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特許7066266ナビゲーション装置および走行経路案内方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置および走行経路案内方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20220506BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220506BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220506BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018036739
(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公開番号】P2019152489
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】青砥 秀和
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-026717(JP,U)
【文献】国際公開第2007/145190(WO,A1)
【文献】特開2004-309224(JP,A)
【文献】特開2008-096268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの走行経路を設定する走行経路設定手段と、
前記走行経路上の分岐地点における分岐に関する案内画像を作成する案内画像作成手段と、
前記分岐地点までの距離が第1の値となったときに前記案内画像を表示する案内画像表示手段と、
前記案内画像表示手段によって前記案内画像を表示中に、前記走行経路上であって、前記分岐地点よりも手前にある分岐可能地点が接近したときに、この分岐可能地点を通過するまで、前記案内画像表示手段による前記案内画像の表示態様を変更する表示態様変更手段と、
を備え、前記案内画像は、前記分岐地点における道路の接続状態とこの分岐地点における自車両の進入方向とが目視可能な画像であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示態様変更手段は、前記分岐可能地点までの距離が第2の値となったときに、前記案内画像の表示態様を変更することを特徴とする請求項に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示態様変更手段は、前記分岐可能地点を通過するまで前記案内画像を非表示とすることにより、前記案内画像の表示態様を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示態様変更手段は、前記分岐可能地点を通過するまで前記案内画像の輝度、明度、色の少なくとも一つを変更して視認性を低下させることにより、前記案内画像の表示態様を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示態様変更手段は、前記走行経路を走行中の自車両が前記分岐可能地点において進入可能な道路の向きに、前記分岐地点において進行予定の向きが含まれる場合に、前記案内画像の表示態様を変更することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
目的地までの走行経路を自車両が走行中に、前記走行経路上の分岐地点における分岐に関する案内を行う走行経路案内方法であって、
前記走行経路上の分岐地点における分岐に関する案内画像を案内画像作成手段によって作成する案内画像作成ステップと、
前記分岐地点までの距離が所定値となったときに前記案内画像を案内画像表示手段によって表示する案内画像表示ステップと、
前記走行経路上であって、前記分岐地点よりも手前にある分岐可能地点が接近したときに、この分岐可能地点を通過するまで、前記案内画像表示手段による前記案内画像の表示態様を表示態様変更手段によって変更する表示態様変更ステップと、
