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  • 特許-界面活性剤可溶性抗ふけ剤の送達 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】界面活性剤可溶性抗ふけ剤の送達
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20220506BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220506BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220506BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/49
A61Q5/02
A61Q5/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017554066
(86)(22)【出願日】2016-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 US2016028742
(87)【国際公開番号】W WO2016172409
(87)【国際公開日】2016-10-27
【審査請求日】2017-10-13
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】62/151,702
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】デボラ ダブリュ.チャン
(72)【発明者】
【氏名】エリック スコット ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン グレン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】トッド ライアン トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】アリソン リン エドワーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル リン カーター
【合議体】
【審判長】岡崎 美穂
【審判官】齋藤 恵
【審判官】井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/010706(WO,A2)
【文献】特表2006-512342(JP,A)
【文献】特開2014-132013(JP,A)
【文献】国際公開第2013/163491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)14%~40%の、アニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の組み合わせである、1種以上の界面活性剤であって、前記アニオン性界面活性剤が、C10、C11又はC13の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル鎖を有するアルキルサルフェート、C10、C11又はC13の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル鎖を有するアルキルエーテルサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、界面活性剤と、
b)0.1%~10%の1種以上の界面活性剤可溶性抗ふけ剤と、を含むヘアケア組成物であって、
前記ヘアケア組成物が脱イオン水で1.3%の界面活性剤濃度まで希釈される場合、界面活性剤拡散係数の界面活性剤可溶性抗ふけ剤拡散係数に対する比率で1.4以上2.2以下を有する、ヘアケア組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤が、デシル硫酸ナトリウム、デセス-n硫酸ナトリウム(nは0.5~3.5である。)、ウンデシル硫酸ナトリウム、ウンデセス-n硫酸ナトリウム(nは0.5~3.5である。)、トリデシル硫酸ナトリウム、トリデセス-n硫酸ナトリウム(nは0.5~3.5である。)、並びに
a)RO(CHCHRO)ySOM、
b)CH(CHzCHRCHO(CHCHRO)ySOM、及び
c)これらの混合物、
からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤であって、
式中、Rは、CH(CH10を表し、Rは、H又は1~4個の炭素原子を含む炭化水素基を表し、z及びR内の炭素原子の合計が8となり、Rは、H又はCHであり、yは0~7であり、yがゼロ(0)でないときyの平均値は1であり、Mは、一価の又は二価の正電荷のカチオンであるアニオン性界面活性剤、
からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の組み合わせである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤が、
a)RO(CHCHRO)ySOM、
b)CH(CHzCHRCHO(CHCHRO)ySOM、並びに
c)これらの混合物、
からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤であって、
式中、Rは、CH(CH10を表し、Rは、H又は1~4個の炭素原子を含む炭化水素基を表し、z及びR内の炭素原子の合計が8となり、Rは、H又はCHであり、
yは0~7であり、yがゼロ(0)でないときyの平均値は1であり、Mは、一価の又は二価の正電荷のカチオンである、請求項1又は2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
0.25%~15%の1種以上の両性、ノニオン性又は双性イオン性共界面活性剤を更
に含む、請求項1~のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤可溶性抗ふけ剤が、ヒドロキシルピリジンである、請求項1~のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシルピリジンがピロクトンオラミンである、請求項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤可溶性抗ふけ剤がアゾールである、請求項1~のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
前記アゾールがクリムバゾールである、請求項に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
前記組成物がカチオン性ポリマーを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記組成物がコンディショニング剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
前記コンディショニング剤がシリコーンである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
1種以上の頭皮用健康剤を更に含む、請求項1~1のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
前記頭皮用健康剤がジンクピリチオン、サリチル酸、又はメントール及び/若しくは乳酸メンチルである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
1%~7%の香料を更に含む、請求項1~1のいずれか一項に記載のヘアケア組成物
【請求項15】
前記ヘアケア組成物が発泡体として分注される、請求項1~1のいずれか一項に記載
のヘアケア組成物。
【請求項16】
前記ヘアケア組成物がエアゾールフォームとして分注される、請求項1~1のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項17】
前記ヘアケア組成物をエアゾールフォームとして分注するための噴射剤又は発泡剤が、化学的に不活性な炭化水素、ハロゲン化炭化水素及びこれらの混合物である、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項18】
前記ヘアケア組成物が、ポンプ式フォームとして分注される、請求項1~1のいずれ
か一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項19】
前記ヘアケア組成物がアプリケータを使用して塗布される、請求項1~1のいずれか
一項に記載のヘアケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア組成物からの界面活性剤可溶性頭皮用剤の送達に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、抗ふけシャンプーは、ふけ処理並びに毛髪及び頭皮洗浄をするのに幅広く使用されてきたが、改良された抗ふけシャンプーへの要求は依然として存在する。一般的に、抗ふけシャンプーは、抗ふけ剤と、頭皮上に抗ふけ剤を付着することを目的としている界面活性剤及び水溶液系とが組み合わされて配合されている。抗ふけ剤は、ジンクピリチオンなどの不溶性微粒子、及び/又は、クリムバゾール若しくはオクトピロックスなどの界面活性剤可溶性物質であり得る。多くの抗ふけシャンプーは、カチオン性ポリマーをアニオン性界面活性剤とともに使用すると、不溶性微粒子剤の付着に役立つコアセルベートを形成する。しかし、一般に、可溶性剤はカチオン性ポリマーとアニオン性界面活性剤との間に形成されたコアセルベートとは結合しないので、コアセルベートは可溶性剤の付着に影響を与えない。実際に、抗ふけシャンプー中に存在する可溶性剤の1~2%超を頭皮上に付着させるとともに、残りの98~99%の配合物中の可溶性剤を洗い流すことは、困難であると認識され得る。抗ふけ剤の多くは比較的高価であり得るので、>97%の可溶性剤が洗い流されることは、お金をどぶに捨てるのと同じであり、そのため、可溶性抗ふけ剤をより効率的に付着することができるシャンプーへの要求は依然として存在する。また、消費者は優れた抗ふけ効果を送達するシャンプーを望み続けており、剤の付着が低いほど、抗ふけ効果は低くなるので、頭皮上に抗ふけシャンプー中に存在する可溶性剤を、高い割合で付着させることができるシャンプーへの要求は依然として存在する。
【0003】
多くの部類の界面活性剤が会合してミセル凝集体になることは、公知の現象である。ミセルは多くの場合、球状の凝集体の静的構造として描かれるが、実際ミセルは、バルクとミセルとの間で絶えず交換されている個々の界面活性剤分子(モノマー)と動的平衡にある。更に、ミセル自体は、連続的に崩壊して再集合している。ミセル溶液に伴う2つの緩和過程が存在する。第1は、τ1と称される第1緩和過程であるが、これは、ミセルと周囲のバルク相との間のモノマーの急速な交換と関係している。第2緩和過程時間、τ2は、ミセル形成及び溶解過程(即ち、ミセルの寿命)に関係している。Shah及び共同研究者ら(Patist,A.,Jha,B.K.,Oh,S.G.,及びShah,D.O.)のJ.Surfactants Deterg.2、317頁(1999年)、James-Smith,M.A.,Shekhawat,D.及びShah,D.O.のTenside Surf.Det.44,142頁(2007年)によるミセル化速度論に関する広範な試験研究は、τ2と、ミセル溶液中の油溶化及びエマルション中の液滴径を含む多数の洗浄性能、並びに動的表面張力及びミセル安定性などの界面活性剤性とが、強い相関関係にあることを示した。これらの研究は、τ2と、サブミセル凝集体の起泡性及び濃度などの他の性能とが、強い逆相関関係にあることも示した。具体的には、最大τ2及びそれゆえの最大ミセル安定性は、最大油溶化速度及び最大油溶化量の両方に相当することを示した。したがって、論理上は、このような系は、より多量の油又は界面活性剤可溶性物質をよりきれいに洗浄し、よりすばやく可溶化することができ、かつより安定でなければならないため、より長いτ2、より安定したミセル及びより速い可溶化速度を有するクレンジング組成物が好ましいことを示唆するものであろう。しかし、驚くべきことに、図1で示されたように、より短いτ2、より安定性が小さいミセル及びより遅い可溶化速度の界面活性剤系を有する組成物が好ましいということが見出された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】(Patist,A.,Jha,B.K.,Oh,S.G.,及びShah,D.O.)のJ.Surfactants Deterg.2、317頁(1999年)、James-Smith,M.A.,Shekhawat,D.及びShah,D.O.のTenside Surf.Det.44,142頁(2007年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態では、約14%~約40%の1種以上の界面活性剤と、約0.1%~10%の1種以上の界面活性剤可溶性抗ふけ剤と、を含むヘアケア組成物であって、ヘアケア組成物を1.3の%界面活性剤濃度まで希釈する場合、界面活性剤拡散係数の可溶性剤拡散係数に対する比率で、0.6未満又は1.4超を有するヘアケア組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】界面活性剤組成物の関数としてのオクトピロックス可溶化速度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に指定がない限り、本明細書において使用する全ての百分率及び比率は、組成物全体の重量によるものとする。特に指示がない限り、全ての測定は周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約25℃、約1気圧、及び相対湿度約50%における条件を意味する。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。区切られた上下の範囲限界は組み合わせ可能であり、明示的に区切られていない更なる範囲を作る。
【0008】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分並びに任意成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、追加成分を含み得ることを意味するが、追加成分が請求項に係る組成物又は方法の基本的かつ新規の特性を実質的に変えない場合に限る。
【0009】
組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を毛髪などのケラチン性組織上に塗布する又は広げることを意味する。
【0010】
「皮膚科学的に許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などがなく、ヒトの皮膚組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0011】
「安全かつ有効な量」は、有益な効果を有意に誘導するのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0012】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の記載からよりよく理解されるものと考えられる。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体及びゲルを包含する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「1つの(a及びan)」を包含する項目は、請求項に使用するとき、請求又は記載されているものの1つ以上を意味すると理解される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語には、「~からなる」及び「~から本質的になる」という用語が含まれる。
【0016】
