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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】フィラーパイプの溶接方法とその装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/127 20060101AFI20220506BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20220506BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20220506BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B23K9/127 501A
B23K9/00 501L
B60K15/04 E
F02M37/00 301Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018021580
(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公開番号】P2019136731
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(72)【発明者】
【氏名】本田 浩平
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018446(JP,A)
【文献】特開平08-197248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/127
B23K 9/00
B60K 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接方法において、
上記フィラーパイプの入口部をパイプ保持ユニットで保持し、上記リテーナの本体部の所定位置に上記フィラーパイプの開口端が位置するように、上記フィラーパイプの入口部に上記リテーナを圧入し、
上記リテーナの圧入後に、上記フィラーパイプの開口端をセンサーで検知し、
上記センサーで検知した上記フィラーパイプの開口端の位置に対して、左右にそれぞれ設けられた溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、左右にそれぞれ設けられた溶接トーチの位置を上記フィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又は上記フィラーパイプの開口端に来るように移動させ、
左右の上記溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、上記センサーは少なくとも一方の上記保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられた上記センサーと上記溶接トーチは、同時に移動し、上記保持台に取付けられた上記センサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、上記保持台に取付けられた左右の上記溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられ、
上記フィラーパイプの開口端と上記リテーナの本体部を上記溶接トーチで溶着するフィラーパイプの溶接方法。
【請求項2】
上記センサーは、レーザービームを照射して上記フィラーパイプの開口端をセンサーで検知するか、又はデジタルカメラで撮影した画像で上記フィラーパイプの開口端を検知する請求項1に記載のフィラーパイプの溶接方法。
【請求項3】
上記センサーと上記溶接トーチが取付けられた上記保持台は、サーボモータで移動する請求項1又は請求項2に記載のフィラーパイプの溶接方法。
【請求項4】
上記フィラーパイプに上記リテーナを圧入した後に、上記フィラーパイプと上記リテーナを上記パイプ保持ユニットで回転させて上記フィラーパイプの開口端と上記リテーナの本体部を溶着する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフィラーパイプの溶接方法。
【請求項5】
車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接装置において、
該フィラーパイプの溶接装置は、上記フィラーパイプの入口部を保持するパイプ保持ユニットと、上記フィラーパイプの開口端と上記リテーナの本体部を溶着する溶接ユニットと、センサーユニットを有し、
上記溶接ユニットは、上記フィラーパイプの開口端の位置に対して左右にそれぞれ設けられた溶接トーチと、該溶接トーチを移動させるシリンダを有し、
上記センサーユニットは、上記フィラーパイプの開口端を検知するセンサーを有し、上記溶接トーチと上記センサーユニットは、一体的に移動可能に設けられ、
左右の上記溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、上記センサーユニットは少なくとも一方の上記保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられた上記センサーと上記溶接トーチは、同時に移動し、上記保持台に取付けられた上記センサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、上記保持台に取付けられた左右の上記溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられ、
