(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/652 20060101AFI20220506BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20220506BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H01R13/652
H01R13/52 301B
H01R13/52 301F
H01R33/76 503Z
(21)【出願番号】P 2018172237
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】三吉 利治
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-45792(JP,A)
【文献】特開2009-283280(JP,A)
【文献】特開2017-152208(JP,A)
【文献】特開2015-26568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトと、前記コンタクトを相互絶縁状態で保持する樹脂ボディと、金属シェルとを備え、前記金属シェルは、筒状部と、前記筒状部の一端から外側に突出した鍔状の平板部とを有し、前記樹脂ボディを前記筒状部の一端開口から前記筒状部の内側に嵌合することにより、前記コンタクトを前記樹脂ボディにより前記筒状部の内側に整列固定するコネクタにおいて、前記筒状部の一端側から前記平板部に重ね合わせた状態で前記平板部に取り付けると共に、前記金属シェルと電気的に接続する環状の金属平板をさらに備え、前記金属平板に、前記コネクタを電子機器ユニットに取り付けた時に前記電子機器ユニットの周囲の覆いである金属ケースに弾性的に接触するばね接片を設けてある
と共に、前記金属平板を前記平板部に取り付けた時に前記平板部に弾性的に接触する他のばね接片をさらに設けてあるコネクタ。
【請求項2】
請求項
1に記載のコネクタにおいて、前記平板部に、前記筒状部の外側に突出する突片を設けてあり、前記他のばね接片は、前記金属平板の前記平板部への取り付け方向と直交する方向で前記突片に弾性的に接触するコネクタ。
【請求項3】
請求項
2に記載のコネクタにおいて、前記樹脂ボディは、前記筒状部の一端開口から前記筒状部の内側に嵌合する柱状部と、前記柱状部の一端から外側に突出し、前記金属平板の前記平板部の側の表面とは反対側の表面に重ね合わせた状態で前記平板部との間に前記金属平板を挟む平板状の取り付け部とを有し、前記取り付け部に前記柱状部の外側に突出するボスを設けてあり、前記平板部と前記金属平板のそれぞれに前記ボスに対応するボス挿入孔を設けてあり、前記ボスは、前記平板部の前記金属平板の側の表面とは反対側の表面に突出する前記ボスの先端部を溶融することにより、前記平板部の前記金属平板の側の表面とは反対側の表面に係合する頭部を有し、前記平板部と前記取り付け部の間に前記金属平板を挟んだ状態で前記ボスにより前記平板部と前記金属平板と前記取り付け部とを固定してあるコネクタ。
【請求項4】
請求項
3に記載のコネクタにおいて、前記他のばね接片と前記突片のそれぞれは、前記金属平板の前記平板部への取り付け方向と直交する方向で互いに向かい合う他のばね接片対と突片対を構成する2つを含み、対内の他のばね接片の一方と他方が逆方向で接触対象の前記突片対の一方と他方に弾性的に接触するコネクタ。
【請求項5】
請求項
3又は
4に記載のコネクタにおいて、樹脂シェルをさらに備え、前記樹脂シェルは、筒状の嵌合部と、前記嵌合部の一端から外側に突出した鍔状の平板部であって、前記電子機器ユニットに取り付けるベース部とを有しており、前記筒状部を前記嵌合部の一端開口から前記嵌合部の内側に挿入することにより、前記筒状部の周囲を前記嵌合部により前記筒状部と前記嵌合部との間に隙間を設けた状態で取り囲み、かつ、前記平板部を前記嵌合部の一端側から前記ベース部に重ね合わせており、前記ベース部に前記嵌合部の一端側に突出する他のボスを設けてあり、前記平板部と前記金属平板のそれぞれに前記他のボスに対応する他のボス挿入孔を設けてあり、前記他のボスは、前記金属平板の前記平板部の側の表面とは反対側の表面に突出する前記他のボスの先端部を溶融することにより、前記金属平板の前記平板部の側の表面とは反対側の表面に係合する他の頭部を有し、前記金属平板と前記ベース部との間に前記平板部を挟んだ状態で前記他のボスにより前記平板部と前記金属平板と前記ベース部とを固定してあるコネクタ。
【請求項6】
請求項
