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  • 特許-鉛筆ホルダー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】鉛筆ホルダー
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/00 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
B43K23/00 300J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021168577
(22)【出願日】2021-10-14
【審査請求日】2021-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508126907
【氏名又は名称】株式会社東洋金属工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100109254
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩三
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-032136(JP,U)
【文献】実開平05-074888(JP,U)
【文献】実開昭48-033688(JP,U)
【文献】実公昭06-014776(JP,Y1)
【文献】特開2011-240617(JP,A)
【文献】特開2019-202497(JP,A)
【文献】実開昭56-033687(JP,U)
【文献】特開2006-130723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 23/00-23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛筆の外径より僅かに大きい内径を有する円筒体の先端側に鉛筆の外径よりも内径の小さい小径部が形成される一方、後端開口の内周面に雌ネジ又は外周面に雄ネジが形成されており、前記後端開口から入れられる鉛筆の切削部分を前記小径部に挿通させることにより、鉛筆が切削部分の先端側を前記小径部の先端開口から外部へ露出させられた状態で収容されるホルダー本体と、
前記後端開口から入れられて前記ホルダー本体に収容された鉛筆の後端側に当接するように前記ホルダー本体に収容される押えピンと、
前記後端開口から入れられて前記ホルダー本体に収容された押えピンの後端側に当接するように前記ホルダー本体に収容されるコイルばねと、
前記雌ネジ又は雄ネジに螺合される雄ネジ又は雌ネジが形成されており、これらのネジを螺合することにより前記ホルダー本体の後端開口を閉鎖するように取り付けられて、前記コイルばねの後端側に当接することにより前記コイルばねを前記押えピンに押し付けて前記押えピンにより鉛筆の切削部分を前記小径部に押し付けた状態に維持する蓋体と、を備えることを特徴とする鉛筆ホルダー。
【請求項2】
前記小径部は、鉛筆の切削部分が当接する円錐面状の傾斜面を有してなることを特徴とする請求項1記載の鉛筆ホルダー。
【請求項3】
前記押えピンの先端側には、前記小径部に進入可能な小径ピン部が突出形成されていることを特徴とする請求項2記載の鉛筆ホルダー。
【請求項4】
前記押えピンの先端側及び/又は後端側の端面には、押し当てることにより鉛筆の後端に食い込ませることができる複数個の突起が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鉛筆ホルダー。
【請求項5】
前記蓋部には、鉛筆の後端を嵌合保持することができる六角形の鉛筆保持穴が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の鉛筆ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は短くなった鉛筆を持ち易くするために延長する鉛筆ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から短くなった鉛筆を持ち易くするために延長する鉛筆ホルダーが用いられている。斯かる鉛筆ホルダーは、鉛筆の切削されていない部分が一端に差し込まれる筒状のホルダー本体と、前記ホルダー本体に対して前記一端を窄めるように外嵌させられる外筒体とで構成される。
