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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】押出し移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20220506BHJP
   B65G 47/34 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B65G47/46 B
B65G47/34
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017240562
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2019108179
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】清野 智昭
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-40131(JP,A)
【文献】特開昭51-4769(JP,A)
【文献】実開昭56-162237(JP,U)
【文献】特開平7-89617(JP,A)
【文献】特開2017-97847(JP,A)
【文献】実公昭51-10551(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B65G 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を押出すために1以上の最適な押し位置を決定する手段1と、
前記手段1で決定された前記押し位置を少なくとも1本のプッシャーで押す手段2と、
前記物品及び前記物品を積載したかご台車を映す画像認識装置と、
装置全体を制御する装置制御機構と
を具備する押出し移載装置。
【請求項2】
前記最適な押し位置は、前記かご台車の1以上の後枠内であって、且つ前記かご台車に積載された物品を前面に押出し移動させるためにバランスの良い1以上の後面部分であることを特徴とする請求項1に記載の押出し移動装置。
【請求項3】
前記最適な押し位置を決定する手段1は、
前記画像認識装置による画像と、
予め記憶された複数の種類の前記かご台車の枠サイズを含む仕様及び予め記憶された複数の種類のケースの外形仕様と
を比較照合して前記最適な押し位置を決定する手段であること特徴とする請求項1または2に記載の押出し移載装置。
【請求項4】
前記押す手段2は、前記かご台車に積載された前記物品の前記最適位置を、前記かご台車の後方から後枠内を通過する略棒状の前記プッシャーの先端部によって押出し、前記物品をスライド移動させてかご台車の前面側にあるコンベヤ上又は載置台に移載させるための押す手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項5】
前記プッシャーの中には、前記かご台車に積載された前記ケースの後面端部を押し、前記ケースを回転移動させることのできる1以上の補助プッシャーを具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項6】
前記プッシャー及び前記補助プッシャーの先端部は、先端側を略円形とする略円柱状体であって、可撓性材質若しくは硬質ウレタン樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項7】
前記プッシャー及び前記補助プッシャーの先端部は、1以上の感知センサー及び/若しくは吸着盤を具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項8】
前記プッシャー及び前記補助プッシャーは、押出し移載装置基盤の上を左右方向に任意に平行移動することができる態様で敷設され、前記押出し移載装置基盤の上下方向への移動と共に上下方向へも任意移動することができることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項9】
前記かご台車の前面側であって前記コンベヤ又は前記載置台を挟む位置にある略板状の迎え板体であって、前記ケースの押出し移動の際、前記ケースの前面側に略近接する位置まで突出し、前記ケースのスライド移動と同期して引込み移動し前記ケース前面側を支えることにより前記ケースの前面側への倒れ若しくは荷崩れを防止する荷崩れ防止体を具備することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項10】
前記荷崩れ防止体は、前記押出し移載装置の前面側の構成部材である荷崩れ防止体基盤に敷設されており、且つ前記かご台車に積載された被積載物及び物品ケースの位置及びサイズに応じて、上下左右に任意に移動することができる態様で敷設されていることを特徴とする請求項に記載の押出し移載装置。
【請求項11】
前記荷崩れ防止体の前記ケース側の面である支え面には、1以上の感知センサー及び/若しくは吸着盤を具備することを特徴とする請求項9もしくは10に記載の押出し移載装置。
【請求項12】
前記荷崩れ防止体は、複数の略棒状のプッシャー体であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項13】
記かご台車前面と前記コンベヤ及び/若しくは前記載置台との間隙に位置し、物品のスライド移動及び移載の際に略橋渡し体としてスムーズに物品が移動できるようにする機能を有するトランスファー体を具備することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項14】
