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特許7066210即効性の植物由来医薬化合物及び栄養補給剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】即効性の植物由来医薬化合物及び栄養補給剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/18 20060101AFI20220506BHJP
   A61K 31/01 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/235 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K47/18
A61K31/01
A61K31/045
A61K31/05
A61K31/235
A61K31/352
A61K36/185
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019529537
(86)(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017055547
(87)【国際公開番号】W WO2018102029
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】62/429,544
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518372280
【氏名又は名称】レセプター・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオン-ベイ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ウェスナー,グレゴリー
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-514890(JP,A)
【文献】米国特許第05650386(US,A)
【文献】特表2019-515031(JP,A)
【文献】Tissue Brriers, May 2016, Vol. 4, No. 2, e1176822, pp. 1-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/18
A61K 31/01
A61K 31/045
A61K 31/05
A61K 31/235
A61K 31/352
A61K 36/185
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口製剤における、有効成分のバイオアベイラビリティーが増大した経口製剤を製造する方法であって、
有効成分が、0.1mg/ml未満の水溶解度をもつカンナビノイドであり、
該方法は、経口製剤におけるカンナビノイドの1~20倍の量のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートを経口製剤に加えることを含み、それにより、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートが加えられない同じ経口製剤に比べ、バイオアベイラビリティーが増大した経口製剤を製造する、方法。
【請求項2】
0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及び/又はカンナビジオール(CBD)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートが、カンナビノイドの1~10倍の量で加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
経口製剤における、有効成分のバイオアベイラビリティーが増大した経口製剤を製造する方法であって、有効成分は0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドであり、
下記式で表される、N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩
【化1】
(式中、X及びZは独立して水素、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)を、経口製剤に加えることを含み、
該N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩は、経口製剤のカンナビノイドの1~20倍の量で加えられることにより、該N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が加えられない経口製剤に比べ、バイオアベイラビリティーが増大した経口製剤を製造する方法。
【請求項5】
0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドが、アサ(Cannabis sativa)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、又はインド大麻(Cannabis indica)に由来する、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及び/又はカンナビジオール(CBD)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイド、及び
(ii)下記式で表される、N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩
【化2】
(式中、X及びZは独立して水素、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)、
を含む、経口送達用に処方された植物由来組成物であって、
該N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、経口送達用に処方された植物由来組成物のカンナビノイドの1~20倍の量で存在する、植物由来組成物。
【請求項7】
0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及び/又はカンナビジオール(CBD)を含む、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項8】
N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートを含む、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項9】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートが、カンナビノイドの1~10倍の量である、請求項8に記載の植物由来組成物。
【請求項10】
0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドが、大麻由来である、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項11】
大麻が、アサ(Cannabis sativa)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、及びインド大麻(Cannabis indica)からなる群から選択される、請求項10に記載の植物由来組成物。
【請求項12】
植物由来組成物が、大麻抽出物を含む、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項13】
カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)又はこれらの混合物を含む、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項14】
フラボノイド化合物、テルペン、又はテルペノイドをさらに含む、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項15】
Xが、一価のカチオンとして、水素、ナトリウムカリウム若しくはアンモニウム二価の金属カチオンとして、カルシウム若しくはマグネシウム、又は有機のカチオンとしてテトラメチルアンモニウムから選択される、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項16】
Zが、一価のカチオンとして、水素、ナトリウム若しくはカリウム、又は二価の金属カチオンとしてカルシウム若しくはマグネシウムから選択される、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項17】
Xが水素であり、Zが水素である、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項18】
Xが水素であり、Zがナトリウムである、請求項6に記載の植物由来組成物。
【請求項19】
Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、請求項6に記載の植物由来組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月2日に出願された米国特許仮出願第62/429,544号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、即効性の植物由来医薬化合物又は栄養補給剤を様々な担体組合せで提供する。担体としては、N-アシル化脂肪アミノ酸、浸透促進剤、及び/又は様々な他の有益な担体を挙げることができる。植物由来組成物/担体組合せは、経口投与後に、投与便益(administration benefit)を生み出すことができる。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、植物の世界は人間及び動物の病気の治療のため、また良好な健康状態を維持する際の予防薬として使用される医薬剤の最も重要な起源であった。しかし、少なくともこの150年の間、西洋医学は合成の化学薬品が優勢であった。
【0004】
しかし、今や、多くの植物及び植物抽出物が、病気の予防及び治療のための極めて効果的な作用剤であることが、次第に認識されて来ている。単一の植物が多くの薬学的に活性な作用物質を保有することができ、それから得られる抽出物がさまざまな生理学的過程でその活性を発揮し、望ましい治療効果の範囲を増大することができる。
【0005】
一例として、米国特許出願公開第2015/0050373号は、テリハボク属(Calophyllum genus)由来の植物の代謝異常を治療するための使用を記載している。カロフィラム(Calophyllum)はおよそ180~200種の熱帯常緑樹の顕花植物の属である。テリハボク属(Calophyllum genus)には4つの下位範疇:サンタマリア(Calophyllum brasiliense)、カロフィラム・カレドニクルン(Calophyllum caledonicurn)、テリハボク(Calophyllum inophyllum)及びオトギリソウ(Calophyllum soulattri)が含まれる。テリハボク(Calophyllum inophyllum)は、高さが平均25~65フィートの中~大形の常緑樹である。この植物のいろいろな医薬用途が文献に報告されており、例えば、この植物の樹皮の煎じ薬は内出血の治療に用いられる。テリハボク(Calophyllum inophyllum)の種子から抽出された油は、関節リウマチ又は関節疾患;掻痒;湿疹;頭にできる吹き出物;眼病;及び腎不全を治療するのに使用される。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0193345号は、植物であるキャッツクロー(Uncaria tomentosa)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、カモミール(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、キンセンカ(Calendula officinalis)、ウスニア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスティカム・ポルテリーオシャ(Ligusticum porterii-osha)、ヒメコウジ(Gaultheria procumbens)、チャノキ(Camellia sinensis)、セイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus)、レモンバーム(Melissa officinalis)、ニンニク(Allium sativum)、チャノキ(Camellia sinensis)及びクラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)の、粘膜病変を治療するための使用を記載している。
【0007】
米国特許出願公開第2010/0068297号は、植物であるザクロ(Punica granatum)、ヤブデマリ(Viburnum plicatum)、チャノキ(Camellia sinensis)、及びカエデ属の種(Acer spp.)の抗菌剤としての使用を記載している。
【0008】
数多くの医学的用途が、アサ植物でも確認されている。例えば、アサ植物の抽出物であるデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC、ドロナビノールともいわれる)は、経口送達用としてゴマ油に配合されている。THCは中枢性交感神経様作用活性を含めて中枢神経系(CNS)に対して複合効果を示す。THCは著しい食欲増進作用を有することが示されており、AIDS関連食欲不振の治療に使用されている。THCは食欲、気分、認知、記憶及び知覚に対して効果を示す。また、この薬は制吐作用特性を有しており、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐を制御するために使用されている。これらの効果は用量依存性であるように見える。
【0009】
疼痛治療におけるTHCの効力は、Pharm. J. 259, 104, 1997及びPharm. Sci. 3, 546, 1997に記載されている。合成カンナビノイドのナビロンは、制吐作用及び抗不安薬であり、また多発性硬化症(MS)、末梢神経障害及び脊髄損傷のような様々な病因の疼痛を治療するのに有用であることも報告されている(Lancet, 1995, 345, 579, Pharm. J. 259, 104, 1997; Baker & Pryce, Expert Opin Investig Drugs. 2003 Apr;12(4):561-7))。また、THCは、経口で投与されたとき、AIDSの治療に有用であることも報告されている(J. Pain. Symptom Manage. 1995, 10, 89-97)。
【0010】
その健康上の利益が文献で十分に立証されているもう1つ別のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)である。THCと対照的に、CBDは、精神活性作用を発揮しない。CBDは、抗うつ(Zanelati T, et al. Journal of Pharmacology. 2010. 159(1):122-8;)、抗不安(Resstel BM, et al. Br J Pharmacol. 2009. 156(1):181-188)、抗炎症(Vuolo F, et al. Mediators of Inflammation. 2015. 538670)、及び神経保護作用(Campos AC, et al. Pharmacol Res. 2016. 112:119-127)を有することが報告されている。
【0011】
アサ植物に対する追加の使用には、中毒(De Vries, et al., Psychopharmacology (Berl). 2003 Jul;168(1-2):164-9);ADHD(O’Connell and Che, Harm Reduction Journal. 2007; 4:16);アルコール依存症(Basavarajappa & Hungund, See comment in PubMed Commons belowAlcohol. 2005 Jan-Feb;40(1):15-24);アルツハイマー病(Eubanks et al., Mol Pharm. 2006 Nov-Dec;3(6):773-7);筋萎縮性側索硬化症(ALS)(Raman et al., Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord. 2004 Mar;5(1):33-9);不安(The British Journal of Psychiatry Feb 2001, 178 (2) 107-115);喘息(Tashkin et al., American Review of Respiratory Disease, 1975; 112, 377);自己免疫疾患(Lyman et al., J Neuroimmunol. 1989 Jun;23(1):73-81);細菌感染症(Nissen et al., Fitoterapia. 2010 Jul;81(5):413-9);骨量減少(Bab et al., Ann Med. 2009;41(8):560-7);脳損傷/脳卒中(Shohami et al., Br J Pharmacol. 2011 Aug;163(7):1402-10);がん(Guindon & Hohmann, Br J Pharmacol. 2011 Aug;163(7):1447-63);心臓病(Walsh et al., Br J Pharmacol. 2010 Jul;160(5):1234-42);ハンチントン病(Lastres-Becker et al., J Neurochem. 2003 Mar;84(5):1097-109);炎症(AAPS J. 2009 Mar; 11(1): 109-119);パーキンソン病(Sieradzan et al., Neurology. 2001 Dec 11;57(11):2108-11);及び乾癬(Trends Pharmacol Sci. 2009 Aug; 30(8): 411-420)の治療がある。
