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特許7066369コーナキャビネットのコーナキャビネット扉の運動を制御するための制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】コーナキャビネットのコーナキャビネット扉の運動を制御するための制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 21/00 20060101AFI20220506BHJP
   E05F 3/14 20060101ALI20220506BHJP
   E05F 3/00 20060101ALI20220506BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20220506BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
E05C21/00 B
E05F3/14
E05F3/00 A
A47B77/04 B
A47B55/00
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017208130
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2018115543
(43)【公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】20 2016 006 656.1
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517378348
【氏名又は名称】ヘタル-ヴェルケ フランツ ヘティヒ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト アーベレ
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-104226(JP,U)
【文献】実開平04-138334(JP,U)
【文献】実開昭53-020128(JP,U)
【文献】特開2018-110840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0225492(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00 - 21/02
E05F 1/00 - 13/04,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナキャビネット(11)であって、
扉開口部(25)を備えたキャビネット本体(13)と、
前記扉開口部(25)を閉鎖する閉位置(28)と前記キャビネット本体(13)の内部空間(24)へのアクセスを可能にする開位置(29)との間で旋回可能に前記キャビネット本体(13)に支持されたコーナキャビネット扉(27)であって、前記コーナキャビネット扉(27)は、折畳み式扉として形成されており、前記扉開口部(25)の近傍において扉軸受装置(31)によって扉旋回軸線(60)を中心に旋回可能に前記キャビネット本体(13)に支持されている第1扉要素(30)と、旋回軸受手段(33)を介して旋回可能に前記第1扉要素(30)に支持されている第2扉要素(32)とを備える、コーナキャビネット扉(27)と、
前記コーナキャビネット扉(27)の運動を制御するための制御装置であって、前記キャビネット本体(13)に取付け可能なベース部材(47)、および内位置(49)と前記扉開口部(25)の平面から突出する外位置(50)との間で、前記扉旋回軸線(60)から離れた制御部材旋回軸線(59)を中心に旋回可能に前記ベース部材(47)に支持されている制御部材(48)を備えており、前記制御部材(48)は、閉じるときに連結手段(51)によって前記第2扉要素(32)と連結可能であり、開くときに、閉段階の終わりと開段階の初めとに前記第2扉要素(32)の運動を制御するように前記連結手段(51)によって分離可能である、制御装置と、
前記制御部材(48)に形成されたガイド溝(67)であって、前記第2扉要素(32)の方に向いた前記制御部材(48)の外面(72)に向かって開いている口部分(80)を有するガイド溝(67)と、
前記ガイド溝(67)と協働するガイドボルト(68)であって、前記ガイドボルト(68)は、前記第2扉要素(32)とは別個に形成され、前記制御装置(12)に属する連結要素(102)の構成要素であり、前記第2扉要素(32)が閉じるときに、前記ガイドボルト(68)が前記ガイド溝(67)に進入可能であり、そこで前記制御部材(48)が前記内位置(49)まで運動すると強制案内され、かつ前記第2扉要素(32)が開くときに、前記ガイドボルト(68)が前記ガイド溝(67)に受け止められ、そこで前記制御部材(48)が前記外位置(50)まで運動すると強制案内され、前記制御部材(48)が前記外位置(50)にあるときに前記ガイド溝(67)から進出可能になるように前記第2扉要素(32)の内面(39)に取り付けられている、ガイドボルト(68)と
を備える、コーナキャビネット。
【請求項2】
請求項1に記載のコーナキャビネットであって、
前記制御部材(48)は、前記内位置(49)と前記外位置(50)との間で旋回される
ことを特徴とするコーナキャビネット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコーナキャビネットであって、
前記連結要素(102)は、前記第2扉要素(32)の内面(39)に着脱可能に取付けられている
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項4】
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のコーナキャビネットであって、
前記第2扉要素(32)が連結されていない場合に、前記外位置(50)にある前記制御部材(48)をその状態で係止する係止手段(79)が設けられており、
前記係止手段(79)は、第2扉要素(32)と制御部材(48)とが連結されているときに、前記制御部材(48)の運動を可能にする係止解除が行われるように形成され、
前記制御部材(48)には、その外面(72)に、前記制御部材(48)が係止された外位置(50)にあるときに機能する、前記第2扉要素(32)のためのストッパ面が形成され、
前記係止手段(79)は、前記制御部材(48)が外位置(50)にあり、かつ第2扉要素(32)が連結されていないときにとる係止位置(84)と解放位置(85)との間で移動可能に前記制御部材(48)に案内された調節要素(86)を有しており、該調節要素は、前記ガイドボルト(68)が前記ガイド溝(67)に進入することによって前記解放位置(85)へ移行可能である
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項5】
