(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】農作業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20220506BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2022029255
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2022-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522077948
【氏名又は名称】株式会社ユニストロングジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】江夏 偉鵬
(72)【発明者】
【氏名】ブリセニョ 穂世
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和久
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-107200(JP,A)
【文献】特開2021-70347(JP,A)
【文献】特開2017-37681(JP,A)
【文献】特開2015-22662(JP,A)
【文献】特開2020-74069(JP,A)
【文献】特開平11-313594(JP,A)
【文献】特開2019-114138(JP,A)
【文献】特開2015-49868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の地面に接して走行する走行車両、及び、前記走行車両に接続され前記地面に対して農作業するよう作動する農作業装置を有し、自動運転可能に構成された農作業機と、
複数の前記農作業機と情報通信ネットワークを介し接続され、それぞれの前記農作業機の情報を送受信可能に構成されたサーバと、
を備えた農作業支援システムにおいて、
第1の前記農作業機は、
第1圃場において走行および農作業を実施した場合に、前記第1圃場の輪郭および属する地域の状態を含む圃場情報、前記実施に対応する前記走行車両の走行態様を含む走行情報、前記実施に対応する前記農作業装置の作動態様を含む作動情報、及び、前記実施に対応する農作業の内容および前記農作業の対象となる植物種を含む農作業内容情報を、前記サーバに送信する第1情報送信部を備え、
第2の前記農作業機は、
前記第1圃場とは異なる第2圃場において、走行および農作業を実施する場合に、前記第2圃場の輪郭および属する地域の状態を含む圃場情報、及び、前記実施する予定の農作業の内容および前記農作業の対象となる植物種を含む農作業内容情報を、前記サーバに送信する第2情報送信部を備え、
前記サーバは、
前記第1情報送信部から送信された前記圃場情報、前記走行情報、前記作動情報、及び、前記農作業内容情報を、前記第1情報送信部から送信される度に逐次それぞれ記憶していく情報記憶部と、
前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記走行情報と、複数の前記農作業内容情報と、に基づいて、前記圃場情報、前記走行情報、及び、前記農作業内容情報の相関を生成する第1相関生成部と、
前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記作動情報と、複数の前記農作業内容情報と、に基づいて、前記圃場情報、前記作動情報、及び、前記農作業内容情報の相関を生成する第2相関生成部と、
前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報および前記農作業内容情報と、前記第1相関生成部にて生成された前記相関と、に基づいて、前記第2の前記農作業機の走行態様を決定する走行態様決定部と、
前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報および前記農作業内容情報と、前記第2相関生成部にて生成された前記相関と、に基づいて、前記第2の前記農作業機の作業態様を決定する作業態様決定部と、
前記走行態様決定部にて決定された走行態様、及び、前記作業態様決定部にて決定された作業態様で自動運転するよう、前記情報通信ネットワークを介して、前記第2の前記農作業機に指示する自動運転指示部と、
を備えた
農作業支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業支援システムにおいて、
前記サーバの前記第1相関生成部は、
前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記走行情報と、複数の前記農作業内容情報と、の相関を、機械学習して得られる第1学習モデルとして生成し、
前記サーバの前記第2相関生成部は、
前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記作動情報と、複数の前記農作業内容情報と、の相関を、機械学習して得られる第2学習モデルとして生成
し、
前記サーバの前記走行態様決定部は、
前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報を用いて、前記第1相関生成部にて生成された前記第1学習モデルに従って、前記第2の前記農作業機の最適な走行態様を推定し、
前記サーバの前記作業態様決定部は、
前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報を用いて、前記第2相関生成部にて生成された前記第2学習モデルに従って、前記第2の前記農作業機の最適な作業態様を推定する
農作業支援システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の農作業支援システムにおいて、
前記農作業機が田植機である場合、
前記作動情報は、
少なくとも、前記田植機にて前記地面に苗を植え付ける間隔、又は、前記田植機にて前記地面に向けて苗を植え付ける深さを含み、
前記農作業内容情報は、
少なくとも、前記苗の品種および数量を含む
農作業支援システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の農作業支援システムにおいて、
前記農作業機が収穫機である場合、
前記作動情報は、
少なくとも、前記収穫機にて前記地面から直立する作物を収穫する際の収穫位置を含み、
前記農作業内容情報は、
少なくとも、前記作物の品種および数量を含む
農作業支援システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の農作業支援システムにおいて、
前記農作業機が草刈機である場合、
前記作動情報は、
少なくとも、前記草刈機にて前記地面から直立する草を刈取る際の刈取位置を含み、
前記農作業内容情報は、
少なくとも、前記草を刈取った後に植え付ける作物の品種および数量を含む
農作業支援システム。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の農作業支援システムにおいて、
前記農作業機が耕耘機である場合、
前記作動情報は、
少なくとも、前記耕耘機にて前記地面に向けて耕耘する深さを含み、
前記農作業内容情報は、
少なくとも、前記耕耘機にて耕耘した後に植え付ける作物の品種および数量を含む
農作業支援システム。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の農作業支援システムにおいて、
前記農作業機が散布機である場合、
前記作動情報は、
少なくとも、前記散布機にて作物に向けて散布する資材の量を含み、
前記農作業内容情報は、
少なくとも、前記作物の品種および数量を含む
農作業支援システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の農作業支援システムにおいて、
前記走行車両は、トラクタである
農作業支援システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の農作業支援システムにおいて、
前記走行情報は、
少なくとも、前記走行車両の走行ルート、及び、車速を含む
農作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機での農作業を支援するためのシステムである農作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業は、ノウハウや、経験則等に基づいて実施される場合も多く、新たに実施する者にとっては、支援が必要となる。支援としては、例えば、既往の事業者からの承継によって、ノウハウや、経験則を知得する手法も考えられる。しかしながら、多大な時間やコストを要するケースも多く、承継が円滑に進まないのが実情である。このような事情を鑑みて、近年、情報通信技術を用いたシステムが、開発されてきている。
【0003】
農作業を支援するためのシステムとして、例えば、散布用ドローンと、ドローン管理端末と、を含む特許文献1のシステムが知られている。特許文献1のシステムでは、ドローン管理端末にて、圃場における正規化差植生指数(NDVI)が入力されて、学習モデルに従って散布剤の散布量の最適値が推定される。散布用ドローンは、当該散布量の散布剤を、対象の圃場に散布するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-114271号公報(請求項1、段落0034等)
【発明の概要】
【0005】
上記特許文献1におけるシステムでは、学習モデルは、植生ビッグデータに基づいており、植生に関わる種々のデータ間の関係性や規則性を表すものとなっている。植生ビッグデータとしては、サーバに、予め蓄積されているものが用いられる。即ち、上記システムとは別で、例えば、システム構築前に、植生ビッグデータを生成しておく必要がある。
【0006】
一般に、この種のビッグデータは、多数の農業の実施パターン毎に、情報を取得・収集することで生成可能となる。しかしながら、農作業機の多くでは、ビッグデータ生成のために情報取得することは、想定されていない。また、仮に、農作業機にて情報取得が可能となっていても、上記システムにて情報収集する機能は見当たらない。このため、多くの実施パターンから幅広く情報取得・収集することは、到底困難である。従って、上記特許文献1のシステムでは、学習モデルを活用した場合であっても、実際に最適な値を導き出すことは難しく、農作業に対する支援が適切なものになるとは言えない。以上のことから、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、農作業の実施に際し、最適な支援を受けることができるシステムが要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、上記要望に鑑み、農作業機での農作業を支援するためのシステムである農作業支援システムにおいて、農作業の実施に際し、最適な支援を受けることができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の農作業支援システムは、圃場の地面に接して走行する走行車両、及び、前記走行車両に接続され前記地面に対して農作業するよう作動する農作業装置を有し、自動運転可能に構成された農作業機と、複数の前記農作業機と情報通信ネットワークを介し接続され