【0012】
アサ植物に対する文書に記載された追加の使用には、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、広場恐怖症、強直、関節炎、アスペルガー症候群、アテローム性動脈硬化、自閉症、双極性障害、血液疾患、悪液質、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、肝炎、ヘルペス、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、筋ジストロフィー、爪・膝蓋骨症候群、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、膵炎、パニック障害、歯周病、幻肢痛、ツタウルシアレルギー(poison ivy allergy)、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、及び離脱の治療がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許出願公開第2015/0050373号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0193345号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0068297号明細書
【非特許文献】
【0014】
【文献】Pharm. J. 259, 104, 1997
【文献】Pharm. Sci. 3, 546, 1997
【文献】Lancet, 1995, 345, 579, Pharm. J. 259, 104, 1997;
【文献】Baker & Pryce, Expert Opin Investig Drugs. 2003 Apr;12(4):561-7)
【文献】J. Pain. Symptom Manage. 1995, 10, 89-97
【文献】Zanelati T, et al. Journal of Pharmacology. 2010. 159(1):122-8
【文献】Resstel BM, et al. Br J Pharmacol. 2009. 156(1):181-188
【文献】Vuolo F, et al. Mediators of 炎症. 2015. 538670
【文献】Campos AC, et al. Pharmacol Res. 2016. 112:119-127
【文献】De Vries, et al., Psychopharmacology (Berl). 2003 Jul;168(1-2):164-9
【文献】O’Connell and Che, Harm Reduction Journal. 2007; 4:16
【文献】Basavarajappa & Hungund, See comment in PubMed Commons belowAlcohol. 2005 Jan-Feb;40(1):15-24
【文献】Eubanks et al., Mol Pharm. 2006 Nov-Dec;3(6):773-7
【文献】Raman et al., Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord. 2004 Mar;5(1):33-9
【文献】The British Journal of Psychiatry Feb 2001, 178 (2) 107-115
【文献】Tashkin et al., American Review of Respiratory Disease, 1975; 112, 377
【文献】Lyman et al., J Neuroimmunol. 1989 Jun;23(1):73-81
【文献】Nissen et al., Fitoterapia. 2010 Jul;81(5):413-9
【文献】Bab et al., Ann Med. 2009;41(8):560-7
【文献】Shohami et al., Br J Pharmacol. 2011 Aug;163(7):1402-10
【文献】Guindon & Hohmann, Br J Pharmacol. 2011 Aug;163(7):1447-63
【文献】Walsh et al., Br J Pharmacol. 2010 Jul;160(5):1234-42
【文献】Lastres-Becker et al., J Neurochem. 2003 Mar;84(5):1097-109
【文献】AAPS J. 2009 Mar; 11(1): 109-119
【文献】Sieradzan et al., Neurology. 2001 Dec 11;57(11):2108-11
【文献】Trends Pharmacol Sci. 2009 Aug; 30(8): 411-420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
植物由来の化合物及び栄養補給剤は数多くの利益を伴うものの、経口形態で投与されたとき、それらの作用の発現は一般に遅い。このことは、場合によっては、その有用性を損なう可能性がある。例えば、経口投与後、THCは1.5時間までに作用が発現し、及び2~4時間のピーク効果を有する。作用の持続時間は4~6時間であるが、食欲増進作用は、投与後24時間以上続くことがある。THCは、単剤の経口投薬後、殆んど完全に(90~95%)吸収される。しかし、初回通過肝代謝と不十分な水溶性(THCの水溶解度は2.8mg/Lである)との複合効果のため、投与薬量の10~20%のみしか体循環に到達しない。したがって、大麻の経口消費は、カンナビノイドの低いバイオアベイラビリティー及び遅い作用発現によって特徴付けられる。こうして、この一例から分かるように、植物由来の化合物及び栄養補給剤の経口投与には、改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示は、経口送達用に処方された即効性の植物由来医薬化合物及び栄養補給剤(まとめて、植物由来組成物)を提供する。即効性の送達を提供することにより、生理学的な利益がより早く観察され、これらの化合物の有用性が増大する。
【0017】
開示されている即効性の植物由来組成物は、様々な状態において、治療上有効量を提供する際に様々な投与便益を創出することができる。代表的な投与便益としては、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、及び増大した客観的治療効果がある。
【0018】
植物由来組成物の即効性は、1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸、吸収促進剤、及び/又は界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール及び胆汁塩のような様々な他の有益な担体を経口製剤に含ませることによって作り出される。特定の実施形態において、経口製剤中のN-アシル化脂肪アミノ酸は、例えば、1~50個の炭素原子を含む線状、分岐、環状、二環状、又は芳香族であることができる。N-アシル化脂肪アミノ酸を植物由来組成物と共に使用すると即効性の利益を得ることができるということは、本明細書にさらに記載される植物由来成分の特定の様相を考えると予想外のことであった。例えば、N-アシル化脂肪アミノ酸が化合物の吸収を増大させる能力は化合物の水溶性に比例する。多くの植物由来化合物は水溶性でなく、N-アシル化脂肪アミノ酸の存在により影響を受けるとは期待されていなかった。
【0019】
特定の実施形態において、植物由来組成物は、サンタマリア(Calophyllum brasiliense)、カロフィラム・カレドニクルン(Calophyllum caledonicurn)、テリハボク(Calophyllum inophyllum)、オトギリソウ(Calophyllum soulattri)、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、カモミール(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、キンセンカ(Calendula officinalis)、ウスニア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスティカム・ポルテリーオシャ(Ligusticum porterii-osha)、ヒメコウジ(Gaultheria procumbens)、チャノキ(Camellia sinensis)、セイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus)、レモンバーム(Melissa officinalis)、ニンニク(Allium sativum)、チャノキ(Camellia sinensis)、クラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)、ザクロ(Punica granatum)、ヤブデマリ(Viburnum plicatum)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、オオトウワタ(Asclepias syriaca)、ウコン(Curcuma longa)、アサ(Cannabis sativa)、インド大麻(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、及びカエデ属の種(Acer spp.)、又はこれらの抽出物を含む。特定の実施形態において、植物由来組成物はアサ植物、又はその抽出物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1A及び1Bは、水溶性と、分子の吸収を改良するSNACの能力との実証された相関性を示す。図1Aは、クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン、及びイバンドロネートに対してプロットしたSNACに由来する改良の倍数(multiple)を、各分子の水溶解度と共に示す。プロットされたデータは、対数近似曲線に対して目立った一致を示し(R=0.998)、各々の水溶解度とSNACが吸収を改良する程度との対数関係を示している。分子の水溶性が増加すると、吸収を促進するSNACの能力も増加する。
図1B図1A及び1Bは、水溶性と、分子の吸収を改良するSNACの能力との実証された相関性を示す。図1Bは、図1Aから誘導された対数近似曲線にしたがってヘパリン、アシクロビル、rhGH、PTH、MT-II、GLP-1、カルシトニン、yyペプチド、及びTHCの水溶解度をプロットしたものである。
図2-1】代表的なカンナビノイドの構造を示す。
図2-2】代表的なカンナビノイドの構造を示す。
図3-1】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図3-2】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図3-3】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図3-4】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図4-1】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHであるか;又はその塩若しくは遊離酸形態である。
図4-2】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)の脂肪アミノ酸を示し、ここで、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHであるか;又はその塩若しくは遊離酸形態である。
図5A】、経口で投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験の平均結果を示す。
図5B】経口で投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験の平均結果を示す。
図6A】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図6B】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図6C】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図6D】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図6E】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図6F】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図7】高いSNAC薬量(200mg、「高薬量」)、低いSNAC薬量(100mg、「低薬量」)及びSNACなし(「対照」)で経口投与された大麻製剤の作用の強度、持続時間及び発現の比較を示す。
図8】経口(「PO」)で投与されたSNACと共に配合された大麻の作用の強度、持続時間及び発現を吸入(「INH」)により投与された大麻と比較して示す。
図9】ラットへの単回経口投与後のTHC及びCBDのCmax及びAUCを示す。
図10】ラットへの単回経口投与後のTHC及びCBDのCmax(ng/ml)及びAUC(hrng/mL)を示す。
図11】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC、「試験」)製剤及び大麻(NACなし、「対照」)製剤の作用の強度、持続時間及び発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
植物由来の化合物及び栄養補給剤に関連する数多くの利益にも関わらず、経口形態で投与されたとき、その作用の発現が遅くなる可能性があり、これは場合によってはその有用性を損なう可能性がある。例えば、経口投与後、THCは1.5時間までの作用の発現及び2~4時間のピーク効果を有する。精神活性作用に関する作用の持続時間は4~6時間であるが、食欲増進作用は投与後24時間以上続くことがある。THCは単一の経口投薬後殆んど完全に(90~95%)吸収される。しかし、初回通過肝代謝及び不十分な水溶性(THCの水溶解度は2.8mg/Lである)の複合効果のため、投与薬量の4~20%のみが体循環に達する。したがって、大麻の経口消費はカンナビノイドの低いバイオアベイラビリティー、及び遅い作用発現によって特徴付けられる。こうして、この一例から分かるように、植物由来の化合物及び栄養補給剤の経口投与には改良の余地がある。
【0022】
本開示は、経口送達用に処方された即効性の植物由来医薬化合物及び栄養補給剤(まとめて、植物由来組成物)を提供する。即効性の送達を提供することにより、生理学的な利益がより早く観察され、これらの化合物の有用性が増大する。
【0023】
開示されている即効性の植物由来組成物は、様々な状態において、治療上有効量を提供する際に様々な投与便益を創出することができる。代表的な投与便益としては、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、及び増大した客観的治療効果がある。
【0024】
植物由来組成物の即効性は、1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸、吸収促進剤、及び/又は界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール及び胆汁塩のような様々な他の有益な担体を経口製剤に含ませることによって作り出される。特定の実施形態において、経口製剤中のN-アシル化脂肪アミノ酸は、例えば、1~50個の炭素原子を含む線状、分岐、環状、二環状、又は芳香族であることができる。N-アシル化脂肪アミノ酸を植物由来組成物と共に使用すると、即効性の利益を得ることができるということは、本明細書にさらに記載される植物由来成分の特定の様相を考えると、予想外のことであった。例えば、N-アシル化脂肪アミノ酸が化合物の吸収を増大させる能力は、化合物の水溶性に比例する。多くの植物由来化合物は水溶性でなく、N-アシル化脂肪アミノ酸の存在により影響を受けるとは期待されていなかった。
【0025】
N-アシル化脂肪アミノ酸(例えば、SNAC)と共に投与されたときに改良された吸収を有することが示された分子には、クロモリン、ビタミンB12)、アトルバスタチン、イバンドロネート、ヘパリン、アシクロビル、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)、副甲状腺ホルモン1-34(PTH 1-34)、α-メラノトロピン(MT-II)、GLP-1、カルシトニン、及びペプチドyyのような水溶性分子がある。
【0026】
図1Aは、水溶解度と、分子の吸収を改良するSNACの能力との実証された相関性を示す。クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン、及びイバンドロネートについて、公表された結果は、血漿中濃度の経時変化から計算される曲線下面積(AUC)を含む。SNACを伴う共投与(co-administration)の効果を定量化するために、SNACを伴う分子に対するAUCをSNACなしの分子に対するAUCで割ることによって改良の倍数を計算することができる。図1Aは、クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン、及びイバンドロネートに対してプロットされたSNACに由来する改良の倍数を各々の分子の水溶解度と共に示す。プロットされたデータは、対数近似曲線に対する目立った一致を示し(R=0.998)、各々の水溶解度とSNACがその吸収を改良する程度との対数関係を示している。