請求項4に記載のコーナキャビネットであって、
前記調節要素(86)は、前記係止位置(84)と前記解放位置(85)との間で直線的に調節可能である調節スライダとして形成されている
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項6】
請求項5に記載のコーナキャビネットであって、
前記調節要素(86)は、前記係止位置(84)において、前記ベース部材(47)に形成されたストッパ受け(63)と前記制御部材(48)の可動性を阻止するべく接触する係止ストッパ(90)とを有する
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項7】
請求項6に記載のコーナキャビネットであって、
前記ベース部材(47)の前記ストッパ受け(63)は、前記係止位置(84)にないときに前記係止ストッパ(90)を案内するための調節形状(61)の構成要素である
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項8】
請求項5~7のうちのいずれか1項に記載のコーナキャビネットであって、
前記調節要素(86)に復帰手段(91)が割り当てられており、該復帰手段は、前記第2扉要素(32)が連結されていないときに前記調節要素(86)を前記係止位置(84)に保持する
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項9】
請求項5~8のうちのいずれか1項に記載のコーナキャビネットであって、
前記調節要素(86)は、係合開口部(88)を有し、該係合開口部は、前記調節要素(86)が前記係止位置(84)にあるときに前記ガイドボルト(68)が係合する前記ガイド溝(67)の口部分(80)と一直線に並ぶ
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項10】
請求項1~のうちのいずれか1項に記載のコーナキャビネットであって、
前記制御部材(48)に割り当てられた減衰装置が、前記制御部材(48)の前記外位置(50)から前記内位置(49)への運動を減衰させるために設けられている
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項11】
請求項10に記載のコーナキャビネットであって、
前記減衰装置は、回転ダンパ(66)を有する
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項12】
請求項11に記載のコーナキャビネットであって、
前記回転ダンパ(66)は、回転運動可能に支持された回転ピストンを有し、該回転ピストンには前記回転運動を導入する歯車(96)が割り当てられており、
前記制御部材(48)は、ラック部分(97)を具備しており、該ラック部分は、前記歯車(96)と噛合い係合するか、または噛合い係合させることが可能である
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項13】
請求項12に記載のコーナキャビネットであって、
前記ラック部分(97)は、弓形である
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項14】
請求項1~13のうちのいずれか1項に記載のコーナキャビネットであって、
前記コーナキャビネットは、キッチン・コーナ・キャビネットである
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項15】
請求項1~14のうちのいずれか1項に記載のコーナキャビネットであって、
前記閉位置(28)において、前記内部空間(24)から離れる方向を向く前記2つの扉要素(30、32)の外面(42、43)は、前記閉位置(28)において45°~180°の範囲であり、かつ前記コーナキャビネット扉(27)が開いているときに変化させることが可能な外角αを画定し、前記2つの扉要素(30、32)間で機能する旋回角制限装置(98)が設けられており、該旋回角制限装置によって前記2つの扉要素(30、32)の互いの旋回範囲が、45°~180°の範囲の最大外角αに制限される
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【請求項16】
請求項15に記載のコーナキャビネットであって、
前記閉位置(28)における前記外角αは、90°であり、
前記最大外角αは、120°~130°の範囲である
ことを特徴とするコーナキャビネット。
【請求項17】
請求項15または16に記載のコーナキャビネットであって、
前記最大外角αは、125°である
ことを特徴とする、コーナキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、コーナキャビネットのコーナキャビネット扉の運動を制御するための制御装置であって、コーナキャビネットが扉開口部を備えたキャビネット本体を有しており、コーナキャビネット扉が、扉開口部を閉鎖する閉位置とキャビネット本体の内部空間へのアクセスを可能にする開位置との間で旋回可能にキャビネット本体に支持されており、コーナキャビネット扉が折畳み式扉として形成され、扉開口部の近傍において扉軸受装置によってキャビネット本体に支持されている第1扉要素と、旋回軸受手段を介して旋回可能に第1扉要素に支持されている第2扉要素とを備えている、制御装置に関する。
【0002】
折畳み式扉を備えたコーナキャビネットはかなり以前から公知である。この種のコーナキャビネットで最も売れているものは、90°の角度で広がる扉開口部を具備しており、2つの扉要素は閉位置にあるときに90°の外角を画定する。しかし、扉要素が閉位置にあるときに90°とは違った角度、例えば鋭角または鈍角をとるコーナキャビネットの解決策もある。
【0003】
折畳み式扉を開くと、通常、2つの扉要素が閉位置にあるときに互いにとっていた外角が変化する。ユーザは、通常、開くために第2扉要素に手を伸ばし、この第2扉要素を自分の方に引き寄せるので、通常、折畳み式扉を開くときには、外角が、閉位置にあるときにとられていた、例えば90°の角度位置より大きくなる。その後、折畳み式扉を再び閉じるときも、ユーザは、通常、第2の外側扉要素に手を伸ばす。しかし折畳み式扉を閉位置へ旋回させるときに、第2の外側扉要素が隣接するキャビネットまたはキャビネット部分のキャビネット扉に打ち当たり、その際、2つの扉要素が閉位置にあるときに互いにとる外角よりも旋回時の2つの扉要素間の外角が大きいと、そこにあるグリップ、またはそれどころかキャビネット扉の前面さえも損傷させるおそれがある。
【0004】
特に、閉じるときに2つの扉要素が互いにとる外角が非常に大きく、例えば150°よりも大きいか、それどころか外角が180°で互いに一直線に並ぶ向きをとる場合、不適切な操作が隣接するキャビネットまたはキャビネット部分をそのように損傷させるおそれがある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、コーナキャビネット扉を閉じるときにコーナキャビネットに隣接するキャビネットまたはキャビネット部分を損傷させるおそれを事実上なくした、コーナキャビネットのコーナキャビネット扉の運動を制御するための制御装置を提供することである。