、それぞれの前記農作業機の情報を送受信可能に構成されたサーバと、を備える。本発明の農作業支援システムにおいて、第1の前記農作業機は、第1圃場において走行および農作業を実施した場合に、前記第1圃場の輪郭および属する地域の状態を含む圃場情報、前記実施に対応する前記走行車両の走行態様を含む走行情報、前記実施に対応する前記農作業装置の作動態様を含む作動情報、及び、前記実施に対応する農作業の内容および前記農作業の対象となる植物種を含む農作業内容情報を、前記サーバに送信する第1情報送信部を備え、第2の前記農作業機は、前記第1圃場とは異なる第2圃場において、走行および農作業を実施する場合に、前記第2圃場の輪郭および属する地域の状態を含む圃場情報、及び、前記実施する予定の農作業の内容および前記農作業の対象となる植物種を含む農作業内容情報を、前記サーバに送信する第2情報送信部を備え、前記サーバは、前記第1情報送信部から送信された前記圃場情報、前記走行情報、前記作動情報、及び、前記農作業内容情報を、前記第1情報送信部から送信される度に逐次それぞれ記憶していく情報記憶部と、前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記走行情報と、複数の前記農作業内容情報と、に基づいて、前記圃場情報、前記走行情報、及び、前記農作業内容情報の相関を生成する第1相関生成部と、前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記作動情報と、複数の前記農作業内容情報と、に基づいて、前記圃場情報、前記作動情報、及び、前記農作業内容情報の相関を生成する第2相関生成部と、前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報および前記農作業内容情報と、前記第1相関生成部にて生成された前記相関と、に基づいて、前記第2の前記農作業機の走行態様を決定する走行態様決定部と、前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報および前記農作業内容情報と、前記第2相関生成部にて生成された前記相関と、に基づいて、前記第2の前記農作業機の作業態様を決定する作業態様決定部と、前記走行態様決定部にて決定された走行態様、及び、前記作業態様決定部にて決定された作業態様で自動運転するよう、前記情報通信ネットワークを介して、前記第2の前記農作業機に指示する自動運転指示部と、を備えている。
【0009】
上記構成によれば、第1の農作業機が第1圃場において走行および農作業を実施した場合に、圃場情報、走行情報、作動情報、及び、農作業内容情報が、サーバに送信されて、サーバにて相関が生成される。このため、多数の情報が効率的に取得でき、容易に相関を生成できる。また、第1の農作業機からサーバに送信されてくる各種情報は、農作業ごとに、様々な走行態様および作動態様を経た結果、生成・取得されるものである。当該走行態様および作動態様の殆どが、ノウハウや、経験則等に基づいて、最適化されている態様となっている。サーバでは、「最適化されている態様」の情報が大量に用いられて、相関を生成できる。この相関と、第2の農作業機から送信される情報とに基づいて、最適な走行態様、及び、最適な作動態様を決定でき、第2の農作業機では第2圃場にて、当該走行態様および作動態様での自動運転を達成できる。このように、第2の農作業機にて農作業を実施する場合、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、農作業支援システムにより、最適な支援を受けることができる。
【0010】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記サーバの前記第1相関生成部は、前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記走行情報と、複数の前記農作業内容情報と、の相関を、機械学習して得られる第1学習モデルとして生成し、前記サーバの前記第2相関生成部は、前記情報記憶部にて記憶されている複数の前記圃場情報と、複数の前記作動情報と、複数の前記農作業内容情報と、の相関を、機械学習して得られる第2学習モデルとして生成し、前記サーバの前記走行態様決定部は、前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報を用いて、前記第1相関生成部にて生成された前記第1学習モデルに従って、前記第2の前記農作業機の最適な走行態
様を推定し、前記サーバの前記作業態様決定部は、前記第2情報送信部から前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報が送信された場合に、前記第2情報送信部から送信された前記圃場情報、及び、前記農作業内容情報を用いて、前記第2相関生成部にて生成された前記第2学習モデルに従って、前記第2の前記農作業機の最適な作業態様を推定する。
【0011】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記農作業機が田植機である場合、前記作動情報は、少なくとも、前記田植機にて前記地面に苗を植え付ける間隔、又は、前記田植機にて前記地面に向けて苗を植え付ける深さを含み、前記農作業内容情報は、少なくとも、前記苗の品種および数量を含む。
【0012】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記農作業機が収穫機である場合、前記作動情報は、少なくとも、前記収穫機にて前記地面から直立する作物を収穫する際の収穫位置を含み、前記農作業内容情報は、少なくとも、前記作物の品種および数量を含む。
【0013】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記農作業機が草刈機である場合、前記作動情報は、少なくとも、前記草刈機にて前記地面から直立する草を刈取る際の刈取位置を含み、前記農作業内容情報は、少なくとも、前記草を刈取った後に植え付ける作物の品種および数量を含む。
【0014】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記農作業機が耕耘機である場合、前記作動情報は、少なくとも、前記耕耘機にて前記地面に向けて耕耘する深さを含み、前記農作業内容情報は、少なくとも、前記耕耘機にて耕耘した後に植え付ける作物の品種および数量を含む。
【0015】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記農作業機が散布機である場合、前記作動情報は、少なくとも、前記散布機にて作物に向けて散布する資材の量を含み、前記農作業内容情報は、少なくとも、前記作物の品種および数量を含む。
【0016】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記走行車両は、トラクタである。
【0017】
本発明の農作業支援システムにおいて、前記走行情報は、少なくとも、前記走行車両の走行ルート、及び、車速を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、多数の情報が効率的に取得でき、容易に相関を生成できる。農作業の実施に際し、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、最適な支援を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る農作業支援システムの全体概略図である。
【
図2】
図1に示す第1、第2農作業機の走行車両及び農業装置の側視図である。
【
図3】
図1に示す第1農作業機の機能ブロック図である。
【
図4】
図1に示す第1、第2農作業機の端末装置の全体図である。
【
図5】
図1に示す第1、第2農作業機が圃場情報を取得する際の作動の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示す第1、第2農作業機が圃場にて農作業を実施する際における、走行態様の一例を示す図である。
【
図7】
図1に示す第1、第2農作業機が圃場にて農作業を実施する際における、作動態様の一例を示す図である。
【
図9】
図1に示すサーバにて構築される各種データベースの一例を示す図である。
【
図10】
図1に示すサーバにて第1学習モデルを生成するためのデータセットの一例を示す図である。
【
図11】
図1に示すサーバにて第2学習モデルを生成するためのデータセットの一例を示す図である。
【
図12】
図1に示す第2農作業機の機能ブロック図である。
【
図13】
図1に示す農作業支援システムの作動として、各種情報のフローを説明するための図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機の走行車両及び農業装置の側視図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機が、圃場にて農作業を実施する際における、作動態様の一例を示す図である。
【
図16】本発明の第3実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機の走行車両及び農業装置の側視図である。
【
図17】本発明の第4実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機の走行車両及び農業装置の側視図である。
【
図18】本発明の第4実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機が、圃場にて農作業を実施する際における、作動態様の一例を示す図である。
【
図19】本発明の第5実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機の走行車両及び農業装置の側視図である。
【
図20】本発明の第5実施形態に係る農作業支援システムが備える第1、第2農作業機が、圃場にて農作業を実施する際における、作動態様の一例を示す図であって、農作業装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
<農作業支援システム>
