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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】心室補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/804 20210101AFI20220506BHJP
   A61M 60/824 20210101ALI20220506BHJP
   A61M 60/122 20210101ALI20220506BHJP
   A61M 60/148 20210101ALI20220506BHJP
   A61M 60/419 20210101ALI20220506BHJP
【FI】
A61M60/804
A61M60/824
A61M60/122
A61M60/148
A61M60/419
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020537774
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2019115951
(87)【国際公開番号】W WO2020119337
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】201811519883.1
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520245301
【氏名又は名称】シェンジェン コア メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CORE MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ユィ シュンジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジュイン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ツフア
(72)【発明者】
【氏名】コン リンリン
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-536021(JP,A)
【文献】特開2010-131303(JP,A)
【文献】特開2016-188618(JP,A)
【文献】特表2017-522110(JP,A)
【文献】特開2002-130177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0051711(US,A1)
【文献】国際公開第2016/158186(WO,A1)
【文献】特開平04-091396(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04123433(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0089225(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0263300(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/804
A61M 60/824
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングアセンブリ、インペラ、サーボモータ、および距離センサーを備え、前記ハウジングアセンブリは、増圧キャビティを備え、前記インペラは、前記増圧キャビティの内部に位置し、前記増圧キャビティに浮上して回転することができ、前記サーボモータは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、前記サーボモータは、コントローラ、固定子および回転子を備え、前記コントローラは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、かつ前記増圧キャビティの外部に位置し、前記固定子は、前記コントローラと電気的に接続し、前記固定子は、前記増圧キャビティの外部に位置し、前記回転子は、前記増圧キャビティの内部に位置し、かつ前記インペラと固定的に接続し、前記距離センサーは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、かつ前記増圧キャビティの外部に位置し、前記距離センサーは、前記コントローラと電気的に接続し、前記距離センサーは、前記インペラと前記増圧キャビティとの間の距離値を感知するためであり、前記距離値を前記コントローラに送信することができる、心室補助装置であって、前記固定子は、前記回転子を駆動して浮上及び回転させることができ、前記インペラは、前記回転子に伴って浮上して回転することができ、前記コントローラは、前記距離値に基づいて前記固定子と前記回転子との間の磁力を制御することで、前記インペラの回転速度と前記インペラが前記増圧キャビティに対する距離を制御し、
前記距離センサーは、前記固定子と前記インペラとの間に位置し、
前記コントローラは、前記固定子から独立したモジュールであり、前記コントローラは、前記固定子における前記距離センサーから離れた側に固定的に配置されることを特徴とする心室補助装置。
【請求項2】