【0006】
上記目的は、独立請求項1の特徴を有するコーナキャビネットのコーナキャビネット扉の運動を制御するための制御装置によって達成される。本発明の展開形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明に係るコーナキャビネットのコーナキャビネット扉の運動を制御するための制御装置は、キャビネット本体に取付け可能なベース部材と、内位置と扉開口部の平面から突出する外位置との間で移動可能にベース部材に支持されている制御部材とを具備しており、制御部材は、閉じるときに連結手段によって第2扉要素と連結可能であり、開くときに分離可能であり、それによって閉段階の終わりと開段階の初めとに第2扉要素の運動を制御するようになっている。
【0008】
コーナキャビネット扉を閉じるときに、第2の外側扉要素は、隣接するキャビネットもしくはキャビネット部分のグリップまたは前面に打ち当たるおそれが現実のものとなる前に、まず、扉開口部の平面から突出する制御部材と接触する。コーナキャビネット扉をさらに閉じると、第2扉要素は連結手段を介して制御部材と連結され、それにより、コーナキャビネット扉が完全に閉位置をとるまで第2扉要素のさらなる運動が制御部材によって制御される。開段階の初めにも、第2扉要素の運動が制御部材によって制御される。このような制御装置のない従来の折畳み式扉では、ユーザは、通常、第2扉要素の扉グリップをつかみ、これを自分の方に引き寄せる。その場合、第2扉要素の垂直の外側エッジが隣接するキャビネット部分またはキャビネットのキャビネット扉の向かい合った垂直の外側エッジと接触するおそれがあり、それによって、開くときにも折畳み式扉の第2扉要素と隣接するキャビネット部分またはキャビネットのキャビネット扉を損傷させかねない。このことは第2扉要素の運動を開段階の初めに制御部材によって制御することによって防止される。
【0009】
制御装置の本体側の構成要素、特にベース部材と制御部材とは、コーナキャビネットのキャビネット床に割り当てられていてもよい。この場合、ベース部材は、キャビネット床において固定的に組み付けられていてもよい。これに代えて、制御装置の本体側の構成要素をコーナキャビネットのキャビネット上床または中間床に割り当てることも可能である。制御装置を、アンダーキャビネットとして用いられるコーナキャビネットに、および/またはオーバーキャビネットとして用いられるコーナキャビネットに、および/またはハイキャビネットとして用いられるコーナキャビネットに設置することが可能である。
【0010】
本発明の一展開形態では、制御部材が、扉旋回軸線から離れた制御部材旋回軸線を中心に旋回可能にベース部材に支持されている。この場合、制御部材を制御アームまたは制御レバーと称してもよい。
【0011】
本発明の一展開形態では、連結手段が、ガイド溝と、該ガイド溝と協働するガイドボルトとを有しており、第2扉要素が閉じるときに、ガイドボルトがガイド溝に進入可能であり、そこで制御部材が内位置まで運動、特に旋回すると強制案内され、かつ第2扉要素が開くときに、ガイドボルトがガイド溝に受け止められ、そこで制御部材が外位置まで運動、特に旋回すると強制案内され、制御部材が外位置にあるときにガイド溝から進出可能になっている。
【0012】
ガイド溝が制御部材に形成されており、ガイドボルトが第2扉要素に割り当てられていることが特に好ましい。しかしこれに代えて、ガイドボルトを制御部材に割り当て、そして例えばガイド溝を有する部品を第2扉要素の内面に取り付けることによって、ガイド溝を第2扉要素に割り当てることも可能であろう。
【0013】
ガイド溝が、第2扉要素の方に向いた制御部材の外面に向かって開いている接続部分を有することが特に好ましい。これはガイドボルトとガイド溝との簡単な連結および分離を保証する。その理由は、閉じるときにガイドボルトが自動的に口部分を介してガイド溝に達して、そこに結合できるからである。
【0014】
本発明の一展開形態では、ガイドボルトは、第2扉要素とは別個に形成されていて制御装置に属する連結要素の構成要素であり、連結要素は、第2扉要素の内面に特に着脱可能に取付け可能である。これに代えて、上述したように、連結要素がガイド溝を有していてもよい。
【0015】
制御部材旋回軸線を中心に旋回可能な制御部材に代わるものとして、制御部材が、ガイド手段によって内位置と外位置との間で直線的に摺動可能にベース部材に支持されている制御スライダとして形成されていてもよい。ガイド手段は、例えば、ベース部材に形成されたガイドリンク機構を有していてもよく、その際、キャリッジのように形成された制御部材の基体が内位置と外位置との間で直線的に移動可能に案内されている。
【0016】
第2扉要素が連結されていない場合に、外位置にある制御部材をその状態で係止する係止手段が設けられており、係止手段は、第2扉要素と制御部材とが連結されているときに制御部材の運動を可能にする係止解除を行うように形成されていることが特に好ましい。係止手段は、折畳み式扉が開くときに、したがって制御部材が第2扉要素から分離する際に内位置から外位置へ移動するときに制御部材の係止を生ぜしめるように形成されていることが好適である。それにより、折畳み式扉が開くときに制御部材が外へ移動し、第2扉要素から分離した後にその外位置にとどまり、第2扉要素が連結されていない場合にはこの外位置からいつのまにか再びその内位置の方向に移動するようなことがないことが保証される。しかしこれに代えて、制御部材が、第2扉要素の分離時に外位置へ移動するときに自動的に係止されるのではなく、ユーザの操作過程によって係止が生ぜしめられることも可能である。
【0017】
本発明の一展開形態では、制御部材にはその外面に、制御部材が係止された外位置にあるときに機能する、第2扉要素のためのストッパ面が形成されている。ストッパ面は、第2扉要素が打ち当たった場合に、第2扉要素の内面に、例えばかき傷などの損傷を与えないように制御部材に形成されていることが好適である。制御部材を係止して外位置に保持する係止手段と組み合わせることで、ストッパ面は、第2扉要素が隣接するキャビネットまたはキャビネット部分のグリップまたは前面に打ち当たり得る前に第2扉要素を確実に停止させる。
【0018】
本発明の一展開形態では、係止手段は、制御部材が外位置にあり、かつ第2扉要素が連結されていないときにとる係止位置と解放位置との間で移動可能に制御部材に案内された調節要素を有しており、調節要素は、ガイドボルトがガイド溝に進入することによって解放位置へ調節可能または移行可能である。
【0019】
調節要素が係止位置と解放位置との間で直線的に調節可能である調節スライダとして形成されていることが好適である。
【0020】
