(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】両面感圧粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/21 20180101AFI20220506BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220506BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
C09J7/21
C09J7/38
C09J133/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017091756
(22)【出願日】2017-05-02
【審査請求日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】PI2016000919
(32)【優先日】2016-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(31)【優先権主張番号】PI2017701334
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517157190
【氏名又は名称】ニットウ デンコウ マテリアルズ (マレーシア) スンディリアン ブルハド
【氏名又は名称原語表記】NITTO DENKO MATERIALS(MALAYSIA)SDN.BHD.
【住所又は居所原語表記】No. 2,Persiaran Budiman,Seksyen 23,40300 Shah Alam,Selangor Darul Ehsan,Malaysia
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ヌルール ジャンナ ビンティ アブドゥラー
(72)【発明者】
【氏名】ノール ファラー アイン ビンティ モハマド ナズリ
(72)【発明者】
【氏名】木内 一之
(72)【発明者】
【氏名】北原 綱樹
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-185053(JP,A)
【文献】特開2015-143353(JP,A)
【文献】特開2004-232286(JP,A)
【文献】特開2010-095610(JP,A)
【文献】特開2006-312752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の感圧粘着剤層と
多孔性紙材である基材と第2の感圧粘着剤層とをこの順に有する両面感圧粘着テープであって、
前記多孔性紙材は、15g/m
2
~80g/m
2
の坪量を有し、
前記第1の感圧粘着剤層を形成する感圧粘着剤組成物(1)がベースポリマー(1)を含み、
前記感圧粘着剤組成物(1)中の前記ベースポリマー(1)の含有割合は、90.0重量%~100重量%であり、
SUS304鋼板に対する
前記第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力がSUS304鋼板に対する
前記第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力より大きく、
SUS304鋼板に対する前記第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力が0.5N/20mm~5N/20mmであり、
SUS304鋼板に対する
前記第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力とSUS304鋼板に対する
前記第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力との差が3N/20mm~20N/20mmであり、
引張強度が20N/20mm以上である、
両面感圧粘着テープ。
【請求項2】
SUS304鋼板に対する前記第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力とSUS304鋼板に対する前記第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力との差が4N/20mm~20N/20mmである、請求項1に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項3】
ポリエチレンに対する前記第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力が3N/20mm~15N/20mmである、請求項1または2に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項4】
伸び率が2%以上である、請求項1から3までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項5】
引裂強度が40N/20mm以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項6】
前記粘着剤組成物(1)のゲル分率が50%以上である、請求項
1に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項7】
前記ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である、請求項
1から6までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項8】
前記アクリル系ポリマー(1)を構成する単量体単位の70重量%以上が2-エチルヘキシルアクリレート由来の単量体単位である、請求項
7に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項9】
前記第2の感圧粘着剤層を形成する感圧粘着剤組成物(2)がベースポリマー(2)を含む、請求項1から
8までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項10】
前記粘着剤組成物(2)のゲル分率が70%未満である、請求項
9に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項11】
前記ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である、請求項
9または
10に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項12】
前記アクリル系ポリマー(2)を構成する単量体単位の50重量%以上がアルキル(メタ)アクリレート由来の単量体単位である、請求項
11に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項13】
前記基材の厚みが10μm~100μmである、請求項1から
12までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項14】
前記基材の厚みが30μm~100μmである、請求項
13に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項15】
前記第1の感圧粘着剤層の厚みが5μm~50μmである、請求項1から
14までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項16】
前記第1の感圧粘着剤層の厚みが10μm~40μmである、請求項
15に記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項17】
前記第2の感圧粘着剤層の厚みが10μm~100μmである、請求項1から
16までのいずれかに記載の両面感圧粘着テープ。
【請求項18】
前記第2の感圧粘着剤層の厚みが20μm~60μmである、請求項
17に記載の両面感圧粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面感圧粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
基材の両面に感圧粘着剤層を有する両面感圧粘着テープは、各種工業用途等に広く用いられている(特許文献1)。
【0003】
両面感圧粘着テープは、通常、基材の両面の感圧粘着剤層それぞれの表面に剥離ライナーが予め設けられている。両面感圧粘着テープを使用する際は、一方の面の剥離ライナーを剥離し、露出した第1の感圧粘着剤層を被着体に貼り付け、その後、もう一方の面の剥離ライナーを剥離し、露出した第2の感圧粘着剤層に別の被着体を貼り付ける。
【0004】
ところが、従来の両面感圧粘着テープにおいては、一方の面の剥離ライナーを剥離し、露出した第1の感圧粘着剤層を、ガラスやSUS等の極性表面を有する被着体に貼り付け、その後、もう一方の面の剥離ライナーを剥離し、露出した第2の感圧粘着剤層に、ポリエチレンシート等の低極性表面を有する被着体を貼り付けた場合、この極性表面を有する被着体に貼り付けた積層体(両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体)を該被着体から一体として再剥離しようとすると、該極性表面を有する被着体の表面に糊残りが生じるという問題や、該第2の感圧粘着剤層と該低極性表面を有する被着体との界面において剥がれてしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために用いる両面感圧粘着テープであって、該極性表面を有する被着体から、該両面感圧粘着テープと該低極性表面を有する被着体との積層体を一体として容易に剥離でき、且つ、該極性表面を有する被着体の表面の糊残りを抑制できる、両面感圧粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の両面感圧粘着テープは、
