(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】飲酒運転検出装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220506BHJP
B60K 28/06 20060101ALI20220506BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220506BHJP
A61B 5/0245 20060101ALN20220506BHJP
A61B 5/01 20060101ALN20220506BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60K28/06 B
G08G1/09 F
A61B5/0245 C
A61B5/01 100
(21)【出願番号】P 2017219352
(22)【出願日】2017-11-14
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】517398162
【氏名又は名称】株式会社エフェクト
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】光安 淳
(72)【発明者】
【氏名】塚本 誠
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 潔志
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6181274(JP,B2)
【文献】特開2008-287677(JP,A)
【文献】特開2015-216589(JP,A)
【文献】特開2008-206534(JP,A)
【文献】特表2013-529960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60K 25/00 - 28/16
A61B 5/02 - 5/03
A61B 5/00 - 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が座る運転席の雰囲気のアルコール濃度を測定する第1センサと、
前記運転者の体温を測定する第2センサと、
前記運転者の心拍数を測定する第3センサと、
前記第1センサからのアルコール濃度が第1閾値より高く、かつ前記第2センサからの体温が第2閾値より高い場合、または前記第1センサからのアルコール濃度が第1閾値より高く、かつ前記第3センサからの心拍数が第3閾値より高い場合に、飲酒状態であると判定する制御装置とを備え、
前記制御装置は、年齢別および性別に対応する安静時心拍数の統計データが格納された記憶部を備え、前記運転手の年齢および性別に基づく前記安静時心拍数の統計データからの心拍数を前記第3閾値として判定する飲酒運転検出装置。
【請求項2】
前記第3センサは、ハンドルに設置された請求項1記載の飲酒運転検出装置。
【請求項3】
前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサと、前記第1~3センサからのセンサ情報を電気通信回線へ送信する無線装置とが、前記運転者が搭乗する車両に搭載され、
前記制御装置は、前記電気通信回線を介して、前記無線装置からの情報が入力される請求項1または2記載の飲酒運転検出装置。
【請求項4】
前記無線装置は、前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサからのセンサ情報を無線信号により送信する車内装置である中継装置と、位置情報を出力する測位部および運転者を識別する識別情報が格納される記憶部を有
する運転手が携行するスマートフォンとを備え、
前記スマートフォンは、前記中継装置から
の前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサによるセンサ情報を示す無線信号を受信して、前記センサ情報と一緒に前記位置情報および前記識別情報を、無線信号により前記電気通信回線を介して前記制御装置へ送信す
る請求項3記載の飲酒運転検出装置。
【請求項5】