を有し、前記案内画像は、前記分岐地点における道路の接続状態とこの分岐地点における自車両の進入方向とが目視可能な画像であることを特徴とする走行経路案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行経路上の分岐を案内するナビゲーション装置および走行経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車両が右左折等する分岐地点より手前に直進で通過する別の交差点が存在する場合に、この直進交差点と分岐地点との間の距離dxに応じて、案内を行うタイミングを変更するようにした車両用経路誘導装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用経路誘導装置では、所定値daよりも距離dxが長い場合(ケース1)には所定値daの地点Aを自車両が通過した際に案内を行い、距離dxが所定値da以下であるが所定値db(<da)以上の場合(ケース2)には直進交差点を通過した際に案内を行い、距離dxが所定値dbよりも短い場合(ケース3)には所定値dbの地点Bを自車両が通過した際に案内を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-27569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献に開示された車両用経路誘導装置では、分岐地点と直進交差点との間の距離dxが長いケース1の場合には適切なタイミングで分岐の案内を行うことができるが、距離dxが短いケース2の場合には通常のタイミング(ケース1の場合)に比べて案内のタイミングが遅くなるとともに、距離dxに応じて案内のタイミングが変動することによる混乱が生じるおそれがあるという問題があった。また、距離dxが極端に短いケース3の場合には直進交差点に到達する前に案内が行われることになるため、案内の後に通過する直進交差点で誤って分岐するおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、分岐案内のタイミングの変動を抑制するとともに、分岐案内のタイミングが不適切であることによる誤った分岐を回避することができるナビゲーション装置および走行経路案内方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、目的地までの走行経路を設定する走行経路設定手段と、走行経路上の分岐地点における分岐に関する案内画像を作成する案内画像作成手段と、分岐地点までの距離が第1の値となったときに案内画像を表示する案内画像表示手段と、案内画像表示手段によって案内画像を表示中に、走行経路上であって、分岐地点よりも手前にある分岐可能地点が接近したときに、この分岐可能地点を通過するまで、案内画像表示手段による案内画像の表示態様を変更する表示態様変更手段とを備えている。
【0007】
また、本発明の走行経路案内方法は、目的地までの走行経路を自車両が走行中に、走行経路上の分岐地点における分岐に関する案内を行う走行経路案内方法であって、走行経路上の分岐地点における分岐に関する案内画像を案内画像作成手段によって作成する案内画像作成ステップと、分岐地点までの距離が所定値となったときに案内画像を案内画像表示手段によって表示する案内画像表示ステップと、走行経路上であって、分岐地点よりも手前にある分岐可能地点が接近したときに、この分岐可能地点を通過するまで、案内画像表示手段による案内画像の表示態様を表示態様変更手段によって変更する表示態様変更ステップとを有している。
【0008】
分岐地点までの距離が第1の値となったときに案内画像を表示して分岐の案内を行うことにより、分岐案内のタイミングの変動を抑制することができる。また、分岐案内開始後に分岐可能地点を通過する際に、その手前から通過するまで案内画像の表示態様を変更することにより、案内画像表示の開始タイミングが早すぎることによって分岐可能地点における誤った分岐を回避することが可能となる。
【0009】
また、上述した案内画像は、分岐地点における道路の接続状態とこの分岐地点における自車両の進入方向とが目視可能な画像である。このような案内画像を用いて分岐地点における進行方向を案内する場合であっても、分岐可能地点を通過する際に案内画像の表示態様を変更することによって、この分岐可能地点が案内画像に対応する分岐地点とは異なることがわかるため、分岐可能地点における誤った分岐を確実に防止することができる。
【0010】
また、上述した表示態様変更手段は、分岐可能地点までの距離が第2の値となったときに、案内画像の表示態様を変更することが望ましい。案内画像の表示態様を変更する距離を一定することにより、次に通過する分岐可能地点において分岐せずに直進することを自車両の運転者に確実に伝えることができる。
【0011】
また、上述した表示態様変更手段は、分岐可能地点を通過するまで案内画像を非表示とすることにより、案内画像の表示態様を変更することが望ましい。あるいは、上述した表示態様変更手段は、分岐可能地点を通過するまで案内画像の輝度、明度、色の少なくとも一つを変更して視認性を低下させることにより、案内画像の表示態様を変更することが望ましい。このような表示態様の変更を行うことにより、変更前の表示状態と変更時の表示状態との違いを明確にすることができる。
【0012】