【0027】
ヘパリン、アシクロビル、rhGH、PTH、MT-II、GLP-1、カルシトニン、及びyyペプチドは、Cmax(最大薬物血漿中濃度)及び/又はTmax(最大薬物血漿中濃度に到達するのにかかる時間)により立証されるように、SNACにより改良される吸収を有することが示されている他の分子である。図1Bに示されているように、これらの分子は各々0.15mg/mlより大きい水溶解度を有しており、したがって、このモデルは、SNACがそれらの吸収を改良することができるということを的確に予測している。この結果は、SNACに基づく吸収の改良が分子の水溶解度と相互に関連することを立証している。図1Bはさらに、対数近似曲線に対するTHCの水溶解度(0.0028mg/ml)及びそれに基づくSNACの予測される効果を示している。少なくとも前記に基づき、本明細書に記載されている結果は予想外のことであり、当業者も合理的に期待することはなかったであろう。
【0028】
以下、本開示の様々な態様をより詳細に記載する。
【0029】
本開示は、経口製剤として植物性物質(vegetable matter)及び担体を含む即効性の植物由来組成物を提供する。植物由来組成物とは、植物由来医薬化合物及び植物由来栄養補給剤を意味する。植物由来医薬化合物は、本開示の背景技術の欄に記載したもののような疾患を治療するために治療上有効な量を提供する。植物由来栄養補給剤は古典的な栄養不足に関連する便益を示し;補給が人体の構造又は機能にいかに影響を及ぼすことを意図しているのか説明し;補給剤がかかる構造又は機能を維持するように作用する際の確認された機構を特徴付け;及び/又は製品の消費に関連する一般的な健康状態を記載する。特定の実施形態において、栄養補給剤は特定の病気又は1群の病気を診断、軽減、治療、治癒、又は予防することはない。
【0030】
植物由来組成物は、植物性物質を含む。植物性物質は植物により産生される物質であり、植物全体若しくは植物部位(例えば、樹皮、木質、葉、茎、根、花、果実、種子、又はそれらの部分)及び/又はその滲出液若しくは抽出物全てを含む。特定の実施形態において、植物由来組成物は植物性生成物(botanical product)を含む。植物性生成物は植物材料(plant material)、藻類(algae)、大型菌類(macroscopic fungi)、及び/又はこれらの組合せを含むことができる。特定の実施形態において、植物由来組成物は、様々な種類の植物性物質の混合物を含む。植物由来組成物はまた、植物性物質に由来する物質、例えば、樹脂、油、ドライフラワー、キーフ(kief)、チンキ、煎じ液、等も含むことができる。特定の実施形態において、植物性物質は、殆ど又は全く水溶性をもたない。特定の実施形態において、植物由来組成物は合成、半合成、又は化学修飾薬物を含まない。
【0031】
特定の実施形態において、植物由来組成物には、サンタマリア(Calophyllum brasiliense)、カロフィラム・カレドニクルン(Calophyllum caledonicurn)、テリハボク(Calophyllum inophyllum)、オトギリソウ(Calophyllum soulattri)、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、カモミール(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、キンセンカ(Calendula officinalis)、ウスニア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスティカム・ポルテリーオシャ(Ligusticum porterii-osha)、ヒメコウジ(Gaultheria procumbens)、チャノキ(Camellia sinensis)、セイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus)、レモンバーム(Melissa officinalis)、ニンニク(Allium sativum)、チャノキ(Camellia sinensis)、クラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)、ザクロ(Punica granatum)、ヤブデマリ(Viburnum plicatum)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、オオトウワタ(Asclepias syriaca)、ウコン(Curcuma longa)、アサ(Cannabis sativa)、インド大麻(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)及び/又はカエデ属の種(Acer spp.)又はこれらの抽出物に由来する植物性物質がある。
【0032】
特定の実施形態において、植物由来組成物はアサ植物に由来する植物性物質を含む。アサ植物とは、種(又は亜種)アサ(Cannabis sativa)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、及びインド大麻(Cannabis indica)を含む顕花植物を意味する。
【0033】
アサ植物の特定の抽出物には、カンナビノイドがある。カンナビノイドは、細胞内でカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)を活性化する、アサ植物に由来する1群の環状分子である。大麻から単離することができる少なくとも85の異なるカンナビノイドがある。アサ植物により産生されるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)のような多くのカンナビノイドは水に対する溶解性が極めて低いか又は全くない。最も注目に値するカンナビノイドはTHC及びCBDである。追加の例として、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸(cannabinerolic acid)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)がある。例えば、図2を参照されたい。アサ植物の抽出物は同様にフラボノイド化合物、テルペン、テルペノイド、及びいずれかのかかる構成成分の合成、半合成又は高度に精製されたバージョンを含む。
【0034】
植物由来組成物の成分は、例えば、出発植物生産物の粉砕、煎じ出し、圧搾、及び抽出によって生成することができる。用語「抽出物」は、関連のある植物に見出される活性成分のいくつか又は全てを含有する多くの種類の調製物を、全て含むことができる。抽出物は、水、脂肪質溶剤(例えばオリーブ油)、及びアルコール性溶剤(例えば70%エタノール)を始めとする各種のいろいろな抽出溶剤を用いる冷浸法によって生成することができる。冷浸法は、通例、葉及び花のような植物の軟らかめの部分に、又は植物の所望の活性成分が熱に弱い場合に適用される。あるいは、前述の溶剤を使用して熱間抽出技術により所望の植物の抽出物を生成してもよく、この場合、前記溶剤を高い温度に加熱し(この温度の正確な値は選んだ溶剤の性質に依存する)、抽出プロセスを通じてその温度に維持する。熱間抽出技術は、樹皮、木質の枝及び大きめの根のような植物のより堅くより頑丈な部分により一般的に適用される。場合によって、1種より多くの溶剤で、かつ異なる温度で順次抽出を行うことができる。植物抽出物は濃縮形態で使用してもよい。あるいは、抽出物を適宜その目的の用途に希釈してもよい。
【0035】
国際公開第2004/026857号は、カンナビノイドが少なくとも99wt%のTHC(Δ9-テトラヒドロカンナビノール)に精製される、精製大麻抽出物を製造する方法を提供している。この方法では、アサ植物材料の粗製エタノール抽出物を活性炭のカラムに通し、回転蒸発によって蒸発させる。得られるTHCが富化した抽出物を続いてSephadex LH20を詰めたカラムに通し、クロロホルム/ジクロロメタンで溶離する。使用した溶剤を回転蒸発によって除く。THCが富化した抽出物の純度をさらに増大するためには、抽出物をメタノールに、その後ペンタンに溶解させ、回転蒸発に二回かける。
【0036】
米国特許出願公開第2015/0126754号は、a)アサ植物材料の粗製溶剤抽出物を準備し;b)その粗製抽出物を薄膜蒸発にかけて精製された抽出物を得;c)その精製抽出物をクロマトグラフィーで分画して、予め設定された値より高いTHC含量を有する1以上の高純度画分と、予め設定された値より低いTHC含量を有する1以上の低純度画分とを生成し、ここで予め設定された値は乾燥物質の95~99重量%の範囲であり;d)1以上の高純度画分をもう一度薄膜蒸発にかけ;e)乾燥物質の少なくとも97%のTHCを含有するTHC単離物を集める;方法を記載しており、ステップb)及び/又はステップd)で薄膜蒸発はワイプ薄膜蒸発(wiped film evaporation)を用いることによって行われる。この方法は、高い純度のTHC抽出物が、健康上のリスクのある溶剤を使用することなく良好な収率で得られるという利点を提供する。方法はさらに、特有のカンナビノイドプロフィールをもつTHC単離物を生成する点で極めて再現性がよいという利点を提供する。より特定的には、この方法では、少なくとも97.0~99.5%のTHC及び0.4~2.0%の他のカンナビノイド、例えば少なくとも0.3%のカンナビノール及びカンナビジオールを含有するTHC単離物が得られる(百分率は全て乾燥物質の重量による)。
【0037】
植物抽出物を生成する追加の方法(熱間抽出、冷浸及びその他の技術を含む)が“Medicinal plants: a field guide to the medicinal plants of the Land of Israel (in Hebrew), author: N. Krispil, Har Gilo, Israel, 1986”及び“Making plant medicine, author: R. Cech, pub. by Horizon Herbs, 2000”を始めとする刊行物に記載されている。
【0038】
特定の実施形態において、植物由来組成物の植物成分(例えば、植物抽出物)は、例えばオートクレーブ処理により殺菌した後放冷し、適当な温度(例えば、-20℃)で保存し得る。特定の実施形態において、分画分子量(例えば、10,000Da未満)へのさらなる精製は、例えば、保存前の膜限外ろ過によって行うことができる。
【0039】
特定の実施形態において、植物由来組成物は、修飾アミノ酸、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール、又は胆汁塩のような担体を含む。アミノ酸は、少なくとも1個の遊離アミン基を有するあらゆるカルボン酸であり、天然、非天然及び合成のアミノ酸を含む。ポリアミノ酸は、ペプチド、又は、結合することができる他の基により形成された結合、例えばエステル、無水物、若しくは無水物結合により結合された2個以上のアミノ酸である。ペプチドは、ペプチド結合により連結された2個以上のアミノ酸である。ペプチドは、長さが2個のアミノ酸をもつジペプチドから数百のアミノ酸をもつポリペプチドまで変化することができる。Chambers Biological Dictionary, editor Peter M. B. Walker, Cambridge, England: Chambers Cambridge, 1989, page 215参照。ジ-ペプチド、トリ-ペプチド、テトラ-ペプチド、及びペンタ-ペプチドも使用することができる。
【0040】
修飾アミノ酸である担体にはアシル化された脂肪酸アミノ酸(FA-aa)又はその塩があり、通例アミノ酸又はそのエステルをアシル化又はスルホン化により修飾することによって製造される。アシル化脂肪酸アミノ酸には、N-アシル化FA-aa又はアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸が含まれる。
【0041】
代表的なN-アシル化脂肪アミノ酸塩としては、ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)がある。SNACの他の名称として、ナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、モノナトリウム8-(N-サリチロイルアミノ)オクタノエート、N-(サリチロイル)-8-アミノオクタン酸モノナトリウム塩、モノナトリウムN-{8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ}オクタノエート、又はナトリウム8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタノエートがある。SNACは次の構造を有する:
【0042】
【化1】
SNACの塩も担体として使用できる。
【0043】
特定の実施形態において、担体は次式のものを含む:
【0044】
【化2】
特定の実施形態において、担体にはN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC)が含まれる。
【0045】
担体の他の形態は、次式のものを含む:
【0046】
【化3】
式中、X及びZは、独立して、H、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである。一価のカチオンの例はナトリウム及びカリウムを含む。二価のカチオンの例はカルシウム及びマグネシウムを含む。有機のカチオンの例はアンモニウム及びテトラメチルアンモニウムを含む。
【0047】
N-アシル化FA-aaのような代表的な修飾アミノ酸は化合物I~XXXVとして提供される(図3参照)。これらの化合物の塩及びその他のN-アシル化FA-aaも担体として使用することができる。
【0048】
これらの化合物の多くは本開示に基づいて、アミノ酸から、当業者の技量の範囲内の方法によって容易に製造することができる。例えば、化合物I~VIIはアミノ酪酸から誘導される。化合物VIII~X及びXXXI~XXIIVはアミノカプロン酸から誘導される。化合物XI~XXVI及びXXXVはアミノカプリル酸から誘導される。例えば、上記修飾アミノ酸化合物は、単一のアミノ酸を、アミノ酸中に存在する遊離のアミノ部分と反応してアミドを形成する適当な修飾剤と反応させることによって製造することができる。当業者には公知のように望まれない副反応を避けるために保護基を使用し得る。
【0049】
アミノ酸を金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又はカリウムの水性のアルカリ性溶液に溶解し、5℃~70℃、好ましくは10℃~40℃の範囲の温度に1時間~4時間の範囲、好ましくは2.5時間の期間加熱することができる。アミノ酸のNH基の当量当たり使用するアルカリの量は一般にNH1当量当たり1.25~3ミリモル、好ましくは1.5~2.25ミリモルの範囲である。溶液のpHは一般に8~13の範囲、好ましくは10~12の範囲である。
【0050】
その後、撹拌しながらアミノ酸溶液に適当なアミノ酸修飾剤を加える。混合物の温度を一般に5℃~70℃、好ましくは10℃~40℃の範囲の温度に1~4時間の範囲の期間維持する。アミノ酸の量に対して使用するアミノ酸修飾剤の量はアミノ酸中の遊離のNH全体のモルに基づく。一般に、アミノ酸修飾剤はアミノ酸中の全NH基の1モル当量当たり0.5~2.5モル当量、好ましくは0.75~1.25当量の範囲の量で使用する。
【0051】
混合物のpHを、適切な酸、例えば濃塩酸で、pHが2~3に達するまで調節することによって、反応をクエンチする。混合物は、室温で静置すると、分離して透明な上層及び白色又はオフホワイトの沈殿を形成する。上層を捨て、ろ過又はデカンテーションによって下層から修飾アミノ酸を集める。次いで、粗製修飾アミノ酸を、9~13、好ましくは11~13の範囲のpHの水に溶解する。不溶性の物質をろ過により除き、ろ液を真空中で乾燥する。修飾アミノ酸の収率は一般に30~60%の範囲であり、通常45%である。
【0052】
所望であれば、例えばアミノ酸化合物のベンジル、メチル、又はエチルエステルのようなアミノ酸エステルを使用して、修飾アミノ酸を製造してもよい。ジメチルホルムアミド、ピリジン、又はテトラヒドロフランのような適切な有機溶媒に溶解させたアミノ酸エステルを、適当なアミノ酸修飾剤と、5℃~70℃の範囲の好ましくは25℃の温度で7~24時間の範囲の期間、反応させることができる。アミノ酸エステルに対して使用するアミノ酸修飾剤の量は、アミノ酸について上に記載したのと同じである。この反応は、例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンのような塩基を用いて、又は用いないで行うことができる。
【0053】
その後、反応溶媒を負圧下で除去し、修飾アミノ酸エステルを、適切なアルカリ性溶液、例えば1N水酸化ナトリウムで、50℃~80℃の範囲、好ましくは70℃の温度で、エステル基を加水分解し、遊離のカルボキシル基を有する修飾アミノ酸を形成するのに充分な時間の期間加水分解することによって、エステル官能性を除去する。次いで加水分解混合物を室温に冷却し、例えば25%塩酸水溶液で、2~2.5の範囲のpHに酸性化する。修飾アミノ酸は溶液から沈殿し、ろ過又はデカンテーションのような慣用の手段によって回収される。ベンジルエステルは有機溶媒中で遷移金属触媒を用いて水素化することにより除去することができる。
【0054】
修飾アミノ酸は、再結晶又は固体カラム支持体上での分別によって精製し得る。適切な再結晶溶媒系はアセトニトリル、メタノール及びテトラヒドロフランを含む。分別は、アルミナのような適切な固体カラム支持体上で、メタノール/n-プロパノール混合物を移動相として用いて;逆相カラム支持体でトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として用いて;そしてイオン交換クロマトグラフィーで水を移動相として用いて行うことができる。イオン交換クロマトグラフィーを実施するとき、好ましくは0~500mMの塩化ナトリウム勾配を使用する。