上記パイプ保持ユニットで、上記フィラーパイプの入口部を保持し、
上記リテーナの本体部の所定位置に上記フィラーパイプの開口端が位置するように、上記フィラーパイプの入口部にリテーナクランプにより上記リテーナを圧入し
上記リテーナの圧入後に、上記フィラーパイプの開口端をセンサーで検知し、
上記センサーで検知した上記フィラーパイプの開口端の位置に基づき、溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、上記溶接トーチの位置を上記フィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又は上記フィラーパイプの開口端に来るように移動させ、
上記フィラーパイプの開口端と上記リテーナの本体部を溶着するフィラーパイプの溶接装置。
【請求項6】
上記センサーは、レーザービームを照射して上記フィラーパイプの開口端をセンサーで検知するか、又はデジタルカメラで撮影した画像で上記フィラーパイプの開口端を検知する請求項5に記載のフィラーパイプの溶接装置。
【請求項7】
上記センサーと上記溶接トーチが取付けられた上記保持台は、サーボモータで移動する請求項6に記載のフィラーパイプの溶接装置。
【請求項8】
上記フィラーパイプに上記リテーナを圧入した後に、上記フィラーパイプと上記リテーナを上記パイプ保持ユニットで回転させて上記フィラーパイプの開口端と上記リテーナの本体部を溶着する請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載のフィラーパイプの溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油口から自動車用燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプの入口部にリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、車体に設けられた車体給油口から自動車用燃料タンクへ燃料を注入するためにフィラーパイプ110が取付けられている。
フィラーパイプ110には、入口部112に給油ガン170の先端部71を挿入して燃料を注入している。
【0003】
このとき、給油ガン170を保持するとともに、燃料の流れを安定させるために、フィラーパイプ110の入口部112の内部にリテーナ120を設けて、リテーナ120の先端部分で、給油ガン170の先端部171を保持して、給油ガン70の先端部171が常に、同じ方向を向くようにしている。
【0004】
この場合には、フィラーパイプ110の入口部112にリテーナ120を固定する必要があり、フィラーパイプ110の入口部112にリテーナ120を圧入した後に、リテーナ120の本体部121とフィラーパイプ110を保持したまま回転させて、フィラーパイプ110の入口部112の開口端113とリテーナ120の本体部121を溶接している。
【0005】
しかしながら、フィラーパイプ110の入口部112にリテーナ120を圧入するときに、フィラーパイプ110の入口部112をクランプで保持しているが、リテーナ120の押圧力でフィラーパイプ110の入口部112の位置がずれてしまい、フィラーパイプ110の入口部112の開口端113及びリテーナ120の溶接のトーチの位置がずれて、溶接が不十分となる恐れがあった。
【0006】
また、図7に示すように、2個の筒状部材において、外側の筒状部材210の先端を内側の筒状部材220の本体部分221に溶接する装置において、溶接する位置である外側の筒状部材210の先端213の位置を補助装置250のレーザー光252で検出して、溶接トーチ251の先端の向きを調整装置で制御するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この場合には、補助装置250のレーザー光での検出と溶接トーチ251の先端の調整において、装置が複雑になり、手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-61503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、装置は簡単で、操作の手間も少ないフィラーパイプの溶接方法とその装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接方法において、
フィラーパイプの入口部をパイプ保持ユニットで保持し、リテーナの本体部の所定位置にフィラーパイプの開口端が位置するように、フィラーパイプの入口部にリテーナを圧入し、
リテーナの圧入後に、フィラーパイプの開口端をセンサーで検知し、
センサーで検知したフィラーパイプの開口端の位置に対して、左右にそれぞれ設けられた溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、左右にそれぞれ設けられた溶接トーチの位置をフィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又はフィラーパイプの開口端に来るように移動させ、