前記トランスファー体は、前記ケースを下面から前記コンベヤ及び/若しくは前記載置台に引き込む方向に回転するベルトコンベヤ及び/若しくはローラコンベヤ及び/若しくは回転体及び/若しくは引込みレールであることを特徴とする請求項13に記載の押出し移載装置。
【請求項15】
前記ケースの移載状況を画像認識し、この認識結果に適応して複数の前記プッシャー及び予備プッシャーの押出し距離を調整し、斜め積載された前記ケースを左右前後正しい位置にスライドさせて載置することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項16】
前記ケースの移載状況を画像認識し及び/若しくは前記プッシャー先端部接触センサーでケース位置及び回転角度の移載状況を確認することにより、前記スライド移動載置不良を検出し、複数の前記プッシャーの押出し距離を調整し押出し移載行為を再試行することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の押出し移載装置。
【請求項17】
前記ケースの移載状況を画像認識し及び/若しくは前記プッシャー先端部接触センサーでケース位置及び回転角度の移載状況を確認することにより、前記スライド移動載置不良を検出した際、前記荷崩れ防止体が前記ケースを押し戻し、積載位置を前記かご台車上に適正に再設定することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の押出し移載装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を認識し把持し移載するための物品把持移載装置に関する。特に、物流集配拠点での多品種商品の配送箱等への詰め替え移載における自動移載機の物品容器を押出し移動機能有する物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品物流拠点においては、大量に入荷される多品種商品を、仕向け先別にダンボール箱や既定の出荷容器などに仕分け包装し出荷している。この場合、ダンボール箱や既定の出荷容器などが載置された移動台車(かご台車)等からコンベヤに積み替え、出荷作業をすることが多い。しかしながら、このような作業を人が行うとなると著しく煩雑で労力を要する作業となる。そのため、商品の出荷容器への移載作業を、高価な籠又は精密移載ロボット等を利用して行っている場合もある。
【0003】
このような場合、他種多様な形状を有する商品の中から指定商品のみを特定し、認識し、ロボットアームを操作して商品を把持するが、このためにはカメラ画像認識装置等を用いて商品箱(商品容器)を画像撮影し、特定容器のみを認識し、その容器の外形等のデータに応じてロボットアームが指定位置に移動して指定容器をアームで把持し、コンベヤに移動してその後商品を出荷容器等に載置する。
【0004】
しかしこの作業は、商品を画像認識により特定し且つ形状の確認を要することから、アームによる商品外形に応じた保持動作など非常に綿密なプログラムによるロボット操作が必要となり、できる限り早く効率的に大量の商品を移載することを要求される物流拠点においては、作業が遅すぎる上に、細密なプログラム制御により高価なロボットなどを必要とする等、経済的な負荷が大きく、現実的な効率化作業にまでは至っていない。
【0005】
実際のロボットアームによる商品保持においては、真空吸引パッドを商品にあてがい真空吸着によって商品を把持する手法が開発されているが、一様に平面をもつ物品に対しては真空吸引パッドによる吸着は対応できるが、多種多様な外観形状を有する商品を収納した物品ケースの蓋が軟弱であったり、蓋なしの容器等を逐次真空吸引パッドで吸着把持する機能を発揮する技術には至っていない。また物品容器等であっても、きちんと吸着把持することは非常にむずかしく、細密なプログラム及び高度な技術が要求される。
【0006】
たとえば、特許文献1では、ロボット等を用いた物品把持の自動化システムにおいて、人の目に替わるビジョンシステムを用いて、動作毎にワーク把持位置を計算して吸着ヘッドを用いた吸引吸着による物品把持の技術思想が開示されている。しかし、この例では、物品を吸着による手法のみで把持する技術思想であるため、様々な形状である物品を認識して把持する技術には至っていない。様々な形状である物品を探りながら認識し、且つ最も把持し易い方法を選択して行う物品把持には適合できていない。
【0007】
またその他の従来技術では、ロボット等を用いた物品把持の自動化システムにおいて、人の目に代わるビジョンシステムを用いて、動作毎にワーク把持位置を計算してロボットに移動指示を出している。この方式では、ロボットシステムを用いてワークを把持する際に、物品容器(ケース)及び容器枠の位置情報を測定しロボットに動作指示をしなければならない。この処理時間は各動作に必ず含まれる数字であり、サイクルタイム(トータル作業タイム)の拡大ロスにつながる。また、一般的なビジョンシステムは、カメラ、照明機器、コントローラにて構成され、システムの複雑化とコスト高につながっている。
【0008】
加えて、例えば中間移動のための移動台車(かご台車)等に載置された物品を直接効率よくコンベヤ上に移載するための技術等も開発が成されていない。移動台車(かご台車)等に載置された物品を自動把持し移載するには高度な精密機械技術及びロボット技術が必要になるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2013-169640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
