(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】封止フィルム並びにそれを用いたタブリード及び二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/198 20210101AFI20220506BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20220506BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20220506BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20220506BHJP
H01M 50/197 20210101ALI20220506BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20220506BHJP
【FI】
H01M50/198
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/586
(21)【出願番号】P 2020562793
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2020022093
(87)【国際公開番号】W WO2021100226
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-11-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/003530
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019211553
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519294066
【氏名又は名称】株式会社ケムソル
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】弁理士法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成 庸碩
(72)【発明者】
【氏名】武市 元秀
(72)【発明者】
【氏名】矢野 毅
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】市川 篤
【審判官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-033820(JP,A)
【文献】特開2016-091939(JP,A)
【文献】特開2017-069151(JP,A)
【文献】特開2014-225378(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1327868(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
B32B27/32
B32B 7/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装パッケージで覆われた二次電池において、正極又は負極に接続されたリード導体と前記外装パッケージとの間に配置されて熱シールされる封止フィルムであって;
前記封止フィルムがコア層とその両面にスキン層が形成されてなる3層の多層封止フィルムであり、
前記コア層が、融点が155~166℃であり、メルトフローレート(MFR)が0.5~5g/10minであるポリプロピレンを含み、
前記スキン層が、融点が120~150℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~
7g/10minであるポリプロピレンを含み、
前記コア層のシャルピー強度が15kJ/m
2以上であり、
前記封止フィルムの厚みが30~300μmであり、かつ
前記コア層の厚みに対する前記スキン層の厚みの比が0.2~5であることを特徴とする封止フィルム。
【請求項2】
前記コア層が、融点が158~166℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~3g/10minであるポリプロピレンを含み、かつ
前記スキン層が、融点が128~150℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~7g/10minであるポリプロピレンを含む請求項1に記載の封止フィルム。
【請求項3】
前記スキン層の少なくとも一方の層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されている請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項4】
前記コア層に含まれるポリプロピレンが、ポリプロピレンブロックコポリマーである請求項1~3のいずれかに記載の封止フィルム。
【請求項5】
前記スキン層の一方の層が前記リード導体と接着する金属接着層であり、他方の層が前記外装パッケージと接着するパッケージ接着層であり、
前記金属接着層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されたポリプロピレンであり、かつ
