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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】直列ユニット
(51)【国際特許分類】
   G04G 5/00 20130101AFI20220506BHJP
   G04R 20/20 20130101ALI20220506BHJP
   G04R 20/08 20130101ALI20220506BHJP
【FI】
G04G5/00 J
G04R20/20
G04R20/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018155554
(22)【出願日】2018-08-22
(65)【公開番号】P2020030098
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】大澤 雄二
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-15408(JP,A)
【文献】特開平5-102889(JP,A)
【文献】特開昭61-127214(JP,A)
【文献】実開昭58-26242(JP,U)
【文献】特開2014-202710(JP,A)
【文献】特開2007-132860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00 - 99/00
G04R 20/00 - 60/14
H03H 7/48
H04B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻情報を抽出可能なデジタル放送信号を含む放送信号が入力される入力端子と、
該入力端子とラインで接続されて入力された前記放送信号を出力する出力端子と、
前記デジタル放送信号を受信して時刻情報を抽出するチューナ手段と、
該チューナ手段からの時刻情報からタイムコードを作成し、作成したタイムコードを輻射するための電波信号を生成する時間情報処理部と、
該時間情報処理部で生成された前記電波信号を輻射する輻射アンテナと、
前記チューナ手段と、前記時間情報処理部に電源を供給する電源部と、
前記ラインに一端が接続された、チョークコイルと、前記デジタル放送信号と異なる周波数帯域の放送信号に自己共振する空芯コイルと、インダクタとの直列回路とを備え、
前記直列回路の他端が前記電源部の電源が供給される端子に接続され、前記空芯コイルと前記インダクタとの接続点からコンデンサを介して前記チューナ手段に前記デジタル放送信号が供給されることを特徴とする直列ユニット。
【請求項2】
前記入力端子および前記出力端子とが固着され、前記チューナ手段と前記時刻情報処理部と前記電源部と前記直列回路とが内蔵されるシールドケースをさらに備え、
該シールドケースを貫通して設けられた貫通コンデンサを介して前記電波信号が前記輻射アンテナに供給されることを特徴とする請求項1に記載の直列ユニット。
【請求項3】
前記輻射アンテナを内蔵する樹脂ケースが、前記シールドケースに固着されていることを特徴とする請求項2に記載の直列ユニット。
【請求項4】
前記輻射信号の周波数は、40kHzと60kHzとのいずれかを選択可能とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の直列ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波時計の時刻情報の補正を行える時刻情報輻射機能を備える直列ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長波の標準電波信号に基づく時刻の自動修正システムが実用化されている。このシステムでは、情報通信研究機構(NICT)の標準電波施設から国家標準の高い精度の周波数および時刻とされているコールサインがJJYとされた長波の標準電波信号が発信されている。この標準電波信号を受信することにより、電波時計等の各種機器において時刻を自動修正することができる。
この長波の標準電波信号は、おおたかどや山標準電波送信所から40kHzの標準電波信号が東日本地域に送信されており、はがね山標準電波送信所から60kHzの標準電波信号が西日本地域に送信されている。この標準電波信号では、時、分、通算日、年、曜日等のタイムコードが送信されている。そこで、受信側では、受信したタイムコードを用いて標準時刻を確定することができ、これに基づいて時計の時刻を自動修正することができるようになる。