【0055】
特定の実施形態において、式
【0056】
【化4】
(式中、Yは
【0057】
【化5】
又はSOであり;
はC~C24アルキレン、C~C20アルケニレン、C~C20アルキニレン、シクロアルキレン、又はアリーレンのような芳香族であり;
は水素、C~Cアルキル、又はC~Cアルケニルであり;
はC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、又はピリジルであり、
は任意に1個以上のC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、F、Cl、OH、OR、SO、COOH、COOR又は、SOHにより置換されている)
を有する修飾アミノ酸は、水中で、塩基の存在下、式
【0058】
【化6】
を有するラクタムを、式R-Y-X(式中、Y、R、R、及びRは上記の通りであり、Xは脱離基である)を有する化合物と反応させることによって製造できる。上記式で示されるラクタムは、例えばOlah et al., Synthesis, 537-538 (1979)に記載されている方法によって製造することができる。
【0059】
特定の実施形態において、修飾アミノ酸はまた、そのアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸も含み、これは一般式A-Xにより表すことができ、式中Aはアルファ-アミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。アミノ酸にはカチオン性及び非カチオン性のアミノ酸が含まれる。特定の実施形態において、用語「非カチオン性アミノ酸」とは、非極性の疎水性アミノ酸、極性の非荷電アミノ酸、及び極性の酸性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非カチオン性アミノ酸」とは、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、サルコシン、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、及びグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)、及びグルタミン酸(Glu)からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0060】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは非極性の疎水性アミノ酸のアルファアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは非極性の疎水性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非極性の疎水性アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「非極性の疎水性アミノ酸」とは、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Met、Pro及びサルコシンからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0061】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の非荷電アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の非荷電アミノ酸」とは、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGlnからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0062】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、一般式A-Xで表され、式中Aは極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の酸性アミノ酸」は、当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の酸性アミノ酸」とは、Asp及びGluからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0063】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaのアミノ酸残基は、遺伝コードによりコードされていないアミノ酸のアミノ酸残基を含む。アシル化によるアミノ酸の修飾は、アミノ酸の遊離のアルファ-アミノ基と反応することが、当技術分野で公知のアシル化剤を用いて容易に行うことができる。
【0064】
特定の実施形態において、本発明でアルファ-アミノ酸又はアルファ-アミノ酸残基は、他に述べない限りL-形態である。
【0065】
特定の実施形態において、アミノ酸残基は、遊離酸形態及び/又はそのナトリウム(Na+)塩のようなその塩である。
【0066】
アシル化FA-aaの代表的な実施形態は一般的なFa-aaの式Iで表すことができる。
【0067】
【化7】
式中、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル又はアリール基であり;R2はH(すなわち水素)、CH(すなわちメチル基)であるか、又は(CH基を介してR4に共有結合し;R3はH又は存在せず;R4はアミノ酸側鎖であるか又は(CH基を介してR2に共有結合する;又はその塩である。
【0068】
FA-aaは、5~19個の炭素原子からなる置換又は非置換のアルキル基を含む脂肪酸でアシル化することができる。特定の実施形態において、アルキル基は、5~17個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は、5~15個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は、5~13個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は、6個の炭素原子からなる。
【0069】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、腸内pH値で、特にpH6.5~7.0の範囲のようなpH5.5~8.0の範囲で可溶性である。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、pH9.0未満で可溶性である。
【0070】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも5mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも10mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも20mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも30mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも40mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも50mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも60mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも70mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも80mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも90mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも100mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は、37℃でFA-aaのpKaの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は37℃でpH8の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は、37℃でFA-aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は37℃でFA-aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定され、ここで前記FA-aaは反対の荷電をもつ2個以上のイオン化可能な基を有する。特定の実施形態において、FA-aaの溶解度は水性の50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.0中37℃で決定される。
【0071】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)からなる群から選択される[式中、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH(すなわちメチル基)であり、R3はHである]か、又はその塩若しくは遊離酸形態である。式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)は図4に示されている。
【0072】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、ナトリウムN-ドデカノイルアラニナート、N-ドデカノイル-L-アラニン、ナトリウムN-ドデカノイルイソロイシナート、N-ドデカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムN-ドデカノイルロイシナート、N-ドデカノイル-L-ロイシン、ナトリウムN-ドデカノイルメチオニナート、N-ドデカノイル-L-メチオニン、ナトリウムN-ドデカノイルフェニルアラニナート、N-ドデカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムN-ドデカノイルプロリナート、N-ドデカノイル-L-プロリン、ナトリウムN-ドデカノイルトリプトファナート、N-ドデカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムN-ドデカノイルバリナート、N-ドデカノイル-L-バリン、ナトリウムN-ドデカノイルサルコシナート、N-ドデカノイル-L-サルコシン、ナトリウムN-オレオイルサルコシナート、ナトリウムN-デシルロイシン、ナトリウムN-デカノイルアラニナート、N-デカノイル-L-アラニン、ナトリウムN-デカノイルロイシナート、N-デカノイル-L-ロイシン、ナトリウムN-デカノイルフェニルアラニナート、N-デカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムN-デカノイルバリナート、N-デカノイル-L-バリン、ナトリウムN-デカノイルイソロイシナート、N-デカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムN-デカノイルメチオニナート、N-デカノイル-L-メチオニン、ナトリウムN-デカノイルプロリナート、N-デカノイル-L-プロリン、ナトリウムN-デカノイルスレオニナート、N-デカノイル-L-スレオニン、ナトリウムN-デカノイルトリプトファナート、N-デカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムN-デカノイルサルコシナート、N-デカノイル-L-サルコシン、N-ドデカノイルアスパラギナート、N-ドデカノイル-L-アスパラギン、ナトリウムN-ドデカノイルアスパラギン酸、N-ドデカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムN-ドデカノイルシステイナート、N-ドデカノイル-L-システイン、ナトリウムN-ドデカノイルグルタミナート、N-ドデカノイル-L-グルタミン、ナトリウムN-ドデカノイルグリシナート、N-ドデカノイル-L-グリシン、ナトリウムN-ドデカノイルセリナート、N-ドデカノイル-L-セリン、ナトリウムN-ドデカノイルスレオニナート、N-ドデカノイル-L-スレオニン、ナトリウムN-ドデカノイルチロシナート、N-ドデカノイル-L-チロシン、ナトリウムN-デカノイルアスパラギナート、N-デカノイル-L-アスパラギン、ナトリウムN-デカノイルアスパラギン酸、N-デカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムN-デカノイルシステイナート、N-デカノイル-L-システイン、ナトリウムN-デカノイルグルタミナート、N-デカノイル-L-グルタミン、ナトリウムN-デカノイルグリシナート、N-デカノイル-L-グリシン、ナトリウムN-デカノイルセリナート、N-デカノイル-L-セリン、ナトリウムN-デカノイルチロシナート、N-デカノイル-L-チロシン、ナトリウムN-ドデカノイルアスパラギナート、ナトリウムN-ドデカノイルグルタミン酸、N-ドデカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムN-デカノイルグルタミン酸、N-デカノイル-L-グルタミン酸、Amisoft HS-11 P(ナトリウムステアロイルグルタマート)、Amisoft MS-11(ナトリウムミリストイルグルタマート)、Amisoft LS-11(ナトリウムドデカノイルグルタマート)、Amisoft CS-11(ナトリウムココイルグルタマート)、ナトリウムN-ココイルグルタマート、Amisoft HS-11 P、Amisoft HS-11 P(ナトリウムN-ステアロイルグルタマート)、(ナトリウムN-ミリストイルグルタマート))、(ナトリウムN-ドデカノイルグルタマート)、及びAmisoft HS-11 Pの1種以上から選択することができる。
【0073】
次のアシル化FA-aaは市販されている。
【0074】
【表1】
【0075】
特定の実施形態において、用語「脂肪酸N-アシル化アミノ酸」、「脂肪酸アシル化アミノ酸」、又は「アシル化アミノ酸」は本明細書では同義で使用されており、そのアルファ-アミノ基が脂肪酸でアシル化されているアミノ酸を意味する。
【0076】
特定の実施形態では、低い溶解性、又は非常に低い溶解性を有する植物性物質を利用する。特定の実施形態では、本質的に水不溶性の植物性物質を利用する。特定の実施形態において、水に対する溶解性は、米国薬局方(USP 32)により溶質1部の溶解に必要な水の量にしたがって、低い~ゼロ;低い溶解性:溶質1部の溶解に必要な水100~1000部;非常に低い溶解性:必要な水1000~10,000部;本質的に水不溶性:必要な水10,000部超として定義される。しかし、塩基性のpHで、SNAC及び他の修飾アミノ酸並びに本明細書に記載されているFA-aaは水可溶性である。したがって、本明細書に記載されている投与便益は当然に予測することはできないであろう。特定の実施形態において、非常に低い溶解性とは、1mg/ml未満、0.1mg/ml未満、又は0.01mg/ml未満の水又は水溶液に対する溶解度を意味することができる。
【0077】
特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、吸収促進剤として作用し、これにより投与便益を生み出す。吸収促進剤とは、胃腸での吸収を促進する化合物を意味する。吸収促進剤は、吸収促進剤を含まない製剤と比較して、胃腸管内での薬物の溶解性を改良するか又は膜透過を増進することにより薬物吸収を改良することができる。吸収促進剤の追加の例には、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩がある。
【0078】
特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、バイオアベイラビリティー促進剤として作用する。バイオアベイラビリティーとは、対象により実際に吸収され血流に到達する活性成分の画分をいう。特定の実施形態において、バイオアベイラビリティー促進剤は、バイオアベイラビリティー促進剤を含まない製剤と比較して、血流中の活性成分の画分を増加させるか又は血流中の活性成分をより早い時期に検出させることになる。
【0079】
特定の実施形態において、吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤により生み出される追加の投与便益には、吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤を含まないことを除いてあらゆる面で同様であるものに基づく対照の植物由来組成物又は経口製剤と比較して、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、及び/又は増大した客観的治療効果が含まれる。
【0080】
吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤(例えば、及び特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸)を利用する実施形態は、様々な生理学的状態に対処するように設計された多くの経口の植物由来組成物が遅延した作用の発現、及び低いバイオアベイラビリティーを特徴とするので不適切であることから、有益である可能性がある。遅延した作用の発現は迅速な治療効果を必要とする臨床的適応(例えば疼痛及び片頭痛)において困難な課題となり;低いバイオアベイラビリティーは別の投与形態(例えば煙を吸う、蒸気を吸う)で必要とされるよりもかなり高い薬量の摂取を患者に要求する。本明細書に開示されている特定の実施形態は改良されたバイオアベイラビリティー及び治療効果の発現までのより短い時間を有する植物由来組成物経口製剤を提供する。
【0081】