前記第1センサにより測定されたアルコール濃度に基づいて飲酒状態であると判定されたときに報知する報知部が、前記車両に、外部から認知可能に設置されている請求項1から4のいずれかの項に記載の飲酒運転検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の飲酒状態を検出する飲酒運転検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲酒運転は運転時の正常な判断を誤らせる。飲酒運転を撲滅するため、または減らすために、飲酒した運転者の呼気からアルコール成分を検出して警告を発する装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の「酔った人間による自動車の運転を阻止するシステムと方法」は、運転者がハンドルに触れると、運転者の左手あるいは右手のいずれかで常に経皮式アルコール検知器具に接触するように備えられて、人の皮膚におけるエチルアルコールの存在を測定するものであり、アルコールの検出を避けるために特殊な手袋を着装することによって誰かが本システムを妨害することができないように、一定の温度測定がなされるものである。
【0004】
また、特許文献2の「運転不適格者による運転を防止する装置」には、血圧/心拍センサ、アルコール検知センサおよび眼球測定センサにより、自車両の運転者が運転不適状態にあるか否かを決定しており、血圧/心拍センサにより運転者の血圧および心拍数を検出することで、運転者が心臓病等の重症持病者等であるか否か、あるいは服薬等により運転不適状態にあるか否かについて判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2008-539127号公報
【文献】特開2010-6230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の「酔った人間による自動車の運転を阻止するシステムと方法」では、運転者がハンドルを握っているか否かを体温により判断するものであり、運転者からのアルコール成分の検出精度を向上させるものでは無い。
また、特許文献2の「運転不敵社による運転を防止する装置」についても、血圧/心拍センサにより運転者の血圧および心拍数の検出は、運転者が心臓病等の重症持病者等であるか否か、あるいは服薬等により運転不適状態にあるか否かについて判定するためのものであり、運転者からのアルコール成分の検出精度を向上させるものでは無い。
【0007】
アルコール成分を運転者が座る運転席の雰囲気から検出する場合に、例えば、乗用車であれば助手席に、バスであれば運転席の近くに、アルコールを摂取した他の者が位置していると、空気中からアルコール成分が誤検出される可能性があり、運転者が飲酒状態であると誤認してしまう可能性がある。
【0008】
そこで本発明は、アルコール成分を運転者が座る運転席の雰囲気から検出する場合に、運転者が飲酒状態であるか否かの検出精度を向上させることができる飲酒運転検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の飲酒運転検出装置は、運転者が座る運転席の雰囲気のアルコール濃度を測定する第1センサと、前記運転者の体温を測定する第2センサと、前記運転者の心拍数を測定する第3センサと、前記第1センサからのアルコール濃度が第1閾値より高く、かつ前記第2センサからの体温が第2閾値より高い場合、または前記第1センサからのアルコール濃度が第1閾値より高く、かつ前記第3センサからの心拍数が第3閾値より高い場合に、飲酒状態であると判定する制御装置とを備え、前記制御部は、年齢別および性別に対応する安静時心拍数の統計データが格納された記憶部を備え、前記運転手の年齢および性別に基づく前記安静時心拍数の統計データからの心拍数を前記第3閾値として判定することを特徴とする。
【0010】
第1センサにより測定されたアルコール濃度と、第2センサにより測定された体温と、第3センサにより測定された心拍数とにより、制御装置が、アルコール濃度が第1閾値より高く、かつ体温が第2閾値より高い場合、またはアルコール濃度が第1閾値より高く、心拍数が第3閾値より高い場合に、飲酒状態であると判定するため、運転者以外のものが飲酒をしており、アルコール成分が検出されても、運転者の体温が平熱であり、心拍数が安静時と判断される状態であれば、飲酒状態と誤認することを回避することができる。
【0011】
前記第3センサは、ハンドルに設置されたものとすることができる。
また、前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサと、前記第1~3センサからのセンサ情報を電気通信回線へ送信する無線装置とが、前記運転者が搭乗する車両に搭載され、前記制御装置は、前記電気通信回線を介して、前記無線装置からの情報を入力するものとすることができる。
運転者が搭乗する車両に無線装置が搭載され、電気通信回線を介して、この無線装置からの情報に基づいて制御装置が飲酒状態か否かを判定するため、車両が広い範囲を走行していても、運転者の飲酒状態を遠隔地に設置された制御装置にて把握することができる。
【0012】