精密なプログラムに基づき稼働する高価なロボットを用いずに、かご台車内に載置された物品容器を順番に効率よく、コンベヤ上に移載する物品容器取り降し移載機を開発することが本発明の課題である。そして、本発明はこうした従来技術上の問題点を解決することを企図したものであり、物品の移載における安全性と作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品容器取り降ろし移載機を提供することをその課題とする。
【0011】
移載ロボットの場合、かご台車内の物品容器を把持するためには、画像認識等によって物品容器の形状を細部まで認識し、その形状等に適した方法でロボットのアームが物品容器を柔らかに把持する必要がある。このロボット把持機能は非常に効果で精密なプログラム制御が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これに対し、例えばかご台車に載置された物品容器が一定の定形容器であったり、又は数種類の決められたサイズの容器であったりした場合は、ロボットによる画像認識は容器の全体を詳細までに認識しなくてもよい場合が考えられる。また、物品容器はロボットアームによって把持し移動しなくても、コンベヤ側が同じ高さで近接していれば、押し出し、スライド移動させてコンベヤ側に載置することができる。
【0013】
つまり本発明の課題は、精密なプログラムに基づき稼働する高価なロボットを用いずに、かご台車内に載置された物品容器を順番に効率よく、コンベヤ上に移載する物品容器取り降し移載機を提供することである。よって、かご台車内に積載された物品容器が一定の形状容器又は予め定められた形状であれば、その容器の背面をプッシュ機構を用いて全面側に押出し、スライド移動をさせてコンベヤ上に移載することができる。物品容器の移載を受けるコンベヤ側は、その物品容器の底面高さに相応する高さに上下移動できればよい。
【0014】
かかる課題を解決するため、本発明に係る押出し移載機は、
1以上の最適な位置を決定する手段1と、
前記手段1で決定された前記位置を少なくとも1本のプッシャーで押す手段2と、
画像認識装置と、
装置制御機構と
を具備して構成される。
【0015】
さらに、本発明に係る押出し移載機の前記最適な位置は、かご台車の1以上の後枠内(後部の枠メッシュ内)であって、且つかご台車に積載されたケースを前面に押出し移動させるためにバランスの良い1以上のケース後面部分であることを特徴とすることもできる。
【0016】
つまり本発明に係る押出し移載機は、例えば画像認識装置によって画像を認識し、装置制御機構を介して目的(例えば押し出す目的)に応じた被押出し物の最適な位置を決定し、その被押出し物の最適な位置を少なくとも1本以上のプッシャーで押すことができる。例えば、かご台車に積載された物品ケースの後面の最適位置及びかご台車の後枠に当たらない枠の内側(枠メッシュの内側)の最適位置を画像認識装置によって画像認識し、装置制御機構に予め記憶されたアルゴリズムによる処理の命令に基づき、プッシャーを押し当て延伸させて、物品ケースを前面方向にスライド移動させて他のコンベヤ又は載置台に自動移載することができる。
【0017】
これにより、例えば重量のある物品ケースをかご台車からコンベヤ又は載置台に移載する従来の人によるハードで危険な作業が回避される。
【0018】
この前記最適な位置を決定する手段1は、前記画像認識装置による画像と、予め記憶された複数の種類のかご台車の枠サイズを含む仕様及び予め記憶された複数の種類のケースの外形仕様との照合結果を基に、定められたアルゴリズムによって決定する手段であること特徴とする。
【0019】
そして、前記押す手段2は、かご台車に積載された前記ケースの前記最適位置を、前記かご台車の後方から後枠内(枠メッシュの内側)を通過する略棒状の前記プッシャーの先端部によって押出し、前記ケースをスライド移動させてかご台車の前面側にあるコンベヤ上又は載置台に移載させるための押す手段であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る押出し移載装置の前記プッシャーの中には、かご台車に積載された前記ケースの後面端部を押し、前記ケースを回転移動させる(ずらし移動させる)ことのできる1以上の補助プッシャーを含み具備することもできる。
【0021】
つまり、かご台車に積載された物品ケースは、全てかご台車の荷台方向に対して前後左右直角に整然と積載されているとは限らないため、本発明に係る押出し移載装置は、前記プッシャーに類似する1以上の補助プッシャーを有し、その補助プッシャーにより斜めに積載された物品ケースの端部を押出し回転移動させる(ずらし移動させる)ことによって物品ケースを、かご台車の荷台方向に対して前後左右直角に整然と積載し直すことができる。つまり物品ケースの方向姿勢を整えることが出きる。
【0022】
これにより、物品ケースを押出し移載する際、物品ケースを真っすぐ前面方向に押し出すことができるようになる。同様に、かご台車の全面側にあるコンベヤ上又は載置台に真っすぐ整然と移載することができる。
【0023】
本発明に係る押出し移載機の前記プッシャー及び前記補助プッシャーの先端部は、先端側を略円形とする略円柱状体であって、可撓性材質から成り、好ましくは可撓性を有する硬質ウレタン樹脂であることを特徴とする。
【0024】
