IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オプティムの特許一覧

特許7066257コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム
<>
  • 特許-コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム 図1
  • 特許-コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム 図2
  • 特許-コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム 図3
  • 特許-コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム 図4
  • 特許-コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】コンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220506BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020557444
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2018043666
(87)【国際公開番号】W WO2020110211
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-16372(JP,A)
【文献】特開2011-150425(JP,A)
【文献】特開2014-21795(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033575(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した来店者の画像を解析する画像解析手段と、
前記画像の解析結果に基づいて、前記来店者の属性及び購入検討行動を分析し、当該属性及び購入検討行動に基づいて、前記来店者が購入検討した商品を分析する分析手段と、
分析した前記来店者が購入検討した商品に基づいて当該商品の関連商品を特定し、前記来店者が購入検討した商品又は当該関連商品に対応付けられた販売店及び/又はメーカを、前記来店者が購入検討した商品又は当該商品の関連商品を扱う販売店及び/又はメーカとして特定する特定手段と、
特定した前記販売店及び/又はメーカに、分析結果の提供をオファーするオファー手段と、
オファーを受けた前記販売店及び/又はメーカから、対価を受け取る受取手段と、
オファーを受けなかった前記販売店及び/又はメーカに、必要とする前記属性又は購入検討行動の内容の提供を促すメッセージを通知する通知手段と、
を備え、
前記分析手段は、通知結果に対する応答に含まれる前記属性又は購入検討行動の内容を分析内容に追加する、
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
商品棚近辺に居る前記来店者を撮影した画像を取得する取得手段と、
前記画像を解析する解析手段と、
をさらに備え、
前記分析手段は、解析の結果に基づいて、前記来店者の性別、年齢層、購入検討時間又は購入検討商品の種類の少なくとも一つと、当該購入検討商品の名称とを分析する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
コンピュータシステムが実行する来店者行動提供オファー方法であって、
取得した来店者の画像を解析するステップと、
前記画像の解析結果に基づいて、前記来店者の属性及び購入検討行動を分析し、当該属性及び購入検討行動に基づいて、前記来店者が購入検討した商品を分析するステップと、
分析した前記来店者が購入検討した商品に基づいて当該商品の関連商品を特定し、前記来店者が購入検討した商品又は当該関連商品に対応付けられた販売店及び/又はメーカを、前記来店者が購入検討した商品又は当該商品の関連商品を扱う販売店及び/又はメーカとして特定するステップと、
特定した前記販売店及び/又はメーカに、分析結果の提供をオファーするステップと、
オファーを受けた前記販売店及び/又はメーカから、対価を受け取るステップと、
オファーを受けなかった前記販売店及び/又はメーカに、必要とする前記属性又は購入検討行動の内容の提供を促すメッセージを通知するステップと、
通知結果に対する応答に含まれる前記属性又は購入検討行動の内容を分析内容に追加するステップと、
を備えることを特徴とする来店者行動提供オファー方法。
【請求項4】
コンピュータシステムに、
取得した来店者の画像を解析するステップ、
前記画像の解析結果に基づいて、前記来店者の属性及び購入検討行動を分析し、当該属性及び購入検討行動に基づいて、前記来店者が購入検討した商品を分析するステップ、
分析した前記来店者が購入検討した商品に基づいて当該商品の関連商品を特定し、前記来店者が購入検討した商品又は当該関連商品に対応付けられた販売店及び/又はメーカを、前記来店者が購入検討した商品又は当該商品の関連商品を扱う販売店及び/又はメーカとして特定するステップ、