前記パッケージ接着層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されたポリプロピレン、又はポリプロピレンランダムコポリマーである請求項3又は4に記載の封止フィルム。
【請求項6】
前記パッケージ接着層に含まれるポリプロピレンの融点が、前記金属接着層に含まれるポリプロピレンの融点よりも高い請求項5に記載の封止フィルム。
【請求項7】
前記金属接着層に含まれるポリプロピレンのMFRが、前記コア層に含まれるポリプロピレンのMFR及び前記パッケージ接着層に含まれるポリプロピレンのMFRのいずれよりも高い請求項5又は6に記載の封止フィルム。
【請求項8】
リード導体の一部の両面が、請求項1~7のいずれかに記載の封止フィルムで被覆されてなるタブリード。
【請求項9】
正極、負極、電解質及びセパレータを含む発電要素と、該発電要素を収容し周縁部が熱シールされてなる外装パッケージと、前記正極又は前記負極に接続されて前記外装パッケージの外側に引き出されるリード導体と、前記外装パッケージと前記リード導体の間に配置されて熱シールされてなる封止フィルムとを有する二次電池であって;
前記外装パッケージが、少なくとも金属層及びシーラント樹脂層を含む多層フィルムからなり、かつ
前記封止フィルムが請求項1~7のいずれかに記載の封止フィルムであることを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装パッケージで覆われた二次電池において、正極又は負極に接続されたリード導体と当該外装パッケージの間に配置されて熱シールされる封止フィルムに関する。また、当該封止フィルムを用いたタブリードに関する。さらに、当該封止フィルムを用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の小型化、高機能化の進化は目覚ましく、それに伴って、当該機器に搭載される電池の小型化、高容量化が強く望まれている。かつて、リチウムイオン電池などの二次電池の形状は18650電池に代表される筒型電池が主流であったが、機器内でのデッドスペースを少なくし、寿命を長くする目的で角型電池が開発された。しかし、デットスペースを更に小さくし、より軽量にするために、新たな二次電池の形態として、ポリオレフィンフィルムやポリアミドフィルムと金属箔をラミネートした外装材を用いたパウチ型二次電池が開発された。このパウチ型二次電池は、モバイル機器のみならず、他の分野でも応用が検討されていて、例えば、電気自動車(EV:Electric Vehicle)用の蓄電池や電力貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)用の定置用蓄電池としても実用化が進んでいる。
【0003】
このようなパウチ型二次電池を安全に使用するためには、電池内部で異常反応や温度上昇が生じた場合に、内部の電解液が漏れ出ることを防ぐことが必要であり、パウチには十分な密閉性が要求される。特に、電極から外部に引き出されたリード導体の部分は密閉性が不十分になりやすく、確実な封止が求められる。一方、確実に封止するために、ラミネート操作における温度や圧力を高くし過ぎると、外装材に含まれる金属箔とリード導体が接触してショートするおそれがある。そのため、外装材とリード導体の間に封止フィルムを挟んで熱シールする方法など、様々な方策が提案されている。
【0004】
特許文献1には、二次電池の正極または負極に接続される金属端子を被覆する積層された二次電池用金属端子被覆樹脂フィルムであって、前記樹脂フィルムを3層構成とし、該樹脂フィルムの中間層をコア層、その他の層をスキン層とした時、前記樹脂フィルムを構成する少なくとも1層の樹脂のメルトフローレートを0.1~2.5g/10minとし、前記コア層と前記スキン層とのメルトフローレートの差を5~30g/10minとした二次電池用金属端子被覆樹脂フィルムが記載されている。そして、その実施例には、スキン層にメルトフローレートが10~15g/10minの酸変性ポリプロピレンを用い、コア層にメルトフローレートが0.7~1g/10minのポリプロピレンを用いた例が記載されている。これよって、コア層により絶縁性を確保し、スキン層により樹脂の回り込み性を確保できるとされている。
【0005】
特許文献2には、ラミネート型リチウムイオン二次電池のタブリードを封止するタブリード用シール材であって、共押出されたラミネート接着層、絶縁層およびリード導体接着層からなる3層構造を有し、前記ラミネート接着層は、融点140℃以下、かつ荷重たわみ温度70℃以上のポリプロピレン系樹脂からなり、前記絶縁層は、融点145℃以上、かつ荷重たわみ温度100℃以上のポリプロピレン系樹脂からなり、前記リード導体接着層は、融点140℃以下の酸変性ポリプロピレンとポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイからなる、タブリード用シール材が記載されている。これによれば、絶縁層とラミネート層との融点差を大きくして、熱シール工程において絶縁層が溶融して流れ出ることを防止し、結果として短絡の発生を防止できるとされている。また、絶縁層の荷重たわみ温度を100℃以上とすることにより、電池封止時の熱溶着時の加圧による変形量を小さくして、やはり短絡の発生を防止できるとされている。
【0006】