5に記載のコネクタにおいて、前記ベース部の前記平板部の側の表面に、前記他のばね接片と前記他のばね接片の接触対象の前記突片とを収容する凹部を設けてあり、前記凹部は、前記突片との間で前記他のばね接片を挟み、前記他のばね接片の前記突片に対する接触反力を受け止める側壁を有するコネクタ。
【請求項7】
請求項
6に記載のコネクタにおいて、前記金属シェルと前記樹脂シェルとの間に配置する防水パッキンをさらに備えるコネクタ。
【請求項8】
請求項
7に記載のコネクタにおいて、前記金属シェルと樹脂ボディの間及び前記樹脂ボディと前記コンタクトとの間をシールするポッティングをさらに備えるコネクタ。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1に記載のコネクタにおいて、前記金属シェルは、継ぎ目のないシームレス構造を有するコネクタ。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1に記載のコネクタにおいて、前記電子機器ユニットは、車載カメラユニットであるコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器ユニットに取り付けるコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器ユニットとしての車載カメラユニットに取り付けると共に、ケーブルを介して車載カメラユニットと外部機器としての車載モニタとを電気的に接続する相手コネクタ(プラグ側コネクタ、ケーブル側コネクタ)と嵌合することにより、車載カメラユニットと車載モニタとを電気的に接続するコネクタ(レセプタクル側コネクタ、機器側コネクタ)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このコネクタは、いわゆるEMI(電磁妨害)対策コネクタとしての側面と防水コネクタとしての側面を併せ持ち、シールド性と防水性が強化されている。
【0004】
このコネクタは、シェルの導電化、すなわち、樹脂製のシェル(嵌合部の周囲の覆い)を金属製のものに置き換えることにより、シェルにシールド性を持たせると共に、シェルのシームレス化、すなわち、継ぎ目のないシェルを形成することにより、シェルに防水性を持たせている。
【0005】
この金属シェルは、コネクタを相手コネクタに嵌合した時に相手コネクタの筒状の金属シェルに嵌合する筒状部と、この筒状部の一端から外側に突出した鍔状の平板部とを有し、この平板部に、コネクタを車載カメラユニットに取り付けた時に車載カメラユニットの覆いである金属ケースに弾性的に接触するばね接片を設けることにより、車載カメラユニットのシールド(金属ケース)、コネクタのシールド(金属シェル)、相手コネクタのシールド(金属シェル)、そしてケーブルのシールド(金属箔や金属編組線)を電気的に接続し、シールドとして一体化するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来技術では、金属シェルは継ぎ目をなくすために絞り加工にて形成し、絞り加工をした後にプレス加工で平板部にばね接片を設けることになるが、ばね接片の板厚精度や形状精度が低くいため、金属シェルと金属ケースとの間の電気的な接続(接触)信頼性に欠けるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、金属シェルと金属ケースとを電気的に確実に接続(接触)することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコネクタは、複数のコンタクトと、前記コンタクトを相互絶縁状態で保持する樹脂ボディと、金属シェルとを備え、前記金属シェルは、筒状部と、前記筒状部の一端から外側に突出した鍔状の平板部とを有し、前記樹脂ボディを前記筒状部の一端開口から前記筒状部の内側に嵌合することにより、前記コンタクトを前記樹脂ボディにより前記筒状部の内側に整列固定するコネクタにおいて、前記筒状部の一端側から前記平板部に重ね合わせた状態で前記平板部に取り付けると共に、前記金属シェルと電気的に接続する環状の金属平板をさらに備え、前記金属平板に、前記コネクタを電子機器ユニットに取り付けた時に前記電子機器ユニットの周囲の覆いである金属ケースに弾性的に接触するばね接片を設けてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタは、筒状部の一端側から平板部に重ね合わせた状態で平板部に取り付けると共に、金属シェルと電気的に接続する環状の金属平板をさらに備え、金属平板に、コネクタを電子機器ユニットに取り付けた時に、電子機器ユニットの周囲の覆いである金属ケースに弾性的に接触するばね接片を設けてあるので、ばね