【0003】
ところで、標準電波信号は長波とされて波長が長いことからビル等の内部には伝播されず、ビルや地下の内部に設けられた電波時計等は標準電波信号を受信することが困難となる。すなわち、ビルや地下の内部に設けられた電波時計等は時刻を自動修正することができないことになる。これを解決するために、ビルの屋上に設置したアンテナで標準電波信号を受信し、この受信信号を新たに敷設したケーブルでビルの各階に伝送し、ビルの各階に再放射することが提案されている。
本出願人は、インターネットを介してNTP(Network Time Protocol)サーバからの標準時の時刻情報を取得して、取得した時刻情報をタイムコード化した時刻符号を生成して、長波の周波数とされた標準電波信号の疑似信号として出力するNTPリピータと、該NTPリピータからの前記標準電波信号の疑似信号をTV共聴システムが扱える周波数帯に変換する変調手段と、該変調手段により周波数帯が変換された前記標準電波信号の疑似信号をTV信号に混合してTV共聴信号を生成し、該TV共聴信号を分配して各戸に伝送する前記TV共聴システムと、伝送された前記TV共聴信号を復調することにより、長波の周波数とされた前記標準電波信号の疑似信号を出力する復調手段と、該復調手段から出力された前記標準電波信号の疑似信号を輻射するアンテナ手段とを備える従来の標準電波伝送システムを特許文献1に提案している。
【0004】
従来の標準電波伝送システムでは、電波時計の時刻補正において、JJYの代わりになる時刻源として、NTPサーバからの標準時の時刻情報を取得しているが、ネットワーク回線が必要であり、ネットワークに接続するための設定も必要であった。また、GPS(Global Positioning System)を時刻源とすることができるが、GPSは屋外にアンテナを設置し専用線で信号を屋内に引きこむ工事が必要であった。
そこで、時刻源として地上デジタル放送の時刻情報を利用したNTPサーバユニットが非特許文献1に開示されている。地上デジタル放送のTS(Transport Stream)には、所要の番組を選択するために必要な情報であるPSI(Program Specific Information)情報と、番組選択の利便性のために規定された各種情報であるSI(Service Information)情報とが含まれており、SI情報には時刻情報であるTOTパケット(Time Offset Table)が含まれていることが知られている。非特許文献1に開示された従来のNTPサーバユニットでは、チューナを内蔵しており、チューナで任意のチャンネルから時刻情報となるTOTパケットを抽出している。そして、抽出したTOTパケットを元にNTPサーバを構築し、ネットワークを介して任意の装置の時刻補正を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-15408号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「チューナ内蔵NTPサーバユニット 地上デジタル放送の時刻情報を利用した小型NTPサーバユニット」、ヒロテック株式会社、[online]、[平成30年8月18日検索]、インターネット〈http://www.hirotech.com/wp/wp-content/uploads/2017/11/HMU100-1.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のNTPサーバユニットでは、NTPサーバユニットに地上デジタル放送信号を供給する地上デジタル放送アンテナが必要であり、地上デジタル放送アンテナから宅内に設置したNTPサーバユニットに接続する伝送線を屋内に引き込む工事が必要になる。
ところで、テレビ受像機で地上デジタル放送を視聴するには、一般に屋内の壁面等に設置されている直列ユニットのテレビ端子とテレビ受像機とを同軸ケーブルで接続している。すなわち、直列ユニットには地上デジタル放送信号が元々供給されていることから、直列ユニットに、疑似JJYタイムコードを作成して輻射する機能を内蔵させれば、地上デジタル放送アンテナおよびその工事を不要とすることができる。
【0008】
そこで、時刻源として地上デジタル放送の時刻情報を利用して疑似JJYタイムコードを作成して輻射する機能を内蔵させた直列ユニットの構成の一例を示す回路図を図15に示す。
