(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】良好な徐放性を有する、レボドパ含有小型化錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20220506BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20220506BHJP
A61K 9/32 20060101ALI20220506BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220506BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220506BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K9/22
A61K9/32
A61K47/32
A61K47/38
A61P25/16
(21)【出願番号】P 2017158276
(22)【出願日】2017-08-18
【審査請求日】2020-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】593030071
【氏名又は名称】大原薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】五丁森 一博
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/011181(WO,A1)
【文献】特開昭63-054319(JP,A)
【文献】特表平06-504543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0192290(US,A1)
【文献】特開平06-040899(JP,A)
【文献】特表平11-509547(JP,A)
【文献】特許第6033373(JP,B2)
【文献】特表2009-502987(JP,A)
【文献】特表2013-515681(JP,A)
【文献】特表2013-529604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一錠剤に、レボドパ若しくは其のエステル又は其の塩である薬物
及びカルビドパ若しくは其の水和物又はベンセラジド若しくは其の塩である薬物を含有し、
さらに水溶性高分子、水不溶性高分子及び腸溶性高分子から選ばれる高分子ポリマーを含有し、
1錠あたりの錠剤の重量が5.0~40.0mgで
あり、及び
徐放錠の径又は厚みは5.0mm以下の範囲内である、徐放錠。
【請求項2】
前記高分子ポリマー
が、錠剤全重量に対して0.5重量%以上含有
される、請求項
1に記載の徐放錠。
【請求項3】
前記高分子ポリマーが
、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、及びポリビニルアルコールから選ばれる、請求項
1又は2に記載の徐放錠。
【請求項4】
前記薬物及び
前記高分子ポリマー
が造粒物
として徐放錠に含まれる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の徐放錠。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の徐放錠
が、腸溶性高分子で被覆
された徐放錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原薬としてレボドパ及び望ましくはカルビドパを含有する錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
レボドパ{化学名:3-Hydroxy-L-tyrosine}及びカルビドパ水和物{化学名:(2S)-2-(3,4-Dihydroxybenzyl)-2-hydrazinopropanoic acid monohydrate}は、パーキンソン病、パーキンソン症候群の治療薬に用いられる化合物(原薬)である(非特許文献1参照)。
【0003】
レボドパ及びカルビドパを含有する製剤については、即放性製剤又は徐放性製剤であるものが先行文献において紹介される(特許文献1~4等)。徐放性製剤は1回の服用で長時間効果が持続するものであり、服用回数を減らし、患者の負担を軽減することが可能である。
【0004】
そこで本発明者は先行技術に対して更に利便性を向上させた当該徐放製剤の開発を目指した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】JP6033373(B2)
【文献】WO2008/000194(A1)
【文献】US2003/0224045(A1)
【文献】US2007/0275060(A1)
【非特許文献】
【0006】
【文献】医薬品インタビューフォーム「ネオドパストン(登録商標)配合錠L100、ネオドパストン(登録商標)配合錠L250」、2016年5月改訂(第9版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、良好な徐放性を有し、利便性が向上した、レボドパ及び望ましくはカルビドパを含有する徐放製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、レボドパ及びカルビドパを含有する徐放製剤に関する処方や製造方法に関して鋭意検討を重ねた。その結果、レボドパ及びカルビドパを含有する錠剤を小型化させたものは良好な徐放性を有していることを発見した。その知見に基づき、本発明者はさらに鋭意検討を重ねて下記の発明を完成させた。
【0009】
本発明の好ましい構成は、下記(1)~(9)によって記述されているものである。
(1)レボドパ若しくは其のエステル又は其の塩である薬物を含有し、1錠あたりの重量が5.0~50.0mgである小型化された徐放錠。
(2)カルビドパ又はベンセラジドである薬物を更に含有する、前記(1)に記載の徐放錠。
(3)薬物を含む造粒物を含有する、前記(1)又は(2)に記載の徐放錠。
(4)水溶性高分子、水不溶性高分子及び腸溶性高分子から選ばれる高分子ポリマーを含有する、前記(1)~(3)のいずれかに記載の徐放錠。