【0003】
ホルダー本体は、鉛筆が差し込まれる一端において軸方向に延びる複数本のスリットと、その付近に形成される雄ネジを有している。また、外筒体は、前記一端に外嵌させられるときに前記スリットの幅を狭めて前記一端を縮径するように窄めるテーパと、前記雄ネジに螺合される雌ネジを有している。
【0004】
ホルダー本体の一端に鉛筆の切削されていない部分を差し込んで、外筒体を螺合させることにより、前記テーパで前記スリットの幅が狭められて、縮径された一端により鉛筆が挟持固定される。ホルダー本体が所定長さを有しており、鉛筆の長さが延長されることにより持ち易くなる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-199037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の鉛筆ホルダーは、窄められた一端の先端部のみで鉛筆を支持する構造であるから、筆記中に鉛筆が首を振るようにガタついたり、内部に押し込まれたりするなど安定的に保持することができない。特に鉛筆の保持力が外筒体の締め込み具合に依存する構造であるため、締め込む力が弱いと尚更である。更に極端に短くなって切削されていない部分が殆ど残っていない鉛筆では挟持することが難しく、実質的に使えないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、鉛筆を安定的に保持することができて、短くなった鉛筆を最後まで使い切れる鉛筆ホルダーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、
鉛筆の外径より僅かに大きい内径を有する円筒体の先端側に鉛筆の外径よりも内径の小さい小径部が形成される一方、後端開口の内周面に雌ネジ又は外周面に雄ネジが形成されており、前記後端開口から入れられる鉛筆の切削部分を前記小径部に挿通させることにより、鉛筆が切削部分の先端側を前記小径部の先端開口から外部へ露出させられた状態で収容されるホルダー本体と、
前記後端開口から入れられて前記ホルダー本体に収容された鉛筆の後端側に当接するように前記ホルダー本体に収容される押えピンと、
前記後端開口から入れられて前記ホルダー本体に収容された押えピンの後端側に当接するように前記ホルダー本体に収容されるコイルばねと、
前記雌ネジ又は雄ネジに螺合される雄ネジ又は雌ネジが形成されており、これらのネジを螺合することにより前記ホルダー本体の後端開口を閉鎖するように取り付けられて、前記コイルばねの後端側に当接することにより前記コイルばねを前記押えピンに押し付けて前記押えピンにより鉛筆の切削部分を前記小径部に押し付けた状態を維持する蓋体と、を備えることを特徴とする鉛筆ホルダー
を提供する。
【0009】
請求項2の発明は、
前記小径部は、鉛筆の切削部分が当接する円錐面状の傾斜面を有してなることを特徴とする請求項1記載の鉛筆ホルダー
を提供する。
【0010】
請求項3の発明は、
前記押えピンの先端側には、前記小径部に進入可能な小径ピン部が突出形成されていることを特徴とする請求項2記載の鉛筆ホルダー
を提供する。
【0011】
請求項4の発明は、
前記押えピンの先端側及び/又は後端側の端面には、押し当てることにより鉛筆の後端に食い込ませることができる複数個の突起が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鉛筆ホルダー
を提供する。
【0012】
請求項5の発明は、
前記蓋部には、鉛筆の後端を嵌め込むことができる六角形の鉛筆保持穴が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の鉛筆ホルダー
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鉛筆ホルダーによれば、鉛筆を安定的に保持することができ、短くなった鉛筆を最後まで使い切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】鉛筆ホルダーに鉛筆を収容した状態を示す(a)正面図及び(b)部分断面図。
図2】鉛筆ホルダーの構成部品を示す図。
