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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】吊り下げ用フック及びその使用法
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20220506BHJP
   F16B 47/00 20060101ALI20220506BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A47G29/00 E
A47G29/00 C
F16B47/00 V
F16B45/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017245888
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019111019
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517449361
【氏名又は名称】劉 沢凱
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】松井 優真
(72)【発明者】
【氏名】劉 沢凱
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-144829(JP,U)
【文献】実開昭50-149325(JP,U)
【文献】特開平11-009420(JP,A)
【文献】実開昭53-096420(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
F16B 47/00
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み線(2)を境にして折り畳み可能な2つの部分を有する1枚のシートからなる吊り下げ用フック(1,1B)であって、前記2つの部分のうち、第1部分(4,4B)はフック(3,3B)を有し、第2部分(5,5B)はフックを有さないものにおいて、
前記第1部分(4,4B)の裏面が自己粘着面であり、前記第2部分(5,5B)の裏面は非粘着面であることを特徴とする吊り下げ用フック(1,1B)。
【請求項2】
請求項記載の吊り下げ用フック(1B)の使用法であって、
記第1部分(4B)のみを水平面に乗せ、前記第2部分(5B)は水平面の末端から下方に吊り下げることを特徴とする使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバンや手荷物などをテーブルなどから吊り下げるのに用いるフック及びその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
レストランなどでテーブルに着いたとき、カバンや手荷物などの置き場に困ることがある。テーブルの上に余裕があるときや使用しない椅子のあるときにはそこを利用すればよいが、ないときには仕方なく床に直に置かざるを得ないこともある。これは不衛生であり、見た目も悪い。このようなときに使用できる携帯型の簡易な吊り下げ具があると好都合である。
【0003】
吊り下げ具としては吊り下げ用フックが公知である。例えば、次のようなものが知られている。
(従来例1)表側にフック、裏面に粘着剤を有しており、この粘着剤により部屋の壁面などに付着させて使用するもの。
(従来例2)表側にフック、裏面に吸盤を有しており、この吸盤により部屋の壁面などに付着させて使用するもの(例:実開昭61―161413)。
(従来例3)複数の金属リンク機構が旋回可能に本体に取り付けられており、使用時にはこのリンク機構を鎖のように展開させて吊り下げるもの(例:特表2010―500152)。
【0004】
上記従来例1では、これをそのまま携帯用に使用すると、粘着力が強すぎて取り外しが難しかったり、取り外したときに粘着剤でテーブルを汚したり、外すときに粘着面の粘着剤を取れて再使用ができなかったりすることが多かった。
【0005】
上記従来例2では、取り付け対象表面に凹凸があると、吸盤が付着しなかったり、付着してもすぐにはがれたりする問題があった。
【0006】
上記従来例3は金属製で高級感はあるが、取り付け対象表面に付着させるものではないので、何かの拍子に手荷物が外れてテーブルから落下することがあった。また、金属製なので重量があり、バッグに入れたときに他の物を傷つけることがあった。
【0007】