近年、EV用途やESS用途でパウチ型リチウムイオン二次電池が大型化している。このような大型電池を製造する際の外装パッケージの熱シール工程では、小型の電池よりも大きな熱量でヒートシール工程が行われるため、ショートによる不良発生のリスクが更に高くなっている。また、電解液の気化や分解などに起因して電池内部にガスが発生し、内圧が上昇することにより、封止フィルムが破壊されて、二次電池の密封性が保てなくなるという問題も生じていた。特許文献1及び2に記載のフィルムやシール材は、このような問題を解決できる十分な性能を有するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-132538号公報
【文献】特開2014-225378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、リード導体と外装パッケージとの間に封止フィルムを挟んで熱シールすることによって、外装パッケージ中の金属層とリード導体との間のショートを防ぐことができるとともに、電池内部の圧力が上昇した場合にシール部分が破壊されて液漏れするのを防ぐことができる、絶縁性及び密封性に優れた二次電池を提供することを目的とする。また、そのような二次電池に使用される封止フィルム及びそれを用いたタブリードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、外装パッケージで覆われた二次電池において、正極又は負極に接続されたリード導体と前記外装パッケージとの間に配置されて熱シールされる封止フィルムであって;前記封止フィルムがコア層とその両面にスキン層が形成されてなる3層の多層封止フィルムであり、前記コア層が、融点が155~166℃であり、メルトフローレート(MFR)が0.5~5g/10minであるポリプロピレンを含み、前記スキン層が、融点が120~150℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~40g/10minであるポリプロピレンを含み、前記コア層のシャルピー強度が15kJ/m2以上であり、前記封止フィルムの厚みが30~300μmであり、かつ前記コア層の厚みに対する前記スキン層の厚みの比が0.2~5であることを特徴とする封止フィルムを提供することによって解決される。
【0010】
このとき、前記コア層が、融点が158~166℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~3g/10minであるポリプロピレンを含み、かつ前記スキン層が、融点が128~150℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~7g/10minであるポリプロピレンを含むことが好ましい。
【0011】
このとき、前記スキン層の少なくとも一方の層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されていることも好ましい。前記コア層に含まれるポリプロピレンが、ポリプロピレンブロックコポリマーであることも好ましい。
【0012】
またこのとき、前記スキン層の一方の層が前記リード導体と接着する金属接着層であり、他方の層が前記外装パッケージと接着するパッケージ接着層であり、前記金属接着層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されたポリプロピレンであり、かつ前記パッケージ接着層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されたポリプロピレン、又はポリプロピレンランダムコポリマーであることも好ましい。
【0013】
前記パッケージ接着層に含まれるポリプロピレンの融点が、前記金属接着層に含まれるポリプロピレンの融点よりも高いことが好ましい。前記金属接着層に含まれるポリプロピレンのMFRが、前記コア層に含まれるポリプロピレンのMFR及び前記パッケージ接着層に含まれるポリプロピレンのMFRのいずれよりも高いことも好ましい。
【0014】
上記課題は、リード導体の一部の両面が、上記封止フィルムで被覆されてなるタブリードを提供することによっても解決される。
【0015】
また、上記課題は、正極、負極、電解質及びセパレータを含む発電要素と、該発電要素を収容し周縁部が熱シールされてなる外装パッケージと、前記正極又は前記負極に接続されて前記外装パッケージの外側に引き出されるリード導体と、前記外装パッケージと前記リード導体の間に配置されて熱シールされてなる封止フィルムとを有する二次電池であって;前記外装パッケージが、少なくとも金属層及びシーラント樹脂層を含む多層フィルムからなり、かつ前記封止フィルムが上記の封止フィルムであることを特徴とする二次電池を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の封止フィルムは、絶縁性及び密封性に優れている。したがって、このような封止フィルムを二次電池のリード導体と外装パッケージとの間に挟んで熱シールすることによって、外装パッケージ中の金属層とリード導体との間のショートを防ぐことができるとともに、電池内部の圧力が上昇した場合にシール部分が破壊されて液漏れするのを防ぐことができる。これによって、絶縁性及び密封性に優れた二次電池と、その製造に用いられるタブリードが提供される。特に、二次電池が大型化した場合であっても十分な絶縁性及び密封性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明の二次電池の熱シール部分の断面図である。