図15に示す直列ユニット1000は、チューナ1012と時間情報処理部1013と電源部1017とを備えている。チューナ1012は地上デジタル放送信号のあるチャンネルを受信して時刻情報となるTOTパケットを抽出している。時間情報処理部1013のMCU1111は、抽出したTOTパケットを元に疑似JJYタイムコードTCを作成する。作成された疑似JJYタイムコードTCが供給された発振部(OSC)1112は、選択された40kHzまたは60kHzのいずれかの周波数の疑似標準電波信号を生成する。この疑似標準電波信号はアンプ1113で増幅されて輻射アンテナ1015から輻射される。チューナ1012および時間情報処理部1013には、電源部1017から動作用の電源が供給されている。
【0009】
直列ユニット1000は、地上デジタル放送信号が入力される入力端子1011と地上デジタル放送信号を出力するテレビ端子である出力端子1016とを備えている。入力端子1011と出力端子1016との間に直流カット用のコンデンサC110と分岐器1011と直流カット用のコンデンサC111とが直列に接続されている。入力端子1011とコンデンサC110との間にチョークコイルL110の一端が接続され、コンデンサC111と出力端子1016との間にチョークコイルL111の一端が接続されている。チョークコイルL110他端とチョークコイルL111との他端とは接続されて、インダクタL112の一端に接続されている。インダクタL112の他端は電源部1017に接続されて、チョークコイルL110またはチョークコイルL111およびインダクタL112を介して電源が電源部1017に供給されている。電源部1017に供給される電源は、BS・CSアンテナやブースタにテレビ受像機等から供給される直流電源である。コンデンサC110,C111は分岐器1011のフェライトコアの磁化を防止するために設けられている。すなわち、分岐器1011には、フェライトコアが内蔵されており、このフェライトコアが磁化されると分岐器1011が正常に動作しない恐れがある。このために直流をカットするコンデンサC110,C111が設けられている。また、電源部1017に高周波信号が入力されないようにインダクタL112が設けられている。
【0010】
図15に示す直列ユニットは、既設の直列ユニットを取り外してその所へ設置した際に、分岐器1011による分岐損失が生じる。このため、直列ユニットの置き換えを行なうと、分岐損失分の挿入損失が加算されるので、テレビ端子からの出力レベルが下がることになり、ブースターを含めたシステムを再構築しなければならない恐れがある。また、チョークコイルL111およびインダクタL112は規定の直流電流を確保するための線径とされてインダクタに比べて大型とされている。しかしながら、直列ユニットは小型であることから部品配置スペースは限られており、電源を貰うためのチョークコイルを2つ配置するためのスペースの確保が困難になるおそれがある。さらに、入力端子1011にはBS・CS-IF信号が供給されることが多くされるが、チューナ1012は地上デジタル放送信号に整合させているため、高い周波数帯域のBS・CS-IF信号には不整合となり、直列ユニット1000に悪影響を及ぼすと共に不整合によりBS・CS-IF信号の電波漏洩特性が劣化するおそれがある。
【0011】
そこで、本発明は、挿入損失を極力増加させないと共に、大きなスペースを確保する必要がなく電波漏洩特性などの電気的特性が良好な直列ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例の直列ユニットは、時刻情報を抽出可能なデジタル放送信号を含む放送信号が入力される入力端子と、該入力端子とラインで接続されて入力された前記放送信号を出力する出力端子と、前記デジタル放送信号を受信して時刻情報を抽出するチューナ手段と、該チューナ手段からの時刻情報からタイムコードを作成し、作成したタイムコードを輻射するための電波信号を生成する時間情報処理部と、該時間情報処理部で生成された前記電波信号を輻射する輻射アンテナと、前記チューナ手段と、前記時間情報処理部に電源を供給する電源部と、前記ラインに一端が接続された、チョークコイルと、前記デジタル放送信号と異なる周波数帯域の放送信号に自己共振する空芯コイルと、インダクタとの直列回路とを備え、前記直列回路の他端が前記電源部の電源が供給される端子に接続され、前記空芯コイルと前記インダクタとの接続点からコンデンサを介して前記チューナ手段に前記デジタル放送信号が供給されることを最も主要な特徴としている。
【0013】
上記した本発明の直列ユニットにおいて、前記入力端子および前記出力端子とが固着され、前記チューナ手段と前記時刻情報処理部と前記電源部と前記直列回路とが内蔵されるシールドケースをさらに備え、該シールドケースを貫通して設けられた貫通コンデンサを介して前記電波信号が前記輻射アンテナに供給されるようにしている。