前記無線装置は、前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサからのセンサ情報を無線信号により送信する車内装置である中継装置と、位置情報を出力する測位部および運転者を識別する識別情報が格納される記憶部を有する運転手が携行するスマートフォンとを備え、前記スマートフォンは、前記中継装置からの前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサによるセンサ情報を示す無線信号を受信して、前記センサ情報と一緒に前記位置情報および前記識別情報を、無線信号により前記電気通信回線を介して前記制御装置へ送信するものとすることができる。
スマートフォンは、位置情報を出力する測位部と、運転者を識別する識別情報が格納される記憶部とを備えているため、スマートフォンを所持した運転者が車両を乗り換えても、車両に第1~第3センサおよび中継装置が設置されていれば、飲酒運転の監視を、遠隔地に設置された制御装置により行うことができる。
【0013】
前記第1センサにより測定されたアルコール濃度に基づいて飲酒状態であると判定されたときに報知する報知部を、前記車両に外部から認知可能に設置することが望ましい。
報知部が、外部から認知可能に車両に設置されているため、運転者が飲酒状態であることが車両の外側から認知できるので、運転者に飲酒状態の自覚が無くても、外部の者が注意することができる。
【0014】
前記報知部は、発光により報知するLEDを備え、前記車両のガラス面の内側に、前記LEDを外側に向けて設置されていることにより、報知部の容易に設置でき、車両の外部からでも運転者が飲酒状態であることを容易に視認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の飲酒運転検出装置によれば、アルコール成分を運転者が座る運転席の雰囲気から検出する場合に、運転者以外のものが飲酒をしており、アルコール成分が検出されても、運転者の体温が平熱であり、心拍数が安静時と判断される状態であれば、飲酒状態と誤認することを回避することができるので、運転者が飲酒状態であるか否かの検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る飲酒運転検出装置の構成を説明するための図である。
【
図2】
図1に示す飲酒運転検出装置の車内装置を説明するための図である。
【
図3】
図2に示す車内装置の各センサ部および中継装置の設置位置を説明するための図である。
【
図4】
図2に示す車内装置のスマートフォンの構成を説明するための図である。
【
図5】
図1に示す飲酒運転検出装置の管理サーバの構成を説明するための図である。
【
図6】
図5に示す管理サーバの記憶部に格納された各テーブルの図であり、(A)はアルコール濃度の判定に用いられるテーブルを示す図、(B)は体温の判定に用いられるテーブルを示す図、(C)は心拍数の判定に用いられるテーブルを示す図、(D)は年齢および性別に基づく安静時心拍を示す表である
。
【
図7】管理サーバから提供され、端末装置に表示される運転者登録画面の一例を示す図である。
【
図8】管理サーバから提供され、端末装置に表示される運転者設定画面の一例を示す図である。
【
図9】管理サーバから提供され、端末装置に表示される運用画面の一例を示す図である。
【
図10】管理サーバから提供され、端末装置に表示される車両状態詳細画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る飲酒運転検出装置を図面に基づいて説明する。
図1に示す飲酒運転検出装置10は、車両を運転する運転者の飲酒状態を検出して、運転者または監視者に警告を報知することで、飲酒状態での運転を抑止するものである。
【0018】
飲酒運転検出装置10は、車両Vの車内に設置される車内装置20と、管理センターCに設置され、車内装置20を制御する制御装置として機能する管理サーバ30とを備えている。
図2に示す車内装置20は、車両に配置されるセンサ群21と、表示部22と、報知部23と、無線装置として機能する中継装置24および電気通信装置の一例であるスマートフォン25とを備えている
【0019】
各種のセンサ群21は、
図3に示すように、運転者の正面のダッシュボードDに設置された第1センサであるアルコールセンサ部211と、アルコールセンサ部211と同様に、ダッシュボードDに設置された第2センサである体温センサ部212と、ハンドルHに設置された第3センサである心拍センサ部213と、アルコールセンサ部211と同じ筐体内に配置された第4センサである車内温度測定部214とを備えている。
【0020】
図2に示すアルコールセンサ部211は、運転者が座る運転席の雰囲気のアルコール濃度を測定する。本実施の形態では、アルコールセンサ部211として、空気中のアルコール濃度を測定する感ガス素子からの電気信号を無線通信チップが無線信号として送信するものを使用している。