【
図5】熱シール前後における封止フィルムの広がり率の測定方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、外装パッケージで覆われた二次電池において、正極又は負極に接続されたリード導体と前記外装パッケージとの間に配置されて熱シールされる封止フィルムに関する。
図1に示すように、本発明の封止フィルム20はコア層21とその両面にスキン層22、23が形成されてなる3層の多層封止フィルムである。
【0019】
図2に、封止フィルム20を用いた本発明の二次電池10の外観を示す。また
図3に、本発明の二次電池10の熱シール部分の断面図を示す。本発明の二次電池10は、正極、負極、電解質及びセパレータを含む発電要素と、該発電要素を収容し周縁部が熱シールされてなる外装パッケージ40と、前記正極又は前記負極に接続されて外装パッケージ40の外側に引き出されるリード導体31と、外装パッケージ40とリード導体31の間に配置されて熱シールされる封止フィルム20を有するものである。このときの外装パッケージ40は、酸素や水分の透過を防ぐための金属層42と、熱シールするためのシーラント樹脂層41を含む多層フィルムからなるものであり、パウチ形状に封止されることが多い。このとき、リード導体31と外装パッケージ40中の金属層42とのショートを防ぎ、リード導体31と外装パッケージ40間での密封性を向上させるために、本発明の封止フィルム20が採用される。
【0020】
背景技術の欄でも記載したように、近年、リチウムイオン二次電池が大型化しており、その場合の外装パッケージの熱シール工程では、小型の電池よりも大きな熱量でヒートシール工程が行われるため、ショートによる不良発生のリスクが更に高くなっている。そのため、封止フィルムにはより高度な絶縁性が要求されるようになっている。絶縁性を向上させる方策の一つとして、特許文献1及び2に記載されているように、封止フィルムをポリプロピレンの3層構造にして、スキン層のポリプロピレンに比べてコア層のポリプロピレンの融点や溶融粘度や荷重たわみ温度を高くする方策が提案されている。これによって、スキン層が容易に溶融流動して熱接着を可能にしながらも、コア層が上下からの圧力に耐えて十分な厚みを維持することができ、絶縁性が確保される。
【0021】
二次電池の使用時には、温度が上昇したり、電解液が分解して気化したり、外力がかかったりした場合に、二次電池内部の圧力が上昇することがある。本発明者らは、二次電池の内部圧力が極めて高くなった時に、ポリプロピレンの3層構造からなる前記封止フィルムを用いると、封止フィルムが破壊されて電解液が漏れ出すという問題が生じる場合があることに気付いた。そして、その原因を明らかにするために、封止フィルムの接着部分の断面形状を観察した。
【0022】
図4は、本願の比較例1に記載された構成の二次電池において、
図2のX-Y断面図を示したものである。
図4中、左側が熱シール部分で右側が電池内部である。このとき、熱シール部分では外装パッケージ40中の金属層42とリード導体31とが接近し、シーラント樹脂層41、スキン層22、23の厚さが大きく減少するが、コア層21が十分な厚みを保つことによって、金属層42とリード導体31との間の絶縁性が確保されている。しかしながら、シール部分に近いコア層21には、部分的に突出した突部5が形成され、そのそばにノッチ6が形成されていることを発見した。これは、シーラント樹脂層41及びスキン層23を形成する低融点のポリプロピレンが容易に流れ出すのに対して、コア層21を形成する高融点のポリプロピレンが容易に流動できずに塑性変形したためであると推察される。このノッチ6が脆弱点となって破壊が進行したと考えられるために、本発明者らが、耐衝撃性に優れたポリプロピレンをコア層21に用いてみたところ、密封性に優れた封止フィルム20を得ることができ、上記課題が解決されることがわかった。
【0023】
こうして見出された本発明の封止フィルムは、コア層とその両面にスキン層が形成されてなる3層の多層封止フィルムであり、
前記コア層が、融点が155~166℃であり、メルトフローレート(MFR)が0.5~5g/10minであるポリプロピレンを含み、
前記スキン層が、融点が120~150℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~40g/10minであるポリプロピレンを含み、
前記コア層のシャルピー強度が15kJ/m2以上であり、
前記封止フィルムの厚みが30~300μmであり、かつ
前記コア層の厚みに対する前記スキン層の厚みの比が0.2~5であることを特徴とするものである。
【0024】
このように、本発明の封止フィルム20では、コア層21とスキン層22、23とでポリプロピレンの種類を使い分ける。ここで用いられるポリプロピレンには、ポリプロピレンホモポリマー(H-PP)、ポリプロピレンランダムコポリマー(R-PP)及びポリプロピレンブロックコポリマー(B-PP)があり、ポリプロピレンメーカー各社から市販されている。ポリプロピレンホモポリマーはプロピレンモノマーのみを重合させたものであり、融点が高く、弾性率も高い。ポリプロピレンランダムコポリマーは、プロピレンと少量の他のコモノマーをランダムに共重合したものであり、ポリプロピレンの鎖の中にランダムにコモノマーが取り込まれている。ランダムコポリマーは、ホモポリマーに比べて融点も弾性率も低下する。ポリプロピレンブロックコポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーの鎖と少量の他のコモノマーの重合体の鎖とがつながった構造を有する。ブロックコポリマーは、融点と弾性率はホモポリマーに近い値を示しながらも、耐衝撃性が改善される。ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー及びポリプロピレンブロックコポリマーは、それぞれ市販されていて、化学組成は明示されていないものの、その融点、メルトフローレート、弾性率、シャルピー強度などはカタログに示されているので、適宜選択して使用することができる。
