特に制限はないが、通常、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して0.1~30質量部、好ましくは1~25質量部程度である。なお、N-2-エチル-ヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドは、上記の方法によって製造できるほか、味の素株式会社から市販のものを入手することができる(商品名「EB-21」および「GP-1」)。
【0028】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤には、(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体以外の1種または2種以上の水性基剤の固化剤を併用することができる。このような水性基剤の固化剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー等のアクリル酸系増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガムが挙げられる。併用する水性基剤の固化剤の配合量は、例えば、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して0.1~10質量部程度である。
【0029】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤を含有する。非イオン界面活性剤としては、モノカプリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2等が挙げられ、1種または2種以上のものを組み合わせて配合することができる。特に、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノイソステアリン酸グリセリン等の25℃における状態が液状のものが(a)アミノ酸誘導体との相溶性の面で特に好ましい。
【0030】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤に含有される(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤の配合量は、水性固形化粧料または外用剤の機能が発揮される量であればよく、特に制限はないが、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して1~40質量部、好ましくは1~30質量部である。
【0031】
IOB(Inorganic Organic Balance)とは、有機概念図について基づいて求められる有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比であり、すなわち「無機性値(IV)/有機性値(OV)=IOB」となる。これは、「有機概念図-基礎と応用-」(甲田善生著、三共出版、1984)等で説明されている。
【0032】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、(c)ポリアルキレングリコールを含有する。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられ、1種または2種以上のものを組み合わせて配合することができるが、水性基剤との相溶性や汎用性の観点から、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールはエチレンオキシドと水との縮合重合等により得ることができるほか、ライオンスペシャリティケミカルズ社や東邦化学工業社から市販のものを入手することができる(例えば、商品名:ポリエチレングリコール200(重量平均分子量200)、ポリエチレングリコール300(重量平均分子量300)、ポリエチレングリコール400(重量平均分子量400)、ポリエチレングリコール600(重量平均分子量600)、ポリエチレングリコール1000(重量平均分子量1000)、ポリエチレングリコール1500(重量平均分子量1500)、ポリエチレングリコール4000(重量平均分子量4000)、ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量6000))。ポリアルキレングリコールは、常温(20℃)で液状であるものが好ましく、重量平均分子量が1000未満のものが好ましい。なお、常温で固形状を有する重量平均分子量が1000以上のものを用いる場合は、融点物の析出を防止する効果のある成分(f)水を含有させることで略均一な水性固形化粧料または外用剤を得ることができる。また、低分子量のポリエチレングリコールと高分子量のポリエチレングリコールとの混合物の形で使用することもできる。すなわち、本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、(c)重量平均分子量1000未満のポリアルキレングリコールを含有するか、または、(c)重量平均分子量1000以上のポリアルキレングリコールと(f)水とを含有するか、または、(c)重量平均分子量1000未満のポリアルキレングリコールと重量平均分子量1000以上のポリアルキレングリコールと(f)水とを含有する。
【0033】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤に含有される(c)ポリアルキレングリコールの配合量は、水性固形化粧料または外用剤の機能が発揮される量であればよく、特に制限はないが、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して1~80質量部、好ましくは1~70質量部である。
【0034】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、(d)多価アルコールを含有する。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられるが、(a)アミノ酸誘導体との相溶性の面でグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の二価アルコールが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤に含有される(d)多価アルコールの配合量は、水性固形化粧料または外用剤の機能が発揮される量であればよく、特に制限はないが、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して1~60質量部、好ましくは1~50質量部である。
【0036】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、(e)IOB1.0~1.6の非イオン界面活性剤を含有してもよい。非イオン界面活性剤は、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10やモノヤシ油脂肪酸グリセリル-3、モノヤシ油脂肪酸グリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン型非イオン界面活性剤やイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-20グリセリル等のエチレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤が挙げられ、1種または2種以上のものを組み合わせて配合することができる。