第1の感圧粘着剤層と基材と第2の感圧粘着剤層とをこの順に有する両面感圧粘着テープであって、
SUS304鋼板に対する該第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力がSUS304鋼板に対する該第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力より大きく、
SUS304鋼板に対する前記第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力が0.5N/20mm~5N/20mmであり、
SUS304鋼板に対する該第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力とSUS304鋼板に対する該第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力との差が3N/20mm~20N/20mmである。
【0008】
一つの実施形態においては、SUS304鋼板に対する上記第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力とSUS304鋼板に対する上記第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力との差が4N/20mm~20N/20mmである。
【0009】
一つの実施形態においては、ポリエチレンに対する上記第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力が3N/20mm~15N/20mmである。
【0010】
一つの実施形態においては、本発明の両面感圧粘着テープは、伸び率が2%以上である。
【0011】
一つの実施形態においては、本発明の両面感圧粘着テープは、引張強度が20N/20mm以上である。
【0012】
一つの実施形態においては、本発明の両面感圧粘着テープは、引裂強度が40N/20mm以上である。
【0013】
一つの実施形態においては、上記基材が紙材である。
【0014】
一つの実施形態においては、上記第1の感圧粘着剤層を形成する感圧粘着剤組成物(1)がベースポリマー(1)を含む。
【0015】
一つの実施形態においては、上記粘着剤組成物(1)のゲル分率が50%以上である。
【0016】
一つの実施形態においては、上記ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である。
【0017】
一つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマー(1)を構成する単量体単位の70重量%以上が2-エチルヘキシルアクリレート由来の単量体単位である。
【0018】
一つの実施形態においては、上記第2の感圧粘着剤層を形成する感圧粘着剤組成物(2)がベースポリマー(2)を含む。
【0019】
一つの実施形態においては、上記粘着剤組成物(2)のゲル分率が70%未満である。
【0020】
一つの実施形態においては、上記ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である。
【0021】
本発明は、2つの好ましい実施形態、すなわち、第1の実施形態および第2の実施形態を開示する。両実施形態は、同一の第1の感圧粘着剤層、基材および剥離ライナーを有するが、異なる第2の感圧粘着剤層を有する。第1の実施形態では、第2の感圧粘着剤層は、水系粘着剤に由来する。第2の実施形態では、第2の感圧粘着剤層は、有機溶剤系粘着剤に由来する。第2の感圧粘着剤層の違いは、高極性の被着体への粘着力、テープの伸び、テープの引張強度、および、テープの端部引裂強度の変化をもたらす。
【0022】
第1および第2の実施形態においては、上記アクリル系ポリマー(2)を構成する単量体単位の50重量%以上がアルキル(メタ)アクリレート由来の単量体単位である。
【0023】
一つの実施形態においては、上記基材の厚みが10μm~100μmである。
【0024】
一つの実施形態においては、上記基材の厚みが30μm~100μmである。
【0025】
一つの実施形態においては、上記第1の感圧粘着剤層の厚みが5μm~50μmである。
【0026】
一つの実施形態においては、上記第1の感圧粘着剤層の厚みが10μm~40μmである。
【0027】
一つの実施形態においては、上記第2の感圧粘着剤層の厚みが10μm~100μmである。
【0028】
一つの実施形態においては、上記第2の感圧粘着剤層の厚みが20μm~60μmである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために用いる両面感圧粘着テープであって、該極性表面を有する被着体から、該両面感圧粘着テープと該低極性表面を有する被着体との積層体を一体として容易に剥離でき、且つ、該極性表面を有する被着体の表面の糊残りを抑制できる、両面感圧粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一つの実施形態による両面感圧粘着テープの概略断面図である。
【
図2】本発明の別の一つの実施形態による両面感圧粘着テープの概略断面図である。
【
図3】本発明の両面感圧粘着テープにおいて基材上に第2の感圧粘着剤層を設けた一つの実施形態の平面図である。
【
図4】本発明の両面感圧粘着テープにおいて基材上に第2の感圧粘着剤層を設けた別の一つの実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。また、本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
【0032】
本明細書中で「(a)由来の単量体単位(A)」との表現がある場合は、単量体単位(A)は、単量体(a)が有する不飽和二重結合が重合によって開裂して形成される構造単位である。なお、不飽和二重結合が重合によって開裂して形成される構造単位とは、「RpRqC=CRrRs」の構造(Rp、Rq、Rr、Rsは、炭素原子と単結合で結合する任意の適切な基)の不飽和二重結合「C=C」が重合によって開裂して形成される「-RpRqC-CRrRs-」の構造単位である。
【0033】
本明細書中で、重合体中の単量体単位の含有割合は、例えば、該重合体の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、重合体を製造する際に用いる各種単量体の使用量に基づいて算出される該各種単量体由来の単量体単位の含有割合をもって、重合体中の単量体単位の含有割合としてもよい。すなわち、重合体を製造する際に用いる全単量体成分中の、ある単量体(m)の含有割合を、該重合体中の単量体(m)由来の単量体単位の含有割合として扱ってよい。
【0034】
本発明の両面感圧粘着テープは、第1の感圧粘着剤層と基材と第2の感圧粘着剤層とをこの順に有する両面感圧粘着テープである。本発明の両面感圧粘着テープの構成は、第1の感圧粘着剤層と基材と第2の感圧粘着剤層とをこの順に有していれば、本発明の効果を損なわない限り、任意の適切な構成を採用し得る。
【0035】
図1は、本発明の一つの実施形態による両面感圧粘着テープの概略断面図である。
図1において、両面感圧粘着テープ100は、基材30と、基材30の一方の面に設けられた第1の感圧粘着剤層10と、基材30のもう一方の面に設けられた第2の感圧粘着剤層20とを有する。基材30と第1の感圧粘着剤層10との間や基材30と第2の感圧粘着剤層20との間には、プライマー層など、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の層を有していてもよい。基材30は、1層でもよいし、2層以上でもよい。
【0036】
図2は、本発明の別の一つの実施形態による両面感圧粘着テープの概略断面図である。
図2において、両面感圧粘着テープ100は、基材30と、基材30の一方の面に設けられた第1の感圧粘着剤層10と、基材30のもう一方の面に設けられた第2の感圧粘着剤層20と、第2の感圧粘着剤層20の基材30と反対側の面に設けられた剥離ライナー40とを有する。基材30と第1の感圧粘着剤層10との間や基材30と第2の感圧粘着剤層20との間には、プライマー層など、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の総を有していてもよい。基材30は、1層でもよいし、2層以上でもよい。
【0037】
本発明の両面感圧粘着テープは、基材の全面に第1の感圧粘着剤層や第2の感圧粘着剤層を設けてもよいし、基材の一部の面に第1の感圧粘着剤層や第2の感圧粘着剤層を設けてもよい。
図3は、本発明の両面感圧粘着テープにおいて、基材30上に第2の感圧粘着剤層20を設けた一つの実施形態の平面図である。
図3において、基材30上には、第2の感圧粘着剤層20が設けられていない箇所(ドライエッジ)50が存在する。このような感圧粘着剤層が設けられていない箇所は、通常、ドライエッジと称されている。このようなドライエッジを基材の端部に設けることにより、該端部における感圧粘着剤による汚染や異物の付着を抑制することができる。