プッシャー及び補助プッシャーの先端部は、例えば硬質ウレタン樹脂のような可撓性材質から成り円柱状の形状であるため、物品ケースを破損させず柔らかに押し出すことができる。また可撓性を有する硬質ウレタン樹脂であれば摩擦係数も適度に高いため、物品ケースを押す際、プッシャー先端部の滑り移動又は横ズレを適度に回避することができる。
【0025】
そして、本発明に係る押出し移載機の前記プッシャー及び前記補助プッシャーの先端部は、1以上の感知センサー及び/若しくは吸着盤を具備する態様とすることもできる。
【0026】
プッシャー及び補助プッシャーの先端部に感知センサーを有することにより、そのセンサー感知によりプッシャー及び補助プッシャーの被移載物である物品ケースへの接触を認識することができる。つまり接触時点を認識できることにより、接触時点からのプッシャー押出し距離等の指示を装置制御機構が発信することができるため、被移載物や物品ケースのコンベヤ又は載置台の正確な位置への押出し移載が可能になる。
【0027】
感知センサーは、荷崩れ防止体が被移載物又は物品ケースに略接触したことを感知できるセンサーであればよく、接触型、非接触型などセンサー種類を限定するものではない。
【0028】
またプッシャー及び補助プッシャーの先端部に吸着盤を有することにより、被移載物や物品ケースを吸着させて滑りや横ズレを回避しつつ正確な位置への押出し移載が可能になる。
【0029】
本発明に係る押出し移載機の前記プッシャー及び前記補助プッシャーは、押出し移載装置基盤上に上下左右方向に任意に平行移動することができる態様で敷設され、前記押出し移載装置基盤の上下左右方向への移動と共に任意移動することができることを特徴とすることもできる。
【0030】
押出し移載装置基盤は、本発明に係る押出し移載機のプッシャー及び補助プッシャーを敷設する基盤部であり、プッシャー及び補助プッシャーは押出し移載装置基盤上を左右上下に移動することができる態様で取り付けられている。これにより、その左右上下移動可能な範囲において任意に移動することできるため、前記第1の手段で決定した最適な部分へ移動しプッシャー及び補助プッシャーを押出すことができる。
【0031】
本発明に係る押出し移載機は、前記かご台車の前面側であって前記コンベヤ又は前記載置台を挟む位置にある略板状の迎え板体であって、前記ケースの押出し移動の際、前記ケースの前面側に略近接する位置まで突出し、前記ケースのスライド移動と同期して引込み移動し前記ケース前面側を支えることにより前記ケースの前面側への倒れ若しくは荷崩れを防止する荷崩れ防止体を具備することを特徴とすることもできる。
【0032】
被移載物や物品ケースが複数段に積み重ねられている場合や、被移載物や物品ケースが縦長形状(高さの高い形状)である場合は、プッシャーによって押し出場合、全面側に荷崩れを起こしたり倒れたりする場合が考えられる。本発明に係る押出し移載機の荷崩れ防止体は、かご台車及び移載されるコンベヤ又は載置台を挟みプッシャー及び予備プッシャーの前面側に位置し、且つ略板状体形状を有しており、プッシャー及び予備プッシャーによる物品ケース押出しの際、物品ケースの前面側に突出接触し、板状面で支え、荷崩れ又は転倒を防止する。
【0033】
つまり荷崩れ防止体は、プッシャー又は予備プッシャーと同期して部品ケースを前面側から支える支え板としての機能を有する。荷崩れ防止体は、プッシャー又は予備プッシャーの前面側への押出し速さより若干先行して引込み移動をすることができるため、間に介在する被移載物又は物品ケースを挟み破損することなく支えてスムーズにスライド移動させ移載させることができる。これらの動作は全て装置制御機構からの指示によって行われる。
【0034】
本発明に係る押出し移載機の前記荷崩れ防止体は、前記押出し移載装置の前面側の構成部材である荷崩れ防止体基盤に敷設されており、且つ、かご台車に積載された被積載物及び物品ケースの位置及びサイズに応じて、上下左右に任意に移動することができる態様で敷設されていることを特徴とすることもできる。
【0035】
つまり荷崩れ防止体は、プッシャー及び予備プッシャーと同様に一定の範囲において左右上下の位置移動を可能とする構造で荷崩れ防止体基盤に敷設されている。つまり、本発明に係る荷崩れ防止体は、かご台車等に積載された被移載物及び物品ケースの態様により、荷崩れ防止の支え板として最も有効な位置に任意に移動して被移載物及び物品ケースを支え、荷崩れ及び転倒を防止することができる。
【0036】
本発明に係る押出し移載機の前記荷崩れ防止体の前記ケース側の面(支え面)には、1以上の感知センサー及び/若しくは吸着盤を具備する態様とすることもできる。
【0037】
荷崩れ防止体の支え面側に感知センサーを有することにより、荷崩れ防止体が被移載物又は物品ケースに接触した際、感知することができるため、荷崩れ防止体が押出しを続けて被移載物又は物品ケースを破損する事故を回避することができる。
【0038】
感知センサーは、荷崩れ防止体が被移載物又は物品ケースに略接触したことを感知できるセンサーであればよく、接触型、非接触型などセンサー種類を限定するものではない。
【0039】
荷崩れ防止体の支え面側に吸着盤を有することにより、荷崩れ防止体が被移載物又は部品ケースを吸着保持し、支えながら引込み移動をさせることができる。これにより被移載物又は物品ケースを後ろ側から押出し移動させるプッシャーと前面側から引込み移動させる荷崩れ防止体が同期してスムーズに被移載物又は物品ケースをスライド移動させコンベヤ又は載置台に移載することができる。
【0040】
本発明に係る押出し移載装置の前記荷崩れ防止体は、複数の略棒状のプッシャー体である態様とすることもできる。
【0041】