(5)錠剤全重量に対して高分子ポリマーを0.5重量%以上含有する、前記(4)に記載の徐放錠。
(6)高分子ポリマーがアミノアルキルメタクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、及びポリビニルアルコールから選ばれる、前記(4)又は(5)に記載の徐放錠。
(7)薬物並びに高分子ポリマーを含む造粒物を含有する、前記(4)~(6)のいずれかに記載の徐放錠。
(8)前記(1)~(7)のいずれかに記載の徐放錠を腸溶性高分子で被覆した錠剤。
(9)前記(1)~(8)のいずれかに記載の徐放錠を薬物を含むコーティング層で被覆した錠剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、良好な徐放性を有し、且つ小型化されて利便性が向上した、レボドパ及びカルビドパを含有する徐放錠が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で本発明の錠剤(徐放錠)の処方及び製造方法等を詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
【0012】
本発明の錠剤の剤形として、素錠(フィルムコーティング層や糖衣層等で覆われていない、打錠等により成形したままの錠剤を指す。以下同じ。)、フィルムコーティング錠等が挙げられるが、好ましくは素錠である。本発明の徐放錠である素錠は、フィルムコーティング層を施してフィルムコーティング錠としてもよい。本発明の錠剤の形状として、円形錠{円形平錠(隅角錠等含む)、円形R錠(隅角錠、2段R錠等含む)等}や異形錠等が挙げられる。本発明の錠剤の重量は、1錠あたりの重量が5.0~50.0mg、好ましくは10.0~40.0mgの範囲内にある。1回の経口投与時に必要な量の薬物は2以上の本発明の錠剤に分けて含有させることが可能である。また、本発明の錠剤の径(円形錠;直径、楕円錠:長径)又は厚みは5.0mm以下であって、体積は54立方センチメールの範囲内であることが望ましい。
尚、本明細書における徐放錠は、徐放錠中の薬物が日局溶出試験第1液(pH1.2)において、15分後に10.0~50.0%溶出し、6時間後に85.0%以下のものである。当該溶出試験は、薄めたMcllvaine緩衝液(pH3.0){徐放錠が腸溶性コーティング剤を含むものであれば、日局溶出試験第2液(pH6.8)}を用いて、下記試験例1記載の測定条件又は日本薬局方一般試験法溶出試験法のパドル法の測定条件に基づいて行うことが可能である。
【0013】
本発明の徐放錠は原薬としてレボドパを含有するものであり、望ましくは更にカルビドパ又はベンセラジドを含有するものであり、より望ましくは更にカルビドパを含有する。好ましくは上記以外の他の原薬を含まない。カルビドパは水和物であることが望ましい。レボドパ及びカルビドパのメディアン径(d50)は1.0~100.0μmであることが好ましい。レボドパ及びカルビドパは、必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。尚、メディアン径はレーザー回析・散乱法によって測定(体積基準)することが可能である。レボドパ及びカルビドパは徐放錠の全重量に対して70.0重量%以上、好ましくは80.0~99.0重量%、より好ましくは85.0~95.0重量%の範囲で錠剤中に含有される。
【0014】
本発明の徐放錠は高分子ポリマー(分子量が10,000以上であるものが望ましい。当該分子量は重量平均分子量を指すものと解してもよい。)を含有する。当該高分子ポリマーは、水溶性高分子、水不溶性高分子又は腸溶性高分子のいずれかである。
水溶性高分子は、其の2%(w/v)水溶液の粘度が2.0mPa・s以上、好ましくは2.5~140000mPa・s、より好ましくは15.0~140000mPa・sの範囲内にあることが望ましい。具体的な水溶性高分子として、アルキルセルロース(例えばメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒプロメロース)、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール系共重合体(ポリビニルアルコールがモノマーの一つである共重合体であって、例えばポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー)、ポリビニルピロリドン等を挙げる事ができ、好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコールから選ばれる。
水不溶性高分子は、其の1.0gを溶かすに要する25℃の溶媒(水)量が10000mL以上であることが望ましい。具体的な水不溶性高分子として、酢酸セルロース、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(例えばアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS)、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体等を挙げる事ができ、好ましくはアミノアルキルメタクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体、エチルセルロースから選ばれる。
腸溶性高分子は、胃内環境を想定した酸性のpH値をもつ水溶液溶媒(pH1.2~pH5.4)に対して実質的に溶解せず(即ち、其の1.0gを溶かすに要する25℃の溶媒量が10000mL以上である)、腸内環境を想定した中性~アルカリ性のpH値(pH5.5以上)をもつ水溶液溶媒に対して良好に溶解する(即ち、其の1.0gを溶かすに要する25℃の溶媒量が10000mL未満である)ことが望ましい。具体的な腸溶性高分子として、メタクリル酸コポリマー(例えばメタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、乾燥メタクリル酸コポリマーLD等)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースフタル酸エステル(例えばヒプロメロースフタル酸エステル)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(例えばヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル)、カルボキシアルキルアルキルセルロース(例えばカルボキシメチルエチルセルロース)等を挙げる事ができ、好ましくはメタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロースから選ばれる。