図3において、ドライエッジ50の幅Lは、目的に応じて、適宜設定し得る。代表的には、ドライエッジ50の幅は、例えば、好ましくは1mm~10mmであり、より好ましくは2mm~9mmであり、さらに好ましくは3mm~8mmであり、特に好ましくは4mm~7mmである。特に強い感圧粘着性を示す感圧粘着層側をドライエッジ化すると、両面感圧粘着テープをジャンボ(または定尺)ロールから小巻に切り出す際、切断刃の側面に感圧粘着剤が纏わりつかず、テープ側面ベタツキが無くなるため、梱包でのブロッキング(二つのテープ側面同士の自着し、分割できなくなる不具合)や回避できることから従来の合紙が不要となる。また、切断刃の長寿命化にもつながることから、製品品質の向上や生産性の向上に大きく寄与する。従って、このようなドライエッジのテープは、特に屋外や塵やほこりの多い場所での使用の際にテープ側面に小石や異物が付着しにくくなり、良好な作業性をも提供する。このようなドライエッジのテープは、例えば、DIYでの木片(仮)固定用両面テープ、ブロックなど石材を位置決めして積み上げる際の(仮)固定用両面テープ、住宅用透湿防水シートの固定用両面テープなどに好適に使用できる。本発明の両面感圧粘着テープにおいて、基材の一部の面に第1の感圧粘着剤層や第2の感圧粘着剤層を設けられた別の実施形態としては、例えば、基材上に、第2の感圧粘着剤層が、ストライプ状、ドット状、格子状などの態様で設けられた実施形態が挙げられる。
図4は、本発明の両面感圧粘着テープにおいて、基材30上に第2の感圧粘着剤層20を設けた別の一つの実施形態の平面図である。
図4において、基材30上には、第2の感圧粘着剤層20が、ドット状に設けられている。
【0038】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、SUS304鋼板に対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力がSUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力より大きい。SUS304鋼板に対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力がSUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力より大きければ、本発明の他の特徴と組み合わせることによって、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体として容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りを抑制できる。
【0039】
本発明は、2つの好ましい実施形態、すなわち、第1の実施形態および第2の実施形態を開示する。両実施形態は、同一の第1の感圧粘着剤層、基材および剥離ライナーを有するが、異なる第2の感圧粘着剤層を有する。第1の実施形態では、第2の感圧粘着剤層は、水系粘着剤に由来する。第2の実施形態では、第2の感圧粘着剤層は、有機溶剤系粘着剤に由来する。第2の感圧粘着剤層の違いは、高極性の被着体への粘着力、テープの伸び、テープの引張強度、および、テープの端部引裂強度の変化をもたらす。
【0040】
SUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力およびSUS304鋼板に対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力の測定方法については、後に詳述する。
【0041】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、SUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力が0.5N/20mm~5N/20mmであり、好ましくは1.0N/20mm~5.0N/20mmであり、より好ましくは1.5N/20mm~5.0N/20mmであり、さらに好ましくは2.0N/20mm~5.0N/20mmであり、特に好ましくは2.5N/20mm~5.0N/20mmである。SUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力が上記範囲内にあることにより、本発明の他の特徴と組み合わせることによって、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体として容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りを抑制できる。
【0042】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、SUS304鋼板に対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力とSUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力との差が3N/20mm~20N/20mmであり、好ましくは4N/20mm~20N/20mmであり、より好ましくは5N/20mm~20N/20mmであり、さらに好ましくは6N/20mm~20N/20mmであり、特に好ましくは8N/20mm~20N/20mmである。SUS304鋼板に対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力とSUS304鋼板に対する第1の感圧粘着剤層の感圧粘着力との差が上記範囲内にあることにより、本発明の他の特徴と組み合わせることによって、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体として容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りを抑制できる。
【0043】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、ポリエチレンに対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力が、好ましくは1N/20mm~15N/20mmであり、より好ましくは2N/20mm~12N/20mmであり、さらに好ましくは3N/20mm~12N/20mmである。ポリエチレンに対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0044】
ポリエチレンに対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着力の測定方法については、後に詳述する。
【0045】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、伸び率が、好ましくは2%以上であり、より好ましくは2%~30%であり、さらに好ましくは2%~20%であり、特に好ましくは2%~15%である。本発明の両面感圧粘着テープの伸び率が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0046】
本発明の両面感圧粘着テープの伸び率の測定方法については、後に詳述する。
【0047】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、引張強度が、好ましくは20N/20mm以上であり、より好ましくは20N/20mm~140N/20mmであり、さらに好ましくは80N/20mm~140N/20mmであり、特に好ましくは100N/20mm~140N/20mmである。第1の実施形態では、両面感圧粘着テープの引張強度は、好ましくは20N/20mm~100N/20mmであり、さらに好ましくは20N/20mm~80N/20mmであり、特に好ましくは20N/20mm~70N/20mmである。一方、第2の実施形態では、両面感圧粘着テープの引張強度は、好ましくは20N/20mm~140N/20mmであり、さらに好ましくは80N/20mm~140N/20mmであり、特に好ましくは100N/20mm~140N/20mmである。本発明の両面感圧粘着テープの引張強度が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0048】
本発明の両面感圧粘着テープの引張強度の測定方法については、後に詳述する。
【0049】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、引裂強度が、好ましくは40N/20mm以上であり、より好ましくは40N/20mm~100N/20mmであり、さらに好ましくは40N/20mm~90N/20mmであり、特に好ましくは40N/20mm~80N/20mmである。第1の実施形態では、好ましい引裂強度は、50N/20mm~90N/20mmであり、一方、第2の実施形態では、好ましい引裂強度は、70N/20mm~90N/20mmである。本発明の両面感圧粘着テープの引裂強度が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。なお、引裂強度の上限値は、手切れ性が良いなど、作業性が良好であるために必要な臨界的数値を意味する。
【0050】
本発明の両面感圧粘着テープの引裂強度の測定方法については、後に詳述する。