特定した前記販売店及び/又はメーカに、分析結果の提供をオファーするステップ、
オファーを受けた前記販売店及び/又はメーカから、対価を受け取るステップ、
オファーを受けなかった前記販売店及び/又はメーカに、必要とする前記属性又は購入検討行動の内容の提供を促すメッセージを通知するステップ、
通知結果に対する応答に含まれる前記属性又は購入検討行動の内容を分析内容に追加するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来店者を分析するコンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の心理や購買意欲に基づいて、この消費者に対して広告や所定の商品を提案する方法が考案されている。このような方法の一例として、商品陳列棚前の消費者の動きに基づいて、消費者の購買意欲を判別し、この購買意欲に応じたコンテンツを提供する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-45454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、消費者の棚前心理や棚前行動の分析結果を、この消費者が来店した店舗のみが保持することになるため、この商品を生産するメーカ又はこの商品を扱う他の店舗やこの商品の関連商品を生産するメーカ又はこの関連商品を販売する店舗が共有することが困難であった。そのため、メーカや他の店舗は消費者の棚前心理や棚前行動に基づいて、新たな商品の開発や販売に活かすことが困難であった。加えて、単に、販売店が分析した消費者の棚前心理や棚前行動を、メーカや他の店舗に提供するだけでは、販売店側が十分な利益を得られないおそれもあった。
【0005】
本発明は、来店者の属性や購入検討行動の分析結果を、メーカや他の販売店等に提供することにより、メーカや他の販売店に新規商品の開発を促すとともに、分析した販売店にも利益を提供することが容易なコンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、取得した来店者の画像を解析する画像解析手段と、
前記画像の解析結果に基づいて、前記来店者の属性及び購入検討行動を分析し、当該属性及び購入検討行動に基づいて、前記来店者が購入検討した商品を分析する分析手段と、
分析した前記来店者が購入検討した商品に基づいて当該商品の関連商品を特定し、前記来店者が購入検討した商品又は当該関連商品に対応付けられた販売店及び/又はメーカを、前記来店者が購入検討した商品又は当該商品の関連商品を扱う販売店及び/又はメーカとして特定する特定手段と、
特定した前記販売店及び/又はメーカに、分析結果の提供をオファーするオファー手段と、
オファーを受けた前記販売店及び/又はメーカから、対価を受け取る受取手段と、
オファーを受けなかった前記販売店及び/又はメーカに、必要とする前記属性又は購入検討行動の内容の提供を促すメッセージを通知する通知手段と、
を備え、
前記分析手段は、通知結果に対する応答に含まれる前記属性又は購入検討行動の内容を分析内容に追加することを特徴とするコンピュータシステムを提供する。
【0008】
本発明によれば、取得した来店者の画像を解析し、前記画像の解析結果に基づいて、前記来店者の属性及び購入検討行動を分析し、当該属性及び購入検討行動に基づいて、前記来店者が購入検討した商品を分析し、分析した来店者が購入検討した商品に基づいて当該商品の関連商品を特定し、来店者が購入検討した商品又は当該関連商品に対応付けられた販売店及び/又はメーカを、前記来店者が購入検討した商品又は当該商品の関連商品を扱う販売店及び/又はメーカとして特定し、特定した前記販売店及び/又はメーカに、分析結果の提供をオファーし、オファーを受けた前記販売店及び/又はメーカから、対価を受け取り、オファーを受けなかった前記販売店及び/又はメーカに、必要とする前記属性又は購入検討行動の内容の提供を促すメッセージを通知し、通知結果に対する応答に含まれる前記属性又は購入検討行動の内容を分析内容に追加する。
【0009】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、来店者の属性や購入検討行動の分析結果を、メーカや他の販売店等に提供することにより、メーカや他の販売店に新規商品の開発を促すとともに、分析した販売店にも利益を提供することが容易なコンピュータシステム、来店者行動提供オファー方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、来店者行動提供オファーシステム1の概要を示す図である。
図2図2は、来店者行動提供オファーシステム1の全体構成図である。
図3図3は、コンピュータ10が実行する来店者行動提供オファー処理を示すフローチャートである。
図4図4は、コンピュータ10が実行する対価受取処理を示すフローチャートである。
図5図5は、コンピュータ10が取得した画像を模式的に示した図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0013】