前述のように、特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は主観的治療促進剤として作用する。主観的な治療促進とは、対象により認識される症状の目立った軽減を意味する。特定の実施形態において、主観的治療促進剤は、主観的治療促進剤を含まない製剤と比較して、症状の軽減を増大するか又は症状をより迅速に軽減する。
【0082】
特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、客観的治療促進剤として作用する。客観的な治療促進とは、医師により投与されたとき、血液若しくは唾液アッセイ又は健康の試験によって検出される栄養不足のような臨床的尺度の軽減を意味する。特定の実施形態において、客観的治療促進剤は、客観的治療促進剤を含まない製剤と比較して、客観的な臨床的尺度の軽減を増大するか又は軽減をより迅速にもたらす。
【0083】
特定の実施形態は、大麻並びに吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤を含む。これらの実施形態は、現在入手可能な経口剤形により摂取される大麻と比較して、より迅速な大麻の吸収及びより高いバイオアベイラビリティーを可能にすることができる。
【0084】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている担体は、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、作用のより速い発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味、及び改良された口当たりから選択される投与便益を生み出す。増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、作用のより速い発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間に関連する投与便益は不利な状態をより迅速に軽減することができる(例えば、疼痛の軽減)。「口当たり」とは、経口剤形を摂取する(例えば、噛む又は飲み込む)際に人が感じる快さの味に関連しない様相を意味する。口当たりの態様には、組成物の硬さ及びもろさ、組成物が噛み応えがあるか、ザラザラするか、油っぽいか、クリーム状か、水っぽいか、粘つくか、容易に溶解するか、渋いか、発泡性か、などであるかどうか、並びに組成物の大きさ、形状、及び形態(錠剤、粉末、ゲル、等)がある。
【0085】
植物由来組成物は、植物性物質、投与便益を示す担体、及び1種以上の添加剤(excipient)を加え、混合し、懸濁し、溶解し、ブレンドし、造粒し、錠剤し、カプセル化し、又は他の剤形特有の手法を実施した後、包装することによって、対象への投与用に製造することができる。明確にするために、担体は投与便益を示すように貢献する。添加剤は必ずしも必要ではないが、投与便益に貢献することができる。
【0086】
特定の実施形態は経口製剤として製造された植物由来組成物を含む。代表的な経口製剤には、カプセル、被覆錠剤、食用、エリキシル剤、エマルション、ゲル、ジェルカップ、顆粒、ガム、ジュース、液剤、油、ペースト、ペレット、丸薬、粉末、速溶性錠剤、サシェ、半固体、スプレー、溶液、懸濁液、シロップ、錠剤、等がある。
【0087】
代表的な添加剤の種類としては、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、錯体形成剤、希釈剤(すなわち、充填剤)、崩壊剤、乳化剤、香味料、流動促進剤、潤滑剤、保存料、放出剤、界面活性剤、安定剤、可溶化剤、甘味料、増粘剤、湿潤剤、及び賦形剤(vehicle)がある。
【0088】
結合剤は、造粒の際に粉末粒子の接着を起こすために使用される物質である。代表的な結合剤には、アカシア、圧縮性糖(compressible sugar)、ゼラチン、スクロース及びその誘導体、マルトデキストリン、セルロースポリマー、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びメチルセルロース、アクリルポリマー、例えば不溶性アクリレートアンモニオメタクリレートコポリマー、ポリアクリレート又はポリメタクリルコポリマー、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、グアーガム、並びにポリエチレングリコールがある。
【0089】
着色剤は、製剤に色を付けるために経口製剤に含ませることができる。代表的な着色剤には、ブドウ皮エキス、ビートレッドパウダー、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ウコン、及びパプリカがある。追加の着色剤として、FD&C Red No. 3、FD&C Red No. 20、FD&C Yellow No. 6、FD&C Blue No. 2、D&C Green No. 5、FD&C Orange No. 5、D&C Red No. 8、カラメル、及び酸化第二鉄がある。
【0090】
希釈剤は経口製剤の造粒を増進することができる。代表的な希釈剤として、微晶質セルロース、スクロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ラクトース及び炭素原子13個未満のポリオール、例えばマンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール並びに薬学的に許容されるアミノ酸、例えばグリシンがある。
【0091】
崩壊剤も、溶解を容易にするために経口製剤に含ませることができる。崩壊剤(Disentegrant)、例えば透過促進(permeabilising)及びウィッキング剤(wicking agent)は、経口製剤の内部並びに外部から溶解を促進する水又は唾液を経口製剤中に引き込むことができる。使用できるかかる崩壊剤、透過促進及び/又はウィッキング剤には、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、そのアルファ化及び加工デンプン、セルロース作用剤(cellulosic agent)、例えばAc-di-sol、モンモリロナイト粘土、架橋PVP、甘味料、ベントナイト、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、アラビア、キサンタン及びトラガカント、水性溶媒に対して高い親和性をもつシリカ、例えばコロイドシリカ、沈降シリカ、マルトデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ポリマー、例えばカーボポール、並びにセルロース作用剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。経口製剤の溶解は、使用する比較的小さい粒径の成分を含ませることにより容易にすることができる。
【0092】
代表的な分散又は懸濁剤としては、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、トラガカント(fragacanth)、ゼラチン、水素添加食用脂、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールシロップ、及び合成の天然ガムがある。
【0093】
代表的な乳化剤としてはアカシア及びレシチンがある。
【0094】
フレーバー剤(Flavorant)は、心地よい香味そしてしばしば香気を経口製剤に付与するために使用される天然又は人工の化合物である。代表的なフレーバー剤には、天然及び合成の香味油、香味芳香剤、植物、葉、花、及び果実の抽出物並びにこれらの組合せがある。かかるフレーバー剤として、アニス油、桂皮油、バニラ、バニリン、ココア、チョコレート、ナチュラルチョコレート香味、メントール、ブドウ、ペパーミント油、ウィンターグリーン油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油、カッシア油;かんきつ油、例えばレモン、オレンジ、ライム及びグレープフルーツ油;並びに果実精、例えばリンゴ、セイヨウナシ、桃、ベリー、ワインドベリー、ナツメヤシ、ブルーベリー、キーウィ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、及びアンズがある。特定の実施形態において、使用できるフレーバー剤には天然のベリー抽出物及び天然の混合ベリー香味、並びにクエン及びリンゴ酸がある。
【0095】
流動促進剤は、製造中の粉末ブレンドの流れを改良し、経口製剤重量変化を最小にする。代表的な流動促進剤には、二酸化ケイ素、コロイド状又はヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、トウモロコシデンプン、及びタルクがある。
【0096】
潤滑剤は、組成物の圧縮中の摩擦を低減する、経口製剤に使用される物質である。代表的な潤滑剤にはステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、鉱油及び植物油、安息香酸、ポリ(エチレングリコール)、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリル、及びラウリル硫酸ナトリウムがある。
【0097】
代表的な保存料としては、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、及びソルビン酸がある。
【0098】
代表的な甘味料としては、アスパルテーム、デキストロース、フルクトース、異性化糖、マルトデキストリン、グリチルリチン酸一アンモニウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、ステビア、スクラロース、及びスクロースがある。
【0099】
特定の実施形態は嚥下可能組成物を含む。嚥下可能組成物は、口中に入れたとき容易には溶けず、噛むことなく又は不快感なく丸ごと飲み込むことができるものである。米国特許第5,215,754号及び同第4,374,082号は嚥下可能組成物を製造する方法を記載している。特定の実施形態において、嚥下可能組成物は、鋭い端を含有しない形状及び滑らかで均一かつ実質的に泡のない外側コーティングを有し得る。
【0100】
嚥下可能組成物を製造するためには、慣用のコンパウンディング技術にしたがって、各々の成分を適切な担体と共に密な混和物として組み合わせるとよい。嚥下可能組成物の特定の実施形態において、組成物の表面をポリマー性のフィルムでコートしてもよい。かかるフィルムコーティングはいくつかの有益な効果を有する。まず第1に、口の内面への組成物の接着が低減することにより、その対象の組成物を飲み込む能力を増大させる。第2に、フィルムはある種の成分の不快な味を隠す補助となり得る。第3に、フィルムコーティングは組成物を大気中の分解から保護することができる。嚥下可能組成物を製造する際に使用できるポリマー性フィルムとしては、ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びアセテート、セルロース誘導体、例えばメチル及びエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アクリレート及びメタクリレート、コポリマー、例えばビニル-マレイン酸及びスチレン-マレイン酸タイプ、及び天然のガム並びに樹脂、例えばゼイン、ゼラチン、シェラック及びアカシアがある。
【0101】
特定の実施形態において、経口製剤はチェアブル組成物を含み得る。チェアブル組成物は、快い味及び口当たりを有し、比較的に軟らかく、噛んだ後迅速により小さい破片に壊れ溶解し始めて、結果として実質的に溶液として飲み込まれるようになるものである。
【0102】
米国特許第6,495,177号は、改良された口当たりを有するチェアブル組成物を製造する方法を記載している。米国特許第5,965,162号は、殊に噛んだとき、口内で迅速に崩壊する食べられるユニットを製造するためのキット及び方法を記載している。
【0103】
チェアブル組成物を創出するためには、上に記載した属性を達成するようにある種の成分を含ませるべきである。例えば、チェアブル組成物は、心地よい香味及び口当たりを生み出し、口内での相対的な軟らかさ及び溶解性を促進する成分を含むべきである。以下の考察はこれらの特性を達成する役に立ち得る成分を記載する。
【0104】
糖類、例えば白砂糖、コーンシロップ、ソルビトール(溶液)、マルチトール(シロップ)、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、スクロース、フルクトース、ラクトース、グルコース、ライカシン(lycasin)、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、デキストロース、ポリデキストロース、デキストリン、圧縮性セルロース、圧縮性蜂蜜、圧縮性糖蜜及びこれらの混合物を加えて口当たり及び嗜好性を改良してもよい。フォンダン又はガム、例えばゼラチン、寒天、アラビアガム、グアーガム、及びカラギーナンを加えて組成物の噛み応えを改良してもよい。使用できる脂肪質材料としては、植物油(例えば、ヤシ油、パーム硬化油、トウモロコシ胚芽硬化油、ヒマシ硬化油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油、及びパームステアリン油)、動物油(例えば、融点が30°~42℃の範囲である精製油及び精製ラード)、カカオ脂、マーガリン、バター、及びショートニングがある。
【0105】
アルキルポリシロキサン(さまざまな分子量範囲及びさまざまな異なる置換パターンで市販されているポリマー)も、チェアブル組成物の食感、口当たり、又は両方を高めるために使用することができる。「食感を高める」とは、アルキルポリシロキサンが、そのチェアブル組成物の堅さ、もろさ、及び噛み応えの1以上を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ製剤と比べて改良することを意味する。「口当たりを高める」とは、アルキルポリシロキサンが、口内で液化されたときにチェアブル組成物のザラザラする食感を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ製剤と比べて低減することを意味する。
【0106】
アルキルポリシロキサンは、一般に、ケイ素及び酸素を含有するポリマー骨格を含み、1個以上のアルキル基が骨格のケイ素原子からぶら下がっている。それらはその等級に応じて、さらにシリカゲルを含むことができる。アルキルポリシロキサンは一般に粘稠な油である。嚥下可能組成物、チュアブル組成物又は溶解可能組成物に使用することができる代表的なアルキルポリシロキサンにはモノアルキル又はジアルキルポリシロキサンがあり、ここでアルキル基は任意にフェニル基により置換されていてもよいC-C-アルキル基から各々独立して選択される。使用できる特定のアルキルポリシロキサンはジメチルポリシロキサン(一般にシメチコンといわれる)である。より具体的には、シメチコンGSと指称される粒状のシメチコン製剤を使用できる。シメチコンGSは30%のシメチコンUSPを含有する製剤である。シメチコンUSPは90.5重量%以下の(CH-Si{OSi(CH}CHを4.0%~7.0重量%のSiOと混和して含有する。
【0107】
チェアブル組成物で出現する可能性があるべたつきを予防し、また摂取の際の活性成分のエマルション又は懸濁液への変換を促進するために、組成物はさらに乳化剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、スクロース脂肪酸エステル、レシチン及びこれらの混合物を含んでいてもよい。特定の実施形態において、かかる乳化剤の1種以上は投与される製剤の重量で0.01%~5.0%の量で存在し得る。特定の実施形態において、乳化剤のレベルがそれより低いか又はそれより高いと、乳化が起こらないか、又はワックス値が上昇する。
【0108】
経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとることができ、又は使用前の水も若しくは他の適切な賦形剤による再構成用の乾燥生成物として存在してもよい。
【0109】
上記に加えて、嚥下可能組成物、チュアブル組成物及び/又は溶解可能組成物又は本明細書に記載されている他のいずれかの経口製剤を製造する際、記載されている目的と適合する限り、あらゆる適当な充填剤及び添加剤を利用してもよい。
【0110】
経口製剤はまた食用品も含む。食用品とは、食料又は飲料として消費することができるあらゆる製品を意味する。場合によって、食用品は植物抽出物の煎じ出しにより食材にされる。使用に適した食用可能な食料の例には、キャンディー、キャンディーバー、パン、ブラウニー、ケーキ、チーズ、チョコレート、ココア、クッキー、グミ、ロリポップ、ミント、ペーストリー、ピーナッツバター、ポップコーン、プロテインバー、餅、ヨーグルト、等がある。厳密にいえば食用ではないが、ガムも使用することができる。食用飲料の例としては、ビール、ジュース、フレーバーミルク、フレーバーウォーター、リカー、ミルク、ポンチ、ミルクセーキ、ソーダ、茶、及び水がある。特定の実施形態において、食用品は、食用品を作成するのに使用される成分と植物抽出物とを組み合わせることで作成される。例としてはバター及び油がある。代表的な油としては、ココナツオイル、グレープシードオイル、オリーブ油、ヤシ油、パパイヤシードオイル、ピーナッツ油、ゴマ油、発芽小麦油、小麦胚芽油、又はこれらのあらゆる組合せがある。
【0111】
経口製剤は個別に、任意の大きさの1以上のパッケージ、缶、バイアル、ブリスターパック、又は瓶に複合ユニットとして包むか又は包装することができる。薬量は治療上有効な量を提供するような大きさとする。
【0112】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの植物性物質(例えば、植物部位又は抽出物)を含む。
【0113】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの担体を含む。
【0114】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの添加剤を含む。