【0037】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤に含有される(e)IOB1.0~1.6の非イオン界面活性剤の配合量は、水性固形化粧料または外用剤の機能が発揮される量であればよく、特に制限はないが、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して1~35質量部、好ましくは1~30質量部である。
【0038】
また、本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤において、(f)水の配合量は、水性固形化粧料または外用剤の安定性を損なわない量であればよく、特に制限はないが、通常、安定性を確保できる量として、水性固形化粧料または外用剤100質量部に対して0.01~20質量部、好ましくは0.1~15質量部程度である。
【0039】
また、本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤の製造方法を簡略化するため、(a)上記式(1)で表されるアミノ酸誘導体を(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤および(d)多価アルコールと予めプレミックス化することができる。
【0040】
(a)アミノ酸誘導体、(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤、および(d)多価アルコールをプレミックスするプレミックス工程の温度は、例えば95℃未満、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。そして、このようにして得たプレミックス剤、(c)ポリアルキレングリコールを混合するミックス工程の温度は、例えば90℃未満、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下とすることができる。
【0041】
したがって化粧品や香粧品の製造に本実施形態に係る水性固形化粧料を使用する際には、従来のように非常に高い温度処理を施さなくてもよく、化粧品等を容易に製造することができ、化粧品等の製造工程を大幅に簡素化できる。
【0042】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤の製造方法を簡略化するための(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤の量は、(a)アミノ酸誘導体の溶解を阻害しない量であればよく、特に制限はないが、プレミックス剤100質量部に対して20~70質量部、好ましくは、25~65質量部である。
【0043】
(d)多価アルコールの量は、(a)アミノ酸誘導体を溶解できる量であればよく、特に制限はないが、プレミックス剤100質量部に対して5~70質量部、好ましくは、10~50質量部である。
【0044】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、上記(a)~(f)の各成分の他に、本発明の特徴を損なわない範囲で油性基剤として、炭化水素油、揮発性炭化水素油、分岐高級アルコール類、高級脂肪酸類、分岐高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、N-アシル化アミノ酸エステル類、動植物油、シリコーン油、揮発性シリコーン油等を含んでもよい。
【0045】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、上記(a)~(f)の各成分を含むゲル状組成物をそのまま用いてもよいが、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、一般的な化粧料の製造に通常用いられる各種成分、具体的には、界面活性剤、各種添加剤、各種粉体等を目的に応じて適宜配合することができる。
【0046】
本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤の用途は特に限定されないが、例えば、日焼け止め化粧料、スキンケア化粧料、ファンデーション、口紅、リップグロス、マスカラ等のメーキャップ化粧料、ヘアワックス、寝癖直し等の毛髪化粧料、クレンジング等の洗浄料等の固形型化粧料または外用剤として使用することができる。本実施形態に係る水性固形化粧料または外用剤は、必要に応じて上記に説明した添加剤の1種または2種以上を添加・混合して均一の組成物として調製することができる。その製造工程は特に限定されず、当業者が利用可能な混合、撹拌、練合等の汎用の手段を適宜用いることができる。
【実施例
【0047】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は、「質量%」を表す。
【0048】
<実施例1~6、比較例1~5>
[水性スティック状化粧料の調製(1)]
まず、(a)アミノ酸誘導体として、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを用い、表1に示す配合量で水性スティック状化粧料を調製したときの製剤調製温度、外観の透明性、ゲルの破断強度について評価した。結果を表1,2に示す。
【0049】
なお、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)分析装置を用いて測定することができる。
【0050】
(評価方法)
(1)製剤の調製温度
表1,2に示す配合量で各成分を混合し、これをホットプレートで加熱溶解したときの溶解温度を温度計にて測り取り、以下の基準に従って評価した。
◎:100℃以下で溶解する
○:110℃以下で溶解する
△:120℃以上で溶解する
×:溶解しない
【0051】
(2)外観の透明性
調製した水性固形化粧料100質量部をガラス容器に入れ、25℃環境下で24時間保存した状態を目視にて以下の評価基準に従って評価した。
○:略均一な一層状である
△:懸濁のある一層状である
×:不溶解物が存在または二層状である
【0052】
(3)ゲルの破断強度
ゲルの破断強度をSUN RHEOMETER CR-500DX(株式会社サン科学製)を用いて行った。表面が平坦である水性スティック状化粧料を直径10mmのプランジャーを用いて進入速度60mm/min、25℃の条件で測定を行い、以下の評価基準に従って評価した。
◎:3000g/cm以上
○:2000~2999g/cm
△:1000~1999g/cm
×:999g/cm以下、若しくはスティック状化粧料が得られない
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
上記表1、2に示されるように、(a)アミノ酸誘導体、(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤、(c)ポリアルキレングリコール、(d)多価アルコール、(e)IOB1.0~1.6の非イオン界面活性剤を組み合わせた実施例1~6では、透明性があり、ゲル破断強度が2000以上の水性スティック状化粧料に適した組成物が得られることを確認できた。また、比較例1~5のように、(b)~(e)成分の何れかが欠けると、透明性と十分なゲル破断強度を有する水性スティック状化粧料が調製できないことを確認できた。