高分子ポリマーは結合剤として用いることも可能である。高分子ポリマーは、錠剤全重量に対して0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは2.0~20.0重量%、さらにより好ましくは3.0~10.0重量%の範囲で錠剤中に含有される。
【0015】
本発明の錠剤を製造するために使用可能な添加物としては、一般的に使用されている結合剤、滑沢剤、矯味剤、コーティング剤等を挙げることができる。ただし、賦形剤及び崩壊剤は、錠剤中において独立して徐放錠である部分(例えば既に徐放錠である素錠にフィルムコーティング層を施した錠剤における其の素錠の部分を指す。)以外に含有される場合を除き、本発明の錠剤中に含有される必要性はなく、また含有されないことが特に望ましい。
尚、本明細書において、各種添加剤(賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)の語句の解釈は其々、製剤化において其の添加剤としての役割を発揮することが必須に期待されて使用されるもので結果的にも其の添加剤としての役割が発揮されたもの、と解することが好ましい。また当然であるが、本明細書における添加剤の語句の解釈において原薬が含まれることはない。
【0016】
具体的な賦形剤として、例えば、乳糖水和物、無水乳糖、結晶セルロース、D-マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、マルトース、白糖、ショ糖、ブドウ糖、デンプン(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等)、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、デキストリン、粉末還元麦芽糖水アメ等が挙げられる。
【0017】
具体的な崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カンテン末等を挙げる事ができる。
【0018】
具体的な滑沢剤としては、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、硬化油等を挙げる事ができ、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。滑沢剤は、錠剤全重量に対して好ましくは0.1~5.0重量%の範囲で錠剤中に含有される。
【0019】
具体的なコーティング剤としては、ヒプロメロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、タルク等の広範な種類を挙げる事ができる。コーティング剤は腸溶性コーティング剤も用いることが可能であり、具体的に使用可能な腸溶性コーティング剤としてはメタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロース等を挙げる事ができ、好ましくはメタクリル酸コポリマーである。コーティング剤は、錠剤全重量に対して好ましくは1.0重量%以上、好ましくは1.0~10.0重量%の範囲で錠剤中に含有される。本明細書においてコーティング剤として扱われた添加物は結合剤としては扱われず、特に素錠部分以外の部分に含有されている添加物は結合剤よりもコーティング剤として優先的に扱われる。
【0020】
具体的な可塑剤としては、ゴマ油、ヒマシ油、綿実油・ダイズ油混合物、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、中鎖脂肪酸トリグリセリド、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げる事ができ、好ましくはクエン酸トリエチルである。可塑剤は、錠剤全重量に対して好ましくは0.01~10.0重量%の範囲で錠剤中に含有されていることが好ましい。
【0021】
本発明の錠剤は、レボドパ及びカルビドパを含有する造粒物を含むことが望ましい。当該造粒物は錠剤全重量に対して80.0重量%以上、好ましくは95.0重量%以上の範囲で錠剤中に含有されていることが好ましい。
【0022】
本発明の錠剤は、徐放錠の周囲をコーティング層で覆ったコーティング錠を含む。コーティング層にはレボドパ及びカルビドパを含有させれば、それらを速やかに放出させることが可能である。
【0023】
本発明の錠剤は、一般的な製造方法によって作成することが可能であり、例えば以下の製造方法によって作成することが可能である。レボドパ、カルビドパ及び結合剤を混合させながら溶液(造粒液)を徐々に滴下することで造粒物を製造する(攪拌造粒法)。前記で得られた造粒物は乾燥及び整粒された後、滑沢剤等と混合した後に打錠機によって圧縮成形されて錠剤(素錠)とされる。錠剤を圧縮成形する際の打圧は400~1400kgfの範囲内であることが好ましい。
【0024】
また、包装用シートとアルミ箔等で錠剤を挟んで覆い、加熱シールすることで、本発明の錠剤を含むPTPシート製品を得ることは可能である。其の包装用シートに使用される具体的な素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。尚、湿度に対する本発明の錠剤の安定性を改善するためには、乾燥機能を有した素材を用いてPTPシート製品を製造したり、PTPシート製品をアルミピロー包装したり、乾燥剤を錠剤と共に瓶に封入する等の周知の方法を行うことが可能である。
【0025】
以下で実施例等により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS9.0g及びクエン酸トリエチル1.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)130gを徐々に滴下しながら造粒を行った。