本明細書において、「混合物」は、複数の材料の単純な組み合わせと、結果としてそのような組み合わせから得られる場合がある任意の化合物と、を含むことを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「分子量(molecular weight)」又は「分子量(Molecular weight)」は、特に記述のない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準法、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)を使用して測定される。
【0018】
量の範囲が記載される場合、これらは組成物中の当該成分の総量であるか、成分定義の範囲に2種以上が当てはまる場合、組成物中の、その定義に適合する全ての成分の総量であると理解されるべきである。
【0019】
例えば、組成物が1%~5%の脂肪族アルコールを含む場合、2%のステアリルアルコール及び1%のセチルアルコールを含み、かつ他の脂肪族アルコールは含まない組成物は範囲に収まるであろう。
【0020】
以下の特定の成分のそれぞれ、又はそれらの混合物の量は、ヘアケア組成物中の1つ以上の成分の総量の100%まで(又は100%)占めることができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア組成物」は、シャンプー、シャワーゲル、液体手洗い剤、染毛剤、洗顔料、及び他の界面活性剤ベースの液体組成物等の製品を含む。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「含有する(include、includes、及びincluding)」は非限定的なものであることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味するものと理解される。
【0023】
全ての百分率、部、及び比率は、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量を基準とする。全てのこのような重量は、提示された成分に関する場合、活性成分の濃度に基づき、したがって市販材料に含まれる場合のあるキャリア又は副生成物を包含しない。
【0024】
特に明記されない限り、構成成分又は組成物のレベルは全て、その構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0025】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、そのようなより小さい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているかのように、包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、そのようなより大きい数値限定が恰も本明細書に明示的に記載されているかのように、包含するものとする。本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれる全てのより狭い数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が恰も全て本明細書に明示的に記載されているかのように、包含するものとする。
【0026】
界面活性剤系のτ2及びミセル安定性、並びにその系における界面活性剤可溶性剤の溶解度が重要である一方で、クレンジング組成物が使用時に頭に塗布される場合など、希釈した後の上記系における界面活性剤ミセル安定性並びに上記可溶性剤の溶解度及び可溶化速度も等しく重要である。希釈時の界面活性剤系における可溶性剤の溶解度及び会合を理解する1つの方法は、NMRによって希釈試料における界面活性剤と界面活性剤可溶性剤の拡散係数を測定することである。界面活性剤と界面活性剤可溶性剤の拡散係数は、2つの係数の比率がほぼ1.0になるように、同様であれば、界面活性剤可溶性剤が界面活性剤ミセル内にあるか又は近接して会合していると推測することができる。しかし、界面活性剤と界面活性剤可溶性剤の拡散係数は、2つの係数の比率が著しく1.0を上回るか又は下回るように、非常に異なっていれば、界面活性剤可溶性剤が界面活性剤ミセル内にはないか又は会合していないと推測することができる。これは、ひいては、界面活性剤可溶性剤が後者の場合の希釈された界面活性剤中ではより可溶化しにくいことを意味する。
【0027】
クレンジング組成物を含有する可溶性抗ふけ剤は、1.3%まで希釈された界面活性剤濃度が、界面活性剤拡散係数の可溶性剤拡散係数に対する比率で0.8未満又は1.2超を有する場合、その拡散係数の比率がほぼ1.0である組成物を含有する可溶性抗ふけ剤よりも~1.4X以上の効率でその可溶性剤を付着することができるということが見出された。
【0028】
理論に束縛されるものではないが、本発明の実施形態によって示される付着効率の向上は、驚くべきことに、希釈時にコアセルベートを形成するカチオン性ポリマーと組み合わせて希釈すると相分離する油を追加で組み込むことで、更に向上させることができる。コアセルベートは、中で界面活性剤可溶性剤が少なくとも部分的に可溶化されなければならない油の付着に役立つことから、付着した可溶性剤の合計パーセントの増分の増大をもたらす。
【0029】
界面活性剤可溶性剤は、水中では不溶性だが、10%のラウレス-1硫酸ナトリウム水溶液中で0.1%以上の濃度で可溶性である物質として定義される。従来の方法は、溶解度を使用して測定してもよい。このような方法としては、ラウレス-1硫酸ナトリウム混合物を含有する物質が均質であることを、まずは外観上の評価によって対象とする物質の溶解度を判定することができ、続いて、ガラスジャーを、ラウレス-1硫酸ナトリウム混合物を含有する物質で充填し、次に、Quartetのクラス2標準レーザーポインタ(モデルMP-1202Q)などのクラス2標準赤色レーザーポインタをジャーの側部に対して配置し、ジャーを通過させてレーザーを照らす方法を挙げてもよい。レーザー光線が散乱しないラウレス-1ナトリウム溶液に上記物質が可溶性であれば、レーザーポインタと向かい合っているジャーの側部に現れる観察可能な赤い点のみが得られ、目に見えない赤色レーザービームが、溶液を貫通して観察される。
【0030】
可溶性抗ふけ剤
抗ふけ剤は、クリムバゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール及びエルビオールなどのアゾール、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックス、リロピロックス及びMEA-ヒドロキシオクチルオキシピリジノンなどのヒドロキシピリドン、サリチル酸及び他のヒドロキシ酸などの角質溶解(kerolytic)剤、アゾキシストロビンなどのストロビルリン並びに1,10-フェナントロリンなどの金属キレート剤からなる群から選択される1種の物質又は混合物であってもよい。
【0031】
一実施形態では、アゾール抗細菌剤は、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリムバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるイミダゾールであるか、又はアゾール抗細菌剤は、テルコナゾール、イトラコナゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるトリアゾールである。一実施形態では、アゾール抗細菌剤は、ケトコナゾールである。一実施形態では、唯一の抗細菌剤は、ケトコナゾールである。
【0032】
一実施形態では、可溶性抗ふけ剤は、約0.1%~10%、更なる実施形態では約0.25%~8%、更に別の実施形態では約0.5%~6%の量にて存在してもよい。
【0033】
A.洗浄性界面活性剤
ヘアケア組成物は、組成物に洗浄性能を提供する約14重量%超の界面活性剤系を含んでもよく、一実施形態では、組成物に洗浄性能を提供する約20重量%超の界面活性剤系を含んでもよい。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、並びに/又は、アニオン性界面活性剤の組み合わせ及び/若しくはアニオン性界面活性剤と両性、双性イオン性、ノニオン性及びこれらの混合物からなる群から選択される共界面活性剤との組み合わせを含む。洗浄性界面活性剤の種々の例及び説明が、米国特許第8,440,605号、米国特許出願公開第2009/155383号、及び米国特許出願公開第2009/0221463号に記述されており、それらの全容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
一実施形態では、ヘアケア組成物は、約14重量%~約40重量%、約15重量%~約36重量%、約18重量%~約32重量%、及び/又は約20重量%~約28重量%の、1種以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0035】
本組成物で用いるのに好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートである。他の好適なアニオン性界面活性剤は、有機硫酸反応生成物の水溶性の塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化されかつ水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物である。他の同様なアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されており、それらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
ヘアケア組成物にて使用される例示的なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、C10~15パレス硫酸アンモニウム、C10~15アルキル硫酸アンモニウム、C11~15アルキル硫酸アンモニウム、デシル硫酸アンモニウム、デセス硫酸アンモニウム、ウンデシル硫酸アンモニウム、ウンデセス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C10~15パレス硫酸ナトリウム、C10~15アルキル硫酸ナトリウム、C11~15アルキル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、デセス硫酸ナトリウム、ウンデシル硫酸ナトリウム、ウンデセス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、C10~15パレス硫酸カリウム、C10~15アルキル硫酸カリウム、C11~15アルキル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、デセス硫酸カリウム、ウンデシル硫酸カリウム、ウンデセス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである。
【0037】
本発明の組成物はまた、
a)R1O(CH2CHR3O)ySO3M、
b)CH3(CH2zCHR2CH2O(CH2CHR3O)yS03M、並びに
c)これらの混合物、
からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤も含むことができ、
式中、R1は、CH3(CH210を表し、R2は、H又は1~4個の炭素原子を含む炭化水素基を表し、z内の炭素原子の合計及びR2が8となり、R3は、H又はCH3であり、yは0~7であり、yがゼロ(0)でないときyの平均値は約1であり、Mは、一価の又は二価の正電荷のカチオンである。
【0038】
好適なアニオン性アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェート界面活性剤としては、ガーベットアルコール、アルドール縮合誘導アルコール、オキソアルコール及びこれらの混合物からなる群から選択され得るC8~C18分枝状アルコールから合成される分枝状アルキル鎖を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。2-アルキル分枝状アルコールの非限定例として、2-メチル-1-ウンデカノール、2-エチル-1-デカノール、2-プロピル-1-ノナノール、2-ブチル1-オクタノール、2-メチル-1-ドデカノール、2-エチル-1-ウンデカノール、2-プロピル-1-デカノール、2-ブチル-1-ノナノール、2-ペンチル-1-オクタノール、2-ペンチル-1-ヘプタノール、並びに商標名LIAL(登録商標)(Sasol)、ISALCHEM(登録商標)(Sasol)、及びNEODOL(登録商標)(Shell)で販売されるものなどのオキソアルコール、並びに2-エチル-1-ヘキサノール、2-プロピル-1-ブタノール、2-ブチル-1-オクタノール、2-ブチル-1-デカノール、2-ペンチル-1-ノナノール、2-ヘキシル-1-オクタノール、2-ヘキシル-1-デカノール並びに商標名ISOFOL(登録商標)(Sasol)で販売されるか又は商標名LUTENSOL XP(登録商標)(BASF)及びLUTENSOL XL(登録商標)(BASF)でアルコールエトキシレート及びアルコキシレートとして販売されるものなどのガーベット及びアルドール縮合誘導アルコールが挙げられる。
【0039】
アニオン性アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートはまた、商標名EXXAL(商標)(Exxon)及びMarlipal(登録商標)(Sasol)で販売されているブチレン又はプロピレンから誘導されるC8~C18分枝状アルコールで合成されるものを含んでもよい。これは、トリデセス-n硫酸ナトリウム(STnS)のサブクラスのアニオン性界面活性剤を含み、nは、約0.5~約3.5である。このサブクラスの例示的な界面活性剤は、トリデセス-2硫酸ナトリウム及びトリデセス-3硫酸ナトリウムである。本発明の組成物は、トリデシル硫酸ナトリウムも含むことができる。
【0040】
本発明の組成物は更に、アニオン性アルキル及びアルキルエーテルスルホスクシネート、並びに/又はジアルキル及びジアルキルエーテルスルホスクシネート並びにこれらの混合物を含むことができる。ジアルキル及びジアルキルエーテルスルホスクシネートは、C6~15直鎖又は分枝状ジアルキル若しくはジアルキルエーテルスルホスクシネートであってもよい。アルキル部分は、対称(即ち、同じアルキル部分)であっても非対称(即ち、異なるアルキル部分)であってもよい。非限定的な例としては、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、直鎖状ビス(トリデシル)スルホコハク酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
ヘアケア組成物は、共界面活性剤を含んでもよい。共界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。共界面活性剤としては、ラウラミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、コカミドモノエタノールアミド及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0042】
ヘアケア組成物は、約0.25重量%~約15重量%、約2重量%~約14重量%、約3重量%~約13重量%の1種以上の両性、双性イオン性、ノニオン性共界面活性剤又はこれらの混合物を更に含んでもよい。
【0043】
本明細書のヘアケア組成物での使用に好適な両性又は双性イオン性の界面活性剤としては、シャンプー又は他のヘアケアクレンジングに使用する公知のものが挙げられる。好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定的な例が、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されており、それらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