左右の溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、センサーは少なくとも一方の保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられたセンサーと溶接トーチは、同時に移動し、保持台に取付けられたセンサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、保持台に取付けられた左右の上記溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられ、
フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶接トーチで溶着するフィラーパイプの溶接方法である。
【0010】
請求項1の本発明では、車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接方法において、フィラーパイプの入口部をパイプ保持ユニットで保持し、リテーナの本体部の所定位置にフィラーパイプの開口端が位置するように、フィラーパイプの入口部にリテーナを圧入する。このため、フィラーパイプの入口部の内部にリテーナの本体部を挿入して、リテーナの本体部の所定位置にフィラーパイプの入口部の開口端が来るようにすることができる。
【0011】
リテーナの圧入後に、フィラーパイプの開口端をセンサーで検知するため、フィラーパイプの開口端を確実に検知することができる。
センサーで検知したフィラーパイプの開口端の位置に基づき、溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、溶接トーチの高さをフィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又はフィラーパイプの開口端に来るように移動させ、フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶接トーチで溶着する。

センサーで検知したフィラーパイプの開口端の位置に対して、左右にそれぞれ設けられた溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、左右にそれぞれ設けられた溶接トーチの位置をフィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又はフィラーパイプの開口端に来るように移動させ、
左右の溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、センサーは少なくとも一方の保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられたセンサーと溶接トーチは、同時に移動し、保持台に取付けられたセンサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、保持台に取付けられた左右の上記溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられ、フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶接トーチで溶着する。
【0012】
このため、センサーユニットの検知に基づき、溶接トーチ保持フレームを移動させることにより、センサーとともに溶接トーチも一体的にフィラーパイプの開口端の所定の位置に移動させることができ、溶接トーチによりフィラーパイプの開口端をリテーナの本体部の所定の位置に溶接することができ、溶接トーチの移動のための別の装置が不要となり、装置が簡単で手間も少なくなる。
左右の溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、センサーは少なくとも一方の保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられたセンサーと溶接トーチは、同時に移動し、保持台に取付けられたセンサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、保持台に取付けられた左右の上記溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられるため、センサーの検知位置と溶接トーチの先端の位置を予め設定しておくことができ、溶接トーチ保持フレームを移動させることにより、溶接トーチの先端の位置をフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部の溶接するための所定位置に置くことができる。
【0013】
請求項2の本発明は、センサーは、レーザービームを照射してフィラーパイプの開口端をセンサーで検知するか、又はデジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプの開口端を検知するフィラーパイプの溶接方法である。
【0014】
請求項2の本発明では、センサーは、レーザービームを照射してフィラーパイプの開口端をセンサーで検知する場合には、レーザービームの反射光を検知して、フィラーパイプの開口端を確実に検知することができる。
デジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプの開口端を検知する場合には、デジタルカメラで撮影した画像の画像認識によりフィラーパイプの開口端を確実に検知することができる。
【0017】
請求項3の本発明は、センサーと溶接トーチが取付けられた保持フレームは、サーボモータで移動するフィラーパイプの溶接方法である。