ハウジングアセンブリ、インペラ、サーボモータ、および距離センサーを備え、前記ハウジングアセンブリは、増圧キャビティを備え、前記インペラは、前記増圧キャビティの内部に位置し、前記増圧キャビティに浮上して回転することができ、前記サーボモータは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、前記サーボモータは、コントローラ、固定子および回転子を備え、前記コントローラは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、かつ前記増圧キャビティの外部に位置し、前記固定子は、前記コントローラと電気的に接続し、前記固定子は、前記増圧キャビティの外部に位置し、前記回転子は、前記増圧キャビティの内部に位置し、かつ前記インペラと固定的に接続し、前記距離センサーは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、かつ前記増圧キャビティの外部に位置し、前記距離センサーは、前記コントローラと電気的に接続し、前記距離センサーは、前記インペラと前記増圧キャビティとの間の距離値を感知するためであり、前記距離値を前記コントローラに送信することができる、心室補助装置であって、前記固定子は、前記回転子を駆動して浮上及び回転させることができ、前記インペラは、前記回転子に伴って浮上して回転することができ、前記コントローラは、前記距離値に基づいて前記固定子と前記回転子との間の磁力を制御することで、前記インペラの回転速度と前記インペラが前記増圧キャビティに対する距離を制御し、
前記距離センサーは、前記固定子と前記インペラとの間に位置し、
前記コントローラは、前記固定子から独立したモジュールであり、前記インペラは、前記コントローラと前記距離センサーとの間に配置されることを特徴とする心室補助装置。
【請求項3】
請求項または請求項に記載の心室補助装置であって、前記コントローラと前記距離センサーとは、可撓性データケーブルによって電気的に接続されることを特徴とする心室補助装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の心室補助装置であって、前記ハウジングアセンブリは、さらに前記増圧キャビティと離間する密閉キャビティを有し、前記固定子、前記距離センサー、および前記コントローラは、いずれも前記密閉キャビティに位置することを特徴とする心室補助装置。
【請求項5】
請求項2に記載の心室補助装置であって、前記ハウジングアセンブリは、さらに前記増圧キャビティと離間する密閉キャビティを有し、前記固定子、前記距離センサー、および前記コントローラは、いずれも前記密閉キャビティに位置し、
記密閉キャビティは、第1の密閉部と第2の密閉部とを有し、前記インペラの回転軸の方向において、前記増圧キャビティは、前記第1の密閉部と前記第2の密閉部との間に位置し、前記コントローラは、前記第2の密閉部に格納され、前記固定子と前記距離センサーは、前記第1の密閉部に格納されることを特徴とする心室補助装置。
【請求項6】
請求項1、2および5のいずれか一項に記載の心室補助装置であって、前記増圧キャビティは、対置している第1の側壁と第2の側壁とを有し、前記固定子と前記回転子とは、ともに前記第1の側壁の近くに配置され、前記心室補助装置は、さらに位置決め磁気リング群を有し、前記位置決め磁気リング群は、位置決め磁気リングと回転磁気リングとを備え、前記位置決め磁気リングは、前記ハウジングアセンブリの内部で前記増圧キャビティの外部に位置し、かつ前記第2の側壁の近くまたは前記第2の側壁に配置され、前記回転磁気リングは、前記増圧キャビティの内部に位置し、かつ前記第2の側壁の近くに配置され、前記回転磁気リングは、前記インペラと固定的に接続し、前記コントローラは、前記距離値に基づいて前記固定子と前記回転子との間の磁力を制御することで、前記インペラを、前記位置決め磁気リング群と前記サーボモータとの作用で、前記増圧キャビティに浮上させて回転させることを特徴とする心室補助装置。
【請求項7】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記第1の側壁における前記増圧キャビティにより近い側に第1の流体軸受が設けられており、前記位置決め磁気リング群と、前記第1の流体軸受と、前記サーボモータとの共同作用により、前記インペラを、前記増圧キャビティに浮上させて回転させることを特徴とする心室補助装置。
【請求項8】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記第2の側壁における前記増圧キャビティにより近い側に第2の流体軸受が設けられており、前記第2の流体軸受と、前記位置決め磁気リング群と、前記第1の流体軸受と、前記サーボモータとの協働により、前記インペラを、前記増圧キャビティに浮上させて回転させることを特徴とする心室補助装置。
【請求項9】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記増圧キャビティは、さらに前記第1の側壁と前記第2の側壁との間を接続している第3の側壁を有し、前記第3の側壁は、前記第1の側壁と前記第2の側壁と共に前記増圧キャビティを取り囲んでおり、前記第3の側壁の内表面は、前記インペラの回転軸に平行であることを特徴とする心室補助装置。
【請求項10】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記インペラは環状であり、前記心室補助装置は、さらに前記増圧キャビティと連通している入口を有し、前記入口は、前記第1の側壁と前記第2の側壁とのいずれか一つに位置し、かつ前記入口の位置が前記インペラの内輪の位置と対向することを特徴とする心室補助装置。
【請求項11】
請求項10に記載の心室補助装置であって、前記心室補助装置は、さらに前記増圧キャビティと連通している出口を有し、前記インペラは環状であり、前記インペラに流路が設けられており、前記流路は、前記インペラの内輪と連通しており、前記インペラの径方向において、前記流路は、前記インペラの内壁からインペラの外壁まで延び、前記インペラの外壁に位置する流路の開口は、前記出口と対向することができることを特徴とする心室補助装置。