【0115】
特定の実施形態において、10gの乾燥植物抽出物を150mlの水に対して使用できる。これにより、1~99%(w/w)の植物抽出物、2~80%(w/w)の植物抽出物、及び5~50%(w/w)の植物抽出物の有効濃度が得られる。
【0116】
添加剤はAldrich Chemical Co., FMC Corp, Bayer, BASF, Alexi Fres, Witco, Mallinckrodt, Rhodia, , ISP、などのような会社から市販されている。
【0117】
追加の情報はWADE & WALLER, HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS (2nd ed. 1994)及びRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990に見ることができる。さらに、製剤はU.S. FDA及び/又は他の関連のある外国の規制機関により要求される無菌状態、発熱性、一般的安全性、及び純度の標準規格を満たすように製造することができる。
【0118】
本明細書に開示されている植物由来組成物は対象(ヒト、獣医学的動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類、等)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、等)、及び研究動物(サル、ラット、マウス、魚、等))を治療するのに使用することができる。対象を治療することは治療上有効な量を提供することを含む。治療上有効な量は、有効な量、予防的治療、及び/又は治療処置を提供するものを含む。
【0119】
「有効な量」は、対象において所望の生理学的変化を起こすのに必要な植物由来組成物の量である。有効な量は、しばしば試験目的で投与される。本明細書に開示されている代表的な有効量は、動物モデルにおいて疼痛知覚(神経障害性疼痛、急性疼痛、内蔵疼痛)を低減することができ、動物モデルにおいて食欲を刺激することができ、動物モデルにおいて発作(例えば、てんかん性発作)を低減することができ、動物モデルにおいて骨量減少を逆転することができ、動物モデルにおいて片頭痛を軽減する(頭蓋血管を収縮させる)ことができ、動物モデルにおいて中毒を治療することができ、動物モデルにおいて不安を低減することができ、及び/又は動物モデルにおいて喘息の症状を低減することができる。
【0120】
「予防的治療」は、病気若しくは栄養不足の兆候若しくは症状を示していないか又は病気若しくは栄養不足の初期兆候若しくは症状のみを示す対象に、病気若しくは栄養不足をさらに発症するリスクを小さくし、抑制し、若しくは減少させる目的で投与されるように投与される処置を含む。したがって、予防的治療は病気又は栄養不足の発症に対する予防処置として機能する。
【0121】
予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。片頭痛の有効な予防的治療は、対象が感じる1月当たりの片頭痛の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0122】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、てんかん性発作を有するリスクがある対象に投与することができる。てんかん性発作の有効な予防的治療は、1月当たりの発作の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0123】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、神経障害性疼痛を患うリスクのある対象に投与することができる。神経障害性疼痛の有効な予防的治療は、神経障害性疼痛の出現が、標準の主観的又は客観的疼痛評価により測定して少なくとも10%、又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0124】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、突出痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。突出痛の有効な予防的治療は、突出痛の発生が標準の主観的又は客観的疼痛評価により10%、特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0125】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐(CINV)を発症するリスクのある対象に投与することができる。CINVの有効な予防的治療は、CINVが標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して10%、特定の実施形態において25%低下するときに現れる。
【0126】
栄養不足の予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病、食事に含まれる鉄の不足による貧血、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を発症するリスクのある対象に、投与することができる。これらの状態の有効な予防的治療は、これらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して回避されたか又は遅延したときに現れる。
【0127】
「治療処置」は、病気又は栄養不足を有する対象に投与される処置を含み、病気又は栄養不足の重症度を治癒又は低減する目的で対象に投与される。
【0128】
治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を有する対象に投与することができる。片頭痛の有効な治療処置は、頭痛の重症度が、標準の主観的又は客観的な頭痛評価により測定して、完全に低減若しくは軽減し、及び/又は頭痛がより迅速に消散したときに現れる。
【0129】
治療処置の別の例は、CINVを感じている対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。CINVの治療処置は、標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して、嘔吐が低減したかやんだ(又はより迅速にやんだ)か又は悪心が軽減したときに現れる。
【0130】
治療処置のもう1つ別の例は、骨粗しょう症を有する対象への開示されている経口製剤の投与を含む。骨粗しょう症の有効な治療処置は、骨密度が10%、特定の実施形態においては25%増大したときに現れる。
【0131】
治療処置のもう1つ別の例は、不安を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。不安の有効な治療処置は標準の主観的又は客観的な不安評価により測定して不安の重症度が完全に及び/又はより迅速に低減又は軽減したときに現れる。
【0132】
治療処置の別の例は多発性硬化症を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。多発性硬化症の有効な治療処置は、標準の歩行試験におけるスコアが10%、特定の実施形態においては25%、改善したときに現れる。
【0133】
栄養不足の治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病、食事に含まれる鉄不足による貧血、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を有する対象に投与することができる。これらの状態の有効な治療処置はこれらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して低減又は消散したときに現れる。
【0134】
治療処置は、投与に対する研究成分の存否に基づく有効な量とは区別することができる。しかし、当業者には理解されるように、ヒトの臨床試験では、有効な量、予防的治療及び治療処置が重なり合う可能性がある。
【0135】
投与のために、治療上有効な量(本明細書では薬量ともいう)は、最初に、インビトロアッセイ及び/又は動物モデル試験の結果に基づいて評価することができる。かかる情報は、目的とする対象における有用な薬量をより的確に決定するために使用することができる。
【0136】
特定の対象に投与される実際の投薬量は、対象、医師、獣医、研究者が、対象の標的、体重、状態、以前又は同時に起こる治療的介入、及び/又は特発性疾患を含めて物理的、生理学的及び心理学的要因のようなパラメーターを考慮して決定することができる。
【0137】
有用な薬量は0.1~5μg/kg又は0.5~1μg/kgの範囲であることができる。特定の実施形態において、薬量は1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、1000μg/kg、0.1~5mg/kg又は0.5~1mg/kgを含むことができる。特定の実施形態において、薬量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg以上を含むことができる。
【0138】
特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たりの重量で植物性物質(例えば、植物部位若しくは抽出物)又は活性成分を含む。特定の実施形態において、有用な薬量は、0.1mg/kg~100mg/kg又は0.5mg/kg~50mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たり0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg以上の植物性物質又は活性成分を含む。
【0139】
特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たりの重量で担体(例えば、SNAC)を含む。特定の実施形態において、有用な薬量は、0.1mg/kg~100mg/kg又は0.5mg/kg~50mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たり0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg以上の担体を含む。
【0140】
特定の実施形態において、総投薬容量は、0.25mL~30mL又は0.5mL~20mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、総投薬容量は、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、20mL、21mL、22mL、23mL、24mL、25mL、26mL、27mL、28mL、29mL、30mL以上を含むことができる。
【0141】
投薬濃度は、投薬容量当たりの植物性物質(例えば、植物部位若しくは抽出物)又は活性成分の重量(例えば、mg薬学的活性成分(API)/mL)と表すことができる。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL~100mg/mL又は5mg/mL~50mg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL、15mg/mL、16mg/mL、17mg/mL、18mg/mL、19mg/mL、20mg/mL、21mg/mL、22mg/mL、23mg/mL、24mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL以上を含むことができる。
【0142】
投薬濃度は、投薬容量当たりの担体(例えば、SNAC)の重量(例えば、mg SNAC/mL)と表すことができる。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL~500mg/mL又は50mg/mL~300mg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、325mg/mL、350mg/mL、375mg/mL、400mg/mL、425mg/mL、450mg/mL、475mg/mL、500mg/mL以上を含むことができる。
【0143】
特定の実施形態において、担体と植物性物質(例えば、植物部位若しくは抽出物)又は活性成分との比(w/w)は、1:1~100:1又は1:1~20:1の範囲であり得る。特定の実施形態において、比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、100:1以上を含むことができる。特定の実施形態において、比は10:1であり得る。
【0144】
治療上有効な量は、治療計画の過程において(例えば、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、6時間毎、9時間毎、12時間毎、18時間毎、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週毎、3週毎、又は毎月一回)単一又は複数の薬量を投与することによって達成することができる。
【0145】
1種以上の活性薬剤を、同時に若しくは10分、1時間、3時間、10時間、15時間、24時間、若しくは48時間の時間窓内のような選択された時間窓内で、又は補完する活性薬剤が臨床的に関連のある治療濃度域内にあるとき投与することができる。
【0146】
以下の代表的な実施形態及び実施例は本開示の特定の実施形態を示すために含まれる。当業者であれば本開示に照らして認識されるように、本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、それでも類似又は同様な結果を得ることができる。
【0147】
代表的な実施形態
1.植物性物質及びN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を含む植物由来組成物。
【0148】
2.植物性生成物を含む、実施形態1の植物由来組成物。
【0149】
3.植物性物質がサンタマリア(Calophyllum brasiliense)、カロフィラム・カレドニクルン(Calophyllum caledonicurn)、テリハボク(Calophyllum inophyllum)、オトギリソウ(Calophyllum soulattri)、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、カモミール(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、キンセンカ(Calendula officinalis)、ウスニア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスティカム・ポルテリーオシャ(Ligusticum porterii-osha)、ヒメコウジ(Gaultheria procumbens)、チャノキ(Camellia sinensis)、セイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus)、レモンバーム(Melissa officinalis)、ニンニク(Allium sativum)、チャノキ(Camellia sinensis)、クラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)、ザクロ(Punica granatum)、ヤブデマリ(Viburnum plicatum)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、オオトウワタ(Asclepias syriaca)、ウコン(Curcuma longa)、アサ(Cannabis sativa)、インド大麻(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)及び/又はカエデ属の種(Acer spp)、又はこれらの抽出物に由来する、実施形態1又は2の植物由来組成物。
【0150】
4.植物性物質が大麻に由来する、実施形態1~3のいずれかの植物由来組成物。
【0151】
5.植物性物質がアサ(Cannabis sativa)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、又はインド大麻(Cannabis indica)に由来する、実施形態1~4のいずれかの植物由来組成物。
【0152】
6.大麻抽出物を含む、実施形態1~5のいずれかの植物由来組成物。
【0153】
7.カンナビノイドを含む、実施形態1~6のいずれかの植物由来組成物。
【0154】
8.Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、及び/又はこれらの混合物を含む、実施形態1~7のいずれかの植物由来組成物。
【0155】
9.フラボノイド化合物、テルペン、又はテルペノイドを含む、実施形態1~8のいずれかの植物由来組成物。
【0156】
10.N-アシル化脂肪アミノ酸が化合物I~XXXV(図3)、又は化合物a~r(図4)の1以上を含む、実施形態1~9のいずれかの植物由来組成物。
【0157】
11.N-アシル化脂肪アミノ酸がモノナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、ジナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、及びN-(サリチロイル)-8-アミノカプリル酸を含む、実施形態1~10のいずれかの植物由来組成物。
【0158】
12.N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が
【0159】
【化8】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)を含む、実施形態1~11のいずれかの植物由来組成物。
【0160】