[来店者行動提供オファーシステム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である来店者行動提供オファーシステム1の概要を説明するための図である。来店者行動提供オファーシステム1は、コンピュータ10から構成され、来店者を分析するコンピュータシステムである。
【0014】
なお、来店者行動提供オファーシステム1は、商品棚近傍や商品売場近傍に設置され、この商品棚近傍や商品売場近傍に居る来店者の動画や静止画等の画像を撮影する撮影装置、商品を販売する販売店の従業員等が所持する従業員端末等の販売店側の装置や端末類が含まれていてもよいし、オファーを行う対象となるメーカや他の販売店が管理するコンピュータやメーカや他の販売店の従業員が所持する従業員端末等が含まれていてもよい。
【0015】
また、来店者行動提供オファーシステム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0016】
コンピュータ10は、商品の販売店に設置された撮影装置や従業員端末と、公衆回線網、イントラネット等のプライベートネットワーク、近距離無線通信又は有線通信等を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。また、コンピュータ10は、メーカや他の販売店の従業員端末、コンピュータ等と、公衆回線網等を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0017】
コンピュータ10は、商品棚や商品売場近辺に設置された撮影装置が撮影した来店者の動画や静止画等の画像を取得する。コンピュータ10は、この画像を画像解析し、来店者の属性(年齢、性別等)又は購入検討行動(購入検討商品、購入検討時間等)を分析する。コンピュータ10は、来店者が購入検討した商品を扱う他の販売店やメーカ及び/又はこの商品の関連商品を扱う販売店やメーカに、分析結果の提供をオファーする。コンピュータ10は、このオファーを受けた販売店及び/又はメーカから、対価を受け取る。
【0018】
来店者行動提供オファーシステム1が実行する処理の概要について説明する。
【0019】
コンピュータ10は、撮影装置が撮影した来店者の画像を取得する(ステップS01)。コンピュータ10は、撮影装置が、商品棚近辺に居る来店者を撮影した画像を取得する。この画像の一例としては、例えば、ユーザの顔や全体像、手に取っている商品、買い物かごに入っている商品が写り込んだものである。
【0020】
コンピュータ10は、この画像を画像解析し、来店者の属性又は購入検討行動を分析する(ステップS02)。コンピュータ10は、画像解析として、特徴点(形状や輪郭や色等)や特徴量(画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値)を抽出し、この画像に写り込んだ来店者の属性又は購入検討行動を分析する。例えば、コンピュータ10は、来店者の顔認識を行い、年齢や性別を分析する。また、コンピュータ10は、来店者の視線の先にある商品や、手に持っている商品等の形状や輪郭等に基づく物体認識、文字認識等を行い、来店者が購入を検討している商品の名称や種類等を分析する。また、コンピュータ10は、例えば、この画像に同一の来店者が写り込んでいる時間を、購入検討時間として分析する。
【0021】
なお、コンピュータ10は、来店者の性別、年齢、購入検討商品又は購入検討時間の少なくとも一つを分析する構成であってもよい。
【0022】
コンピュータ10は、分析結果の提供を、来店者が購入検討した商品の他の販売店及び/又はメーカや、この商品の関連商品を扱う他の販売店及び/又はメーカに、オファーする(ステップS03)。コンピュータ10は、分析結果の提供を受けるか否かを、この販売店及び/又はメーカにオファーする。オファーとは、例えば、分析結果の提供を提示し、相手側に返事を求めることである。分析結果としては、上述した分析した来店者の性別、年齢、購入検討商品又は購入検討時間の少なくとも一つである。
【0023】
コンピュータ10は、このオファーを受けた販売店及び/又はメーカから対価(所定の料金、サービス、物品等)を受け取る(ステップS04)。このとき、コンピュータ10は、オファーを受けた販売店及び/又はメーカに分析結果を提供するとともに、対価を受け取る。
【0024】
以上が、来店者行動提供オファーシステム1の概要である。
【0025】
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である来店者行動提供オファーシステム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である来店者行動提供オファーシステム1のシステム構成を示す図である。図2において、来店者行動提供オファーシステム1は、コンピュータ10から構成され、来店者を分析するコンピュータシステムである。
【0026】
なお、来店者行動提供オファーシステム1は、上述した撮影装置、従業員端末、他のコンピュータ等の他の端末や装置類が含まれていてもよい。また、来店者行動提供オファーシステム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータ又はクラウドコンピュータのように複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0027】