接片を絞り加工を経ないプレス加工で設けることができ、ばね接片の板厚精度や形状精度の向上・安定化を図ることができ、金属シェルと金属ケースとを電気的に確実に接続(接触)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るコネクタを取り付けた車載カメラユニット(車載カメラモジュール)の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るコネクタの平面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るコネクタの底面斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るコネクタの平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るコネクタの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るコネクタ1について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1に示すように、コネクタ1は、電子機器ユニットとしての車載カメラユニット100に取り付ける共に、図示しないケーブルを介して車載カメラユニット100と外部機器としての図示しない車載モニタとを電気的に接続するための図示しない相手コネクタ(プラグ側コネクタ)と嵌合(接続)することにより、車載カメラユニット100と車載モニタとを電気的に接続するレセプタクル側コネクタである。
【0014】
車載カメラニット100は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)やCCD(電荷結合素子)等からなる撮像素子110と、一表面に撮像素子110を実装するプリント回路基板120と、プリント回路基板120の撮像素子実装表面とは反対側の表面に実装する外部接続用端子130と、車載カメラニット100の周囲の覆いであって、上側に開口する内側にプリント回路基板120を収容する金属ケース140と、上側に開口する内側に金属ケース140を収容する樹脂ケース150とを備えて構成されている。
【0015】
撮像素子110が対向する金属ケース140の底面には透孔141が設けられ、透孔141が対向する樹脂ケース150の底面には車載カメラのレンズ160が設けられている。
【0016】
コネクタ1は、車載カメラニット100の上側から樹脂ケース150の上端に取り付けられ、コネクタ1の相手コネクタとの嵌合部を車載カメラニット100の上側に向けて突出すると共に、コネクタ1の下面を樹脂ケース150の上端開口と金属ケース140の上端開口を通して金属ケース140の内部に露出している。
【0017】
コネクタ1は、いわゆるEMI(電磁妨害)対策コネクタとしての側面と防水コネクタとしての側面を併せ持ち、シールド性と防水性が強化されている。
【0018】
コネクタ1は、シェルの導電化、すなわち、樹脂製のシェル(嵌合部の周囲の覆い)を金属製のものに置き換えることにより、シェルにシールド性を持たせると共に、シェルのシームレス化、すなわち、継ぎ目のないシェルを形成することにより、シェルに防水性を持たせている。
【0019】
図1~
図12に示すように、コネクタ1は、上側に開口した四角筒状の内側嵌合部2と、内側嵌合部2の周囲を取り囲んだ状態で上側に開口した四角枠状の外側嵌合部3とを有し、相手コネクタがコネクタ1の上側から内側嵌合部2と外側嵌合部3とに挿入されて嵌合される。
【0020】
コネクタ1は、複数のコンタクト4と、樹脂ボディ5と、金属シェル6と、金属平板7と、樹脂シェル8と、防水パッキン9と、ポッティング10とを備えて構成されている。
【0021】
金属シェル6は、上下方向に延びる四角筒状の筒状部61と、筒状部61の下端から外側に直角に突出した八角形の鍔状の平板部62とを有し、筒状部61が内側嵌合部2の周囲を覆っている。筒状部61は、コネクタ1の相手コネクタとの嵌合時に相手コネクタの筒状の金属シェルの外側に嵌合されると共に、相手コネクタの筒状の金属シェルと電気的に接続される。
【0022】
金属平板7は、環状をなし、筒状部61の開口より一回り大きい四角形の内孔と平板部62の外形よりも一回り大きい八角形の外形とを有し、平板部62の下側に重ね合わせた状態で配置されている。
【0023】
樹脂ボディ5は、絶縁性合成樹脂材料を成形することにより形成され、上下方向に延びる四角柱状の低背の柱状部51と、柱状部51の下端から左右外側に直角に突出した平板状の取り付け部52とを有し、柱状部51が筒状部61の後端部の内側に嵌合されると共に、取り付け部52が金属平板7の下側に重ね合された状態で配置されている。