本発明は、上記従来例1のタイプの吊り下げフックを改良したものである。この従来例1の問題に対処するために、自己粘着性樹脂を裏面に有する吊り下げ用フックが知られるようになった。これは、粘着性を有しながら、何度でも取りつけや取り外しができ、取り外した後も取り付け表面に汚れを残さないという特長を有するものである。例えば特開2016―2403参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開昭61―161413
【文献】特表2010―500152
【文献】特開2016―2403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この自己粘着性を有する吊り下げ用フックを使用しつつ、さらに改良して、冒頭に記したような用途に最適な吊り下げ用フック及びその使用法を提供することを目的とする。
【0010】
開発にあたって考慮したのは、吊り下げ用フックは貼り付けと剥離を繰り返すことを前提とした物品であり、貼り付け対象物の表面を傷めないためにも、その粘着力は、適切な範囲の粘着力が求められ、過度な粘着力は不要である、ということである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、折り畳み線を境にして折り畳み可能な2つの部分を有する1枚のシートからなる吊り下げ用フックであって、前記2つの部分のうち、第1部分はフックを有し、第2部分はフックを有さないものにおいて、 前記第1部分の裏面が自己粘着面であり、前記第2部分の裏面は非粘着面であることを特徴とする。
【0012】
本発明はまた前記吊り下げ用フックの使用法であって、下記使用法3であることを特徴とする
【0013】
(使用法1)前記第1部分の裏面を自己粘着面とするとともに、前記第1部分及び第2部分の双方を水平面に乗せる。
(使用法2)前記第2部分の裏面を自己粘着面とするとともに、前記第2部分のみを水平面に乗せ、前記第1部分は水平面の末端から下方に吊り下げる。
(使用法3)前記第1部分の裏面を自己粘着面とするとともに、前記第1部分のみを水平面に乗せ、前記第2部分は水平面の末端から下方に吊り下げる。
(使用法4)前記第1部分及び第2部分の双方を壁などの垂直面に取り付ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吊り下げ用フックは折り畳み線を境にして折り畳み可能な2つの部分を有する1枚のシートからなるので、携帯時に粘着面を内側にして折り畳んでおけば粘着面が汚れることはない。
【0015】
また、前記第1部分及び第2部分のいずれかの裏面を非粘着面としているので、吊り下げ用フックを引きはがすときにその非粘着面側を取っ手とすることができる。その結果、さまざまな使用の仕方が可能となった。
【0016】
さらに、前記使用法1~3の発明では、粘着面と、手荷物の重力方向が90°の角度となることが多く、手荷物をフックにかけたときに、粘着面を剥離させようとする力が、直角方向に分散される。その結果、粘着力は適度に弱く設定することができ、貼り付け、剥離を繰り返す本物品の使用目的に沿った性能を持たすことができた。
【0017】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明実施例1に係る吊り下げ用フックの使用状態を示す斜視図である。
図2】同側面図である。
図3】実施例1に係る吊り下げ用フックの(a)底面図、(b)同右側面図、(c)同左側面図、(d)同平面図、(e)側面図である。
図4】本発明実施例2に係る吊り下げ用フックの使用状態を示す斜視図である。
図5】同側面図である。
図6】実施例2に係る吊り下げ用フックの(a)底面図、(b)同右側面図、(c)同左側面図、(d)同平面図、(e)側面図である。
図7】本発明実施例3に係る吊り下げ用フックの使用状態を示す斜視図である。
図8】同側面図である。
図9】実施例3に係る吊り下げ用フックの(a)底面図、(b)同右側面図、(c)同左側面図、(d)同平面図、(e)側面図である。
【実施例1】
【0019】
図1~3に示す実施例1の吊り下げ用フック1は、折り畳み線2を境にして折り畳み可能な2つの部分からなる1枚のシートを有する。表側にフック3が取り付けられているのが第1部分4であり、フック3のない方が第2部分5である。フック3の下部はフック基台31により保護強化されている。
【0020】
図2図3に示すように、第1部分4の裏面のみに自己粘着面41が設けられており、第2部分5の裏面は自己粘着面とはなっていない。第1部分4の裏面と第2部分5の裏面を折り畳んだときには、第2部分裏面の自己粘着性により両者は互いに付着する。不使用時は、この折り畳んだ状態で吊り下げ用フック1を携帯するので、剥離シートがなくても粘着面が汚れることはない。
【0021】
本実施例において第2部分5の裏面を自己粘着面にしていない理由は、もしそうすると粘着力が強くなりすぎていったん互いに付着させると剥がせなくなる場合があること、第2部分5は引きはがしのときの取っ手として使うのが好ましいことである。