【請求項12】
請求項2に記載の心室補助装置であって、前記増圧キャビティは、対置している第1の側壁と第2の側壁とを有し、前記固定子と前記回転子とは、ともに前記第1の側壁の近くに配置され、前記心室補助装置は、さらに位置決め磁気リング群を有し、前記位置決め磁気リング群は、位置決め磁気リングと回転磁気リングとを備え、前記位置決め磁気リングは、前記ハウジングアセンブリの内部で前記増圧キャビティの外部に位置し、かつ前記第2の側壁の近くまたは前記第2の側壁に配置され、前記回転磁気リングは、前記増圧キャビティの内部に位置し、かつ前記第2の側壁の近くに配置され、前記回転磁気リングは、前記インペラと固定的に接続し、前記コントローラは、前記距離値に基づいて前記固定子と前記回転子との間の磁力を制御することで、前記インペラを、前記位置決め磁気リング群と前記サーボモータとの作用で、前記増圧キャビティに浮上させて回転させ、
前記インペラは環状であり、前記心室補助装置は、さらに前記増圧キャビティと連通している入口を有し、前記入口は、前記第1の側壁に位置し、かつ前記入口の位置が前記インペラの内輪の位置と対向し、
前記心室補助装置は、さらに前記増圧キャビティと連通している出口を有し、前記インペラは環状であり、前記インペラに流路が設けられており、前記流路は、前記インペラの内輪と連通しており、前記インペラの径方向において、前記流路は、前記インペラの内壁からインペラの外壁まで延び、前記インペラの外壁に位置する流路の開口は、前記出口と対向することができ、
記増圧キャビティには、前記第2の側壁から前記インペラの内輪へ延びるドレナージコーンが設けられており、前記ドレナージコーンは、前記インペラの内輪に流入した血液を前記流路に導くためであることを特徴とする心室補助装置。
【請求項13】
請求項1に記載の心室補助装置であって、前記増圧キャビティは、対置している第1の側壁と第2の側壁とを有し、前記固定子と前記回転子とは、ともに前記第1の側壁の近くに配置され、前記心室補助装置は、さらに位置決め磁気リング群を有し、前記位置決め磁気リング群は、位置決め磁気リングと回転磁気リングとを備え、前記位置決め磁気リングは、前記ハウジングアセンブリの内部で前記増圧キャビティの外部に位置し、かつ前記第2の側壁の近くまたは前記第2の側壁に配置され、前記回転磁気リングは、前記増圧キャビティの内部に位置し、かつ前記第2の側壁の近くに配置され、前記回転磁気リングは、前記インペラと固定的に接続し、前記コントローラは、前記距離値に基づいて前記固定子と前記回転子との間の磁力を制御することで、前記インペラを、前記位置決め磁気リング群と前記サーボモータとの作用で、前記増圧キャビティに浮上させて回転させ、
前記インペラは環状であり、前記心室補助装置は、さらに前記増圧キャビティと連通している入口を有し、前記入口は、前記第2の側壁に位置し、かつ前記入口の位置が前記インペラの内輪の位置と対向し、
前記心室補助装置は、さらに前記増圧キャビティと連通している出口を有し、前記インペラは環状であり、前記インペラに流路が設けられており、前記流路は、前記インペラの内輪と連通しており、前記インペラの径方向において、前記流路は、前記インペラの内壁からインペラの外壁まで延び、前記インペラの外壁に位置する流路の開口は、前記出口と対向することができ、
記増圧キャビティには、前記第1の側壁から前記インペラの内輪へ延びるドレナージコーンが設けられ、前記ドレナージコーンは、前記インペラの内輪に流入した血液を前記流路に導くためであることを特徴とする心室補助装置。
【請求項14】
請求項11に記載の心室補助装置であって、前記インペラは、第1の格納溝と第2の格納溝をさらに備え、前記第1の格納溝と前記第2の格納溝は、前記回転磁気リングと前記回転子とをそれぞれに格納するためであり、前記インペラの回転軸方向において、前記第1の格納溝と、前記流路と、前記第2の格納溝とは順番に配置されることを特徴とする心室補助装置。
【請求項15】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記インペラは、第1の格納溝と第2の格納溝をさらに備え、前記第1の格納溝と前記第2の格納溝は、前記回転磁気リングと前記回転子とをそれぞれに格納するためであることを特徴とする心室補助装置。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の心室補助装置であって、前記第1の格納溝と前記第2の格納溝とは、ともに密閉溝であることを特徴とする心室補助装置。
【請求項17】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記距離センサーは、前記固定子と第1の側壁との間に位置することを特徴とする心室補助装置。
【請求項18】
請求項に記載の心室補助装置であって、前記距離センサーは、前記インペラが前記第1の側壁の前記増圧キャビティに向かう表面との距離値を感知することができることを特徴とする心室補助装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療機器の分野に係り、特に、インペラが浮上して回転する心室補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心室補助装置(通称「血液ポンプ」)は、心不全の患者を治療するための有効な手段であって、静脈系または心臓から動脈系に直接血液を送り込み、心室の働きの一部または全部を置き換える人工機械装置である。心室補助装置は主にインペラの回転と加圧を用い、インペラの支持方法により、接触支持型と非接触支持型に分けることができる。接触支持型は、主に機械軸受による支持方式を指し、これは、血液に大きな損傷を与え、溶血や血栓症を起こしやすく、一連の合併症を引き起こす。非接触支持型には流体浮上方式と磁気浮上方式が含まれ、非接触支持型は接触支持型と比べると血液適合性が向上している。