【0018】
請求項3の本発明では、センサーと溶接トーチが取付けられた保持フレームは、サーボモータで移動するため、センサーの検出結果に基づき、正確にセンサーと溶接トーチが取付けられた保持フレームを移動させることができ、溶接トーチの先端の位置をフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部の溶接するための所定位置に置くことができる。
【0019】
請求項4の本発明は、フィラーパイプにリテーナを圧入した後に、フィラーパイプとリテーナをパイプ保持ユニットで回転させてフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着するフィラーパイプの溶接方法である。
【0020】
請求項4の本発明では、フィラーパイプにリテーナを圧入した後に、フィラーパイプとリテーナをパイプ保持ユニットで回転させてフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着する。このため、フィラーパイプとリテーナをパイプ保持ユニットで回転させて、フィラーパイプとリテーナを全周に亘り所定位置に確実に溶接することができる。
【0021】
請求項5の本発明は、車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接装置において、
フィラーパイプの溶接装置は、フィラーパイプの入口部を保持するパイプ保持ユニットと、フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着する溶接ユニットと、センサーユニットを有し、
溶接ユニットは、フィラーパイプの開口端の位置に対して左右にそれぞれ設けられた溶接トーチと、溶接トーチを移動させるシリンダを有し、
センサーユニットは、フィラーパイプの開口端を検知するセンサーを有し、溶接トーチと上記センサーユニットは、一体的に移動可能に設けられ、
左右の溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、センサーユニットは少なくとも一方の保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられたセンサーと溶接トーチは、同時に移動し、保持台に取付けられたセンサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、保持台に取付けられた左右の溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられ、
パイプ保持ユニットで、フィラーパイプの入口部を保持し、
リテーナの本体部の所定位置にフィラーパイプの開口端が位置するように、フィラーパイプの入口部にリテーナクランプによりリテーナを圧入し
リテーナの圧入後に、フィラーパイプの開口端をセンサーで検知し、
センサーで検知したフィラーパイプの開口端の位置に基づき、溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、溶接トーチの位置をフィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又は記フィラーパイプの開口端に来るように移動させ、
フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着するフィラーパイプの溶接装置である。
【0022】
請求項5の本発明では、車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにリテーナを溶接するフィラーパイプの溶接装置において、フィラーパイプの溶接装置は、フィラーパイプの入口部を保持するパイプ保持ユニットと、フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着する溶接ユニットと、センサーユニットを有する。このため、フィラーパイプの入口部を保持して、フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部の溶接位置をセンサーユニットで検出して、溶接ユニットで溶接することができる。
【0023】
溶接ユニットは、フィラーパイプの開口端の位置に対して左右にそれぞれ設けられた溶接トーチと、溶接トーチを移動させるシリンダにより溶接トーチを前後方向に移動させることができる。また、リテーナクランプで保持したリテーナをフィラーパイプの入口部に圧入することができる。
【0024】
センサーユニットは、フィラーパイプの開口端を検知するセンサーを有し、溶接トーチとセンサーユニットは、一体的に移動可能に設けられているため、センサーの検知結果に基づき、溶接トーチとセンサーユニットをフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部の溶接場所に一緒に異動させることができる。
左右の溶接トーチは、それぞれ保持台に取付けられ、センサーユニットは少なくとも一方の保持台に設けられ、同じ保持台に取付けられたセンサーと溶接トーチは、同時に移動し、保持台に取付けられたセンサーは、センサーシリンダによりスライド可能に取付けられ、保持台に取付けられた左右の溶接トーチは、溶接トーチシリンダによりスライド可能に取付けられているため、センサーの検知位置と溶接トーチの先端の位置を予め設定しておくことができ、溶接トーチ保持フレームを移動させることにより、溶接トーチの先端の位置をフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部の溶接するための所定位置に置くことができる。