【0022】
自己粘着面を構成する自己粘着性樹脂としては、ポリオレフィンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、シリコン樹脂、ブチルゴム、軟質ポリ塩化ビニル、フッ素系樹脂等が挙げられる。このような自己粘着性樹脂は、ゴミ等が付着して自己粘着性が落ちたときは、水洗することにより自己粘着性を簡単に回復することができる利点がある。
【0023】
自己粘着面を除けば、それ以外の吊り下げフック部材1の素材については、硬質樹脂、軟質樹脂、熱可塑性エラストマー等どのような樹脂でも用いることができ、特に限定されるものではない。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA樹脂)、ポリエステル樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0024】
この吊り下げ用フックの使用法は、図1図2に示すように、第1部分4をテーブルT際に置くようにして、第1部分4・第2部分5ともにテーブルTの上に乗せる。第1部分4の裏面をテーブルTにしっかりと付着させるが、第2部分5はテーブルTに付着しない。
【0025】
この状態で手提げかばんKの取っ手Hをフック3にかけると、手提げかばんKはテーブルTから吊り下げられる。引きはがすときには、第2部分5を指で掴んでめくるように第1部分4をテーブルTから外せばよい。前記したように第2部分5の裏面は付着性を有しないので、遊端側はテーブルTから少し浮かび上がっており、簡単に指でつまむことができる。
【実施例2】
【0026】
図1~3に示す実施例2の吊り下げ用フック1Aも、実施例1のものとよく似ている。相違点を列挙すれば次のとおりである。
【0027】
(1)自己粘着面は第1部分(表側にフック3Aを有する側)4Aでなく、第2部分5Aの裏面のみに設けられている。
【0028】
(2)第2部分5AのみがテーブルTに付着され、第1部分4AはテーブルTから垂れ下がっている。
【0029】
(3)自己粘着面を有する第2部分5Aにおいて、粘着面は第2部分5Aの裏側全体ではなく、テーブル側端部に非粘着面51Aが設けられている。
【0030】
この吊り下げ用フックの使用法は、図4図5に示すように、第2部分5AのみをテーブルT際に付着させる。第1部分4Aはテーブルから垂れ下がる。
【0031】
この状態で手提げかばんKの取っ手Hをフック3Aにかけると、手提げかばんKはテーブルTから吊り下げられる。引きはがすときには、手提げかばんKを取り除き、第1部分4Aを指で掴んでめくるように第2部分5をテーブルから外せばよい。第1部分の裏面は付着性を有しておらず、遊端側はテーブル側面に付着していないので、簡単に指でつまむことができる。
【実施例3】
【0032】
図7~9に示す実施例3の吊り下げ用フック1Bは、折り畳み線2Bを境にして折り畳み可能な2つの部分からなる1枚のシートを有する。実施例1及び実施例2と比較すると次のような相違がある。
【0033】
(1)自己粘着面は第1部分(表側にフック3Bが取り付けられている側)4Bのみに設けられ、第2部分5Bの裏面は自己粘着面を有しない。
【0034】
(2)第1部分4BのみがテーブルTに付着され、第2部分5BはテーブルTから垂れ下がっている。
【0035】
この状態で手提げかばんKの取っ手Hをフック3Bにかけると、手提げかばんKはテーブルTから吊り下げられる。引きはがすときには、手提げかばんKを取り除き、第2部分5Bを指で掴んでめくるように第1部分4Bをテーブルから外せばよい。第2部分5Bの裏面は付着性を有しておらず、遊端側はテーブル側面に付着していないので、簡単に指でつまむことができる。
【実施例4】
【0036】
上記実施例1~3の吊り下げフックは、テーブルなどに対して使用することを前提としたものである。しかし、これらの吊り下げフックは必要に応じて、壁などの垂直面に対して使用することができるのはいうまでもない。その場合、第1部分と第2部分は双方ともに垂直面に設けられることになる。
【0037】
実施例1の形状の吊り下げフックを使用した場合は、テーブルTを90度傾けて垂直面としたものを想像すればよい。実施例2、3の形状の吊り下げフックを使用した場合は、吊り下げフックは折り畳み線で90度曲がることなく、一直線になる。
【符号の説明】
【0038】
1,1A,1B 吊り下げ用フック
2,2A,2B 折り畳み線
3,3A,3B フック
31 フック基台
4,4A,4B 第1部分
41 自己粘着面
5,5A,5B 第2部分
51A 非粘着面
T テーブル
K 手提げかばん
H かばんの取っ手

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9