【0003】
しかし、非接触支持型の制御はより困難である。インペラは、心室補助装置のキャビティに流体推力または磁力などの作用力によって互いに平衡がとられている。モーターは、インペラの浮上において力の平衡を得るため、インペラとキャビティ壁の間の相対距離に基づいてインペラの回転速度を調整する必要がある。一般に、非接触型心室補助装置には、インペラに対するセンサーが備わり、当該センサーは、インペラの姿勢を感知してモーターを制御することにより、インペラの回転速度を調整する。ただし、現在の非接触型心室補助装置のコントローラと、センサーと、モーターとの間の通信には時間差があるため、コントローラがモーターを介してインペラの運動制御に偏差を引き起こし、制御精度が低く、回転子の正常な動作に有害である。
【発明の概要】
【0004】
これに対して、インペラを高精度に制御できる心室補助装置を提供する必要がある。次の技術的解決策が含まれる。
【0005】
ハウジングアセンブリ、インペラ、サーボモータ、および距離センサーを備え、前記ハウジングアセンブリは、増圧キャビティを備え、前記インペラは、前記増圧キャビティの内部に位置し、前記増圧キャビティに浮上して回転することができ、前記サーボモータは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、前記サーボモータは、コントローラ、固定子および回転子を備え、前記コントローラは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、かつ前記増圧キャビティの外部に位置し、前記固定子は、前記コントローラと電気的に接続し、前記固定子は、前記増圧キャビティの外側に位置し、前記回転子は、前記増圧キャビティの内部に位置し、かつ前記インペラと固定的に接続し、前記距離センサーは、前記ハウジングアセンブリの内部に位置し、かつ前記増圧キャビティの外部に位置し、前記距離センサーは、前記コントローラと電気的に接続し、前記距離センサーは、前記インペラと前記増圧キャビティとの間の距離値を感知するためであり、前記距離値を前記コントローラに送信することができる、心室補助装置であって、前記固定子は、前記回転子を駆動して浮上及び回転ことができ、前記インペラは、前記回転子に伴って浮上及び回転させることができ、前記コントローラは、前記距離値に基づいて前記固定子と前記回転子との間の磁力を制御することで、前記インペラの回転速度と前記インペラが前記増圧キャビティに対する距離を制御することを特徴とする心室補助装置。
【0006】
本発明における1つ以上の実施例の詳細は、図面および以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、明細書、図面および請求範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の実施例における技術案をより明確に例示するために、実施例の説明に使用される図面を以下に簡単に説明する。以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施例のみであることは明らかであり、当業者にとっては、これらの図面に基づいて他の図面を創造的な仕事をすることなく得ることもできる。
図1図1は、実施例1における心室補助装置の概略断面図である。
図2図2は、図1に示されている心室補助装置におけるインペラの概略断面図である。
図3図3は、実施例1に示されている心室補助装置のインペラの力の模式図である。
図4図4は、実施例2における心室補助装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施例について明確に説明する。尚、以下の実施例は、本発明を具体化した一例のみであって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。本出願の範囲から逸脱することなく本出願の実施例に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施例も、本出願の範囲である。
【0009】
図1を参照しながら、実施例1における心室補助装置100は、ハウジングアセンブリ10、インペラ20、サーボモータ30および距離センサー40を備える。
【0010】
ハウジングアセンブリ10は、増圧キャビティ18を備える。実施例の1つでは、増圧キャビティ18は、互いに対向している第1の側壁11および第2の側壁12を有する。さらに、実施例の1つでは、増圧キャビティ18は、第1の側壁11と第2の側壁12との間を接続している第3の側壁13をさらに有する。第1の側壁11、第2の側壁12および第3の側壁13は、増圧キャビティ18を取り囲んでいる。
【0011】
インペラ20は、増圧キャビティ18内に位置し、かつインペラ20は、増圧キャビティ18の内部に浮上および回転することができる。
【0012】
サーボモータ30は、ハウジングアセンブリ10内に位置し、サーボモータ30は、固定子31、回転子32、およびコントローラ33を備える。実施例の1つでは、固定子31および回転子32は、第1の側壁11の両側に配置され、固定子31および回転子32は、ともに第1の側壁11の近くに配置される。ここで、固定子31は、ハウジングアセンブリ10の内部に位置し、かつ増圧キャビティ18の外部に位置する。回転子32は、増圧キャビティ18内に位置し、インペラ20と固定的に接続される。固定子31は、回転子32を駆動して浮上および回転させることができ、インペラ20は、回転子31に伴って浮上および回転させることができる。固定子31が回転子32を駆動して増圧キャビティ18内で浮上させて回転させると、インペラ20もまた、増圧キャビティ18内の回転子32と同期に伴って浮上して回転する。インペラ20の回転作用により、増圧キャビティ18に流入する血液を増圧し、増圧キャビティ18から流出する血液により高い圧力を与えることで、心室補助装置100の血液増圧効果を実現することができる。コントローラ33は、ハウジングアセンブリ10の内部に位置し、かつ増圧キャビティ18の外部に位置する。ここで、固定子31は、コントローラ33に電気的に接続されている。