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る農作業支援システム100は、農作業機による農作業を支援するためのシステムである。農作業支援システム100は、第1農作業機10、第2農作業機20、及び、サーバ30を備えている。第1農作業機10は、サーバ30と情報通信ネットワークNを介し接続されている。第1農作業機10で取得される情報は、無線通信にてサーバ30に送信可能となっている。第1農作業機10は、農作業や走行に関する情報を取得するために用いられ、単数でも複数でもよい。また、第1農作業機10にて情報取得する際、第1農作業機10は、運転手、オペレータ等により運転されてもよいし、自動運転されてもよい。また、第1農作業機10は、移動端末13を含む。移動端末13は、第1農作業機10の農作業に関する情報を入力可能となっている。移動端末13にて入力された情報は、第1農作業機10を介して、サーバ30に送信可能となっている。
【0022】
サーバ30は、クラウドサーバ等であり、第1農作業機10からの送信情報を記憶していく。サーバ30では、当該記憶された情報等に基づいて、演算により第2農作業機20の走行態様・作業態様が決定される。当該決定された走行態様・作業態様にて自動運転するよう、サーバ30から第2農作業機20へ指示される。
【0023】
第2農作業機20は、サーバ30と情報通信ネットワークNを介し接続されている。第2農作業機20は、単数でも複数でもよい。第2農作業機20は、サーバ30からの送信指示により、自動運転されるようになっている。また、第2農作業機20は、移動端末23を含む。移動端末23は、第2農作業機20の農作業に関する情報を入力可能となって
いる。移動端末23にて入力された情報は、第2農作業機20を介して、サーバ30に送信可能となっている。
【0024】
<第1農作業機>
第1農作業機10は、走行車両11、農作業装置12、及び、端末装置13を備えている。
図2に示すように、本実施形態では、第1農作業機10(及び、第2農作業機20)は、田植機であり、走行車両11は、トラクタであるとして説明する。
【0025】
走行車両11は、原動機11a、走行装置11b、及び、連結機11cを備えている。原動機11aは、バッテリ駆動の電動モータ、ディーゼルエンジン等である。走行装置11bは、図示しない変速装置、操舵装置、前後輪を含むタイヤ型であってもよいし、クローラ型であってもよい。原動機11aの動力が走行装置11bに伝達されて、走行車両11が走行可能となっている。原動機11aの回転数、負荷等、及び、走行装置11bにおける前後進、操舵、加減速等は、後述する制御装置11hにより制御される(
図3を参照)。即ち、走行車両11の車速、走行ルートも、制御装置11hにより制御される。
【0026】
また、原動機11aの動力は、図示しないPTO軸等を介して、農作業装置12にも伝達される。連結機構11cは、走行車両11の後部に設けられている。連結機11cは、3点リンク機構、PTO軸等を含み、その後端に農作業装置12が連結可能となっている。農作業装置12は、連結機11cに連結された場合に、原動機11aから動力伝達されるとともに、昇降作動も可能となる。農作業装置12における作動等、及び、連結機11cの昇降作動等は、後述する制御装置11hにより制御される(
図3を参照)。
【0027】
図2に示すように、農作業装置12は、本実施形態では、苗植付け装置であるとして説明する。農作業装置12は、苗載せ台12a、及び、植付け機構12bを備えている。苗載せ台12aは、2~8条分のマット状苗Sを載置する台座である。苗載せ台12aは、マット状苗Sの左右幅(車幅)に対応する一定ストロークで、左右方向に往復移動する。苗載せ台12aが左右のストローク端に達するごとに、縦送り機構により、各マット状苗Sが、苗載せ台12aの下端に向けて所定ピッチで縦送りされる。
【0028】
苗載せ台12aの下後端には、植付け機構12bが、植え付け条間に対応する一定間隔で車幅方向に配置されている。植付け機構12bは、ロータリ式であり、原動機11aからの動力により回転駆動する。回転駆動する植付け機構12bは、苗載せ台12aに載置された各マット状苗Sの下端から、一株分の苗(以下、「植付苗S1」又は単に「苗S1」と称呼する)を切り取って、圃場の地面(例えば、整地後の水田の泥土部)に植え付ける。これにより、農作業装置12の作動状態では、苗載せ台12aに載置されたマット状苗Sから、植付苗S1が取り出され、水田の泥土部に植付苗S1を植え付けることができる(
図6を参照)。
【0029】
図3は、第1農作業機10の機能ブロック図を示している。
図3(a)に示すように、各種装置は、走行車両11が備える車載ネットワークN1を介して、相互に接続される。走行車両11は、更に、測位装置11d、検出装置11e、操作具11f、通信装置11g、及び、制御装置11hを備えている。検出信号、操作信号は、車載ネットワークN1を介して制御装置11hに送出されて、制御装置11hにより演算処理等が実行されるようになっている。制御装置11hの制御(指示)信号は、車載ネットワークN1を介して作動対象に送出されて、作動対象の作動制御が実行されるようになっている。
【0030】
測位装置11dは、GNSS等の衛星測位システムにより、緯度、経度を含む測位情報を、検出可能となっている。測位装置11dは、測位衛星から送信された測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等を含む衛星信号を受信し、当該衛星信号に基づいて、走行車両1
1の緯度、経度を測位する。測位装置11dの受信アンテナは、走行車両11のキャビンルーフ等に設けられ、測位衛星から送信された衛星信号を受信する。測位装置11dの慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)は、走行車両11のキャビンの下方等に設けられ、慣性計測装置内の加速度センサ、ジャイロセンサ等により、走行車両11のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出する。
【0031】
検出装置11eは、例えば、温度センサ、湿度センサ、回転数センサ、ポジションセンサ等である。検出装置11eの温度センサ、湿度センサは、走行車両11のボデー外側に設けられ、第1農作業機10が第1圃場F1に位置する場合に、第1圃場F1における気温Tm1、湿度Hm1が検出される。検出装置11eにて検出される情報は、圃場が属する地域の状態として、圃場情報の一部を構成する。検出装置11eの回転数センサは、原動機11aの出力軸、植付け機構12bの出力軸の近傍にそれぞれ設けられ、第1農作業機10が駆動する場合に、原動機11a、及び、植付け機構12bの回転数がそれぞれ検出される。検出装置11eのポジションセンサは、連結機11cに設けられ、第1農作業機10が第1圃場F1に位置する場合に、圃場の地面から連結機11cの上下方向の高さが検出される。
【0032】
操作具11fは、例えば、操舵用のステアリング、変速装置のクラッチ、原動機11aのアクセル、連結機11cの昇降位置切替スイッチ、農作業装置12の駆動部を制御するための操作具(植付け機構12bの回転数切替スイッチなど)等である。操作具11fは、走行車両11の運転席のコンソール等に設けられ、運転者により操作可能となっている。
【0033】
通信装置11gは、サーバ30の通信装置31、及び、端末装置13の通信部13cと情報通信を行う通信モジュールである。通信装置11gは、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置11gは、第5世代通信システム、所定の携帯電話通信網又はデータ通信網などにより、無線通信を行うものであってもよい。
【0034】
制御装置11hは、CPU、電気回路等で構成されており、車載ネットワークN1を介して上記各装置に対して作動制御を行う。制御装置11hは、操作具11fの操作信号を受信し、原動機11a、走行装置11b、連結機11c、及び、農作業装置12の作動制御を行う。制御装置11hは、第1情報送信部11h1を有している。第1情報送信部11h1は、圃場において走行および農作業を実施した場合に、圃場情報、走行情報、作動情報、及び、農作業内容情報の送信指示を行う。当該送信指示は、通信装置11gからサーバ30に上記各種情報が送信されるよう、通信装置11gになされる。
【0035】
図3(b)に示すように、端末装置13は、表示部13a、入力部13b、及び、通信部13cを備えている。表示部13aは、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネル等で構成されていて、様々な情報を表示する。
【0036】
図4に示すように、第1農作業機10が第1圃場F1にて農作業を実施する場合、端末装置13にて、当該実施に対応する農作業内容情報が入力される。表示部13aは、端末装置13のアプリケーションプログラムが起動されると、パネルの画面上に入力部13bを表示するようになっている。入力部13bは、端末装置13の操作者により、所定の枠内に文字、数値等を入力可能となっていたり、プルダウンにて選択可能となっている。
【0037】
入力部13bは、本実施形態では、農作業内容情報が入力可能となっている。より具体
的には、例えば、入力部13bは、第1入力部13b1、第2入力部13b2、及び、第3入力部13b3のそれぞれの入力欄で構成されてもよい。第1入力部13b1では、農作業の種類として、「田植え」「稲刈り」「草刈り」「耕耘作業」「散布作業」等が、プルダウンにより選択可能となっている。第2入力部13b2は、上記第1入力部13b1にて選択される農作業の種類に対応して、農作業の対象となる植物種が選択可能となっている。例えば、第1入力部13b1にて「田植え」が操作者により選択される場合、第2入力部13b2では、苗の品種B1が、プルダウンにより選択可能となっている。第3入力部13b3は、上記第1入力部13b1にて選択される農作業の種類に対応して、数量を入力可能となっている。例えば、第1入力部13b1にて「田植え」が操作者により選択される場合、農作業の内容として苗の植付け数量A1が入力されるようになっている。当該数量A1は、農作業の実施に際し、植付け予定の数量(重量、本数、面積など)、実際に植え付け完了した際の数量(重量、本数、面積など)等である。
【0038】
図3(b)に示すように、通信部13cは、走行車両11の通信装置11gと情報通信を行う通信モジュールである。当該情報通信のための通信規格は、通信装置11gのものと同一である。第1農作業機10での農作業の実施前、実施中、又は、実施後に、農作業内容情報が入力部13bに入力されると、通信部13cは、入力された情報を通信装置11gに送信する。即ち、農作業内容情報は、端末装置13から走行車両11を介してサーバ30に送信されるようになっている。
【0039】
図5に示すように、第1農作業機10が第1圃場F1にて農作業を実施する場合、第1農作業機10は、圃場情報を取得する。本実施形態では、圃場情報として、第1圃場F1の輪郭、及び、第1圃場F1が属する地域の状態がそれぞれ取得される。ここにおいて、地域の状態としては、例えば、気温Tm1、湿度Hm1等があげられる。気温Tm1、湿度Hm1等は、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、走行車両11が備える検出装置11eにより検出される。
【0040】