【0021】
体温センサ部212は、運転者の体温を測定するためのものである。本実施の形態では、体温センサ部212として、対象物からの赤外線を温度センサが感知して、対象物の温度を非接触にて測定し、この温度センサからの電気信号を無線通信チップが無線信号として送信するものを使用している。
【0022】
心拍センサ部213は、ハンドルHを握った運転者の手のひら、または指に接触させて心拍数を測定するためのである。本実施の形態では、心拍センサ部213として、発光部から照射され、皮膚の状態により変化する反射光を受光部で受けることで、血流の変化により心拍を光学的に測定するセンサがハンドルの6箇所に設置されており、このセンサからの電気信号を無線通信チップが無線信号として送信するものを使用している。
【0023】
車内温度測定部214は、アルコールセンサ部211の周辺の雰囲気の温度を測定する温度センサである。本実施の形態では、車内温度測定部214として、温度センサからの電気信号を無線通信チップが無線信号として送信するものを使用している。この無線通信チップは、車内温度測定部214がアルコールセンサ部211と同じ筐体内に配置されていることから、アルコールセンサ部211と共通させている。
【0024】
表示部22は、後述する中継装置24の制御部または管理サーバ30(
図1参照)からの情報を表示するためのキャラクタ型のLCDである。本実施の形態では、横列16桁で縦列が2列のLCDと、無線信号を受信してLEDに出力する無線通信チップとを備えたものを使用している。表示部22は、運転者から視認しやすいところに設置される。例えば、
図3では、表示部22は、例えば、インパネと略されるインストルメントパネルに設置されている。
【0025】
図2に示す報知部23は、報知が外部から認知可能に設置されている。例えば、報知部23は、光により報知するものとしたり、音により報知するものとしたりすることができる。報知部23は、中継装置24に、コネクタ(図示せず)による脱着可能にケーブル接続されている。本実施の形態では、報知部23として、光により外部の者に報知する高輝度の白色のLEDを使用しており、LEDを外側に向けて、車両のガラス面の一例であるフロントガラスFに貼り付けている。
図3では、報知部23をフロントガラスFに設置しているが、窓の開閉やドアの開閉に支障がなければ、他のガラス面に配置してもよい。
【0026】
アルコールセンサ部211、体温センサ部212、心拍センサ部213、車内温度測定部214および表示部22の無線通信チップは、中継装置24と通信できれば様々な通信規格のものが採用できる。本実施の形態では、通信距離が短く通信速度が低速であるが、消費電力が小さいZigBee(登録商標)で通信するものが採用されている。
【0027】
図2に示す中継装置24は、アルコールセンサ部211、体温センサ部212、心拍センサ部213および車内温度測定部214と無線通信により接続される。
中継装置24は、デバイス用通信部241と、近距離用通信部242と、制御部243とを備えている。
デバイス用通信部241と、近距離用通信部242と、制御部243とが筐体に収容されて本体部24aを構成している。本体部24aは、電源を取りやすくするため、例えば、シガーソケットS(
図3参照)付近に配置される。
【0028】
デバイス用通信部241は、アルコールセンサ部211と、体温センサ部212、心拍センサ部213、および表示部22の無線通信チップと同様に、ZigBeeにより通信する。
【0029】
近距離用通信部242は、BLUETOOTH(登録商標)やWiFi(登録商標)によりスマートフォン25と通信するものとすることができる。本実施の形態では、BLE(Bluetooth Low Energy)を採用している。
【0030】
制御部243は、外部に設置されたセンサ群21から入力したセンサ情報を、運転者が携行するスマートフォン25に送信するため、デバイス用通信部241と近距離用通信部242とを制御すると共に、アルコールセンサ部211からの電気信号をアルコール濃度に変換して表示部22へ出力する。
【0031】
図4に示すスマートフォン25は、移動する車両からの通信を広域へ通信する。スマートフォン25は、近距離用通信部251と、遠距離用通信部252と、測位部253と、記憶部254と、表示部255と、操作部256と、制御部257とを備えている。なお、
図4においては、本実施の形態に係る飲酒運転検出装置10に関係する主要な構成のみを図示しており、電話機能を構成するものなどは省略している。
【0032】
近距離用通信部251は、中継装置24の近距離用通信部242(
図2参照)と通信する。遠距離用通信部252は、携帯電話会社を通じて電気通信回線の一例であるインターネットWと通信する。