【0051】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、基材の厚みは、好ましくは10μm~100μmであり、より好ましくは20μm~100μmであり、さらに好ましくは25μm~100μmであり、特に好ましくは30μm~100μmである。基材の厚みが上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0052】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、第1の感圧粘着剤層の厚みは、好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは7μm~45μmであり、さらに好ましくは9μm~43μmであり、特に好ましくは10μm~40μmである。第1の感圧粘着剤層の厚みが上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0053】
本発明の両面感圧粘着テープにおいては、第2の感圧粘着剤層の厚みは、好ましくは10μm~100μmであり、より好ましくは15μm~80μmであり、さらに好ましくは18μm~70μmであり、特に好ましくは20μm~60μmである。第2の感圧粘着剤層の厚みが上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0054】
本発明の両面感圧粘着テープの総厚みは、好ましくは80μm~250μmであり、より好ましくは90μm~210μmであり、さらに好ましくは100μm~180μmであり、特に好ましくは110μm~150μmである。本発明の両面感圧粘着テープの総厚みが上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。なお、本発明において、剥離ライナーが用いられている場合、該剥離ライナーの厚みは、両面感圧粘着テープにおける総厚みには含まれない。
【0055】
<基材>
基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材を採用し得る。このような基材としては、例えば、紙材、プラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、基材としては、紙材(多孔性薄葉紙材)が好ましい。紙材としては、例えば、クラフト紙、クレープ紙、和紙(例えば、叩解された木材パルプ、あるいはこれに一種以上の合成短繊維を混抄された和紙等)等の繊維状物質からなる紙材が挙げられる。これらの紙材の中でも、和紙が好ましい。基材として紙材を採用することにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。多孔性薄葉紙材の坪量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な坪量を採用し得る。このような坪量としては、好ましくは15g/m2~80g/m2であり、より好ましくは25g/m2~55g/m2である。多孔性薄葉紙材の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは40μm~120μmであり、より好ましくは50μm~90μ mである。なお、基材には、必要により、含浸剤を塗布しても良い。
【0056】
<第1の感圧粘着剤層>
第1の感圧粘着剤層を構成する感圧粘着剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な感圧粘着剤を採用し得る。このような第1の感圧粘着剤層を構成する感圧粘着剤は、好ましくは、ベースポリマー(1)を含む感圧粘着剤組成物(1)から形成される。
【0057】
感圧粘着剤組成物(1)中のベースポリマー(1)の含有割合は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは90.0重量%~100重量%であり、より好ましくは95.0重量%~99.99重量%であり、さらに好ましくは97.0重量%~99.97重量%であり、特に好ましくは99.0重量%~99.95重量%である。感圧粘着剤組成物(1)中のベースポリマー(1)の含有割合が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0058】
粘着剤組成物(1)のゲル分率は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは50%以上であり、より好ましくは50%~100%であり、さらに好ましくは55%~90%であり、特に好ましくは60%~80%である。粘着剤組成物(1)のゲル分率が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0059】
ベースポリマー(1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリマーを採用し得る。このようなポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマーなどが挙げられる。
【0060】
ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である場合、該アクリル系ポリマー(1)は、好ましくは、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位を含む。アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが有する該アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。アルキル基の炭素数が2~14のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0061】
ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である場合、好ましくは、該アクリル系ポリマー(1)を構成する単量体単位の70重量%以上が2-エチルヘキシルアクリレート由来の単量体単位である。上記割合は、好ましくは70重量%~99重量%であり、より好ましくは75重量%~97重量%であり、さらに好ましくは80重量%~95重量%であり、特に好ましくは85重量%~95重量%である。アクリル系ポリマー(1)がこのような組成を有することにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0062】
ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である場合、該アクリル系ポリマー(1)は、好ましくは、カルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位を含む。カルボキシル基含有不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0063】
ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である場合であって、該アクリル系ポリマー(1)が、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位およびカルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位を含む場合、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位とカルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位との比率は、本発明の効果をより発現させ得る点で、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位を100重量部としたときに、カルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位が、好ましくは0.1重量部~10重量部であり、より好ましくは0.5重量部~8重量部であり、さらに好ましくは1重量部~6重量部であり、特に好ましくは1.5重量部~5重量部である。
【0064】
ベースポリマー(1)がアクリル系ポリマー(1)である場合、該アクリル系ポリマー(1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のモノマー由来の単量体単位を含んでいてもよい。このような他のモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等の含窒素(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート;アルキル基の炭素数が15以上の(メタ)アクリル酸アルキル;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリテン;プロピオン酸ビニル;などが挙げられる。
【0065】
ベースポリマー(1)のGPC(ポリスチレン換算)による重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量平均分子量(Mw)を採用し得る。このような重量平均分子量(Mw)としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは10000~1000000であり、より好ましくは50000~900000であり、さらに好ましくは80000~700000であり、特に好ましくは100000~500000である。
【0066】
ベースポリマー(1)の製造は、各種公知の方法により製造でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等のラジカル重合法などが挙げられる。