13.一価のカチオンがナトリウム又はカリウムを含む、実施形態12の植物由来組成物。
【0161】
14.金属カチオンがカルシウム又はマグネシウムを含む、実施形態12の植物由来組成物。
【0162】
15.有機のカチオンがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む、実施形態12の植物由来組成物。
【0163】
16.XがHである、実施形態12の植物由来組成物。
【0164】
17.Xがナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態12の植物由来組成物。
【0165】
18.Xがカルシウム又はマグネシウムを含む二価の金属カチオンである、実施形態12の植物由来組成物。
【0166】
19.Xがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む有機のカチオンである、実施形態12の植物由来組成物。
【0167】
20.ZがHである、実施形態12の植物由来組成物。
【0168】
21.Zがナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態12の植物由来組成物。
【0169】
22.Zがカルシウム又はマグネシウムを含む二価のカチオンである、実施形態12の植物由来組成物。
【0170】
23.XがHであり、ZがHである、実施形態12の植物由来組成物。
【0171】
24.XがHであり、Zがナトリウムである、実施形態12の植物由来組成物。
【0172】
25.Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、実施形態12の植物由来組成物。
【0173】
26.N-アシル化脂肪アミノ酸が投与便益を提供する、実施形態1~25のいずれかの植物由来組成物。
【0174】
27.投与便益が薬量依存性の投与便益である、実施形態26の植物由来組成物。
【0175】
28.薬量依存性の投与便益が25~200mgの薬量におけるものである、実施形態27の植物由来組成物。
【0176】
29.薬量依存性の投与便益が1mg/mL~500mg/mLのN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩の投薬濃度におけるものである、実施形態27の植物由来組成物。
【0177】
30.N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩の薬量依存性の投与便益が、植物性物質の薬量レベルの1~100倍の薬量におけるものである、実施形態27の植物由来組成物。
【0178】
31.投与便益が、N-アシル化脂肪アミノ酸を含まない対照組成物と比較して、植物性物質の測定される成分の増大した吸収、植物性物質の測定される成分の増大したバイオアベイラビリティー、植物性物質の測定される成分の作用のより速い発現、植物性物質の測定される成分のより高いピーク濃度、植物性物質の測定される成分のより速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味、及び改良された口当たりの1以上を含む、実施形態26の植物由来組成物。
【0179】
32.植物由来組成物が医薬組成物である、実施形態1~31のいずれかの植物由来組成物。
【0180】
33.植物由来組成物が栄養補給剤である、実施形態1~32のいずれかの植物由来組成物。
【0181】
34.界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩を含む、実施形態1~33のいずれかの植物由来組成物。
【0182】
35.治療上有効な量の植物性物質を含む、実施形態1~34のいずれかの植物由来組成物。
【0183】
36.植物性物質の治療上有効な量が1mg/mL~50mg/mLの投薬濃度におけるものである、実施形態35の植物由来組成物。
【0184】
37.植物性物質の治療上有効な量が、N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩の薬量より1~100倍少ない薬量におけるものである、実施形態35の植物由来組成物。
【0185】
38.治療上有効な量が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症s、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、並びに離脱の症状を治療する、実施形態35の植物由来組成物。
【0186】
39.ビタミン又はミネラルを含む、実施形態1~38のいずれかの植物由来組成物。
【0187】
40.ビタミン及びミネラルを含む、実施形態1~38のいずれかの植物由来組成物。
【0188】
41.ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、又はビタミンKの1種以上から選択される、実施形態39又は40の植物由来組成物。
【0189】
42.ミネラルが、カルシウム、クロム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、セレン又は亜鉛の1種以上から選択される、実施形態39又は40の植物由来組成物。
【0190】
43.実施形態1~42のいずれかの植物由来組成物を含む経口製剤。
【0191】
44.経口製剤が嚥下可能であるか又はチュアブルである、実施形態43の経口製剤。
【0192】
45.経口製剤が液体又は固体である、実施形態43又は44の経口製剤。
【0193】
46.経口製剤が溶液、懸濁液、又はスプレーである、実施形態43~45のいずれかの経口製剤。
【0194】
47.経口製剤が錠剤、カプセル又はサシェである、実施形態43~45のいずれかの経口製剤。
【0195】
48.経口製剤が香味付けられている、実施形態43~47のいずれかの経口製剤。
【0196】
49.より速い作用の発現を有する大麻の経口製剤を製造する方法であって、該方法が大麻の経口製剤に吸収促進剤を添加することを含み、該大麻の経口製剤が吸収促進剤を含まない大麻の経口製剤より速い作用の発現を有する、方法。
【0197】
50.吸収促進剤がN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩である、実施形態49の方法。
【0198】
51.N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が
【0199】
【化9】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)を含む、実施形態49又は50の方法。
【0200】
52.N-アシル化脂肪アミノ酸がモノナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、ジナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、及びN-(サリチロイル)-8-アミノカプリル酸から選択される、実施形態49~51のいずれかの方法。
【0201】
53.吸収促進剤が大麻の量の1~100倍の量である、実施形態49の方法。
【0202】
54.治療上有効な量の実施形態1~42のいずれかの組成物又は実施形態43~48のいずれかの製剤を対象に投与することによりそれを必要とする対象を治療することを含む、それを必要とする対象を治療する方法。
【0203】
55.治療上有効な量が有効な量、予防的治療、及び/又は治療処置を提供する、実施形態54の方法。
【0204】
56.組成物の治療上有効な量が、植物性物質の薬量の1~100倍の薬量でN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を含む、実施形態54の方法。
【0205】
57.ヒト対象において病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅する方法であって、前記方法が治療上有効な量の実施形態1~42のいずれかの組成物又は実施形態43~48のいずれかの経口製剤を対象に送達することにより病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅することを含み、前記病気又は疾患が後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、骨粗しょう症、骨減少症、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、又は離脱症候群である、方法。
【0206】
58.組成物の治療上有効な量が、植物性物質の薬量の1~100倍の薬量でN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を含む、実施形態57の方法。
【実施例
【0207】
改善されたバイオアベイラビリティー及び作用の発現までの短縮された時間を示す、経口カンナビノイド剤形。
【0208】
大麻治療の恩恵を受ける可能性がある健康状態の富を考えると、経口形式で改善されたバイオアベイラビリティーを示す即効性に優れた製品に対する重要な満たされてない要求が存在する。現在の経口大麻製品は低いバイオアベイラビリティー、及び作用発現までの長時間が課題となる食用品及び伝統的な医薬剤形を含む。本開示は、作用の発現までの改良された時間及び改良されたバイオアベイラビリティーを提供するために、全ての現在利用可能な経口大麻製品の短所に対処する。
【0209】
[実施例1] 代表的な製剤。溶液製剤。
【0210】
大麻と1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを1時間激しく撹拌する。溶解が不完全であれば、界面活性剤を加えることができ、撹拌を続けて最終の製剤を調製することができる。
【0211】
懸濁製剤。大麻と1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを撹拌して懸濁させることができる。
【0212】
溶液製剤。大麻と1種以上の吸収促進剤を水性/有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを1時間激しく撹拌する。溶解が不完全であれば、界面活性剤を加えることができ、撹拌を続けて最終の製剤を調製することができる。
【0213】
懸濁製剤。大麻と1種以上の吸収促進剤を水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを撹拌して懸濁させることができる。
【0214】
ジェルカップ組成物。懸濁製剤又は溶液製剤をジェルカップに充填して1gまでの大麻を含ませることができる。ジェルカップは腸溶コーティングで処理することも、又はコーティングなしで使用することもできる。
【0215】
錠剤/カプセル組成物。溶液製剤及び懸濁製剤を蒸発、凍結乾燥、又は噴霧乾燥により乾燥させることができる。得られた乾燥製品を打錠添加剤と混合し、錠剤又はカプレットに圧縮して1gまでの大麻を含ませることができる。あるいは、乾燥製品をカプセルに充填することができる。
【0216】
[実施例2] 経口投与した大麻/SNAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際のSNACの有用性を評価するために設計された。
【0217】
参加者の選択。6人の試験参加者を採用して、大麻組成物を摂取させ、大麻に誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間、及び強度を記録した。試験参加者は、2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物、並びにSNACを含む試験物質の使用。
【0218】
製剤。選択された大麻濃縮物は市販されており、エタノール溶液として参加者に与えた。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有する。これは、高い割合のTHCを含有しており、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択された。水性エタノールは大麻抽出物並びにSNACを効果的に溶解するので溶媒として使用した。
【0219】
方法。対照実験では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込んだ。
【0220】
試験実験では、各参加者は水性エタノール及び200mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込んだ。
【0221】
対照実験及び試験実験で、各参加者は投薬の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、及び大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1~10の範囲の尺度値を用いて報告された。表1に、各尺度値に対する多幸感及び不快レベルを記載する。
【0222】
【表2】
【0223】
結果。以下に示されている結果は全部で6人の参加者で得られた平均の尺度値である(図5A及び5Bにも示されている)。
【0224】
【表3】
【0225】
【表4】
【0226】
発現:6人の参加者全員が大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後5分以内に多幸感を報告し、発現の時間は2~5分の範囲であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は摂取後15分であり、発現の時間は15分~1時間15分の範囲であった(個々の参加者の結果については図6A~6F参照)。摂取後15分までで平均の報告された多幸感尺度値は大麻/SNAC製剤(試験)の場合3.8であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後15分で、平均の報告された多幸感尺度値は0.17であった(各時点での平均については図5A及び5B参照)。
【0227】
強度:大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後平均のピーク多幸感尺度値は4.7であり、これは摂取後30分であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後最高の平均多幸感尺度値は2.2であり、これは2時間15分の時点であった(図5A及び5B参照)。したがって、大麻/SNAC製剤の摂取はより高いピーク強度の多幸感に至り、これは大麻のみの製剤を摂取したときより平均1時間45分速く起こった。観察された不快の強度は試験及び対照の両方で最小限度であり、ピークの平均尺度値は両方の実験で0.83であった。
【0228】
持続時間:結果は、吸収促進剤の添加が大麻の作用の持続時間を短縮しないことを示している。
【0229】
要約すると、SNACのような吸収促進剤を大麻の経口投薬製剤に加えると、作用のより速い発現及び大麻のピーク活性レベルで作用のより高い強度を示す。なお、吸収促進剤は大麻の作用の持続時間に影響を及ぼさない。
【0230】
[実施例3] 経口投与された低いSNAC薬量の大麻/SNAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際の低い薬量でのSNACの有用性を評価するために設計された。
【0231】
参加者の選択。3人の試験参加者を採用し、大麻組成物を摂取させ、大麻により誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間、及び強度を記録した。試験参加者は2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物並びにSNACを含む試験物質の使用。
【0232】
製剤。選択された大麻濃縮物は市販されており、エタノール溶液として参加者に与えた。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有する。これは、高い割合のTHCを含有しており、使用者により報告される「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択された。水性エタノールは大麻抽出物並びにSNACを効果的に溶解するので溶媒として使用された。
【0233】
方法。対照実験では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、その混合物をすぐに飲み込んだ。
【0234】
試験実験では、各参加者は水性エタノール及び100mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込んだ。
【0235】
対照実験及び試験実験の両方で、各参加者は薬量投与の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、及び大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1~10の範囲の尺度値を用いて報告された。表1に、各尺度値に対する多幸感及び不快のレベルを記載した。
【0236】
結果。結果は、実施例2のデータと合わせて全ての参加者に対して図7に示されている。
【0237】
発現:3人の参加者全員が大麻/SNAC製剤(試験)を摂取して5分以内に多幸感を報告し、発現の時間は2~5分の範囲であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は摂取後15分であり、発現の時間は15分~1時間15分の範囲であった。摂取後15分まで、平均の報告された多幸感尺度値は大麻/SNAC製剤(試験)の場合3.0であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取の15分後、平均の報告された多幸感尺度値は0.25であった。
【0238】