荷崩れ防止体は前記のように略板状体である場合に限定せず、複数の略棒状のプッシャーであっても、被載置物又は物品ケースの前面側を支えるために十分な数及び面積を専有するものであれば、その機能を発揮することができる。略棒状態のプッシャー体は複数でも軽量であり省エネルギー駆動が可能であるため、その動力を節減して略板状態の荷崩れ防止体と同様の機能を発揮することが可能である。
【0042】
本発明に係る押出し移載装置は、前記荷崩れ防止体の下部に敷設された略板状体であって、かご台車前面と前記コンベヤ及び/若しくは前記載置台との間隙部を埋めて被押出し物又は物品ケースの移動載置の際の段差引掛かり不具合を防止するトランスファー体を具備する態様とすることもできる。
【0043】
かご台車から前面側のコンベヤ又は載置台の間に間隙が存在すると、スライド移動して被積載物又は物品ケースが移載する際、その間隙に前面下部が落ち込むことによって引掛かり破損及び移載不具合が発生する可能性がある。本発明に係る押出し移載装置は、略板状体の荷崩れ防止体の前面下部に例えば板状体のトランスファー体を敷設されていることにより、トランスファー体が横板橋掛け状に間隙部を覆うことによりコンベヤ及び/若しくは前記載置台の間隙部を埋めて、被移載物又は物品ケースをスムーズにコンベヤ又は載置台に移載させることができる。
【0044】
被移載物又は物品ケースが移載されるコンベヤ又は載置台は、かご台車の底板及び中間板の高さまで上下移動させることは周知技術の範囲で容易に対応できる。スムースな移載にとって重要なことは、コンベヤ又は載置台と、かご台車の底板又は中間板までの間の間隙を同じ高さに埋めて、移動する物品ケースが隙間に引っ掛かることのないような態様にすることである。本発明に係る押出し移載装置のトランスファー体は、この機能を十分に満たすことができる。
【0045】
前記トランスファー体は、前記ケースを下面から前記コンベヤ及び/若しくは前記載置台に引き込む方向に回転するベルトコンベヤ及び/若しくはローラコンベヤ及び/若しくは回転体及び/若しくは引込みレールであってもよい。
【0046】
前記トランスファー体はかご台車とコンベヤ又は載置台の間隙を埋める橋渡し体であるため、略板状体であってもよいが、被移載物又は物品ケースをコンベヤ又は載置台に引き込む機能を有するベルトコンベヤ及び/若しくはローラコンベヤ及び/若しくは回転体及び/若しくは引込みレールであれば、よりスムーズにコンベヤ及び/若しくは前記載置台の間隙部を埋めて、被移載物又は物品ケースをコンベヤ又は載置台に移載させることができる。
【0047】
本発明に係る押出し移載装置は、前記ケースの移載状況を画像認識し、この認識結果に適応して複数の前記プッシャー及び予備プッシャーの押出し距離を調整し、斜め積載された前記ケースをも前後左右正しい位置(正置)にスライド載置する態様とすることもできる。
【0048】
画像認識装置によって被移載物又は物品ケースのスライド移動及び移載状況を確認することができることにより、被移載物又は物品ケースの予想外のスライド移動又は回転移動又はズレ移動に対しても、認識画像を装置制御機構が認識し修正するための指示のもと、プッシャー及び/若しくは予備プッシャー及び/若しく荷崩れ防止体が動くことにより、被移載物又は物品ケースを正位置に戻すことができる。
【0049】
例えば、斜めに積載された被移載物又は物品ケースは端部を、プッシャー及び/若しくは予備プッシャー及び/若しく荷崩れ防止体によって押すことにより回転スライド移動し、正位置に戻すことができる。
【0050】
本発明に係る押出し移載装置は、前記ケースの移載状況を画像認識し及び/若しくは前記プッシャー先端部接触センサーでケース位置及び回転角度の移載状況を確認することにより、前記スライド移動不良又は載置不良を検出し、複数の前記プッシャーの押出し距離を調整し押出し移載行為をリトライ(再試行)することもできる。
【0051】
また本発明に係る押出し移載装置は、前記ケースの移載状況を画像認識し及び/若しくは前記プッシャー先端部接触センサーでケース位置及び回転角度の移載状況を確認することにより、前記スライド移動不良又は載置不良を検出した際、前記荷崩れ防止体が前記ケースを後方に押し戻し積載位置を前記かご台車上に適正に再設定することもできる。
【0052】
つまり、前記の被移載物又は物品ケースが修正できない状態にまでスライド移動又は回転移動した場合は、一旦プッシャーを引込み、荷崩れ防止体を押出すことによって被移載物又は物品ケースを元のかご台車上に戻し移動させることができる。これにより、かご台車上に戻った被移載物又は物品ケースはもう一度最初からリトライとして移動載置の手段を用いて移載することができる。これも本発明に係る押出し移載装置のリトライ操作となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明に係る押出し移載装置によれば、かご台車に積載された物品及び物品容器を、簡易な押し出し機を用いてコンベヤ上に容易にスライド移動し移載することができる。よって、物流集配拠点における物品の仕分け移載の安全性と作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な押出し移載装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の全体イメージを示した概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の全体イメージを斜め前方から示した概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の荷崩れ防止体のイメージを天面から示した概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の荷崩れ防止体のイメージを斜め前方から示した概念図である。
