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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】高炉用羽口
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/16 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
C21B7/16 305
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020161544
(22)【出願日】2020-09-26
(65)【公開番号】P2022054473
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2021-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591168644
【氏名又は名称】後藤合金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100198797
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】古森 由記
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】実公昭55-018347(JP,Y2)
【文献】特開2012-153973(JP,A)
【文献】実開昭55-124445(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0235910(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109439826(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽口本体部及び外郭カバー及び先端カバーから構成される高炉用羽口であって、
前記羽口本体部は、貫通穴を形成する内筒部と、この内筒部の外側に設けられた外筒部と、前記内筒部と外筒部間に設けられ、一部が前記内筒部と外筒部と外郭カバーに接触して前記内筒部と外筒部間に親水路と子水路を形成する分離壁部と、前記羽口本体部の背面に形成された親給水口、親排水口、子給水口及び子排水口と、から成り、
前記外筒部の先端には前記分離壁部と一部が接触するように外郭カバーが取り付けられていること、
前記羽口本体部の先端には先端カバーが取り付けられていること、
前記親水路は、前記外筒部と前記分離壁部間に形成され、前記親給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S1と、前記外郭カバーと前記分離壁部間に形成された螺旋状の水路S2及び水路S3と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成された水路S4と、前記水路S3及び水路S4間に設けられた水路移行部と、前記外筒部と前記分離壁部間及び前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記親排水口に繋がる水路S5と、から成り、
前記子水路は、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S11と、前記羽口本体部の先端と前記先端カバー間に形成された水路S12と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子排水口に繋がる水路S13から成ること、を特徴とする高炉用羽口。
【請求項2】
羽口本体部及び外郭カバー及び先端カバーから構成される高炉用羽口であって、
前記羽口本体部は、貫通穴を形成する内筒部と、この内筒部の外側に設けられた外筒部と、前記内筒部と外筒部間に設けられ、一部が前記内筒部と外筒部と外郭カバーに接触して前記内筒部と外筒部間に親水路と子水路を形成する分離壁部と、前記羽口本体部の背面に形成された親給水口、親排水口、子給水口及び子排水口と、から成り、
前記外筒部の先端には前記分離壁部と一部が接触するように外郭カバーが取り付けられていること、
前記羽口本体部の先端には先端カバーが取り付けられていること、
前記親水路は、前記外筒部と前記分離壁部間に形成され、前記親給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S6と、前記外郭カバーと前記分離壁部間に形成された平行な2本の水路S7と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成された平行な2本の水路S8と、
前記水路S7及び水路S8間に設けられた水路移行部と、前記外筒部と前記分離壁部間及び前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子排水口に繋がる水路S9と、から成り、
前記子水路は、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S11と、前記羽口本体部の先端と前記先端カバー間に形成された水路S12と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子排水口に繋がる水路S13から成ること、を特徴とする高炉用羽口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽口内に親水路及び子水路を夫々独立して形成した高炉用羽口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高炉用羽口において、羽口本体は、外筒、この外筒内に同芯的に組み付けられた内筒、先端カバーと、外筒と内筒、先端カバー、内筒内に設けられた螺旋流路を経由して排水口に至る流路から構成されていた。
そして、万一羽口が溶損した場合には、一旦冷却水の循環を停止して羽口の損傷箇所を修理するか、羽口本体の交換を行っていたため、羽口の溶損事故が発生する度に高炉の運転を停止する必要があり、操業効率が低下する大きな要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2012-153973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、叙上の理由により提案されるものであって、羽口損傷時にも操業を停止することなく、高炉の操業を継続することを可能とする高炉用羽口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、羽口本体部及び外郭カバー及び先端カバーから構成される高炉用羽口であって、前記羽口本体部は、貫通穴を形成する内筒部と、この内筒部の外側に設けられた外筒部と、前記内筒部と外筒部間に設けられ、一部が前記内筒部と外筒部と外郭カバーに接触して前記内筒部と外筒部間に親水路と子水路を形成する分離壁部と、前記羽口本体部の背面に形成された親給水口、親排水口、子給水口及び子排水口と、から成り、前記外筒部の先端には前記分離壁部と一部が接触するように外郭カバーが取り付けられていること、前記羽口本体部の先端には先端カバーが取り付けられていること、前記親水路は、前記外筒部と前記分離壁部間に形成され、前記親給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S1と、前記外郭カバーと前記分離壁部間に形成された螺旋状の水路S2及び水路S3と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成された水路S4と、前記水路S3及び水路S4間に設けられた水路移行部と、前記外筒部と前記分離壁部間及び前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記