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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20220506BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20220506BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20220506BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220506BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B65H5/00 A
B65H29/52
B41J15/04
B41J29/00 S
B41J2/32 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017249119
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019112209
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 優和
(72)【発明者】
【氏名】向島 克敏
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-274685(JP,A)
【文献】特開2001-100535(JP,A)
【文献】特開2004-213952(JP,A)
【文献】特開2005-335902(JP,A)
【文献】特開2016-099426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/04
B65H 5/08- 5/20
B65H 5/24- 5/38
B65H 29/52
B41J 2/32
B41J 15/00-15/24
B41J 29/00-29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送路と、
前記搬送路に搬送された前記用紙に接触して電荷を除電する、前記搬送路に一部が突出して設けられると共に、前記用紙の幅方向に先端部が互いに離間して複数設けられる除電手段と、
前記用紙の搬送方向において、前記除電手段の上流または下流の少なくとも一方に、前記除電手段と間隙を有して配置される対向部材と、を備え、
前記除電手段は、前記用紙の幅方向に延在して、前記先端部を支持する支持部を有し、
前記支持部が固定される取付部材を有し、
前記先端部は、前記用紙に接触して、前記間隙で撓み可能であり、
前記搬送路を挟んで前記間隙に対向して設けられる、前記用紙の搬送をガイドするガイド部材と、
前記除電手段の互いに離間する前記先端部間に、前記用紙の幅方向において前記除電手段に接触しないように設けられる、前記間隙に前記用紙が入ることを規制する少なくとも1つの規制部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記取付部材に一体に形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取付部材は、
前記搬送路の上側に設けられる、前記搬送方向と反対方向に延在する上側ガイドと、
前記搬送路の下側に設けられる、前記搬送方向と反対方向に延在する下側ガイドと、を備え、
前記上側ガイドおよび前記下側ガイドは、前記取付部材と一体に成形される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記規制部の下面は、前記上側ガイドの下面と、略面一である
ことを特徴とする、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記除電手段は、
前記用紙と接触する除電部と、
前記除電部を支持する、導電性があり、且つ、柔軟性がある、支持部と、を備え、
前記取付部材は、導電性がある前記対向部材に向けて付勢力を有する付勢部を備え、
前記支持部の一部は、前記付勢部に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項1からの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取付部材は、樹脂製であり、
前記付勢部は、
弾性を有する弾性部と、