図5】本発明の一実施形態に係る押出し移載装置のトランスファー体を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0056】
図1は、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の全体イメージを示した概念図である。図1では、荷崩れ防止体の図を割愛している。同図に示すように、かご台車16の後面側は、押出し移載装置基盤13に敷設されたプッシャー11、補助プッシャー12で構成される。かご台車16の前面側は、コンベヤ28、コンベヤ及び載置台位置制御機構26が示されている。かご台車16には、底板18及び中間板19の上に物品ケース29が積載されている。
【0057】
図1に示すように、任意に上下移動できる押出し移載装置基盤13に敷設されたプッシャー11及び補助プッシャー12は略棒状体であり、物品ケース29を後面側から押し出すことができる態様となっている。また、かご台車16の前面側のコンベヤ28は、押し出された物品ケース29が載置される態様となっている。
【0058】
図1に示すように、例えばコンベヤ28は、コンベヤ及び載置台位置制御機構26により、かご台車16の中間板19の高さまで上昇移動し、押し出された物品ケース29を受け取り載置される構造である。図1においては、被載置物は物品ケース29として示されており、底板18の上には横方向に2列、奥行き方向に2列、高さ方向に3段に積載され、中間板19の上には、横方向に2列、奥行き方向に2列、高さ方向に2段に積載されている。後述するが、物品ケース29の大きさサイズは一般的に数種類に限定されており、規定通りに上方向に互いに段積みすることができる構造となっている。また、載置台のひとつとしてコンベヤ28がロールコンベヤとして示されている。
【0059】
図2は、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の全体イメージを斜め前方から示した概念図である。図2においても荷崩れ防止体の図を割愛している。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置のプッシャー11及び補助プッシャー12は、その先端部は略円柱状の可撓性材料好ましくは硬質ウレタンから成り、柔らかく破損しないように前方の物品ケース29の後面を内蔵する押出し棒により押出す構造である。
【0060】
図2に示すように、押出し移載装置基盤13は、装置制御機構15の指示に従い自在に上下移動できる。また、プッシャー11及び補助プッシャー12は、装置制御機構15の指示に従い自在に押出し移載装置基盤13の上を左右に移動可能な構造となっている。プッシャー11及び補助プッシャー12の先端部には、感知センサー22及び/又は吸着盤23が敷設されている。
【0061】
図2に示すように、一般的にかご台車16は、左右側面が側枠25、及び後面が後枠17で囲まれており、各枠の間は略四角形状のメッシュ空間を有する。一般的にかご台車16の大きさサイズ、底板18及び中間板19の高さ、側枠25、後ろ枠17の形状及びメッシュ空間の種類は数種に及ぶが、基本仕様が規定されているため、無制限の種類が存在するわけではない。これらの仕様は予め装置制御機構15に記憶されている。
【0062】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の画像認識装置14は、例えばかご台車16の画像を認識確保し、装置制御機構15によって記憶されているかご台車の仕様のいずれに該当するかを判断し、かご台車16の後枠の仕様データから枠メッシュ内間隙を認識し、プッシャー11又は補助プッシャー12で押し出せる位置を認識決定する。
【0063】
同様に本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の画像認識装置14は、例えばかご台車16上の物品ケース29画像を確保し、装置制御機構15によって記憶されている物品ケースの仕様のいずれに該当するか及び横方向、奥行き方向、高さ方向がそれぞれ何列何段に積載されているかを認識判断し、物品ケース29の背面のうち押すべき位置を認識決定する。
【0064】
装置制御機構15には、各々の物品ケースを後面から押し出すためにバランスのよい位置、押出すために使用するプッシャー又は補助プッシャーの数などを、物品ケースの種類、積載列数、段積み数、積載高さ位置等の種類別に予め構成されたアルゴリズムによって選択し、及び実行指示するプログラムが内臓されている。
【0065】
上記のように本発明の一実施形態に係る押出し移載装置は、かご台車16の後枠メッシュ間及び物品ケース29背面の押し出す最適位置を画像データ及びプログラムにより認識決定することができる。そして、その決定指示に基づき、プッシャー11から押出し棒が押し出され物品ケースを前方に押出し、スライド移動させ、更に前方のコンベヤ28に移載することができる。当然、物品ケース29を受けるコンベヤ28も装置制御機構15によって、高さを最適位置に移動させている。
【0066】
本発明の一実施形態に係る押出し移載装置は、例えば、かご台車の中間板19の上に積載された横2列、奥行き2列、高さ2段の物品ケース29については、まず最初に横右側の2列2段の物品ケースの後面側下段の物品ケースの背面の左右バランスの良い位置を2カ所決定し、2本のプッシャー11をその位置に移動させ、押し出すことによって、同2列2段のうち前面側の1列2段がコンベヤに移載される。その後コンベヤは進行することによってコンベヤ上に空き位置をつくり、同2列2段のうち残った後面側の1列2段が押し出されて移載される。