調節要素が、係止位置において、ベース部材に形成されたストッパ受けと、制御部材の可動性を阻止するべく接触する係止ストッパとを有することが可能である。
【0021】
ベース部材のストッパ受けは、係止位置にないときに係止ストッパを案内するための調節形状の構成要素であることが特に好ましい。
【0022】
本発明の一展開形態では、調節要素に復帰手段が割り当てられており、該復帰手段は、第2扉要素が連結されていないときに調節要素を係止位置に保持する。復帰手段は、例えば、圧縮ばねまたは引張ばねの形態の少なくとも1つのばね要素を有していてもよい。
【0023】
本発明の一展開形態では、調節要素は、特に刻み目状の係合開口部を有し、該係合開口部は、調節要素が係止位置にあるときにガイドボルトが係合するガイド溝の口部分と一直線に並ぶ。
【0024】
本発明の一展開形態では、特に制御部材に割り当てられた減衰装置が、制御部材の外位置から内位置への運動を減衰させるために設けられている。
【0025】
減衰装置が回転ダンパを有し、好ましくは回転ダンパが、回転運動可能に支持された回転ピストンを有し、該回転ピストンには回転運動を導入する歯車が割り当てられており、制御部材は、特に弓形に形成されたラック要素を具備しており、該ラック要素は歯車と噛合い係合するか、または噛合い係合させることが可能である。
【0026】
歯車が回転ピストンとともにベース部材に配置され、ラック要素が制御部材に配置されていることが好適である。
【0027】
これに代えて、直線的に摺動可能な制御部材の場合、減衰装置が、ダンパハウジングと、該ハウジング内に直線的に摺動可能に支持されたダンパピストンとを有するリニアダンパを有することが可能である。例えば、ダンパハウジングが制御部材に配置され、ダンパピストンがベース部材に固定的に配置されていることが可能である。
【0028】
本発明は、扉開口部を有するキャビネット本体と、扉開口部を閉鎖する閉位置とキャビネット本体の内部空間へのアクセスを可能にする開位置との間で旋回可能にキャビネット本体に支持されているコーナキャビネット扉とを備えた、コーナキャビネット、特にキッチン・コーナ・キャビネットであって、コーナキャビネット扉が折畳み式扉として形成されており、扉開口部の近傍において扉軸受装置によってキャビネット本体に支持されている第1扉要素と、旋回軸受手段を介して旋回可能に第1扉要素に支持されている第2扉要素とを備え、請求項1~18のうちのいずれか1項に記載の制御装置を特徴とする、コーナキャビネットをさらに包含する。
【0029】
閉位置において、内部空間から離れる方向を向く2つの扉要素の外面が、閉位置において45°~180°の範囲であり、かつコーナキャビネット扉が開いているときに変化させることが可能な外角αを画定することが可能であり、その場合、2つの扉要素間で機能する旋回角制限装置が設けられており、該旋回角制限装置によって2つの扉要素の互いの旋回範囲が45°~180°の範囲の最大外角αに制限される。
【0030】
最大外角が、120°~130°の範囲、特に約125°であることが好適である。
本発明の好ましい実施例を図面に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】コーナキャビネットの斜視図である。
図2】本発明に係る制御装置の第1実施例を示す、コーナキャビネットを開いたときの図1のコーナキャビネットの斜視図である。
図3図2のコーナキャビネットの平面図である。
図4】コーナキャビネット扉を閉方向に旋回させたときの、図2のコーナキャビネットの平面図である。
図5図4のコーナキャビネットを閉方向に旋回させたときの拡大図である。
図6図5の細部Xをさらに拡大した図である。
図7】コーナキャビネット扉をさらに閉方向に旋回させたときの図5のコーナキャビネットの平面図である。
図8図7の細部Yの拡大図である。
図9】第1扉要素がすでにその閉状態にあり、第2扉要素が制御部材と連結されている、コーナキャビネット扉をさらに閉方向に旋回させたときの図5のコーナキャビネットの平面図である。
図10図9の細部Zの拡大図である。
図11】コーナキャビネット扉をさらに閉方向に旋回させ、第2扉要素の運動が制御部材によって制御されているときの、図5のコーナキャビネットの平面図である。
図12図11の細部Aの拡大図である。
図13】第2扉要素が制御部材により制御されて閉状態に達する直前の図5のコーナキャビネットの平面図である。
図14図13の細部Bの拡大図である。
図15】コーナキャビネット扉が閉位置にあるときの図5のコーナキャビネットの平面図である。
図16図15の細部Cの拡大図である。
図17】制御装置の第1実施例の制御部材の分解図である。
図18】制御部材と第2扉要素とが分離している本発明に係る制御装置の第2実施例による、図2のコーナキャビネットの平面図である。
図19図18の細部Dの拡大図である。
図20】第2扉要素を制御部材に当接させたときの図18のコーナキャビネットの拡大図である。
図21】第2扉要素をさらに閉方向に旋回させたときの図18のコーナキャビネットの平面図である。
図22図21の細部Eの拡大図である。
図23】第2扉要素を制御装置に連結したときの図18のコーナキャビネットの平面図である。
図24】コーナキャビネット扉をさらに閉方向に旋回させ、第2扉要素を制御部材によって運動させたときの図18のコーナキャビネットの平面図である。
図25】第2扉要素が閉状態にあり、コーナキャビネット扉が閉位置にあるときの図18のコーナキャビネットの平面図である。
図26図25の細部Fの拡大図である。
図27】制御装置の第2実施例のベース部材および制御部材の側面図である。
図28】制御部材が内位置にあるときの図27のベース部材および制御部材の平面図である。
図29】制御部材が外位置にあるときの図27によるベース部材および制御部材の側面図である。
図30】制御部材が外位置にあるときの制御装置の第2実施例のベース部材および制御部材の平面図である。
図31】本発明に係る制御装置の第2実施例の第2扉要素の内面に取り付けられる連結要素の側面図である。
図32図31の連結要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1図17は、コーナキャビネット11に組み付けられた本発明に係る制御装置12の第1実施例を示す。
【0033】
特に図3に示されるように、コーナキャビネット11は、例示的にL字形の外形で示されているキャビネット本体13を具備している。キャビネット本体13は、例示的に同様にL字形の外形を備えているキャビネット床14からなる。キャビネット床14の下面には、通常、スタンド脚が配置されており、これらのスタンド脚は、地面が平坦でない場合でもコーナキャビネット11があそびなしに立つことを保証するために、場合によっては高さ調節可能である。キャビネット床14の下面と、スタンド脚が配置されている地面との間の中間空間には台座条片15が張られている。キャビネット本体14は後壁16をさらに具備し、この後壁は、例えば互いに直角に配置された2つの後壁部材17a、17bからなる。特に図3に示されるように、2つの後壁部材17a、17bには、好ましくはこれらの後壁部材に対して直角に側壁18、19が接続する。