また、上記した本発明の直列ユニットにおいて、前記輻射アンテナを内蔵する樹脂ケースが、前記シールドケースに固着されている。
さらにまた、上記した本発明の直列ユニットにおいて、前記輻射信号の周波数は、40kHzと60kHzとのいずれかを選択可能とされている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の直列ユニットは、入力端子と出力端子とが接続されるラインに一端が接続されたチョークコイルを介してチューナ手段にデジタル放送信号が導かれることから、挿入損失が極力増加しないと共に、1つのチョークコイルしか必要としないので大きなスペースを確保する必要がなくなる。また、デジタル放送信号と異なる周波数帯域の放送信号、例えば、BS・CS-IF信号に自己共振する空芯コイルを介して、デジタル放送信号がチューナ手段に入力されることから、電波漏洩特性などの電気的特性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例である直列ユニットを使用する時間情報輻射システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2】本発明にかかる直列ユニットの構成を示す斜視図である。
図3】本発明にかかる直列ユニットの構成を示す正面図である。
図4】本発明にかかる直列ユニットの構成をA-A線で切断した断面で示す左側面図である。
図5】本発明にかかる直列ユニットの構成を示す右側面図である。
図6】本発明にかかる直列ユニットの構成を示す背面図である。
図7】本発明にかかる直列ユニットの構成を示す下面図である。
図8】本発明にかかる直列ユニットの構成を示す上面図である。
図9】本発明にかかる直列ユニットの回路構成を示す回路図である。
図10】本発明にかかる直列ユニットの電気特性を測定するための端子を示す回路図である。
図11】本発明にかかる直列ユニットにおいてチョークコイルを通過した地上デジタル放送信号の周波数特性を示す図である。
図12】本発明にかかる直列ユニットにおいて空芯コイルを通過した地上デジタル放送信号の周波数特性を示す図である。
図13】本発明にかかる直列ユニットにおいてチョークコイルを替えたインダクタを通過した地上デジタル放送信号の周波数特性を示す図である。
図14】本発明にかかる直列ユニットにおいてチョークコイルをインダクタに替えた際の空芯コイルを通過した地上デジタル放送信号の周波数特性を示す他の図である。
図15】疑似JJYタイムコードを作成して輻射する機能を内蔵させた直列ユニットの構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施例>
本発明の実施例の直列ユニットを使用する時間情報輻射システムの構成を示す機能ブロック図を図1に示す。
図1に示す時間情報輻射システム100は、ユーザの宅内に設置される時間情報輻射システム100であり、本発明の実施例にかかる直列ユニット10と、BS・CSアンテナとされる衛星アンテナ110と、地上デジタル放送を受信するUHFアンテナ111とを備えている。時間情報輻射システム100において、衛星アンテナ110で受信したBS・CS放送のBS・CS-IF信号と、UHFアンテナ111で受信した地上デジタル放送信号とは混合器112で混合されてブースタ113により所定のレベルになるよう増幅され分配器114に供給される。分配器114で複数に分配された混合信号は、それぞれが直列ユニット10に供給される。
【0017】
本発明にかかる直列ユニット10は、混合信号が入力される入力端子11と、入力端子11にラインで接続されて入力された混合信号を出力する出力端子16と、チューナ12と時間情報処理部13と後述する電源部17とを備えている。チューナ12は、入力端子11に入力された混合信号における地上デジタル放送信号のあるチャンネルを受信して時刻情報となるTOTパケットを抽出している。組み込み用のマイクロプロセッサであるMCU(Micro Controller Unit)を備える時間情報処理部13は、抽出したTOTパケットを元に疑似JJYタイムコードTCを作成する。そして、時間情報処理部13で疑似JJYタイムコードTCを輻射する40kHzまたは60kHzのいずれかの周波数の疑似標準電波信号が生成される。この疑似標準電波信号は、輻射アンテナ15から輻射され、輻射アンテナ15から輻射された疑似標準電波信号を、電波時計120が受信して時刻補正が行われる。このように、本発明にかかる直列ユニット10は、時刻源として地上デジタル放送の時刻情報を利用している。この場合、地上デジタル放送の時刻情報は500ms程度ずれていることがあるので、疑似標準電波の周波数としては、直列ユニット10の設置地域においてJJYの標準電波信号と干渉しない40kHzまたは60kHzの周波数が選択される。