【0067】
感圧粘着剤組成物(1)には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、粘着付与剤、架橋剤、架橋触媒、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0068】
<第2の感圧粘着剤層>
第2の感圧粘着剤層を構成する感圧粘着剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な感圧粘着剤を採用し得る。このような第2の感圧粘着剤層を構成する感圧粘着剤は、好ましくは、ベースポリマー(2)を含む感圧粘着剤組成物(2)から形成される。
【0069】
感圧粘着剤組成物(2)中のベースポリマー(2)の含有割合は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは10重量%~100重量%であり、より好ましくは20重量%~90重量%であり、さらに好ましくは25重量%~85重量%であり、特に好ましくは30重量%~80重量%である。感圧粘着剤組成物(2)中のベースポリマー(2)の含有割合が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0070】
粘着剤組成物(2)のゲル分率は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは70%未満であり、より好ましくは2%~70%であり、さらに好ましくは2%~55%であり、特に好ましくは1%~40%である。第1の実施形態では、粘着剤組成物(2)のゲル分率は、好ましくは50%~70%であり、さらに好ましくは20%~55%である。一方、第2の実施形態では、粘着剤組成物(2)のゲル分率は、好ましくは1%~30%であり、さらに好ましくは1%~10%であり、特に好ましくは1%~5%である。粘着剤組成物(2)のゲル分率が上記範囲内にあることにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0071】
ベースポリマー(2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリマーを採用し得る。このようなポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマーなどが挙げられる。また、このようなポリマーとしては、有機溶剤系感圧粘着剤、水系(水分散型)感圧粘着剤、無溶剤系(紫外線重合/硬化型、ホットメルト系)感圧粘着剤なども挙げられる。
【0072】
ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である場合、該アクリル系ポリマー(2)は、好ましくは、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位を含む。アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが有する該アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。アルキル基の炭素数が2~14のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0073】
ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である場合、好ましくは、該アクリル系ポリマー(2)を構成する単量体単位の50重量%以上がアルキル(メタ)アクリレート由来の単量体単位である。第1および第2の実施形態において、ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である場合、好ましくは、該アクリル系ポリマー(2)を構成する単量体単位の50重量%以上がブチルアクリレート由来の単量体単位である。上記割合は、好ましくは50重量%~99重量%であり、より好ましくは55重量%~97重量%であり、さらに好ましくは60重量%~95重量%であり、特に好ましくは65重量%~95重量%である。アクリル系ポリマー(2)がこのような組成を有することにより、極性表面を有する被着体に低極性表面を有する被着体を貼り付けた後に再剥離するために本発明の両面感圧粘着テープを用いた場合に、極性表面を有する被着体から、本発明の両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体としてより容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面の糊残りをより抑制できる。
【0074】
ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である場合、該アクリル系ポリマー(2)は、好ましくは、カルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位を含む。カルボキシル基含有不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0075】
ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である場合であって、該アクリル系ポリマー(2)が、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位およびカルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位を含む場合、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位とカルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位との比率は、本発明の効果をより発現させ得る点で、アルキル基の炭素数が2~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の単量体単位を100重量部としたときに、カルボキシル基含有不飽和モノマー由来の単量体単位が、好ましくは0.1重量部~10重量部であり、より好ましくは0.5重量部~8重量部であり、さらに好ましくは1重量部~6重量部であり、特に好ましくは1.5重量部~5重量部である。
【0076】
ベースポリマー(2)がアクリル系ポリマー(2)である場合、該アクリル系ポリマー(2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のモノマー由来の単量体単位を含んでいてもよい。このような他のモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等の含窒素(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート;アルキル基の炭素数が15以上の(メタ)アクリル酸アルキル;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリテン;プロピオン酸ビニル;などが挙げられる。
【0077】
ベースポリマー(2)のGPC(ポリスチレン換算)による重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量平均分子量(Mw)を採用し得る。このような重量平均分子量(Mw)としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは10000~2000000であり、より好ましくは50000~1900000であり、さらに好ましくは100000~1700000であり、特に好ましくは500000~1500000である。
【0078】
ベースポリマー(2)の製造は、各種公知の方法により製造でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等のラジカル重合法などが挙げられる。
【0079】
感圧粘着剤組成物(2)には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、粘着付与剤、架橋剤、架橋触媒、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。このような添加剤の中でも、特に、低極性表面への接着性向上の観点から、粘着付与剤を添加することは好ましい態様の一つである。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エラストマーなどを挙げることができる。粘着付与剤をアクリル系ポリマーに添加する場合、粘着付与剤の添加量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部~80重量部であり、より好ましくは3重量部~60重量部であり、さらに好ましくは5重量部~50重量部である。
【0080】
架橋剤としては、例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、溶媒型の架橋試薬(solvent cross-linker)が挙げられる。溶媒型の架橋試薬としては、例えば、酢酸エチル等の有機溶媒中の適量の芳香族ポリイソシアネートがあるが、これに限らない。本発明の効果をより発現させ得る点で、架橋剤中の架橋試薬の含有率は、好ましくは30重量%~40重量%である。
【0081】