前記弾性部の先端に、前記対向部材に向けて突出する凸部と、を備える
ことを特徴とする、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記付勢部は、前記幅方向において、前記支持部の端部に設けられる
ことを特徴とする、請求項またはに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、搬送路に搬送された用紙を除電する除電手段(例えば、除電ブラシ)を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置は、除電ブラシと、これを固定する基板とから構成される除電部材を開示する。基板は、板状で導電性の部材であり、その長手方向が、搬送される用紙の幅方向に向けて配置される。さらに、基板は、搬送方向にU字状に曲げられ、互いに対向する板状の部分で、除電ブラシを挟んで固定する。基板は、用紙の搬送方向の上流側と下流側に設けられる複数の支持部によって、基板の厚み方向から挟んで画像形成装置内に固定される。用紙の搬送方向の下流側の支持部は、基板を挟む部分が基板に接し、除電ブラシと対向する部分が除電ブラシから搬送方向に離間する。このような構成により、除電ブラシが、搬送される用紙に接触して用紙の除電をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-315401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、用紙の先端が、除電ブラシと用紙の搬送方向の下流側の支持部との間に入り込んで紙詰まりが生じる、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、用紙の先端が搬送路の開口に入り込むことを防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、用紙を搬送する搬送路と、前記搬送路に搬送された前記用紙に接触して電荷を除電する、前記搬送路に一部が突出して設けられると共に、前記用紙の幅方向に先端部が互いに離間して複数設けられる除電手段と、前記用紙の搬送方向において、前記除電手段の上流または下流の少なくとも一方に、前記除電手段と間隙を有して配置される対向部材と、を備え、前記除電手段は、前記用紙に接触して、前記間隙で撓み可能であり、前記除電手段の先端部間に設けられる、前記間隙に前記用紙が入ることを規制する少なくとも1つの規制部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明の画像形成装置は、用紙の先端が搬送路の開口に入り込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の画像形成装置のカバーが閉じた状態を示す斜視図である。
図2】実施例1の画像形成装置のカバーが開いた状態を示す斜視図である。
図3】実施例1の画像形成装置の構成を示す断面図である。
図4】実施例1のカッタ装置の構成を示す分解斜視図である。
図5】実施例1のカッタ装置を示す断面図である。
図6】実施例1のリアカバーの構成を示す斜視図であり、除電ブラシが取り付けられた状態を示す。
図7】実施例1のリアカバーの突出部を拡大して示す断面図である。
図8】実施例1のリアカバーの付勢部の構成を示す構成図である。
図9】実施例1のリアカバーの付勢部を拡大して示す断面図である。
図10】実施例2の画像形成装置の構成を示す断面図である。
図11】実施例2の突出部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示による画像形成装置を実現する実施形態を、図面に示す実施例1~実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
実施例1における画像形成装置は、サーマルプリンタに適用される。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、実施例1の画像形成装置のカバーが閉じた状態を示す斜視図である。図2は、実施例1の画像形成装置のカバーが開いた状態を示す斜視図である。図3は、実施例1の画像形成装置の構成を示す断面図である。以下、図1図3に基づいて、実施例1の画像形成装置の構成を説明する。
【0013】
画像形成装置1は、図1に示すように、本体10と、本体に対して開閉可能なカバー20と、を備える。
【0014】