第1圃場F1の輪郭は、例えば、以下のように取得されてもよい。第1農作業機10が第1圃場内F1に入り、第1農作業機10は、農作業の実施前に第1圃場F1の縁に沿って周回していく。この際、走行車両11の測位装置11dにより、車体位置が検出される。具体的には、第1農作業機10の第1圃場F1での走行軌跡Kにおいて、変曲点K1(緯度、経度等)が検出される。変曲点K1は、走行車両11の進行方向に変化が生じる点であり、例えば、第1圃場F1が略四角形である場合には、変曲点K1はその四隅に対応する位置となる。検出された変曲点K1をそれぞれ結んで得られる形状を、第1圃場F1の輪郭O1として決定する。
【0041】
上述のように決定された第1圃場F1の輪郭O1、及び、第1圃場F1の属する地域の状態(気温Tm1、湿度Hm1等)は、走行車両11の通信装置11g(第1情報送信部11h1)により、サーバ30に送信されるようになっている。
【0042】
図6に示すように、第1農作業機10が第1圃場F1にて農作業を実施する場合、第1農作業機10は、走行情報を取得する。本実施形態では、走行情報として、第1圃場F1での農作業に対応する走行態様が取得される。ここにおいて、走行態様としては、例えば、走行ルートL1、車速V1等があげられる。車速V1は、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、走行車両11が備える原動機11aの回転数センサに基づいて検出されてもよいし、走行車両11が備える測位装置11dにより検出されてもよい。
【0043】
第1圃場F1における走行ルートL1は、例えば、以下のように取得されてもよい。上述のように第1圃場F1の輪郭O1が決定された後、第1圃場F1にて、第1農作業機10は、変曲点K1に対応する位置(第1圃場F1の四隅)の1つから、走行及び農作業を
開始していく。第1農作業機10は、変曲点K1を始点として、第1圃場F1の稜線と略並行に直進していく。これにより、直進ルート長L1aが形成される。第1圃場F1において、第1農作業機10が突き当り付近の転回位置T1まで到達すると、第1農作業機10は180度転回し、L1aとは逆方向に直進していく。これにより、直進ルート長L1bが形成される。この走行態様が繰り返されて、走行ルートL1は、全体として蛇行状のルートとなる。この際、走行車両11の測位装置11dにより、複数の転回位置T1(緯度、経度等)が検出される。検出された転回位置T1をそれぞれ結んで得られる直線を、直進ルート長L1a,L1bとして決定し、直進ルート長L1a,L1bの間におけるルート幅W1を決定する。
【0044】
上述のように決定された第1圃場F1の走行ルートL1(転回位置T1、直進ルート長L1a,L1b、及び、ルート幅W1)、及び、第1農作業機10の車速V1は、走行車両11の通信装置11g(第1情報送信部11h1)により、サーバ30に送信されるようになっている。
【0045】
図7に示すように、第1農作業機10が第1圃場F1にて農作業を実施する場合、第1農作業機10は、作動情報を取得する。本実施形態では、作動情報として、第1圃場F1での農作業に対応する農作業装置12の作動態様が取得される。ここにおいて、作動態様としては、例えば、農作業装置12にて第1圃場F1の地面に苗S1を植え付ける間隔D1a、農作業装置12にて第1圃場F1の地面に向けて苗S1を植え付ける深さD1b等があげられる。間隔D1a及び深さD1bのうち、何れか一方又は両方が、取得されてもよい。
【0046】
間隔D1aは、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、走行車両11の車速と、植付け機構12bの回転数と、に基づいて決定されてもよい。より具体的には、走行車両11の車速をV1(m/s)、植付け機構12bの回転数をVr(1/s)とした場合、V1/Vr=D1a(m)としてもよい。ここにおいて、植付け機構12bの回転数は、操作具11f(植付け機構12bの回転数切替スイッチ)の操作信号に基づいて決定されてもよいし、植付け機構12bの回転数センサにて検出されてもよい。
【0047】
深さD1bは、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、連結機11cの上下方向における位置と、植付け機構12bの動径と、に基づいて決定されてもよい。より具体的には、連結機11cの地面からの高さをH1a(m)、連結機11c及び植付け機構12bの支軸の離間距離をH1b(m)、植付け機構12bの動径をH1c(m)とした場合、H1c-(H1a-H1b)=D1b(m)としてもよい。ここにおいて、連結機11cの地面からの高さ(上下方向の位置)は、操作具11f(連結機11cの昇降位置切替スイッチ)の操作信号に基づいて決定されてもよいし、連結機11cのポジションセンサにて検出されてもよい。
【0048】
上述のように決定された苗S1を植え付ける間隔D1a、及び、苗S1を植え付ける深さD1bは、走行車両11の通信装置11g(第1情報送信部11h1)により、サーバ30に送信されるようになっている。
【0049】
<サーバ>
図8に示すように、サーバ30は、通信装置31、記憶装置32、及び、演算装置33を備えている。通信装置31、記憶装置32、及び、演算装置33は、バス、インターフェイス等を介して、それぞれ電気的に接続されている。通信装置31は、第1農作業機10の通信装置11g、及び、第2農作業機20の通信装置21gと、それぞれ情報通信を行う通信モジュールである。当該情報通信のための通信規格は、通信装置11g,21gのものと同一である。記憶装置32は、ストレージであり、例えば、SSD等のフラッシ
ュメモリ、HDD等の磁気ディスクなどである。記憶装置32は、通信装置31を介して受信した第1農作業機10からの各種情報を、記憶し格納可能となっている。
【0050】
演算装置33は、CPU、電気回路等で構成されており、バス、インターフェイス等を介して、通信装置31での情報の送受信、記憶装置32への記憶、及び、各種演算を行う。演算装置33は、情報記憶部33a、第1相関生成部33b、第2相関生成部33c、走行態様決定部33d、作業態様決定部33e、及び、自動運転指示部33fを備えている。
【0051】
情報記憶部33aは、第1農作業機10の第1情報送信部11h1から送信され、通信装置31で受信された圃場情報、走行情報、作動情報、及び、農作業内容情報を、第1情報送信部11h1から送信される度に、記憶装置32へ逐次それぞれ記憶していく。
【0052】
図9に示すように、圃場情報、走行情報、作動情報、及び、農作業内容情報を、記憶装置32に記憶し格納する場合、各種情報毎にデータベースDBa,DBb,DBc,DBdが以下のように構築されてもよい。例えば、第1農作業機10が第1圃場F1にて農作業を実施する毎に、異なるナンバー(No.)が1つずつアサインされていく。異なるNo.1,2,・・・に対応する各農作業は、異なる第1農作業機10が、異なる第1圃場F1にてそれぞれ実施されたものでもよいし、同一の第1農作業機10が、同一の第1圃場F1にて、異なる時期にて実施されたものでもよい。圃場情報データベースDBaにおいては、第1圃場F1の輪郭O1(又は変曲点K1)、気温Tm1、湿度Hm1に、農作業の実施毎に対応するようナンバーが紐付けられる。走行情報データベースDBbにおいては、走行ルートL1を構成する転回位置T1、直進ルート長L1a,L1b、ルート幅W1、車速V1に、農作業の実施毎に対応するようナンバーが紐付けられる。作動情報データベースDBcにおいては、苗S1を植え付ける間隔D1a、苗S1を植え付ける深さD1bに、農作業の実施毎に対応するようナンバーが紐付けられる。農作業内容情報データベースDBdにおいては、苗の植付け数量A1、苗の品種B1に、農作業の実施毎に対応するようナンバーが紐付けられる。このように、記憶装置32には、膨大な量のデータが整理されて蓄積されていく。
【0053】
図8に示すように、第1相関生成部33bは、情報記憶部33aにて記憶されている複数の圃場情報と、複数の走行情報と、複数の農作業内容情報と、に基づいて、圃場情報、走行情報、及び、農作業内容情報の相関を生成する。当該相関は、例えば、機械学習して得られる第1学習モデルとして生成されてもよいし、機械学習されずに生成されてもよい。機械学習としては、種々の手法を用いてもよい。
【0054】
図10に示すように、本実施形態では、第1相関生成部33bにて、データセットを用いた機械学習により、第1学習モデルが得られる。より具体的には、記憶装置32の各種データベースDBa,DBb,DBc,DBdから情報を読み出し、第1相関生成部33bにてデータセットを生成して、当該データセットを教師データとする機械学習が実行されてもよい。この場合、例えば、データセットとしては、ナンバー毎に、走行情報データベースDBbにおける転回位置T1、直進ルート長L1a,L1b、ルート幅W1、及び、車速V1が、圃場情報データベースDBaの各種データ(O1,Tm1,Hm1)及び農作業内容情報データベースDBdの各種データ(A1,B1)にそれぞれ対応づけられる。即ち、T1と(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa1、L1aと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa2、L1bと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa3、W1と(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa4、V1と(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa5が、それぞれ生成さ
れる。これらのデータセットDSa1,DSa2,DSa3,DSa4,DSa5が用いられ、学習が繰り返されていくことで、上記データセット毎の相関を示す第1学習モデルが得られる。当該第1学習モデルは、未知のパラメータとして、圃場の輪郭、気温、湿度、苗の数量、苗の品種が入力された場合に、農作業機における最適な転回位置、直進ルート長、ルート幅、及び、車速を、それぞれ出力可能なものとなる。
【0055】
図8に示すように、第2相関生成部33cは、情報記憶部33aにて記憶されている複数の圃場情報と、複数の作動情報と、複数の農作業内容情報と、に基づいて、圃場情報、作動情報、及び、農作業内容情報の相関を生成する。当該相関は、例えば、機械学習して得られる第2学習モデルとして生成されてもよいし、機械学習されずに生成されてもよい。機械学習としては、種々の手法を用いてもよい。
【0056】