【0025】
本発明の封止フィルム20の最大の特徴は、コア層21が、融点が155~166℃であり、メルトフローレート(MFR)が0.5~5g/10minであるポリプロピレンを含み、コア層21のシャルピー強度が15kJ/m2以上であることである。
【0026】
コア層21に含まれるポリプロピレンの融点は155~166℃である。当該融点が155℃未満の場合、スキン層22、23に含まれるポリプロピレンとの融点の差が小さくなるので好ましくない。ここで、熱シール工程では、スキン層22、23を溶融させて、スキン層22、23と、リード導体31や外装パッケージ40とを熱融着させる。このとき、コア層21に含まれるポリプロピレンの融点を155℃以上とすることで、熱シール工程において加熱加圧された場合であっても、コア層21はスキン層22、23に比べ流動し難いので、コア層21として一定の厚みを確保することができ、優れた絶縁性を得ることができる。融点は158℃以上であることが好ましく、161℃以上であることがより好ましく、163℃以上であることがさらに好ましい。一方、融点は165℃以下であることが好ましい。本明細書における融点とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、2nd Run測定時に昇温速度10℃/minで測定される融解ピーク温度(℃)のことをいう。ここで、融解ピークが2つ以上観測された場合には、ベースラインを基準にしたピーク高さが最も高いピークの温度を、コア層21に含まれるポリプロピレンの融解ピーク温度(℃)とする。スキン層22、23についても同様である。
【0027】
コア層21に含まれるポリプロピレンのMFRは0.5~5g/10minである。当該MFRが0.5g/10min未満の場合、粘度が高くなりすぎて封止フィルム20を安定に成膜することができなくなる。MFRは、1g/10min以上であることが好ましく、1.2g/10min以上であることがより好ましく、1.5g/10min以上であることがさらに好ましい。一方、MFRが5g/10minを超える場合、熱シール工程においてポリプロピレンの流動性が高くなりすぎて、シール部におけるコア層21の厚みが薄くなり、優れた絶縁性を得ることができない。MFRは、3g/10min以下であることが好ましく、2.8g/10min以下であることがより好ましく、2.5g/10min以下であることがさらに好ましく、2.0g/10min以下であることが特に好ましい。本明細書におけるMFRは、JIS K 7210に準拠して230℃、2.16kg荷重下により測定された値である。
【0028】
コア層21のシャルピー強度が15kJ/m2以上であることが重要である。コア層21のシャルピー強度を15kJ/m2以上とすることにより、コア層21に形成された脆弱点を起点にして封止フィルム20が破壊されるのを防ぐことができる。シャルピー強度は20kJ/m2以上であることが好ましく、40kJ/m2以上であることがより好ましく、60kJ/m2以上であることがさらに好ましい。一方、シャルピー強度は通常、200kJ/m2以下である。
【0029】
コア層21に含まれるポリプロピレンが、ポリプロピレンブロックコポリマーであることが好ましい。コア層21に含まれるポリプロピレンが、ポリプロピレンブロックコポリマーであることにより、コア層21の脆弱点を起点にして封止フィルム20が破壊されるのを効果的に防ぐことができる。ここで、ポリプロピレンブロックコポリマーは、融点や弾性率が比較的高く、シャルピー強度も高いことが知られていて、耐衝撃性の要求される射出成形品に用いられることが多い。一方、押出成形性が必ずしも良好でないこともあって、フレキシブルなフィルムに用いられることは少ない。しかも、シャルピー強度が15kJ/m2以上となるのはその中の一部のグレードのみである。したがって、通常フィルム成形に用いられることが少ないポリプロピレンブロックコポリマーを敢えて選択し、さらに一定以上のシャルピー強度を有するものを選択し、本願発明の封止フィルム20のコア層21に使用するのは、通常の設計的選択を超えたものである。
【0030】
本発明の封止フィルム20においては、スキン層22、23が、融点が120~150℃であり、メルトフローレート(MFR)が1~40g/10minであるポリプロピレンを含む。
【0031】
スキン層22、23に含まれるポリプロピレンの融点は120~150℃である。当該融点が120℃未満である場合、二次電池10の使用時における発熱や外部からの熱に対する耐熱性が低下する。融点は128℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、135℃以上であることがさらに好ましい。一方、融点が150℃を超える場合、コア層21に含まれるポリプロピレンとの融点の差が小さくなるため、熱シール工程においてコア層21も溶融し易くなり、優れた絶縁性を得ることができない。融点は148℃以下であることが好ましく、146℃以下であることがより好ましい。