【0067】
次に上記の残った横左側の2列2段の物品ケースの後面側下段の物品ケースの背面の左右バランスの良い位置を2カ所決定し、2本のプッシャーが移動して、同様の押出し移載を行う。これにより、かご台車の中間板19の上に積載された横2列、奥行き2列、高さ2段の物品ケース29については、押出し移載が全て終了することになる。同様の繰り返しが本発明の一実施形態に係る押出し移載装置による移載の典型例となる。
【0068】
上述の物品ケースの背面の左右バランスの良い位置とはケースを物理的に安定して押し出すことのできる位置であり、例えば2本のプッシャーで押し出す場合は、左右長さ方向の左側から略1/4~1/3の位置及び右側から略1/4~1/3の位置であり、高さ方向については高さ略1/3~1/2の位置であり、一般的に物品を押出す場合に好ましいと考えられる位置であればよい。
【0069】
本発明の一実施形態に係る押出し移載装置は、物品ケース29が3段積み以上の場合や、横左右3列以上の場合又は奥行き3列の場合なども上記と同様の考え方で、順次スライド移動及び移載をすることができる。
【0070】
図1及び図2において示される補助プッシャー12は、押出し用のプッシャー11と同じ仕様であってもよいし、また図のような小型で細型のプッシャーであってもよい。いずれにせよ補助プッシャー12は、押出し移載装置基盤の左右両サイド近傍に設置されて、押出し用のプッシャー11と同様に押出し棒をかご台車16の前方へと押し出す構造を有している。
【0071】
補助プッシャー12の用途を説明する。例えばかご台車上に積載された物品ケース29が前後左右方向において正しく正置されていない場合、その物品ケース29を前方へ押し出した際、物品ケース29が斜めにスライド移動するため、物品ケース29の左又は右の前方コーナー部がかご台車16の側枠25(支柱)に引っ掛り、つかえてしまうことがある。この場合、両サイド側に位置する補助プッシャー12を用いて斜めにつかえてしまった物品ケース29のかご台車の側枠25につかえた側を背後から押出し、物品ケース29を正置に戻すことができる。
【0072】
略四角形状である物品ケース29の4方向コーナー部は略半円形のR(アール)がとられていることに加え、かご台車19の側枠25も円柱(棒)形状であるため、側枠25に引っ掛かりつかえていた物品ケース29は、背後から補助プッシャー12に押し出されることにより、略回転スライド移動をし、引っ掛かりを外し、つかえを解消することができる。
【0073】
上述のプッシャー11及び補助プッシャー12は、図1に示すように円柱棒状態部を前方に押し出すことにより物品ケース29を押出すことができる。よってプッシャー11及び補助プッシャー12の円柱棒状態部の先端部は、被押出し物の破損を回避するため可撓性材質で構成されていることが好ましく、より好ましくは硬質ウレタン樹脂から構成されている。
【0074】
また本発明の一実施形態に係る押出し移載装置のプッシャー11及び補助プッシャー12の先端部には、感知センサー及び/又は吸着盤を敷設することができる。感知センサーは接触センサーであってもよいし非接触センサーであってもよいが、物品ケース29の背面に接触したか否かを感知することによって、物品ケース29のかご台車上の位置及びプッシャーからの距離を本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の装置制御機構15は正確に認知することができる。これにより物品ケース29の押し出すべき距離が確定し、同時にプッシャー11の押し出す寸法が確定できる。
【0075】
同様に、プッシャー11及び補助プッシャー12の先端部に敷設された吸着盤は、物品ケース29に接触した際、物品ケース表面を吸着し、押し出時にプッシャー先端部と物品ケース接触部とが滑り移動するのを防止し、正確かつ確実に物品ケースを押出すことができる。
【0076】
後述するが、物品ケースの荷崩れを防止するために物品ケース29の前面側から接触し支える荷崩れ防止体21の表面にも、前述と同様な機能を果たすため、感知センサー及び/又は吸着盤を敷設することができる。
【0077】
図3は、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の荷崩れ防止体のイメージを天面から示した概略図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の荷崩れ防止体基盤部25は、物品ケース29を積載したかご台車16と物品ケース29が押し出されて移載されるコンベヤ28を挟んで、押出し移載装置基盤13の反対側に位置して構成されている。図3においては押出し移載装置基盤13側の図は割愛している。
【0078】
荷崩れ防止体基盤部は、図3に示すように荷崩れ防止体基盤25と押出し棒状部31を含む荷崩れ防止体21で構成されている。荷崩れ防止体21は、物品ケース29側に対して略平板状構造であり、物品ケース29が押し出された際、物品ケース29の前面側の側面にフィットし荷崩れや倒れを防止して支える機能を有する。押出し移載装置基盤25と同様に床面に対して移動可能な荷崩れ防止体基盤25に荷崩れ防止体21は押出し棒状部31と共に敷設されている。
【0079】