感圧粘着剤組成物(2)には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、および、これらの組み合わせがある。これらの中では、酢酸エチルとトルエンとの組み合わせが、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましい。
【0082】
本発明の効果をより発現させ得る点で、感圧粘着剤組成物(2)中の溶媒の含有率は、好ましくは50重量%~65重量%である。特に、感圧粘着剤組成物(2)中の酢酸エチルの含有率は、好ましくは35重量%~45重量%であり、感圧粘着剤組成物(2)中のトルエンの含有率は、好ましくは15重量%~20重量%である。
【0083】
<他の層>
本発明の両面感圧粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0084】
<剥離ライナー>
本発明の両面感圧粘着テープの感圧粘着面は、使用時まで剥離ライナー(セパレータ)により保護されていてもよい。なお、両面感圧粘着テープの各感圧粘着面は、2枚の剥離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっている1枚の剥離ライナーにより、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。剥離ライナーは、感圧粘着面の保護材として用いられており、被着体に貼付する際に剥がされる。なお、本発明において、剥離ライナーが用いられている場合、該剥離ライナーの厚みは、両面感圧粘着テープにおける総厚みには含まれない。
【0085】
このような剥離ライナーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な剥離ライナーを採用し得る。このような剥離ライナーとしては、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などが挙げられる。剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。フッ素系ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。無極性ポリマーからなる低接着性基材の無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。なお、剥離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、剥離ライナーの厚みはとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採用し得る。
【0086】
<製造方法>
本発明の両面感圧粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。このような製造方法としては、例えば、基材の両面に感圧粘着剤層を形成することにより製造できる。感圧粘着剤層の形成は、感圧粘着テープの分野における公知の方法を採用し得る。例えば、感圧粘着剤層の形成方法として、基材に直接に感圧粘着剤組成物を塗布し、乾燥させる直写法や、剥離ライナーに感圧粘着剤組成物を塗布し乾燥させた後、基材と貼り合わせる転写法などが挙げられる。
【0087】
感圧粘着剤組成物の塗布の方法としては、例えば、バーコーター、スピンコーター、ロールコーター、アプリケーターなどの適宜な塗工機を用いて行なう方法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコートによる方法などが挙げられる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0089】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重合体の重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8220GPC)を用いて測定を行った。なお、重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算値にて求めた。
測定条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl溶離液
THF流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
サンプルカラム:TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)
リファレンスカラム:TSKgel SuperH-RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
【0090】
<SUS304鋼板に対する感圧粘着剤層の感圧粘着力(対SUS感圧粘着力)の測定>
得られた両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ80mmに切断し、評価用サンプルとした。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルの感圧粘着剤層の表面をSUS304鋼板に、2.0kgローラー1往復により貼り付けた。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で30分間養生した後、万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用い、剥離角度180度、引っ張り速度300mm/分で感圧粘着剤層を剥離し、感圧粘着力を測定した。
【0091】
<ポリエチレンに対する感圧粘着剤層の感圧粘着力(対PE感圧粘着力)の測定>
得られた両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ80mmに切断し、評価用サンプルとした。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルの感圧粘着剤層の表面をポリエチレンシート(西華産業株式会社製、商品名:ポリエチレンプレート)に、2.0kgローラー1往復により貼り付けた。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で30分間養生した後、万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用い、剥離角度180度、引っ張り速度300mm/分で感圧粘着剤層を剥離し、感圧粘着力を測定した。
【0092】
<伸び率の測定>
JIS Z 1523に記載の測定方法に準拠して測定した。
得られた両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ180mmに切断し、剥離ライナーを除去したものを評価用サンプルとした。
引張り試験機(製品名:万能引張圧縮試験機、ミネベア株式会社製、型式TCM-1kNB)を用い、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下、チャック間距離125mm、引張速度300mm/minで引張り、破断時の長さを読み取った。この操作を3回行い、その平均値を伸び率とした。
伸び率(%)=100×破断時の長さ/チャック間距離
【0093】
<引張強度の測定>
JIS Z 1523に記載の測定方法に準拠して測定した。
得られた両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ180mmに切断し、剥離ライナーを除去したものを評価用サンプルとした。
引張り試験機(製品名:万能引張圧縮試験機、ミネベア株式会社製、型式TCM-1kNB)を用い、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下、チャック間距離125mm、引張速度300mm/minで引張り、破断時の応力を読み取った。この操作を3回行い、その平均値を引張強度とした。
【0094】
<引裂強度の測定>
温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下、引張り試験機(製品名:万能引張圧縮試験機、ミネベア株式会社製、型式TCM-1kNB)の一方のチャックに治具を固定した後、該治具に幅18mmの両面感圧粘着テープを通し、感圧粘着剤層を外側にした直径50mm以上のループを作り、該ループの端部をもう一方のチャックに固定した。次に、速度300mm/分の速度でループを引張り、端部より裂け始めた時の値を読み取った。この操作を3回行い、その平均値を引裂強度とした。
【0095】
<ゲル分率の測定>
約0.1gの粘着剤組成物サンプル(重量Wg1)を平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(重量Wg2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量Wg3)で縛った。上記多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜としては、商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」(日東電工株式会社、平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)またはその相当品を使用した。この包みを、50mLの酢酸エチルに浸し、23℃で7日間保持して、粘着剤組成物サンプル中のゾル成分のみを上記膜外に溶出させた。次いで、上記包みを取り出し、外表面に付着している酢酸エチルを拭き取った後、該包みを130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量(Wg4)を測定した。各値を以下の式に代入することにより、粘着剤組成物サンプルのゲル分率FGを算出した。