【0025】
パイプ保持ユニットで、フィラーパイプの入口部を保持し、リテーナの本体部の所定位置にフィラーパイプの開口端が位置するように、フィラーパイプの入口部にリテーナクランプによりリテーナを圧入する。このため、フィラーパイプの入口部の内部にリテーナの本体部を挿入して、リテーナの本体部の所定位置にフィラーパイプの入口部の開口端が来るようにすることができる。
【0026】
リテーナの圧入後に、フィラーパイプの開口端をセンサーで検知するため、フィラーパイプの開口端を確実に検知することができる。
センサーで検知したフィラーパイプの開口端の位置に基づき、溶接トーチ保持フレームの位置を移動させることにより、溶接トーチの位置をフィラーパイプの開口端から所定の寸法離れた位置、又はフィラーパイプの開口端に来るように移動させ、フィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶接トーチで溶着する。
【0027】
このため、センサーユニットの検知に基づき、溶接トーチ保持フレームを移動させることにより、センサーとともに溶接トーチも所定の位置に移動させることができ、フィラーパイプの開口端をリテーナの本体部の所定の位置に溶接することができ、溶接トーチの移動のための別の装置が不要となり、装置が簡単で手間も少なくなる。
【0028】
請求項6の本発明は、センサーは、レーザービームを照射してフィラーパイプの開口端をセンサーで検知するか、又はデジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプの開口端を検知するフィラーパイプの溶接装置である。
【0029】
請求項6の本発明では、センサーは、レーザービームを照射してフィラーパイプの開口端をセンサーで検知する場合には、レーザービームの反射光を検知して、フィラーパイプの開口端を確実に検知することができる。
デジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプの開口端を検知する場合には、デジタルカメラで撮影した画像の画像認識によりフィラーパイプの開口端を確実に検知することができる。
【0032】
請求項7の本発明は、センサーと溶接トーチが取付けられた保持フレームは、サーボモータで移動するフィラーパイプの溶接装置である。
【0033】
請求項7の本発明では、センサーと溶接トーチが取付けられた保持フレームは、サーボモータで移動するため、センサーの検出結果に基づき、正確にセンサーと溶接トーチが取付けられた溶接トーチ保持フレームを移動させることができ、溶接トーチの先端の位置をフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部の溶接するための所定位置に置くことができる。
【0034】
請求項8の本発明は、フィラーパイプにリテーナを圧入した後に、フィラーパイプとリテーナをパイプ保持ユニットで回転させてフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着すフィラーパイプの溶接装置である。
【0035】
請求項8の本発明は、フィラーパイプにリテーナを圧入した後に、フィラーパイプとリテーナをパイプ保持ユニットで回転させてフィラーパイプの開口端とリテーナの本体部を溶着すフィラーパイプの溶接装置である。
【発明の効果】
【0036】
センサーで検知したフィラーパイプの開口端の位置に基づき、溶接トーチ保持フレームを移動させることにより、センサーとともに溶接トーチも所定の位置に移動させることができ、フィラーパイプの開口端をリテーナの本体部の所定の位置に溶接することができ、溶接トーチの移動のための別の装置が不要となり、装置が簡単で手間も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施の形態を示すもので、フィラーパイプにリテーナを溶接する溶接装置の正面図である。
図2】本発明の実施の形態を示すもので、フィラーパイプにリテーナを溶接する溶接装置の平面図である。
図3】本発明の実施の形態を示すもので、フィラーパイプにリテーナを溶接する溶接装置の側面図である。
図4】本発明の実施の形態を示すもので、フィラーパイプにリテーナを溶接する溶接装置の溶接トーチとセンサーユニットの部分の拡大断面図である。
図5】本発明の実施の形態を示すもので、フィラーパイプにリテーナを溶接するリテーナとフィラーパイプの開口端の部分の拡大断面図である。
図6】フィラーパイプの入口部にリテーナを取付け、給油ガンを挿入した部分の断面図である。
図7】従来の2個の円筒状部材を溶接する溶接装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、自動車の車体に設けられた車体給油口から自動車用燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプ10に、リテーナ20を溶接するフィラーパイプ10の溶接方法とその装置に関するものである。フィラーパイプ10とリテーナ20は、金属で形成されている。
【0039】
まず、フィラーパイプ10とリテーナ20の形状について説明し、その後、リテーナ20とフィラーパイプ10の溶接について説明する。