本体10は、図2及び図3に示すように、ロール紙11を保持するロール紙保持部12と、ロール紙から供給された用紙を支持するプラテンローラ13と、用紙を切断するカッタ装置50と、を備える。
【0015】
ロール紙保持部12は、ロール紙11を回転可能に保持する。ロール紙11は、感熱紙がロール状に巻回された状態の連続紙であり、用紙を搬送路Rに供給する。
【0016】
プラテンローラ13は、用紙の搬送方向Dで、ロール紙11の下流側に配置される。プラテンローラ13は、画像形成動作に際して、ロール紙11から供給された用紙を裏面側から支持する。
【0017】
カッタ装置50は、用紙の搬送方向Dで、プラテンローラ13の下流側に配置される。
【0018】
カバー20は、サーマルヘッドユニット21を備える。サーマルヘッドユニット21は、カバー20が閉じた状態において、プラテンローラ13と対向して配置される。サーマルヘッドユニット21は、プラテンローラ13に当接する方向に付勢され、ニップNを形成する。サーマルヘッドユニット21は、ニップNにおいて、用紙に感熱印刷を行う。
【0019】
このように構成された画像形成装置1は、ロール紙11から供給された用紙が、ニップNに搬送される。ニップNに搬送された用紙は、サーマルヘッドユニット21によって、感熱印刷が行われる。感熱印刷が行われた用紙は、カッタ装置50によって切断され、排出口59から排出される。
【0020】
[カッタ装置の構成]
図4は、実施例1のカッタ装置の構成を示す分解斜視図である。図5は、実施例1のカッタ装置を示す断面図である。以下、図4および図5に基づいて、実施例1のカッタ装置の構成を説明する。
【0021】
カッタ装置50は、図4および図5に示すように、除電手段としての除電ブラシ51と、除電ブラシ51が取り付けられる取付部材としてのリアカバー60と、固定刃56aと可動刃56bが取り付けられるカッタフレーム55と、カッタフレーム55に取り付けられるカッタモータ57と、フロントカバー58と、を備える。
【0022】
除電ブラシ51は、除電部としてのブラシ部52と、ブラシ部52を支持する支持部としての導電シート53と、を有する。ブラシ部52は、例えばSUS材で構成され、用紙の搬送方向Dに直交する用紙の幅方向Eに、等間隔に配置された可とう性のある複数の毛束52aを有する。各毛束52aは、所定の毛束密度に設定されている。なお、毛束52aは、除電ブラシ51の先端部を構成する。
【0023】
導電シート53は、幅方向Eに延在して帯状に形成される。導電シート53は、柔軟性があり、且つ、導電性がある、例えばアルミニウム製のシート(アルミテープと称される)を使用することができる。導電シート53の片面には、毛束52aの一端が、導電性の両面テープによって貼り付けられる。
【0024】
毛束52aが貼り付けられた導電シート53は、両面テープにより、リアカバー60の後述する段部64に貼り付けられる。除電ブラシ51は、ブラシ部52の一部が搬送路Rに突出するように、段部64に貼り付けられる。ブラシ部52は、搬送路Rに搬送された用紙に接触して、用紙に帯電した電荷を除電する。
【0025】
リアカバー60は、樹脂成形により一体に形成される。リアカバー60の構成については、後述する。
【0026】
カッタフレーム55は、鉄、アルミニウム、ステンレス等の導電性のある板金を加工して形成される。カッタフレーム55は、対向部材としての刃取付部55aと、モータ収容部55bとから構成される。
【0027】
刃取付部55aは、板状に形成され、幅方向Eに延在する。刃取付部55aは、搬送方向Dにおいて、リアカバー60に取り付けられた除電ブラシ51の下流に、除電ブラシ51に対向して設けられる。
【0028】
刃取付部55aの上部には、固定刃56aが取り付けられる。刃取付部55aの下部には、可動刃56bが取り付けられる。固定刃56aは、可動刃56bと対向して配置される。可動刃56bは、ギアを介してカッタモータ57に接続され、上下に動作するようになっている。可動刃56bが可動することで、カッタ装置50に搬送された用紙が切断される。
【0029】
モータ収容部55bは、刃取付部55aの下側で、刃取付部55aの一部を覆うように、箱状に形成され、内部にカッタモータ57を収容する。カッタフレーム55には、アース線(図示せず)が接続され、アース線を介して接地される。
【0030】
フロントカバー58は、内部に、カッタフレーム55と、カッタモータ57と、除電ブラシ51と、を収容する収容部58aを備える。また、フロントカバー58は、用紙を排出する排出口59を備える。