また、上述した表示態様変更手段は、走行経路を走行中の自車両が分岐可能地点において進入可能な道路の向きに、分岐地点において進行予定の向きが含まれる場合に、案内画像の表示態様を変更することが望ましい。これにより、案内画像にしたがって誤って分岐するおそれのない(あるいは少ない)分岐可能地点については、通過の際に案内画像の表示態様を変更しないため、表示態様の変更による案内画像の視認性低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
図2】設定された誘導経路に沿って目的地に向かって走行中に主に経路誘導処理部によって行われる案内画像の表示動作を示す流れ図である。
図3】高速道路走行中における拡大案内画像の表示例を示す図である。
図4】拡大案内画像の表示態様変更の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、地図データ記憶装置3、操作部4、車両位置検出部5、表示装置6、オーディオ部7を含んで構成されている。このナビゲーション装置は、車両に搭載されている。
【0016】
ナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより、自車位置周辺の地図画像表示動作や施設検索動作、経路探索・誘導動作などの各種機能を実現する。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0017】
地図データ記憶装置3は、地図表示、施設検索、経路探索、経路誘導などに必要な地図データが格納されている記憶媒体およびその読み取り装置である。この地図データ記憶装置3には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。地図データ記憶装置3は、ハードディスク装置や半導体メモリによって、あるいは、DVDとその読み取り装置によって実現される。また、地図データ記憶装置3を通信装置に置き換えて、外部の地図配信サーバ(図示せず)から地図データを取得するようにしてもよい。
【0018】
操作部4は、利用者の指示(操作)を受け付けるためのものであり、各種の操作ボタンや操作つまみ類を備えている。また、操作部4は、表示装置6の画面に取り付けられたタッチパネルを含んでおり、画面上の一部を直接利用者が指等で指し示すことにより、操作指示を行うことができるようになっている。車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで車両位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。
【0019】
表示装置6は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、ナビゲーションコントローラ1から出力される映像信号に基づいて自車位置周辺の地図画像や、目的地までの走行経路や分岐地点における拡大案内画像などを表示する。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声などを車室内に出力する。
【0020】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置計算部20、経路探索処理部22、経路誘導処理部24、目的地設定部30、入力処理部50、表示処理部60を含んで構成されている。
【0021】
地図バッファ10は、地図データ記憶装置3から読み出された地図データを一時的に格納する。地図読出制御部12は、車両位置計算部20により算出される車両位置や利用者が操作部4を操作して指定した位置に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求を地図データ記憶装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、表示装置6に地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。
【0022】
車両位置計算部20は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて自車位置を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0023】
経路探索処理部22は、経路探索処理を行って、出発地と目的地との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路(誘導経路)を探索する。経路誘導処理部24は、経路探索処理部22によって得られた走行経路に沿って自車両の走行案内を行う経路誘導処理を行う。このために、経路誘導処理部24は、誘導経路画像作成部40、案内画像作成部42、案内画像表示判定部44、表示態様変更部46、案内音声出力部48を有している。
【0024】
誘導経路画像作成部40は、経路探索処理部22による経路探索処理によって得られた走行経路であって経路誘導動作中に地図上に重ねて表示する走行経路を表す誘導経路画像や、経路誘導動作中であって高速道路走行時に自車位置前方のインターチェンジやパーキングエリア、サービスエリア等を案内するために地図画像とともに分割表示する高速道路案内画像などを作成する。
