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特許7066258コンピュータシステム、作物生育支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】コンピュータシステム、作物生育支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
A01M7/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020569248
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2019003257
(87)【国際公開番号】W WO2020157879
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003078(WO,A1)
【文献】特開2008-068710(JP,A)
【文献】特開平11-235124(JP,A)
【文献】特開2003-009664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物の収穫を支援するコンピュータシステムであって、
圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得する第一取得手段と、
予め作物の特徴点や特徴量と作物の識別子とを対応付けて登録した作物データベースを備え、前記撮影画像を画像解析し、抽出した特徴点や特徴量とに基づいて作物を検出する第一検出手段と、
検出した前記作物の位置情報を、前記撮影地点の位置情報に基づいて特定し、前記作物の詳細な位置を、特定した前記作物の位置情報と、前記撮影画像における座標とに基づいて特定する第一特定手段と、
特定した前記作物の位置情報を、第一位置情報として記憶する第一記憶手段と、
農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得する第二取得手段と、
前記農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶する第二記憶手段と、
前記第一位置情報と、前記第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定する第二特定手段と、
特定した前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報を端末に通知させる通知手段と、
通知した前記端末に応じた機能を、前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報に基づいて実行させる実行手段と、
を備え
前記撮影画像における座標は、前記撮影画像に対して、直交座標系を設定し、前記撮影画像におけるX座標及びY座標であり、
前記撮影地点の位置情報は、前記撮影画像の中心の位置であり、前記X座標及びY座標は、当該中心の位置に対する位置として特定されることを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記第二取得手段は、使用した農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を併せて取得し、
前記通知手段は、前記名称及び使用量を併せて通知させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
作物の収穫を支援するコンピュータシステムが実行する作物収穫支援方法であって、
圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得するステップと、
予め作物の特徴点や特徴量と作物の識別子とを対応付けて登録した作物データベースを備え、前記撮影画像を画像解析し、抽出した特徴点や特徴量とに基づいて作物を検出するステップと、
検出した前記作物の位置情報を、前記撮影地点の位置情報に基づいて特定し、前記作物の詳細な位置を、特定した前記作物の位置情報と、前記撮影画像における座標とに基づいて特定するステップと、
特定した前記作物の位置情報を、第一位置情報として記憶するステップと、
農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得するステップと、
前記農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶するステップと、
前記第一位置情報と、前記第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定するステップと、
特定した前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報を端末に通知させるステップと、
通知した前記端末に応じた機能を、前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報に基づいて実行させるステップと、
を備え
前記撮影画像における座標は、前記撮影画像に対して、直交座標系を設定し、前記撮影画像におけるX座標及びY座標であり、
前記撮影地点の位置情報は、前記撮影画像の中心の位置であり、前記X座標及びY座標は、当該中心の位置に対する位置として特定されることを特徴とする作物収穫支援方法。
【請求項4】