【0034】
側壁18、19は、同時に、キャビネット本体13の左右の側の延長部の側壁でもある。図示された例の場合、L字形の外形のキャビネット本体13の本体部材の左側に矩形の外形を有する本体部材20が接続する。この場合、以下に内側本体部材21と呼ばれるL字形本体部材の左側の側壁18は、同時に、別の本体部材20の右側の側壁でもある。コーナキャビネット11の内側本体部材21の右側の側壁19にも別の本体部材22が接続し、それによって右側の側壁19が別の本体部材22の左側の側壁をなす。
【0035】
この例の場合、右側の別の本体部材22は、左側の別の本体部材20の2倍の大きさである。当然のことながら、別の本体部材20、22の寸法を、全く違うようにすることも可能である。例えば、左側の本体部材を右側の本体部材より大きくしてもよい。さらに、L字形の外形を有する内側本体部材20がコーナキャビネット11全部を形成し、このコーナキャビネットの左右の側にさらに別の、特にアンダーキャビネットの形態の別個のキャビネットを接続することが可能である。
【0036】
コーナキャビネット11は、まだ他に、例示的に作業台23の形態で示されている上キャビネットカバーを具備している。特に図1に示されるように、作業台23も同様にL字形に形成されており、コーナキャビネット11の全本体部材20~22にわたって延在する。
【0037】
特に図2に示されるように、内側本体部材20に関しては、L字形のキャビネット床14、2つの側壁18、19、2つの後壁部材17a、17b、および内側本体部材21の上の作業台23のL字形部分が内部空間24を画定する。さらに図2に示されるように、側壁18、19の外側エッジと、L字形のキャビネット床14の外側エッジと、作業台23のL字形部分の下エッジとが、この実施例に示された事例では、互いに直角に配置された2つの開口部分26a、26bを有する扉開口部25を画定する。
【0038】
内側本体部材21には、コーナキャビネット扉27がさらに割り当てられている。コーナキャビネット扉は、扉開口部25を閉鎖する閉位置28(図1)とキャビネット本体13の内部空間24へのアクセスを可能にする開位置29(図2)との間で旋回可能にキャビネット本体13に支持されている。
【0039】
コーナキャビネット扉27は、扉開口部25の近傍において扉軸受装置31によってキャビネット本体13に支持されている第1扉要素30と、旋回軸受手段33を介して旋回可能に第1扉要素30に支持されている第2扉要素32とを備えた折畳み式扉として形成されている。第1扉要素30を旋回可能に支持する扉軸受装置31は、右側の開口部分26aの領域に、そして右側の側壁19の領域に設けられている。扉軸受装置31は2つのヒンジ(図示せず)を備えており、これらのヒンジは、一方で側壁19の内部空間24の方に向いた側に取り付けられており、他方で第1扉要素30の内面34に取り付けられている。
【0040】
第2扉要素32は、上述したように、旋回軸受手段33を介して旋回可能に第1扉要素30に支持されている。旋回軸受手段33は、図示された例の場合、特に図2および図6に示されるように、2つの扉要素30、32を旋回可能に互いに結合する少なくとも1つのヒンジ35、特に2つのヒンジ35a、35bを備え、これらのヒンジのうちの第1ヒンジ35aは、2つの扉要素30、32の上領域に配置され、第2ヒンジ35bは、2つの扉要素30、32の下領域に配置されている。ヒンジ35a、35bは、それぞれ、第1扉要素30に取り付けられた第1ヒンジ部材36と、第2扉要素32に取り付けられた第2ヒンジ部材37とを具備し、これらのヒンジ部材は、少なくとも1つの継手を介して関節式に互いに結合されている。2つのヒンジ部材36、37は、図示された例の場合、ヒンジカップとヒンジアームとして形成され、特に図2に示されるように、第1実施例ではヒンジカップが第1扉要素30に取り付けられ、ヒンジアームが第2扉要素32に取り付けられている。
【0041】
特に図6に示されるように、第2扉要素32に割り当てられたヒンジアームは、第2扉要素32の内面39に取り付けられた取付け部分38を具備している。アーム部分40は取付け部分38と一体に結合して設けられている。このアーム部分は、2つの扉要素30、32間の継目41にまたがり、ヒンジカップの方向を向く。アーム部分40は、割り当てられた取付け部分38から角度をなして突出し、2つの扉要素30、32の外面42、43の方向に斜めに向けられている。
【0042】
さらに、図6に示されるように、ヒンジカップは、第1扉要素30の内面39におけるカップ状の切欠(図示せず)に設置されているカップ部分44を具備している。ヒンジカップは、カップ部分44の他にも、第1扉要素30の内面34に組み付けるための組付けプレート45を具備する。組付けプレート45は、例えば2つの組付け穴を具備し、これらの組付け穴を介して取付けねじを第1扉要素30の素材にねじ込むことができる。ヒンジカップのカップ部分44は、カップ壁(図示せず)により画定されたカップ開口部(図示せず)を具備し、カップ開口部は、下側でカップ底によって画定されている。ヒンジカップとヒンジアームとを互いに結合するレバー46が設けられており、このレバーは、一方でヒンジカップに関節式に、他方でヒンジアームに、特にそのアーム部分40に関節式に支持されている。
【0043】
特に図2図17に示されるように、コーナキャビネット11にはコーナキャビネット扉27の運動を制御するための制御装置12が割り当てられている。
【0044】
制御装置12は、キャビネット本体13に取り付けられたベース部材47と制御部材48とを具備しており、制御部材は、内位置49と、制御部材が扉開口部25の平面から突出する外位置50との間で移動可能にベース部材47に支持されている。
【0045】
制御部材48が連結手段51を備えており、それによって制御部材48は、閉じるときに第2扉要素32と連結可能であり、開くときに分離可能であり、閉段階の終わりと開段階の初めに第2扉要素32の運動を制御部材が制御するようになっている。制御装置12のベース部材47と制御部材48とはプラスチック材料からなることが好適であるが、これに代えて金属材料からなってもよい。
【0046】
特に図2および図17に示されるように、ベース部材47は、プレート状に形成されており、ベース部材上面52と、この上面の反対側にベース部材下面53とを具備している。
【0047】