得られた造粒品を流動層造粒乾燥機(パウレック社製:MP-01型)にて乾燥し、整粒機(パウレック社製:コーミルU-05型)にて乾式解砕した。得られた整粒品228.75gにステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VELA5型)を用いて300kgfの打圧で打錠して1錠23.075mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.1mm)を得た。
[成 分] [1錠23.075mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 0.900
クエン酸トリエチル 0.100
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【実施例2】
【0027】
レボドパ175.0g及びカルビドパ水和物43.75gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液44.0g(固形分13.2g)、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)90gの順に徐々に滴下しながら造粒を行った。
以下、実施例1と同様に操作し、1錠23.395mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.1mm)を得た。
[成 分] [1錠23.395mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー 1.320
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【実施例3】
【0028】
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g及び乾燥メタクリル酸コポリマーLD50.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、クエン酸トリエチル5.0g、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)140gの順に徐々に滴下しながら造粒を行った。
以下、実施例1と同様に操作し、1錠27.575mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.3mm)を得た。
[成 分] [1錠27.575mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
乾燥メタクリル酸コポリマーLD 5.000
クエン酸トリエチル 0.500
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【実施例4】
【0029】
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g及びメタクリル酸コポリマーS50.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)140gを徐々に滴下しながら造粒を行った。
以下、実施例1と同様に操作し、1錠27.075mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.3mm)を得た。
[成 分] [1錠27.075mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
メタクリル酸コポリマーS 5.000
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【実施例5】
【0030】
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g及びメタクリル酸コポリマーS150.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)190gを徐々に滴下しながら造粒を行った。
以下、実施例1と同様に操作し、1錠37.075mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.7mm)を得た。
[成 分] [1錠37.075mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
メタクリル酸コポリマーS 15.000
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【実施例6】
【0031】
レボドパ175.0g及びカルビドパ水和物43.75gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、エチルセルロース水分散液26.0g(固形分7.8g)、クエン酸トリエチル5.0g、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)110gの順に徐々に滴下しながら造粒を行った。
以下、実施例1と同様に操作し、1錠23.335mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.1mm)を得た。
[成 分] [1錠23.335mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
エチルセルロース水分散液 0.780
クエン酸トリエチル 0.500
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【実施例7】
【0032】
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g及びカルボキシビニルポリマー80.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、エタノール・精製水混液(質量比=1:1)120gを徐々に滴下しながら造粒を行った。
以下、実施例1と同様に操作し、1錠30.075mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.8mm)を得た。