組成物での使用に好適な両性の共界面活性剤は、脂肪族基が直鎖又は分枝鎖であることができる脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として記述される界面活性剤が挙げられるが、その際、脂肪族置換基の1つは約8~約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する。好適な両性界面活性剤としては、コカミノプロピオン酸ナトリウム、コカミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸ナトリウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、コーンアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸ナトリウム、コーンアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、コカミノプロピオン酸アンモニウム、コカミノジプロピオン酸アンモニウム、ココアンホ酢酸アンモニウム、ココアンホ二酢酸アンモニウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ココアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウラミノプロピオン酸アンモニウム、ラウロアンホ酢酸アンモニウム、ラウロアンホ二酢酸アンモニウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ラウロアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウリミノジプロピオン酸アンモニウム、コカミノプロピオン酸トリエタノールアミン、コカミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホ酢酸トリエタノールアミン、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ココアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウラミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホ酢酸トリエタノールアミン、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホジプロピオン酸、カプロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipriopionate)、ココアンホカルボキシエチルヒドロキシプロピルスルホン酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ジカルボキシエチルココプロピレンジアミン二ナトリウム、ラウレス-5カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、オレオアンホジプロピオン酸二ナトリウム、PPG-2-イソデセチル(isodecethyl)-7カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸、ラウロアンホジプロピオン酸、ラウリルアミノプロピルグリシン、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるもの、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本組成物は、双性イオン性共界面活性剤を含んでもよく、双性イオン性界面活性剤は、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体であり、脂肪族基は直鎖又は分枝鎖であってもよく、脂肪族置換基の1つは約8~約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩又はホスホン酸塩のようなアニオン性基を含有する。双性イオン性界面活性剤は、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルジメチルアミノヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタインアミドアンホプロピオネート、ココ-ベタイン、ココ-ヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココ-スルタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0046】
本発明での使用に好適なノニオン性界面活性剤は、McCutcheion’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986年)、Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheion’s Functional Materials,North American edition(1992年)に記載されているものが挙げられる。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適なノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N-アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
共界面活性剤は、コカミド、コカミドメチルMEA、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、PEG-20コカミドMEA、PEG-2コカミド、PEG-3コカミド、PEG-4コカミド、PEG-5コカミド、PEG-6コカミド、PEG-7コカミド、PEG-3ラウラミド、PEG-5ラウラミド、PEG-3オレアミド、PPG-2コカミド、PPG-2ヒドロキシエチルコカミド、PPG-2ヒドロキシエチルイソステアラミド及びこれらの混合物を含むアルカノールアミドの群から選択されるノニオン性界面活性剤であることができる。
【0048】
代表的なポリオキシエチレン化アルコールは、含むアルキル鎖の範囲がC9~C16であり、約1~約110個のアルコキシ基を有するものであり、それには、ラウレス-3、ラウレス-23、セテス-10、ステアレス-10、ステアレス-100、べへネス-10、及びShell Chemicals,Houston,Texasから商標名Neodol(登録商標)91、Neodol(登録商標)23、Neodol(登録商標)25、Neodol(登録商標)45、Neodol(登録商標)135、Neodol(登録商標)67、Neodol(登録商標)PC 100、Neodol(登録商標)PC 200、Neodol(登録商標)PC 600で市販されているもの、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
同様に市販されているものは、Brij(登録商標)の商標名でUniqema(Wilmington,Delaware)から市販されているポリオキシエチレン脂肪族エーテルであり、限定するものではないが、Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)52、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)78、Brij(登録商標)93、Brij(登録商標)97、Brij(登録商標)98、Brij(登録商標)721、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
好適なアルキルグリコシド及びアルキルポリグルコシドは、式(S)n-O-Rで表すことができ、式中、Sはグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、及び同様物などの糖部分であり、nは約1~約1000の整数であり、及びRはC8~C30のアルキル基である。アルキル基を誘導することができる長鎖アルコールの例としては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び同様のものが挙げられる。これらの界面活性剤の例にはアルキルポリグルコシドが挙げられ、この場合Sはグルコース部分であり、RはC8~20アルキル基であり、及びnは約1~約9の整数である。これらの界面活性剤の市販例としては、Cognis(Ambler,Pa)から商標名APG(登録商標)325 CS、APG(登録商標)600 CS、及びAPG(登録商標)625 CS)で入手可能な、デシルポリグルコシド及びラウリルポリグルコシドが挙げられる。同様に本明細書で有用な界面活性剤は、スクロースココエート及びスクロースラウレートなどのスクロースエステル界面活性剤、並びにDow Chemical Company,Houston,Txから商標名Triton(商標)BG-10及びTriton(商標)CG-110で入手可能なアルキルポリグルコシドである。
【0051】
本発明での使用に好適な他のノニオン性界面活性剤はグリセリルエステル(複数可)であり、限定するものではないが、グリセリルモノエステル、例えばグリセリルオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノパルミテート、グリセリルモノベヘネート及びこれらの混合物などのC12~22の飽和、不飽和及び分枝鎖脂肪酸のグリセリルモノエステル、並びに例えばポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-3オレート、ポリグリセリル-2-セスキオレエート、トリグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルモノオレエート、テトラグリセリルモノオレエート、及びこれらの混合物などのC12~22の飽和、不飽和及び分枝鎖脂肪酸のポリグリセリルエステルが挙げられる。
【0052】
同様にノニオン性界面活性剤として本明細書で有用なものは、ソルビタンエステルである。C12~22の飽和、不飽和の、分枝鎖脂肪酸のソルビタンエステルが、本明細書で有用である。これらのソルビタンエステルは通常モノエステル、ジエステル、トリエステルなどのエステルの混合物を含む。好適なソルビタンエステルの代表的な例には、ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)、ソルビタンモノパルミテート(SPAN(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(SPAN(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(SPAN(登録商標)65)、ソルビタンモノオレエート(SPAN(登録商標)80)、ソルビタントリオレエート(SPAN(登録商標)85)、及びソルビタンイソステアレートが挙げられる。
【0053】
同様に本明細書での使用に好適なものは、ソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体であり、限定するものではないが、全てUniqemaから入手可能である、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)21)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)61)、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)81)、及びこれらの混合物、が挙げられる。
【0054】
同様に本明細書での使用に好適なものは、アルキルフェノールエトキシレートであり、限定するものではないが、ノニルフェノールエトキシレート(Dow Chemical Company,Houston,Txから入手可能であるTergitol(商標)NP-4、NP-6、NP-7、NP-8、NP-9、NP-10、NP-11、NP-12、NP-13、NP-15、NP-30、NP-40、NP-50、NP-55、NP-70)及びオクチルフェノールエトキシレート(Dow Chemical Company,Houston,Txから入手可能であるTriton(商標)X-15、X-35、X-45、X-114、X-100、X-102、X-165、X-305、X-405、X-705)が挙げられる。
【0055】
同様に本明細書での使用に好適なものは、ラウラミンオキシド及びコカミンオキシドを含む三級アルキルアミンオキシドである。
【0056】
ヘアケア組成物での使用に好適な他のアニオン性、双性イオン性、両性、及びノニオン性の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual,(M.C.Publishing Co.,出版)及び米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されており、それらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
好適な界面活性剤の組み合わせは、約0.5%~約30%、あるいは約1%~約25%、あるいは約2%~約20%の、アルキル分枝の平均重量%を含む。界面活性剤の組み合わせは、累積平均C8~C12アルキル鎖長重量%を、約7.5%~約25%、あるいは約10%~約22.5%、あるいは約10%~約20%有することができる。界面活性剤の組み合わせは、約3~約200、あるいは約25~約175.5、あるいは約50~約150、あるいは約75~約125の、C8~C12/C13~C18アルキル鎖の平均比率を有することができる。
【0058】
B.カチオン性ポリマー
ヘアケア組成物は、カチオン性ポリマーを更に含む。これらのカチオン性ポリマーは、(a)カチオン性グアーポリマー、(b)カチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー、(c)カチオン性タピオカポリマー、(d)アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー、及び/又は(e)洗浄性界面活性剤と組み合わせた際にリオトロピック液晶を形成してもしなくてもよい、合成非架橋型カチオン性ポリマー、(f)カチオン性セルロースポリマーのうちの少なくとも1つを含み得る。更に、カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーの混合物であってよい。
【0059】
本ヘアケア組成物は、カチオン性に置換されたガラクトマンナン(グアー)ガム誘導体であるカチオン性グアーポリマーを含む。これらのグアーガム誘導体の調製に用いられるグアーガムは典型的に、グアープラントの種から天然に産出される材料として得られる。グアー分子自体は、交互に位置するマンノース単位上の単員ガラクトース単位が規則的な間隔で分枝する直鎖状マンナンである。マンノース単位は、β(1-4)グリコシド結合によって互いに結合している。ガラクトース分枝は、α(1-6)結合によって生じる。グアーガムのカチオン性誘導体は、ポリガラクトマンナンのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との間の反応によって得られる。グアー構造上へのカチオン性基の置換度は、上述の必要なカチオン電荷密度を提供するのに十分でなくてはならない。
【0060】
一実施形態によれば、カチオン性ポリマーとしては、1,500,000g/mol未満、又は約150,000~約1,500,000g/mol、又は約200,000~約1,500,000g/mol、又は約300,000~約1,200,000g/mol、又は約750,000,000~約1,000,000g/molの重量平均分子量を有するカチオン性グアーポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.7meq/gの電荷密度を有する。
【0061】