作物の収穫を支援するコンピュータシステムに、
圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得するステップ、
予め作物の特徴点や特徴量と作物の識別子とを対応付けて登録した作物データベースを備え、前記撮影画像を画像解析し、抽出した特徴点や特徴量とに基づいて作物を検出するステップ、
検出した前記作物の位置情報を、前記撮影地点の位置情報に基づいて特定し、前記作物の詳細な位置を、特定した前記作物の位置情報と、前記撮影画像における座標とに基づいて特定するステップ、
特定した前記作物の位置情報を、第一位置情報として記憶するステップ、
農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得するステップ、
前記農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶するステップ、
前記第一位置情報と、前記第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定するステップ、
特定した前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報を端末に通知させるステップ、
通知した前記端末に応じた機能を、前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報に基づいて実行させるステップ、
を実行させ
前記撮影画像における座標は、前記撮影画像に対して、直交座標系を設定し、前記撮影画像におけるX座標及びY座標であり、
前記撮影地点の位置情報は、前記撮影画像の中心の位置であり、前記X座標及びY座標は、当該中心の位置に対する位置として特定されるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の収穫を支援するコンピュータシステム、作物収穫支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圃場における環境情報(例えば、葉濡れ情報、気温情報、雨量情報)を用いて、感染のおそれのある病害を予測し、この病害の対策となる農薬情報の特定や、作物の生育ステージを予測し、必要な肥料情報を特定する構成が存在する。
【0003】
このような技術の例として、圃場に設けた各種センサにより環境情報を取得し、この環境情報に基づいて、病害の感染の予測及び生育ステージの予測を行い、必要な農薬情報や肥料情報を出力する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-106261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、作物に対して、農薬や施肥の必要性を作業者に通知するものに過ぎず、作物毎に農薬や肥料が用いられたかを判断することは困難であった。
【0006】
本発明は、作物毎に農薬や肥料が用いられたかを判断することが容易なコンピュータシステム、作物収穫支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、作物の収穫を支援するコンピュータシステムであって、
圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得する第一取得手段と、
予め作物の特徴点や特徴量と作物の識別子とを対応付けて登録した作物データベースを備え、前記撮影画像を画像解析し、抽出した特徴点や特徴量とに基づいて作物を検出する第一検出手段と、
検出した前記作物の位置情報を、前記撮影地点の位置情報に基づいて特定し、前記作物の詳細な位置を、特定した前記作物の位置情報と、前記撮影画像における座標とに基づいて特定する第一特定手段と、
特定した前記作物の位置情報を、第一位置情報として記憶する第一記憶手段と、
農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得する第二取得手段と、
前記農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶する第二記憶手段と、
前記第一位置情報と、前記第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定する第二特定手段と、
特定した前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報を端末に通知させる通知手段と、
通知した前記端末に応じた機能を、前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報に基づいて実行させる実行手段と、
を備え
前記撮影画像における座標は、前記撮影画像に対して、直交座標系を設定し、前記撮影画像におけるX座標及びY座標であり、
前記撮影地点の位置情報は、前記撮影画像の中心の位置であり、前記X座標及びY座標は、当該中心の位置に対する位置として特定されることを特徴とするコンピュータシステムを提供する。
【0009】