特に図6に示されるように、ベース部材47は、キャビネット床14に、厳密には扉開口部25の近傍に、厳密には扉開口部の左側の開口部分26aに取り付けられている。この場合、ベース部材下面53はキャビネット床14の上面上に載る。ベース部材47は、複数の組付け穴54を具備しており、これらの組付け穴に、ベース部材をキャビネット床14に取り付けるための取付けねじを挿通することができる。ベース部材47のベース部材上面52は特徴的な形であり、それぞれ異なる複数の機能部分を具備している。これらの機能部分のうちの1つは、ベース部材47と制御部材48とを連結するための連結器55の構成要素である。連結器55は、例えば、バヨネットカップリングとして形成されていてもよい。図示された例の場合、ベース部材上面52には、ベース部材上面52から上へ突出する円筒状はめ管56が設けられている。円筒状はめ管56の自由端には、特に、互いに正反対の対向側に位置する2つの突起57a、57bが形成されている。2つの突起57a、57bは、はめ管56の外套部分58から半径方向で外側へ延びる。しかし、突起57a、57bは、はめ管56の高さ全体には延びておらず、外套部分58の下部には突起57a、57bがない。はめ管56を通って延在する長手軸線は、すなわち、第1実施例で旋回可能にベース部材47に支持された制御部材48のためのアーム旋回軸線59をなす。アーム旋回軸線59は、扉軸受装置31の領域に位置する扉旋回軸線60から離れている。ベース部材上面52のはめ管56は、制御部材48における対応する部品と協働する。この対応する部品について以下に詳しく説明する。
【0048】
ベース部材上面52における別の機能部分は、ベース部材上面52から凸状に形成されている調節形状61を備えている。調節形状61は、例えばベース部材47の製造時に一緒に形成されてもよい。調節形状61は、制御部材48に形成された部品を調節するために、2つのストッパ62、63間に形成された傾斜面64を具備する。この部品についても以下にさらに詳しく説明する。
【0049】
最後に、ベース部材上面52には第3機能部分が形成されており、この第3機能部分は、以下にさらに詳しく説明される回転ダンパ66を留めるための、ベース部材上面52から上へ突出するホルダ部分65を備えている。
【0050】
特に図17に示されるように、第1実施例では、制御部材48は複数部品型の部品として形成されている。制御部材48は、この制御部材を第2扉要素32と連結するための連結手段51の構成部品を含む。連結手段51は、ガイド溝67と、該ガイド溝と協働するガイドボルト68とを備えており、第2扉要素32が閉じるときに、ガイドボルト68がガイド溝67に進入し、そこで制御部材48が内位置49まで旋回すると強制案内され、かつ第2扉要素32が開くときに、ガイドボルト68がガイド溝67に受け止められ、そこで制御部材48が外位置50まで旋回すると強制案内され、制御部材48が外位置50にあるときにガイド溝67から進出するようになっている。
【0051】
特に図6に示されるように、図示された例の場合、ガイド溝67が制御部材48に形成されている一方で、ガイドボルト68は第2扉要素32に割り当てられている。
【0052】
特に図17に示されるように、制御部材48は、一種の旋回アームまたは旋回翼として形成されている基体69を具備している。基体69は比較的フラットであり、すなわちプレート状に形成されており、基体上面70と、該基体上面とは反対側の基体下面71とを具備している。さらに、基体69は、第2扉要素32の方に向く外面72と、内部空間24の方に向く内面とを有する外套部分58を具備している。基体69をさらに複数の機能部分に分割することができ、複数の機能部分のうちの軸受部分74は、ベース部材47に回転支持するために用いられる。
【0053】
制御部材48の基体69における軸受部分74は、基体69を高さ方向に貫通する実質的に円筒状の切欠75を備えており、この切欠から、特に互いに正反対の対向側に位置する2つの溝76a、76bが切欠75の円筒状部から半径方向で外側へ延在する。2つの溝76a、76bを有する円筒状切欠75も同様に連結器55、特にバヨネットカップリングの構成要素であり、制御部材48をベース部材47と連結するために、溝76a、76bとベース部材47のはめ管56の突起57a、57bとが互いに一直線に並ぶ向きにされ、それにより制御部材48の基体69をはめ管56に嵌めることができる。この場合、溝76a、76bは、突起57a、57bを通過し、突起の下に位置することになり、それによって円筒状切欠75の開口部分全体が、妨害されることなく2つの突起57a、57bの下に配置され、それによって制御部材48をベース部材47に対して回転運動可能にすることができる。
【0054】
制御部材48の基体69の重要な機能部分の1つは、特に図17に示されるように基体上面70に成形された窓状凹部78を具備する連結部分77である。窓状凹部78は、係止手段79の構成要素であり、この係止手段を介して、第2扉要素32が連結されていない場合に、外位置50にある制御部材48がその状態で係止されており、係止手段79は、第2扉要素32と制御部材48とが連結すると制御部材48の運動を可能にする係止解除を行うように形成されている。
【0055】
窓状凹部78の底には基体69の残部を貫通する2つの貫通部があり、これらの貫通部のうちの1つがガイド溝67である。すなわちガイド溝67は基体下面71にも設けられている。ガイド溝67は、基体69の外面72に向かって開いた口部分80と、これに接続するガイド部分81とを具備している。ガイド溝67のガイド部分81は、曲がった形に形成されており、口部分80からアーム旋回軸線59の方向に延在する。これに対して口部分80は、ガイド部分81に対して角度をなして延在する。窓状凹部78の底にはさらに、後からさらに詳しく説明する部品を案内するための長尺状のスロット82がある。
【0056】
特に図17に示されるように、基体69は、口部分80の延長部に端面ストッパ83を具備している。端面ストッパ83は、基体69の外面72が基体69の先端に向かってへこむことによって形成される。
【0057】
係止手段79は、制御部材48が外位置50にあり、かつ第2扉要素32が連結されていない係止位置84と解放位置85との間で移動可能に制御部材48に案内された調節要素86を有しており、この調節要素は、ガイド溝67へガイドボルト68が進入することによって解放位置85へ移行可能である。
【0058】
特に図17に示されるように、調節要素86は、調節スライダとして形成されており、調節要素86のための一種のガイドリンク機構である窓状凹部78の側壁によって、係止位置84と解放位置85との間で直線的に移動可能に案内されている。調節スライダは、特徴的に成形されており連結部位87を具備している。連結部位は、指状に形成され、その自由端には刻み目状の係合開口部88を有している。係合開口部は、調節スライダが係止位置84にあるときにガイド溝67の口部分80と一直線に並ぶ。
【0059】
特に図17に示されるように、調節スライダもしくは調節要素86は、指状の連結部位87の他に、好適には連結部位87よりも大きい横断面の係止部位89を具備する。係止部位89の領域における調節スライダの下面には係止ストッパ90があり、係止ストッパは、係止位置84において、ベース部材47に形成されたストッパ受け63と、制御部材48が旋回し得ることを防止するべく接触する。係止ストッパ90は、図示された例の場合、調節スライダの下面から下へ突出する突出部によって形成される一方で、ストッパ受け63は、ベース部材47における調節形状61の2つのストッパ62、63のうちの1つによって形成される。上述した例の場合、ストッパ受け63は、調節形状61の下側ストッパによって形成される。