一実施形態によれば、カチオン性グアーポリマーは、約1,500,000g/mol未満の重量平均分子量を有し、約0.1meq/g~約2.5meq/gの電荷密度を有する。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、900,000g/mol未満、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/mol、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/molの重量平均分子量を有する。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.5meq/gの電荷密度を有する。
【0062】
ヘアケア組成物は、組成物の総重量の約0.05重量%~約1重量%未満、約0.05重量%~約0.9重量%、約0.1重量%~約0.8重量%、又は約0.2重量%~約0.7重量%のカチオン性ポリマー(a)を含むことができる。
【0063】
カチオン性グアーポリマーは、四級アンモニウム化合物から形成することができる。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーを形成するための四級アンモニウム化合物は、次の一般式1に適合する。
【0064】
【化1】
式中、R3、R4、及びR5は、メチル又はエチル基であり、R6は、次の一般式2のエポキシアルキル基のいずれかである。
【0065】
【化2】
又は、R6は、次の一般式3のハロヒドリン基である。
【0066】
【化3】
式中、R7は、C1~C3アルキレンであり、Xは、塩素又は臭素であり、Zは、Cl-、Br-、I-、又はHSO4-などのアニオンである。
【0067】
一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは次の一般式4に適合する。
【0068】
【化4】
式中、R8は、グアーガムであり、R4、R5、R6、及びR7は、上の定義と同様であり、Zは、ハロゲンである。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは式5に適合する。
【0069】
【化5】
【0070】
好適なカチオン性グアーポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの具体例としては、Solvayから市販されているJaguar(登録商標)シリーズ、例えば、Solvayから市販されているJaguar(登録商標)C-500が挙げられる。Jaguar(登録商標)C-500は、0.8meq/gの電荷密度及び500,000g/molの分子量を有する。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約1.1meq/gの電荷密度、及び約500,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、並びに約1.5meq/gの電荷密度、及び約500,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約0.7meq/gの電荷密度及び約600,000g/molの分子量を有し、Solvayから入手可能であるHi-Care1000、約0.7meq/gの電荷密度及び約425,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるN-Hance 3269及びN-Hance 3270、約0.8meq/gの電荷密度及び約1,100,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるN-Hance 3196である。AquaCat CG518は、約0.9meq/gの電荷密度及び約50,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能である。約1.1meq/gの電荷密度及び約800,000の分子量を有するホウ酸塩(ホウ素)を含まないグアーであるBF-13、並びに約1.7meq/gの電荷密度及び約800,000の分子量を有するホウ酸塩(ホウ素)を含まないグアーであるBF-17は、いずれもASIから入手可能である。
【0071】
本発明のヘアケア組成物は、モノマー対モノマー基準で2:1超のマンノース対ガラクトース比を有するガラクトマンナンポリマー誘導体を含んでもよく、このガラクトマンナンポリマー誘導体は、カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体及び正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体からなる群から選択される。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性ガラクトマンナン」は、カチオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。用語「両性ガラクトマンナン」は、ポリマーが正味の正電荷を有するようにカチオン性基及びアニオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。
【0072】
ガラクトマンナンポリマーは、マメ科植物の種子の内胚乳に存在する。ガラクトマンナンポリマーは、マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの組み合わせから構成される。ガラクトマンナン分子は、特定のマンノース単位上の単員ガラクトース単位が規則的な間隔で分枝した直鎖状マンナンである。マンノース単位は、β(1~4)グルコシド結合によって互いに結合されている。ガラクトース分枝は、α(1~6)結合によって生じる。マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの比は、植物種によって様々であり、気候の影響も受ける。本発明の非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、モノマー対モノマー基準で2:1より大きいマンノースとガラクトースとの比を有する。好適なマンノースとガラクトースとの比は、約3:1より大きくてもよく、マンノースとガラクトースとの比は約4:1より大きくてもよい。マンノースとガラクトースとの比の分析は、当該技術分野において公知であり、典型的には、ガラクトース含量の測定に基づく。
【0073】
非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体の調製に用いられるガムは典型的には、植物の種又はマメなどの天然物質として得られる。様々な非グアーガラクトマンナンポリマーの例としては、タラガム(マンノース3部/ガラクトース1部)、イナゴマメ又はカロブ(マンノース4部/ガラクトース1部)、及びカッシアガム(マンノース5部/ガラクトース1部)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の一実施形態では、非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1,000~約10,000,000、及び/又は約5,000~約3,000,000の分子量を有する。
【0075】
本発明のヘアケア組成物は更に、約0.5meq/g~約7meq/gのカチオン電荷密度を有するガラクトマンナンポリマー誘導体を含むことができる。本発明の一実施形態では、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1meq/g~約5meq/gのカチオン電荷密度を有する。ガラクトマンナン構造上へのカチオン性基の置換度は、必要なカチオン電荷密度をもたらすのに十分でなければならない。
【0076】
ガラクトマンナンポリマー誘導体は、非グアーガラクトマンナンポリマーのカチオン性誘導体であってもよく、これは、ポリガラクトマンナンポリマーのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との反応によって得られる。カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体の形成に使用する好適な四級アンモニウム化合物としては、上記で定義された一般式1~5に適合するものが挙げられる。
【0077】
上記の試薬から形成されるカチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、次の一般式6により表される。
【0078】
【化6】
式中、Rはガムである。カチオン性ガラクトマンナン誘導体は、ガムヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドであることができ、これは、より具体的には、下記の一般式7によって表すことができる。
【0079】
【化7】
【0080】
あるいは、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体であってもよく、これはカチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体がアニオン基を更に含む場合に得られる。
【0081】
カチオン性非グアーガラクトマンナンは、約4:1より大きいマンノース対ガラクトース比、約1,000g/mol~約10,000,000g/mol、及び/又は約50,000g/mol~約1,000,000g/mol、及び/又は約100,000g/mol~約900,000g/mol、及び/又は約150,000g/mol~約400,000g/molの分子量、並びに約1meq/g~約5meq/g及び/又は2meq/g~約4meq/gのカチオン電荷密度を有し、カッシアという植物から得ることができる。
【0082】
ヘアケア組成物は、組成物の少なくとも約0.05重量%のガラクトマンナンポリマー誘導体、あるいは、組成物の約0.05重量%~約2重量%のガラクトマンナンポリマー誘導体を含むことができる。
【0083】
ヘアケア組成物には水溶性のカチオン変性デンプンポリマーを含有させることができる。本明細書で使用するとき、用語「カチオン変性デンプン」とは、デンプンがより小さい分子量に分解される前にカチオン性基が付加されたデンプン、又はデンプンの変性後にカチオン性基が付加されて所望の分子量に達したデンプンを指す。用語「カチオン変性デンプン」の定義には、両性変性デンプンも含まれる。用語「両性変性デンプン」とは、カチオン性基及びアニオン性基が付加されたデンプン加水分解物を指す。
【0084】
ヘアケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、及び/又は約0.05重量%~約5重量%の範囲のカチオン変性デンプンポリマーを含むことができる。
【0085】
本明細書で開示されるカチオン変性デンプンポリマーは、結合窒素の百分率が約0.5%~約4%である。
【0086】
ヘアケア組成物で用いるカチオン変性デンプンポリマーは、約850,000g/mol~約1,500,000g/mol、及び/又は約900,000g/mol、~約1,500,000g/molの分子量を有することができる。
【0087】
ヘアケア組成物は、約0.2meq/g~約5meq/g、及び/又は約0.2meq/g~約2meq/gの電荷密度を有するカチオン変性デンプンポリマーを含んでもよい。このような電荷密度を得るための化学修飾としては、デンプン分子にアミノ基及び/又はアンモニウム基を付加することが挙げられるが、これらに限定されない。これらのアンモニウム基の非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、ジメチルステアリルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、及びジメチルドデシルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドなどの置換基を挙げることができる。Solarek,D.B.,Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.(Boca Raton,Fla.),1986,pp 113~125を参照のこと。カチオン性基は、より小さな分子量に分解される前にデンプンに付加されてもよく、又は、カチオン性基は、このような変性の後に付加されてもよい。
【0088】
カチオン変性デンプンポリマーは、概して、約0.2~約2.5のカチオン性基の置換度を有する。本明細書で使用するとき、カチオン変性デンプンポリマーの「置換度」とは、置換基によって誘導体化された各無水グルコース単位のヒドロキシル基数の平均値である。各無水グルコース単位は、置換に利用できる3個の可能なヒドロキシル基を有し、可能な最大置換度は3である。置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数として、モル平均基準で表わされる。置換度は、当該技術分野において公知のプロトン核磁気共鳴分光法(「.sup.1H NMR」)法を使用して求めることができる。好適な.sup.1H NMR法としては、「Observation on NMR Spectra of Starches in Dimethyl Sulfoxide,Iodine-Complexing,and Solvatingin Water-Dimethyl Sulfoxide」,Qin-Ji Peng and Arthur S.Perlin,Carbohydrate Research,160(1987),57~72、及び「An Approach to the Structural Analysis of Oligosaccharides by NMR Spectroscopy」,J.Howard Bradbury and J.Grant Collins,Carbohydrate Research,71,(1979),15~25に記載されているものが挙げられる。
【0089】
化学修飾前のデンプン源は、塊茎、マメ科植物、穀草及び穀物などの様々な供給源から選択することができる。この供給源デンプンの非限定的な例には、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、アミオカ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、オート麦デンプン、サゴデンプン、スイートライス、又はこれらの混合物を挙げてもよい。
【0090】
カチオン変性デンプンポリマーは、分解カチオン性トウモロコシデンプン、カチオン性タピオカ、カチオン性ジャガイモデンプン、及びこれらの混合物から選択することができる。あるいは、カチオン変性デンプンポリマーは、カチオン性トウモロコシデンプン及びカチオン性タピオカである。
【0091】
デンプンは、より小さな分子量へと分解する前又は修飾した後に、1以上の追加の修飾を施してもよい。例えば、これらの修飾には、架橋、安定化反応、リン酸化反応、及び加水分解を挙げることができる。安定化反応としては、アルキル化及びエステル化を挙げることができる。
【0092】
カチオン変性デンプンポリマーは、加水分解デンプン(例えば、酸、酵素、若しくはアルカリ分解)、酸化デンプン(例えば、過酸化物、過酸、次亜塩素酸塩、アルカリ、若しくは他のいずれかの酸化剤)、物理的又は機械的に分解させたデンプン(例えば、加工装置のサーモメカニカルエネルギー投入によるもの)、又はこれらの組み合わせ、の形態で組成物に組み込んでよい。
【0093】
デンプンの最適の形態は、簡単に水に可溶化し、実質的に透明な(600nmの波長で約80の%透過率)水溶液を形成するものである。組成物の透明度は、紫外可視(UV/VIS)吸光度測定法によって測定される。この測定法は、関連する指示事項に従って、Gretag Macbeth Colorimeter Color i 5を用いて、サンプルのUV/VIS光の吸収率又は透過率を測定する。600nmの光波長が、化粧品組成物の透明性を特徴づけるのに適していることが示されている。
【0094】