【0013】
距離センサー40は、ハウジングアセンブリ10の内部で、増圧キャビティ18の外部に位置し,距離センサー40は、コントローラ33と電気的に接続される。実施例の1つでは、距離センサー40は、固定子31とインペラ20との間に位置する。距離センサー40は、インペラ20と増圧キャビティ18のキャビティ壁との間の距離値を感知するために用いられ、その距離値をコントローラ33に送信することができる。実施例の1つでは、距離センサー40は、インペラ20と第1の側壁11における増圧キャビティ18に向かう側との距離値を感知することができる。具体的には、実施例の1つでは、距離センサー40は、固定子31と第1の側壁11との間に位置する。具体的には、図1における実施例では、第1の側壁11と第2の側壁12は互いに平行する形で配置され、インペラ20の回転軸21は同時に第1の側壁11と第2の側壁12とに対して垂直する。第1の側壁11は、増圧キャビティに近い第1の表面111と、第1の表面111を対向している第2の表面112とを有する。距離センサー40は、固定子31と第2の表面112との間に固定して配置され、かつ、距離センサー40は、インペラ20が回転軸21に沿って第1の表面111に対する距離値を感知するために用いられる。コントローラ33は、距離センサー40から送信された距離値に基づいて、固定子31と回転子32との間の磁力を制御することができる。具体的には、コントローラ33は、距離センサー40から送信された距離値に基づいて固定子31の出力電力を制御することにより、固定子31と回転子32との間の磁力を制御して、インペラ20の回転速度およびインペラ20が増圧キャビティ18のキャビティ壁に対する距離を制御することができる。
【0014】
上記の心室補助装置100は、増圧キャビティ18内でインペラ20の回転により血液の増圧を実現する。第1の側壁11は、サーボモータ30の固定子31を増圧キャビティ18から隔離し、同時に回転子32をインペラ20に固定的に接続することにより、固定子31は増圧キャビティ18の外部からインペラ20の回転を駆動することができる。距離センサー40は、インペラ20と第1の側壁11との間の距離を監視して、インペラ20の姿勢パラメータをリアルタイムで取得する。最後に、距離センサー40によって監視された距離値によって、固定子31と回転子32との間の磁力を制御することにより、固定子31が回転子32を駆動して浮上させて回転させ、それによりインペラ20が増圧キャビティ18に浮上し、回転子32の回転に追従して回転する。
【0015】
心室補助装置100は、増圧キャビティ18における第2の側壁12の側に配置される位置決め磁気リング群60をさらに備える。位置決め磁気リング群60は、位置決め磁気リング61と回転磁気リング62とを備える。位置決め磁気リング61は、ハウジングアセンブリ10の内部で、かつ増圧キャビティ18の外部に位置し、第2の側壁12の近くまたは第2の側壁12に配置されている。位置決め磁気リング61は、第2の側壁12における増圧キャビティ18から離れた側に配置されており、すなわち、位置決め磁気リング61は、第2の側壁12の外側に位置し、第2の側壁12の近くに配置されている。回転磁気リング62は、インペラ20と固定的に接続され、回転磁気リング62は、増圧キャビティ18の内部に位置する。コントローラ33は、距離値に応じて、固定子31と回転子32との間の磁力を制御することができ、その結果、インペラ20は、位置決め磁気リング群60およびサーボモータ30の作用で増圧キャビティ18の内部に浮上し回転する。
【0016】
具体的には、回転軸21に沿う方向において、位置決め磁気リング61と回転磁気リング62とが互いに磁力を発生し、この磁力は、固定子31と回転子32との間の磁力と共同にインペラ20に作用し、インペラ20が2つのグループの磁力によって釣り合った状態で増圧キャビティ18に浮上し、浮上して回転する移動状態を実現する。同時に、回転軸21に垂直な方向において、位置決め磁気リング61と回転磁気リング62とにも対応する磁力が発生し、この磁力によりインペラ20がこの方向に偏位すると、インペラ20と第3の側壁13との間に流体によって推力が発生し、この推力は、位置決め磁気リング群60の間の磁力と組み合わされて、インペラ20を平衡位置に引き戻すことができ、すなわち、回転軸21が回転中にシフトしないようにして、サーボモータ30の効果的な動作ステータスを維持する。
【0017】
位置決め磁気リング群60の位置決め磁気リング61は、第2の側壁12によって増圧キャビティ18から隔離され、同時に回転磁気リング62がインペラ20と固定接続され、それによりインペラ20はサーボモータ30の力を受けることに加えて、位置決め磁気リング群60の力も受ける。浮上して回転する効果は、インペラ20に共同に作用する2つの力によって達成される。距離センサー40は、インペラ20と第1の側壁11との間の距離を監視して、インペラ20の姿勢パラメータをリアルタイムで取得する。最後に、距離センサー40によって監視された距離値によって、固定子31と回転子32との間の磁力を制御することにより、サーボモータ30と位置決め磁気リング群60の力が釣り合った状態になり、インペラ20が浮上して回転する姿勢が維持される。