図6に示すように、フィラーパイプ10の先端部分には、円筒状の入口部12が形成される。入口部12にはリテーナ20が取付けられている。入口部12から奥はフィラーパイプ10の本体部11になり、燃料タンクに連結されている。
【0040】
フィラーパイプ10の入口部12の先端は開口端13となっている。フィラーパイプ10の入口部12と本体部11の間は、本体部11側に行くにつれて徐々に径が小さくなりテーパー部14を形成している。
【0041】
リテーナ20は、円筒状の本体部21と、フィラーパイプ10の入口部12に挿入される先端部22と、給油ガン70が挿入される開口部23が形成されている。本体部21と開口部23の間は、ねじ部24が形成されて、ねじ部24には、フューエルキャップ(図示せず。)が取付けられている。
リテーナ20には給油ガン保持部材が取付けられる場合がある。
【0042】
図6で示すように、リテーナ20には、給油ガン70が挿入されて、給油ガン70の先端部71は、フィラーパイプ10の入口部12の奥まで挿入される。
リテーナ20は、その本体部21の部分において、フィラーパイプ10の入口部12の開口端13が溶接されている。
【0043】
次に、リテーナ20をフィラーパイプ10に溶接する溶接装置30について、図1図3に基づいて説明する。
図1に示すように、溶接装置30は、フィラーパイプ10を保持するパイプ保持ユニット40と、溶接する溶接ユニット50と、熔接位置を検知するセンサーユニット60を有している。
【0044】
パイプ保持ユニット40は、フィラーパイプ10の本体部11を図1における左右から挟持する2個のパイプ保持部材41と、パイプ保持部材41を図1における左右方向にスライドさせる2個のパイプ保持シリンダ42と、パイプ保持部材41とパイプ保持シリンダ42を取付けるパイプ保持台43を有する。
【0045】
溶接ユニット50は、リテーナ20をフィラーパイプ10に溶接する図1における左右の2個の溶接トーチ51と、図1における左右の2個の溶接トーチ51を保持する図1における左右の2個の溶接トーチ保持部材52と、溶接トーチ51及び溶接トーチ保持部材52を図1における左右方向にスライドさせる図1における左右の2個の溶接トーチ左右シリンダ53を有している。
【0046】
左右の2個の溶接トーチ保持部材52は、左右の溶接トーチ保持フレーム54にそれぞれ図1における左右方向にスライド可能に取付けられている。そのため、溶接トーチ左右シリンダ53により溶接トーチ51は、リテーナ20をフィラーパイプ10に溶接する場所に進退自在に取付けることができる。
さらに、溶接ユニット50は、溶接ユニットメインフレーム57に沿って溶接ユニットガイドレール57aにより溶接トーチ保持フレーム54が移動して、上下方向に移動できる。
【0047】
さらに、図3に示すように、リテーナクランプ55は、リテーナクランプシリンダ56及びリテーナクランプシャフト56aにより上下方向に移動可能に取付けられている。なお、溶接トーチ保持フレーム54は、図3に示すように、溶接ユニットメインフレーム57に上下方向に摺動可能に取付けられている。
【0048】
また、図3に示すように、リテーナクランプ55は、リテーナ20を保持して、リテーナ圧入シリンダ58とリテーナ圧入シャフト58aにより、リテーナ圧入フレーム58bを図1図3における上下方向に移動することにより、リテーナクランプ55とリテーナ20が上下方向に移動させることができる。このため、リテーナ20をフィラーパイプ10の入口部12に圧入することができる。
【0049】
次に、センサーユニット60について説明する。センサーユニット60は、図1図2に示すように、溶接トーチ保持部材52に溶接トーチ51に隣接して取付けられている。センサーユニット60は、熔接位置を検知するセンサー61と、センサー61をスライドさせるセンサーシリンダ62と、センサーシリンダ62を溶接トーチ保持部材52に取付けるセンサー吊下げフレーム63を有している。
【0050】
このため、リテーナ20をフィラーパイプ10の入口部12に圧入後に、センサーシリンダ62によりセンサー61がリテーナ20とフィラーパイプ10に近接して、溶接位置であるフィラーパイプ10の開口端13をセンサー61で検知する。そして、溶接トーチ51とセンサー61を一緒に上下方向に移動させることができる。
【0051】
溶接トーチ51とセンサー61が取付けられた溶接トーチ保持フレーム54は、サーボモータを使用して移動させることができる。この場合には、センサー61の検出結果に基づき、正確にセンサー61と溶接トーチ51が取付けられた溶接トーチ保持フレーム54を移動させることができ、溶接トーチ51の先端の位置をフィラーパイプ10の開口端13とリテーナ20の本体部21の溶接するための所定位置に置くことができる。
【0052】
また、フィラーパイプ10を保持するパイプ保持台43を上下させることにより、フィラーパイプ10の先端を所定位置に置くことができる。
溶接トーチ51の先端の所定の位置とは例えば、フィラーパイプ10の開口端13より数mm程度上方である。この位置により、フィラーパイプ10とリテーナ20を確実に、適切な溶接幅を有して溶接することができる。
【0053】
センサー61は、レーザービームを照射してフィラーパイプ10の開口端13をセンサー61で検知するか、又はデジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプ10の開口端13を検知することができる。