ヘアケア組成物で用いるのに好適なカチオン変性デンプンは、公知のデンプン供給業者から入手可能である。同様に、ヘアケア組成物での使用に適しているのは、当該技術分野において公知のカチオン変性デンプンに更に誘導体化することができるノニオン性変性デンプンである。他の好適な変性デンプンの出発物質は、ヘアケア組成物での使用に好適なカチオン変性デンプンポリマーを製造するために、当該技術分野において公知であるように、四級化されてもよい。
【0095】
デンプン分解手順。デンプンスラリーは、水中に粒状のデンプンを混合することによって調製することができる。温度を約35℃まで上昇させ、次に、デンプンに基づき、約50ppmの濃度で、過マンガン酸カリウム水溶液を加える。水酸化ナトリウムによってpHを約11.5まで上昇させ、スラリーを十分に攪拌して、デンプンが沈殿しないようにする。次に、デンプンに基づき、過酸化物濃度が約1%になるまで、水で希釈した過酸化水素の約30%溶液を加える。続いて、追加の水酸化ナトリウムを加えることによって、pHを約11.5に戻す。この反応は、約1~約20時間かけて完了する。次に、混合物を、希塩酸で中和する。分解したデンプンを、ろ過によって回収してから、洗浄、乾燥する。
【0096】
本ヘアケア組成物には、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマーを含めることができ、このコポリマーは約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有する。カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとの合成カチオン性コポリマーであってもよい。
【0097】
カチオン性コポリマーは、以下を含み得る。
(i)次式AMのアクリルアミドモノマー。
【0098】
【化8】
式中、R9は、H、又はC14アルキルであり、R10及びR11は独立して、H、C14アルキル、CH2OCH3、CH2OCH2CH(CH32、及びフェニルからなる群から選択されるか、共にC36シクロアルキルを形成する。
(ii)次式CMに適合するカチオン性モノマー。
【0099】
【化9】
式中、kは1であり、v、v’、及びv’’は各々独立して、1~6の整数であり、wは、0、又は1~10の整数であり、X-はアニオンである。
【0100】
カチオン性モノマーは、式CMに適合して、式中、k=1、v=3で、w=0、z=1であり、X-がCl-であって、次の構造を形成することができる。
【0101】
【化10】
上の構造は、ジクワット(diquat)と称されてもよい。あるいは、カチオン性モノマーは、式CMに適合することができ、式中、v及びv’’が各々3であり、v’=1、w=1、y=1であり、X-はCl-であって、次のようになる。
【0102】
【化11】
上記の構造は、トリクワット(triquat)と称してもよい。
【0103】
好適なアクリルアミドモノマーとしては、アクリルアミド又はメタクリルアミドのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
カチオン性コポリマー(b)は、アクリルアミドと1,3-プロパンジアミニウム,N-[2-[[[ジメチル[3-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]アンモニオ]アセチル]アミノ]エチル]2-ヒドロキシ-N,N,N’,N’,N’-ペンタメチル-トリクロリドとのコポリマーであるAM:TRIQUATであることができる。AM:TRIQUATは、ポリクオタニウム76(PQ76)としても知られている。AM:TRIQUATは、1.6meq/gの電荷密度、1,100,000g/molの分子量を有し得る。
【0105】
代替的実施形態では、カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマー及びカチオン性モノマーであり、カチオン性モノマーは、以下からなる群から選択される:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオ(ditertio)ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物。
【0106】
カチオン性コポリマーは、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物を含むカチオン性モノマーからなる群から選択されるカチオン性モノマーを含むことができる。
【0107】
カチオン性コポリマーは、水溶性であってもよい。カチオン性コポリマーは、(1)(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミドに基づくカチオン性モノマー、並びに/又は加水分解に対して安定なカチオン性モノマーのコポリマー、(2)(メタ)アクリルアミド、カチオン性(メタ)アクリル酸エステルに基づくモノマー、及び(メタ)アクリルアミドに基づくモノマーのターポリマー、並びに/又は加水分解に対して安定なカチオン性モノマー、から形成される。カチオン性(メタ)アクリル酸エステルに基づくモノマーは、四級化N原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルであってもよい。一実施形態において、四級化N原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートである。四級化N原子を含有する(メタ)アクリル酸の好適なカチオン化エステルは、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのアンモニウム塩からなる群から選択することができる。一実施形態では、四級化N原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、アルキルハライドで、又はメチルクロリド若しくはベンジルクロリド若しくはジメチルサルフェート(ADAME-Quat)で四級化されたジメチルアミノエチルアクリレートである。(メタ)アクリルアミドに基づくとき、カチオン性モノマーは、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドであることができるか、又はアルキルハライド、若しくはメチルクロリド、若しくはベンジルクロリド若しくはジメチルサルフェートで四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドであることができる。
【0108】
(メタ)アクリルアミドに基づく好適なカチオン性モノマーは、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを含む。(メタ)アクリルアミドに基づくカチオン性モノマーは、アルキルハライドで、特にメチルクロリド若しくはベンジルクロリド若しくはジメチルサルフェートで四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドであってもよい。
【0109】
カチオン性モノマーは、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーであってもよい。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド以外に、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーは、OECD加水分解試験に対して安定であるとみなされる全てのモノマーでありうる。カチオン性モノマーは加水分解に対して安定なものにでき、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及び水溶性カチオン性スチレン誘導体からなる群から選択されてもよい。
【0110】
カチオン性コポリマーは、アクリルアミドと、メチルクロリドで四級化された2-ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(ADAME-Q)と、メチルクロリドで四級化された3-ジメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド(DIMAPA-Q)とのターポリマーであってもよい。カチオン性コポリマーは、アクリルアミド及びアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから形成することができ、このアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有する。
【0111】
カチオン性コポリマーは、約1.1meq/g~約2.5meq/g、又は約1.1meq/g~約2.3meq/g、又は約1.2meq/g~約2.2meq/g、又は約1.2meq/g~約2.1meq/g、又は約1.3meq/g~約2.0meq/g、又は約1.3meq/g~約1.9meq/gの電荷密度を有することができる。
【0112】
カチオン性コポリマーは、約100,000g/mol~約1,500,000g/mol、又は約300,000g/mol~約1,500,000g/mol、又は約500,000g/mol~約1,500,000g/mol、又は約700,000g/mol~約1,000,000g/mol、又は約900,000g/mol~約1,200,000g/molの分子量を有することができる。
【0113】
カチオン性コポリマーは、トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドクロリド-N-アクリルアミドコポリマーであり得、これは、AM:MAPTACとしても知られている。AM:MAPTACは、約1.3meq/gの電荷密度、及び約1,100,000g/molの分子量を有することができる。カチオン性コポリマーは、AM:ATPACであり得る。AM:ATPACは、約1.8meq/gの電荷密度、及び1,100,000g/molの分子量を有することができる。
【0114】
(a)カチオン性合成ポリマー
ヘアケア組成物は、
i)1以上のカチオン性モノマー単位、また任意選択的に
ii)負電荷を有する1以上のモノマー単位、及び/又は
iii)ノニオン性モノマー、から形成され得るカチオン性合成ポリマーを含むことができ、
ここで、結果として得られるコポリマーの電荷は正である。これらの3種のモノマーの比は「m」、「p」及び「q」によって得られ、ただし、「m」は、カチオン性モノマーの数であり、「p」は、負電荷を有するモノマーの数であり、「q」は、ノニオン性モノマーの数である。
【0115】
カチオン性ポリマーは、以下の構造を有する、水溶性又は分散性で、非架橋型の合成カチオン性ポリマーであってもよい。
【0116】
【化12】
式中、Aは次のカチオン性部分のうちの1以上のものであってよく、
【0117】
【化13】
式中、@=アミド、アルキルアミド、エステル、エーテル、アルキル又はアルキルアリールであり、
Y=C1~C22のアルキル、アルコキシ、アルキリデン、アルキル又はアリールオキシであり、
Ψ=C1~C22のアルキル、アルキルオキシ、アルキルアリール又はアルキルアリールオキシであり、
Z=C1~C22のアルキル、アルキルオキシ、アリール又はアリールオキシであり、
R1=H、C1~C4の直鎖又は分枝状のアルキルであり、
s=0又は1、n=0又は≧1であり、
T及びR7=C1~C22のアルキルであり、
X-=ハロゲン、ヒドロキシド、アルコキシド、サルフェート又はアルキルサルフェートである。
【0118】
上記の構造中、負電荷を有するモノマーは、R2’がH、C1~C4の直鎖又は分枝状アルキルであり、R3が下記の通りであることによって定義される。
【0119】
【化14】
式中、D=O、N、又はSであり、
Q=NH2、又はOであり、
u=1~6であり、
t=0~1であり、
J=P、S、Cの元素を含有する酸素化官能基である。
【0120】
上記の構造中、ノニオン性モノマーは、R2’’がH、直鎖又は分枝状のC1~C4アルキルであることと、R6が直鎖又は分枝状のアルキル、アルキルアリール、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルアリールオキシであることと、βが下記の定義どおりであることによって定義される。
【0121】
【化15】
式中、G’及びG’’は互いに独立して、O、S、又はN-Hであり、Lは、0又は1である。
【0122】
カチオン性モノマーの例として、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、少なくとも1つの二級、三級、若しくは四級アミン官能基、又は窒素原子含有複素環基を含むモノマー、ビニルアミン又はエチレンイミン、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、これらの混合物、これらの塩、及びこれらに由来するマクロモノマーが挙げられる。
【0123】
カチオン性モノマーの更なる例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ-tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0124】
好適なカチオン性モノマーとしては、式-NR3 +(式中、Rは、同じであるか、又は異なるものであり、水素原子、1~10個の炭素原子を含むアルキル基、又はベンジル基を表す。)の四級アンモニウム基を含み、任意選択的にヒドロキシル基を有するとともに、アニオン(対イオン)を含むものが挙げられる。アニオンの例は、クロリド、ブロミドなどのハライド、サルフェート、ヒドロサルフェート、アルキルサルフェート(例えば、1~6個の炭素原子を含む。)、ホスフェート、シトレート、ホルメート、及びアセテートである。
【0125】
好適なカチオン性モノマーとしては、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0126】
更なる好適なカチオン性モノマーとしては、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリドが挙げられる。
【0127】
負電荷を有するモノマーの例としては、ホスフェート又はホスホネート基を含むαエチレン性不飽和モノマー、αエチレン性不飽和モノカルボン酸、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、スルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物、及びスルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物の塩が挙げられる。
【0128】
負電荷を有する好適なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、2-スルホエチルメタクリレート、2-スルホエチルメタクリレートの塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の塩、及びスチレンスルホネート(SS)が挙げられる。
【0129】
ノニオン性モノマーの例としては、酢酸ビニル、αエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、αエチレン性不飽和モノカルボン酸と水素化又はフッ素化アルコールとのエステル、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート(即ち、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸)、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、ビニルニトリル、ビニルアミンアミド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、及びビニル芳香族化合物が挙げられる。
【0130】
好適なノニオン性モノマーとしては、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
【0131】