【0024】
コンタクト4は、導電性金属板材を形抜き及び曲げ加工することにより形成され、その後、インサート成形によって樹脂ボディ5に一体に成形されて固定されている。コンタクト4は、樹脂ボディ5を成型した後、圧入により樹脂ボディ5に固定しても良い。コンタクト4は、コンタクト4の上端部に設ける接触ピン41と、コンタクト4の下端部に設ける接触パッド42とを有し、接触ピン41が柱状部51の上端面から筒状部61の内側の内側嵌合部2に突出されると共に、接触パッド42の下面が柱状部51の下面に面一に露出した状態で配置されている。接触ピン41は、コネクタ1の相手コネクタとの嵌合時に相手コネクタのソケット形のコンタクトの内側に挿入されて嵌合され、電気的に接続される。接触パッド42は、コネクタ1の車載カメラニット100への取り付け時に外部接続用端子130に突き合い接触し、電気的に接続される。
【0025】
樹脂シェル8は、絶縁性合成樹脂材料を成形することにより形成され、上下方向に延びる四角筒状の嵌合部81と、嵌合部81の下端から外側に直角に突出した四角形の鍔状の平板部であるベース部82とを有し、嵌合部81の内側に筒状部61が挿入された状態で嵌合部81が外側嵌合部3の周囲を覆うと共に、ベース部82が平板部62の上側に重ね合された状態で配置されている。嵌合部81は、コネクタ1の相手コネクタとの嵌合時に相手コネクタの筒状の樹脂シェルの外側に嵌合される。
【0026】
取り付け部52には、柱状部51の外側に突出する複数のボス53が設けられ、平板部62と金属平板7のそれぞれには、ボス53に対応してボス挿入孔64、73が設けられている。ボス53は、平板部62の上表面に突出するボス53の先端部を溶融することにより、平板部62の上表面に係合する頭部531を有し、平板部62と取り付け部52との間に金属平板7を挟んだ状態でボス53により平板部62と金属平板7と取り付け部52とを固定している。
【0027】
ベース部82には、嵌合部81の下側に突出する複数の他のボス83が設けられ、平板部62と金属平板7のそれぞれには、他のボス83に対応して他のボス挿入孔65、74が設けられている。他のボス83は、金属平板7の下表面に突出する他のボス83の先端部を溶融することにより、金属平板7の下表面に係合する他の頭部831を有し、金属平板7とベース部82との間に平板部62を挟んだ状態で他のボス83により平板部62と金属平板7とベース部82とを固定している。
【0028】
金属平板7には、コネクタ1を車載カメラニット100に取り付けた時に車載カメラニット100の金属ケース140に弾性的に接触するばね接片71が設けられている。
【0029】
ばね接片71は、曲げ加工により金属平板7の外端部に形成され、コネクタ1の車載カメラニット100への取り付け方向と直交する方向に弾性変位可能な曲げ部からなり、コネクタ1を車載カメラニット100に取り付けた時に車載カメラニット100の金属ケース140に、コネクタ1の車載カメラニット100への取り付け方向と直交する方向で弾性的に接触するようにする。
【0030】
ばね接片71は、少なくとも金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向であって、筒状部61の軸方向に直交する金属平板7の面方向(筒状部61の軸方向に直交する平板部62の面方向)で互いに向かい合うばね接片対を構成する2つを含み、対内のばね接片71の一方と他方が逆方向で接触対象の金属ケース140に弾性的に接触するようにする。
【0031】
ばね接片71は、筒状部61を挟んで金属平板7の面方向に沿った筒状部61の一方の対角方向で互いに向かい合うばね接片対を構成する2つと、筒状部61を挟んで金属平板7の面方向に沿った筒状部61の他方の対角方向で互いに向かい合うばね接片対を構成する2つの合計4つを含んでいる。
【0032】
ばね接片71は、下側に開口する逆U字状の断面形状を有し、ばね接片71の一片が金属平板7から直角に立ち上げられ、筒状部61の外側に筒状部61と平行して突出する基部711になる。ばね接片71の他片はばね接片71の上端の折り返し部712を支点として、コネクタ1の車載カメラニット100への取り付け方向と直交する方向であって、筒状部61の軸方向に直交する金属平板7の面方向(筒状部61の軸方向に直交する平板部62の面方向)に弾性変位可能な片持ち梁状のばね接片部713になる。ばね接片部713はへの字状の断面形状を有し、ばね接片部713の屈曲部が金属ケース140に弾性的に接触する接触部714になる。接触部714は金属平板7の外側に設けてある。接触部714は、コネクタ1を車載カメラニット100に取り付けた時に車載カメラニット100の金属ケース140の上端開口縁或いは金属ケース140の内側面に接触する。