本発明によれば、作物の収穫を支援するコンピュータシステムは、圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得し、予め作物の特徴点や特徴量と作物の識別子とを対応付けて登録した作物データベースを備え、前記撮影画像を画像解析し、抽出した特徴点や特徴量とに基づいて作物を検出し、検出した前記作物の位置情報を、前記撮影地点の位置情報に基づいて特定し、前記作物の詳細な位置を、特定した前記作物の位置情報と、前記撮影画像における座標とに基づいて特定し、特定した前記作物の位置情報を、第一位置情報として記憶し、農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得し、前記農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶し、前記第一位置情報と、前記第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定し、特定した前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報を端末に通知させ、通知した前記端末に応じた機能を、前記第三位置情報及び/又は前記第四位置情報に基づいて実行させ、前記撮影画像における座標は、前記撮影画像に対して、直交座標系を設定し、前記撮影画像におけるX座標及びY座標であり、前記撮影地点の位置情報は、前記撮影画像の中心の位置であり、前記X座標及びY座標は、当該中心の位置に対する位置として特定される。
【0010】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作物毎に農薬や肥料が用いられたかを判断することが容易なコンピュータシステム、作物収穫支援方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、作物収穫支援システム1の概要を示す図である。
図2図2は、作物収穫支援システム1の全体構成図である。
図3図3は、コンピュータ10が実行する作物収穫支援処理のフローチャートを示す図である。
図4図4は、作物マップの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0014】
[作物収穫支援システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である作物収穫支援システム1の概要を説明するための図である。作物収穫支援システム1は、コンピュータ10から構成され、作物の収穫を支援するコンピュータシステムである。
【0015】
なお、作物収穫支援システム1は、ドローン、農機具、高性能農業機械、作物を栽培する作業者が所持する作業者端末(例えば、スマートフォンやタブレット端末やパーソナルコンピュータ)、その他のコンピュータ等のその他の端末や装置類が含まれていてもよい。また、作物収穫支援システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0016】
コンピュータ10は、ドローン、農機具、高性能農業機械、作業者端末、その他のコンピュータ等と、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0017】
コンピュータ10は、圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得する。コンピュータ10は、例えば、ドローンにより、圃場の各地点を撮影した撮影画像を取得する。また、コンピュータ10は、ドローンが撮影画像を撮影した撮影地点の位置情報を、ドローンから取得する。
【0018】
コンピュータ10は、撮影画像を画像解析し、この撮影画像に写っている作物を検出する。コンピュータ10は、例えば、画像解析として、撮影画像の特徴点(例えば、形状、輪郭、色相)や特徴量(例えば、画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値)を抽出する。コンピュータ10は、抽出した特徴点や特徴量に基づいて、この撮影画像に写っている作物を検出する。
【0019】
コンピュータ10は、検出した作物の位置情報を、取得した撮影地点の位置情報に基づいて特定する。コンピュータ10は、検出した作物の位置情報が、撮影地点の位置情報に一致するものとして、この作物の位置情報を特定する。その結果、コンピュータ10は、圃場における検出した作物の位置を特定することになる。
【0020】
コンピュータ10は、この特定した作物の位置情報を、第一位置情報として記憶する。
【0021】
コンピュータ10は、農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得する。コンピュータ10は、例えば、ドローン、農機具又は高性能農業機械が、農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、これらから取得する。また、コンピュータ10は、例えば、農薬散布及び/又は施肥を行った作業者が所持する作業者端末からこの地点の位置情報を取得する。
【0022】
コンピュータ10は、この取得した農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶する。
【0023】
コンピュータ10は、第一位置情報と、第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定する。コンピュータ10は、例えば、第一位置情報のうち、第二位置情報に該当しないものを、第三位置情報として特定し、第一位置情報のうち、第二位置情報に該当するものを、第四位置情報として特定する。
【0024】