ポリマーが、水、ヘアケア組成物、又はヘアケア組成物のコアセルベート相中に可溶性又は分散性を維持する限り、また、対イオンが、ヘアケア組成物の必須成分と物理的及び化学的相溶性であるか、又はそうでなければ製品の性能、安定性、又は審美性を過度に損なわない限り、合成カチオン性ポリマーに付随するアニオン性対イオン(X-)は、任意の既知の対イオンであってよい。このような対イオンの非限定例としては、ハライド(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。
【0132】
本明細書に記載されるカチオン性ポリマーは、ダメージヘア、特に化学的に処理された毛髪に、代用の疎水性F層をもたらすのに役立ち得る。微視的に薄いF層は天然の耐候性を提供しつつ、水分の封じ込めを助け、更なるダメージを防ぐ。化学的な処理により、毛髪のキューティクルはダメージを受け、防御作用を持つF層は毛髪から剥がれ落ちてしまう。F層が剥がれ落ちるにつれ、毛髪は親水性が増すようになる。化学処理をした毛髪に、リオトロピック液晶を適用すると、その毛髪の疎水性が向上し、外観も触感も、未処理の毛髪のようになることが分かっている。いずれの理論にも拘束されるものではないが、リオトロピック液晶複合体は疎水性の層又は膜を形成し、天然のF層が毛髪を保護するのと同様に、この層又は膜が毛髪繊維をコーティングして毛髪を保護すると考えられる。疎水層は、毛髪を、一般的には未処理の毛髪のようなより健康的な状態に戻す。リオトロピック液晶は、本明細書に記載される合成カチオン性ポリマーを、ヘアケア組成物の上記のアニオン性洗浄界面活性剤成分と組み合わせることによって形成される。合成カチオン性ポリマーの電荷密度は比較的高い。カチオン電荷密度が比較的高い一部の合成ポリマーは、主としてそれらの異常な線形の電荷密度のためにリオトロピック液晶を形成しないことに留意されたい。このような合成カチオン性ポリマーは国際公開第94/06403号(Reichら)に記載されている。本明細書に記載の合成ポリマーは、ダメージを受けた毛髪に関して、改善されたコンディショニング性能を提供する、安定したヘアケア組成物中に配合することができる。
【0133】
リオトロピック液晶を形成しうるカチオン性合成ポリマーは、約2meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約3meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約4meq/gm~約7meq/gmのカチオン電荷密度を有する。いくつかの実施形態では、カチオン電荷密度は約6.2meq/gmである。このポリマーは、約1,000~約5,000,000、及び/又は約10,000~約1,500,000、及び/又は約100,000~約1,500,000の分子量を更に有する。
【0134】
本発明の別の実施形態では、有益剤の増強されたコンディショニング性能と付着性能を提供するが必ずしもリオトロピック液晶を形成しないカチオン性合成ポリマーは、約0.7meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約0.8meq/gm~約5meq/gm、及び/又は約1.0meq/gm~約3meq/gmのカチオン性電荷密度を有する。このポリマーは、約1,000~約1,500,000、約10,000~約1,500,000、及び約100,000~約1,500,000の分子量を更に有する。
【0135】
好適なカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、これは、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれており、Dow/Amerchol Corp.(Edison,N.J.,USA)から、Polymer LR、JR、及びKGシリーズのポリマーで入手可能である。非限定的な例としては、JR-30M,KG-30M,JP,LR-400及びこれらの混合物が挙げられる。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、Dow/Amerchol Corpより、Polymer LM-200の商品名で入手可能である。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム67と呼ばれている、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシド及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、Dow/Amerchol Corp.から、SoftCAT Polymer SL-5、SoftCAT Polymer SL-30、Polymer SL-60、Polymer SL-100、Polymer SK-L、Polymer SK-M、Polymer SK-MH、及びPolymer SK-Hという商品名で入手可能である。
【0136】
カチオン性ポリマーの濃度は、ヘアケア組成物の約0.025重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、及び/又は約0.2重量%~約1重量%の範囲である。
【0137】
C.減粘剤
一実施形態では、本明細書に記載されたヘアケア組成物は、ヘアケア組成物の約0.1重量%~約35重量%、あるいは約0.25重量%~約30重量%、及びあるいは、約0.5重量%~約25重量%の減粘剤を含んでもよい。好適な減粘剤の非限定的な例として、クラスA材料、クラスB材料、水混和性溶媒、ハイドロトロープ及びこれらの混合物が挙げられる。
【0138】
本明細書に記載されたヘアケア組成物は、約1センチポアズ~約6,000センチポアズ、あるいは約1センチポアズ~約4,500センチポアズ、あるいは約1センチポアズ~約3,000センチポアズ、及びあるいは約5センチポアズ~約2,000センチポアズの液相粘度を有してもよい。
【0139】
1.クラスA減粘剤
クラスA減粘剤は、約-3.1~約-0.7、あるいは約-3~約-0.85、及びあるいは約-2.92~約-0.92の分配分散係数を有してもよい。クラスA減粘剤は、約-3~約-1.9、あるいは約-2.9~約-2の分配分散係数を有してもよく、この1種以上の減粘剤は、少なくとも2つの極性基を有するか、又は1つの極性基、及び隣接する基で互いに結合される5個未満の非環式のsp3混成炭素原子を有する。クラスA減粘剤は、約-3~約-1.9、あるいは約-2.9~約-2の分配分散係数を有してもよく、この1種以上の減粘剤は、2~4個の極性基を有するか、又は1個の極性基、及び隣接する基で互いに結合される1~3個の非環式のsp3混成炭素原子を有する。クラスA減粘剤は、約-3~約-1、あるいは約-2.9~約-2の分配分散係数を有してもよく、この1種以上の減粘剤は、2~4個の極性基を有するか、又は1個の極性基、及び隣接する基で互いに結合される2個の非環式のsp3混成炭素原子を有する。クラスA減粘剤は、本明細書に記載されたヘアケア組成物で使用されるとき、予期されない粘度減少をもたらし得る。
【0140】
分配分散係数(PDC)は、次の等式によって定義される。
PDC=logP-0.3001*(□D)2+10.362*□D-93.251
式中、logPは、Advanced Chemistry Development,Inc.(ACD/Labs,Toronto,Canada)製のACD/Percepta version 14.02に実装されたコンセンサスアルゴリズムによって計算されたオクタノール水分配係数であり、□Dは、Steven Abbott及びHiroshi Yamamotoの「HSPIP-Hansen Solubility Parameters in Practice」プログラム、第4版、バージョン4.1.07を使用して計算される(MPa)1/2におけるハンセン溶解度分散パラメーターである。
【0141】
減粘剤は、1個の極性基、あるいは少なくとも1個の極性基,あるいは2~4個の極性基、及び代わりにあるいは少なくとも2個の極性基を含む有機化合物であってもよい。極性基は、アルコール、アルデヒド、エステル、ラクトン、クマリン、エーテル、ケトン、フェノール、フェニル、オキシド、アルケニル、アルキニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。減粘剤は、100ダルトン~300ダルトン、あるいは約125ダルトン~約300ダルトンの分子量を有してもよい。加えて、減粘剤は、約900~50,000mg/Lの23~25℃での水溶性を有し得る。
【0142】
減粘剤は、ラズベリケトン、トリエチルシトレート、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、ヒドロキシシトロネラール、カンファーガム、2-イソプロピル-5-メチル-2-ヘキセナール、オイカリプトール、1,1-ジメトキシオクタン、イソブチルヘキサノエート、ジヒドロ(dihyro)イソジャスモネート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、減粘剤は、ラズベリケトン、トリエチルシトレート、ヒドロキシシトロネラール、カンファーガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、減粘剤は、ラズベリケトン、トリエチルシトレート、ヒドロキシシトロネラール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0143】
2.クラスB減粘剤
クラスB減粘剤は、約0.05~約5.1、あるいは約0.08~約4.5、あるいは約0.09~約4.4、あるいは約0.05~約2.0、あるいは約0.08~約1.8、あるいは約0.09~約1.7、及びあるいは約0.095~約1.68の分配分散係数を有してもよい。クラスB減粘剤は、本明細書に記載されたヘアケア組成物で使用されるとき、予期されない粘度減少をもたらし得る。
【0144】
分配分散係数(PDC)は、次の等式によって定義される。
PDC=logP-0.3001*(□D)2+10.362*□D-93.251
式中、logPは、Advanced Chemistry Development,Inc.(ACD/Labs,Toronto,Canada)製のACD/Percepta version 14.02に実装されたコンセンサスアルゴリズムによって計算されたオクタノール水分配係数であり、□Dは、Steven Abbott及びHiroshi Yamamotoの「HSPIP-Hansen Solubility Parameters in Practice」プログラム、第4版、バージョン4.1.07を使用して計算される(MPa)1/2におけるハンセン溶解度分散パラメーターである。
【0145】
減粘剤は、1個の極性基、あるいは少なくとも1個の極性基,あるいは2~4個の極性基、及び代わりにあるいは少なくとも2個の極性基を含む有機化合物であってもよい。極性基は、アルコール、アルデヒド、エステル、ラクトン、クマリン、エーテル、ケトン、フェノール、フェニル、オキシド、アルケニル、アルキニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。減粘剤は、100ダルトン~300ダルトン、あるいは約125ダルトン~約300ダルトンの分子量を有してもよい。加えて、減粘剤は、約10~900mg/Lの23~25℃での水溶性を有し得る。
【0146】
クラスB減粘剤は、ベロウトン、イソアミルサリチレート、γ-テルピネン、リナリルイソブチラート、α-テルピネン、リモネン、ジペンテン、ゲラニルフェニルアセテート、イソプロピルミリステート、ヘキサデカン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、クラスB減粘剤は、ベロウトン、γ-テルピネン、リナリルイソブチラート、α-テルピネン、リモネン、ジペンテン、ゲラニルフェニルアセテート、イソプロピルミリステート、ヘキサデカン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、クラスB減粘剤は、ベロウトン、イソアミルサリチレート、γ-テルピネン、リナリルイソブチラート、α-テルピネン、リモネン、ジペンテン、ゲラニルフェニルアセテート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0147】
3.水混和性溶媒
ヘアケア組成物の実施形態において有用なキャリアとしては、水、並びに低級アルキルアルコール、多価アルコール、3~4個の炭素原子を有するケトン、C1~C6アルコールのC1~C6エステル、スルホキシド、アミド、炭酸エステル、エトキシル化及びプロポキシル化(proposylated)C1~C10アルコール、ラクトン、ピロリドン(pyrollidones)及びこれらの混合物の水溶液が挙げられる。低級アルキルアルコールの非限定的な例は、エタノール及びイソプロパノールなどの1~6個の炭素を有する一価アルコールである。本明細書で有用な多価アルコールの非限定的な例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、プロパンジオール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0148】
本発明の一実施形態において、ヘアケア組成物は、キシレンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム又はトルエンスルホン酸ナトリウムなどの低級アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属又はアンモニウム塩であるハイドロトロープ/粘度調整剤を含んでもよい。
【0149】
本発明の更なる実施形態では、ヘアケア組成物は、シリコーン/PEG-8エーテル、シリコーン/PEG-9エーテル、シリコーン/PEG-nエーテル、シリコーン/シリコーンエーテル(nは他の整数であり得る。)を含んでもよく、非限定的な例としては、PEG8-ジメチコンA208(分子量855)、PEG8ジメチコンD208(分子量2706)が挙げられる。
【0150】
D.噴射剤又は発泡剤
本明細書に記載された濃縮ヘアケア組成物は、濃縮ヘアケア組成物の約1重量%~約10重量%の噴射剤又は発泡剤、あるいは約2重量%~約8重量%の噴射剤を含んでもよい。
【0151】
噴射剤又は発泡剤は、1つ以上の揮発性物質を含んでもよく、これは気体状態では、濃縮ヘアケア組成物の他の成分を微粒子若しくは飛沫形態で、又は発泡体として運ぶことができる。噴射剤又は発泡剤は、約-45℃~約5℃の範囲内の沸点を有し得る。噴射剤又は発泡剤は、従来のエアゾール容器に圧縮をかけて封入されるとき、液化され得る。エアゾールフォームディスペンサーから出るときの噴射剤又は発泡剤の急速沸騰は、濃縮ヘアケア組成物の他の成分の噴霧又は発泡に役立ち得る。
【0152】
エアゾール組成物に利用され得るエアゾール噴射剤又は発泡剤としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、シクロプロパン、及びこれらの混合物などの化学的に不活性の炭化水素、並びにジクロロジフルオロメタン、1,1-ジクロロ-1,1,2,2-テトロフルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロ-2,2-トリフルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン、1,1-ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、モノクロロジフルオロメタン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及びこれらの混合物などのハロゲン化炭化水素を挙げてもよい。噴射剤又は発泡剤は、イソブタン、プロパン、及びブタンなどの炭化水素を含んでもよく、これらの物質は、低いオゾン反応性のために使用することができ、21.1℃で蒸気圧の範囲が約1.17バール~約7.45バール、あるいは約1.17バール~約4.83バール、及びあるいは約2.14バール~約3.79バールである、個々の成分として使用することができる。