レーザービームを照射して検知する場合には、レーザービームの反射光を検知して、フィラーパイプ10の開口端13を確実に検知することができ、デジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプ10の開口端13を検知する場合には、デジタルカメラで撮影した画像の画像認識によりフィラーパイプ10の開口端13を確実に検知することができる。
【0054】
次に、図1図4に基づき、溶接装置30を使用してフィラーパイプ10とリテーナ20の溶接方法について説明する。
まず、図1図3に示すように、フィラーパイプ10の入口部12をパイプ保持ユニット40のパイプ保持部材41で挟持する。パイプ保持部材41は、パイプ保持シリンダ42によりスライドして、フィラーパイプ10の入口部12を保持することができる。
なお、フィラーパイプ10のテーパー部14は、フィラーパイプ10に取付けられる他のパイプ類があるため、テーパー部14をパイプ保持部材41で保持することができない。
【0055】
次に、溶接ユニット50のリテーナクランプシリンダ56により、リテーナクランプ55でリテーナ20の本体部21を挟持する。そして、リテーナ圧入シリンダ58を作動させて、リテーナ圧入フレーム58bを下降させて、リテーナクランプ55とリテーナ20を下降させて、リテーナ20をフィラーパイプ10の入口部12に圧入する。
【0056】
これにより、図5の上下方向に矢印に示すように、フィラーパイプ10の入口部12の内部にリテーナ20の本体部21を挿入して、リテーナ20の本体部21の所定位置である本体部21の中央付近にフィラーパイプ10の入口部12の開口端13が来るようにすることができる。
この時、リテーナ20の圧入力により、フィラーパイプ10の入口部12は、図5の横方向の矢印に示すようにパイプ保持部材41で挟持されているが、パイプ保持部材41内で下方にずれる場合がある。
【0057】
次に、図4に示すように、溶接トーチ51とセンサーユニット60のセンサー61が溶接部分であるフィラーパイプ10の入口部12の開口端13付近に近接する。
そして、センサー61がフィラーパイプ10の開口端13の位置を検知する。
センサー61で検知したフィラーパイプ10の開口端13の位置に基づき、センサー61の位置を溶接トーチ上下シリンダ59により移動させることにより、溶接トーチ51の高さをフィラーパイプ10の開口端13から所定の寸法離れた位置に来るように移動させ、フィラーパイプ10の開口端13とリテーナ20の本体部21を溶接トーチ51で溶着する。なお、溶接トーチ51の高さをフィラーパイプ10の開口端13の位置に来るように移動させる場合もある。
【0058】
センサー61と溶接トーチ51は、同じ溶接トーチ保持フレーム54に取付けられているため、センサー61を移動させることにより、センサー61とともに溶接トーチ51も所定の位置に移動させることができ、センサー61が検知したフィラーパイプ10の開口端13の位置に基づき、溶接トーチ51の先端が所定の溶接位置に来るように、溶接トーチ保持フレーム54を上下させる。
【0059】
このように、センサー61を移動させることにより、センサー61とともに溶接トーチ51も所定の位置に移動させることができ、フィラーパイプ10の開口端13をリテーナ20の本体部21の所定の位置に溶接することができ、溶接トーチ51の移動のための別の装置が不要となり、装置が簡単で手間も少なくなる。
【0060】
センサー61は、レーザービームを照射してフィラーパイプ10の開口端13をセンサーで検知するか、又はデジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプ10の開口端13を検知することができる。
レーザービームを照射してフィラーパイプ10の開口端13をセンサー61で検知する場合には、レーザービームの反射光を検知して、フィラーパイプ10の開口端13を確実に検知することができる。
デジタルカメラで撮影した画像でフィラーパイプ10の開口端13を検知する場合には、デジタルカメラで撮影した画像の画像認識によりフィラーパイプ10の開口端13を確実に検知することができる。
【0061】
センサー61と溶接トーチ51が取付けられた溶接トーチ保持フレーム54は、サーボモータで駆動する溶接トーチ上下シリンダ59を上下させて移動させることができる。この場合には、センサー61の検出結果に基づき、正確にセンサー61と溶接トーチ51が取付けられた溶接トーチ保持フレーム54を移動させることができ、溶接トーチ51の先端の位置をフィラーパイプ10の開口端13とリテーナ20の本体部21の溶接するための所定位置に置くことができる。
【0062】
図4に示すように、フィラーパイプ10にリテーナ20を圧入した後に、溶接トーチ左右シリンダ53により、溶接トーチ51が所定の位置に達すると、フィラーパイプ10とリテーナ20をパイプ保持ユニット40のパイプ保持台43で回転させてフィラーパイプ10の開口端13とリテーナ20の本体部21を溶着する。このようにして、フィラーパイプ10とリテーナ20を全周に亘り所定の幅で、確実に溶接することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 フィラーパイプ
11 本体部
13 開口端
20 リテーナ
21 本体部
30 溶接装置
40 パイプ保持ユニット
50 溶接ユニット
51 溶接トーチ
60 センサーユニット
61 センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7