図11に示すように、本実施形態では、第2相関生成部33cにて、データセットを用いた機械学習により、第2学習モデルが得られる。より具体的には、記憶装置32の各種データベースDBa,DBb,DBc,DBdから情報を読み出し、第2相関生成部33cにてデータセットを生成して、当該データセットを教師データとする機械学習が実行されてもよい。この場合、例えば、データセットとしては、ナンバー毎に、作動情報データベースDBcにおける苗S1を植え付ける間隔D1a、苗S1を植え付ける深さD1bが、圃場情報データベースDBaの各種データ(O1,Tm1,Hm1)及び農作業内容情報データベースDBdの各種データ(A1,B1)にそれぞれ対応づけられる。即ち、D1aと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSb1、D1bと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSb2が、それぞれ生成される。これらのデータセットDSb1,DSb2が教師データとして用いられ、学習が繰り返されていくことで、上記データセット毎の相関を示す第2学習モデルが得られる。当該第2学習モデルは、未知のパラメータとして、圃場の輪郭、気温、湿度、苗の数量、苗の品種が入力された場合に、農作業機における最適な苗S1を植え付ける間隔、苗S1を植え付ける深さを、それぞれ出力可能なものとなる。
【0057】
第1農作業機10からサーバ30に送信されてくる各種情報は、農作業(本実施形態では、田植え)ごとに、様々な走行態様および作動態様を経た結果、生成・取得されるものである。当該走行態様および作動態様の殆どが、ノウハウや、経験則等に基づいて、最適化されている態様となっている。ここにおいて、「最適化されている態様」とは、例えば、植付け後の収穫において、収穫物の品質が所定の品質をクリアでき、且つ、収穫物の収量品質等に対して、農作業時の消費コスト、作業時間等が最小化できる態様を、意味している。サーバ30では、「最適化されている態様」の情報が大量に用いられて、学習されることで、走行用の第1学習モデル、及び、田植え作動用の第2学習モデルが、それぞれ得られることになる。このため、当該第1学習モデル、及び、第2学習モデルにて、上述のように最適な値が出力可能となる。
【0058】
図8に示すように、走行態様決定部33dは、第2農作業機20の第2情報送信部21h1から圃場情報、及び、農作業内容情報が送信された場合に、第2情報送信部21h1から送信された圃場情報および農作業内容情報と、第1相関生成部33bにて生成された相関と、に基づいて、第2農作業機20の走行態様を決定する。具体的には、走行態様決定部33dは、例えば、第2情報送信部21h1から送信された圃場情報、及び、農作業内容情報を用いて、上記第1学習モデルに従って、第2農作業機20の最適な走行態様を推定する。
【0059】
本実施形態では、後述するように、第2農作業機20から圃場情報、及び、農作業内容情報が、サーバ30の通信装置31に送信される。当該圃場情報は、第2圃場F2の輪郭
O2(又は変曲点K2)、気温Tm2、及び、湿度Hm2である。当該農作業内容情報は、第2圃場F2での苗の植付け数量A2、及び、苗の品種B2である。走行態様決定部33dでは、上記第1学習モデルに、通信装置31にて受信したO2,Tm2,Hm2,A2,B2が入力される。これにより、最適な走行態様として、転回位置T2、直進ルート長L2a,L2b、ルート幅W2、及び、車速V2が推定され、出力されるようになっている。
【0060】
作動態様決定部33eは、第2農作業機20の第2情報送信部21h1から圃場情報、及び、農作業内容情報が送信された場合に、第2情報送信部21h1から送信された圃場情報および農作業内容情報と、第2相関生成部33cにて生成された相関と、に基づいて、第2農作業機20の作動態様を決定する。具体的には、作動態様決定部33eは、例えば、第2情報送信部21h1から送信された圃場情報、及び、農作業内容情報を用いて、上記第2学習モデルに従って、第2農作業機20の最適な作動態様を推定する。
【0061】
作動態様決定部33eでは、上記第2学習モデルに、通信装置31にて受信したO2,Tm2,Hm2,A2,B2が入力される。これにより、最適な作動態様として、苗S2を植え付ける間隔D2a、及び、苗S2を植え付ける深さD2bが推定され、出力されるようになっている。
【0062】
自動運転指示部33fは、走行態様決定部33dにて決定された走行態様、及び、作動態様決定部33eにて決定された作業態様で自動運転するよう、情報通信ネットワークを介して、第2農作業機20に指示する。具体的には、走行態様決定部33dの第1学習モデルにて、最適な走行態様として推定された転回位置T2、直進ルート長L2a,L2b、ルート幅W2、及び、車速V2にて、走行車両21が走行するよう、第2農作業機20に指示される。また、作動態様決定部33eの第2学習モデルにて、最適な作動態様として推定された間隔D2a、及び、深さD2bにて、農作業装置22が作動するよう、第2農作業機20に指示される。これらの指示は、通信装置31から第2農作業機20へ送信されるようになっている。
【0063】
<第2農作業機>
図1及び
図2に示すように、第2農作業機20は、走行車両21、農作業装置22、及び、端末装置23を備えている。走行車両21、農作業装置22、及び、端末装置23は、第1農作業機10の走行車両11、農作業装置12、及び、端末装置13に、それぞれ対応している。第2農作業機20は、第2圃場F2にて農作業を実施するものであり、単数でも複数でもよい。第2圃場F2は、第1圃場F1と地理的に異なる圃場であってもよいし、第1圃場F1と地理的に同一であって、農作業の時期が異なる圃場であってもよい。第2農作業機20は、サーバ30に所定の情報を送信し、サーバ30からの指示に基づく自動運転する点で、上述した第1農作業機10と異なる。この相違点以外、第2農作業機20の走行車両21、農作業装置22、及び、端末装置23は、第1農作業機10の走行車両11、農作業装置12、及び、端末装置13と同一である。以下、主に相違点を詳述する。
【0064】
図12は、第2農作業機20の機能ブロック図を示している。
図12(a)に示すように、各種装置は、走行車両21が備える車載ネットワークN2を介して、相互に接続される。走行車両21は、原動機21a、走行装置21b、連結機21c、測位装置21d、検出装置21e、通信装置21g、及び、制御装置21hを備えている。検出信号、操作信号は、車載ネットワークN2を介して制御装置21hに送出されて、制御装置21hにより演算処理等が実行されるようになっている。制御装置21hの制御(指示)信号は、車載ネットワークN2を介して作動対象に送出されて、作動対象の作動制御が実行されるようになっている。
【0065】
原動機21a、走行装置21b、連結機21c、測位装置21d、及び、検出装置21eは、第1農作業機10の原動機11a、走行装置11b、連結機11c、測位装置11d、及び、検出装置11eと、それぞれ同一である。測位装置21dは、走行車両21の緯度、経度を測位する。検出装置21eは、圃場が属する地域の情報として、第2圃場F2の気温Tm2,湿度Hm2等を検出したり、原動機21aの回転数、連結機21cの高さ、植付け機構22bの回転数を検出する。通信装置21gは、サーバ30の通信装置31、及び、端末装置23の通信部23cと、それぞれ情報通信を行う通信モジュールである。当該情報通信のための通信規格は、通信装置31のものと同一である。
【0066】
制御装置21hは、CPU、電気回路等で構成されており、車載ネットワークN2を介して上記各装置に対して作動制御を行う。制御装置21hは、サーバ30からの自動運転の指示を受信し、原動機21a、走行装置21b、連結機21c、及び、農作業装置22の作動制御を行う。制御装置21hは、第2情報送信部21h1、及び、自動運転制御部21h2を有している。第2情報送信部21h1は、圃場において走行および農作業を実施する場合に、圃場情報、及び、農作業内容情報の送信指示を行う。当該送信指示は、通信装置21gからサーバ30に上記各種情報が送信されるよう、通信装置21gになされる。
【0067】
図5に示すように、第2農作業機20が第2圃場F2にて農作業を実施する場合、第1農作業機10と同様に、第2農作業機20は、圃場情報として第2圃場F2の輪郭O2(又は変曲点K2)、気温Tm2、湿度Hm2を、農作業の実施前に取得する。取得した輪郭O2(又は変曲点K2)、及び、第2圃場F2の属する地域の状態(気温Tm2、湿度Hm2等)は、走行車両21の通信装置21g(第2情報送信部21h1)により、サーバ30に送信されるようになっている。
【0068】
第2農作業機20が第2圃場F2にて農作業を実施する場合、第1農作業機10と同様に、第2農作業機20は、農作業内容情報として第2圃場F2での苗の植付け数量A2、及び、苗の品種B2を、農作業の実施前に端末装置23から受信する。受信した苗の植付け数量A2、及び、苗の品種B2は、走行車両21の通信装置21g(第2情報送信部21h1)により、サーバ30に送信されるようになっている。
【0069】
自動運転制御部21h2は、通信装置21gにて受信したサーバ30(自動運転指示部33f)の指示に基づいて、走行車両21の自動運転、及び、農作業装置22の自動運転を実行する。走行車両21の自動運転としては、第2圃場F2での走行ルートL2における転回位置、直進ルート長、ルート幅、及び、車速が、最適な走行態様として推定されたT2、L2a・L2b、W2、及び、V2となるように、走行車両21の走行態様が制御される。より具体的には、自動運転制御部21h2は、転回位置T2、直進ルート長L2a,L2b、ルート幅W2、及び、車速V2を制御目標として、測位装置21dにて測位される走行車両21の位置、回転数センサにて検出される原動機21aの回転数等に基づいて、原動機21a及び走行装置21bを制御する(
図6を参照)。
【0070】
農作業装置22の自動運転としては、第2圃場F2での苗S2を植え付ける間隔、及び、苗S2を植え付ける深さが、最適な作動態様として推定されたD2a、及び、D2bとなるように、農作業装置22の作動態様が制御される。より具体的には、自動運転制御部21h2は、間隔D2a、及び、深さD2bを制御目標として、ポジションセンサにて検出される連結機21cの高さ、回転数センサにて検出される植付け機構22bの回転数等に基づいて、連結機21c及び植付け機構22bを制御する(
図7を参照)。
【0071】
図12(b)に示すように、端末装置23は、表示部23a、入力部23b、及び、通
信部23cを備えている。表示部23a、入力部23b、及び、通信部23cは、第1農作業機10の表示部13a、入力部13b、及び、通信部13cと、それぞれ同一である。通信部23cは、走行車両21の通信装置21gと情報通信を行う通信モジュールである。当該情報通信のための通信規格は、通信装置21gのものと同一である。
【0072】
図4に示すように、第2農作業機20が第2圃場F2にて農作業を実施する場合、端末装置23にて、当該実施に対応する農作業内容情報が入力される。端末装置23のアプリケーションプログラムが起動されると、表示部23aに、第1入力部23b1、第2入力部23b2、及び、第3入力部23b3が表示される。第1入力部23b1、第2入力部23b2、及び、第3入力部23b3は、第1農作業機10の第1入力部13b1、第2入力部13b2、及び、第3入力部13b3と同一である。第2入力部23b2は、上記第1入力部23b1にて選択される農作業の種類に対応して、農作業の対象となる植物種が選択可能となっている。例えば、第1入力部23b1にて「田植え」が操作者により選択される場合、第2入力部23b2では、苗の品種B2が、プルダウンにより選択可能となっている。第3入力部23b3は、上記第1入力部23b1にて選択される農作業の種類に対応して、数量を入力可能となっている。例えば、第1入力部23b1にて「田植え」が操作者により選択される場合、農作業の内容として苗の植付け数量A2が入力されるようになっている。当該数量A2は、農作業の実施に際し、植付け予定の数量(重量、本数、面積など)等である。