測位部253は、位置情報を出力する。測位部253は、位置情報を経度および緯度で示すGPSとすることができる。
記憶部254は、情報を読み出し可能に格納する不揮発性メモリである。記憶部254には、運転者を識別する識別情報(ユーザID)が格納される。この識別情報は、予め運転者によって設定される。
表示部255は、制御部257からの表示情報を表示するグラフック型のLCDである。操作部256は、表示部255の表示面に設けられたタッチパネルである。操作部256は、運転者からの入力を制御部257に出力する。
【0033】
図1に示す管理サーバ30は、管理センターCに設置された端末装置40からのアクセスにより、端末装置40に飲酒運転監視のための各画面を提供するものである。
図5に示す管理サーバ30は、通信部31と、登録画面制御部32と、運用画面制御部33と、判定部34と、通知部35と、記憶部36とを備えている。
【0034】
通信部31は、管理サーバ30内の各部からの情報をインターネットWへ送信したり、インターネットWからの情報を受信して管理サーバ30内の各部へ出力したりする。通信部31は、LANとすることができる。
【0035】
登録画面制御部32は、アクセス要求に応じて運転者、車両の登録をするための登録画面を要求元に送信して、入力された情報を登録情報として、記憶部36へ登録する。
運用画面制御部33は、車両と、その車両に乗車する運転者と、運転者の状態を表示する画面を要求元に送信する。
判定部34は、
図2に示すセンサ群21からの情報に基づいて飲酒状態か否かを判定して運用画面制御部33に出力する。
【0036】
通知部35は、運転者に通知する情報を、通信部31を介して送信する。
記憶部36には、飲酒運転検出サイトの各ページの画面情報や、各種の情報が格納されている。また、記憶部36には、飲酒状態か否かを判定するための、アルコール濃度、体温、心拍数に関する各テーブルが格納されている。
【0037】
ここで、記憶部36に格納されたアルコール濃度、体温、心拍数に関する各テーブルについて図
6に基づいて説明する。
図6(A)に示すように、アルコール濃度の判定は、0.000mg/Lから0.049mg/Lが「通常」、0.050mg/Lから0.059mg/Lが「少し高い」、「0.060mg/L以上が「高い」と設定されている。
【0038】
図6(B)に示すように、体温の判定は、「平熱」-1.5℃以下が「少し低い」、「平熱」-1.4℃から「平熱」+0.5℃が「普通」、「平熱」+0.6℃から「平熱」+1.5℃が「少し高い」、「平熱」+1.6℃以上が「高い」と設定されている。
【0039】
図6(C)に示すように、心拍数は、「安静時心拍」-20回/分以下が「少し低い」、「安静時心拍」-19回/分から「(安静時心拍)+10回/分が「普通」、「安静時心拍」+11回/分から「安静時心拍」+30回/分が「少し高い」、「安静時心拍」+31回/分以上が「高い」と設定されている。
【0040】
図6(D)に示すように、年齢別の心拍数が設定されている。例えば、運転者が男性20才であれば安静時心拍が63回であることを示している。この年齢別の心拍数は統計データを採用している。
【0041】
更に、記憶部36には、アルコール濃度と、体温、心拍数から飲酒状態か否かを判定するための判定用テーブルが設定されている。判定は、「危険」、「警告」、「通常」の3段階である。
【0042】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る飲酒運転検出装置10の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
管理者は、端末装置40を操作して、端末装置40の閲覧ソフトにより、管理サーバ30のネットワーク上のアドレスを指定して管理サーバ30にアクセスすることで、管理サーバ30の登録画面制御部32から運転者登録画面(運転者登録ページ)が送信される。
運転者登録画面では、運転者および管理者の登録が行われる。
【0043】
図7に示す運転者登録画面P1では、運転者(管理者を含む)を識別するための識別情報となるユーザIDを入力するためのID欄P11と、IDに関連付けられるパスワードを入力するためのパスワード欄P12と、運転者または管理者の氏名を入力するための氏名欄P13とが表示されている。氏名欄P13の下には、管理者か運転者かを指定するためのチェックボックスP14が設けられている。
チェックボックスP14の下には、生年月日を入力するための誕生日欄P15と、誕生日欄P15に生年月日を入力すると年齢が自動計算されて表示される年齢欄P16と、性別を選択するラジオボタンP17が設けられている。
【0044】
ラジオボタンP17の下には、健康時の体温を示す「平熱」を入力するための体温欄P18が設けられている。