【0018】
出力端子16には同軸ケーブルの一端に設けられた同軸コネクタが装着され、同軸ケーブルの他端に設けられた同軸コネクタが装着されたテレビ受像機(TV)130などに、出力端子16から出力された混合信号が入力され、TV130で地上デジタル放送やBS・CS放送を視聴できるようになる。また、TV130からは、衛星アンテナ110やブースタ113を動作させる電源を直列ユニット10を介して給電することができる。
また、チューナ12と時間情報処理部13と図示しない電源部17とは導電性(例えば、金属製)のシールドケース10a内に内蔵され、輻射アンテナ15は、シールドケース10aに固着された樹脂ケース10bで覆われている。そして、時間情報処理部13で生成された疑似標準電波信号がシールドケース10aから導出される端子14は、後述する貫通コンデンサで構成されている。
【0019】
次に、本発明にかかる直列ユニット10のハードウェアの構成を図2ないし図8に示す。図2は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示す斜視図であり、図3は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示す正面図であり、図4は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示すA-A線で切断した断面で示す左側面図であり、図5は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示す右側面図であり、図6は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示す背面図であり、図7は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示す下面図であり、図8は本発明にかかる直列ユニット10の構成を示す上面図である。
これらの図に示すように、直列ユニット10は、縦長の矩形状とされ中央部が縦長の矩形状に切り欠かれた金属パネル202の切り欠かれた部位に嵌挿されるように固着されている。金属パネル202の前面には樹脂製の縦長の矩形状とされた化粧パネル201が着脱自在に金属パネル202に装着されている。化粧パネル201のほぼ中央部には縦長の矩形状の孔部が形成されており、この孔部を貫通するよう直列ユニット10の前部が突出している。金属パネル202は、壁面内に埋め込まれるように設置された前面が開口されているボックスの前面に複数本のネジで脱着可能に固着され、ボックス内に直列ユニット10が配置されるようになる。ボックスには、混合信号を伝達する先端に同軸コネクタが設けられた同軸ケーブルが臨んでいる。
【0020】
直列ユニット10は、例えば金属材をモールド成形したシールドケース10aと、シールドケース10aの前面に固着された樹脂ケース10bとを備えており、シールドケース10aは全体的に縦長の矩形状とされ、背面の上部に後方へ突出する突出部21が形成されている。シールドケース10aの側面に、金属パネル202の矩形状に切り欠かれた部位の縁部に形成された爪が係合されて、シールドケース10aが金属パネル202に固着されている。シールドケース10aの突出部21は横長の直方体状とされ、突出部21の下面の一側に同軸構造の入力端子11が下方へ突出するよう一体に形成され、突出部21の上面は開口されている。この上面の開口には金属板からなる上蓋部24が嵌着されている。また、シールドケース10aの前面の下部から前方へ突出するよう同軸構造の出力端子16が一体に成形されている。シールドケース10aの背面は開口されており、この開口には金属板からなる蓋部22が嵌着されている。シールドケース10a内には、チューナ12と時間情報処理部13と電源部17などからなる直列ユニット10の回路が組み込まれた基板23が配置されている。基板23は突出部21内にも配置されている。
【0021】
シールドケース10aの前面に縦長の矩形状に形成された樹脂ケース10bが固着されている。この場合、シールドケース10aの前面には輻射アンテナ15が配置されており、この輻射アンテナ15は樹脂ケース10bにより覆われるようになる。すなわち、樹脂ケース10b内に輻射アンテナ15が内蔵される。樹脂ケース10bの下部には円形の貫通孔が形成されており、この貫通孔を貫通して出力端子16が突出している。