コンピュータ10は、特定した第三位置情報及び/又は第四位置情報を、端末に通知させる。コンピュータ10は、例えば、作業者端末に第三位置情報及び/又は第四位置情報を通知させる。
【0025】
なお、コンピュータ10は、使用した農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を、位置情報と併せて取得し、この名称及び使用量を、併せて端末に通知させることも可能である。
【0026】
次に、作物収穫支援システム1が実行する処理の概要について説明する。
【0027】
コンピュータ10は、圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を、撮影データとして取得する(ステップS01)。コンピュータ10は、例えば、ドローンが圃場の各地点を撮影した撮影画像と、撮影地点における位置情報とを、撮影データとしてこのドローンから取得する。
【0028】
コンピュータ10は、撮影画像を画像解析し、この撮影画像に写っている作物を検出する(ステップS02)。コンピュータ10は、例えば、画像解析として、撮影画像の特徴点や特徴量を抽出する。コンピュータ10は、抽出した特徴点や特徴量に基づいて、この撮影画像に写っている作物を検出する。
【0029】
コンピュータ10は、検出した作物の位置情報を、取得した撮影地点の位置情報に基づいて特定する(ステップS03)。コンピュータ10は、例えば、検出した作物の位置情報が、撮影地点の位置情報に一致するものとして、この作物の位置情報を特定する。その結果、コンピュータ10は、圃場におけるこの作物の位置を特定することになる。
【0030】
コンピュータ10は、この特定した作物の位置情報を、第一位置情報として記憶する(ステップS04)。
【0031】
コンピュータ10は、農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を取得する(ステップS05)。コンピュータ10は、例えば、ドローン、農機具又は高性能農業機械が農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、これらから取得する。また、コンピュータ10は、例えば、農薬散布及び/又は施肥を行った作業者が所持する作業者端末から、この地点の位置情報を取得する。
【0032】
コンピュータ10は、この取得した農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報を、第二位置情報として記憶する(ステップS06)。
【0033】
コンピュータ10は、記憶した第一位置情報と、第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定する(ステップS07)。コンピュータ10は、第一位置情報のうち、第二位置情報に該当しないものを、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報として、第三位置情報を特定する。また、コンピュータ10は、第一位置情報のうち、第二位置情報に該当するものを、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報として、第四位置情報を特定する。
【0034】
コンピュータ10は、特定した第三位置情報及び/又は第四位置情報を、端末に通知させる(ステップS08)。コンピュータ10は、この特定した第三位置情報及び/又は第四位置情報を、例えば、作業者端末、ドローン、農機具、高性能農業機械に通知させる。コンピュータ10は、この第三位置情報及び/又は第四位置情報を、これらに送信する。これらは、この第三位置情報及び/又は第四位置情報を受信し、自身の表示部等に表示することにより、作業者に通知する。その結果、コンピュータ10は、この第三位置情報及び/又は第四位置情報を、端末に通知させることになる。
【0035】
以上が、作物収穫支援システム1が実行する処理の概要である。
【0036】
[作物収穫支援システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である作物収穫支援システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である作物収穫支援システム1のシステム構成を示す図である。図2において、作物収穫支援システム1は、コンピュータ10から構成され、作物の収穫を支援するコンピュータシステムである。
【0037】
コンピュータ10は、図示していないドローン、農機具、高性能農業機械、作業者端末、その他のコンピュータ等と公衆回線網等を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0038】
なお、作物収穫支援システム1は、図示していないドローン、農機具、高性能農業機械、作業者端末、その他のコンピュータ等やその他の端末や装置類が含まれていてもよい。また、作物収穫支援システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0039】
コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)、及び、又はGPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ10は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0040】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、撮影データ取得モジュール20、対策データ取得モジュール21、通知モジュール22を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部と協働して、記憶モジュール30を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、画像解析モジュール40、位置特定モジュール41、マップ作成モジュール42を実現する。
【0041】
[作物収穫支援処理]
図3に基づいて、作物収穫支援システム1が実行する作物収穫支援処理について説明する。図3は、コンピュータ10が実行する作物収穫支援処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0042】
撮影データ取得モジュール20は、圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を、撮影データとして取得する(ステップS10)。ステップS10において、撮影データ取得モジュール20は、ドローンが圃場の予め設定された複数の撮影地点において撮影した撮影画像と、ドローンが撮影画像を撮影した撮影地点の位置情報とを撮影データとして取得する。ドローンは、自身の直下を、撮影画像として撮影する。すなわち、ドローンは、圃場に対して垂直な位置から撮影画像を撮影することになる。ドローンは、撮影地点において、撮影画像を撮影するとともに、自身の位置情報を、GPS(Global Positioning System)等から取得する。ドローンは、この取得した自身の位置情報を、撮影地点の位置情報として扱う。ドローンは、この撮影画像と、撮影地点の位置情報とを撮影データとして、コンピュータ10に送信する。撮影データ取得モジュール20は、この撮影データを受信することにより、撮影データを取得する。その結果、コンピュータ10は、圃場を撮影した撮影画像及び撮影地点の位置情報を取得することになる。
【0043】
画像解析モジュール40は、撮影データに基づいて、撮影画像を画像解析する(ステップS11)。ステップS11において、画像解析モジュール40は、この撮影画像における特徴点や特徴量を抽出する。画像解析モジュール40は、例えば、撮影画像に存在する物体の形状、色相等を抽出する。
【0044】
画像解析モジュール40は、画像解析の結果に基づいて、作物が検出できたか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12において、画像解析モジュール40は、予め作物の特徴点や特徴量と作物の識別子とを対応付けて登録した作物データベースと、抽出した特徴点や特徴量とに基づいて、撮影画像に作物が存在するか否かを判断する。画像解析モジュール40は、作物データベースに登録された特徴点や特徴量と、抽出した特徴点や特徴量とを比較し、一致するか否かに基づいて、この判断を実行する。画像解析モジュール40は、これらが一致する場合、作物が検出できたと判断し、これらが一致しない場合、作物が検出できなかったと判断することになる。画像解析モジュール40は、作物が検出できた場合、抽出した特徴点や特徴量と一致する作物データベースにおける特徴点や特徴量に対応付けられた作物の識別子を併せて判断する。
【0045】
ステップS12において、画像解析モジュール40は、画像解析の結果、作物が検出できなかったと判断した場合(ステップS12 NO)、コンピュータ10は、本処理を終了する。なお、コンピュータ10は、このとき、上述したステップS10の処理を実行し、今回画像解析を行った撮影データとは異なる撮影データを取得する構成であってもよい。
【0046】
一方、ステップS12において、画像解析モジュール40は、画像解析の結果、作物が検出できたと判断した場合(ステップS12 YES)、位置特定モジュール41は、この撮影データにおける位置情報に基づいて、検出した作物の位置情報を特定する(ステップS13)。ステップS13において、位置特定モジュール41は、今回画像解析を行った撮影画像に対応する撮影地点の位置情報を、撮影データに基づいて特定する。位置特定モジュール41は、撮影地点の位置情報を、この作物の位置情報として特定する。さらに、位置特定モジュール41は、この作物の位置情報と、撮影画像における座標とに基づいて、この作物の詳細な位置を特定する。例えば、位置特定モジュール41は、撮影画像に対して、直交座標系を設定し、この作物を検出した撮影画像における位置を、この撮影画像におけるX座標及びY座標として特定する。位置特定モジュール41は、撮影地点における位置情報と、このX座標及びY座標とに基づいて、実際の圃場における作物の位置情報を特定する。このとき、位置特定モジュール41は、撮影画像の中心の位置が、撮影地点における位置情報に該当し、X座標及びY座標が、この中心の位置に対する位置として特定する。その結果、コンピュータ10は、圃場におけるこの作物の位置を特定することになる。
【0047】
記憶モジュール30は、特定した作物の位置情報を、第一位置情報として記憶する(ステップS14)。ステップS14において、記憶モジュール30は、この作物の位置情報のみを記憶してもよいし、作物の位置情報と、この作物の識別子とを対応付けて記憶してもよいし、作業者、利用者、圃場の識別子とをさらに対応付けて記憶してもよい。
【0048】