【0060】
調節要素86には、第2扉要素32が連結されていない場合に調節要素86を係止位置84に保持する復帰手段91が割り当てられている。復帰手段91は、図示された例の場合、基体69の窓状凹部78の領域においてばね収容部に支持されているとともに、一方で基体69に形成された突出部に支えられ、他方で調節要素86に形成された突出部に支えられている、特に圧縮ばねの形態のばね要素92を備えている。
【0061】
特に図17に示されるように、制御部材48は、窓状凹部78の領域を覆い、それにより調節スライダの離脱を防ぐ蓋93をも備えている。蓋にはガイド溝67の形態に合わせて形成された、ガイド溝67と対応するガイドチャネル94が形成されている。蓋93は、適当な取付け手段によって基体69に取り付けることができる。
【0062】
引続き図17に示され、かつ上述したように、制御部材48の外位置50から内位置49への旋回運動を減衰するための回転ダンパ66の形態の減衰装置が設けられている。回転ダンパは、回転運動可能に支持された回転ピストン(図示せず)を具備している。回転ピストンもまたベース部材のホルダ部分65に取り付けられているダンパハウジング95内に入っている。回転ピストンには、回転運動を導入する歯車96が割り当てられており、この歯車は、ホルダ部分65の円筒状開口部から上へ突出する。さらに、制御部材48の基体69には弓形に形成されたラック要素97が設けられており、このラック要素は歯車96と噛合い係合する。
【0063】
さらに、2つの扉要素30、32間で機能する旋回角制限装置98が設けられており、この旋回角制限装置によって2つの扉要素30、32の互いの旋回範囲が、45°~180°の範囲の最大外角αに制限される。最大外角が約125°であることが好適である。
【0064】
図示された例の場合、扉開口部25の2つの開口部分26a、26bは、互いに90°の角度に向けられている。それゆえ2つの扉要素30、32は、閉位置28において90°の外角αをとる。
【0065】
図示された例の場合、旋回角制限装置98は、旋回軸受手段、すなわちヒンジ35a、35bとは別個に形成されている。旋回角制限装置98は少なくとも1つのアングルピース99を備え、アングルピースは、特にプレート状の組付け部分100を有しており、この組付け部分を介してアングルピース99が第1扉要素30の内面34に取り付けられている。
【0066】
アングルピース99は、ストッパ部分101をさらに具備し、ストッパ部分は、組付け部分100と、特に一体に形成されており、この組付け部分から角度をなして突出する。ストッパ部分101は、第2扉要素32のためのストッパとして用いられ、2つの扉要素30、32間の継目41にまたがり、自由端は、第2扉要素32の内面39の領域におけるストッパ面(図示せず)で終わる。
【0067】
特に図2に示されるように、アングルピース99は、2つのヒンジ35a、35b間の略真ん中に位置する。アングルピース99は、比較的安価な追加装備部品であり、それによって従来のヒンジを備えたコーナキャビネット扉26に旋回角制限装置98を追加装備することができる。
【0068】
特に図8に示されるように、制御装置12は、第2扉要素32の内面39に取り付けられている連結要素102をさらに備えている。連結要素102は、第2扉要素32の内面39に組み付けるための組付けプレートを備えている。組付けプレートからは略直角にボルト支持体103が突出し、このボルト支持体の下面にガイドボルト68が形成されており、特にボルト支持体103と一体に結合されている。
【0069】
コーナキャビネット扉26は、差し当たり図1に示された閉位置28にある。この場合、2つの扉要素30、32の外面42、43は、90°の外角αを画定する。コーナキャビネット扉27を開くために、ユーザは第2扉要素32に形成された扉グリップ104をつかみ、第2扉要素32を自分の方に引き寄せる。その際、コーナキャビネット扉27全体が扉旋回軸線60を中心に旋回する。開段階の初めに、以下にさらに詳しく説明するように、第2扉要素32が制御装置12により制御され、それによって制御部材48が扉開口部25の平面から外へ旋回する。特定の程度開いた後に、制御部材48と第2扉要素32とが分離する。いまやコーナキャビネット扉26はさらに開く方向に旋回することができ、閉位置28においてとられた外角αを変化させることが可能である。
【0070】
特に図2に示されるように、旋回角制限装置98によって、第2扉要素32が第1扉要素30の周りを大きい角度範囲で旋回し得ることが防止される。図示された例の場合、最大外角が約125°に制限されている。すなわち、扉が開くときに外角αが拡大される場合、これは約125°までしか可能でない。この角度に達すると、第2扉要素32の内面39がアングルピース99のストッパ部分101におけるストッパ面に打ち当たる。この状況が例示的に図2に示されている。
【0071】
コーナキャビネット扉26が閉じるときにはコーナキャビネット扉26全体が、まず扉旋回軸線60の方に内側へ旋回する。
【0072】
特に図5および図6に示されるように、まず、第2扉要素32の内面39が係止した外位置50にある制御部材と接触する。その際、第2扉要素32の内面39は、基体69の外面72におけるストッパ面に打ち当たる。それによって旋回角制限装置98と組み合わせることで、第2扉要素32が、隣接するキャビネット部分またはキャビネット、例えば左側の本体部材20の扉グリップ105、あるいはそれどころか扉前面に打ち当たることが防止される。第2扉要素32の向きは隣接する左側の本体部材20の扉と略平行である。
【0073】
図7図10に示されているようにコーナキャビネット扉27をさらに閉じると、第2扉要素32の内面39に取り付けられた連結要素102が制御部材48と接触する前に、第1扉要素30がまず完全にその閉状態へ旋回する。
【0074】
特に図10に示されるように、ガイドボルトは、まず、調節部材48の基体69の外面における端面ストッパ83に打ち当たり、それによってガイド溝67の口部分80に導かれる。係止手段79の調節スライダもしくは調節要素86は係止位置84にあり、圧縮ばねが調節スライダを口部分80の方向に押し、それによって刻み目状の係合開口部88がガイド溝67の口部分80と一直線に並ぶ。
【0075】
調節スライダが係止位置84にあるときに、調節スライダの係止部位89の係止ストッパ90がベース部材47の調節形状61におけるストッパ受け63と接触する。この状況は例えば図8に示されている。
【0076】
ガイドボルトがガイド溝67の口部分80に進入すると、同時に、ガイドボルトが刻み目状の係合開口部88に通される。さらに運動すると、すなわち第2扉要素32がさらに閉運動すると、調節スライダは、圧縮ばねのばね力に抗して係止位置84から解放位置85の方向に移動する。この場合、調節スライダの係止ストッパ90とベース部材47の調節形状61におけるストッパ受け63との係合が外れる。この状況において、制御部材48が外位置から内位置の方向に旋回することが可能である。