コンピュータ10は、図示していない上述した撮影装置や従業員端末、他の販売店及び/又はメーカにおける従業員端末やコンピュータ等と、公衆回線網、プライベートネットワーク、近距離無線通信又は有線通信等を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0028】
コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ10は、記録部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0029】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、画像取得モジュール20、オファー送信モジュール21、オファー結果取得モジュール22、データ送信モジュール23、対価受取モジュール24を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール30を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、画像解析モジュール40、分析モジュール41、規定数判断モジュール42、特定モジュール43、オファー作成モジュール44、オファー判断モジュール45を実現する。
【0030】
[来店者行動提供オファー処理]
図3に基づいて、来店者行動提供オファーシステム1が実行する来店者行動提供オファー処理について説明する。図3は、コンピュータ10が実行する来店者行動提供オファー処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0031】
画像取得モジュール20は、撮影装置が撮影した来店者の動画や静止画等の画像を取得する(ステップS10)。ステップS10において、この画像は、商品棚や商品売場近辺に設置された撮影装置が来店者を撮影するものである。この画像には、来店者の顔や全身に加え、商品棚に陳列された商品、来店者が手に持っている商品等が写り込むことになる。このとき、画像取得モジュール20は、撮影装置が撮影する画像が静止画である場合、例えば、所定時間(例えば、商品棚や商品売場に検知センサを設置しておき、この検知センサが来店者の検知を開始した時点から来店者の検知を終了した時点)、撮影装置が撮影した画像を取得する。また、画像取得モジュール20は、撮影装置が撮影する画像が動画である場合、常時撮影した画像を取得してもよい。
【0032】
なお、画像取得モジュール20が画像を取得するタイミングや方法は適宜変更可能であり、上述した例に限られるものではない。
【0033】
画像解析モジュール40は、取得した画像を画像解析する(ステップS11)。ステップS11において、画像解析モジュール40は、取得した画像における特徴点や特徴量を抽出する。例えば、画像解析モジュール40は、この画像における形状や輪郭や色等を抽出する。また、例えば、画像解析モジュール40は、この画像における画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値を抽出する。併せて、画像解析モジュール40は、画像解析として、顔認識、物体認識、文字認識等の各種認識処理を実行する。例えば、画像解析モジュール40は、この画像に写り込んだ人物の顔を抽出する。画像解析モジュール40は、抽出した顔に基づいて、眼窩、鼻、顎の輪郭、皮膚のきめ等を抽出する。また、画像解析モジュール40は、この画像に写り込んだ物体の形状や輪郭や色等に基づいて、物体を抽出する。また、画像解析モジュール40は、この画像に写り込んだ文字や記号や数字等に基づいて、文字を抽出する。
【0034】
分析モジュール41は、画像解析の結果に基づいて、来店者の属性及び行動を示す属性行動データを分析する(ステップS12)。ステップS12において、分析モジュール41は、抽出した特徴量や特徴点に基づいて、来店者の属性行動データを分析する。分析モジュール41は、顔認識の結果に基づいて、来店者の年齢、性別を分析する。また、分析モジュール41は、物体認識や文字認識の結果に基づいて、来店者が手に取っている商品や来店者が閲覧している商品を、購入検討商品として分析する。また、分析モジュール41は、動画や静止画等に写っているこの来店者の時間と、この来店者が特定した商品の閲覧及び/又は手に取ってる時間とに基づいて、この商品の購入検討時間を分析する。このとき、来店者の属性は、年齢、性別であり、来店者の行動は、購入検討商品、購入検討時間である。すなわち、属性行動データは、来店者の年齢、性別、購入検討商品、購入検討時間である。
【0035】
なお、属性及び行動は、上述した例に限らず、その他のものであってもよい。また、分析モジュール41は、上述した年齢、性別、購入検討商品、購入検討時間のうち、少なくとも一つを分析する構成であってもよい。また、分析モジュール41は、上述した例に限らず属性、行動のうち、少なくとも一つを分析する構成であってもよい。
【0036】