親排水口に繋がる水路S5と、から成り、前記子水路は、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S11と、前記羽口本体部の先端と前記先端カバー間に形成された水路S12と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子排水口に繋がる水路S13から成ることを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、羽口本体部及び外郭カバー及び先端カバーから構成される高炉用羽口であって、前記羽口本体部は、貫通穴を形成する内筒部と、この内筒部の外側に設けられた外筒部と、前記内筒部と外筒部間に設けられ、一部が前記内筒部と外筒部と外郭カバーに接触して前記内筒部と外筒部間に親水路と子水路を形成する分離壁部と、前記羽口本体部の背面に形成された親給水口、親排水口、子給水口及び子排水口と、から成り、前記外筒部の先端には前記分離壁部と一部が接触するように外郭カバーが取り付けられていること、前記羽口本体部の先端には先端カバーが取り付けられていること、前記親水路は、前記外筒部と前記分離壁部間に形成され、前記親給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S6と、前記外郭カバーと前記分離壁部間に形成された平行な2本の水路S7と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成された平行な2本の水路S8と、前記水路S7及び水路S8間に設けられた水路移行部と、前記外筒部と前記分離壁部間及び前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子排水口に繋がる水路S9と、から成り、前記子水路は、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子給水口から前記羽口本体部の先端側に延びる水路S11と、前記羽口本体部の先端と前記先端カバー間に形成された水路S12と、前記内筒部と前記分離壁部間に形成され、前記子排水口に繋がる水路S13から成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高炉の稼動中に羽口の先端部が破損して冷却水の漏出が発生した場合、特許文献1に係る発明では先端水路から外郭の螺旋水路を止める構造となっているが、本発明においては子水路と親水路が夫々独立しているため、子水路である羽口先端の水路を止めて、親水路である羽口外郭の水路側の冷却水の循環のみで高炉の稼動を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】高炉用羽口の側断面図である。
図2】高炉用羽口の背面図である。
図3】冷却水路の説明図である。
図4】羽口本体部の斜視図である。
図5】羽口本体部の斜視図である。
図6】高炉用羽口の側断面図である。
図7】高炉用羽口の背面図である。
図8】冷却水路の説明図である。
図9】羽口本体部の斜視図である。
図10】羽口本体部の斜視図である。
図11】高炉用羽口の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
以下、図1図11に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0010】
図1は高炉用羽口の側断面図、図2は高炉用羽口の背面図、図3は冷却水路の説明図、図4図5は羽口本体部の斜視図であって、符号の1は本発明に係る高炉用羽口、2は羽口本体部、3は内筒部、4は内筒部3の外側に設けられた外筒部、5は内筒部3と外筒部4間に設けられ、一部が内筒部3と外筒部4と外郭カバー10に接触して内筒部3と外筒部4間に親水路13と子水路12を形成する分離壁部、6は冷却水が供給される子給水口、7は冷却水が排出される子排水口、8は冷却水が供給される親給水口、9は冷却水が排出される親排水口、10は外筒部4の先端に取り付けられ、分離壁部5と一部が接触する外郭カバー、11は羽口本体部2の先端に取り付けられた先端カバー、16は貫通穴である。
【0011】
符号の12は水路S11、水路S12及び水路S13で構成された子水路、13は水路S1、水路S2、水路S3、水路S4及び水路S5で構成された親水路である。
【0012】
子水路12における冷却水の流れは、羽口本体部2の背面に形成された子給水口6から給水された冷却水が、内筒部3と分離壁部5間に形成され、羽口本体部2の先端側に延びる水路S11を通り、先端カバー11と羽口本体部2間に形成された水路S12を周回した後、内筒部3と分離壁部5間に形成された水路S13を通り、羽口本体部2の背面に形成された子排水口7から排出される構成となっており、これらを繰り返すことで冷却水を循環させ、主に羽口本体部2の先端と先端カバー11を冷却するものである。
【0013】
親水路13における冷却水の流れは、羽口本体部2の背面に形成された親給水口8から給水された冷却水が、外筒部4と分離壁部5間に形成され、羽口本体部の先端側に延びる水路S1を通り、外郭カバー10と分離壁部5間に形成された螺旋状の水路S2及び水路S3を通った後、水路移行部15Aを経由して内筒部3と分離壁部5間に形成された水路S4を通り、次に内筒部3と分離壁部5間及び外筒部4と分離壁部5間に形成された水路S5を通り、羽口本体部2の背面に形成された親排水口9から排出される構成となっており、これらを繰り返すことで冷却水を循環させる。
【0014】
親水路13は主に羽口本体部2の胴体部(内筒部3と外筒部4)を冷却するものであり、親水路13内を流れる冷却水のみでも高炉用羽口1に対して十分な冷却能力が得られるように設計されている。
【0015】
本実施例においては、図4図5に示されるように、水路S2及び水路S3で羽口本体部2の先端側に延びる二段の螺旋状の水路(螺旋水路)を構成しているが、この螺旋水路は二段に限定されるものではなく、三段以上の螺旋水路としてもよい。
【実施例2】
【0016】
図6は高炉用羽口1の側断面図、図7は高炉用羽口1の背面図、図8は冷却水路の説明図、図9図10は羽口本体部2の斜視図であって、親水路14以外の各部の名称や機能、子水路12における冷却水の流れの構成については実施例1と同様である。
【0017】
符号の14は水路S6、水路S7、水路S8及び水路S9で構成された親水路である。
【0018】
本実施例の親水路14における冷却水の流れは、羽口本体部2の背面に形成された親給水口8から給水された冷却水が、外筒部4と分離壁部5間に形成され、羽口本体部の先端側に延びる水路S6を通り、分岐しながら外郭カバー10と分離壁部5間に形成された平行な2本の水路S7を通った後、水路移行部15Bを経由して内筒部3と分離壁部5間に形成された平行な2本の水路S8を通り、次に内筒部3と分離壁部5間及び外筒部4と分離壁部5間に形成された水路S9を通り、羽口本体部2の背面に形成された親排水口9から排出される構成となっており、これらを繰り返すことで冷却水を循環させる。
【0019】
以上のように、本発明に係る高炉用羽口1は、子水路12と親水路13、14の二系統の水路が夫々独立した構成となっているため、子水路12側において損傷が発生した場合、子水路12側の冷却水の循環を止め、親水路13、14側のみ冷却水を循環させることで高炉用羽口1を冷却し、高炉の操業を継続することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 高炉用羽口
2 羽口本体部
3 内筒部
4 外筒部
5 分離壁部
6 子給水口
7 子排水口
8 親給水口
9 親排水口
10 外郭カバー
11 先端カバー
12 子水路
13 親水路
14 親水路
15A 水路移行部
15B 水路移行部
16 貫通穴
S1~S9 水路
S11~S13 水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11