【0032】
スキン層22、23に含まれるポリプロピレンのMFRは1~40g/10minである。当該MFRが1g/10min未満の場合、粘度が高くなりすぎて封止フィルム20を安定に成膜することができなくなる。MFRは、1.5g/10min以上であることが好ましく、2g/10min以上であることがより好ましい。一方、MFRが40g/10minを超える場合、コア層21に含まれるポリプロピレンのMFRとの差が大きくなり、この場合も封止フィルム20を安定に成膜することができなくなるとともに、スキン層22、23の機械的強度も低下する。MFRは、7g/10min以下であることが好ましく、6.5g/10min以下であることがより好ましく、6g/10min以下であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明の封止フィルム20おいて、コア層21に含まれるポリプロピレンのMFRcに対する、スキン層22、23に含まれるポリプロピレンのMFRsの比(MFRs/MFRc)が、0.8~7であることが好ましい。比(MFRs/MFRc)が0.8未満の場合、熱シール工程においてコア層21のポリプロピレンの流動性が高くなりすぎて、得られるコア層21の厚みが薄くなり、絶縁性が低下するおそれがある。比(MFRs/MFRc)は、1以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。一方、比(MFRs/MFRc)が7を超える場合、スキン層22、23の粘度が低くなりすぎて封止フィルム20を安定に成膜できないおそれがある。比(MFRs/MFRc)は、6以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
【0034】
スキン層22、23の少なくとも一方の層に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されていることが好ましい。これらの変性は、ランダム共重合あるいはブロック共重合によるものであってもよく、グラフト変性であってもよい。
【0035】
本発明において、スキン層22、23の一方の層がリード導体31と接着する金属接着層22であり、他方の層が外装パッケージ40と接着するパッケージ接着層23であることが好ましい。このとき、金属接着層22に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されたポリプロピレンであることが好ましい。こうすることによって、リード導体31との密着性を向上させることができる。中でも、ポリプロピレンが、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物で変性されたポリプロピレンであることがより好ましい。
【0036】
金属接着層22に含まれるポリプロピレンとパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンとが、同じ種類のポリプロピレンであってもかまわないし、異なる種類のポリプロピレンであってもかまわない。同じ種類のポリプロピレンを用いることにより、封止フィルム20において金属接着層22とパッケージ接着層23の区別がなくなるため、封止作業を行うときに表裏面の識別が不要となり作業性が向上するとともに、表裏面を誤ることによる不良品の発生を防止することもできる。
【0037】
一方、金属接着層22とパッケージ接着層23とで異なる種類のポリプロピレンを用いる場合、金属接着層22に含まれるポリプロピレンが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和エポキシ化合物で変性されたポリプロピレンであり、かつパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンが、そのように変性されていないポリプロピレンランダムコポリマーであることが好ましい。こうすることによって封止フィルム20の製造コストを抑えつつ、リード導体21との密着性を確保することができる。
【0038】
パッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンの融点が、金属接着層22に含まれるポリプロピレンの融点よりも高いことが好ましい。熱シール工程においては、外装パッケージ40側から熱が加えられるが、パッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンの融点を、金属接着層22に含まれるポリプロピレンの融点よりも高くすることにより、先に熱が加わるパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンが過度に流動して広がるのを防ぐことができる。この場合、パッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンの融点と金属接着層22に含まれるポリプロピレンの融点との差は、2℃以上であることが好ましい。
【0039】