[成 分] [1錠37.075mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
カルボキシビニルポリマー 8.000
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【0033】
以下の参考例はレボドパ及びカルビドパ水和物を含む製剤例を示すものであり、本発明の錠剤と併せて実用上用いられることが期待されるものである。
【0034】
[参考例1]
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g、ヒドロキシプロピルセルロース3.0g及びクロスカルメロースナトリウム20.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、精製水160gを徐々に滴下しながら造粒を行った。得られた造粒品を流動層造粒乾燥機(パウレック社製:MP-01型)にて乾燥し、整粒機(パウレック社製:コーミルU-05型)にて乾式解砕した。得られた整粒品241.75gにステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VELA5型)を用いて300kgfの打圧で打錠して1錠24.375mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.1mm)を得た。
[成 分] [1錠24.375mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
ヒドロキシプロピルセルロース 0.300
クロスカルメロースナトリウム 2.000
ステアリン酸マグネシウム 0.200
【0035】
[参考例2]
レボドパ175.0g、カルビドパ水和物43.75g及びヒドロキシプロピルセルロース3.0gを高速攪拌造粒機(パウレック社製:VG-01型)に投入し、ブレード回転数370rpm、クロススクリュウ回転数3500rpmで3分間混合した後、精製水160gを徐々に滴下しながら造粒を行った。得られた造粒品を流動層造粒乾燥機(パウレック社製:MP-01型)にて乾燥し、整粒機(パウレック社製:U-05型)にて乾式解砕した。得られた整粒品221.75gにステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VELA5型)を用いて300kgfの打圧で打錠して1錠22.375mgの素錠(円形錠、直径3.0mm、厚さ3.0mm)を得た。得られた素錠200.0gを錠剤コーティング機(パウレック製:DRC-200型)に投入し、メタクリル酸コポリマーLD30%水分散液124.3g(固形分37.3g)、タルク15.0g、クエン酸トリエチル3.4g及び酸化チタン4.3gを精製水253.0gに懸濁した液をスプレーし、1錠22.975mgのコーティング錠を得た。
[成 分] [1錠22.975mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
ヒドロキシプロピルセルロース 0.300
ステアリン酸マグネシウム 0.200
メタクリル酸コポリマーLD 0.373
タルク 0.150
クエン酸トリエチル 0.034
酸化チタン 0.043
【0036】
[参考例3]
実施例1で得た素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC-200型)に投入し、メタクリル酸コポリマーLD30%水分散液124.3g(固形分37.3g)、タルク15.0g、クエン酸トリエチル3.4g及び酸化チタン4.3gを精製水253.0gに懸濁した液をスプレーし、1錠23.675mgのコーティング錠を得た。
[成 分] [1錠23.675mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 17.500
カルビドパ水和物 4.375
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 0.900
クエン酸トリエチル 0.100
ステアリン酸マグネシウム 0.200
メタクリル酸コポリマーLD 0.373
タルク 0.150
クエン酸トリエチル 0.034
酸化チタン 0.043
【0037】
[参考例4]
参考例3で得たコーティング錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC-200型)に投入し、ヒプロメロース31.25gを精製水1200.0gに溶解した液に、レボドパ175.0g及びカルビドパ水和物43.75gを懸濁した液をスプレーし、1錠33.675mgのコーティング錠を得た。
[成 分] [1錠33.675mg当たりの質量(mg)]
レボドパ 24.500
カルビドパ水和物 6.125
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 0.900
クエン酸トリエチル 0.100
ステアリン酸マグネシウム 0.200
メタクリル酸コポリマーLD 0.373
タルク 0.150
クエン酸トリエチル 0.034
酸化チタン 0.043
レボドパ 7.000
カルビドパ水和物 1.750
ヒプロメロース 1.250
【0038】
〔試験例1〕
実施例1~7で得られた各々の錠剤について、第16改正日本薬局方・一般試験法の溶出試験法により試験開始5、15、30、45、60、90、120、180、240及び300分後のレボドパの溶出率を求め、結果(n=3)を下記の表1に示した。
<使用した装置>
・溶出試験機/NTR‐6100型(富山産業製)
・紫外線吸光光度計/UV‐1600型(島津製作所製)
<測定条件>
・試験液:薄めたMcIlvaine緩衝液(pH3.0)(ナカライテスク製)
・試験液量:900mL
・パドル回転数:50rpm
・液温:37℃
・測定波長(レボドパ):280nm
【0039】
【0040】
表1より、本発明の徐放錠はいずれも、薬物の緩やかな徐放性をもつことが確認される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、良好な徐放性を有し、且つ小型化された、レボドパ及びカルビドパを含有する徐放錠を医療現場に提供することが可能となる。