【0031】
フロントカバー58の収容部58aに、除電ブラシ51と、カッタフレーム55と、カッタモータ57と、を収容した状態で、リアカバー60がフロントカバー58に蓋をするように取り付けられる。そして、フロントカバー58の外側から、2つのビス91が取り付けられ、リアカバー60の外側から1つのビス91が取り付けられることで、カッタ装置50が組み立てられる。
【0032】
[リアカバーの構成]
図6は、実施例1のリアカバーの構成を示す斜視図であり、除電ブラシ51が取り付けられた状態を示す。図7は、実施例1のリアカバーの突出部を拡大して示す断面図である。図8は、実施例1のリアカバーの付勢部を示す構成図である。図9は、実施例1のリアカバーの付勢部を拡大して示す断面図である。以下、図5図9に基づいて、実施例1のリアカバーの構成を説明する。
【0033】
リアカバー60は、図5に示すように、樹脂成形により一体に形成され、リアカバー本体61と、搬送路Rを上下に挟んで、搬送される用紙をカッタ装置50内に案内する上側ガイド62および下側ガイド63と、除電ブラシ51が取り付けられる段部64と、段部64に設けられた規制部としての突出部65と、刃取付部55aに押し付ける方向に付勢する付勢部66と、を備える。
【0034】
上側ガイド62は、図7に示すように、搬送路Rの上側で、搬送方向Dと反対方向に延在して設けられる。上側ガイド62の下面は、搬送方向Dに略平行な、第1下面62aと、搬送方向Dに対して傾斜した、第2下面62bと、で構成される。
【0035】
下側ガイド63は、搬送路Rの下側に、搬送方向Dと反対方向に延在して設けられる。下側ガイド63の上面は、搬送方向Dに略平行な、第1上面63aと、搬送方向Dに対して傾斜した、第2下面63bと、で構成される。下側ガイド63は、搬送方向Dと反対方向に、上側ガイド62より長く延在する。
【0036】
リアカバー60は、図6および図7に示すように、リアカバー本体61から、搬送方向Dと反対方向に凹んだ段部64を有する。段部64には、除電ブラシ51が取り付けられる。すなわち、除電ブラシ51は、搬送方向Dで、除電ブラシ51の上流に配置される段部64に取り付けられる。
【0037】
段部64の下端は、搬送路Rに臨むように形成される。これにより、搬送方向Dで、カッタフレーム55の刃取付部55aと、段部64に取り付けられた除電ブラシ51との間に、間隙が形成される。この間隙は、搬送路Rに向かって開口するように形成される。除電ブラシ51は、搬送路Rに搬送された用紙に押され、用紙に接触した状態で、この間隙で撓む。
【0038】
リアカバー60は、段部64の下端から、搬送方向Dに、刃取付部55aに向けて突出する突出部65を有する。突出部65は、幅方向Eに、等間隔に複数設けられる。突出部65の下面65aは、用紙の搬送方向Dに略平行であり、第1下面62aと、同一面となる。突出部65は、刃取付部55aに当接させても良い。突出部65は、刃取付部55aと除電ブラシ51との間の間隙に用紙が入ることを規制する。
【0039】
突出部65は、除電ブラシ51の毛束52aが設けられる間隔と同じ間隔で設けられ、毛束52aと接触しないようになっている。なお、突出部65と毛束52aは、等間隔としなくても良く、突出部65が、毛束52aと接触しなければ良い。
【0040】
除電ブラシ51が取り付けられた段部64の面64aと、上側ガイド62の第1下面62aとがなす角部には、角が丸められて面取りされた隅R部64bが形成される。すなわち、第1下面62aは、幅方向Eにおいて突出部65がある部分では、突出部65の下面65aに接続され、幅方向Eにおいて突出部65がない部分では、隅R部64bに接続される。なお、除電ブラシ51が取り付けられた段部64の面64aと、上側ガイド62の第1下面62aとがなす角部は、平面状に面取りされても良い。
【0041】
除電ブラシ51は、両面テープにより、段部64と後述する付勢部66とに貼り付けられ、除電ブラシ51の毛束52aが、搬送路Rに飛び出すようになっている。
【0042】
付勢部66は、図8に示すように、リアカバー60の、幅方向Eの一方端に設けられる。付勢部66は、弾性を有する弾性部67と、弾性部67の先端に設けられた凸部68とを備える。
【0043】