更に、体温欄P18の下には、安静時の心拍数を入力するための安静時心拍数欄P19が設けられている。安静時心拍数欄P19は、誕生日欄P15に入力された生年月日と、ラジオボタンP17により選択された性別とにより、
図6(D)に示す年齢別の心拍数が表示される。安静時の心拍数が実測するなどして分かっている運転者は、安静時心拍数欄P19に心拍数を入力してもよい。
【0045】
運転者登録画面P1におけるP11~P19の各項目とその他の項目への入力が完了すると、管理者は登録ボタンB11を押下することで、運転者登録画面P1により登録された運転者に関する情報は、登録画面制御部32により記憶部36に運転者情報として格納される。
運転者の登録が完了すると、次に、管理者は、車両の登録を行う。
【0046】
まず、管理者は、端末装置40を操作して管理サーバ30をアクセスして、端末装置40に運転者設定画面(運転者設定ページ)を表示させる。
図8に示す運転者設定画面P2では、車両名に対応する運転者を、プルダウンメニューにより選択する運転者入力欄P21が設けられている。
管理者は、車両と運転者との紐付けの入力が完了すると、設定ボタンB21を押下することで、運転者設定画面P2により登録された車両と運転者との関連付け情報は、登録画面制御部32により記憶部36に運転者設定情報として格納される。
運転者の登録と、運転者と車両との紐付けが完了すると、運用を開始することができる。
【0047】
図2に示すアルコールセンサ部211、体温センサ部212、心拍センサ部213および車内温度測定部214からの体温情報および心拍情報は、無線通信により中継装置24へ送信される。中継装置24では、デバイス用通信部241を介して制御部243に入力される。
【0048】
制御部243では、アルコールセンサ部211からのアルコール濃度情報を表示部22へ出力する。また、制御部243は、アルコール濃度情報、体温情報、心拍情報および車内温度情報を、近距離用通信部242を介して、スマートフォン25へ送信する。
【0049】
スマートフォン25では、中継装置24からの各種の情報と一緒に、記憶部254に格納された運転者を識別するユーザID(識別情報)と、測位部253からの車両の現在位置を示す位置情報とを、遠距離用通信部252によりインターネットWを介して管理サーバ30(
図1参照)へ送信する。
【0050】
管理サーバ30では、通信部31を介して各種の情報を入力すると記憶部36に格納される。判定部34は、車内温度情報に基づいてアルコール濃度情報を補正する。そして、判定部34は、補正されたアルコール濃度情報と、体温情報、心拍情報とから、アルコール濃度状態、体温状態、心拍状態を判定すると共に、運転者が飲酒状態か否かを、記憶部36に格納された判定用テーブルに基づいて判定する。
この判定用テーブルでは、アルコール濃度が0.050mg/L(第1閾値)以上であり、かつ体温が「平熱」+0.6(第2閾値)以上である場合、または心拍数が安静時心拍+11回/分(第3閾値)以上である場合に、飲酒状態を示す「危険」と判定される。
【0051】
判定部34は、この判定結果を、運転者を示すユーザIDと関連付けて、総合状態として記憶部36へ格納する。
【0052】
管理者は、車両の運行状態を運用画面(運用ページ)にて確認することができる。
管理サーバ30の運用画面制御部33は、記憶部36から、アルコール濃度情報、心拍情報、体温情報と、アルコール濃度状態、心拍状態、体温状態と、総合状態とを読み込み、図9に示す運用画面P3を生成して、端末装置40へ送信する。
図9に示す運用画面P3では、「車両名」、「運転手名」、「総合状態」(飲酒状態)、「ALC状態」(アルコール濃度の状態)、「心拍状態」(心拍数の状態)、「体温状態」、「ALC濃度」(アルコール濃度値)、「心拍数」、「体温」が表示される。
【0053】
また、運用画面P3では、判定用テーブルの表示色に基づいて、車両ごとの背景色が表示されている。
管理者は、この運用画面P3にて「危険」として赤色に表示された運転者と、「警告」と表示された運転者に対して、警告を発することができる。
【0054】
管理者は、端末装置40を操作して、例えば、総合状態が「危険」と表示され、背景色が赤色に表示された車両の車両名(図9においては、「中型トラック001…」)を押下することで、運用画面制御部33は、車両状態詳細画面(車両状態詳細ページ)を、端末装置40へ送信する。
図10に示す車両状態詳細画面P4には、「車両名」、「運転手名」、「電話番号」、運転者の状態(総合状態、アルコール濃度・心拍・体温の数値および状態)が表示されていると共に、スマートフォン25の測位部253からの位置情報に基づく、車両が所在する位置を示す地図情報M41が表示されている。
車両の位置が地図情報M41により表示されるため、管理者は車両の位置を正確に把握することができる。