図3】押えピンの(a)正面図、(b)側面図、(c)極端に短くなった鉛筆に当接させた状態を示す図、(d)後端側を鉛筆削りの補助として使用する状態を示す図、(e)前端側を鉛筆削りの補助として使用する状態を示す図、(f)長めの鉛筆に適用した状態を示す図。
図4】蓋体の(a)側面図、(b)断面図、及び(c)(d)鉛筆削りの補助として使用する状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である鉛筆ホルダー1について図面参照しながら説明する。
【0016】
(鉛筆ホルダー1)
鉛筆ホルダー1は、図1~2に示すように、使用により短くなった鉛筆Pを収容して先端開口2Aから鉛筆Pの先端側P(切削部分Pc)を外部に露出させるように保持するホルダー本体2と、ホルダー本体2に収容されて鉛筆Pの後端側Pに当接する押えピン3と、同じくホルダー本体2に収容されて押えピン3の後端側3に当接するコイルばね4と、コイルばね4の後端側4に当接すると共にホルダー本体2の後端開口2Bを閉鎖する蓋体5と、を備えてなる。
【0017】
(ホルダー本体2)
ホルダー本体2は、図1(b)、図2に示すように、所定長さ(90mm程度)を有してなる中空軸状体であり、鉛筆Pの非切削部分の外径(直径8mm程度)より僅かに大きい内径(直径9mm程度)を有する円筒体21の先端側に鉛筆Pの外径よりも内径が小さい小径部22を形成してなる。小径部22は、鉛筆Pの切削部分Pが当接する円錐面状の傾斜面を有してなり、窄められた先端側には鉛筆Pの先端側Pを露出させるための先端開口2A(直径4mm程度)が形成されている。
【0018】
鉛筆Pは、円錐面状の切削部分Pが同じく円錐面状を成す小径部22の傾斜面に当接することにより安定的に支持される。円筒体21の後端側には、鉛筆P、押えピン3及びコイルばね4を出し入れするための後端開口2Bが設けられており、その付近の内周面には雌ネジ(ネジ溝)2が形成されている。雌ネジ2は蓋体5をホルダー本体2に螺合させるために用いられる。なお、ホルダー本体2は、板金絞り加工により形成される。
【0019】
(押えピン3)
押えピン3は、図3(a)~(b)に示すように、円柱形状の小径ピン部31と大径ピン部32を同軸に一体形成してなる段付きの円筒体である。先端側に突出形成される小径ピン部31は、ホルダー本体2の先端開口2Aと略同径(直径4mm程度)に形成されており、後端側の大径ピン部32は、鉛筆Pと略同径(直径8mm程度)に形成されている。図1(b)、図2に示すように、押えピン3は、ホルダー本体2内において小径ピン部31の端面3が鉛筆Pの後端側Pに当接するように収容される。
【0020】
大径ピン部32は、図1(b)、図3(c)に示すように、ホルダー本体2内において円筒体21の内周面により大きなガタつきを生じないように支持され、小径ピン部31は、図3(c)に示すように、ホルダー本体2の円錐状の小径部22に進入して、切削されていない部分が無くなるほど短くなった鉛筆Pでも切削部分Pを小径部22の傾斜面にしっかり押し付けるように当接させることができる。
【0021】
押えピン3の先端側の端面3及び後端側の端面3には、図3(a)~(b)に示すように、複数個の棘状の突起3F1、3R1が周方向に間隔をおいて突設形成されている。これらにより、押えピン3を、短くなりすぎた鉛筆Pを鉛筆削りSで切削する場合の補助具として用いることができる。例えば図3(e)に示されるように、後端側の端面3を鉛筆Pの後端に押し当てることにより突起3R1を食い込ませて、押えピン3を回転させることにより鉛筆Pを切削することができる。
【0022】
鉛筆Pが特に短い場合には、図3(f)に示されるように、小径の先端側の端面3を鉛筆Pの後端に押し当てることにより突起3F1に食い込ませて、押えピン3を回転させることにより小径ピン部31が鉛筆削りSに干渉することなく進入して鉛筆Pを切削することができる。押えピン3は、大径ピン部32と同径のピン素材を切削して、小径ピン部31を削り出すことにより形成される。鉛筆削りを行う際の滑り止めとして、小径ピン部31や大径ピン部32の外周面にローレットを形成してもよい。
【0023】
(コイルばね4)