弾性部67は、リアカバー60の幅方向Eの一方端に設けられた開口部69に設けられる。開口部69は、リアカバー本体61と段部64とに跨るように形成される。開口部69は、矩形状に形成され、開口部の天面69aに、弾性部67の基端が接続される。開口部69の側面69bおよび底面69cには、付勢部66は接続されず、付勢部66と開口部69の側面69bおよび底面69cとの間にスリットが形成される。
【0044】
凸部68は、弾性部67の先端から、搬送方向Dに、刃取付部55aに向けて突出する。凸部68は、刃取付部55aに当接するようになっている。なお、凸部68は、刃取付部55aに干渉するように設計しても良い。
【0045】
このように構成されたリアカバー60に、除電ブラシ51を取り付ける。まず、作業者は、図6に示すように、除電ブラシ51の導電シート53の端部を、付勢部66の凸部68に貼り付ける。次いで、作業者は、導電シート53を段部64に貼り付ける。なお、弾性部67は導電シート53を貼り付けるための平面を有していても良い。
【0046】
弾性部67に貼り付けられた導電シート53が、付勢部66によって、刃取付部55aに向かって付勢され、導電シート53は、刃取付部55aと常時に接触した状態となる。
【0047】
実施例1の画像形成装置の作用を説明する。
実施例1の画像形成装置1は、用紙を搬送する搬送路Rと、搬送路Rに搬送された用紙に接触して電荷を除電する、搬送路Rに一部が突出して設けられると共に、用紙の幅方向Eに先端部(毛束52a)が互いに離間して複数設けられる除電手段(除電ブラシ51)と、用紙の搬送方向Dにおいて、除電手段(除電ブラシ51)の上流または下流の少なくとも一方に、除電手段(除電ブラシ51)と間隙を有して配置される対向部材(刃取付部55a)と、を備え、除電手段(除電ブラシ51)は、用紙に接触して、間隙で撓み可能であり、除電手段(除電ブラシ51)の先端部(毛束52a)間に設けられる、間隙に用紙が入ることを規制する少なくとも1つの規制部を備える(図7)。
【0048】
対向部材(刃取付部55a)が、除電手段(除電ブラシ51)と間隙を有して配置されることで、除電手段(除電ブラシ51)が搬送される用紙に押されたとき、除電手段(除電ブラシ51)の先端部(毛束52a)は、撓んで用紙に接触する。そのため、除電手段(除電ブラシ51)を用紙に確実に接触させることができ、用紙に帯電した電荷の除電の信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、除電手段(除電ブラシ51)と対向部材(刃取付部55a)との間隙に用紙が入ることを規制する規制部(突出部65)を備えることで、用紙が間隙に入り込まないようにすることができる。そのため、紙詰まりが発生することを防止することができる。
【0050】
ところで、搬送路を高くすることで、除電手段と対向部材との間に間隙を有しなくても、除電ブラシを搬送路内で撓ませることができる。その理由は、搬送路内に延びる毛束の長さが長くなり、毛束が撓みやすくなるためである。しかし、搬送路を高くしてしまうと、搬送路内で用紙の先端が丸まり、用紙が排出口から排出されない、という問題がある。さらに、搬送路内で丸まった用紙を排出するために、排出口の高さを高くすると、この排出口にユーザが指を入れてしまう、という問題もある。実施例1では、除電手段と対向部材との間隙に用紙が入ることを規制する規制部を備えることで、このような問題を解決する。
【0051】
実施例1では、除電手段(除電ブラシ51)は、搬送方向Dで、除電手段(除電ブラシ51)の上流または下流に配置される取付部材(リアカバー60)に取り付けられ、規制部(突出部65)は、取付部材(リアカバー60)から対向部材(刃取付部55a)に向けて突出する突出部である(図7)。
【0052】
これにより、別部品を設けることなく、規制部(突出部65)を取付部材(リアカバー60)に形成することができる。そのため、部品点数を削減することができる。
【0053】
実施例1では、規制部(突出部65)は、除電手段(除電ブラシ51)の先端部(毛束52a)に接触しない位置に設ける(図6)。
【0054】
これにより、除電手段(除電ブラシ51)の毛束52aは、規制部(突出部65)を避けるように、離間して配置される。そのため、除電手段(除電ブラシ51)を規制部(突出部65)に干渉させない状態で、除電手段(除電ブラシ51)を取付部材(リアカバー60)に容易に取り付けることができる。
【0055】
実施例1では、除電手段(除電ブラシ51)の先端部(毛束52a)は、幅方向Eに等間隔で配置され、規制部(突出部65)は、幅方向Eに等間隔で配置される(図6)。
【0056】