【0077】
制御部材48と第2扉要素32との、すなわちガイドボルト68とガイド溝67との連結後、第2扉要素32のさらなる閉運動が制御部材48によって制御される。
【0078】
第2扉要素32の閉位置28への到着を減衰するために、回転ダンパ66が設けられている。第2扉要素32がさらに閉運動すると、制御部材48の制御基体69における弓形状のラック要素97が、固定的であるが回転可能に支持された歯車96の傍らを通過し、この運動が、減衰をもたらす回転ピストンに伝達される。
【0079】
図15および図16に示されたコーナキャビネット扉27の閉位置において、制御部材48もその内位置49にある。ガイドボルト68およびガイド溝67は連結したままである。調節スライダは解放位置85にある。続いてコーナキャビネット扉26が開くと、制御部材48は再び外へ旋回し、制御部材48は、第2扉要素32が隣接する本体部材20のキャビネット扉の方向に引っ張られることを防止し、それによって扉の向き合う突合わせエッジの損傷が回避される。
【0080】
図18図32は、本発明に係る制御装置12の第2実施例を示す。
【0081】
上述した第1実施例とは異なり、制御部材48が、ガイド手段によって内位置49と外位置50との間で直線的に摺動可能にベース部材47に案内されている制御スライダとして形成されている。
【0082】
特に図18および図20に示されるように、ベース部材47は、適当な取付け手段によって扉開口部25の領域に、厳密には左側の開口部分26aに取り付けられている。
【0083】
特に図30に示されるように、ベース部材47は基体106を具備しており、基体は、2つの部分、特にハーフシェルから構成されており、内部に摺動可能に支持されている制御部材48のための収容開口部107を具備している。
【0084】
特に図30に示されるように、制御部材48として形成された制御スライダは、ベース部材47の基体106の収容開口部107において直線的に摺動可能に案内されているベース部分108を具備している。
【0085】
この場合もまた係止手段79が設けられており、第2実施例では、この係止手段は、ベース部分108の長いほうの側面に形成されたノッチ109を備えている。ノッチ109は、図示された例の場合、ベース部分108の横断面の横断面テーパ部の形態の段部として形成されている。ノッチ109は、制御部材48が係止位置にあるときに、収容開口部107を取り囲む基体106の壁におけるノッチ面110に当接する。この場合もまた復帰手段91が設けられており、この復帰手段は、制御スライダが進出した外位置50にあるときに係止されていることをもたらす。復帰手段91は、一方で制御スライダのベース部分108に、他方で基体106に支持されている、この例の場合は引張ばねとして形成されているばね要素111を備えている。ばね要素111によって、ノッチ109がノッチ面110に押し付けられる。
【0086】
制御スライダは、ベース部分108の他に連結部分112をさらに備えており、この連結部分は、ベース部分108の自由端にあり、制御スライダが外位置50にあるときに収容開口部107から突出する。連結部分112は、ベース部分108よりも小さい厚さを有している。連結部分112には、刻み目状の係合開口部113が形成されている。これに加えて、連結部分112とベース部分108との移行部には外し斜面114が形成されている。さらに、連結部分112は、その自由端に回転可能に支持されたロール115をも具備している。これに加えて、ベース部材47と制御スライダもしくは制御部材48のベース部分108との間には、リニアダンパ116の形態の減衰装置が介装されている。リニアダンパ116は、ベース部分108に支持されているダンパハウジング117と、該ダンパハウジング117内で直線運動可能に案内されているダンパピストン(図示せず)とを具備している。ダンパピストンは、ピストンロッド118に着座し、ピストンロッドもまたベース部材47に固定的に支持されている。
【0087】
第2扉要素32には、制御部材48と連結するための連結要素119が割り当てられている。連結要素119は、第2扉要素32の内面39に、特に組付けプレート120によって取り付けられている。連結要素119は、互いに平行に配置されている2つの脚部122a、122bを有する脚状の連結部分121を具備する。脚部122a、122bは、それぞれ1つの頭領域123を具備し、頭領域は、前側に向かって斜めに下降し、裏側に2つの脚部122a、122bのそれぞれにおいてアンロック斜面124を具備する。2つの脚部122a、122bのアンロック斜面124は、アンロック斜面124よりも傾斜の程度が小さい開始斜面125へ移行する。2つの脚部122a、122b間には、可動部材126があり、この可動部材の先端127が脚部122a、122bの頭領域123内に突出する。先端127の下面には、引出し面128が形成されている。可動部材126は、連結位置129と解放位置130との間で移動可能に案内されており、ばね要素131は、可動部材126を連結位置129へ押し、ばね要素131は、一方で連結部分121に支えられ、他方で可動部材126に支えられており、圧縮ばねとして形成されていることが好適である。
【0088】
特に図18および図19に示されるように、コーナキャビネット扉27が閉じるときに、まず、第2扉要素32の内面39が係止した外位置50にある制御スライダの連結部分112と接触する。その際、ロール115が第2扉要素32の内面39に当接する。コーナキャビネット扉27がさらに閉じると、開始斜面129がロール115の傍らを通過し、連結要素119の互いに平行に配置された2つの脚部122a、122b間の幅狭の連結部分112が第2扉要素32の内面39に沿って滑動する(図20)。コーナキャビネット扉27がさらに閉じると、制御スライダの連結部分119が、開始斜面125から下へ滑動し、それによってアンロック斜面124が連結部分119とベース部分108との間の移行部における外し斜面114と接触し、図23に示されるように、ノッチ109がノッチ面110から下へ滑動することをもたらす。それにより制御スライダの係止が解除され、制御スライダは内位置49の方向に移動することができる。コーナキャビネット扉27がさらに閉じると、連結要素119と制御スライダの連結部分112とが互いに連結したままとなり、その際、可動部材126の先端127は係合開口部113内にある。
【0089】
続いてコーナキャビネット扉27が開くと、先端127の下面における引出し面128が、係合開口部113における連行面と接触し、それによって、扉が開くと制御スライダが収容開口部107から引き出される。さらに開くと、第2扉要素32の特定の開角度から、可動部材126がばねのばね力に抗して押し戻され、それによって、連結要素119と、したがって第2扉要素32との連結が外される。
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