【0056】
続いて、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体を用いて110℃以上といった高い温度条件下で加熱溶解しなくても、水性基剤を固化することが可能であるか、水性固形化粧料の製造方法について評価した。
【0057】
<実施例7~12、比較例6~9>
[プレミックス剤の調製]
まず、(a)アミノ酸誘導体として、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤および(d)多価アルコールとを加熱撹拌溶解して1時間経過後の溶解状態を目視にて以下の基準に従って評価した。
◎:85℃で完全に溶解する
○:90℃で完全に溶解する
△:95℃で完全に溶解する
×:溶解しない、若しくは100℃以上で溶解する
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
上記表3,4に示されるように、(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤および(d)多価アルコールを組み合わせた実施例7~12では、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを90℃で略均一に溶解することができた。一方で、比較例6~9のように、(b)IOB0.3~1.0の非イオン界面活性剤または(d)多価アルコールの配合がない場合には、90℃の温度条件下で、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドを溶解できないことが確認できた。
【0061】
<実施例13,14,19、参考例15~18、比較例10~14>
[水性スティック状化粧料の調製(2)]
続いて、表5,6に示す配合量で、先に調製した実施例7もしくは実施例11のプレミックス剤を用い、水性スティック状化粧料に配合したときの溶解温度、透明性、およびゲル破断強度について評価した。結果を表5,6に示す。
【0062】
(評価方法)
(4)製剤の調製温度
表5,6に示す配合量で各成分を混合し、これを水浴で90℃に加熱撹拌溶解して、1時間経過後の溶解状態を目視にて以下の基準に従って評価した。
◎:80℃以下で溶解する
○:90℃以下で溶解する
△:95℃以下で溶解する
×:溶解しない、若しくは100℃以上で溶解する
【0063】
(5)外観の透明性
調製した水性スティック状化粧料100質量部をガラス容器に入れ、25℃環境下で24時間保存した状態を目視にて以下の評価基準に従って評価した。
○:略均一な一層状である
△:懸濁のある一層状である
×:不溶解物が存在または二層状である
【0064】
(6)ゲルの破断強度
ゲルの破断強度をSUN RHEOMETER CR-500DX(株式会社サン科学製)を用いて行った。表面が平坦である水性スティック状化粧料を直径10mmのプランジャーを用いて進入速度60mm/min、25℃の条件で測定を行い、以下の評価基準に従って評価した。
◎:3000g/cm以上
○:2000~2999g/cm
△:1000~1999g/cm
×:999g/cm以下、若しくはスティック状化粧料が得られない
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
上記表5,6に示されるように、実施例13,14,19の水性スティック状化粧料は、90℃以下の温度条件で調製することが可能で、透明性を有し、スティック状化粧料として十分なゲル破断強度を有することが確認できた。また、比較例10,11のように、(c)ポリアルキレングリコールを含有しない場合には、ゲルが形成されず、分離することが確認できた。一方で、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドおよびN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドはプレミックス化しないと、90℃以下でクレンジングスティックを調製できないことが確認できた。
【0068】
このように、N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドに代表されるアミノ酸誘導体を用いて110℃以上といった高い温度条件下で加熱溶解しなくても、水性基剤を固化することが可能であり、水性固形化粧料または外用剤とした場合に透明性と十分なゲル破断強度を有する。また、配合成分の劣化あるいは不活化または蒸発が抑制され、透明性と十分なゲル破断強度を有する水性固形化粧料または外用剤が得られた。
【0069】
以下、水性固形化粧料または外用剤の処方例を示す。
【0070】
<実施例20(水性保湿スティック)>
下記表7に示す組成の水性保湿サンスティックを次のようにして調製した。すなわち、成分1を85℃まで加温し、略均一になるように溶解させた後、実施例7のプレミックス剤を混合し、70℃まで冷却した後、成分3を混合した。この水性保湿スティックは、スティック容器だけでなく、ジャー容器に詰めることも可能なことから、様々な用途の化粧料および外用剤へ応用することが出来る。この水性保湿スティックのゲル破断強度は、2830g/cmであった。
【0071】
【表7】
【0072】
<実施例21(水性クレンジングスティック)>
下記表8に示す組成の水性クレンジングスティックを次のようにして調製した。すなわち、成分1を90℃まで加温し、略均一になるように溶解させた後、実施例11のプレミックス剤を混合し、70℃まで冷却した後、成分3を混合した。この水性クレンジングスティックは、皮膚に塗布した口紅やファンデーション、マスカラ等のメーキャップ製品との馴染み性に優れ、また、水洗可能な特徴を示した。また、油性成分を含有しないため、水洗後に皮膚への油分感が残らず、クレンジング後の洗顔を必要とせず、さっぱりとした感触を付与する特徴を示した。この水性保湿スティックのゲル破断強度は、3600g/cmであった。
【0073】
【表8】
【0074】
<実施例22(ノンケミカルサンスクリーンスティック)>
下記表9に示す組成のノンケミカルサンスクリーンスティックを次のようにして調製した。すなわち、成分1を90℃まで加温し、略均一になるように溶解させた後、実施例12のプレミックス剤を混合し、70℃まで冷却した後、成分3を混合した。このノンケミカルサンスクリーンスティックは、固形化剤として油性ワックス成分を含まないことで、塗布した皮膚上で白浮きしない特徴を示した。また、塗布後についても、湿潤剤が多く配合される特徴により、油分感のないしっとりとした感触を示した。更に使用後には、専用のリムーバーを必要とすることなく、石鹸による洗浄できれいに洗い流すことができた。このノンケミカルサンスクリーンスティックのゲル破断強度は、3622g/cmであった。
【0075】
【表9】
【0076】
参考例23(ファンデーションスティック)>
下記表10に示す組成のファンデーションスティックを次のようにして調製した。すなわち、成分1を80℃まで加温し、略均一になるように溶解させた後、実施例7のプレミックス剤を混合し、70℃まで冷却した後、成分3を混合した。このファンデーションスティックは、固形化剤として油性ワックス成分を含まないことで、油分感のないしっとりとした感触を示した。また、使用後には、水洗浄できれいに洗い流すことができた。このファンデーションスティックのゲル破断強度は、2002g/cmであった。
【0077】
【表10】