図3の上部に描かれた荷崩れ防止体21は、例えば同図の下部に描かれたように、同図下部の物品ケース29が押出し移載装置の押出しプッシャー11でコンベヤ28側に押し出される際、押出し棒状部31が物品ケース29側に延伸し同時に荷崩れ防止体21が物品ケース29の前面側にいた面状態で接触し荷崩れ及び倒れを防止する。前面側へ、つまりコンベヤ28側に物品ケース29が押し出されるのに従い同期して荷崩れ防止体21は後方(荷崩れ防止体基盤25側)へ引き戻る動作をすることにより、物品ケース29を挟み圧縮破損するようなことはない。
【0080】
本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の押出しプッシャー11及び荷崩れ防止体21の動きは、他の各部と同じように全て装置制御機構15によって適正に制御コントロールされる。
【0081】
図4は、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の荷崩れ防止体のイメージを斜め前方から示した概念図である。同図に示すように、荷崩れ防止体基盤部は物品ケース29を積載したかご台車16及びコンベヤ28の前方に配置される。図4においては、図3と比較して、荷崩れ防止体21は若干小さい平板状態で表現され、荷崩れ防止体基盤25は、二つの構造部に分かれて表現され、押出し棒状部31はカバーで保護されて表現されているが、機能を含めて技術的思想は同一であることには変わりない。
【0082】
図3及び図4に示すように、荷崩れ防止体基盤25及び荷崩れ防止体21は、かご台車16及び押し出される物品ケース29の位置によって前後左右及び上下方向に移動可能な態様で構成されている。また、荷崩れ防止体21及び押出し棒状部31は、荷崩れ防止体基盤25に対して上下方向に任意移動が可能な態様で敷設されている。詳細な移動構造については周知技術で対応可能であるため記載を割愛する。
【0083】
図1乃至図4において示したように、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置の押出しプッシャー11を有する押出し移載装置基盤13と荷崩れ防止体21を有する荷崩れ防止体基盤25は、押出し移載装置の装置制御機構15によって連動し一体化して機能を発揮するように制御コントロールされている。
【0084】
図5は、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置のトランスファー体を示した概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る押出し移載装置のトランスファー体24は、かご台車と物品が移載されるコンベア又は載置台との間隙30に位置し、物品のスライド移動及び移載の際、略橋渡し体としてかご台車の底板18又は中間板19及びコンベヤ又は載置台の底面高さに設定されて、スムーズに物品が移動できるようにする機能を有する。トランスファー体24の形状は特に限定しないが、上面は平面を構成することが好ましいことは言うまでもない。また、トランスファー体24がローラ等の回転体で構成されていてもよい。例えば図5の下側に表したトランスファー体24はローラコンベヤ態様である。
【0085】
トランスファー体24は、荷崩れ防止体基盤25に敷設されており、荷崩れ防止体21と共に装置制御機構15によって制御されて機能発揮する。よって、移載される物品の位置及び高さ、かご台車の底板18又は中間板19の位置及び高さにより適する位置に移動設置される。例えばローラコンベヤに物品が移載される場合は、ローラコンベヤの下部空間を利用して荷崩れ防止体基盤25に敷設された移動可能なアーム状機構部を前後延伸又は上下移動させることによってトランスファー体は任意に位置設定できることは従来技術の範囲で可能である。
【0086】
以上のように本発明の一実施形態に係る移載装置の各機能を記載したが、これらは単に一実施例に過ぎず、各機能を発揮することができる機械的仕様又は技術態様は従来技術で様々に考案することができる。しかし、これらは本発明に係る移載装置の各機能を具現化するための一形態に過ぎず本発明の技術的思想の範囲内のものである。
【0087】
つまり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することは本技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
上述したように、本発明に係る押出し移載機によれば、かご台車に積載された物品及び物品容器を、簡易な押し出し機を用いてコンベヤ上に容易にスライド移動し移載することができる。よって、物流集配拠点における物品の仕分け移載の安全性と作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な押出し移載機が実現される。
【0089】
また、本発明は、物流集配拠点での物品移載に限定されることなく、あらゆる物品の移載の用途に対して、特に製造現場での部品搬送作業に対しても、利用・適用可能である。よって、本願は、物流業の他あらゆる産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0090】
10 押出し移載装置
11 プッシャー
12 補助プッシャー
13 押出し移載装置基盤
14 画像認識装置
15 装置制御機構
16 かご台車
17 後枠
18 底板
19 中間板
20 キャスター
21 荷崩れ防止体
22 感知センサー
23 吸着盤
24 トランスファー体
25 荷崩れ防止体基盤
26 コンベヤ及び載置台位置制御機構
27 載置台
28 コンベヤ
29 物品ケース
30 間隙
31 押出し棒状部
32 アーム状機構部
図1
図2
図3
図4
図5