【0018】
説明すべきは、インペラ20の浮上平衡の維持は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、他の実施例で、他のモーターを用いて位置決め磁気リング群60に代えてもよい。
【0019】
さらに、浮上して回転するインペラ20が第1の側壁11または第2の側壁12と接触しないため、溶血や血栓の形成などの欠点が回避され、心室補助装置100は、より良好な血液増圧効果を得ることができる。同時に、距離センサー40、固定子31、およびコントローラ33はすべてハウジングアセンブリ10内に設けられ、これにより、コントローラがケーシングの外部に設けられる従来の埋め込み型心室補助装置と比較すると、この構成は、距離センサー40とコントローラ33との間の通信時間が短縮され、サーボモータ30は距離センサー40が検知した距離値を受信した後、インペラ20の回転速度に対して素早く応答することができ、インペラ20の回転速度に対するサーボモータ30の制御精度が向上し、インペラ20の位置決め精度がさらに向上する。
【0020】
インペラ20が力平衡を達した後、その浮上姿勢は、増圧キャビティ18に固定して浮上してもよく、または増圧キャビティ18内の回転軸21に沿って往復してもよいことも注目に値する。往復するインペラ20は、増圧キャビティ18内の血液の二次流れ場により良好なフラッシング効果を奏することができるため、心室補助装置100は良好な血液適合性を有する。
【0021】
具体的には、ハウジングアセンブリ10は、増圧キャビティ18から離間した密閉キャビティ70をさらに有し、固定子31、距離センサー40およびコントローラ33はすべて密閉キャビティ19に位置することにより、距離センサー40、固定子31およびコントローラ33の正常な動作を確保する。心室補助装置100は人体の内部に配置されているため、固定子31、距離センサー40、コントローラ33が人体に害を及ぼしたり、人の血液等が固定子31、距離センサー40、コントローラ33に侵入して誤動作したりしないようにするため、固定子31、距離センサー40、コントローラ33および他のデバイスは密封されて保護されている。密閉キャビティ70は、第1の側壁11における増圧キャビティ18に対する他方の側に配置され、すなわち、密閉キャビティ70は、増圧キャビティ18と互いに隣接して配置される。
【0022】
一方、コントローラ33は、固定子31から独立したモジュールであってもよいし、固定子31に内蔵されていてもよい。図1における実施例では、コントローラ33は、固定子31から独立したモジュールであり、コントローラ33は、距離センサー40と固定子31にそれぞれ電気的に接続される。コントローラ33は、距離センサー40によって感知された距離値を受信した後,固定子31の出力電力を制御するために用いられ、それにより、固定子31の電力を制御し、すなわち固定子31と回転子32との間の磁力を制御する。回転子32はインペラ20と固定接続されているため、固定子31による回転子32の磁力制御は、さらに固定子31によるインペラ20の回転速度を制御する効果を奏することができる。コントローラ33が独立モジュールである場合、コントローラ33は、固定子31における距離センサー40から離れた側に固定されることが好ましい。つまり、コントローラ33および距離センサー40は、回転軸21の方向において、固定子31の両側に配置されている。固定子31と回転子32との間の協働のため、距離センサー40と第1の側壁11とがすでに隔てた後、コントローラ33も固定子31と回転子32との間に配置される場合、固定子31と回転子32との間の力は、あまりにも多くの干渉を発生する。したがって、コントローラ33は、固定子31における距離センサー40から離れた側に配置され、それにより、固定子31および回転子32の動作に対するコントローラ33の影響を低減することができ、同時に、コントローラ33と距離センサー40とがより短い範囲で通信することを保証する。
【0023】
上記心室補助装置100は、サーボモータ30が内蔵されており、かつ距離センサー40がサーボモータ30と心室補助装置100の内部でデータ交換を実現するため、距離センサー40によってインペラ20の距離値を監視した後、固定子31と回転子32との間の磁力調整において時間差を短くすることにより、サーボモータ30はインペラ20により正確な磁気制御を提供でき、心室補助装置100の応答速度を向上させ、したがって、血液はインペラ20において不良な浮上による損傷を受けないことを保証し、より良い血液増圧効果が得られる。
【0024】
一方、距離センサー40、固定子31およびコントローラ33は、インペラ20の回転軸21の方向に配置されているため、心室補助装置100の径方向の寸法を小さくすることができる。心室補助装置100の径方向の寸法は一般に軸方向の寸法よりも大きく、心室補助装置100の径方向の寸法が制御された後、それが人体に埋め込まれると、患者への創傷は小さくなり、患者をよりよく保護することができる。具体的には、距離センサー40とコントローラ33とは、可撓性データケーブルを介して電気的に接続されている。可撓性データケーブルは、固定子31の形状に従って曲げることができ、より少ない内部空間を占有し、それにより心室補助装置100の全体的な体積への制御に有益である。
【0025】
距離センサー40は、ホール効果ボードを使用してもよく、ホール効果ボード上に複数のホール効果チップが設けられ、ホール効果チップは、インペラ20が第1の側壁11に対する距離値を感知して、可撓性データケーブルを介してコントローラ33に送信されることに用いられる。
【0026】