これにより、様々なサイズの用紙が間隙に入り込まないようにする。また、用紙がよじれてしまった場合にも、よじれた用紙が間隙に入り込まないようにする。そのため、様々な用紙に対して、紙詰まりが発生することを防止することができる。
【0057】
実施例1では、取付部材(リアカバー60)は、搬送路Rの上側に設けられる、搬送方向Dと反対方向に延在する上側ガイド(上側ガイド62)と、搬送路Rの下側に設けられる、搬送方向Dと反対方向に延在する下側ガイド(下側ガイド63)と、を備え、上側ガイド(上側ガイド62)および下側ガイド(下側ガイド63)は、取付部材(リアカバー60)と一体に成形される(図5)。
【0058】
これにより、別部品を設けることなく、上側ガイド(上側ガイド62)および下側ガイド(下側ガイド63)を取付部材(リアカバー60)に形成することができる。そのため、部品点数を削減することができる。
【0059】
実施例1では、突出部65の下面は、上側ガイド(上側ガイド62)の下面と、略面一である(図7)。
【0060】
これにより、搬送される用紙が、少しでも除電手段(除電ブラシ51)と対向部材(刃取付部55a)との間隙に入り込むことを防止する。そのため、紙詰まりが発生することをより確実に防止することができる。
【0061】
実施例1では、除電手段(除電ブラシ51)が取り付けられた取付部材(リアカバー60)の面と、上側ガイド(上側ガイド62)の下面と、がなす角部が面取りされる(図7)。
【0062】
これにより、用紙を搬送方向Dと逆の方向に逆走させたとき、除電手段(除電ブラシ51)を搬送方向Dとは逆の方向に大きく撓ませることができる。そのため、除電手段(除電ブラシ51)が用紙の逆走を極力阻害しないようにすることができる。
【0063】
ところで、従来の除電ブラシを接地する接地構造では、除電ブラシと接続する部品として、導電性の金属片と、この金属片を、除電ブラシに接触させた状態で除電ブラシ側に押圧する金属製の押圧部材と、を用いて構成されたものがある。この押圧部材は、さらに、アース線によって接地された金属ブラケットなどの金属部品に接続される。このように、除電ブラシが金属片と押圧部材とを介して接地された金属部品に接続される構成では、除電ブラシを接地するために、多くの接続部品を必要とする、という問題がある。
【0064】
これに対し、実施例1では、除電手段(除電ブラシ51)は、用紙と接触する除電部(ブラシ部52)と、除電部(ブラシ部52)を支持する、導電性があり、且つ、柔軟性がある、支持部(導電シート53)と、を備え、取付部材(リアカバー60)は、導電性がある対向部材(刃取付部55a)に向けて付勢力を有する付勢部66を備え、支持部(導電シート53)の一部は、付勢部66に取り付けられる(図9)。
【0065】
これにより、除電手段(除電ブラシ51)の支持部(導電シート53)を、付勢部66によって、導電性の金属材である対向部材(刃取付部55a)に接触させることができる。そのため、少ない部品で、かつ、簡易な構成で、用紙の除電によって除電手段(除電ブラシ51)が帯びた電荷を、対向部材(刃取付部55a)に逃がすことができる。
【0066】
実施例1では、取付部材(リアカバー60)は、樹脂製であり、付勢部66は、弾性を有する弾性部67と、弾性部67の先端に、対向部材(刃取付部55a)に向けて突出する凸部68と、を備える(図9)。
【0067】
これにより、付勢部66を樹脂成型により容易に形成することができる。そのため、別部品を設けることなく、付勢部66を取付部材(リアカバー60)に形成することができ、部品点数を削減することができる。
【0068】
実施例1では、付勢部66は、幅方向Eにおいて、支持部(導電シート53)の端部に設けられる(図6)。
【0069】
これにより、支持部(導電シート53)の一端を付勢部66に取り付けることができる。そのため、付勢部66の付勢力を活かすことができる。この点、付勢部が、例えば支持部の中央部に設けられた場合、両面テープ等で段部に貼り付けられた導電シートが、付勢部を、その両側から引っ込んだ状態に押さえ付けてしまい、付勢部の付勢力が作用しなくなる、という問題がある。
【実施例2】
【0070】
まず、構成を説明する。
図10は、実施例2の画像形成装置の構成を示す断面図である。図11は、実施例2の突出部を拡大して示す断面図である。以下、図10および図11に基づいて、実施例2の画像形成装置の構成を説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0071】