【0153】
E.頭皮用健康剤
本発明の一実施形態では、1種以上の頭皮用健康剤が加えられてもよく、界面活性剤可溶性抗ふけ剤によってもたらされる抗真菌/抗ふけ効果に加え、頭皮への効果をもたらす。この材料群は変化し、かつ加湿、バリア改善、抗真菌、抗細菌、並びに抗酸化、抗かゆみ、及び感覚惹起を含む幅広い効果をもたらし、ジンクピリチオン(ZPT)又は硫化セレンなどの追加の抗ふけ剤がある。このような頭皮用健康剤としては、ビタミンE及びF、サリチル酸、ナイアシンアミド、カフェイン、パンテノール、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、グリコール、グリコール酸、PCA、PEG、エリスリトール、グリセリン、トリクロサン、乳酸塩、ヒアルロン酸塩、アラントイン及び他の尿素、ベタイン、ソルビトール、グルタミン酸塩、キシリトール、メントール、乳酸メンチル、イソシクレモン、ベンジルアルコール、下記式を含む化合物、
【0154】
【化16】
1はH、アルキル、アミノアルキル、アルコキシから選択され、
Q=H2、O、-OR1、-N(R12、-OPO(OR1x、-PO(OR1x、-P(OR1x、ここでx=1~2であり、
V=NR1、O、-OPO(OR1x、-PO(OR1x、-P(OR1x、ここでx=1~2であり、
W=H2、Oであり、
X,Y=nが0の場合、それぞれ独立してH,アリール、ナフチルから選択され、
X,Y=nが≧1の場合、脂肪族CH2又は芳香族CHであり、Zが脂肪族CH2、芳香族CH又はへテロ原子から選択され、
A=低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アリール、置換アリール又は縮合アリールであり、
*印の位置では、立体化学が可変である。
並びに、ペパーミント、スペアミント、アルガン、ホホバ及びアロエを含む天然抽出物/油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
F.任意成分
本発明の実施形態によれば、ヘアケア組成物は、有益剤を含む1つ以上の任意成分を更に含み得る。好適な有益剤としては、コンディショニング剤、カチオン性ポリマー、シリコーンエマルション、抗ふけ活性物質、ゲルネットワーク、キレート剤、及びヒマワリ油又はヒマシ油などの天然油が挙げられるが、これらに限定されない。更なる好適な任意成分としては、香料、香料マイクロカプセル、着色剤、粒子、抗細菌剤、消泡剤(foam busters)、帯電防止剤、レオロジー調整剤及び増粘剤、懸濁液材料及び構造化剤、pH調整剤及び緩衝剤、防腐剤、真珠光沢剤、溶剤、希釈剤、抗酸化剤、ビタミン、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
そのような任意成分は、組成物の成分と物理的及び化学的に相溶性である必要があり、製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なうべきではない。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Tenth Edition(the Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.(Washington,D.C.)より出版)(2004年)(本明細書にて、以下「CTFA」と呼ぶ。)に、本明細書の組成物に加えられ得る様々な非限定的な材料が記載されている。
【0157】
1.コンディショニング剤
ヘアケア組成物のコンディショニング剤は、シリコーンコンディショニング剤であってよい。シリコーンコンディショニング剤は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。シリコーンコンディショニング剤の濃度は、典型的には、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.1重量%~約5重量%、及び/又は約0.2重量%~約3重量%の範囲である。好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーン用の任意選択の懸濁化剤の非限定的な例が、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されており、参照によりそれらの記載が本明細書に組み込まれる。
【0158】
本発明の組成物に用いるシリコーンコンディショニング剤は、25℃で測定したとき、約20~約2,000,000mm2/s(約20~約2,000,000センチストークス(「csk」))、約1,000~約1,800,000mm2/s(約1,000~約1,800,000csk)、約10,000~約1,500,000mm2/s(約10,000~約1,500,000csk)、及び/又は約20,000~約1,500,000mm2/s(約20,000~約1,500,000csk)の粘度を有することができる。
【0159】
分散シリコーンコンディショニング剤粒子の体積平均粒径は、典型的には約0.01μm~約60μmの範囲を有する。小さい粒子の毛髪への適用としては、体積平均粒子径は典型的には、約0.01μm~約4μm、約0.01μm~約2μm、約0.01μm~約0.5μmの範囲である。
【0160】
シリコーン流体、ガム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を議論する項を包含するシリコーンについての更なる資料が、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,2d ed.,pp 204~308,John Wiley & Sons,Inc.(1989)に見出され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
本発明の実施形態で用いるのに好適なシリコーンエマルションとしては、米国特許第6,316,541号若しくは米国特許第4,476,282号又は米国特許出願公開第2007/0276087号に記載の説明に従って調製される不溶性ポリシロキサンのエマルションが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、好適な不溶性ポリシロキサンとしては、約5mm2/s~約500,000mm2/s(約5csk~約500,000csk)の内相粘度を有するα,ωヒドロキシ末端ポリシロキサン、又はα,ωアルコキシ末端ポリシロキサンなどのポリシロキサンが挙げられる。例えば、不溶性ポリシロキサンは、400,000mm2/s(400,000csk)未満、好ましくは200,000mm2/s(200,000csk)未満、より好ましくは約10,000mm2/s~約180,000mm2/s(約10,000csk~約180,000csk)の内相粘度を有し得る。不溶性ポリシロキサンは、約10nm~約10μmの範囲内の平均粒径を有し得る。平均粒径は、約15nm~約5μm、約20nm~約1μm、約25nm~約500nmの範囲内であってもよい。
【0162】
不溶性ポリシロキサンの平均分子量、不溶性ポリシロキサンの内相粘度、シリコーンエマルションの粘度及び不溶性ポリシロキサンを含む粒子の径は、Smith,A.L.The Analytical Chemistry of Silicones,John Wiley & Sons,Inc.:New York,1991に開示されている方法のように、当業者に広く用いられている方法によって測定される。例えば、シリコーンエマルションの粘度は、30℃で、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計をスピンドル6により、2.5rpmで使用して測定することができる。シリコーンエマルションは、アニオン性界面活性剤とともに追加の乳化剤を更に含んでもよい。
【0163】
本発明の組成物で使用するのに好適なシリコーンの他のクラスとしては、i)25℃で測定したとき約1,000,000mm2/s(約1,000,000csk)未満の粘度を有する流動性物質であるシリコーン流体(シリコーン油が挙げられるがこれらに限定されない)、ii)少なくとも1つの一級、二級、又は三級アミンを含有する、アミノシリコーン、iii)少なくとも1つの四級アンモニウム官能基を含有するカチオン性シリコーン、iv)シリコーンガム(25℃で測定したとき、1,000,000mm2/s(1,000,000csk)以上の粘度を有する材料を含む。)、v)高度架橋ポリマーシロキサン系を含む、シリコーン樹脂、vi)少なくとも1.46の屈折率を有する、高屈折率シリコーン、及びvii)これらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
本発明のヘアケア組成物のコンディショニング剤は、単独で又は上記のシリコーンなどの他のコンディショニング剤と組み合わせて、油又はワックスなどの少なくとも1つの有機コンディショニング材料を更に含んでもよい。有機材料は、非ポリマー、オリゴマー、又はポリマーであってよい。この有機材料は、油又はワックスの形態であってよく、配合物に、そのまま加えても、予備乳化した形態で加えてもよい。有機コンディショニング材料のいくつかの非限定例としては、(i)炭化水素油、(ii)ポリオレフィン、(iii)脂肪族エステル、(iv)フッ素化コンディショニング化合物、(v)脂肪族アルコール、(vi)アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体、(vii)四級アンモニウム化合物、(viii)CTFA名称がPEG-200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-2M、PEG-7M、PEG-14M、PEG-45Mであるもの、及びこれらの混合物などの、約2,000,000以下の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
2.乳化剤
種々のアニオン性及びノニオン性乳化剤を本発明のヘアケア組成物に用いることができる。アニオン性及びノニオン性乳化剤は、本質的にモノマー又はポリマーのいずれかであることができる。モノマーの例としては、アルキルエトキシレート、アルキルサルフェート、石鹸、及び脂肪族エステル、並びにそれらの誘導体が例示として挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリエチレングリコール、及びブロックコポリマー、並びにそれらの誘導体が例示として挙げられるが、これらに限定されない。ラノリン、レシチン、及びリグニンなどの天然の乳化剤、並びにそれらの誘導体も、有用な乳化剤の非限定的な例である。
【0166】
3.キレート剤
ヘアケア組成物は、キレート剤を更に含むことができる。好適なキレート剤としては、A E Martell & R M Smith,Critical Stability Constants,Vol.1,Plenum Press,New York & London(1974)及びA E Martell & R D Hancock,Metal Complexes in Aqueous Solution,Plenum Press,New York & London(1996)に記載されるものが挙げられ、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。キレート剤に関し、用語「塩及びそれらの誘導体」は、参照しているキレート剤と同じ官能性構造(例えば、同じ化学主鎖)を含み、同様の又はより優れたキレート化特性を有する塩及び誘導体を意味する。この用語は、アルカリ金属、アルカリ土類、アンモニウム、置換アンモニウム塩(即ち、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム)塩、酸性部分を有するキレート物質のエステル、及びこれらの混合物、特に、全てのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩を包含する。用語「誘導体」は、米国特許第5,284,972号に例示される化合物などの「キレート化界面活性剤」化合物、及び米国特許5,747,440号に開示される高分子EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)などの、親キレート剤と同じ官能構造を有する1以上のキレート化基を含む、より大型の分子も含む。
【0167】
ヘアケア組成物中のEDDSキレート剤の濃度は、約0.01重量%の低濃度又は約10重量%の高濃度であってよいものの、このような高濃度(即ち、10重量%)を超える場合には、配合及び/又は人の安全性に関する懸念が生じうる。一実施形態では、EDDSキレート剤の濃度は、ヘアケア組成物の少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約2重量%であってよい。約4重量%超の濃度を使用することができるものの、追加効果は得られない。
【0168】
4.水性キャリア
ヘアケア組成物は、(周囲条件下で)注ぐことが可能な液体の形態であってよい。したがって、このような組成物は、典型的にキャリアを含み、これはヘアケア組成物の約40重量%~約85重量%、あるいは約45重量%~約80重量%、あるいは約50重量%~約75重量%の濃度で存在する。キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、一態様では、他の必須又は任意成分の微量成分として組成物中に偶然取り込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を含むか、又は有意の濃度の有機溶媒を含まない水を含んでもよい。
【0169】
本発明のヘアケア組成物の実施形態に有用なキャリアとしては、水並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコール類の水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な例示的な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0170】
G.フォームディスペンサー
本明細書に記載されたヘアケア組成物は、フォームディスペンサーにて提供されてよい。フォームディスペンサーは、エアゾールフォームディスペンサーであってよい。エアゾールフォームディスペンサーは、ヘアトリートメント組成物を保持するための収容容器を含み得る。収容容器は、プラスチック、金属、合金、積層体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される任意の好適な材料で作製されてもよい。一実施形態では、収容容器は、1回限りの使用に供し得る。一実施形態では、収容容器は、エアゾールフォームディスペンサーから取り外し可能であり得る。あるいは、収容容器は、エアゾールフォームディスペンサーと一体化してもよい。一実施形態では、2つ以上の収容容器が存在してもよい。
【0171】
フォームディスペンサーは更に、機械式フォームディスペンサーであってもよい。記載された機械式フォームディスペンサーは、しぼり出し式フォームディスペンサー、ポンプフォームディスペンサー、他の機械式フォームディスペンサー及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。一実施形態では、機械式フォームディスペンサーは、しぼり出し式フォームディスペンサーである。好適なポンプディスペンサーの非限定的な例としては、国際公開第2004/078903号、同第2004/078901号、及び同第2005/078063号に記載されているようなものが挙げられ、Albea(60 Electric Ave.,Thomaston,CT 06787 USA)又はRieke Packaging Systems(500 West Seventh St.,Auburn,Indiana 46706)により供給され得る。
【0172】