【0073】
第2農作業機20での農作業の実施前に、農作業内容情報が入力部23bに入力されると、通信部23cは、入力された情報を通信装置21gに送信する。即ち、農作業内容情報は、端末装置23から走行車両21を介してサーバ30に送信されるようになっている。
【0074】
<実際の作動>
図13は、農作業支援システム100における各種情報のフローを示した、一連の作動を説明するための図である。先ず、ステップST1にて、第1農作業機10が第1圃場F1にて農作業を実施するのに応じて、第1圃場F1の輪郭O1(又は変曲点K1)、気温Tm1、湿度Hm1、転回位置T1、直進ルート長L1a,L1b、ルート幅W1、車速V1、苗S1を植え付ける間隔D1a、苗S1を植え付ける深さD1b、苗の植付け数量A1、及び、苗の品種B1が、第1農作業機10からサーバ30にそれぞれ送信される。この情報送信は、第1農作業機10の第1情報送信部11h1により実行される。ここにおいて、第1圃場F1の輪郭O1(又は変曲点K1)、気温Tm1、湿度Hm1は、圃場情報に相当する。転回位置T1、直進ルート長L1a,L1b、ルート幅W1、車速V1は、走行情報に相当する。苗S1を植え付ける間隔D1a、苗S1を植え付ける深さD1bは、作動情報に相当する。苗の植付け数量A1、苗の品種B1は、農作業内容情報に相当する。
【0075】
次に、ステップST2にて、サーバ30では、上記送信された各種情報が逐次記憶されていき、各種情報毎にデータベースDBa,DBb,DBc,DBdが構築される。この情報記憶、データベース構築は、サーバ30の情報記憶部33aにて実行される。
【0076】
次に、ステップST3にて、サーバ30では、上記構築されたデータベースDBa,DBb,DBc,DBdから、データセットが生成される。生成されるデータセットは、下記7種である。データセットDSa1,DSa2,DSa3,DSa4,DSa5の生成は、サーバ30の第1相関生成部33bにて実行され、データセットDSb1,DSb2の生成は、サーバ30の第2相関生成部33cにて実行される。
【0077】
・T1と(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセ
ットDSa1
・L1aと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa2
・L1bと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa3
・W1と(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa4
・V1と(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSa5
・D1aと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSb1
・D1bと(O1,Tm1,Hm1,A1,B1)とがそれぞれ対応づけられたデータセットDSb2
【0078】
次に、ステップST4にて、サーバ30では、上記生成された7種のデータセットDSa1,DSa2,DSa3,DSa4,DSa5,DSb1,DSb2を用い機械学習することで、第1学習モデル、及び、第2学習モデルが得られる。第1学習モデルには、データセットDSa1,DSa2,DSa3,DSa4,DSa5が用いられ、第1学習モデルの取得は、サーバ30の第1相関生成部33bにて実行される。第2学習モデルには、データセットDSb1,DSb2が用いられ、第2学習モデルの取得は、サーバ30の第2相関生成部33cにて実行される。
【0079】
次に、ステップST5にて、第2農作業機20が第2圃場F2にて農作業を実施するのに応じて、第2圃場F2の輪郭O2(又は変曲点K2)、気温Tm2、湿度Hm2、苗の植付け数量A2、及び、苗の品種B2が、第2農作業機20からサーバ30にそれぞれ送信される。この情報送信は、第2農作業機20の第2情報送信部21h1にて実行される。ここにおいて、第2圃場F2の輪郭O2(又は変曲点K2)、気温Tm2、湿度Hm2は、圃場情報に相当する。苗の植付け数量A2、苗の品種B2は、農作業内容情報に相当する。
【0080】
次に、ステップST6にて、サーバ30では、上記送信された第2圃場F2の輪郭O2(又は変曲点K2)、気温Tm2、湿度Hm2、苗の植付け数量A2、及び、苗の品種B2が、上記第1学習モデル及び上記第2学習モデルに、それぞれ入力される。第1学習モデルからは、最適な走行態様として推定された、転回位置T2、直進ルート長L2a,L2b、ルート幅W2、及び、車速V2が、それぞれ出力され、第2農作業機20の走行態様が決定される。この走行態様の決定は、サーバ30の走行態様決定部33dにて実行される。第2学習モデルからは、最適な作動態様として推定された、苗S2を植え付ける間隔D2a、及び、苗S2を植え付ける深さD2bが、それぞれ出力され、第2農作業機20の作動態様が決定される。この作動態様の決定は、サーバ30の作動態様決定部33eにて実行される。
【0081】
次に、ステップST7にて、サーバ30では、上記決定された走行態様、及び、上記決定された作業態様で自動運転するよう、転回位置T2、直進ルート長L2a,L2b、ルート幅W2、車速V2、間隔D2a、及び、深さD2bが、第2農作業機20に送信される。この情報送信は、サーバ30の自動運転指示部33fにより実行される。
【0082】
そして、第2農作業機20がサーバ30から上記情報を受信すると、第2圃場F2において、転回位置T2、直進ルート長L2a,L2b、ルート幅W2を有する走行ルートL2、及び、車速V2にて走行車両21が走行し、間隔D2a、及び、深さD2bにて農作業装置22が苗S2の植え付けを実施する。走行車両21の走行、及び、農作業装置22
の作動は、それぞれ自動運転で実行される(
図6、
図7を参照)。
【0083】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る農作業支援システム100によれば、第1農作業機10が第1圃場F1において走行および農作業を実施した場合に、圃場情報、走行情報、作動情報、及び、農作業内容情報が、サーバ30に送信されて、サーバ30にて相関が生成される。このため、多数の情報が効率的に取得でき、容易に相関を生成できる。また、第1農作業機10からサーバ30に送信されてくる各種情報は、農作業(本実施形態では、田植え)ごとに、様々な走行態様および作動態様を経た結果、生成・取得されるものである。当該走行態様および作動態様の殆どが、ノウハウや、経験則等に基づいて、最適化されている態様となっている。サーバ30では、「最適化されている態様」の情報が大量に用いられて、相関を生成できる。この相関と、第2農作業機20から送信される情報とに基づいて、最適な走行態様、及び、最適な作動態様を決定でき、第2農作業機20では第2圃場F2にて、当該走行態様および作動態様での自動運転を達成できる。このように、第2農作業機20にて農作業を実施する場合、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、農作業支援システム100により、最適な支援を受けることができる。
【0084】
また、上記第1実施形態では特に、サーバ30では、第1農作業機10からサーバ30に送信されてくる各種情報が機械学習され、相関として第1学習モデルおよび第2学習モデルが生成される。このため、第1農作業機10の走行態様、及び、作動態様を、適切に第1学習モデル、及び、第2学習モデルにそれぞれ反映できる。従って、第2農作業機20の第2圃場F2での農作業のために、最適な走行態様、及び、最適な作動態様を、より精度よく決定できる。
【0085】
また、上記第1実施形態では特に、第1農作業機10および第2農作業機20が田植機であり、作動情報は、苗を植え付ける間隔、及び、苗を植え付ける深さを含み、農作業内容情報は、苗の品種および数量を含む。従来では、田植えを実施する場合、苗を植え付ける間隔、苗を植え付ける深さ等が、ノウハウや、経験則等によって決められることが多い。これに対して、上記第1実施形態の構成によれば、第2農作業機20から、圃場情報と、農作業内容情報として苗の品種および数量と、をサーバ30に送信することで、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、第2農作業機20の適切な田植え作業を自動運転にて実現できる。
【0086】
また、上記第1実施形態では特に、走行車両11がトラクタであり、走行情報は、走行ルート、及び、車速を含む。従来では、トラクタにて走行する農作業を実施する場合、転回位置、直進ルート長、ルート幅、車速等が、ノウハウや、経験則等によって決められることが多い。これに対して、上記第1実施形態の構成によれば、第2農作業機20から、圃場情報と、農作業内容情報と、をサーバ30に送信することで、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、第2農作業機20の適切な走行を自動運転にて実現できる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10、及び、第2農作業機20が、収穫機である。農作業支援システム100における作動情報は、作物を収穫する際の収穫位置を含み、農作業内容情報は、収穫する作物の品種および数量を含む。これらの点で、第2実施形態は、上記第1実施形態と異なり、それ以外の点は、上記第1実施形態と同一である。以下、第2実施形態の第1実施形態とは異なる点について、説明する。
【0088】
図14、及び、
図15に示すように、第2実施形態の第1農作業機10(及び、第2農
作業機20)は、収穫機であり、例えば、稲を刈取り脱穀した後に、当該稲を収容するコンバイン等である。なお、収穫機にて収穫する作物は、稲に限られず他の穀物であってもよい。第1農作業機10の走行車両11の走行装置11bには、車輪が用いられてもよいし、クローラが用いられてもよい。第1農作業機10の走行車両11の前方には、連結機構11cが設けられている。連結機11cは、3点リンク機構、PTO軸等を含み、その前端に農作業装置12が連結可能となっている。農作業装置12は、連結機11cに連結された場合に、原動機11aから動力伝達されるとともに、昇降作動も可能となる。
【0089】