また、金属接着層22に含まれるポリプロピレンのMFRが、コア層21に含まれるポリプロピレンのMFR及びパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンのMFRのいずれよりも高いことが好ましい。こうすることによって、金属接着層22に含まれるポリプロピレンをリード導体31の周囲に隙間なく回り込ませることができる。金属接着層22に含まれるポリプロピレンのMFRと、コア層21に含まれるポリプロピレンのMFR及びパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンのMFRとの差は、1以上であることが好ましい。
【0040】
本発明の封止フィルム20のコア層21又はスキン層22、23はいずれもポリプロピレンを含む。各層のポリプロピレンの含有量は通常50質量%以上であり、好適には80質量%以上であり、より好適には90質量%以上である。ポリプロピレン以外に、フィラーや着色剤など、通常使用できる各種の添加剤を含んでいてもよい。また、ポリプロピレン以外の他の樹脂を含んでいてもよいが、その場合の他の樹脂の含有量は通常20質量%以下であり、好適には10質量%以下であり、より好適には5質量%以下であり、実質的に含まないことが好ましい。
【0041】
封止フィルム20の厚みは、30~300μmである。封止フィルム20の厚みが30μm未満では、リード導体31と外装パッケージ40中の金属層42とのショートを十分に防ぐことができない。封止フィルム20の厚みは50μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましい。一方、封止フィルム20の厚みが300μmを超えると、重量が増加する上にコストも増加してしまう。封止フィルム20の厚みは250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
【0042】
コア層21の厚みに対するスキン層22、23の厚みの比は0.2~5である。比が0.2未満の場合、リード導体31及び外装パッケージ40に対する封止フィルム20の密着性が低下する。比は0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。一方、比が5を超える場合、優れた絶縁性を得ることができない。比は4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。ここでいうスキン層22、23の厚みとは、金属接着層22及びパッケージ接着層23のそれぞれの厚みである。
【0043】
本発明の二次電池で用いられるリード導体31は、正極又は負極に接続された金属製のテープ状の部材であり、これを介して充放電することができる。正極に接続されるリード導体31としては主にアルミニウムが用いられる。また、負極に接続されるリード導体31としては、主にニッケル又は銅にニッケルメッキを施したもの、あるいは銅とニッケルのクラッド材が用いられる。これらの金属材料の耐腐食性を改善するために、又は封止フィルム20との接着性を改善するために、6価クロメート、3価クロメート、あるいはジルコニウム系、マンガン系の表面処理剤や、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸を主成分とした有機系の表面処理剤で処理してもよい。リード導体31の厚さは、通常0.05~1mmであり、幅は2~100mmである。
【0044】
本発明の二次電池10で用いられるタブリード30は、リード導体31の一部の両面が、封止フィルム20で被覆されてなるものである。あらかじめ、リード導体31に封止フィルム20が熱融着されていることで、確実にリード導体31と封止フィルム20の間を封じることができるし、外装パッケージ40を熱シールする際の位置決めが容易になる。リード導体31の一方の端は正極又は負極に接続され、他方の端は充放電装置に接続されるので、その中間部が封止フィルム20で覆われる。そして、封止フィルム20と重なる位置で、外装パッケージ40が熱シールされる。
【0045】
本発明の二次電池10で用いられる外装パッケージ40は、少なくとも金属層42及びシーラント樹脂層41を含む多層フィルムからなるものである。好適には、金属層42の外側にさらに表面樹脂層43を有することが好ましい。表面樹脂層43には、適宜印刷等が施されてもよいし、複数の樹脂層から表面樹脂層43が構成されていてもよい。外装パッケージ40の全体厚みは通常50~500μmである。
【0046】
シーラント樹脂層41を構成する樹脂は、熱シールが可能な樹脂であればよく、通常熱可塑性樹脂が用いられる。好適にはポリオレフィン、特にポリプロピレンが好ましく用いられる。シーラント樹脂層41の厚みは通常30~200μmである。表面樹脂層43を構成する樹脂は特に限定されず、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、アセタール樹脂、フッ素系樹脂などを、用途に応じて用いることができる。表面樹脂層43の厚みは通常30~400μmである。金属層42を構成する金属は特に限定されないが、加工性、柔軟性、コストなどを考慮すればアルミニウムが好適である。厚さが5~100μmの金属箔を用いてもよいし、厚さが0.1~2μmの蒸着膜を用いても構わない。
【0047】
本発明の二次電池10では、正極、負極、電解質及びセパレータを含む発電要素を、外装パッケージの周縁部を熱シールすることによって収容して密封する。二次電池10の種類は限定されないが、リチウムイオン電池が好適である。2枚の外装パッケージ40を対向させて発電要素を収容する、いわゆるパウチ形態のものが好適である。