図5に基づいて、分析モジュール41が分析する属性行動データについて説明する。図5は、画像取得モジュール20が取得した画像の一例を模式的に示した図である。画像解析モジュール40は、この画像100を画像解析し、上述したように、人物、人物の顔、物体、文字等を抽出する。その結果、画像解析モジュール40は、この画像100に、来店者110、商品棚120、商品130を抽出する。
【0037】
分析モジュール41は、画像解析の結果に基づいて、この画像100に写り込んでいる来店者110の属性行動データを分析する。分析モジュール41は、来店者110の顔認識結果に基づいて、来店者110の年齢、性別を分析する。本例では、分析モジュール41は、この来店者110の年齢が20代であり、性別が女性であると分析する。また、分析モジュール41は、来店者110の視線方向を示す矢印140の先にある商品130や、来店者110の手150が触れている商品130を分析する。分析モジュール41は、この商品130の物体認識結果や文字認識結果に基づいて、この商品130の名称や種類を分析する。このとき、分析モジュール41は、予め記録モジュール30に記憶させた、商品の特徴点や特徴量と、この商品の名称や種類等とを対応付けた商品データベースを参照することにより、この商品130の名称や種類を分析する。分析モジュール41は、画像解析の結果抽出した特徴点や特徴量と、商品データベースとを比較することにより、この商品130の名称や種類等を分析する。また、分析モジュール41は、商品130に貼付されたラベルや商品棚120に貼付された商品名等を文字認識することにより、この商品130の名称や種類を分析する。この種類は、分類1、分類2、分類3、・・・、といった複数の種類の分類を分析することも可能である。この場合、分類の数字が大きくなるにつれ、より詳細な分類にする(その逆に、数字が小さくなるにつれ、より詳細な分類にする)といったことも可能である。分析モジュール41は、この商品130を、購入検討商品として分析することになる。本例では、分析モジュール41は、購入検討商品である商品130が、名称がスパークリングワインAであり、種別として、分類1が飲料、分類2がアルコール、分類3がワイン、・・・、といった予め設定された又は商品データベースに記録された分類に基づいて分析する。分析モジュール41は、画像解析の結果に基づいて、この商品130を閲覧する時間やこの商品130を手に取っている時間を、購入検討時間として分析する。分析モジュール41は、画像中に写り込んだ来店者110が商品130に視線を向けている時間や、来店者110が商品130を手に取っている時間の累計を、購入検討時間として分析する。本例では、分析モジュール41は、購入検討時間が2分であると分析する。
【0038】
なお、上述した通り、分析モジュール41は、属性行動データのうち、少なくとも一つを分析する構成であってもよい。例えば、来店者110の年齢、性別、購入検討商品、購入検討時間の少なくとも一つを分析する構成であってもよい。ただし、購入検討商品については、分析対象としない場合であっても、商品130の名称については、分析する必要がある。これは、後述する処理において、この商品130の名称に基づいて、この商品130及び/又はこの商品130に関連する商品を扱うメーカや販売店を特定するために必要となるからである。すなわち、分析モジュール41は、年齢、性別、購入検討商品(種類)、購入検討時間の少なくとも一つを分析する構成であればよい。
【0039】
記録モジュール30は、分析した属性行動データを記録する(ステップS13)。ステップS13において、記録モジュール30は、この商品の名称と、属性行動データと、この属性行動データを分析した日時とを対応付けて記録する。
【0040】
なお、記録モジュール30は、属性行動データのみを記録する構成であってもよい。
【0041】
規定数判断モジュール42は、分析した属性行動データのサンプル数が予め設定された規定数に達したか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14において、規定数とは、新規の商品開発やマーケティングに有効な数のサンプル数を意味する。この規定数は、購入検討商品の種類や来店者の属性に応じて適宜設定されてよい。例えば、規定数判断モジュール42は、商品130に対する属性行動データのサンプル数が規定数に達したか否かを判断する。
【0042】
なお、規定数に達したか否かに関わらず、後述する処理を実行する構成であってもよい。また、記録モジュール30に記録した属性行動データの日時が所定の期間のものの数が規定数に達したか否かを判断する構成であってもよい。この場合、特定期間(例えば、イベント時期)における属性行動データを有効に使うことも可能となる。
【0043】
ステップS14において、規定数判断モジュール42は、規定数に達していないと判断した場合(ステップS14 NO)、コンピュータ10は、上述したステップS10の処理を再度実行する。
【0044】