ゲル分率FG(%)=[(Wg4-Wg2-Wg3)/Wg1]×100
【0096】
<極性表面を有する被着体に対する感圧粘着剤層の感圧粘着力の測定>
ガラス板、塩化ビニル(PVC)板、ポリカーボネート(PC)板、ポリカーボネート(PC)-ABS板、ABS板、アルミ(Al)板に対する感圧粘着剤層の感圧粘着力を測定した。具体的には、得られた両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ80mmに切断し、評価用サンプルとした。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルの感圧粘着剤層の表面を上記の各種板に、2.0kgローラー1往復により貼り付けた。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で30分間養生した後、万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用い、剥離角度180度、引っ張り速度300mm/分で感圧粘着剤層を剥離し、感圧粘着力を測定した。
【0097】
<低極性表面を有する被着体に対する第2の感圧粘着剤層の感圧粘着保持性の評価(感圧粘着保持性評価)>
具体的には、得られた両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ100mmに切断し、評価用サンプルとした。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルの感圧粘着剤層の第1面をAl板(厚さ0.3mm)に、2.0kgローラー1往復により貼り付けた。次に、感圧粘着剤層の第2面をPEシート(10μm)に、十分な圧力をかけて手で貼り付けた。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で30分間養生した後、剥離角度140度で感圧粘着剤層を手で剥離し、被着体表面の外観を判定した。
評価の基準は下記の通りである。
○:低極性表面を有する被着体が、両面感圧粘着テープと一体となって容易に剥離できる。
×:低極性表面を有する被着体が、両面感圧粘着テープから剥離してしまう。
【0098】
<極性表面を有する被着体から両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体として剥離できるかの評価(一体剥離評価)>
両面感圧粘着テープを幅20mm、長さ100mmに切断し、評価用サンプルとした。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルの感圧粘着剤層の第1面をAl板(厚さ0.3mm)に、2.0kgローラー1往復により貼り付けた。次に、感圧粘着剤層の第2面をPEシート(10μm)に、十分な圧力をかけて手で貼り付けた。サンプルと貼り合わされたAl板に、溶媒系または水性の塗料を塗布した後、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で2時間乾燥させた。次に、サンプルテープを手で剥離し、被着体表面の外観を判定した。
評価の基準は下記の通りである。
◎:両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体として容易に剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面に糊残りがない。
○:両面感圧粘着テープと低極性表面を有する被着体との積層体を一体として剥離でき、且つ、極性表面を有する被着体の表面に糊残りがないが、剥離が重い。
×:基材が裂ける。
△:両面感圧粘着テープから低極性表面を有する被着体が剥離してしまう。
【0099】
〔製造例1〕
(感圧粘着剤組成物(A)の製造)
2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)92部、n-ブチルアクリレート(BA)5部、メチルメタクリレート(MMA)2部およびアクリル酸(AA)1部からなるモノマー成分と、上記モノマー成分100部に対して固形分で2部の乳化剤と、イオン交換水100部とを混合して乳化することにより、モノマー混合物の水性エマルション(モノマーエマルション)を調製した。乳化剤としてはラウリル硫酸ナトリウムを使用した。
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に上記モノマーエマルションを入れ、窒素ガスを導入しながら室温にて1時間以上攪拌した。次いで、系を60℃に昇温し、この反応容器に2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(重合開始剤)(和光純薬工業株式会社、商品名「VA-057」)0.1部を投入し、系を60℃に保ちつつ、上記モノマーエマルションを6時間反応させた。系を常温まで冷却した後、10%アンモニウム水の添加によりpHを7.5に調整して、アクリル系ポリマーの水分散液を得た。
上記水分散液に対し、該水分散液に含まれるアクリル系ポリマー固形分100部に対して0.08部のエポキシ系架橋剤を加えて混合した。エポキシ系架橋剤としては、綜研化学(株)社製の商品名「E10-C」を使用した。
このようにして感圧粘着剤組成物(A)を調製した。
感圧粘着剤組成物(A)を構成する感圧粘着剤の重量平均分子量(Mw)は80000であり、ゲル分率は82%であった。
【0100】
〔製造例2〕
(感圧粘着剤組成物(B)の製造)
2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)30部、n-ブチルアクリレート(BA)70部、アクリル酸(AA)3部、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製、商品名「KBM-503」)0.03部からなるモノマー成分と、上記モノマー成分100部に対して固形分で2部の乳化剤と、イオン交換水100部とを混合して乳化することにより、モノマー混合物の水性エマルション(モノマーエマルション)を調製した。乳化剤としてはラウリル硫酸ナトリウムを使用した。
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に上記モノマーエマルションを入れ、窒素ガスを導入しながら室温にて1時間以上攪拌した。次いで、系を60℃に昇温し、この反応容器に2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(重合開始剤)(和光純薬工業株式会社、商品名「VA-057」)0.1部を投入し、系を60℃に保ちつつ、上記モノマーエマルションを6時間反応させた。系を常温まで冷却した後、10%アンモニウム水の添加によりpHを7.5に調整して、アクリル系ポリマーの水分散液を得た。これに粘着付与樹脂として、テルペンフェノール系樹脂の水性エマルション(商品名「タマノルE-200NT」、荒川化学株式会社)を30重量部(アクリルポリマー100重量部(固形分)に対し)添加した。
このようにして感圧粘着剤組成物(B)を調整した。
感圧粘着剤組成物(B)を構成する感圧粘着剤の重量平均分子量(Mw)は80000であり、ゲル分率は27%であった。
【0101】
〔実施例1〕
実施例1は、本発明の第1の実施形態に相当する。
基材として、坪量43g/m2、厚さ70μmの和紙の第1面に下塗り剤(primer)としてゴムエマルジョン(タイ レヂテックス社製、商品名「TRMG-40N」)を塗布し、130℃で2分間乾燥させて、坪量3g/m2の下塗り層を形成した。
次いで、第1面に、製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(A1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(A1)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の軽剥離面側を貼り合わせた。
次いで、基材の第2面に、製造例2で得られた感圧粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ40μmの感圧粘着剤層(B1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(B1)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の重剥離面側を貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A1)〕/〔和紙基材〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(B1)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(1)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0102】
〔比較例1〕
実施例1と同様の剥離ライナーの軽剥離面側に製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(A1)を形成した。次いで、基材として坪量14g/m2、厚さ43μmの不織布を、形成した感圧粘着剤層(A1)の感圧粘着面に貼り合わせた(I)。