強度:大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後平均のピーク多幸感尺度値は3.4であり、これは摂取後30分で起こった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後最高の平均多幸感尺度値は2.2であり、これは2時間15分の時点であった。SNAC薬量が200mgであった実施例2と比較して、実施例3の参加者はたった100mgのSNACを実施例2で使用したのと同じ量の大麻と組み合わせて摂取した。この低下した量のSNACの結果大麻作用が低下し、観察された大麻作用(多幸感)とSNAC薬量との間の明らかな薬量反応関係を示している。実施例2と同じく、大麻/SNAC製剤の摂取は多幸感のより高いピーク強度を示し、これは大麻のみの製剤を摂取したときより平均1時間45分速く起こった。
【0239】
持続時間:結果は、吸収促進剤の添加が大麻の作用の持続時間を短縮しないことを示している。
【0240】
要約すると、SNACのような吸収促進剤を大麻の経口投薬製剤に加えると、作用のより速い発現及び大麻のピーク活性レベルでの作用のより高い強度を示す。なお、吸収促進剤は大麻の作用の持続時間に影響しない。変化する量のSNACは観察される大麻作用(多幸感)とSNAC薬量との間の明らかな薬量反応関係を生じる。
【0241】
[実施例4] 吸入対経口群反応(図8)。対象が報告した多幸感として測定された吸入及び経口大麻の薬物力学反応の比較。経口及び吸入群は、両方とも類似したピーク効果までの時間(15~30分間)を報告した。これは、経口大麻がピーク効果までの時間が伝統的に非常にゆっくりであること(4時間まで)を特徴とするので、非常に驚くべきことである。
【0242】
[実施例5] 大麻/SNAC経口ラット薬物動態(PK)試験のまとめ。この試験は、ラットへの単回強制経口投与後の、賦形剤のSNACを有する及び有さない、1:1比(重量に基づいた)で56%のTHC/CBDを含有する大麻抽出物の薬物動態プロファイルを特徴付けるために設計された。この試験において、大麻とSNACの2つの薬量及び大麻とSNACの2つの比を試験した。実験の設計を下記の表4に表す。
【0243】
【表5】
【0244】
方法。1日目に動物に投薬し、薬物動態評価のために一連の血液試料を投与後の4時間にわたって収集した。動物を、最後の血液試料の収集後に安楽死させた。
【0245】
結果。25mgの抽出物/kg及び250mgのSNAC/kg(群3)、25mgの抽出物/kg及び500mgのSNAC/kg(群4)又は50mgの抽出物/kg及び500mgのSNAC/kg(群5)による、吸収促進賦形剤(SNAC)と組み合わせた1:1比のTHC/CBDを含有する大麻抽出物の単回経口投与の後、平均最大濃度Cmaxは、CBDでは31.7~159.3ng/mLの範囲であり、THCでは111.5~546.17ng/mLの範囲であった。平均最大血漿中濃度に到達するまでの時間(Tmax)は、CBDでは投薬後の0.25~1時間の範囲であり、THCにおいて、低及び中投薬群では投薬後の1時間で到達し、高投薬群では投薬後の2時間で到達した。AUC0-Tlastは、CBDでは13.17~382.14hrng/mLの範囲であり、THCでは170.64~1256.49hrng/mLの範囲であった。
【0246】
試験した投薬範囲において、THCのCmax及びAUC0-TlastはCBDより高かった。SNACを有する及び有さない同じ大麻抽出物(THC/CBD)薬量(25mg/kgの大麻の総薬量、12.5mg/kgのTHC/12.5mg/kgのCBD)を投与すると、THCでは、大麻単独より1.4倍のCmaxの増加が、250又は500mg/kgのいずれかのSNAC薬量において観察された。AUCは、大麻単独の群と比較して、250mg/kgのSNAC群では1.1倍大きかったが、500mg/kgのSNAC群では低かった。CBDでは、大麻単独より2.9倍及び2.8倍のCmaxの増加が、250又は500mg/kgのいずれかのSNAC薬量において観察された。AUCは、大麻単独と比較して、両方の群において低かった。500mg/kgのSNAC及び50mg/kgの大麻抽出物(25mg/kgのTHC/25mg/kgのCBD)に対して、大麻及びSNACの両方の薬量を2倍に増加することは、CBDのCmaxに14.2倍の増加をもたらし、THCのCmaxに6.9倍の増加をもたらした。CBD及びTHCのAUC0-Tlastは、それぞれ22.1倍及び6.3倍増加した(図9及び図10)。試験した投薬範囲において、THCのCmax及びAUC0-TlastはCBDより高かった。SNAC(250mg/kg又は500mg/kg)の存在下で同じ大麻抽出物(THC/CBD)薬量を投与すると、THCとCBDの両方のCmaxは、大麻単独群より、それぞれ1.4倍及び2.8倍増加した。AUC0-Tlastは同等であった。この観察は、大麻とSNACとの比の10:1がCmaxの増加を促進するが、20:1に比を増加させると、追加的な便益を提供しないことを示唆している。大麻とSNACの両方の薬量を2倍に増加すると、大麻単独群より、それぞれ6.9倍及び14.2倍のTHC及びCBDのCmaxの増加をもたらした。THC及びCBDのAUC0-Tlastは、大麻単独群より、それぞれ6.3倍及び22.1倍増加した。これは、経口大麻において観察された近線形薬量反応(Information for Health Care Providers-Cannabis and the Cannabinoids;Health Canada February 2013)に基づいて予測された増加よりも大きい。全体として、これらのデータは、強制経口によりラットに投与されたとき、SNACが大麻の吸収を促進することを示唆している。
【0247】
[実施例6] 経口投与した大麻/NAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際のSNACの酸形態であるN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC)の有用性を評価するために設計された。
【0248】
試験参加者。1人の試験参加者を採用して、大麻組成物を摂取させ、大麻に誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間及び強度を記録した。試験参加者は、2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解したハーブ抽出物ブレンド中の大麻濃縮物の油を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解したハーブ抽出物ブレンド中の大麻濃縮物の油と、NACとを含む試験物質の使用。
【0249】
製剤。選択された大麻濃縮物の油はカプセル剤で市販されており、カプセル剤の内容物をエタノール溶液として参加者に与えた。1つのカプセル剤は、9mgのCBD、7.7mgのTHC、ハーブ抽出物ブレンド(コウボク、アシュワガンダ、ゲンゲ)及びステアリン酸(植物油由来)を含有し、カプセル当たりの規定力価は、CBD 9.0mg、THCA 0.0mg及びTHC 7.6mgである。この製剤は、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択され、試験2が非常に高い薬量の大麻を送達する場合には、CBDの含有量が不快作用を寛解させるはずである。
【0250】
方法。対照実験では、参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込んだ。
【0251】
試験実験では、参加者は水性エタノール及び100mgのNACの予め混合した5mlの溶液と大麻濃縮物を混合し、すぐにその溶解した混合物を飲み込んだ。
【0252】
対照実験及び試験実験で、参加者は投薬の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、並びに大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1~5の範囲の尺度値を用いて報告された。表5に、各尺度値に対する多幸感及び不快レベルを記載する。
【0253】
【表6】
【0254】
結果。以下に示される結果は、対照実験(表6)及び試験実験(表7)における参加者から得られた尺度値である。値は図11にプロットされている。
【0255】
【表7】
【0256】
【表8】
【0257】
発現:参加者は、大麻/NAC製剤(試験、表7及び図11)の摂取後6分以内に多幸感を報告した。対照的に、大麻のみの製剤(対照、表6及び図11)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は、摂取後45分であった。摂取後30分までに、参加者は大麻/NAC製剤で強い多幸感(尺度値の4)を報告した。対照的に、大麻のみの製剤の摂取後30分で、参加者は、おそらく心理的なものである軽度の作用(尺度値の1)のみを認めた。
【0258】
強度:大麻のみ(対照)及び大麻/NAC製剤(試験)の両方の摂取後のピーク多幸感の尺度値は、4であった。しかし、多幸感のピーク強度は、大麻/NAC製剤(試験)では摂取後30分で到達したが、多幸感のピーク強度は、大麻のみの製剤(対照)では摂取後2時間で到達した。したがって、大麻/NAC製剤の摂取は、ピーク強度が大麻のみの製剤を摂取したときより1時間30分速く起こった多幸感をもたらした。観察された不快の強度は試験及び対照の両方で最小限度であったが、参加者は、大麻のみの製剤(対照)でより軽度な不快作用を認めた。
【0259】
要約すると、SNACの酸形態であるNACは、大麻の経口投薬製剤に含めると、SNACと同じ様に機能する。大麻/NAC製剤は、大麻のみの製剤と比較してより速い作用の発現を提供する。
【0260】
当業者には理解されるように、本明細書に開示されている各々の実施形態はその特定の述べられている要素、ステップ、成分又は構成部分を含む(comprise)か、これらから本質的になる(consist essentially of)か、又はこれらからなる(consist of)ことができる。したがって、用語「包含する(include)」又は「包含している(including)」は、「含む、からなる、又はから本質的になる」を意味するものと解されたい。本明細書で使用されるとき、接続用語(transition term)である「含む(comprise、comprises)」は、包含することを意味するが、これに限定されることはなく、特記されていない要素、ステップ、成分、又は構成部分を、主要な量においてすら、含めることが可能である。接続句(transition phase)「からなる」は、特記されてない要素、ステップ、成分又は構成部分を排除する。接続句「から本質的になる」は、実施形態の範囲を、特記されている要素、ステップ、成分又は構成部分及びその実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。特定の実施形態において、重大な影響は、本明細書に開示されている実験プロトコルで評価したときに統計的に有意な投与便益の低減を起こすであろう。特定の実施形態において、重大な影響は、平均最大血漿中濃度Tmaxに達するまでの平均最大濃度Cmax及び/又は曲線下面積(AUC)により評価すると、植物性物質の測定成分の吸収の増加、植物性物質の測定成分のバイオアベイラビリティーの増加、植物性物質の測定成分の作用のより速い発現、植物性物質の測定成分のより高いピーク濃度、及び/又は植物性物質の測定成分のより速いピーク濃度までの時間において、統計的に有意な低減を起こすであろう。
【0261】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量のような特性、反応条件、などを表す全ての数はいかなる場合も用語「約」により修飾されているものと理解されたい。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメーターは本発明によって得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限する意図はなく、各々の数値パラメーターは少なくとも報告されている有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方を使用することによって解するべきである。さらに明確さが必要な場合、用語「約」は、述べられている数値又は範囲と共に使用されているとき当業者が当然に考える意味を有し、すなわち、述べられている値若しくは範囲よりいくらか大きいか又はいくらか小さい値、述べられている値の±20%;述べられている値の±19%;述べられている値の±18%;述べられている値の±17%;述べられている値の±16%;述べられている値の±15%;述べられている値の±14%;述べられている値の±13%;述べられている値の±12%;述べられている値の±11%;述べられている値の±10%;述べられている値の±9%;述べられている値の±8%;述べられている値の±7%;述べられている値の±6%;述べられている値の±5%;述べられている値の±4%;述べられている値の±3%;述べられている値の±2%;又は述べられている値の±1%の範囲内の値を意味する。
【0262】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値はできる限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も本来、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるいくらかの誤差を含有する。
【0263】
本発明を説明する上で(殊に以下の特許請求の範囲で)使用されている用語「a」、「an」、「the」及び同様な指示語は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むものと解されたい。本明細書中値の範囲の記述は、単に、その範囲内に入る各々別々の値に個別に言及する代わりの略記法として意図されている。本明細書中で他に示されない限り、各々個々の値は本明細書中で個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序に実施することができる。本明細書に挙げられているいずれか及び全ての例、又は例となる言葉(例えば、「のような」)の使用は単に本発明の理解をより容易にすることを意図したものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載されていないが本発明の実施に必須のいずれかの要素を意味すると解してはならない。
【0264】
本明細書に開示されている本発明の代わりの要素又は実施形態のグループは限定と考えるべきではない。各グループメンバーは個別に、又はそのグループの他のメンバー若しくは本明細書中に見出される他の要素と任意に組み合わせて参照され要求され得る。あるグループの1以上のメンバーが便宜上及び/又は特許性のためにあるグループに含まれてもよいし、又は省略されてもよいと考えられる。かかる包含又は省略が起こるとき、本明細書は、そのグループを、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの記載要件を満たすように修飾されているものとして含むと考えられる。
【0265】
本発明を実施する上で本発明者が知る最良の態様を含めて本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載されている。もちろん、これらの記載されている実施形態に対する変形は以上の説明を読んだ当業者には明らかであろう。本発明者は当業者がかかる変形を適宜使用すると予想しており、また本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されているのとは異なって実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法令により許容されるように添付の特許請求の範囲に記載の対象の全ての改変品及び等価物を包含する。さらに、上記要素のあらゆる可能な変化のいかなる組合せも、本明細書中で他に示されない限り、又はその他文脈から明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0266】
また、本明細書を通じて数多くの特許、刊行物、学術論文その他文書(参考資料)を参照した。これら参考資料は各々参照によりその全体が参照された教示のために個別に本明細書に組み込まれる。
【0267】
締めくくりに、本明細書に開示されている本発明の実施形態は本発明の原理の例示であると理解されたい。使用し得る他の改変品は本発明の範囲内である。このように、例として、限定ではなく、本発明の別の態様も本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、上に正に示され記載されているものに限定されない。
【0268】
本明細書に示されている詳細は例として本発明の好ましい実施形態の説明の目的のみのものであり、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的見地の最も有用で容易に理解される説明と考えられるものを示すために挙げるものである。この点、本発明の基礎的理解に必要なものより詳細に本発明の構造細部を示すことを意図したものではなく、図面及び/又は実施例と合わせた記載により、本発明のいくつかの形態が実施の際に如何に実施され得るかが、当業者に明らかにされる。
【0269】
本開示で使用されている定義及び説明は、次の例で明白かつ一義的に改変されない限り、又はその意義の適用がいずれかの構成を無意味若しくは本質的に無意味にするとき、将来の構成において統制することを意味し、意図している。その用語の構成がそれを無意味又は本質的に無意味にする場合、その定義はWebster’s Dictionary, 3rd Edition、又はOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology (Ed. Anthony Smith, Oxford University Press, Oxford, 2004)のような当業者に知られた辞書に由来するべきである。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10
図11