一方、ステップS14において、規定数判断モジュール42は、規定数に達していると判断した場合(ステップS14 YES)、特定モジュール43は、この商品を生産するメーカやこの商品を扱う他の販売店及び/又はこの商品の関連商品を生産するメーカやこの関連商品を扱う他の販売店を特定する(ステップS15)。ステップS15において、特定モジュール43は、予め記録モジュール30に記録させた商品の名称と、この商品を生産するメーカの名称と、この商品を扱う他の販売店の名称とを対応付けた商品生産販売データベースに基づいて、この商品を生産するメーカやこの商品を扱う他の販売店を特定する。特定モジュール43は、規定数に達した商品の名称に基づいて、商品生産販売データベースを参照し、メーカや他の販売店を特定する。また、特定モジュール43は、予め記録モジュール30に記録させたこの商品の名称と、この商品の関連商品の名称と、この関連商品を生産するメーカの名称と、この関連商品を扱う他の販売店の名称とを対応付けた関連商品生産販売データベースを参照し、メーカや他の販売店を特定する。特定モジュール43は、規定数に達した商品の名称に基づいて、関連商品生産販売データベースを参照し、メーカや他の販売店を特定する。
【0045】
オファー作成モジュール44は、特定したメーカや他の販売店に対して提示するオファーを作成する(ステップS16)。ステップS16において、オファー作成モジュール44は、商品の名称、属性行動データの内容、対価を少なくとも含んだものをオファーとして作成する。オファー作成モジュール44は、例えば、属性行動データの内容として、この商品を購入検討する来店者の年齢、性別、購入検討商品、購入検討時間、この商品を購入検討した来店者が検討した別の商品の名称を作成する。このとき、オファー作成モジュール44は、属性行動データの見出しのみをオファーとして作成する。
【0046】
オファー送信モジュール21は、作成したオファーを、特定したメーカ及び/又は販売店に送信する(ステップS17)。ステップS17において、オファー送信モジュール21は、来店者が購入検討した商品又はこの商品の関連商品を扱う販売店及び/又はメーカに、分析結果の提供をオファーすることになる。
【0047】
以上が、来店者行動提供オファー処理である。
【0048】
[対価受取得処理]
図4に基づいて、来店者行動提供オファーシステム1が実行する対価受取処理について説明する。図4は、コンピュータ10が実行する対価受取処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0049】
オファー結果取得モジュール22は、オファーの結果を、送信したメーカ及び/又は販売店から取得する(ステップS20)。ステップS20において、オファー結果取得モジュール22は、上述したステップS17の処理により、提供したオファーの返答結果を取得する。このオファーの結果には、オファーを提供した販売店及び/又はメーカがオファーを受けるか否かの返事が含まれる。
【0050】
なお、オファー結果取得モジュール22は、オファーの結果を取得できなかった場合、本処理を終了する。
【0051】
オファー判断モジュール45は、取得したオファーの結果として、オファーの提供先が、このオファーを受けるのかあるいは受けないのかを判断する(ステップS21)。ステップS21において、オファー判断モジュール45は、取得したオファーの結果に、オファーを受ける返事が含まれているか否かに基づいてこの判断を実行する。オファー判断モジュール45は、取得したオファーの結果に、オファーを受ける返事が含まれていないと判断した場合(ステップS21 NO)、本処理を終了する。
【0052】
なお、コンピュータ10は、オファーの結果にオファーを受ける返事が含まれていない場合、どのような属性行動データが有効なものであるか、どのような属性行動データを必要とするか等の提供を促すメッセージをオファーの結果を取得した販売店及び/又はメーカに通知する構成であってもよい。このとき、コンピュータ10は、このメッセージに対する応答に含まれる属性行動データを、上述したステップS11及びS12の処理で画像解析及び分析内容に新たに追加し、該当する処理を実行する構成にしてもよい。
【0053】
一方、ステップS21において、オファー判断モジュール45は、取得したオファーの結果に、オファーを受ける返事が含まれていると判断した場合(ステップS21 YES)、データ送信モジュール23は、オファーに提示した属性行動データを、オファーの提供先に送信する(ステップS22)。ステップS22において、データ送信モジュール23は、オファーに提示した属性行動データと、この商品の名称と、オファーの提供先に送信する。
【0054】
対価受取モジュール24は、分析結果の提供の対価として、オファーを受け販売店及び/又はメーカから対価を受け取る(ステップS23)。ステップS23において、対価受取モジュール24は、対価として、所定の料金、サービス、物品等を受け取る。この対価は、直接的又は間接的なものである。このとき、対価受取モジュール24は、データ的な対価を受け取るのみでなく、実体物の受取に必要なデータを受け取ることになってもよい。
【0055】
以上が、対価受取処理である。
【0056】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
1 来店者行動提供オファーシステム、10 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5