【0025】
案内画像作成部42は、経路探索処理部22による経路探索処理によって得られた走行経路上の分岐地点に関する拡大案内画像を作成する。この拡大案内画像は、次に通過する直近の分岐地点における道路の接続状態と自車が進行する方向とが目視可能な(見ることで確認可能な)画像で示すものである。この分岐地点には、一般道路における右左折交差点や高走行道路におけるインターチェンジやジャンクションなどが含まれる。
【0026】
案内画像表示判定部44は、案内画像作成部42によって作成された拡大案内画像の表示タイミングを判定する。具体的には、案内画像表示判定部44は、経路誘導動作中に自車位置から次の分岐地点までの距離が第1の値になったときから分岐地点を通過するまでの表示タイミングとして判定する。第1の値は、自車が走行中の道路の種類によって異なる値が用いられる。例えば、高走行道路の場合には第1の値として1kmが用いられ、一般道路の場合には第1の値として300mが用いられる。案内画像表示判定部44は、表示タイミングである旨の判定を行うと、案内画像作成部42によって作成された拡大案内画像を表示処理部60に入力する。これにより、表示画面の一部に拡大案内画像が表示される。
【0027】
表示態様変更部46は、経路誘導動作中であって拡大案内画像を表示中に、次の分岐地点よりも手前にある分岐可能地点が接近したときに、この分岐可能地点を通過するまで、表示中の拡大案内画像の表示態様を変更する。ここで、分岐可能地点とは、経路探索処理部22によって設定された走行経路(誘導経路)上であって、自車位置から次の分岐地点に至るまでに存在し、分岐が指示されていない交差点等である。例えば、一般道路の場合には直進で通過する交差点などや、高速道路の場合には本線を走行中に利用せずに通過するインターチェンジやジャンクションなどが分岐可能地点に該当する。表示態様の変更方法としてはいくつかの場合が考えられる。例えば、拡大案内画像の表示状態を表示中から非表示に変更する場合や、表示中の拡大案内画像の輝度、明度、色の少なくとも一つを視認性が低下するように変更する(輝度や明度を低下させたり、色をそれまでよりも暗くしたり、多色表示からグレー表示にする)場合などが考えられる。
【0028】
案内音声出力部48は、経路探索処理部22によって設定された走行経路(誘導経路)に沿って車両の走行を案内する案内音声データを生成する。この案内音声データは、オーディオ部7に入力され、対応する案内音声がスピーカ(図示せず)から車室内に出力される。
【0029】
目的地設定部30は、経路探索処理部22によって行われる経路探索処理に必要な目的地を設定する。例えば、施設検索部(図示せず)による検索によって抽出された施設を目的地として設定する場合や、利用者が操作部4を操作して直接指定した地図画像上の地点を目的地として設定する場合などが考えられる。
【0030】
入力処理部50は、操作部4から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。
【0031】
表示処理部60は、地図描画部14によって作成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像を表示装置6の画面に表示する。また、経路誘導処理部24によって作成された誘導経路画像や高速道路案内画像、拡大案内画像を示す描画データが入力されると、表示処理部60は、この誘導経路画像を地図画像に重ねて表示装置6の画面に表示したり、誘導経路画像が重ねられた地図画像と高速道路案内画像や拡大案内画像をを並べて表示装置6の画面に表示する。
【0032】
上述した経路探索処理部22が走行経路設定手段に、案内画像作成部42が案内画像作成手段に、案内画像表示判定部44、表示処理部60が案内画像表示手段に、表示態様変更部46が表示態様変更手段にそれぞれ対応する。
【0033】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。
【0034】
図2は、設定された誘導経路に沿って目的地に向かって走行中に主に経路誘導処理部24によって行われる案内画像の表示動作を示す流れ図である。
【0035】
案内画像表示判定部44は、経路誘導動作中(ルート案内中)か否かを判定しており(ステップ100)、経路誘導動作中でない場合には否定判断を行って、経路誘導動作が開始されるまでこの判定を繰り返す。また、経路誘導動作中の場合にはステップ100の判定において肯定判断が行われる。
【0036】