【0033】
金属平板7には、金属平板7を平板部62に取り付けた時に平板部62に弾性的に接触する他のばね接片72が設けられている。
【0034】
他のばね接片72は、曲げ加工により金属平板7の外端部に形成され、金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向に弾性変位可能な曲げ部からなり、金属平板7を平板部62に取り付けた時に平板部62に、金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向で弾性的に接触するようにする。
【0035】
平板部62には、他のばね接片72が金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向で弾性的に接触するための突片63が設けられている。
【0036】
突片63は、曲げ加工によって平板部62の端部に形成される直角曲げ部からなり、筒状部61の外側に筒状部61と平行に突出する。
【0037】
他のばね接片72と突片63のそれぞれは、少なくとも金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向であって、筒状部61の軸方向に直交する金属平板7の面方向(筒状部61の軸方向に直交する平板部62の面方向)で互いに向かい合う他のばね接片対と突片対を構成する2つを含み、対内の他のばね接片72の一方と他方が逆方向で接触対象の突片63に弾性的に接触するようにする。
【0038】
他のばね接片72と突片63のそれぞれは、筒状部61を挟んで金属平板7の面方向に沿った前後方向で互いに向かい合う他のばね接片対と突片対を構成する2つと、筒状部61を挟んで金属平板7の面方向に沿った左右方向で互いに向かい合うばね接片対と突片対を構成する2つの合計4つを含んでいる。
【0039】
他のばね接片72は、下側に開口する逆U字状の断面形状を有し、他のばね接片72の一片が金属平板7から直角に立ち上げられ、筒状部61の外側に筒状部61と平行して突出する他の基部721になる。他のばね接片72の他片は他のばね接片72の上端の他の折り返し部722を支点として金属平板7の面方向に弾性変位可能な片持ち梁状の他のばね接片部723になる。他のばね接片部723は、金属平板7を平板部62に取り付けた時に突片63の一表面に接触する。
【0040】
金属シェル6は、継ぎ目をなくすために導電性金属板材の絞り加工にて筒状部61を形成し、絞り加工をした後のフランジ部に対して形抜き及び曲げ加工をし、突片63とボス挿入孔64と他のボス挿入孔65とを形成した平板部61を形成することで形成される。
【0041】
金属平板7は、導電性金属板材を形抜き及び曲げ加工をし、ばね接片71と他のばね接片72とボス挿入孔73と他のボス挿入孔74を形成することで形成される。
【0042】
ベース部82の下表面には、他のばね接片72と他のばね接片72の接触対象の突片63とを収容する凹部84が設けられている。
【0043】
凹部84は、突片63との間で他のばね接片72を挟み、他のばね接片72の突片63に対する接触反力を受け止める側壁を有する841を有している。
【0044】
防水パッキン9は、ゴム等からなり、筒状をなし、内側嵌合部2の周囲の覆いである金属シェル6と外側嵌合部3の周囲の覆いである樹脂シェル8との間に配置される。
【0045】
ポッティング(樹脂盛り)10は、内側嵌合部2の内底面となる柱状部51の上端面を覆い、金属シェル6と樹脂ボディ5との間及び樹脂ボディ5とコンタクト4の間をシールするようにする。
【0046】
ベース部82には、コネクタ1を車載カメラニット100にビス止めで取り付けるための複数のビス挿入孔85が設けられている。
【0047】
続いて、コネクタ1の組み立て方法について説明する。
【0048】
まず、コンタクト4がインサート成形或いは圧入固定された樹脂ボディ5の柱状部51の外側にその上側から金属平板7を嵌合することにより、樹脂ボディ5のボス53を金属平板7の対応するボス挿入孔73に挿入しながら金属平板7を樹脂ボディ5の取り付け部52の上側に重ね合わせる。
【0049】
次に、樹脂ボディ5の柱状部51を金属シェル6の筒状部61の内側にその下側から嵌合することにより、金属平板7のばね接片72を金属シェル6の突片63の外側に挿入してばね接片72を突片63に接触させると共に、樹脂ボディ5のボス53を金属シェル6の対応するボス挿入孔64に挿入しながら金属平板7と樹脂ボディ5の取り付け部52を金属シェル6の平板部62の下側に重ね合わせる。