実施例2の画像形成装置101は、主にカッタ装置を備えない点で、実施例1の画像形成装置と相違する。
【0072】
サーマルヘッドユニット21は、図10に示すように、印刷ヘッドなど各種部品が取り付けられるアッパフレーム160を備える。アッパフレーム160は、樹脂部品であり、図11に示すように、対向部材としてのカバー120の前壁120aに対向して配置される取付部材としてのフレーム壁160aを有する。
【0073】
フレーム壁160aの下端は、搬送路Rに臨むように形成される。搬送方向Dで、前壁120aと、フレーム壁160aに後述するグランドプレート180を介して取り付けられた除電ブラシ51との間に、間隙が形成される。この間隙は、搬送路Rに向かって開口するように形成される。除電ブラシ51は、搬送路Rに搬送された用紙に押され、用紙に接触した状態で、この間隙で撓む。
【0074】
アッパフレーム160は、フレーム壁160aの下端から、搬送方向Dに、前壁120aに向けて突出する規制部としての突出部165を有する。突出部165は、実施例1に示した幅方向Eに、等間隔に複数設けられる。突出部165の下面165aは、用紙の搬送方向Dに略平行であり、フレーム壁160aの下面162aと、同一面となる。突出部165は、前壁120aに当接させても良い。
【0075】
突出部165は、除電ブラシ51の毛束52aが設けられる間隔と同じ間隔で幅方向Eに設けられ、毛束52aと接触しないようになっている。なお、突出部165と毛束52aは、等間隔に設けられなくても良く、突出部165が、毛束52aと接触しなければ良い。
【0076】
除電ブラシ51が取り付けられるフレーム壁160aの面と、フレーム壁160aの下面162aとがなす角部には、角が丸められて面取りされた隅R部164bが形成される。すなわち、フレーム壁160aの下面162aは、幅方向Eで突出部165がある部分では、突出部165の下面165aに接続され、幅方向Eで突出部165がない部分では、隅R部164bに接続される。なお、除電ブラシ51が取り付けられるフレーム壁160aの面と、フレーム壁160aの下面162aとがなす角部は、平面状に面取りされても良い。
【0077】
カバー120の外表面とカバー120の搬送路Rに面する下面は、排出口159の上側で角部を成している。同様に、ロアーケース110の外表面とロアーケース110の搬送路Rに面する上面は、排出口159の下側で角部を成している。ユーザは、排出口159から排出された用紙を排出口159の上側または下側の角部のいずれかに押し当てて、切断することができる。
【0078】
アッパフレーム160には、除電ブラシ51が貼り付けられるグランドプレート180と、グランドプレートに接触する弾性体であるグランドスプリング181と、ヘッドを支持するヘッドブラケット195などが取り付けられる。
【0079】
グランドプレート180は、導電性の金属で、プレート状に形成される。グランドプレート180には、除電ブラシ51が、導電性の両面テープによって貼り付けられる。グランドプレート180に貼り付けられた除電ブラシ51は、ブラシ部52の一部が搬送路Rに突出するように、グランドプレート180に貼り付けられる。ブラシ部52は、搬送路Rに搬送された用紙に接触して、用紙に帯電した電荷を除電する。グランドプレート180は、ビス192によって、アッパフレーム160に取り付けられる。
【0080】
アッパフレーム160は、グランドスプリング181を収容する収容部161を有する。グランドスプリング181は、導電性で弾性を有する金属で、線状に形成される。グランドスプリング181は、一方端がグランドプレート180に接触し、搬送方向と反対方向に線状に延びる他方端がヘッドブラケット195に接触する。ヘッドブラケット195は、導電性のある金属で形成される。ヘッドブラケット195は、アース線(図示せず)に接続されて接地される。
【0081】
このように、本発明は、カッタ装置を有しない構成にも適用でき、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0082】
以上、本開示の画像形成装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、各実施例の組み合わせ、設計の変更や追加等は許容される。
【0083】
実施例1および実施例2では、突出部65,165を、搬送方向Dにおいて、除電ブラシ51より上流側に設けられた取付部材(リアカバー60,フレーム壁160a)に設ける例を示した。しかし、突出部としては、搬送方向Dにおいて、除電ブラシ51より下流側に設けられた対向部材に設けても良い。