機械式フォームディスペンサーは、濃縮ヘアトリートメント組成物を保持するための収容容器を含み得る。収容容器は、プラスチック、金属、合金、積層体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される任意の好適な材料で作製されてもよい。収容容器は、注入若しくはネジ付き収容容器のような再充填可能な収容容器でもあってもよく、又は収容容器は1回限りの使用向けであってもよい。収容容器は更に、機械式フォームディスペンサーから取り外し可能であってもよい。あるいは、収容容器は、機械式フォームディスペンサーと一体化してもよい。一実施形態では、2つ以上の収容容器が存在してもよい。
【0173】
一実施形態では、収容容器は、剛性材料、可撓性材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で構成されてもよい。収容容器は、内側が不完全真空の対象となるときに、外側の大気圧下で潰れない場合、剛性材料で構成されてもよい。
【0174】
H.製品形態
本発明のヘアケア組成物は、典型的なヘアケア配合中に存在し得る。この組成物は、溶液、分散液、エマルション、粉末、タルク、カプセル状、球体、スポンジャー(sponger)、固形剤形、発泡体、及び他の送達機構の形態であってもよい。本発明の実施形態の組成物は、ヘアトニック、トリートメント及びスタイリング製品のようなリーブオンヘア製品、シャンプー及びパーソナルクレンジング製品のようなリンスオフヘア製品、及びトリートメント製品、並びに毛髪に塗布可能な任意の他の形態とすることができる。
【0175】
I.アプリケータ
本発明の一実施形態では、ヘアケア組成物は、直接的に頭皮領域に分注するためのアプリケータから分注されてもよい。標的化送達アプリケータを介して頭皮上に直接的に分注することにより、洗浄がとりわけ必要とされる場所に直接的に非希釈の洗浄剤を付着することが可能になる。これは、目がクレンジング溶液と接触するリスクも最小限に抑える。
【0176】
アプリケータは、クレンジングプロッドヘア(prodhair)ケア組成物を含有するボトルに取り付けられている、又は取り付けることができる。アプリケータは、単一の若しくは複数個の枝を保持して、又はそこまで延びている基部からなり得る。枝は、先端、基部又は先端と基部の間の任意の場所にあり得る開口部を有する。これらの開口部は、製品が毛髪及び/又は頭皮上に直接的にボトルから分注されるようにする。
【0177】
あるいは、アプリケータは、取り付けられた、又は基部から延びているブラシ状剛毛で構成されることもできる。この場合、製品は基部から分注され、剛毛は、くしでとかす又はブラシをかける動作を介して製品を散布できるようにする。
【0178】
アプリケータ及び枝のデザイン並びに材料は、頭皮マッサージを可能にするように最適化することもできる。この場合、枝又は剛毛形状が先端で、アイクリームに使用されるローラーボールアプリケータと同様に更に丸みを帯びていることが有益である。材料は更に、より滑らかでより柔らかい例えば、金属又は金属様仕上げの「ゴム状材料」のような材料が有益であってもよい。
【0179】
粘度測定
シャンプーの粘度は、コーンC75-1を備えたコーン及びプレートBrookfield RS rheometerを使用して、2s-1、27℃にて3分で2.5mL試料を測定できる。
【0180】
NMRによる拡散係数の測定
界面活性剤可溶性剤を含有するクレンジング組成物を、約1.3%の界面活性剤濃度まで脱イオン水で希釈する。この希釈倍率は、使用時に頭へ塗布した場合のクレンジング組成物の代表例であると考えられる。希釈試料を、更なる調製を伴うことなく、5mmNMR管内へ導入する。重水素化溶媒が存在しないので、全ての実験はロックをかけず実行する。拡散係数は、業者供給のパルス系列(「ledbpgppr2s」は、双極傾斜磁場(bipolar gradient)、縦方向渦電流遅延(longitudinal eddy current delay)、プレサチュレーション及び2スポイラーグラジエントを有する刺激エコー)を使用し、BBO z-gradientプローブを装備したBruker Avance 700MHz NMR分光計を使用して測定される。グラジエントパルス幅は、3000~6000usの範囲であり、拡散周期は150msに設定する。32の線形空間グラジエント値は、GREAT 3/10増幅器から10Aの電流を2%~95%の範囲で使用し、グラジエント強度は5 Gauss/cm/Aとなる。データは、業者提供のソフトウエアを使用して処理される。
【0181】
界面活性剤ミセルの拡散係数はDSとして示され、界面活性剤可溶性剤の拡散係数は、DAとして示される。界面活性剤拡散係数の界面活性剤可溶性剤拡散係数に対する比率は、以下の等式を使用して計算することができる。
【0182】
【数1】
【0183】
界面活性剤可溶性剤付着測定
インビボにおける頭皮上への界面活性剤可溶性剤の付着は、クレンジング組成物を含有する界面活性剤可溶性剤で頭皮を処理し、洗い流した後、可溶性剤をエタノール抽出することによって測定することができる。エタノール抽出溶媒中の薬剤濃度を、HPLCで測定する。定量は、標準曲線を基準にして行われる。HPLCにより検出される濃度は、容量で乗算された濃度を使用することによりグラムで収集された量に変換される。
【0184】
付着剤パーセントは、以下の等式を使用して計算することができる。
【0185】
【数2】
【0186】
付着効率は、以下の等式を使用して計算することができる。
【0187】
【数3】
【0188】
シャンプー組成物の調製
シャンプー組成物は、界面活性剤、抗ふけ剤、香料、粘度調整剤、カチオン性ポリマー及び残部の水を十分に攪拌しながら加えることにより調製され、確実に均質な混合物にする。混合物は50~75℃まで加熱して可溶性剤の可溶化を加速させることができ、次に、冷却する。ヒトの毛髪及び頭皮への塗布に好適な本発明のシャンプー組成物を提供するために、必要に応じて、製品pHを調整してよく、pHは、特定の洗浄性界面活性剤、及び/又は他の構成成分の選択に基づいて異なってもよい。
【0189】
非限定的な実施例
以下の実施例で示されるシャンプー組成物は、従来の配合及び混合方法により調製される。例示した全ての量は活性基準の重量パーセントで列記され、特に指定されない限り、希釈剤、防腐剤、着色溶液、イメージ成分、植物等の微量物質は除外してある。特に規定のない限り、全ての%は重量に基づく。
【0190】
【表1】
1 70%活性のウンデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 26%活性のラウレス-1硫酸ナトリウム、供給元:P&G
3 オクトピロックス、供給元:Clariant
4 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0191】
実施例1~2に対する結果の考察
実施例1では、拡散係数の比率(DS/DA)がほぼ1.0であるが、これはピロクトンオラミンがSLE1Sミセルと同じ速度で拡散していることを示しており、ピロクトンオラミンがSLE1Sミセル内にあることを意味している。しかし、実施例2における比率(DS/DA)は、著しく1.0を超えており、これはピロクトンオラミンがウンデシル硫酸ナトリウムミセルとは異なる速度で拡散していることを示し、ピロクトンオラミンがウンデシル硫酸ナトリウムミセル内にはないことを意味している。実施例2において界面活性剤ミセル内にピロクトンオラミンがないという意味は、実施例2の非常に向上した付着効率が実施例1(対照)の付着効率の3.6Xであることで示される。
【0192】
【表2】
1 26%活性のラウレス-1硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 オクトピロックス、供給元:Clariant
3 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0193】
【表3】
1 26%活性のラウレス-1硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 オクトピロックス、供給元:Clariant
3 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0194】
3~8に対する結果の考察
4及び6などにおける界面活性剤濃度の減少も、例8などにおける製品粘度の減少も、それぞれの対照である例3,5及び7と比較して、付着効率に著しい影響は与えない。実際、例4,6及び8は、それぞれの対照の付着効率の0.9~1.2Xの範囲の付着効率を示す。
【0195】
以下の実施例9~13は、本発明の更なる例示的実施形態である。
【0196】
【表4】
1 70%活性のウンデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 オクトピロックス、供給元:Clariant
3 リモネン、供給元:Kerry
4 イソブタン酸リナリル、供給元:Givaudan
5 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0197】
【表5】
1 70%活性のウンデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 35%活性のラウラミドプロピルベタイン、供給元:Solvay
3 オクトピロックス、供給元:Clariant
4 リモネン、供給元:Kerry
5 Mirapol 100(40%活性溶液)、供給元:Solvay Novecare
6 JaguarC-500、粘度=25~65cps、窒素%=1.15~1.45%、供給元:Solvay Novecare
7 UCARE Polymer JP、2%溶液粘度=30000、窒素%=0.8~1.1%、供給元:Dow Chemicals
8 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0198】
顕微鏡検査試料調製方法
10:1希釈試料調製。10.00±0.05gの水道水をガラスバイアルに量り分ける。水道水に、1.00±0.02gのシャンプーを加える。バイアルのふたをきつく閉め、前後に勢いよく20回振り混ぜる。乳白相が上部に分離されるまで、試料を5~24時間置いておく。
【0199】
5:1希釈試料調製。10.00±0.05gの水道水をガラスバイアルに量り分ける。水道水に、2.00±0.02gのシャンプーを加える。バイアルのふたをきつく閉め、前後に勢いよく20回振り混ぜる。乳白相が上部に分離されるまで、試料を5~24時間置いておく。
【0200】
顕微鏡スライド調製。1mLプラスチックバルブピペットを用いて、希釈試料の上部乳白相を試料にとり、顕微鏡スライドの上に一滴のせ、次に、試料の上部に顕微鏡用ガラススライドカバーをのせる。
【0201】
希釈試料は、微分干渉(DIC)顕微鏡検査を使用して、40Xの対物レンズで評価する。画像は、Carl Zeiss Imaging Solutionsから入手可能なイメージングソフトウエアAxioVs40 V 4.7.2.0を使用したカメラで撮影される。
【0202】
実施例11~13に対する結果の考察
実施例11、12及び13の希釈物の顕微鏡検査は、コアセルベート中にトラップされたリモネン油液滴の存在を示す。これは、シャンプーの希釈時に、コアセルベート及びリモネン油相の両方が分離する証拠である。
【0203】
【表6】
1 26%活性のラウレス-1硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 70%活性のウンデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
3 オクトピロックス、供給元:Clariant
4 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0204】
実施例14~15に対する結果の考察
実施例14(対照)では、拡散係数の比率(DS/DA)がほぼ1.0であるが、これはピロクトンオラミンがSLE1Sミセルと同じ速度で拡散していることを示しており、ピロクトンオラミンがSLE1Sミセル内にあると推測される。しかし、実施例15では、SLE1Sはウンデシル硫酸ナトリウムによって置き換えられ、その比率(DS/DA)は1.0を超えている。DS/DAにおけるこの変化は、ピロクトンオラミンがウンデシル硫酸ナトリウムミセルと異なった速度で拡散していることを示しており、ピロクトンオラミンがそのミセル内にないと推測される。実施例15において界面活性剤ミセル内にピロクトンオラミンがないという意味は、実施例14(対照)と比較して実施例15の付着効率が向上したことに反映されている。
【0205】
【表7】
1 26%活性のラウレス-1硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 70%活性のウンデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
3 クリムバゾール、供給元:Symrise
4 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0206】
実施例16~18に対する結果の考察
実施例16(対照)では、拡散係数の比率(DS/DA)がほぼ1.0であるが、これはクリムバゾールがSLE1Sミセルと同じ速度で拡散していることを示しており、クリムバゾールがSLE1Sミセル内にあると推測される。しかし、実施例17~18では、SLE1Sはウンデシル硫酸ナトリウムによって置き換えられ、その比率(DS/DA)は1.0を著しく超えている。DS/DAにおけるこの変化は、クリムバゾールがウンデシル硫酸ナトリウムミセルと異なった速度で拡散していることを示しており、クリムバゾールがそのミセル内にないと推測される。したがって、実施例17~18は本発明の代表例であり、実施例16(対照)の付着効率の1.9X~2.5Xである、著しく向上した付着効率を示す。これは、本発明が種々の可溶性抗ふけ剤に広く適用することができることを示す。
【0207】
【表8】
1 26%活性のラウレス-1硫酸ナトリウム、供給元:P&G
2 65%活性のトリデセス-2硫酸ナトリウム、供給元:Tianjin Tianzhi Fine Chemical Co
3 70%活性のウンデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
4 70%活性のデシル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 オクトピロックス、供給元:Clariant
6 塩化ナトリウム、供給元:Morton
【0208】
実施例19~23に対する結果の考察
この組の実施例は、拡散係数比率(DS/DA)が1.2超に達することが、所望の付着効率の向上を達成するために重要であることを示す。実施例20~22は本発明の代表例であり、種々の界面活性剤とともに拡散係数比率(DS/DA)が1.2超に達することが可能であることを示す。したがって、実施例20~22は、実施例19(対照)の付着効率を超える付着効率(1.4~2.0X)を示す。実施例23は比較実施例であり、配合がウンデシル硫酸ナトリウムを含有する場合でも、DS/DAがほぼ1.0であるならば、付着効率は低くなり対照(実施例19)の付着効率と同様になることを示す。
【0209】
実施例においては、別途記載のない限り、全ての濃度は重量%として掲載されており、希釈剤及び充填剤などの微量の物質は除外され得る。そのため、掲載した配合は、掲載した成分及びそのような成分に関連する任意の微量物質を含む。当業者にとって明白なように、このような微量成分の選択は、ヘアケア組成物を調製するために選択した特定成分の物理的及び化学的特性によって変わる。
【0210】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0211】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許等の、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0212】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
図1