農作業装置12は、本実施形態では、稲刈取り装置であるとして説明する。農作業装置12は、脱穀機構12a、及び、刈取り機構12bを備えている。脱穀機構12aは、刈取り機構12bにて刈取られた刈取り稲Sを脱穀しつつ、走行車両11の後方向へ所定ピッチで搬送する。刈取り稲Sを脱穀した後の穀物は、走行車両11の後方に設けられたグレンタンク12cに貯留される。グレンタンク12c内の穀物は、筒状のオーガ12dを介して、外部へ排出可能となっている。
【0090】
脱穀機構12aの下前端には、刈取り機構12bが配置されている。刈取り機構12bは、車幅方向に伸長しており、最前端に位置する複数のブレードが、原動機11aからの動力により車幅方向に往復駆動するようになっている。刈取り機構12bの先端に、第1圃場F1の地面から直立する稲S1が当接する毎に、当該稲S1が刈取られていく。稲S1を収穫する際の収穫位置D1cは、例えば、第1圃場F1の地面から、稲S1における刈取り機構12bの先端との当接点までの距離である。
【0091】
収穫位置D1cは、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、連結機11cの上下方向における位置に基づいて決定されてもよい。より具体的には、連結機11cの地面からの高さをH1a(m)、連結機11c及び刈取り機構12bの先端の離間距離をH1b(m)とした場合、H1a-H1b=D1c(m)としてもよい。ここにおいて、連結機11cの地面からの高さ(上下方向の位置)は、操作具11f(連結機11cの昇降位置切替スイッチ)の操作信号に基づいて決定されてもよいし、連結機11cのポジションセンサにて検出されてもよい。
【0092】
第2実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される作動情報は、上記第1実施形態のD1a,D1bに代えて、稲S1を収穫する際の収穫位置D1cを含む。サーバ30の第2相関生成部33cにおける第2学習モデルからは、最適な作動態様として推定された、稲S2を収穫する際の収穫位置D2cが出力され、第2農作業機20の作動態様が決定される。サーバ30は、第2農作業機20が収穫位置D2cにて稲刈りするよう、第2農作業機20に自動運転の指示を実行する。
【0093】
図4に示すように、第1農作業機10の端末装置13における第1入力部13b1にて、「稲刈り」が操作者により選択される場合、第2入力部13b2では、稲の品種B1が、プルダウンにより選択可能となっている。第3入力部13b3は、上記第1入力部13b1にて選択される農作業の種類に対応して、数量を入力可能となっている。例えば、第1入力部13b1にて「稲刈り」が操作者により選択される場合、農作業の内容として稲の刈取り数量A1が入力されるようになっている。当該数量A1は、農作業の実施に際し、刈取り予定の数量(重量、本数、面積など)、実際に刈取り完了した際の数量(重量、本数、面積など)等である。第2農作業機20の端末装置23には、農作業の実施に際し、稲の品種B2、及び、稲の刈取り数量A2(刈取り予定の数量(重量、本数、面積など))が、入力されるようになっている。
【0094】
第2実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサー
バ30に送信される農作業内容情報は、稲の刈取り数量A1、及び、稲の品種B1を含む。第2農作業機20からサーバ30に送信される農作業内容情報は、稲の刈取り数量A2、及び、稲の品種B2を含む。
【0095】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る農作業支援システム100によれば、第1農作業機10および第2農作業機20が収穫機であり、作動情報は、作物を収穫する際の収穫位置を含み、農作業内容情報は、作物の品種および数量を含む。従来では、稲などの作物の収穫を実施する場合、稲を収穫する際の収穫位置等が、ノウハウや、経験則等によって決められることが多い。これに対して、上記第2実施形態の構成によれば、第2農作業機20から、圃場情報と、農作業内容情報として作物の品種および数量と、をサーバ30に送信することで、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、第2農作業機20の適切な収穫作業を自動運転にて実現できる。
【0096】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10、及び、第2農作業機20が、草刈機である。農作業支援システム100における作動情報は、草を刈取る際の刈取位置を含み、農作業内容情報は、草を刈取った後に植え付ける作物の品種および数量を含む。これらの点で、第3実施形態は、上記第1、第2実施形態と異なり、それ以外の点は、上記第1、第2実施形態と同一である。以下、第3実施形態の第1、第2実施形態とは異なる点について、説明する。
【0097】
図16に示すように、第3実施形態の第1農作業機10(及び、第2農作業機20)は、草刈機であり、例えば、作物を植え付ける前に、圃場の雑草を除草するための草刈機等である。第1農作業機10の走行車両11の走行装置11bには、車輪が用いられてもよいし、クローラが用いられてもよい。第1農作業機10の走行車両11の前方には、連結機構11cが設けられている。連結機11cは、3点リンク機構、PTO軸等を含み、その前端に農作業装置12が連結可能となっている。農作業装置12は、連結機11cに連結された場合に、原動機11aから動力伝達されるとともに、昇降作動も可能となる。
【0098】
農作業装置12は、本実施形態では、草刈取り装置であるとして説明する。農作業装置12は、搬送機構12a、及び、刈取り機構12bを備えている。搬送機構12aは、刈取り機構12bにて刈取られた刈取り草Sを、農作業装置12の外部へ放出するよう搬送する。搬送機構12aの下前端には、第2実施形態と同様の刈取り機構12bが配置されている。刈取り機構12bの先端に、第1圃場F1の地面から直立する草S1が当接する毎に、当該草S1が刈取られていく。草S1を刈取る際の刈取位置D1cは、例えば、第1圃場F1の地面から、草S1における刈取り機構12bの先端との当接点までの距離である。刈取位置D1cは、第2実施形態の収穫位置D1cと同様に、決定されてもよい(
図15を参照)。
【0099】
第3実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される作動情報は、上記第1実施形態のD1a,D1bに代えて、草S1を刈取る際の刈取位置D1cを含む。サーバ30の第2相関生成部33cにおける第2学習モデルからは、最適な作動態様として推定された、草S2を刈取る際の刈取位置D2cが出力され、第2農作業機20の作動態様が決定される。サーバ30は、第2農作業機20が刈取位置D2cにて草刈りするよう、第2農作業機20に自動運転の指示を実行する。
【0100】
図4に示すように、第1農作業機10の端末装置13における第1入力部13b1にて、「草刈り」が操作者により選択される場合、第2入力部13b2では、草S1を刈取った後に植え付ける作物の品種B1が、プルダウンにより選択可能となっている。第3入力
部13b3は、上記第1入力部13b1にて選択される農作業の種類に対応して、数量を入力可能となっている。例えば、第1入力部13b1にて「草刈り」が操作者により選択される場合、農作業の内容として、草S1を刈取った後に植え付ける作物の数量A1が入力されるようになっている。当該数量A1は、農作業の実施に際し、作物の植付け予定の数量(重量、本数、面積など)、実際に作物を植付け完了した際の数量(重量、本数、面積など)等である。第2農作業機20の端末装置23には、農作業の実施に際し、作物の品種B2、及び、作物の植付け数量A2(植付け予定の数量(重量、本数、面積など))が、入力されるようになっている。
【0101】
第3実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される農作業内容情報は、作物の植付け数量A1、及び、作物の品種B1を含む。第2農作業機20からサーバ30に送信される農作業内容情報は、作物の植付け数量A2、及び、作物の品種B2を含む。
【0102】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る農作業支援システム100によれば、第1農作業機10および第2農作業機20が草刈機であり、作動情報は、草を刈取る際の刈取位置を含み、農作業内容情報は、草を刈取った後に植え付ける作物の品種および数量を含む。従来では、圃場への作物植付け前に草刈りを実施する場合、草を刈る際の刈取位置等が、ノウハウや、経験則等によって決められることが多い。これに対して、上記第3実施形態の構成によれば、第2農作業機20から、圃場情報と、農作業内容情報として草を刈取った後に植え付ける作物の品種および数量と、をサーバ30に送信することで、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、第2農作業機20の適切な草刈作業を自動運転にて実現できる。
【0103】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10、及び、第2農作業機20が、耕耘機である。農作業支援システム100における作動情報は、耕耘機にて地面に向けて耕耘する深さを含み、農作業内容情報は、耕耘後に植え付ける作物の品種および数量を含む。これらの点で、第4実施形態は、上記第1、第2、第3実施形態と異なり、それ以外の点は、上記第1、第2、第3実施形態と同一である。以下、第4実施形態の第1、第2、第3実施形態とは異なる点について、説明する。
【0104】
図17、及び、
図18に示すように、第4実施形態の第1農作業機10(及び、第2農作業機20)は、耕耘機であり、例えば、作物を植え付ける前に、圃場の地面に対し耕耘作業するための耕耘機等である。第1農作業機10の走行車両11の走行装置11bには、車輪が用いられてもよいし、クローラが用いられてもよい。第1農作業機10の走行車両11の後方には、連結機構11cが設けられている。連結機11cは、3点リンク機構、PTO軸等を含み、その前端に農作業装置12が連結可能となっている。農作業装置12は、連結機11cに連結された場合に、原動機11aから動力伝達されるとともに、昇降作動も可能となる。
【0105】
農作業装置12は、本実施形態では、耕耘装置であるとして説明する。農作業装置12は、耕耘機構12bを備えている。ロータリ式の耕耘機構12bは、農作業装置における下部に位置しており、原動機11aからの動力により回転駆動する。これにより、農作業装置12の作動状態では、耕耘機構12bの先端部にて地面がかき込まれ、圃場を耕耘することができる。
【0106】
地面に向けて耕耘する深さD1bは、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、連結機11cの上下方向における位置と、耕耘機構12bの動径と、に基づいて決定さ
れてもよい。より具体的には、連結機11cの地面からの高さをH1a(m)、連結機11c及び耕耘機構12bの支軸の離間距離をH1b(m)、耕耘機構12bの動径をH1c(m)とした場合、H1c-(H1a-H1b)=D1b(m)としてもよい。ここにおいて、連結機11cの地面からの高さ(上下方向の位置)は、操作具11f(連結機11cの昇降位置切替スイッチ)の操作信号に基づいて決定されてもよいし、連結機11cのポジションセンサにて検出されてもよい。