上記心室補助装置100は、血液を増圧するために用いられ、その増圧位置は、増圧キャビティ18に設けられる。したがって、上記の心室補助装置100は、増圧キャビティ18と連通するそれぞれの入口14および出口15をさらに配置している。ここで、入口14は、血液を増圧キャビティ18に流入させるために用いられ、出口15は、血液を増圧キャビティ18から流出させるために用いられる。図1における実施例では、入口14が第2の側壁12の位置に設けられることが好ましいことが分かる。同時に、位置決め磁気リング群60の整然とした動作を保証するため、位置決め磁気リング61は、入口14の外側かつ入口14に沿って配置することが好ましい。血液が増圧キャビティ18に流入すると、インペラ20の回転軸21に向かうため、増圧キャビティ18の内部で血液がより均一に広がり、心室補助装置100は血液を均一に増圧することを実現する。血液が回転軸21に沿って増圧キャビティ18に入る場合に、それはインペラ20が浮上して回転する状態に過度の圧力干渉を引き起こさない。
【0027】
図2に示された実施例では、インペラ20は環状であり、入口14は、環状インペラ20の内輪に向かっている。インペラ20は、互いに対向している第3の表面22および第4の表面23、ならびに流路24を有する。流路24は、環状のインペラ20に沿って径方向に延び、流路24は、第3の表面22と第4の表面23との間に配置される。流路24は、インペラ20の内輪と連通しており、インペラ20の径方向において、流路24は、インペラ20の内壁からインペラ20の外壁まで延び、インペラ20の外壁に位置する流路24の開口は、出口15と対向することができる。血液は、インペラ20の内輪に入った後、流路24に介してインペラ20から流出する。血液は、流路24の内部でインペラ20の回転により、その流速が増加され、増圧の効果が得られた後、出口15から流出する。これに対応して、第1の側壁11はさらに、インペラ20の内輪に向かってドレナージコーン113を突出させ,ドレナージコーン113は、インペラ20の内輪に流入する血液を流路24に導くために用いられる。インペラ20の第3の表面22は、第2の側壁12に向かい、インペラ20には、第1の格納溝221および第2の格納溝231を設け、第1の格納溝221は、第3の表面22の近くに配置され、第2の格納溝231は、第4の表面22の近くに配置される。第1の格納溝221は、回転磁気リング62を格納するために用いられ、第2の格納溝231は、回転子32を格納するために用いられる。回転磁気リング62と回転子32とはインペラ20に格納されているため、第3の表面22と第4の表面23は平面状であり、血液の流れは、第3の表面22と第2の側壁12の間に、および第4の表面23と第1の側壁11との間により円滑になり、血液が詰まった後で増圧キャビティにて溶血または血栓症の形成が防止される。
【0028】
第1の格納溝221および第2の格納溝231の開口は、それぞれ第3の表面22および第4の表面23に位置してもよく、第1の格納溝221および第2の格納溝231は、図2に示すようなものであってもよく、それぞれインペラ20の内部に位置し、すなわち、第1の格納溝221は、インペラ20の内部における第3の表面22付近の密閉空間であり、第2の格納溝231も、インペラ20の内部における第4の表面22付近の密閉空間であることも注目に値する。このような配置は、インペラ20における第3の表面22および第4の表面23それぞれの表面の一貫性を改善することに役立ち、それにより、増圧キャビティ18の内部にインペラ20の回転をより安定させる。
【0029】
実施例の1つでは、第1の表面111に第1の流体軸受51が設けられる。インペラ20が回転すると、第1の流体軸受51は、血液の流れにより、第1の表面111から離れて回転軸21に沿った推力をインペラ20に提供する。インペラ20が第の1面111に近づくと当該推力が指数関数的に増加するため、インペラ20が第1の表面111から押し出され、インペラ20と第1の側壁11が直接接触することを防ぎ、インペラ20が増圧キャビティ18の内部で浮上して回転することを保証する。第1の流体軸受51、サーボモータ30、および位置決め磁気リング群60が共同にインペラ20の動作を制御し、増圧キャビティ18内でインペラ20が浮上して回転する姿勢を保証することが理解されよう。第1の流体軸受51によってインペラ20に対して発生する推力も、インペラ20自体の回転速度と一定の相関関係があることも注目に値する。インペラ20の回転速度がより速い時に、インペラ20と第1の表面111との間の血液をより速い速度で流せるため、血液は、第1の流体軸受51の作用でインペラ20により大きな推力を与える。インペラ20は、当該より大きな推力により、それの浮上平衡が崩れ、第1の流体軸受51によって第1の表面111から押し出される。このとき、距離センサー40は、インペラ20が第1の表面111に対する距離値の変化を感知し、変化した距離値をコントローラ33に送信し、コントローラ33は、変化した距離値に基づいて固定子31の出力電力を高めることができ、これにより、固定子31と回転子32との間の磁力を高める。より大きな磁力によって回転子32が引っ張られると、インペラ20は、第1の側壁11に向かって落下し、すなわち第1の表面111に向かって近づく。逆に、インペラ20の回転速度がより遅い時に、第1の流体軸受51の油圧20に対する推力が低下し、インペラ20も第1の表面111に近づく。このとき、距離センサー40は、インペラ20が第1の表面111に対する距離値が低減したことを感知し、コントローラ33は、低減した距離値を受信して固定子31の出力電力を低め、それにより、固定子31と回転子32との間の磁力を低め、インペラ20は、第1の表面111から押し出される。その結果、インペラ20は、第1の表面111から反復に押し離される、または近づく距離で、インペラ20に受けた力は、位置決め磁気リング群60、第1の流体軸受51およびサーボモータ30の協働により平衡を取り、それによりインペラ20が増圧キャビティ18の内部で回転軸21の方向に浮上している。