次に、案内画像表示判定部44は、走行中の道路の種別(高速道路/一般道路)を判定する(ステップ102)。自車両が高速道路を走行中の場合には、案内画像表示判定部44は、次の分岐地点(目的地に向かうために分岐が必要な次のインターチェンジやジャンクション)まで1km(高速道路に対応する第1の値)以内になったか否かを判定する(ステップ104)。自車位置から次の分岐地点まで1kmより離れている場合には否定判断が行われ、ステップ100に戻って経路誘導動作中か否かの判定が繰り返される。
【0037】
一方、自車両が一般道路を走行中の場合には、案内画像表示判定部44は、次の分岐地点(目的地に向かうために分岐が必要な次の交差点)まで300m(一般道路に対応する第1の値)以内になったか否かを判定する(ステップ106)。自車位置から次の分岐地点まで300mより離れている場合には否定判断が行われ、ステップ100に戻って経路誘導動作中か否かの判定が繰り返される。
【0038】
また、次の分岐地点まで第1の値以下になった場合にはステップ104の判定あるいはステップ106の判定において肯定判断が行われる。次に、案内画像作成部42は、次に通過する直近の分岐地点における道路の接続状態と自車が進行する方向とを運転者に案内するための拡大案内画像を作成し、案内画像表示判定部44は、この拡大案内画像を表示処理部60に入力する。これにより、表示装置6の画面上に拡大案内画像が表示される(ステップ108)。
【0039】
次に、表示態様変更部46は、誘導経路に沿って自車位置から拡大案内画像表示の対象となっている次の分岐地点までの間に他の分岐可能地点が存在するか否かを判定する(ステップ110)。存在する場合には肯定判断が行われる。次に、表示態様変更部46は、分岐可能地点に接近したか否かを判定する(ステップ112)。例えば、自車位置から次の分岐可能地点までの距離が第2の値(例えば100m)になったときに接近した旨の判定が行われる。この場合にはステップ112の判定において肯定判断が行われる。
【0040】
次に、表示態様変更部46は、案内画像作成部42および/または案内画像表示判定部44に指示を送って、表示中の拡大案内画像の表示態様を変更する(ステップ114)。例えば、案内画像表示判定部44に指示を送って表示中の拡大案内画像を非表示にしたり、案内画像作成部42に指示を送って拡大案内画像の輝度、明度、色などを変更することにより、拡大案内画像の表示態様が変更される。
【0041】
次に、表示態様変更部46は、自車両が分岐可能地点を通過したか否かを判定する(ステップ116)。未通過の場合には否定判断が行われ、ステップ114に戻って拡大案内画像の表示態様の変更が継続される。また、自車両が分岐可能地点を通過した場合にはステップ116の判定において肯定判断が行われる。次に、表示態様変更部46は、案内画像作成部42および/または案内画像表示判定部44に指示を送って、拡大案内画像の表示態様を元に戻す(ステップ118)。その後、ステップ110に戻って、分岐可能地点の有無判定以降の動作が繰り返される。
【0042】
また、自車位置と次の分岐地点の間に分岐可能地点が存在しない場合(ステップ110の判定において否定判断)や、分岐可能地点は存在するが自車両が接近していない場合(ステップ112の判定において否定判断)には、次に、案内画像表示判定部44は、自車両が分岐地点を通過したか否かを判定する(ステップ120)。未通過の場合には否定判断が行われ、ステップ108に戻って、拡大案内画像表示が継続される。
【0043】
また、自車両が分岐地点を通過した場合にはステップ120の判定において肯定判断が行われる。次に、案内画像表示判定部44は、表示処理部60に対する拡大案内画像の入力を終了させるなどして拡大案内画像の表示を終了する(ステップ122)。その後、ステップ100に戻って経路誘導動作中か否かの判定が繰り返される。
【0044】
図3は、高速道路走行中における拡大案内画像の表示例を示す図である。高速道路(首都高)を走行中であって、次の分岐地点である銀座出口(銀座IC)までの距離が1km以内になると、この銀座出口において左側に進入する道路があることとこの道路に進入することが示された拡大案内画像が右側領域に表示される(図3(A))。図3に示す例では、この時点における自車位置と次の分岐地点である銀座出口との間に、分岐可能地点として京橋ジャンクション(JCT)が存在する。なお、図3(A)の左側領域の地図画像において点線で誘導経路が示されている。
【0045】
自車両の走行位置が進んで、次の分岐可能地点である京橋ジャンクションまでの距離が100m以内になると、それまで表示されていた銀座出口に関する拡大案内画像の表示が一時的に中止される(非表示状態になる、図3(B))。図3に示す例では、拡大案内画像が表示されていないときには、画面の左側領域に誘導経路を含む地図画像が表示され、右側領域に高速道路案内画像が表示されており、拡大案内画像が非表示状態になると、それまで表示されていた高速道路案内画像(表示内容は自車位置の進行に伴って更新される)が再び表示される。
【0046】