対策データ取得モジュール21は、農薬散布及び/又は施肥が行われた地点の位置情報及び使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を対策データとして取得する(ステップS15)。ステップS15において、対策データ取得モジュール21は、農薬散布及び/又は施肥を行った機器や装置類又は作業者が所持する作業者端末から、この地点の位置情報を取得する。例えば、作業者端末は、この地点における自身の位置情報をGPS等から取得する。作業者端末は、取得した自身の位置情報を、農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報として扱う。作業者端末は、この地点の位置情報を、コンピュータ10に送信する。また、例えば、農薬散布及び/又は施肥を行った機器は、この農薬散布及び/又は施肥を行った地点における自身の位置情報をGPS等から取得する。この機器は、取得した自身の位置情報を、農薬散布及び/又は施肥が行われた地点の位置情報として扱う。この機器は、この地点の位置情報を、コンピュータ10に送信する。対策データ取得モジュール21は、作業者端末やこの機器が送信したこの地点の位置情報を受信することにより、農薬散布及び/又は施肥が行われた地点の位置情報を取得する。
【0049】
また、対策データ取得モジュール21は、使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を、併せて取得する。例えば、作業者端末は、使用した農薬及び/又は肥料の名称及び使用量の入力を受け付け、受け付けた農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を、コンピュータ10に送信する。また、例えば、農薬散布及び/又は施肥を行った機器は、使用した農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を、コンピュータ10に送信する。対策データ取得モジュール21は、作業者端末やこの機器が送信した使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を受信することにより、使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を取得する。
【0050】
その結果、コンピュータ10は、農薬散布及び/又は施肥を行った地点の位置情報と、使用した農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を取得することになる。
【0051】
なお、対策データ取得モジュール21は、農薬散布及び/又は施肥が行われた地点の位置情報のみを取得する構成であってもよい。この場合、コンピュータ10は、後述する処理において、農薬及び/又は肥料の名称及び使用量に関する処理を除外して実行する構成であればよい。
【0052】
記憶モジュール30は、取得した農薬散布及び/又は施肥が行われた地点の位置情報を、第二位置情報として記憶する(ステップS16)。ステップS16において、記憶モジュール30は、第二位置情報と、この地点で使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量とを対応付けて記憶する。
【0053】
なお、記憶モジュール30は、同一の第二位置情報を、複数取得していた場合、この第二位置情報における、其々において使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量を併せて記憶する。すなわち、記憶モジュール30は、同一の作物に対して、複数回農薬散布及び/又は施肥が行われた場合、使用された農薬及び/又は肥料の名称及び使用量をその都度記憶することになる。この場合、記憶モジュール30は、其々の農薬及び/又は肥料の名称及び使用量だけでなく、使用された農薬の総量及び/又は肥料の総量を併せて記憶することも可能である。コンピュータ10は、後述する処理において、農薬及び/又は肥料の使用量を通知させる際、農薬の総量及び/又は肥料の総量を併せて通知させることも可能である。
【0054】
位置特定モジュール41は、記憶した第一位置情報と、第二位置情報とに基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報を、第三位置情報として特定するとともに、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報を、第四位置情報として特定する(ステップS17)。ステップS17において、位置特定モジュール41は、第一位置情報のうち、第二位置情報に該当しないものを、第三位置情報として特定する。一方、位置特定モジュール41は、第一位置情報のうち、第二位置情報に該当するものを、第四位置情報として特定する。その結果、コンピュータ10は、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置情報と、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置情報とを特定することになる。
【0055】