【0050】
次に、金属シェル6の平板部62の上表面に突出している樹脂ボディ5のボス53の先端部をレーザ光や超音波により加熱溶融して頭部531を形成することにより、金属シェル6の平板部62と樹脂ボディ5の取り付け部52との間に金属平板7を挟んだ状態で樹脂ボディ5のボス53により金属シェル6の平板部62と金属平板7と樹脂ボディ5の取り付け部52とを固定し、金属シェル6に金属平板7と樹脂ボディ5を固定する。
【0051】
以上により、
図6,
図7に示すように、金属シェル6の内側に樹脂ボディ5を介してコンタクト4が整列固定したコネクタ本体11が組み立てられる。
【0052】
次に、金属シェル6の筒状部61の外側にその上側から防水パッキン9を嵌着する。
【0053】
次に、金属シェル6の筒状部61を防水パッキン9と共に樹脂シェル8の嵌合部81の内側にその下側から挿入することにより、樹脂シェル8の他のボス83を金属シェル6と金属平板7の対応する他のボス挿入孔65、74に挿入しながら金属シェル6の平板部62と金属平板7を樹脂シェル8のベース部82の下側に重ね合わせる。
【0054】
次に、金属平板7の下表面に突出している樹脂シェル8の他のボス83の先端部をレーザ光や超音波により加熱溶融して他の頭部831を形成することにより、金属平板7と樹脂シェル8のベース部82との間に金属シェル6の平板部62を挟んだ状態で樹脂シェル8の他のボス83により金属シェル6の平板部62と金属平板7と樹脂シェル8のベース部82とを固定し、金属シェル6に防水パッキン9と樹脂シェル8を固定する。
【0055】
次に、樹脂ボディ5の柱状部51の上端面に樹脂材を盛り、ポッティング10を形成する。
【0056】
以上により、
図2~
図5、
図8~
図11に示すように、コネクタ1を車載カメラニット100に取り付けた時に車載カメラニット100の金属ケース140に弾性的に接触するばね接片71が金属シェル6の平板部62に金属平板7を介して設けられたコネクタ1が組み立てられる。
【0057】
以上のように構成されたコネクタ1は、樹脂シェル8のベース部82を車載カメラニット100の樹脂ケース150の上端にその上側から接合し、樹脂シェル8のベース部82の複数箇所をビス止めで車載カメラニット100の樹脂ケース150の上端に固定することにより、車載カメラニット100の上端に取り付けられる。
【0058】
コネクタ1の車載カメラニット100の取り付けに伴って、コンタクト4の接触パッド42が対応する車載カメラニット100の外部接続用端子130と接触すると共に、金属シェル6の平板部62に金属平板7を介して設けられたばね接片71が車載カメラニット100の金属ケース140に接触する。
【0059】
これにより、金属シェル6は、金属平板7を介して車載カメラユニット100のシールド(金属ケース140)、コネクタ1のシールド(金属シェル6)、相手コネクタのシールド(金属シェル)、そしてケーブルのシールド(金属箔や金属編組線)を電気的に接続し、シールドとして一体化するようにする。
【0060】
以上、本実施形態に係るコネクタ1は、複数のコンタクト4と、コンタクト4を相互絶縁状態で保持する樹脂ボディ5と、金属シェル6とを備え、金属シェル6は、筒状部61と、筒状部61の一端から外側に突出した鍔状の平板部62とを有し、樹脂ボディ5を筒状部61の一端開口から筒状部61の内側に嵌合することにより、コンタクト4を樹脂ボディ5により筒状部61の内側に整列固定するコネクタにおいて、筒状部61の一端側から平板部62に重ね合わせた状態で平板部62に取り付けると共に、金属シェル6と電気的に接続する環状の金属平板7をさらに備え、金属平板7に、コネクタ1を電子機器ユニット100に取り付けた時に電子機器ユニット100の周囲の覆いである金属ケース140に弾性的に接触するばね接片71を設けてあるので、ばね接片71を絞り加工を経ないプレス加工で設けることができ、ばね接片71の板厚精度や形状精度の向上・安定化を図ることができ、金属シェル6と金属ケース140とを電気的に確実に接続(接触)することができる。
【0061】
また、金属平板7に、金属平板7を平板部62に取り付けた時に平板部62に弾性的に接触する他のばね接片72をさらに設けてあるので、金属シェル6と金属平板7とを電気的に確実に接続(接触)することができる。
【0062】
また、平板部62に、筒状部61の外側に突出する突片63を設けてあり、他のばね接片72は、金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向で突片63に弾性的に接触するので、金属平板7の平板部62への取り付けにおいて、平板部62と金属平板7との間に隙間が発生したとしても、他のばね接片72の突片63への接触圧に影響は無く、金属シェル6と金属平板7との間に電気的に安定した接続(接触)を得ることができる。