ボックス内に臨んでいる同軸ケーブルの同軸コネクタを直列ユニット10の入力端子11に装着して、直列ユニット10が固着された金属パネル202をボックスに取り付ける。これにより、入力端子11に混合信号が入力され、基板23上のチューナ12に地上デジタル放送信号が供給されて、この結果、輻射アンテナ15から疑似標準電波が電波に対して透明な樹脂ケース10bを介して輻射されるようになる。また、出力端子16からは混合信号が出力されるようになる。輻射アンテナ15は、例えばフェライトコアに巻回したコイルに共振用のコンデンサを接続して構成されている。コンデンサの値は、疑似標準電波の選択された周波数に応じて決定される。なお、金属パネル202の前面には化粧パネル201が取り付けられる。
【0022】
次に、本発明にかかる直列ユニット10の回路構成を示す回路図を図9に示す。
図9に示す直列ユニット10の回路図に示すように、直列ユニット10は、チューナ12と時間情報処理部13と電源部17とを備えている。また、直列ユニット10は、地上デジタル放送信号を含む混合信号が入力される入力端子11と混合信号を出力するテレビ端子である出力端子16とを備えている。チューナ12は地上デジタル放送信号のあるチャンネルを受信してSI情報から時刻情報となるTOTパケットを抽出している。時間情報処理部13は、MCU13aと発振部(OSC)13bとアンプ13cとを備えている。時間情報処理部13のMCU13aは、抽出したTOTパケットを元に疑似JJYタイムコードTCを作成する。作成された疑似JJYタイムコードTCはOSC13bに供給され、供給されたJJYタイムコードTCを、選択された40kHzまたは60kHzのいずれかの周波数で輻射するための疑似標準電波信号がOSC13bで生成される。この場合、直列ユニット10の設置地域においてJJYの標準電波信号と干渉しない40kHzまたは60kHzの周波数が選択される。生成された疑似標準電波信号はアンプ13cで所定のレベルになるよう増幅されて、シールドケース10aに設けられた貫通コンデンサC12を通じて輻射アンテナ15に供給される。輻射アンテナ15からは、疑似標準電波が輻射され、この疑似標準電波を電波時計120が受信できるようになる。チューナ12および時間情報処理部13には、電源部17から動作用の電源が供給されている。
【0023】
入力端子11と出力端子16とは同軸構造のラインで接続されており、このラインにチョークコイルL11と空芯コイルL12との直列回路の一端が接続される。空芯コイルL12は浮遊容量を利用して、BS・CS-IF信号の周波数に自己共振している。直列回路の他端は、インダクタL13の一端に接続されている。インダクタL13の他端は電源部17に接続されて、チョークコイルL11および空芯コイルL12とインダクタL13を介して電源が電源部17に供給されている。電源部17に供給される電源は、BS・CSアンテナやブースタにテレビ受像機等から供給される直流電源である。インダクタL13は、電源部17に高周波信号が入力されないようにが設けられている。空芯コイルL12とインダクタL13との接続点に接続された直流カット用のコンデンサC11を介して、混合信号がチューナ12に入力されている。
【0024】
図9に示す直列ユニット10の回路構成では、分岐器を設けることなくチューナ12に地上デジタル放送信号を供給することができることから、出力端子16から出力される混合信号に極力損失を与えることなく混合信号を出力することができる。また、チョークコイルL11は1つしか必要としていないことから、基板23に必要とされるチョークコイルの配置スペースを小さくすることができる。さらに、空芯コイルL12がBS・CS-IF信号の周波数に自己共振していることから、チューナ12の入力端においてBS・CS-IF信号に対するインピーダンスの不整合が生じることを防止することができ、直列ユニット10ではBS・CS-IF信号の電波漏洩特性に与える悪影響を防止することができるようになる。さらにまた、貫通コンデンサC12を設けることにより、直列ユニット10の電波漏洩特性を向上することができる。
【0025】
次に、本発明にかかる直列ユニット10において、空芯コイルL12の作用を説明するための図を図10ないし図13に示す。図10は入力端子11から出力端子16への伝達特性(S21)の周波数特性を測定するための端子を示す回路図であり、図11は空芯コイルL12へ入力される混合信号の周波数特性であり、図12は空芯コイルL12から出力される混合信号の周波数特性である。