次に、実施例1と同様の剥離ライナーをもう1枚用意し、重剥離面側に製造例2で得られた感圧粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分乾燥させて厚さ40μmの感圧粘着剤層(B1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(B1)の感圧粘着面を、上記(I)の不織布が露出した面に貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A1)〕/〔不織布〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(B1)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(C1)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0103】
〔比較例2〕
基材として、坪量43g/m2、厚さ70μmの和紙の第1面に下塗り剤(primer)としてゴムエマルジョン(タイ レヂテックス社製、商品名「TRMG-40N」)を塗布し、130℃で2分間乾燥させて、坪量3g/m2の下塗り層を形成した。
次いで、第1面に、製造例2で得られた感圧粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(B2)を形成した。形成した感圧粘着剤層(B2)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の軽剥離面側を貼り合わせた。
次いで、基材の第2面に、製造例2で得られた感圧粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ40μmの感圧粘着剤層(B1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(B1)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の重剥離面側を貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(B2)〕/〔和紙基材〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(B1)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(C2)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0104】
〔比較例3〕
実施例1と同様の剥離ライナーの軽剥離面側に製造例2で得られた感圧粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(B2)を形成した。次いで、基材として坪量14g/m2、厚さ43μmの不織布を、形成した感圧粘着剤層(B2)の感圧粘着面に貼り合わせた(I)。
次に、実施例1と同様の剥離ライナーをもう1枚用意し、重剥離面側に製造例2で得られた感圧粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分乾燥させて厚さ40μmの感圧粘着剤層(B1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(B1)の感圧粘着面を、上記(I)の不織布が露出した面に貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(B2)〕/〔不織布〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(B1)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(C3)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0105】
〔比較例4〕
基材として、坪量43g/m2、厚さ70μmの和紙の第1面に下塗り剤(primer)としてゴムエマルジョン(タイ レヂテックス社製、商品名「TRMG-40N」)を塗布し、130℃で2分間乾燥させて、坪量3g/m2の下塗り層を形成した。
次いで、第1面に、製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(A1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(A1)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の軽剥離面側を貼り合わせた。
次いで、基材の第2面に、製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ40μmの感圧粘着剤層(A2)を形成した。形成した感圧粘着剤層(A2)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の重剥離面側を貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A1)〕/〔和紙基材〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A2)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(C4)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0106】
〔比較例5〕
実施例1と同様の剥離ライナーの軽剥離面側に製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(A1)を形成した。次いで、基材として坪量14g/m2、厚さ43μmの不織布を、形成した感圧粘着剤層(A1)の感圧粘着面に貼り合わせた(I)。
次に、実施例1と同様の剥離ライナーをもう1枚用意し、重剥離面側に製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて厚さ40μmの感圧粘着剤層(A2)を形成した。形成した感圧粘着剤層(A2)の感圧粘着面を、上記(I)の不織布が露出した面に貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A1)〕/〔不織布〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A2)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(C1)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0107】
〔製造例3〕
(感圧粘着剤組成物(X)の製造)
アルキル(メタ)アクリレート38部、ロジンエステル2部、酢酸エチル45部、トルエン15部を混合して液体混合物を得た。それとは別に、芳香族ポリイソシアネート30部、酢酸エチル70部を混合して溶媒型の架橋試薬の混合物を得た。液体混合物と架橋試薬の混合物とを、100phr~2.5phrの割合で、均質化するまで2時間以上室温で攪拌して、タンクミキサー内で混合した。
このようにして感圧粘着剤組成物(X)を調整した。
感圧粘着剤組成物(X)を構成する感圧粘着剤の重量平均分子量(Mw)は970000であり、ゲル分率は3.3%であった。
【0108】
〔実施例2〕
実施例2は、本発明の第2の実施形態に相当する。
基材として、坪量43g/m2、厚さ70μmの和紙の第1面に下塗り剤(primer)としてゴムエマルジョン(タイ レヂテックス社製、商品名「TRMG-40N」)を塗布し、130℃で2分間乾燥させて、坪量3g/m2の下塗り層を形成した。
次いで、第1面に、製造例1で得られた感圧粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ25μmの感圧粘着剤層(A1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(A1)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の軽剥離面側を貼り合わせた。
次いで、基材の第2面に、製造例3で得られた感圧粘着剤組成物(X)を塗布し、100℃で2分乾燥させて、厚さ40μmの感圧粘着剤層(X1)を形成した。形成した感圧粘着剤層(X1)の感圧粘着面にSi系剥離剤で両面処理された剥離ライナー(Pao Yan Tsae Yih Co., LTD社製、商品名「110gsm without printing 8B+8B」)の重剥離面側を貼り合わせた。
以上のようにして、〔剥離ライナー〕/〔第1の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(A1)〕/〔和紙基材〕/〔第2の感圧粘着剤層としての感圧粘着剤層(X1)〕/〔剥離ライナー〕の構成を有する両面感圧粘着テープ(2)を得た。
結果を表1、表2に示した。
【0109】
【0110】
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の両面感圧粘着テープは、DIYでの木片の(仮)固定、ブロックなど石材を位置決めして積み上げる際の(仮)固定、住宅用透湿防水シートの固定などの用途に特に適する。
【符号の説明】
【0112】
10 第1の感圧粘着剤層
20 第2の感圧粘着剤層
30 基材
40 剥離ライナー
100 両面感圧粘着テープ