【0084】
さらに、複数の突出部65,165を、幅方向Eに連結部材で連結してユニット化し、取付部材や対向部材とは別体の部品として形成しても良い。この場合は、ユニット化された複数の突出部を、取付部材や対向部材の少なくともいずれかに固定する。
【0085】
実施例1および実施例2では、突出部65,165を、幅方向Eに複数設ける例を示した。しかし、突出部としては、幅方向Eに少なくとも1つ設けても良い。少なくとも、突出部65,165を設けた部分では、紙詰まりの発生を防止する効果が得られる。突出部65,165は、紙詰まりが発生しやすい位置や、紙詰まりの頻度などに応じて、必要な個数だけ設けることができる。
【0086】
実施例1および実施例2では、搬送方向Dにおいて、除電手段の下流に、除電手段と間隙を有して配置される対向部材を設ける例を示した。しかし、搬送方向Dにおいて、除電手段の上流に、除電手段と間隙を有して配置される対向部材を設けても良いし、搬送方向Dにおいて、除電手段の上流および下流に、除電手段と間隙を有して配置される対向部材を設けても良い。
【0087】
具体的には、例えば、実施例2の場合では、前壁120aの搬送方向Dの上流側壁面に、除電ブラシ51が貼り付けられた導電シート53を直接貼り付けても良い。この場合、前壁120aは、搬送方向Dにおいて、除電ブラシ51の下流に配置される取付部材として構成される。また、前壁120aは対向部材でもあり、前壁120aの導電シート53の貼り付け面と、前壁120aの搬送路Rに面する下面とがなす角部に、大きな隅R部を形成し、毛束52aと隅R部との間に間隙を形成する。毛束52aは、毛束52aと隅R部との間の間隙によって、搬送方向Dに十分に変形することができる。この構成の場合も、突出部165を、前壁120aまたはフレーム壁160aのいずれかに設けることができる。
【0088】
また、この構成において、搬送方向Dにおいて、除電ブラシ51の上流側に配置されるフレーム壁160aが、もう一つの対向部材として、除電ブラシ51と間隙を有して配置されても良い。この場合には、突出部165を、フレーム壁160aと除電ブラシ51との間の間隙に形成する。これにより、搬送方向Dにおける除電ブラシ51の上流側の間隙に、用紙の先端が入り込み、用紙が詰まることを防止することができる。なお、同様な構成は、実施例1にも適用することができる。
【0089】
実施例1および実施例2では、除電手段を、除電ブラシとする例を示した。しかし、除電手段としては、導電性の不織布を櫛歯状に形成したものを用いても良い。すなわち、ブラシ状ではなくても、搬送路Rに搬送された用紙に接触して、用紙の搬送を妨げない程度に除電手段と対向部材との間で変形するものであれば良い。
【0090】
実施例1および実施例2では、対向部材として、刃取付部55a、前壁120a、フレーム壁160aなど、除電手段の長手方向の全域にわたって対向する例を示した。しかし、対向部材は、除電手段の長手方向の一部に対向していても良い。
【0091】
実施例1および実施例2では、複数の除電手段を、幅方向Eに均等に設ける例を示した。しかし、除電手段としては、均等に配置されなくても良い。
【0092】
実施例1および実施例2では、除電手段を搬送路Rの上側から下側に突出するように配置する例を示した。しかし、除電手段としては、搬送路の下側から上側に突出するように配置しても良い。この場合は、除電手段と対向部材、および、突出部も搬送路の下側に設けられる。
【0093】
実施例1および実施例2では、除電手段は、複数の毛束52aを有する例を示した。しかし、除電手段としては、毛束を様々な形状とすることができ、例えば帯状に形成しても良い。
【0094】
実施例1および実施例2では、画像形成装置をサーマルプリンタに適用する例を示した。しかし、画像形成装置としては、インパクト方式のプリンタ、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
51 除電ブラシ(除電手段の一例)
52 ブラシ部(除電部の一例)
53 導電シート(支持部の一例)
55a 刃取付部(対向部材の一例)
60 リアカバー(取付部材の一例)
62 上側ガイド
63 下側ガイド
65 突出部(規制部の一例)
66 付勢部
67 弾性部
68 凸部
R 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11