【0048】
タブリード30を製造する方法としては、リード導体31の所定の位置に、封止フィルム20を上下に配し、融着部分を上下から加熱加圧する方法が採用される。このとき、上下から加熱するだけでなく、リード導体31も同時に加熱することで、封止フィルム20の過度な流動を抑え、封止フィルム20の幅とほぼ同じ幅で融着することが容易になる。また、加圧時にはプレスヘッドとリード導体31の間にシリコーンゴムやテフロンシートなどの緩衝材を配することで、リード導体31端部への樹脂の回り込みを良好にすることができる。
【0049】
こうして得られたタブリード30の、封止フィルム20で覆われた部分に、発電要素を収容した外装パッケージ40を重ねて、外装パッケージ40の周縁部を両側から加熱加圧して、二次電池10を製造する。あらかじめタブリード30を製造せずに、外装パッケージ40を封じる時に、リード導体31と封止フィルム20を重ねて、同時に熱シールすることもできる。
【0050】
こうして得られる本発明の二次電池10は、外装パッケージ40中の金属層42とリード導体31の間のショートを防ぐことができ、密封性及び絶縁性に優れた二次電池10である。外装パッケージ40の熱シール条件が厳しくなるとともに、高度な信頼性が要求される大型二次電池などにおいて、特に有用に用いることができる。
【実施例】
【0051】
実施例1
[封止フィルムの作製]
封止フィルム20の製造には、3台の押出機を備えた3層共押出フィルム製造装置を用いた。外層用(パッケージ接着層23用)押出機の1台にポリプロピレンランダムコポリマーペレット(R-PP)を投入し、もう1台の外層用(金属接着層22)押出機に酸変性プロピレンランダムコポリマーペレット(A-PP)を投入した。また、コア層21用押出機にポリプロピレンブロックコポリマーペレット(B-PP)を投入した。3台の押出機における押出温度を200℃とし、マルチマニホールドタイプのTダイの温度を220℃として、共押出成形した。こうして、パッケージ接着層23の厚さが20μm、コア層21の厚さが30μm、金属接着層22の厚さが50μmの、合計厚さ100μmの3層構造の多層フィルムを得てから、それを切断して4mm×8mmの封止フィルム20を得た。
【0052】
[タブリードの作製]
厚さ0.1mmのアルミニウム板(A1050)をスリット加工して、長さ13mm、幅4mmのリード導体31を作製した。
図5の(a)に示すように、リード導体31を2枚の封止フィルム20で挟み、さらにその上下を厚さ0.2mmのシリコーンゴムシートで挟んだ。このとき、封止フィルム20の長さAを測定した。
【0053】
次いで、170℃、5秒間熱プレスで加熱加圧して、両面が封止フィルム20で覆われたタブリード30を得た。得られたタブリード30を
図5の(b)に示す。幅4mmのリード導体31の外側で封止フィルム20同士が4.1mmの幅で接着していた。ここで、長さBを測定し、下記式を用いて封止フィルム20の広がり率を測定した。この値が小さいほど絶縁性に優れる二次電池10が得られるといえる。
広がり率(%):[((長さB)-(長さA))/(長さA)]×100
【0054】
[接着強度の測定]
外装パッケージ材として、最外層からポリアミド層25μm/アルミニウム箔50μm/ポリプロピレン層25μmの順で積層した多層フィルムを用いた。これを長さ100mm×幅20mmの短冊状に切断し、作製したタブリード30の封止フィルム20部分の両面と接触(接触面積:3mm×8mm)させた。このとき、外装パッケージ材のポリプロピレン層が封止フィルム20と接触する向きに、2枚の外装パッケージ材を配置した。引き続き、幅2mmの熱プレスを用い、温度180℃、圧力0.3MPaで5秒間、加熱加圧してサンプルを得た。そして、得られたサンプルを用いて、
図6に示すように、封止フィルム20と融着していない部分の外装パッケージ材をチャックで挟み、引張り試験機を用い、50mm/分の速度で引っ張った。その結果、破壊に要した力は2.7kgf/4mmであった。この破壊に要した力が大きいほど、密封性に優れた二次電池10が得られるといえる。また、破壊した部分を光学顕微鏡で観察したところ、その破壊は、外装パッケージ材の凝集破壊であった(表1において評価結果A)。結果をまとめて表1に示す。
【0055】
実施例2~6、比較例1~4
表1及び2に示すように、パッケージ接着層23、コア層21及び金属接着層22を形成するポリプロピレンの種類を変更した以外は実施例1と同様にして、封止フィルム20を作製し評価した。ここで、表1に示すように、実施例5のパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンの融解ピークが2つ(134℃及び104℃)観測された。104℃のピーク高さよりも、134℃のピーク高さの方が高かったので、134℃をパッケージ接着層23に含まれるポリプロピレンの融点とした。結果をまとめて表1及び2に示す。ここで、引張り試験において破壊された部分が封止フィルム20の凝集破壊であった場合には評価結果をBとした。
【0056】
【0057】
【符号の説明】
【0058】
10 二次電池
20 封止フィルム
21 コア層
22 スキン層(金属接着層)
23 スキン層(パッケージ接着層)
30 タブリード
31 リード導体
40 外装パッケージ
41 シーラント樹脂層
42 金属層
43 表面樹脂層
5 突部
6 ノッチ