さらに自車両の走行位置が進んで、次の分岐可能地点である京橋ジャンクションを通過すると、再び次の分岐地点である銀座出口に関する拡大案内画像の表示が再開される(図3(C))。
【0047】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、分岐地点までの距離が第1の値(例えば、高速道路については1km、一般道路については300m)となったときに分岐地点に関する拡大案内画像を表示して分岐の案内を行うことにより、分岐案内のタイミング(開始タイミング)の変動を抑制することができる。また、分岐案内開始後(拡大案内画像表示開始後)に分岐可能地点を通過する際に、その手前から通過するまで拡大案内画像の表示態様を変更することにより、拡大案内画像表示の開始タイミングが早すぎることによって分岐可能地点における誤った分岐を回避することが可能となる。
【0048】
また、分岐地点に関する拡大案内画像を、分岐地点における道路の接続状態とこの分岐地点における自車両の進入方向とが目視可能な画像としており、このような拡大案内画像を用いて分岐地点における進行方向を案内する場合であっても、分岐可能地点を通過する際に拡大案内画像の表示態様を変更することによって、この分岐可能地点が拡大案内画像に対応する分岐地点とは異なることがわかるため、分岐可能地点における誤った分岐を確実に防止することができる。
【0049】
また、分岐可能地点までの距離が第2の値(例えば100m)となったときに、拡大案内画像の表示態様を変更しており、拡大案内画像の表示態様を変更する距離を一定とすることにより、次に通過する分岐可能地点において分岐せずに直進することを自車両の運転者に確実に伝えることができる。なお、高速道路と一般道路などの道路種別ごとに異なる第2の値を設定するようにしてもよく、この場合であっても、各道路種別毎に第2の値が一定であるといえる。
【0050】
また、拡大案内画像の表示態様を変更する具体例として、拡大案内画像を非表示にする場合が考えられ、このような表示態様の変更を行うことにより、変更前の表示状態と変更時の表示状態との違いを明確にすることができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した図3(B)には、拡大案内画像を非表示にすることにより表示態様を変更する例を示したが、図4に示すように、拡大案内画像の表示状態を維持しながら、拡大案内画像全体の輝度、明度、色の少なくとも一つを視認性を低下させる方向に変更することで表示態様を変更するようにしてもよい。このような表示態様の変更を行った場合であっても、変更前の表示状態と変更時の表示状態との違いを明確にすることができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、誘導経路に沿って自車位置から拡大案内画像表示の対象となっている次の分岐地点までの間に他の分岐可能地点が存在するか否かを判定する場合(図3のステップ110)に、分岐可能地点の形状(道路の接続情報)について特に条件を付けなかったが、誘導経路を走行中の自車両が分岐可能地点において進入可能な道路の向きに、分岐地点において進行予定の向きが含まれる場合の分岐可能地点のみについて拡大案内画像の表示態様を変更するようにしてもよい。例えば、一般道路を走行中の場合を考えた場合であって次の分岐地点において右折する場合を想定すると、次の分岐地点までの間に左折のみが可能な分岐可能地点としての交差点(T字路)が存在しても、分岐地点に関する拡大案内画像を見ても、このT字路で誤って左折してしまうおそれはない。このような分岐可能地点を図3のステップ110の判定対象から除外しても特に不都合はなく、むしろ、表示態様の変更による拡大案内画像の視認性低下を最小限に抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上述したように、本発明によれば、分岐地点までの距離が第1の値となったときに案内画像を表示して分岐の案内を行うことにより、分岐案内のタイミングの変動を抑制することができる。また、分岐案内開始後に分岐可能地点を通過する際に、その手前から通過するまで案内画像の表示態様を変更することにより、案内画像表示の開始タイミングが早すぎることによって分岐可能地点における誤った分岐を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 ナビゲーションコントローラ
3 地図データ記憶装置
4 操作部
5 車両位置検出部
6 表示装置
7 オーディオ部
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 車両位置計算部
22 経路探索処理部
24 経路誘導処理部
30 目的地設定部
40 誘導経路画像作成部
42 案内画像作成部
44 案内画像表示判定部
46 表示態様変更部
48 案内音声出力部
50 入力処理部
60 表示処理部
図1
図2
図3
図4