【0107】
第4実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される作動情報は、上記第1実施形態のD1a,D1bに代えて、耕耘する深さD1bを含む。サーバ30の第2相関生成部33cにおける第2学習モデルからは、最適な作動態様として推定された深さD1bが出力され、第2農作業機20の作動態様が決定される。サーバ30は、第2農作業機20が深さD2bにて耕耘するよう、第2農作業機20に自動運転の指示を実行する。
【0108】
図4に示すように、第1農作業機10の端末装置13における第1入力部13b1にて、「耕耘作業」が操作者により選択される場合、第2入力部13b2では、耕耘後に植え付ける作物の品種B1が、プルダウンにより選択可能となっている。第3入力部13b3は、上記第1入力部13b1にて選択される農作業の種類に対応して、数量を入力可能となっている。例えば、第1入力部13b1にて「耕耘作業」が操作者により選択される場合、農作業の内容として、耕耘後に植え付ける作物の数量A1が入力されるようになっている。当該数量A1は、農作業の実施に際し、植付け予定の数量(重量、本数、面積など)、実際に植付け完了した際の数量(重量、本数、面積など)等である。第2農作業機20の端末装置23には、農作業の実施に際し、作物の品種B2、及び、作物の植付け数量A2(刈取り予定の数量(重量、本数、面積など))が、入力されるようになっている。
【0109】
第4実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される農作業内容情報は、作物の植付け数量A1、及び、作物の品種B1を含む。第2農作業機20からサーバ30に送信される農作業内容情報は、作物の植付け数量A2、及び、作物の品種B2を含む。
【0110】
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係る農作業支援システム100によれば、第1農作業機10および第2農作業機20が耕耘機であり、作動情報は、耕耘機にて地面に向けて耕耘する深さを含み、農作業内容情報は、耕耘後に植え付ける作物の品種および数量を含む。従来では、圃場への作物植付け前に耕耘作業を実施する場合、耕耘する深さ等が、ノウハウや、経験則等によって決められることが多い。これに対して、上記第4実施形態の構成によれば、第2農作業機20から、圃場情報と、農作業内容情報として作物の品種および数量と、をサーバ30に送信することで、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、第2農作業機20の適切な耕耘作業を自動運転にて実現できる。
【0111】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。本発明の第5実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10、及び、第2農作業機20が、散布機である。農作業支援システム100における作動情報は、散布機にて作物に向けて散布する資材の量を含み、農作業内容情報は、作物の品種および数量を含む。これらの点で、第5実施形態は、上記第1、第2、第3、第4実施形態と異なり、それ以外の点は、上記第1、第2、第3、第4実施形態と同一である。以下、第5実施形態の第1、第2、第3、第4実施形態とは異なる点について、説明する。
【0112】
図19、及び、
図20に示すように、第5実施形態の第1農作業機10(及び、第2農作業機20)は、散布機であり、例えば、圃場の作物に対し、肥料や農薬等の資材を散布
するためのスプレッダ等である。第1農作業機10の走行車両11の走行装置11bには、車輪が用いられてもよいし、クローラが用いられてもよい。第1農作業機10の走行車両11の後方には、連結機構11cが設けられている。連結機11cは、3点リンク機構、PTO軸等を含み、その前端に農作業装置12が連結可能となっている。農作業装置12は、連結機11cに連結された場合に、原動機11aから動力伝達されるとともに、昇降作動も可能となる。
【0113】
農作業装置12は、本実施形態では、肥料散布機であるとして説明する。農作業装置12は、ホッパ12a、散布機構12b、及び、インペラ12cを備えている。ホッパ12aは、肥料U等を収容可能な容器であり、下方に向けて縮径する筒状となっている。ホッパ12aは、資材として、粒状の肥料Uを上方から投入可能に構成されており、収容されている肥料Uが、ホッパ12aの下端開口から自重で流下可能となっている。ホッパ12aの下端開口の下方には、インペラ12cが設けられており、インペラ12cは、原動機11aからの動力により回転駆動する。回動するインペラ12cは、流下してきた肥料Uをまき込んで水平方向に散布する。
【0114】
ホッパ12aの下端開口と、インペラ12cとの間には、散布機構12bが配置されている。散布機構12bは、シャッタ式であり、原動機11aからの動力により水平駆動する。水平駆動する散布機構12bは、ホッパ12aの下端開口の開度を変更し、インペラ12cへ流下する肥料Uの流量を調整するようになっている。これにより、散布機構12bの開度に応じた量の肥料Uを、圃場の作物に対して散布することができる。
【0115】
散布する肥料Uの量D1dは、第1農作業機10が第1圃場F1を走行する際に、散布機構12bの開度と、走行車両11の車速V1と、に基づいて決定されてもよい。より具体的には、肥料Uの量D1d(kg/s)は、散布機構12bの開度が大きいほど、走行車両11の車速V1が小さいほど、より大きいに決定されてもよい。ここにおいて、散布機構12bの開度は、操作具11fの操作信号に基づいて決定されてもよいし、散布機構12bのポジションセンサにて検出されてもよい。
【0116】
第5実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される作動情報は、上記第1実施形態のD1a,D1bに代えて、散布する肥料Uの量D1dを含む。サーバ30の第2相関生成部33cにおける第2学習モデルからは、最適な作動態様として推定された肥料Uの量D1dが出力され、第2農作業機20の作動態様が決定される。サーバ30は、第2農作業機20が肥料Uの量D2dにて散布するよう、第2農作業機20に自動運転の指示を実行する。
【0117】
図4に示すように、第1農作業機10の端末装置13における第1入力部13b1にて、「散布作業」が操作者により選択される場合、第2入力部13b2では、肥料Uが散布される作物の品種B1が、プルダウンにより選択可能となっている。第3入力部13b3は、上記第1入力部13b1にて選択される農作業の種類に対応して、数量を入力可能となっている。例えば、第1入力部13b1にて「散布作業」が操作者により選択される場合、農作業の内容として、肥料Uが散布される作物の数量A1が入力されるようになっている。当該数量A1は、農作業の実施に際し、散布される予定の作物の数量(重量、本数、面積など)、実際に散布が完了した際の作物の数量(重量、本数、面積など)等である。第2農作業機20の端末装置23には、農作業の実施に際し、作物の品種B2、及び、作物の数量A2(散布される予定の作物の数量(重量、本数、面積など))が、入力されるようになっている。
【0118】
第5実施形態に係る農作業支援システム100においては、第1農作業機10からサーバ30に送信される農作業内容情報は、作物の数量A1、及び、作物の品種B1を含む。
第2農作業機20からサーバ30に送信される農作業内容情報は、作物の数量A2、及び、作物の品種B2を含む。
【0119】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係る農作業支援システム100によれば、第1農作業機10および第2農作業機20が散布機であり、作動情報は、散布機にて散布する資材の量を含み、農作業内容情報は、資材を散布する作物の品種および数量を含む。従来では、散布作業を実施する場合、資材の量等が、ノウハウや、経験則等によって決められることが多い。これに対して、上記第5実施形態の構成によれば、第2農作業機20から、圃場情報と、農作業内容情報として作物の品種および数量と、をサーバ30に送信することで、ノウハウや、経験則等を知得する必要なく、第2農作業機20の適切な散布作業を自動運転にて実現できる。
【0120】
今回開示された上記各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが、意図される。
【符号の説明】
【0121】
10…第1農作業機、11…走行車両、11h…制御装置、11h1…第1情報送信部、12…農作業装置、13…端末装置、20…第2農作業機、21…走行車両、21h…制御装置、21h1…第2情報送信部、21h2…自動運転制御部、22…農作業装置、23…端末装置、30…サーバ、33…演算装置、33a…情報記憶部、33b…第1相関生成部、33c…第2相関生成部、33d…走行態様決定部、33e…作業態様決定部、33f…自動運転指示部、A1…数量、A2…数量、B1…品種、B2…品種、D1a…間隔、D2a…間隔、D1b…深さ、D2b…深さ、D1c…刈取位置、D2c…刈取位置、D1d…散布する肥料の量、D2d…散布する肥料の量、DBa…圃場情報データベース、DBb…走行情報データベース、DBc…作動情報データベース、DBd…農作業内容情報データベース、DSa1,DSa2,DSa3,DSa4,DSa5…データセット、DSb1,DSb2…データセット、F1…第1圃場、F2…第2圃場、Hm1…湿度、Hm2…湿度、L1…走行ルート、L2…走行ルート、L1a,L1b…直進ルート長、L2a,L2b…直進ルート長、K1…変曲点、K2…変曲点、O1…第1圃場の輪郭、O2…第2圃場の輪郭、S1…苗、S2…苗、T1…転回位置、T2…転回位置、Tm1…気温、Tm2…気温、U…肥料、V1…車速、V2…車速、W1…ルート幅、W2…ルート幅
【要約】
【課題】 農作業の実施に際し、最適な支援を受けることができるシステムを提供する。
【解決手段】 農作業支援システム100は、第1農作業機10、第2農作業機20、及び、サーバ30を備える。第1農作業機10は、圃場情報、走行情報、作動情報、及び、農作業内容情報を、サーバ30に送信する。第2農作業機20は、圃場情報、及び、農作業内容情報を、サーバ30に送信する。サーバ30は、第1農作業機10から送信された各種情報を記憶していく。サーバ30は、圃場情報、走行情報、及び、農作業内容情報の相関を示す第1学習モデルを生成し、圃場情報、作動情報、及び、農作業内容情報の相関を示す第2学習モデルを生成する。サーバ30は、第2農作業機20から送信された各種情報と、第1学習モデルおよび第2学習モデルと、に基づいて走行態様および作動態様を決定し、当該走行態様および作動態様にて、自動運転するよう第2農作業機20に指示する。
【選択図】
図13