【0063】
また、樹脂ボディ5は、筒状部61の一端開口から筒状部61の内側に嵌合する柱状部51と、柱状部51の一端から外側に突出し、金属平板7の平板部62の側の表面とは反対側の表面に重ね合わせた状態で平板部62との間に金属平板7を挟む平板状の取り付け部52とを有し、取り付け部52に柱状部51の外側に突出するボス53を設けてあり、平板部62と金属平板7のそれぞれにボス53に対応するボス挿入孔64、73を設けてあり、ボス53は、平板部62の金属平板7の側の表面とは反対側の表面に突出するボス53の先端部を溶融することにより、平板部62の金属平板7の側の表面とは反対側の表面に係合する頭部531を有し、平板部62と取り付け部52の間に金属平板7を挟んだ状態でボス53により平板部62と金属平板7と取り付け部52とを固定してあるので、金属シェル6に金属平板7と樹脂ボディ5を確実に固定することができる。
【0064】
また、他のばね接片72と突片63のそれぞれは、金属平板7の平板部62への取り付け方向と直交する方向で互いに向かい合う他のばね接片対と突片対を構成する2つを含み、対内の他のばね接片72の一方と他方が逆方向で接触対象の突片対の一方と他方に弾性的に接触するので、対内の他のばね接片72の接触圧が相殺され、平板部62と金属平板7との固定部であるボス53に負荷が加わらず、平板部62と金属平板7を確実に固定することができる。
【0065】
また、樹脂シェル8をさらに備え、樹脂シェル8は、筒状の嵌合部81と、嵌合部81の一端から外側に突出した鍔状の平板部であって、電子機器ユニット100に取り付けるベース部82とを有しており、筒状部61を嵌合部81の一端開口から嵌合部81の内側に挿入することにより、筒状部61の周囲を嵌合部81により筒状部61と嵌合部81との間に隙間を設けた状態で取り囲み、かつ、平板部62を嵌合部81の一端側からベース部82に重ね合わせており、ベース部82に嵌合部81の一端側に突出する他のボス83を設けてあり、平板部62と金属平板7のそれぞれに他のボス83に対応する他のボス挿入孔65、74を設けてあり、他のボス83は、金属平板7の平板部62の側の表面とは反対側の表面に突出する他のボス83の先端部を溶融することにより、金属平板7の平板部62の側の表面とは反対側の表面に係合する他の頭部831を有し、金属平板7とベース部82との間に平板部62を挟んだ状態で他のボス83により平板部62と金属平板7とベース部82とを固定してあるので、金属シェル6に金属平板7と樹脂シェル8を確実に固定することができる。
【0066】
また、ベース部82の平板部62の側の表面に、他のばね接片72と他のばね接片72の接触対象の突片63とを収容する凹部84を設けてあり、凹部84は、突片63との間で他のばね接片72を挟み、他のばね接片72の突片63に対する接触反力を受け止める側壁841を有するので、他のばね接片72が傾くこと無く、金属シェル6と金属平板7との間に電気的により安定した接続(接触)を得ることができる。
【0067】
また、金属シェル6と樹脂シェル8との間に配置する防水パッキン9をさらに備えるので、コネクタ1が取り付けられる電子機器ユニット100の内部に対する優れた防水性を得ることができる。
【0068】
また、金属シェル6と樹脂ボディ5の間及び樹脂ボディ5とコンタクト4との間をシールするポッティング10をさらに備えるので、コネクタ1が取り付けられる電子機器ユニット100の内部に対する優れた防水性を得ることができる。
【0069】
また、金属シェル6は、継ぎ目のないシームレス構造を有するので、コネクタ1が取り付けられる電子機器ユニット100の内部に対する優れた防水性を得ることができる。
【0070】
また、電子機器ユニット100は、車載カメラユニットであるので、シールド性と防水性に優れた車載カメラユニット用コネクタを提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 コネクタ
4 コンタクト
5 樹脂ボディ、51 柱状部、52 取付け部 53 ボス、531 頭部
6 金属シェル、61 筒状部、62 平板部、63 突片、64 ボス挿入孔
65 他のボス挿入孔
7 金属平板、71 ばね接片、72 他のばね接片、73 ボス挿入孔
74 他のボス挿入孔
8 樹脂シェル、81 嵌合部、82 ベース部、83 他のボス、831 頭部
84 凹部、841 側壁
9 防水パッキン
10 ポッティング
100 車載カメラユニット(電子機器ユニット)、140 金属ケース