【0030】
実施例の1つでは、第2の側壁12における増圧キャビティ18の近くの側は、第5の表面121である。第5の表面121には、さらに第2の流体軸受52が設けられている。第2の流体軸受52は、第1の流体軸受51と同様に、インペラ20に第2の側壁12から離れる推力を発生する。第2の流体軸受52は、位置決め磁気リング群60と、第1の流体軸受51と、サーボモータ30と回転軸21に沿う方向に共同に作用することにより、インペラ20を増圧キャビティ18に浮上させて回転させる。インペラ20と第1の流体軸受51または第2の流体軸受52との間の力は、インペラ20と第1の表面111または第5の表面121との間の距離が変化するにつれて指数関数的に変化する。つまり、インペラ20と第1の表面111との距離が近いほど、インペラ20に対する第1の流体軸受51の推力の増加が大きい。逆に、インペラ20と第5の表面121との距離が近いほど、インペラ20に対する第2の流体軸受52の推力の増加も大きい。したがって、インペラ20は、回転軸21方向において、第1の流体軸受51および第2の流体軸受52の推力により、第1の側壁11または第2の側壁12に直接接触することが難しく、より安定に増圧キャビティ18で浮上して回転することができる。
【0031】
図3は、インペラ20の力の模式図である。インペラ20の全体の重力は小さいため、インペラ20の重力要素は分析から除外され、回転軸21に沿った方向において、インペラ20は、固定子31が回転子32に対する磁力F4、第1の流体軸受51の推力F3、第2の流体軸受52の推力F2、および位置決め磁気リング61が回転磁気リング62に対する磁力F1を受ける。インペラ20は、増圧キャビティ18に安定に浮上して回転するために、回転軸21の方向にF1+F2+F3+F4=0の条件を満たす必要がある。ここで、サーボモータ30が発生する磁力F4は、心室補助装置100の有効電力として、コントローラ33がF4に対する調整により、インペラ20が回転軸21方向において安定に浮上して回転することを保つことができる。なお、第1の流体軸受の推力F3と第2の流体軸受52の推力F2との方向は一方向だけであるため、位置決め磁気リング群60間の磁力の方向は、インペラ20の浮上姿勢を効果的に制御するため、サーボモータ30の磁力の方向と対向である必要がある。一般に、サーボモータ30では、固定子31と回転子32との間の磁力が磁気吸引力であるため、位置決め磁気リング61と回転磁気リング62との間の磁力も磁気吸引力として表す必要がある。もちろん、いくつかの実施例では、固定子31と回転子32との間の磁力が磁気推力である場合、位置決め磁気リング61と回転磁気リング62との間の磁力も磁気推力として設定する必要がある。本願の心室補助装置100は、F1およびF4の具体的な方向を特に限定しない。
【0032】
第3の側壁13の内表面は、インペラ20の回転軸と平行であるため、インペラ20は、回転軸21に垂直な方向において、位置決め磁気リング61が回転磁気リング62に対する磁力F5と、第3の側壁13がインペラ20に対する推力F6とをそれぞれに受ける。インペラ20は、増圧キャビティ18に安定に浮上して回転するために、回転軸21に垂直な方向においてF5+F6=0の条件を満たす必要がある。インナー13は、任意の方向でインペラ20に回転軸21に向かう方向の推力を発生させることができるため、位置決め磁気リング61と回転用磁気リング62との間の磁力は、磁気吸引力として表してもよく、磁気推力として表してもよく、両方でも増圧キャビティ18内に回転軸21に垂直な方向において浮上しているインペラ20の力の平衡を満たす。
【0033】
図4における実施例2を参照すると、図示における実施例では、入口14は第1の側壁11に位置し、固定子31および距離センサー40は入口14の近くに配置され、入口14の外側に位置する。これに応じて、位置決め磁気リング群60は、第2の側壁12に配置される。本実施例では、インペラ20は、コントローラ33と距離センサー40との間に位置し、すなわち、増圧キャビティ18は、コントローラ33と距離センサー40との間に位置する。ハウジングアセンブリ10は、さらに増圧キャビティ18から離間された密閉キャビティ70を有し、密閉キャビティ70は、固定子31および距離センサー40をシールする必要があり、同時にコントローラ33もシールする必要があり、したがって、図4における実施例では、密閉キャビティ70は、第1の密閉部71および第2の密閉部72を備える。回転軸21方向において、第1の密閉部71と第2の密閉部72とは、増圧キャビティ18の両側に配置され、コントローラ33は、第2の密閉部72に格納され、固定子31および距離センサー40は、前記第1の密閉部72に格納される。第1の密閉部71と第2の密閉部72との間には、可撓性データケーブルを通過させるための貫通孔が設けられており、コントローラ33は距離センサー40および固定子31にそれぞれ電気的に接続されていることを実現する。本実施例では、インペラ20は、回転軸21に垂直な方向においても、サーボモータ30と位置決め磁気リング群60との協働により、浮上の平衡を実現する。なお、本実施例では、第1の流体軸受51および/または第2の流体軸受52を設けて、インペラ20の浮上動作を補助することもでき、これは、本出願で請求される技術的解決策にも属する。
【0034】
上記の実施形態は、技術的解決策の保護範囲を限定するものではない。上述の実施形態の精神および原理の範囲内で行われたあらゆる修正、同等の置換および改善は、技術的解決策の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4