コイルばね4は、いわゆる金属製の圧縮ばねであり、図1(b)に示すように、鉛筆Pの後端Pに当接する押えピン3と蓋体5の間に介在することにより、鉛筆Pの切削部分Pをホルダー本体2の小径部22の傾斜面に弾性的に押し付けて、鉛筆Pの長さの違いを吸収しながら鉛筆Pをしっかり保持固定する役割を果たす。なお、コイルばね4の内径を小径ピン部31の外径より大きく設定すれば、図3(f)に示すように、押えピン3を前後逆向きにして大径ピン部32を鉛筆の後端側に当接させる一方、小径ピン部31をコイルばね4内に挿通させて大径ピン部32をコイルばね4で押すようにして、鉛筆Pが少し長くてもコイルばね4を大幅に縮めることなく使用することができる。すなわち、適用可能な鉛筆の長さ範囲を広くすることができる。
【0024】
(蓋体5)
蓋体5は、図1~2及び図4(a)、(b)に示すように、頭部が六角形に形成されており、その反対側には、ホルダー本体2の雌ネジ2に螺合される雄ネジ5が形成されており、ホルダー本体2の後端開口2Bを閉鎖するように取り付けられる栓状体である。蓋体5は、コイルばね4の後端側4に当接して、コイルばね4を押えピン3に押し付け、押えピン3により鉛筆Pを小径部22の傾斜面に押し付けた状態を維持する。
【0025】
頭部には、鉛筆Pの被切削部分である外周面六角形の後端側Pを嵌合保持することができる六角形の鉛筆保持穴51が形成されている。被切削部分の長さが所定以上ある場合には、図4(c)に示すように、鉛筆Pを鉛筆保持穴51に保持固定させたうえで、図4(d)に示すように、鉛筆Pの先端側Pを鉛筆削りに差し込んで切削することができる。
【0026】
(鉛筆ホルダー1の効果)
上記実施形態に係る鉛筆ホルダー1によれば、鉛筆Pの円錐面状の切削部分Pが、ホルダー本体2の先端側に設けられた小径部22の円錐面状の傾斜面に当接されるように押し付けられるため、鉛筆Pがホルダー本体2に対してガタつくことなく安定的に支持される。また、鉛筆Pは、押えピン3及びコイルばね4を介して蓋体5で押さえられているため、筆記中に内部に押し込まれてしまう心配がない。
【0027】
また、極端に短くなって非切削部分が殆ど残っていない鉛筆でも小径部22の円錐面状の傾斜面と押えピン3で両端を挟み込むように保持固定することができるので、鉛筆を最後まで無駄なく使い切ることができる。なお、蓋体5にはコイルばね4によるテンションが作用しているため、使用中に不意に緩む心配がない。
【0028】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、ホルダー本体2を板金の絞り加工により形成したが、樹脂成形することとしても良い。押えピン3や蓋体5も金属に限らず、樹脂成形することにしても良い。上記実施形態では、ホルダー本体2の小径部22を鉛筆Pの切削部分の形状に合わせて円錐面状に形成したが、切削部分の先端側を先端開口から外部へ露出させられた状態で支持できるものであれば、他の形状に形成しても良い。
【0029】
上記実施形態では、ホルダー本体2の後端開口2B付近の内周面に雌ネジを形成し、後端開口2Bに挿入される蓋体5の外周面に雄ネジを形成してこれらを螺合することにより、後端開口2Bを閉鎖することとしたが、後端開口2B付近の外周面に雄ネジを形成し、ホルダー本体2に外嵌するように形成した蓋体5の内周面に雌ネジを形成して、これらを螺合するようにしても良い。
【0030】
また、上記実施形態では、蓋体5の頭部の外周面を六角形に形成したが、他の形状にしても良い。例えば円形にして滑り止めとなるローレットを形成することにしても良い。その他、本発明はその要旨を変更しない範囲で種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 鉛筆ホルダー
2 ホルダー本体
3 押えピン
4 コイルばね
5 蓋体
P 鉛筆
【要約】
【課題】 本発明は、鉛筆を安定的に保持することができて、短くなった鉛筆を最後まで使い切れる鉛筆ホルダーを提供する。
【解決手段】 鉛筆ホルダー1は、使用により短くなった鉛筆Pを収容して先端開口2Aから鉛筆Pの先端側Pを外部に露出させるように保持するホルダー本体2と、ホルダー本体2に収容されて鉛筆Pの後端側Pに当接する押えピン3と、押えピン3の後端側3を当接するコイルばね4と、コイルばね4の後端側4に当接すると共にホルダー本体2の後端開口2Bを閉鎖する蓋体5を備えてなる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4