図10に示す回路図は、図9に示す直列ユニット10の回路構成における入力端子11と出力端子16とを接続するラインに一端が接続されたチョークコイルL11ないしインダクタL13の直列回路を示している。図10に示す第1測定点M1は、チョークコイルL11と空芯コイルL12との接続点であり空芯コイルL12の入力側の点に相当し、第2測定点M2は、空芯コイルL12とインダクタL13との接続点であり空芯コイルL12の出力側の点に相当する。
【0026】
第1測定点M1で測定された図11に示すS21の周波数特性を参照すると、BS・CS-IF信号の周波数帯域における減衰量が-10dB前後とされて、減衰量が少なくされていることが分かる。すなわち、チョークコイルL11ではBS・CS-IF信号が減衰されないことが分かる。また、地上デジタル放送信号の減衰量は-20dBないし-30dBとされていることが分かる。
これに対して、第2測定点M2で測定された図12に示すS21の周波数特性を参照すると、BS・CS-IF信号の周波数帯域における減衰量が-20dBないし-60dBとされて、減衰量が大きくなっていることが分かる。すなわち、空芯コイルL12ではBS・CS-IF信号が大きく減衰されることが分かる。また、地上デジタル放送信号の減衰量は-20dBないし-30dBとほぼ変化しないことが分かる。
このように、空芯コイルL12をチョークコイルL11に直列接続することで、チューナ12に入力される地上デジタル放送信号の減衰量を大きくさせることなくBS・CS-IF信号を大きく減衰できることが分かる。
【0027】
次に、チョークコイルL11をインダクタに置き換えた際のS21の周波数特性を図13および図14に示す。図13図10に示す第1測定点M1のS21の周波数特性であり、図14図10に示す第2測定点M2のS21の周波数特性である。
第1測定点M1で測定された図13に示すS21の周波数特性を参照すると、BS・CS-IF信号の周波数帯域における減衰量が-10dBより少なくなって、減衰量が少なくされていることが分かる。また、地上デジタル放送信号の減衰量は-20dBないし-30dBとされていることが分かる。
これに対して、第2測定点M2で測定された図14に示すS21の周波数特性を参照すると、BS・CS-IF信号の周波数帯域における減衰量が-20dBないし-50dBとされて、減衰量が大きくなっていることが分かる。また、地上デジタル放送信号の減衰量は-13dBないし-25dBと減衰量が若干少なくなっていることが分かる。
このように、空芯コイルL12をチョークコイルL11を置き替えたインダクタに直列接続することで、チューナ12に入力される地上デジタル放送信号の減衰量を大きくさせることなくBS・CS-IF信号を大きく減衰できることが分かる。従って、チョークコイルL11を小さい形状のインダクタに置き換えることが可能となり、置き換えることにより配置スペースの省力化をより図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の実施例にかかる直列ユニット10は、時刻源として地上デジタル放送の時刻情報を利用していたが、BSデジタル放送信号のTSにも時刻情報であるTOTパケットを含むSI情報が含まれている。そこで、時刻源として地上デジタル放送信号に替えてBSデジタル放送信号の時刻情報を利用するようにしてもよい。この場合は、空芯コイルの自己共振周波数を地上デジタル放送の周波数帯域に設定すればよい。
【符号の説明】
【0029】
10 直列ユニット、10a シールドケース、10b 樹脂ケース、11 入力端子、12 チューナ、13 時間情報処理部、13a MCU、13b OSC、13c アンプ、14 端子、15 輻射アンテナ、16 出力端子、17 電源部、21 突出部、22 蓋部、23 基板、24 上蓋部、100 時間情報輻射システム、110 衛星アンテナ、111 UHFアンテナ、112 混合器、113 ブースタ、114 分配器、120 電波時計、130 テレビ受像機、201 化粧パネル、202 金属パネル、1000 直列ユニット、1011 入力端子、1011 分岐器、1012 チューナ、1013 時間情報処理部、1015 輻射アンテナ、1016 出力端子、1017 電源部、1111 MCU、1112 OSC、1113 アンプ、C12 貫通コンデンサ、L11 チョークコイル、L12 空芯コイル、L13 インダクタ、L110 チョークコイル、L111 チョークコイル、L112 インダクタ
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