【0055】
管理サーバ30にて、判定部34が判定した結果、運転者の総合状態が飲酒状態であった場合には、通知部35が、ユーザIDが示す運転者が携行するスマートフォン25(
図4参照)へ飲酒状態である旨の通知を送信する。
【0056】
スマートフォン25では、この通知を、制御部257が、遠距離用通信部252を介して受信し、近距離用通信部251を介して中継装置24(
図2参照)へ送信する。
中継装置24では、スマートフォン25からの通知を、制御部243が、近距離用通信部242を介して受信して報知部23へ送信する。
報知部23では、中継装置24からの通知を受信することで、明るく点灯する。
【0057】
報知部23が、外部から認知可能に車両のフロントガラスF(
図3参照)に設置されているため、運転者が飲酒状態であることが車両の外側から認知できるので、運転者に飲酒状態の自覚が無くても、外部の者が注意することができる。
また、LEDの発光により報知する報知部23が、車両のフロントガラスFの内側に、LEDを外側に向けて設置されていることにより、報知部23の容易に設置でき、車両の外部からでも運転者が飲酒状態であることを容易に視認することができる。
【0058】
以上のように本発明の実施の形態に係る飲酒運転検出装置10によれば、
図2に示すアルコールセンサ部211により測定されたアルコール濃度と、体温センサ部212により測定された体温と、心拍センサ部213により測定された心拍数とにより、管理サーバ30が
、判定用テーブルに基づいて、アルコール濃度が「少し高い」以上であり、かつ体温が「少し高い」以上である場合、または
アルコール濃度が「少し高い」以上であり、かつ心拍数が「少し高い」以上であ
る場合に、飲酒状態であると判定するため、運転者以外のものが飲酒をしており、アルコール成分が検出されても、運転者の体温が平熱であり、心拍数が安静時と判断される状態であれば、飲酒状態と誤認することを回避することができる。
従って、飲酒運転検出装置10は、運転者が飲酒状態であるか否かの検出精度を向上させることができる。
【0059】
運転者が搭乗する車両に無線装置となる
図2に示す車内装置20が搭載され、インターネットWを介して、この車内装置20からの情報に基づいて管理サーバ30が飲酒状態か否かを判定するため、車両が広い範囲を走行していても、運転者の飲酒状態を遠隔地である管理センターCに設置された管理サーバ30にて把握することができる。
【0060】
図4に示すスマートフォン25は、位置情報を出力する測位部253と、運転者を識別する識別情報が格納される記憶部254とを備えているため、スマートフォン25を所持した運転者が車両を乗り換えても、車両にセンサ群21および中継装置24が設置されていれば、飲酒運転の監視を、管理センターCに設置された管理サーバ30により行うことができる。
【0061】
なお、本実施の形態に係る飲酒運転検出装置10では
、テーブルに基づいて運転者が飲酒状態か否かを判定していたが条件式により判定してもよい。
また、本実施の形態では、運転者が携行する電気通信装置をスマートフォンとして説明したが、
図2に示す中継装置24と近距離通信ができ、
図1に示す管理サーバ30とインターネットWを介して遠距離通信できれば、電気通信装置は、SIMカードを装着したデータ通信可能な他の装置でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の飲酒運転検出装置は、乗用車、トラック、バスなどに好適であり、特に、運転者以外に乗客が乗車するバスやタクシーなどに最適である。
【符号の説明】
【0063】
10 飲酒運転検出装置
20 車内装置
21 センサ群
211 アルコールセンサ部
212 体温センサ部
213 心拍センサ部
214 車内温度測定部
22 表示部
23 報知部
24 中継装置
24a 本体部
241 デバイス用通信部
242 近距離用通信部
243 制御部
25 スマートフォン
251 近距離用通信部
252 遠距離用通信部
253 測位部
254 記憶部
255 表示部
256 操作部
257 制御部
30 管理サーバ
31 通信部
32 登録画面制御部
33 運用画面制御部
34 判定部
35 通知部
36 記憶部
40 端末装置
C 管理センター
V 車両
D ダッシュボード
H ハンドル
F フロントガラス
S シガーソケット
W インターネット
P1 運転者登録画面
P11 ID欄
P12 パスワード欄
P13 氏名欄
P14 チェックボックス
P15 誕生日欄
P16 年齢欄
P17 ラジオボタン
P18 体温欄
P19 安静時心拍数欄
B11 登録ボタン
P2 運転者設定画面
P21 運転者入力欄
B21 設定ボタン
P3 運用画面
P4 車両状態詳細画面
M41 地図情報