コンピュータ10は、上述した処理を、圃場の予め設定された領域又は圃場全体に対して実行する。例えば、コンピュータ10は、圃場全体に対して、撮影データを取得し、各撮影地点における作物の有無判断、作物の位置特定、対策データを取得し、農薬散布及び/又は施肥の有無判断、農薬散布及び/又は施肥の位置特定、農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物の位置特定及び農薬散布及び/又は施肥が行われた作物の位置特定を実行することになる。コンピュータ10は、全ての撮影データに対して処理が完了した時、後述する処理を実行することになる。
【0056】
マップ作成モジュール42は、特定した第三位置情報及び第四位置情報に基づいて、圃場において予め設定された領域又は圃場全体における農薬散布及び/又は施肥が行われていない作物と、農薬散布及び/又は施肥が行われた作物との位置を表示する作物マップを作成する(ステップS18)。ステップS18において、マップ作成モジュール42は、予め設定された領域又は圃場全体の全体マップを作成する。この全体マップは、予め設定された領域又は圃場全体の位置情報に基づいて作成する。例えば矩形の領域が設定されている場合、この矩形の各頂点の位置情報に基づいて、全体マップを作成する。マップ作成モジュール42は、全体マップにおいて、特定した第三位置情報及び第四位置情報に該当する位置に、作物アイコンを重畳させたものを作物マップとして作成する。この作物アイコンは、例えば、作物の識別子を示すテキストや、作物のイラストである。
【0057】
このとき、マップ作成モジュール42は、作物マップにおける第三位置情報に位置する作物に、農薬散布及び/又は施肥が行われていないことを示す非対策アイコンを重畳又は近傍に配置する。また、マップ作成モジュール42は、作物マップにおける第四位置情報に位置する作物に、農薬散布及び/又は施肥が行われたことを示す対策済アイコンを重畳又は近傍に配置する。この非対策アイコンは、例えば、「散布なし、施肥なし」といった農薬散布及び/又は施肥が行われていないことを示すテキストや、イラストや、囲み線である。また、この対策済アイコンは、例えば、「農薬散布済み、施肥済み、1リットル散布、」といった農薬散布及び/又は施肥が行われたことや、農薬散布量及び/又は施肥量や、農薬及び/又は肥料の名称といった農薬散布及び/又は施肥が行われたことを示すテキストや、イラストや、囲み線である。
【0058】
図4に基づいて、作物マップについて説明する。図4は、マップ作成モジュール42が作成する作物マップの一例を模式的に示した図である。図4において、マップ作成モジュール42が作成する作物マップ100は、作物アイコン110、非対策アイコン120、対策済アイコン130が全体マップに重畳されている。作物アイコン110、非対策アイコン120及び対策済アイコン130の全体マップにおける位置は、第三位置情報及び第四位置情報に基づいたものである。作物アイコン110は、この作物が存在する位置を示すものである。非対策アイコン120は、該当する作物が、農薬散布及び/又は施肥が行われていないことを示すものである。対策済アイコン130は、該当する作物が、農薬散布及び/又は施肥が行われたことを示すものである。非対策アイコン120は、作物アイコン110に重畳して配置し、対策済アイコン130は、作物アイコン110の近傍に配置している。
【0059】
なお、作物アイコン110、非対策アイコン120及び対策済アイコン130の形状、態様などは、上述したもので適宜変更可能である。また、非対策アイコン120及び対策済アイコン130の位置や表示態様は、適宜変更可能である。
【0060】
通知モジュール22は、特定した第三位置情報及び第四位置情報を、端末に通知させる(ステップS19)。ステップS19において、通知モジュール22は、作成した作物マップを、例えば、作業者端末、ドローン、農機具、高性能農業機械に通知させる。併せて、通知モジュール22は、端末に応じた機能を、作物マップに基づいて実行させる。通知モジュール22は、この作物マップを、端末に送信する。端末は、この作物マップを受信し、対応する機能を実行する。例えば、コンピュータ10は、作業者端末である場合、作業者端末の位置を作物マップに併せて表示させ、作業者に現在位置と、作物の位置とを通知させる。さらに、コンピュータ10は、各作物の農薬散布及び/又は施肥の有無や、農薬散布量及び/又は施肥量を併せて通知させる。また、例えば、コンピュータ10は、ドローンである場合、作物の位置と、各作物の農薬散布及び/又は施肥の有無や、農薬散布量及び/又は施肥量とを併せて通知させる。
【0061】
例えば、作業者端末である場合、作業者端末は、この作物マップを自身の表示部に表示するとともに、自身の位置情報を、この作物マップに合わせて表示する。このときの作業者端末の位置情報は、GPS等から取得したものである。作業者は、作物マップにおける自身の現在位置と、作物の位置と、非対策アイコンと、対策済みアイコンとを閲覧することにより、作物の収穫に際して、農薬散布及び/又は施肥が行われていないものや、農薬散布量及び/又は施肥量が表示されたものや、農薬散布及び/又は施肥が行われたものを識別することが可能となる。
【0062】
また、ドローンである場合、ドローンは、収穫時、この作物マップにおける位置情報に基づいて、農薬散布及び/又は施肥が行われていないものや、農薬散布量及び/又は施肥量が表示されたものや、農薬散布及び/又は施肥が行われたものを識別することが可能となる。
【0063】
以上が、作物収穫支援処理である。
【0064】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1 作物収穫支援システム、10 コンピュータ
図1
図2
図3
図4